JPH0633909U - 衣 服 - Google Patents

衣 服

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JPH0633909U
JPH0633909U JP6897992U JP6897992U JPH0633909U JP H0633909 U JPH0633909 U JP H0633909U JP 6897992 U JP6897992 U JP 6897992U JP 6897992 U JP6897992 U JP 6897992U JP H0633909 U JPH0633909 U JP H0633909U
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修一 恒屋
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 良好な通気性、肌触り、着用感を有し、樹脂
付与部分が目立ちにくく、見栄えの低下が少なく、凹凸
による外衣への響きがなく、かつ衣服の所定部分の伸び
を拘束し身体の整形効果を発揮し得る衣服を提供する。 【構成】 離型紙上に形成されたポリウレタンエラスト
マー樹脂フイルムを樹脂付与パターン2およびヒップア
ップ用の下臀部の樹脂付与パターンに対応する形に切り
取り、パワーネット編物からなる生地の上に前記樹脂フ
イルム側が生地に接するように載せ、熱プレスを行な
い、ポリウレタンエラストマー樹脂フイルムを生地に熱
接着させ、次いで離型紙をはがして、ポリウレタンエラ
ストマー樹脂フイルムが転写された生地を裏返し、再度
熱プレスする。得られた生地を、縫製してガードル1を
作成する。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は伸縮性生地を使用した衣服に関するものである。 特に本考案は、衣服の該伸縮性生地の伸びを拘束したい所定の箇所に樹脂を付 与した衣服に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
衣服は身体に適合した動きに従って必要な部分が自由に伸縮することが好まし いが、例えばガードルやブラジャー、ボディスーツ、ウエストニッパーなどのフ ァンデーション類や水着類、レオタード類、パンティストッキング類、タイツ類 など身体のプロポーションを整えて美容上の整形効果を重視する衣服においては 、身体の一部の贅肉が膨出するのを抑制して拘束し、整形することも広く行われ ている。
【0003】 従来これらの伸びの拘束は、伸縮性の同じ生地や伸縮性の小さい生地を所定の 部分に縫製により縫着して身体の膨出部などを拘束したり、整形するようにして いる。
【0004】 また、光硬化性樹脂溶液などを衣服の目的とする箇所に付与して紫外線照射し て硬化させ所定部分の生地の伸びを拘束する方法も提案されているが(実公昭6 2−6087号)、実際には工業的に生産はされていない。
【0005】 さらにポリウレタン樹脂などのフイルムを衣服の所定部分に熱溶着して衣服の 特定部分の伸びの拘束を行う方法も提案されている。
【0006】
【考案が解決しようとする課題】
伸びの拘束をしたい部分に、伸縮性の同じ生地や伸縮性の小さい生地を所定の 部分に縫着した衣服は広く用いられている。
【0007】 例えば、代表例としてガードルを例にとって説明すると、図14にその概念斜 視図を示したように、ガードル本体100の腹部近傍に腹部の膨出を抑制するた め点線で示した部分にガードル本体の100の生地より伸縮性の小さい生地10 1をガードル本体100の生地の裏側に縫着することが行われている。この場合 には、縫製による縫い目のシーム部などの縁部は厚みがある。そのため、着用す るとこの部分が表側に突出した形になるので、それが外衣にもその凹凸が反映さ れてしまい(例えば夏物の薄いスカートやタイトスカート等をガードルの上に着 用した場合などは、特にこの問題が顕著になる。)、見栄えが低下してしまう問 題がある。(以下この様な現象を表にひびくと称する。)。
【0008】 また縫着した布の端や縫い目の縫い糸などが肌に触れるので、肌触りも悪くな りがちである。 更に外観も縫い目が入るので低下しがちである。
【0009】 また、光硬化性樹脂溶液などを衣服の所定部分に付与して紫外線照射により硬 化させる方法の場合には、樹脂が付与された部分がかなりゴワゴワした感触にな るので、着用感の低下が甚だしく、また、大部分の生地の目もこの樹脂で塞がれ てしまい、通気性がなくなり、汗が蒸発しにくく、従って一層の着用感の低下を もたらすなどの問題があり、現実には実用化されていない。
【0010】 さらにポリウレタン樹脂などのフイルムを衣服の所定部分に熱溶着して、衣服 の特定部分の伸びの拘束を行う方法は、生地のすべての目をフイルムで塞いでし まうことになり、通気性が実質上なく、汗が蒸発しにくく、着用感の低下の原因 となると言った問題がある。このため、フイルムに穴を開けることも提案されて いるが、生地の目のほとんどの目に対応する箇所にそれ程多数の穴を開けること は現実問題としてどの様にするのか解決策がないためと、それ程多数の穴を機械 的に針状物などで実際に開けようとするとボロボロに破れてしまい、もはやフイ ルムの形態を保持することができなくなるので、具体的に示されているのは生地 の目の数に比べてほんの僅かな数の穴が開いているにすぎず、これでは本来の生 地に近い通気性は到底保持することが不可能になると言った問題がある。
【0011】 しかも合成樹脂フイルムが貼り合わされた場合には、例え透明なフイルム或い は衣服の生地と同色に着色したフイルムを用いて、それを生地の裏側に接着した としても、フイルムは連続シート状物であるので、どうしても表側からその形状 が透けて見え、見栄えの低下が防ぎ切れないと言った問題がある。
【0012】 本考案は、良好な通気性、肌触りを保ち、着用感が良好で、かつ樹脂の付与さ れた部分が目立ちにくく、見栄えの低下が少なく、また、凹凸による外衣への響 きがなく、かつ衣服の所定部分の伸びを拘束し身体の整形効果を発揮し得る衣服 を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記課題を達成するために本考案は次の構成を有するものである。 (1)伸縮性生地を使用した衣服の該伸縮性生地の伸びを拘束したい部分に、 熱可塑性エラストマー樹脂、架橋エラストマー樹脂および熱可塑性無定形樹脂か ら選ばれた少なくとも1種の樹脂が、主として前記伸縮性生地の生地を構成して いる繊維の交差する部分付近の繊維表面上に付着しており、前記伸縮性生地の伸 びを拘束したい部分の生地の目の多くは、前記樹脂により塞がれていないことを 特徴とする衣服。
【0014】 (2)熱可塑性エラストマー樹脂、架橋エラストマー樹脂および熱可塑性無定 形樹脂から選ばれた少なくとも1種の樹脂が付着している伸縮性生地の生地を構 成している繊維の交差する部分付近の繊維表面が、主として前記伸縮性生地の生 地を構成する繊維の交差する部分および当該交差部分から伸びている繊維表面に 沿った部分である前記(1)項に記載の衣服。
【0015】 (3)熱可塑性エラストマー樹脂、架橋エラストマー樹脂および熱可塑性無定 形樹脂から選ばれた少なくとも1種の樹脂が付着している伸縮性生地の生地を構 成している繊維の交差する部分付近の繊維表面が、衣服を構成する伸縮性生地の 主として裏側面の繊維表面または裏側面と前記生地の内部の繊維表面である前記 (1)または(2)項のいずれかに記載の衣服。
【0016】 (4)熱可塑性エラストマー樹脂、架橋エラストマー樹脂および熱可塑性無定 形樹脂から選ばれた少なくとも1種の樹脂の付着が、伸縮性生地の伸びを拘束し たい所定の部分内において、伸びの拘束を強く必要とする部分から伸びの拘束を 前記強く必要とする部分より小さくしたい部分に亘って密から粗に付与されてい る前記(1)〜(3)項のいずれかに記載の衣服。
【0017】 (5)熱可塑性エラストマー樹脂、架橋エラストマー樹脂および熱可塑性無定 形樹脂から選ばれた少なくとも1種の樹脂が、生地を構成する繊維の主として交 差する部分付近の繊維表面に薄膜断片状に付着している前記(1)〜(4)項の いずれかに記載の衣服。
【0018】 (6)熱可塑性エラストマー樹脂がポリウレタン系エラストマー樹脂、ナイロ ン系エラストマー樹脂およびポリエステル系エラストマー樹脂から成る群から選 ばれた少なくとも1種の樹脂である前記(1)〜(5)項のいずれかに記載の衣 服。
【0019】 (7)熱可塑性無定形樹脂がナイロン共重合体樹脂、エチレン−酢酸ビニル共 重合体樹脂、オレフィン−スチレン共重合体樹脂から成る群から選ばれた少なく とも1種の樹脂である前記(1)〜(5)項のいずれかに記載の衣服。
【0020】 (8)衣服がファンデーション類、水着類、レオタード類、パンティストッキ ング類、タイツ類から選ばれた一種である前記(1)〜(7)項のいずれかに記 載の衣服。
【0021】 (9)ファンデーション類がガードル、ブラジャー、ボディスーツ、ウエスト ニッパーから選ばれた一種である前記(8)項に記載の衣服。 (10)伸縮性生地が編物である前記(1)〜(9)項のいずれかに記載の衣 服。
【0022】
【作用】
本考案の衣服は、伸縮性生地を使用した衣服の該伸縮性生地の伸びを拘束した い部分に、熱可塑性エラストマー樹脂、架橋エラストマー樹脂および熱可塑性無 定形樹脂から選ばれた少なくとも1種の樹脂が、主として前記伸縮性生地の生地 を構成している繊維の交差する部分付近の繊維表面上に付着しているので、繊維 の交差する部分の多くは樹脂により接着されており、従って、所定部分の生地の 伸びを適度に拘束することができる。しかも伸びを拘束したい部分の生地の目の 多くは、前記樹脂により塞がれていないので、通気性に優れ、また、所定部分の 全体が樹脂で固められていないので、柔軟性を保持でき、肌触りが良好で、生地 の目の多くは、前記樹脂により塞がれていないので、すなわち樹脂が繊維の表面 に沿った形で付着しているので、あたかも繊維のみからなるような状態になり、 見栄えの低下が少なく、また、顕著な凹凸が生じず、外衣への響きがない。
【0023】 また、前記(2)項に記載したように、熱可塑性エラストマー樹脂、架橋エラ ストマー樹脂および熱可塑性無定形樹脂から選ばれた少なくとも1種の樹脂が付 着している伸縮性生地の生地を構成している繊維の交差する部分付近の繊維表面 が、主として前記伸縮性生地の生地を構成する繊維の交差する部分および当該交 差部分から伸びている繊維表面に沿った部分である本考案の好ましい態様とする ことにより、伸びを拘束するための樹脂が繊維の交差する部分だけでなく、当該 交差部分から伸びている繊維に沿った繊維表面にも付着しているので、その部分 の繊維の伸びも拘束し得る。従って、より強力な拘束力を付与したい場合に好適 である。
【0024】 また、前記(3)項に記載したように、熱可塑性エラストマー樹脂、架橋エラ ストマー樹脂および熱可塑性無定形樹脂から選ばれた少なくとも1種の樹脂が付 着している伸縮性生地の生地を構成している繊維の交差する部分付近の繊維表面 が、衣服を構成する伸縮性生地の主として裏側面の繊維表面または裏側面と前記 生地の内部の繊維表面である本考案の好ましい態様とすることにより、一般に樹 脂と繊維とは染色性が異なる場合が多いが、その場合でも衣服の表側には樹脂が ほとんど現われていないので、染色性の相違による染色むらが衣服の表側には現 れず、衣服の良好な外観を保持することができ好ましい。
【0025】 また、前記(4)項に記載したように、熱可塑性エラストマー樹脂、架橋エラ ストマー樹脂および熱可塑性無定形樹脂から選ばれた少なくとも1種の樹脂の付 着が、伸縮性生地の伸びを拘束したい所定の部分内において、伸びの拘束を強く 必要とする部分から伸びの拘束を前記強く必要とする部分より小さくしたい部分 に亘って密から粗に付与されている本考案の好ましい態様とすることにより、樹 脂の付与が密な部分から粗な部分に順次変化しているので、身体の整形がより厳 密にコントロールでき、また、それ故に必要な部分を必要な拘束力にコントロー ルしているので、身体に不必要な拘束力がかからず、より着用感の優れた衣服を 提供することができ、好ましい。
【0026】 また、前記(5)項に記載したように、熱可塑性エラストマー樹脂、架橋エラ ストマー樹脂および熱可塑性無定形樹脂から選ばれた少なくとも1種の樹脂が、 生地を構成する繊維の主として交差する部分付近の繊維表面に薄膜断片状に付着 している本考案の好ましい態様とすることにより、かかる態様の衣服は生地に所 望の形の離型紙に裏打ちされた所定のフイルムをフイルム側を生地の上に載せ熱 プレスで生地に熱接着させ、ついで離型紙をはがして且つ裏返しにして、再度熱 プレスすることにより容易に繊維の主として交差する点の近傍の繊維表面に薄膜 断片状に樹脂を付着させることができ、製造条件のコントロールがしやすく、製 造が容易であることと、付着している樹脂が薄膜断片状であるので、より肌触り が良く、着用感の優れた衣服を容易に提供でき好ましい。
【0027】 また、前記(6)項に記載したように、熱可塑性エラストマー樹脂がポリウレ タン系エラストマー樹脂、ナイロン系エラストマー樹脂およびポリエステル系エ ラストマー樹脂から成る群から選ばれた少なくとも1種の樹脂である本考案の好 ましい態様とすることにより、これらの樹脂は伸縮性生地への接着性が比較的良 好であり、かつ弾力性を有するので、衣服が着用されることにより、衣服に引張 り応力がかかった場合でもその弾力性により繊維の交差している部分に接着して いるこれらの樹脂に亀裂が入りにくく、また適度の弾力性を有するので、弾力性 のある拘束、整形作用を発揮でき、締め付け感がより緩和されやすくなり好まし い。
【0028】 また、前記(7)項に記載したように、熱可塑性無定形樹脂がナイロン共重合 体樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、オレフィン−スチレン共重合体樹 脂から成る群から選ばれた少なくとも1種の樹脂である本考案の好ましい態様と することにより、これらの樹脂は伸縮性生地への接着性が比較的良好であり、か つ比較的柔軟な樹脂であるので、衣服が着用されることにより、衣服に引張り応 力がかかった場合でもその柔軟性により繊維の交差している部分に接着している これらの樹脂に亀裂が入りにくく、良好な拘束作用を保持でき、好ましい。
【0029】 また、前記(8)項に記載したように、衣服がファンデーション類、水着類、 レオタード類、パンティストッキング類、タイツ類から選ばれた一種である本考 案の好ましい態様とすることにより、ファンデーション類、パンティストッキン グ類は、一般に身体の整形機能が必要とされる衣服であり、且つ、インナーウエ アーとして肌に近い部分で着用されるので、整形機能や良好な肌触り、着用感、 アウターウエアーへの凹凸の響きがないことなどが要求されるが、本考案の適用 によりこれらの機能が十分に発揮されやすい衣服であり、好ましい。また、水着 類、レオタード類、タイツ類については、前記整形機能のほかに、それ自身の凹 凸の外側への反映が少いことなどが要求されるが、本考案の適用によりこれらを 満足する十分な作用が発揮されやすく好ましい。また、更に水着類の場合は、水 に濡れた時に伸びを拘束するための裏打ち布や、裏打ちフイルムの様にその形状 の陰影が外側から見えてしまうと外観が低下する大きな欠点があるが、本考案の 場合は樹脂の接着が主として繊維の交差する部分や、そこから伸びている繊維の 表面に沿って接着されていて、生地の目の多くは、前記樹脂により塞がれていな いので、かかる見苦しい陰影が生じにくく、好ましい。
【0030】 また、前記(9)項に記載したように、ファンデーション類がガードル、ブラ ジャー、ボディスーツ、ウエストニッパーから選ばれた一種である本考案の好ま しい態様とすることにより、これらの衣服は特に身体の整形機能が要求され、ま た、直接肌に接するので、良好な肌触り、着用感、アウターウエアーへの響きの 少いことなどが要求されるが、本考案の適用によりこれらを満足する十分な作用 が発揮されやすくファンデーション類の中では特に好ましい機能を発揮できる。
【0031】 また、前記(10)項に記載したように伸縮性生地が編物である本考案の好ま しい態様とすることにより、編物は比較的伸縮性が大きく、本考案を適用するこ とにより、伸びや拘束力の微妙なコントロールが一層しやすく、体形の整形機能 を十分に発揮することが可能となり、好ましい。
【0032】
【実施例】
本考案で言う衣服の例としては、例えば、ブラジャー、ロングラインブラジャ ー、フィットスリップ、ガードル、ウエストニッパー、スリーインワン、ボディ スーツ、ブラスリップ、レオタード類、カップ付きドレス、水着類、パンティス トッキング類、タイツ類、イブニングドレス、スーツなどのファンデーション類 、ランジェリー類、その他の衣服が挙げられる。特にファンデーション類や水着 類、レオタード類、パンティストッキング類、タイツ類等の肌に直接接する衣服 類や、外衣の下に着用し、美容上の観点から身体の整形機能をもたせた衣服類に 適用すると好適である。
【0033】 図1は本考案の衣服であるガードルの一例を示す前面側の概念斜視図である。 1がガードル本体、2が腹部の膨出を押さえるためにガードルの伸縮性生地の 伸びを拘束したい部分であり、前記生地の裏側から熱可塑性エラストマー樹脂、 架橋エラストマー樹脂および熱可塑性無定形樹脂から選ばれた少なくとも1種の 樹脂が、主として前記伸縮性生地の生地を構成している繊維の交差する部分付近 の繊維表面上に付着している状態を概念的に示したものである。以下、樹脂付与 部分と言う。2の樹脂付与部分により、腹部の膨出を抑制している。
【0034】 図2は図1のガードルを斜め後ろから見た概念斜視図である。 樹脂付与部分3で示した部分の下臀部に相当する部分に樹脂が付与されており 、この樹脂付与部分3でヒップアップ機能を持たせている。
【0035】 図3は、前記伸縮性生地が編物の場合の、樹脂付与部分を拡大した部分概念平 面図の一例を示すものである。 6が伸縮性生地を構成する繊維を示し、7が生地の目を示している。8は繊維 6の交差する部分付近の繊維6表面上に付着している熱可塑性エラストマー樹脂 、架橋エラストマー樹脂および熱可塑性無定形樹脂から選ばれた少なくとも1種 の樹脂を示している。(但し、この図では、理解を容易にするために、樹脂の付 着した部分の下側の繊維もあたかも見えるかのように描いたものである。) この図に示されるように、繊維6の交差する部分付近の繊維6表面上に前記樹 脂8が付着しており、生地の目7の多くは、前記樹脂8により塞がれていないの で、良好な通気性が保持できる。もちろん、樹脂付与部分の生地の目7すべてが 、塞がれていない状態である必要はなく、半数以上の目が塞がれていなければか なり良好な通気性を保持できる。
【0036】 図4は、前記伸縮性生地(編物)の、樹脂付与部分を拡大した別の態様の部分 概念平面図の一例を示すものである。 6が伸縮性生地を構成する繊維を示し、7が生地の目を示している。8は繊維 6の交差する部分付近の繊維6表面上に付着している熱可塑性エラストマー樹脂 、架橋エラストマー樹脂および熱可塑性無定形樹脂から選ばれた少なくとも1種 の樹脂を示している。また、9は前記伸縮性生地の生地を構成する繊維の交差す る部分から伸びている繊維表面に沿って前記樹脂が付着している部分を概念的に 示したものである。一部10で示したように樹脂が付着されていない部分があっ ても差支えない。(但し、この図では、樹脂が付着している部分は一部のみ記載 し、他は省略してあるが、他の部分についてもほぼ同様である。また、理解を容 易にするために、樹脂の付着した部分の下側の繊維もあたかも見えるかのように 描いたものである。) この図から理解されるように、繊維6の交差する部分付近の繊維6表面上に前 記樹脂8が付着しており、更にこの例の場合には、生地を構成する繊維の交差す る部分から伸びている繊維表面に沿っても前記樹脂9が付着している事によりこ の樹脂付着部分9によってもこの部分の繊維の伸びが抑制されて、より強い拘束 力を付与したい場合に好適である。もちろん、前述したように生地の目7の多く は、前記樹脂8により塞がれていないので、良好な通気性が保持できる。しかし 、樹脂付与部分の生地の目7すべてが、塞がれていない状態である必要はなく、 半数以上の目が塞がれていなければかなり良好な通気性を保持できる。
【0037】 図10は、前記伸縮性生地が織物の場合の、樹脂付与部分を拡大した部分概念 平面図の一例を示すものである。 16が伸縮性生地を構成する繊維を示し、17が生地の目を示している。18 は繊維16の交差する部分付近の繊維16表面上に付着している熱可塑性エラス トマー樹脂、架橋エラストマー樹脂および熱可塑性無定形樹脂から選ばれた少な くとも1種の樹脂を示している。(但し、この図では、理解を容易にするために 、樹脂の付着した部分の下側の繊維もあたかも見えるかのように描いたものであ る。) この図に示されるように、繊維16の交差する部分付近の繊維16表面上に前 記樹脂18が付着しており、生地の目17の多くは、前記樹脂18により塞がれ ていないので、良好な通気性が保持できる。もちろん、樹脂付与部分の生地の目 17すべてが、塞がれていない状態である必要はなく、半数以上の目が塞がれて いなければかなり良好な通気性を保持できる事は前述の場合と同様である。
【0038】 図11は、前記伸縮性生地(織物)の、樹脂付与部分を拡大した別の態様の部 分概念平面図の一例を示すものである。 16が伸縮性生地を構成する繊維を示し、17が生地の目を示している。18 は繊維16の交差する部分付近の繊維16表面上に付着している熱可塑性エラス トマー樹脂、架橋エラストマー樹脂および熱可塑性無定形樹脂から選ばれた少な くとも1種の樹脂を示している。また、19は前記伸縮性生地の生地を構成する 繊維の交差する部分から伸びている繊維表面に沿って前記樹脂が付着している部 分を概念的に示したものである。一部20で示したように樹脂が付着されていな い部分があっても差支えない。(但し、この図では、樹脂が付着している部分は 一部のみ記載し、他は省略してあるが、他の部分についてもほぼ同様である。ま た、理解を容易にするために、樹脂の付着した部分の下側の繊維もあたかも見え るかのように描いたものである。) この図11から理解されるように、繊維16の交差する部分付近の繊維16表 面上に前記樹脂18が付着しており、更にこの例の場合には、生地を構成する繊 維の交差する部分から伸びている繊維表面に沿っても前記樹脂19が付着してい る事によりこの樹脂付着部分19によってもこの部分の繊維の伸びが抑制されて 、より強い拘束力を付与したい場合に好適である。もちろん、前述したように生 地の目17の多くは、前記樹脂18により塞がれていないので、良好な通気性が 保持できる。しかし、樹脂付与部分の生地の目17すべてが、塞がれていない状 態である必要はなく、半数以上の目が塞がれていなければかなり良好な通気性を 保持できる事は、前述の場合と同様である。
【0039】 以上は、本考案の樹脂の付着状態の一例を説明するために示した編み組織、織 り組織の例であり、本考案の伸縮性生地は、この組織のものに限定されるもので はなく、通常それぞれの衣服に用いられている各種の伸縮性生地に適用できるこ とは持ち論である。
【0040】 伸縮性生地の例としては、特に限定するものではないがとしては、例えば、パ ワーネット、ベアー天竺、ベアーフライス、ツーウェイトリコットまたはトリコ ネットなどの伸縮性編物や、伸縮性織物、不織布等がが挙げられ、中でもポリウ レタン弾性繊維を含有するポリアミド繊維やポリエステル繊維、更に必要に応じ て木綿を混入した編物が一般的には好ましく用いられている。
【0041】 伸縮性生地を構成する繊維としては、生地の組織に応じて伸縮性が発揮できる ようにそれぞれの生地組織に応じて繊維を選定すればよく、例えば、ポリアミド 系繊維、ポリエステル系繊維、ポリオレフィン系繊維、アクリル系繊維、ビニロ ン繊維、ポリウレタン系弾性繊維、レーヨン、アセテート繊維、獣毛繊維、絹、 木綿その他各種の合成繊維、半合成繊維、天然繊維など、またはこれらを混合し て用いることができる。前述したように特にポリウレタン系弾性繊維その他の弾 力性を有する繊維を混合ないし併用して用いると伸縮性が良好になり好ましい。 そのうちでも特に、ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、木綿等の繊維とポ リウレタン系弾性繊維の併用が好ましい。
【0042】 本考案の、前述したような特定の部分に樹脂を付与するための方法としては、 特に限定するものではないが、いくつかの方法があげられる。 その内の1つが熱プレスによる方法である。図5に熱プレス機の一例の側面概 念図を示した。図5に示した熱プレス機は、下側部分が蓄熱のための発泡シリコ ンゴム層51とその上に積層されたシリコンゴム層52とからなり、上側の蓋部 分53は、ヒーターが内蔵された金属蓋で、金属蓋53の下側面には、離型性を よくするために、弗素樹脂などのコーティング層54が設けられている。
【0043】 このような熱プレス機のシリコンゴム層52の上に所定の伸縮性生地55を載 せ、離型紙の上に形成された前記樹脂のフイルム56を、フイルム側が伸縮性生 地に接するように重ね合わせ、前記フイルムの軟化点以上で、生地を構成する繊 維の軟化点ないし分解点以下の温度で加熱プレスする事により、フイルムが生地 に熱接着されて転写される。次いで、離型紙を剥がし、且つ生地を裏返して、も う一度同様に熱プレスすることにより、生地に付着していた主として生地の目の 部分に付着していたフイルムを構成する樹脂が、熱プレス機の下側のシリコンゴ ム層52に付着して取り除かれる。こうすることにより、前述した、熱可塑性エ ラストマー樹脂、架橋エラストマー樹脂および熱可塑性無定形樹脂から選ばれた 少なくとも1種の樹脂が、生地を構成する繊維の主として交差する部分付近の繊 維表面に薄膜断片状に付着している状態を達成することができる。
【0044】 熱プレスの温度としては、前述の温度範囲で用いられるが、特に120℃〜2 00℃程度の範囲でプレス圧は0.05〜5Kg/cm2 程度で、生地を構成す る繊維の種類と、用いる樹脂フイルムの軟化点などを考慮して適宜の条件とする のがよい。後述する実施例では、離型紙上に形成されたポリウレタンエラストマ ー樹脂フイルム(ダイセル化学工業株式会社製“サーモライト6501”、フイ ルム層の厚さ30μm)を用いた場合に、170℃、圧力0.7Kg/cm2 で 、12秒間の熱プレスを行ない、離型紙をはがして、ポリウレタンエラストマー 樹脂フイルムが転写された生地を裏返し、再度同一の条件で熱プレスした。
【0045】 尚、熱ロールプレスでプレスする場合も同様に適用できるが、この場合は、ロ ールによるプレス圧を線圧で加えるタイプのものは、前記熱プレスの場合よりお よそ10倍程度高い圧力にすることが好ましい。
【0046】 このようにフイルムを用いる場合には、フイルムの厚さとしては、フイルムを 構成する樹脂の種類によって異なるし、またどの程度の拘束力を付与したいかな どの目的によっても異なるが、例えば10〜70μmのような比較的薄いフイル ムを用いることが、所望の状態で、樹脂を付着できるので好ましい。
【0047】 また、フイルムの代わりに、同様の樹脂で離型紙の上に形成された薄い不織布 状物またはネット状物、その他適宜の形状の樹脂を用いて熱プレスする方法も好 ましい。この場合は熱転写後フイルムの場合のように特に裏返して再度熱プレス することは必須ではない。この場合の不織布状物またはネット状物の目付につい ては樹脂の種類によって異なるし、またどの程度の拘束力を付与したいかなどの 目的によっても異なるので、特に限定するものではないが、例えば目付10〜1 00g/m2 程度のものが用いられる。
【0048】 更に、同様に離型紙の上にドット状に樹脂を付けておき、同様に熱プレスする 方法や、伸縮性生地上に直接前記樹脂をドット状に載せるか、ネット状物、不織 布状物、その他適宜の形状の樹脂を載せて熱プレスする方法も採用できる。これ らの場合、樹脂が軟化ないしは溶融して、主として繊維の交差する部分にも集ま りやすくなるものと考えられる。
【0049】 また、前記樹脂の不織布状物を伸縮性生地の上に重ねて、例えば空気や水など のジェット噴流をその上から吹き付けて不織布状物を構成する樹脂の繊維を前記 伸縮性生地に絡ませて、次いで熱プレスする方法も採用できる。
【0050】 以上のように、樹脂を熱により軟化ないしは溶融させる方法を採用する場合に は、前記樹脂のうち架橋がされていないか、架橋されていても生地を構成する繊 維の軟化点ないし分解点より低い温度で熱により軟化ないしは溶融するような樹 脂を選定して用いることが好ましい。
【0051】 更に前記樹脂の溶液またはエマルジョンを伸縮性生地の上に噴霧し、乾燥並び に必要に応じて熱処理する方法も採用できる。噴霧する際には、樹脂付与部分の パターンに応じた部分に穴の開いたスクリーンを生地の上に重ねておいて噴霧す る方法が好ましい。但し、噴霧による方法を採用する場合、あまり多量に噴霧し すぎると、生地の目が塞がれてしまうので、用いる生地の種類によって、噴霧す る量をコントロールすることも必要である。このように生地に噴霧された樹脂溶 液またはエマルジョンは、表面張力、毛細管現象とマイグレーションにより、徐 々に生地の繊維の交差する部分に集まりやすくなり、主として前記伸縮性生地の 生地を構成する繊維の交差する部分および当該交差部分から伸びている繊維表面 に沿った部分に前記樹脂が付着した構造とすることができるものと考えられる。
【0052】 尚、特に樹脂溶液またはエマルジョンを伸縮性生地の上に噴霧する方法を用い る場合には、噴霧した後、熱風などを生地の上から吹き付けて生地の目に熱風を 通して熱処理するなどの方法を採用すると、確実に、且つ、容易に生地の目を塞 ぐことなく処理が行なえるので好ましい。
【0053】 付与する樹脂としては、熱可塑性エラストマー樹脂、架橋エラストマー樹脂お よび熱可塑性無定形樹脂から選ばれた少なくとも1種の樹脂を用いることが必要 であり、これらの樹脂は一般に柔らかく、応力に対しある程度柔軟に対応できる 性質を有する。特に熱可塑性エラストマー樹脂や架橋エラストマー樹脂は、弾力 性を有するので、これらの性質が優れている。通常の結晶性樹脂を用いたり、熱 硬化性樹脂を用いると、衣服着用時や洗濯時などに生地に応力が掛かった場合に 繊維の交差する部分を接着している樹脂に亀裂が生じたり、樹脂の剥離が生ずる ので好ましくないし、一般的にこのような樹脂を付与した場合には、ゴワゴワし た感じが強くなる傾向にあり、着用感も低下する場合が多い。
【0054】 熱可塑性エラストマー樹脂、架橋エラストマー樹脂、熱可塑性無定形樹脂とし ては、衣服の生地に付与する場合、加熱プレスなど熱処理を伴なう加工法で付与 する場合も考慮すると、その軟化点あるいは融点が生地を構成する繊維の軟化点 ないし分解点以下の温度であるものが好ましく、特に軟化点あるいは融点が11 0〜170℃程度のものが好ましい。
【0055】 熱可塑性エラストマー樹脂としては、例えば“サーモライト6501”(ダイ セル化学工業株式会社製)等のポリウレタン系エラストマー樹脂、“ハイトレル ”(東レ株式会社製)等のポリエステル系エラストマー樹脂(例えばポリブチレ ンテレフタレートブロック共重合体などを含む)、ナイロン系エラストマー樹脂 (例えばポリエステル−ナイロンブロック共重合体エラストマー樹脂などを含む )、ポリオレフィン系エラストマー樹脂などが代表的なものである。これらの熱 可塑性エラストマー樹脂は、本考案の目的を阻害しない範囲で架橋されていても よい。
【0056】 また、熱可塑性無定形樹脂としては、ナイロン−12共重合体樹脂、エチレン −酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−プロピレンランダム共重合体、“TPE ”(住友化学工業株式会社製)等のオレフィン−スチレン共重合体樹脂等が挙げ られる。これらの熱可塑性無定形樹脂は、本考案の目的を阻害しない範囲で化学 架橋や物理的架橋を含んでいてもよい。また、架橋エラストマー樹脂としては、 例えば、エチレン−プロピレンゴム、スチレン−ブタジンゴム、ネオプレン−ブ チレン−スチレンゴム、シリコーンゴムなどの合成ゴム、天然ゴム等が挙げられ る。
【0057】 これらの樹脂の付与は、衣服の生地の裏側に施されるのが染色した時の外観な どの点からは好ましいが、必要に応じて、表側ないしは、含浸ないし溶融した樹 脂が一方の側から他方の側に浸み出たり、場合によっては両側に施してもよい。
【0058】 図6は、本考案の衣服である水着の一例を示す前面側の概念斜視図である。 61が水着本体、62が腹部の膨出を押さえるために水着の伸縮性生地の伸び を拘束するための、前述したような生地の裏側から熱可塑性エラストマー樹脂、 架橋エラストマー樹脂および熱可塑性無定形樹脂から選ばれた少なくとも1種の 樹脂が施された、樹脂付与部分を示したものである。
【0059】 図7は図6の水着61を斜め後ろから見た概念斜視図である。 樹脂付与部分63で示した部分の下臀部に相当する部分に樹脂が付与されてお り、この樹脂付与部分63でヒップアップ機能を持たせている。
【0060】 図8は本考案の衣服である水着の別の態様の一例を示す前面側の概念斜視図で ある。 81が水着本体、82が腹部の膨出を押さえるために水着の伸縮性生地の裏側 から施された樹脂付与部分を示したものである。この例の場合には、樹脂付与部 分82が下から上に密な状態から粗な状態になるパターンで付与されており、そ れによる拘束力を樹脂付与の面積の密度の大小によりコントロールしている。
【0061】 図8では下部が樹脂付与面積の大きいパターンで、密になっており、上部が帯 状のパターンで粗に付与された樹脂付与部分82となっており、従って、下腹部 側の方が拘束力が強く、上腹部側は拘束力が弱められている。
【0062】 尚、拘束力をこの様にグラデーションをつけて次第に強くしたり、弱くしたり するには、上記の例で示した樹脂付与面積の密度の大小による以外に、樹脂付与 量の密度をコントロールする方法によってもよい。
【0063】 次に図9は本考案の衣服としてのブラジャーの場合の例を示す概念斜視図であ る。 90はブラジャー本体、92はカップ脇部に付与された樹脂付与部分であり、 91はカップ下辺近傍に付与された樹脂付与部分である。
【0064】 樹脂付与部分92の脇部の樹脂付与のパターンは大きく密になっており、樹脂 付与部分91はカップの下から上に向かって順次細い帯状のパターンになり、い わゆる粗な状態になっており、拘束力が順次小さくなっている。
【0065】 この様なパターンの樹脂が付与されることにより、脇部の贅肉の膨出を押さえ 、また、カップ下辺部の拘束力より順次上方に向かうに従って拘束力が弱められ ているので、バストアップに不必要な箇所を脇部と同じような強い拘束力で拘束 していないので拘束力の微妙な変化により、美しいバストの整形が可能となる。
【0066】 次に図12は本考案の衣服としてのブラジャーの場合の別の実施態様を示す概 念斜視図である。 21はブラジャー本体、22はカップ上縁部に付与された樹脂付与部分、23 はカップ側縁部に付与された樹脂付与部分、24は土台布上縁部に付与された樹 脂付与部分、25は土台布下縁部に付与された樹脂付与部分である。
【0067】 また図13は本考案の衣服としてのガードルの場合の別の実施態様を示す概念 斜視図である。 27はガードル本体、28はガードルのウエスト部分に付与された樹脂付与部 分、29はガードルの裾部分に付与された樹脂付与部分である。
【0068】 図12、図13に示されるように、衣服の端部分に於いて、その部分の伸びの 拘束に加えて、この部分がうねったり、反り返ったりするのを防いだり、断ち端 の処理なども兼ねた応用が可能であり、通常これらの部分は、従来ゴムテープや ワイヤーなどの縫い付けにより伸びの拘束を行なっていたような部分に相当する 。また、伸びの拘束作用と共に、隣接する生地の重なりを一緒にしたり、つなげ たりすることも可能となる。
【0069】 以上、本考案の具体例として、ガードル、ブラジャー、水着を例にとって説明 したが、本考案はこれらのみに限定されるものではなく、その他、例えば、ロン グラインブラジャー、フィットスリップ、ウエストニッパー、スリーインワン、 ボディスーツ、ブラスリップ、レオタード類、パンティストッキング類、タイツ 類、カップ付きドレス、イブニングドレス、スーツなどのファンデーション類や その他美容上の観点から身体の整形機能をもたせた衣服類等に好適に適用できる 。
【0070】 実施例1 離型紙上に形成されたポリウレタンエラストマー樹脂フイルム(ダイセル化学 工業株式会社製“サーモライト6501”、フイルム層の厚さ30μm)を図1 、図2に示されたような樹脂付与パターンに対応する形に切り取り、それぞれ所 定部分に対応するナイロン繊維とポリウレタン繊維からなるパワーネット編物か らなる生地の上にポリウレタンエラストマー樹脂フイルム側が生地に接するよう に載せ、図5に示したような熱プレス機を用いて、170℃、圧力0.7Kg/ cm2 で、12秒間の熱プレスを行ない、ポリウレタンエラストマー樹脂フイル ムを生地に熱接着させ、次いで離型紙をはがして、ポリウレタンエラストマー樹 脂フイルムが転写された生地を裏返し、再度同一の条件で熱プレスした。
【0071】 得られた生地を、縫製して図1、図2で示したようなガードルを作成した。 このガードルの樹脂付与部分を顕微鏡で観察すると、生地を構成する繊維の主 として交差する部分付近の繊維表面にポリウレタンエラストマー樹脂が薄膜断片 状に付着しており、編物の目の大部分は、ポリウレタンエラストマー樹脂によっ て塞がれていないことが観察された。 得られたガードルは、良好な通気性、肌触りを保ち、着用感が良好で、かつ樹 脂の付与された部分が目立ちにくく、見栄えの低下が少なく、また、凹凸による 外衣への響きがなく、かつ良好な腹部の膨出抑制機能とヒップアップ機能を備え ていた。
【0072】
【考案の効果】
本考案は、良好な通気性、肌触りを保ち、着用感が良好で、かつ樹脂の付与さ れた部分が目立ちにくく、見栄えの低下が少なく、また、凹凸による外衣への響 きがなく、かつ衣服の所定部分の伸びを拘束し身体の整形効果を発揮し得る衣服 を提供できる。
【0073】 また、熱可塑性エラストマー樹脂、架橋エラストマー樹脂および熱可塑性無定 形樹脂から選ばれた少なくとも1種の樹脂が付着している伸縮性生地の生地を構 成している繊維の交差する部分付近の繊維表面が、主として前記伸縮性生地の生 地を構成する繊維の交差する部分および当該交差部分から伸びている繊維表面に 沿った部分である本考案の好ましい態様とすることにより、より強力な拘束力を 付与したい場合に好適な衣服を提供できる。
【0074】 また、熱可塑性エラストマー樹脂、架橋エラストマー樹脂および熱可塑性無定 形樹脂から選ばれた少なくとも1種の樹脂が付着している伸縮性生地の生地を構 成している繊維の交差する部分付近の繊維表面が、衣服を構成する伸縮性生地の 主として裏側面の繊維表面または裏側面と前記生地の内部の繊維表面である本考 案の好ましい態様とすることにより、染色むらが衣服の表側には現れない、良好 な外観を有する保持する衣服を提供できる。
【0075】 また、熱可塑性エラストマー樹脂、架橋エラストマー樹脂および熱可塑性無定 形樹脂から選ばれた少なくとも1種の樹脂の付着が、伸縮性生地の伸びを拘束し たい所定の部分内において、伸びの拘束を強く必要とする部分から伸びの拘束を 前記強く必要とする部分より小さくしたい部分に亘って密から粗に付与されてい る本考案の好ましい態様とすることにより、身体の整形がより厳密にコントロー ルでき、また、それ故に必要な部分を必要な拘束力にコントロールしているので 、身体に不必要な拘束力がかからず、より着用感の優れた衣服を提供することが できる。
【0076】 また、熱可塑性エラストマー樹脂、架橋エラストマー樹脂および熱可塑性無定 形樹脂から選ばれた少なくとも1種の樹脂が、生地を構成する繊維の主として交 差する部分付近の繊維表面に薄膜断片状に付着している本考案の好ましい態様と することにより、容易に繊維の主として交差する点の近傍の繊維表面に薄膜断片 状に樹脂を付着させることができ、製造条件のコントロールがしやすく、製造が 容易であることと、付着している樹脂が薄膜断片状であるので、より肌触りが良 く、着用感の優れた衣服を容易に提供できる。
【0077】 また、熱可塑性エラストマー樹脂がポリウレタン系エラストマー樹脂、ナイロ ン系エラストマー樹脂およびポリエステル系エラストマー樹脂から成る群から選 ばれた少なくとも1種の樹脂である本考案の好ましい態様とすることにより、こ れらの樹脂は伸縮性生地への接着性が比較的良好であり、かつ弾力性を有するの で、衣服が着用されることにより、衣服に引張り応力がかかった場合でもその弾 力性により繊維の交差している部分に接着しているこれらの樹脂に亀裂が入りに くく、また適度の弾力性を有するので、弾力性のある拘束、整形作用を発揮でき 、締め付け感がより緩和されやすい衣服が提供できる。
【0078】 また、熱可塑性無定形樹脂がナイロン共重合体樹脂、エチレン−酢酸ビニル共 重合体樹脂、オレフィン−スチレン共重合体樹脂から成る群から選ばれた少なく とも1種の樹脂である本考案の好ましい態様とすることにより、これらの樹脂は 伸縮性生地への接着性が比較的良好であり、かつ比較的柔軟な樹脂であるので、 衣服が着用されることにより、衣服に引張り応力がかかった場合でもその柔軟性 により繊維の交差している部分に接着しているこれらの樹脂に亀裂が入りにくく 、良好な拘束作用を保持できる衣服が提供できる。好ましい。
【0079】 また、衣服がファンデーション類、水着類、レオタード類、パンティストッキ ング類、タイツ類から選ばれた一種である本考案の好ましい態様とすることによ り、整形機能や良好な肌触り、着用感を有し、特にファンデーション類、パンテ ィストッキング類においては更にアウターウエアーへの凹凸の響きがない本考案 の機能が十分に発揮されやすい衣服を提供できる。更に水着類、レオタード類、 タイツ類においてはそれ自身の凹凸の外側への反映が少い本考案の機能が十分発 揮される衣服を提供できる。また更に、水着の場合は、水に濡れた時に樹脂付与 部分の陰影が表側から見えにくく、外観の優れた水着を提供できる。
【0080】 また、ファンデーション類がガードル、ブラジャー、ボディスーツ、ウエスト ニッパーから選ばれた一種である本考案の好ましい態様とすることにより、十分 な身体の整形機能、良好な肌触り、着用感を有し、アウターウエアーへの響きが 少ない本考案の機能が十分に発揮されやすい衣服を提供できる。
【0081】 また、伸縮性生地が編物である本考案の好ましい態様とすることにより、伸び や拘束力の微妙なコントロールが一層しやすく、体形の整形機能を十分に発揮す ることが可能な衣服を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の一実施例のガードルを示す前面側の概
念斜視図である。
【図2】本考案の一実施例のガードルの斜め後ろから見
た概念斜視図である。
【図3】伸縮性生地の、樹脂付与部分を拡大した一例の
部分概念平面図である。
【図4】伸縮性生地の、樹脂付与部分を拡大した別の一
例の部分概念平面図である。
【図5】熱プレス機の一例の側面概念図である。
【図6】本考案の一実施例の水着の前面側の概念斜視図
である。
【図7】本考案の一実施例の水着の後部側の概念斜視図
である。
【図8】本考案の別の一実施例の水着の前面側の概念斜
視図である。
【図9】本考案の一実施例のブラジャーの概念斜視図で
ある。
【図10】伸縮性生地の、樹脂付与部分を拡大した一例
の部分概念平面図である。
【図11】伸縮性生地の、樹脂付与部分を拡大した別の
一例の部分概念平面図である。
【図12】本考案の一実施例のブラジャーの概念斜視図
である。
【図13】本考案の一実施例のガードルの概念斜視図で
ある。
【図14】従来のガードルの概念斜視図である。
【符号の説明】
1 ガードル本体 2 伸縮性生地の伸びを拘束したい部分 3 樹脂付与部分 6 伸縮性生地を構成する繊維 7 生地の目 8 熱可塑性エラストマー樹脂、架橋エラストマー樹脂
および熱可塑性無定形樹脂から選ばれた少なくとも1種
の樹脂 9 熱可塑性エラストマー樹脂、架橋エラストマー樹脂
および熱可塑性無定形樹脂から選ばれた少なくとも1種
の樹脂 10 樹脂が付着されていない部分 16 伸縮性生地を構成する繊維 17 生地の目 18 熱可塑性エラストマー樹脂、架橋エラストマー樹
脂および熱可塑性無定形樹脂から選ばれた少なくとも1
種の樹脂 19 熱可塑性エラストマー樹脂、架橋エラストマー樹
脂および熱可塑性無定形樹脂から選ばれた少なくとも1
種の樹脂 20 樹脂が付着されていない部分 21 ブラジャー本体 22 樹脂付与部分 23 樹脂付与部分 24 樹脂付与部分 25 樹脂付与部分 27 ガードル本体 28 樹脂付与部分 29 樹脂付与部分 51 発泡シリコンゴム層 52 シリコンゴム層 53 金属蓋 54 弗素樹脂コーティング層 55 伸縮性生地 56 離型紙の上に形成された樹脂のフイルム 61 水着本体 62 樹脂付与部分 63 樹脂付与部分 81 水着本体 82 樹脂付与部分 90 ブラジャー本体 91 カップ下辺近傍に付与された樹脂付与部分 92 カップ脇部に付与された樹脂付与部分 100 ガードル本体 101 伸縮性の小さい生地
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A41D 31/00 H D06M 15/00 // D06M 23/16

Claims (10)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 伸縮性生地を使用した衣服の該伸縮性生
    地の伸びを拘束したい部分に、熱可塑性エラストマー樹
    脂、架橋エラストマー樹脂および熱可塑性無定形樹脂か
    ら選ばれた少なくとも1種の樹脂が、主として前記伸縮
    性生地の生地を構成している繊維の交差する部分付近の
    繊維表面上に付着しており、前記伸縮性生地の伸びを拘
    束したい部分の生地の目の多くは、前記樹脂により塞が
    れていないことを特徴とする衣服。
  2. 【請求項2】 熱可塑性エラストマー樹脂、架橋エラス
    トマー樹脂および熱可塑性無定形樹脂から選ばれた少な
    くとも1種の樹脂が付着している伸縮性生地の生地を構
    成している繊維の交差する部分付近の繊維表面が、主と
    して前記伸縮性生地の生地を構成する繊維の交差する部
    分および当該交差部分から伸びている繊維表面に沿った
    部分である請求項1に記載の衣服。
  3. 【請求項3】 熱可塑性エラストマー樹脂、架橋エラス
    トマー樹脂および熱可塑性無定形樹脂から選ばれた少な
    くとも1種の樹脂が付着している伸縮性生地の生地を構
    成している繊維の交差する部分付近の繊維表面が、衣服
    を構成する伸縮性生地の主として裏側面の繊維表面また
    は裏側面と前記生地の内部の繊維表面である請求項1ま
    たは2に記載の衣服。
  4. 【請求項4】 熱可塑性エラストマー樹脂、架橋エラス
    トマー樹脂および熱可塑性無定形樹脂から選ばれた少な
    くとも1種の樹脂の付着が、伸縮性生地の伸びを拘束し
    たい所定の部分内において、伸びの拘束を強く必要とす
    る部分から伸びの拘束を前記強く必要とする部分より小
    さくしたい部分に亘って密から粗に付与されている請求
    項1〜3のいずれかに記載の衣服。
  5. 【請求項5】 熱可塑性エラストマー樹脂、架橋エラス
    トマー樹脂および熱可塑性無定形樹脂から選ばれた少な
    くとも1種の樹脂が、生地を構成する繊維の主として交
    差する部分付近の繊維表面に薄膜断片状に付着している
    請求項1〜4のいずれかに記載の衣服。
  6. 【請求項6】 熱可塑性エラストマー樹脂がポリウレタ
    ン系エラストマー樹脂、ナイロン系エラストマー樹脂お
    よびポリエステル系エラストマー樹脂から成る群から選
    ばれた少なくとも1種の樹脂である請求項1〜5のいず
    れかに記載の衣服。
  7. 【請求項7】 熱可塑性無定形樹脂がナイロン共重合体
    樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、オレフィン
    −スチレン共重合体樹脂から成る群から選ばれた少なく
    とも1種の樹脂である請求項1〜5のいずれかに記載の
    衣服。
  8. 【請求項8】 衣服がファンデーション類、水着類、レ
    オタード類、パンティストッキング類、タイツ類から選
    ばれた一種である請求項1〜7のいずれかに記載の衣
    服。
  9. 【請求項9】 ファンデーション類がガードル、ブラジ
    ャー、ボディスーツウエストニッパーから選ばれた一種
    である請求項8に記載の衣服。
  10. 【請求項10】 伸縮性生地が編物である請求項1〜9
    のいずれかに記載の衣服。
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