JPH063405B2 - 車両操舵装置用トルク検出器及びトルク検出器付電気式動力舵取装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は誤作動防止機構を備えた車両の操舵装置用トル
ク検出器と前記トルク検出器を含む電気式動力舵取装置
に関する。本発明による装置は例えば自動車等の舵取装
置に利用されて有効に作動する。

（従来の技術） 入力軸にハンドルを介して入力される入力トルクをトル
ク検出器により検出して適当な動力補助を出力軸に与え
る方式の電気式動力舵取装置は各種提案されている。こ
のような電気式動力舵取装置において、トルク検出器や
動力補助を与える電動機等に故障が発生した場合の誤動
作を防止する機構を与えて、より信頼性の高い装置とす
ることが考えられてきた。

例えば、トルク検出器への入力と電動機駆動回路の電
流、モータ端子の極性等とを比較して両者間にある程度
以上の差が生じた時に電源を切る誤動作防止機構が考え
られる。

（発明が解決しようとする問題点） 上述の誤動作防止機構では、トルク検出器自体が故障し
た場合、比較の基準が狂つてしまう為確実な誤動作防止
ができない。従つて、確実な誤動作防止の為には、トル
ク検出器の信頼度を１００％とするか、それぞれ独立し
た２系統の検出器を設ける等の必要がある。しかしなが
ら、実際には技術的に対応が困難であつたり、製造コス
トが著しく高いものとなつたり、等の問題があり実用的
ではない。

本発明は簡単な構成で確実に誤動作防止が可能なトルク
検出器を提供することを目的とする。

本発明は誤動作防止機能を有するトルク検出器を有する
電気式動力舵取装置を提供することを目的としている。

（問題点を解決するための手段） 本発明のトクル検出器は、 入力トルクに対応した電気出力を与える第１検出部と、
入力トルク無・右旋回トルク入力・左旋回トルク入力の
３状態を検出する第２検出部と、第１検出部の電気出力
に基づく信号と第２検出部からの信号とが所定の関係に
無い場合に異常信号を発する回路とより成る構成として
目的を達成している。

又、本発明のトルク検出器付電気式動力舵取装置は、ハ
ンドルを介して入力トルクが与えられる入力軸と、該入
力軸に関連して直線変位し車輪を操向する出力軸と、入
力軸への入力トルクに応じて出力軸に補助動力を与える
電動機と、入力トルクに対応した電気出力を与える第１
検出器と、第１検出器の電気出力に基づき電動機を制御
する制御回路と、入力トルク無・右旋回トルク入力・左
旋回トルク入力の３状態を検出する第２検出器と、電動
機の駆動状態を示す信号と第２検出器からの信号とを比
較して所定の関係に無い場合に電動機の駆動を不能とす
る回路とより成る構成によつて本発明のもう一つの目的
を達成している。

（実施例） 本発明のトルク検出器付電気式動力舵取装置の一実施例
について第１図より第５図を参照して以下に説明する。

トルク検出部を示す第１図において、入力軸１はその一
端（図上右端）が図示なきハンドルに関連されて一体的
に回転する。入力軸１の他端はハウジング３の中へと延
び入りピニオンギヤを有している。ピニオンギヤの両端
には玉軸受５，６が配置されて、入力軸１を回転自在に
支障している。ハウジング３内の入力軸１の先端にはバ
ランス部材としてバネ材１０が圧入固定されている。こ
のバネ材１０の他端は、ハウジング３に螺じ入れられて
玉軸受５の予圧を調整する蓋部材７の座に受け入れられ
て、そこを支点として揺動する。

入力軸１のピニオンギヤには出力軸２に設けられたラツ
クギヤが噛み合つて、入力軸１が回転するにつれて出力
軸２は第１図上紙面に直交する方向に直線変位する。入
力軸１と出力軸２との噛合いは、ハウジング３に設けら
れている予圧調整装置４により調整される。予圧調整装
置４は出力軸２の背面に当接してそのバネ力を付与す
る。

出力軸２の両端は図示なき適当な機構を介して操向車輪
へと連結されており、直線変位に従い操向車輪を操舵す
る。出力軸２には図示なき電動機が係合されて入力トル
クに応じた補助動力を与えるように制御回路によつて制
御されている。

入力軸１を支承する玉軸受６とピニオンギヤ部との間に
はバネ部材９が入力軸１にスリーブを介して嵌着されて
いる。バネ部材９は入力軸１に嵌着している部分より上
下に延びる脚部を有しており、両脚部はハウジング３に
受け入れられて支点を形成している。第３図に示すよう
に入力軸１とハウジング３に支承する玉軸受５，６とハ
ウジング３とは、入力軸１が所定の範囲で左右に変位で
きるように間隙をもつて配置されている。即ち、ハウジ
ング３の玉軸受５，６装着部はだ円形状通路に形成され
て、入力軸１を所定範囲変位可能とするとともに、バネ
部材９及び１０の過大な変位が生じるのを阻止する。入
力軸１が第２図において左右に変位するとバネ部材９は
両端部を支点としてたわみ変形する。

バネ部材９にはピニオンギヤ方向へと延びた後入力軸１
より離れて延びる取付部を与える取付部材２５が固定さ
れ、バネ部材９と一体的に変位する。一方、ハウジング
３には取付部材２５に対向して取付面１１が固設されて
いる。

取付部材２５には、第２図に示すように２つの磁石２
６，２７が取り付けられている。この磁石２６，２７の
後面には温度補償用ホール効果素子２８が取り付けられ
ている。一方、取付部材２５に対向する取付面１１に
は、各種回路を組み込んだ基盤２１が固定されており、
基盤２１は磁石２６，２７に対向してトルク検出用ホー
ル効果素子３３を有している。ホール効果素子３３は、
対向する磁石２６，２７がバネ部材９とともに変位して
磁場が変位する時変位量に応じた電圧変化を出力する。
即ち、入力軸１にハンドルを介してトルクが入力され出
力軸２に抵抗が与えられている場合、入力トルクに応じ
て入力軸１が変位するが、この変位に対しホール効果素
子３３が相応の電気出力を電動機の制御回路へと与え
る。

取付部材２５と基盤２１間には、更に第２検出器が設け
られている。第１図、第４図及び第５図に示されている
ように、第２検出器は取付部材２５上に固定され入力軸
１の半径方向に延び出している中間接点２４と、基盤２
１上に固定され中間接点２４の先端部を両側より挾むよ
うに延び出しているバネ接点２２，２３より成つてい
る。中間接点２４は入力軸１の変位にともない同一方向
へと変位し、左右いずれかのバネ接点２２，２３より離
れる。これにより、中間接点２４が両バネ接点と接する
トルク無又は微小トルク領域と、いずれかのバネ接点２
２，２３と接する右旋回トルク入力状態、又は左旋回ト
ルク入力状態の３状態を検知することができる。

次に、第５図により誤動作防止回路の一実施例について
説明する。

電動機３０は駆動回路２９に接続されて正逆回転制御さ
れる。ホール効果素子３３より出力された電気信号は図
示なき制御装置へと与えられ、そこで必要な電動機駆動
信号へと変換される。変換された信号は駆動回路２９の
端子対ａ，ｄ又はｃ，ｄのいずれかに与えられ電動機３
０を正回転又は逆回転させる。この時、端子対に加えら
れるパルス信号のデユーテイを入力トルクに応じて制御
することにより電動機３０の回転力が制御される。

電動機３０の駆動状態を電流検出抵抗Ｒ１、電動機端子
極性判別フオトカプラ３１，３２により検出して、リレ
ー駆動論理回路４０の端子Ｄ、Ｅ、Ｆに所定の信号を与
えるよう各要素を接続する。一方、前述の第２検出器に
よる信号はリレー駆動論理回路４０の端子Ａ、Ｂ、Ｃに
与えられる。

第５図に示す回路構成を利用する場合、リレー駆動論理
回路４０の各端子Ａ乃至Ｆに与えられる信号は、電圧の
高い状態をＨ、電圧の低い状態をＬとすると第Ｉ表のよ
うになる。

リレー駆動論理回路４０は各端子に与えられる信号が第
Ｉ表の関係にない場合にシステムに異常があるものと判
断して電源リレー駆動トランジスタ３５をＯＦＦとし接
点３６を開いて電源を切る。スイツチ接点３８は車両キ
ーをＯＮとした時一瞬だけ機械的に閉じられて回路に電
源を供給する。リレー駆動論理回路４０に異状がなけれ
ばリレー駆動トランジスタ３５がＯＮとなりリレーコイ
ル３４が励磁されてリレー接点３６が閉じられて電源回
路を自己保持する。電源ライン３７はトルク検出器、電
動機の制御回路等へと接続されている。

以上に説明した回路は誤動作防止を実行するための原理
的回路であつて、実際の応用には過渡的な信号状態や、
ハンドル手放し時に電動機が外力により空転させられた
場合等に応じて、信号の処理、トルクなしの範囲、電動
機出力なしの範囲、端子の信号状態を読み取り時間設定
等を調整する必要がある。又、本実施例の回路は他の回
路と組合せてあるいは他の回路を付加して使用すること
によつてより完全な誤動作防止ができる。

上記実施例の第２検出器は入力トルク無の場合にバネ接
点２２，２３が中間接点２４と接触し閉状態となり、左
右旋回時に、いずれか一方のバネ接点２２，２３が中間
接点２４より離れて開状態となる構成であるが、必要な
ことは、これら３状態を表わす信号が得られることであ
るので、開閉状態は任意に選択することができる。

以上に説明した本発明によるトルク検出器付電気式動力
舵取装置の作動について述べる。

舵取装置に異常がない場合、前述のようにリレー駆動論
理回路４０の各端子Ａ〜Ｆには第Ｉ表に示す信号が与え
られ、通常の操舵が行なわれる。

もし第１の検出器に異常が発生し実際の入力トルクがな
いにもかかわらず第１の検出器が異常な値を出力し、モ
ータが回転すると、リレー駆動論理回路４０の端子Ａ、
ＢはＨでＤ、Ｅ、Ｆ、のいずれかがＨとなり、第Ｉ表の
条件に合致しなくなり、電源はＯＦＦとなる。

又、第１の検出器が正常で制御回転、モータ駆動回路、
などが異常となって、モータに電流が流れ、モータが勝
手に出力した場合も同じである。

以上は、ハンドルから手をはなしている場合に異常が発
生した場合であるが、ハンドルをしつかり保舵している
と誤動作でモータが出力しＥがＬとなると（右旋回出
力）保舵力は誤動作を修正しようとする方向に働くので
ＡはＨ、ＢはＬとなるので第Ｉ表の条件に合致せず電源
ＯＦＦとなる。同様にＦがＬとなるとＡとＬ、ＢはＨと
なつて電源ＯＦＦとなる。

第二の検出器が故障で誤動作するとＡ、Ｂの信号とＤ、
Ｅ、Ｆの信号は無関係となるのでこれも電源ＯＦＦとな
る。

又、端子Ｃは電源ラインの異常を検出する。

（発明の効果） 本発明のトルク検出器及びその検出器を利用した電気式
動力舵取装置では、通常の電気的出力を与えるトルク検
出器に、更に、トルク無、左右各旋回トルクの３状態を
判別できる簡単な構成の別系統の検出器を設けて、安価
で確実な誤動作防止を実現している。

従来のトルク検出器では、検出器出力や電動機の電流等
が正常値を越えた時異常を判断できるだけであるが、本
発明のトルク検出器では、正常値範囲内での異常をも効
果的に検出できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示すトルク検出器付電気式
動力舵取装置のトルク検出器部分の側断面図、第２図は
第１図のＡ−Ａ断面図、第３図は第１図のＢ−Ｂ断面
図、第４図は第２図検出部の平面図、第５図は誤動作防
止回路の一実施例を示す部分回路図である。 〔主要部分の符号の説明〕 １…入力軸、 ２…出力軸、 ９…バネ部材、１０…バネ材、 ２５…取付部材、２２，２３…バネ接点、 ２４…中間接点、２６，２７…磁石、 ３３…ホール効果素子、３０…電動機、 ２９…電動機駆動回路、 ４０…リレー駆動論理回路。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】入力トルクに対応した電気出力を与える第
   １検出部と、入力トルク無・右旋回トルク入力・左旋回
   トルク入力の３状態を検出する第２検出部と、第１検出
   部の電気出力に基づく信号と第２検出部からの信号とが
   所定の関係に無い場合に異常信号を発する回路とより成
   る車両操舵装置用トルク検出器。
2. 【請求項２】ハンドルを介して入力トルクが与えられる
   入力軸と、該入力軸に関連して直線変位し車輪を操向す
   る出力軸と、入力軸への入力トルクに応じて出力軸に補
   助動力を与える電動機と、入力トルクに対応した電気出
   力を与える第１検出器と、第１検出器の電気出力に基づ
   き電動機を制御する制御回路と、入力トルク無・右旋回
   トルク入力・左旋回トルク入力の３状態を検出する第２
   検出器と、電動機の駆動状態を示す信号と第２検出器か
   らの信号とを比較して所定の関係に無い場合に電動機の
   駆動を不能とする回路とより成るトルク検出器付電気式
   動力舵取装置。