JPH06337047A - 遊星変速装置 - Google Patents
遊星変速装置Info
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- JPH06337047A JPH06337047A JP5124363A JP12436393A JPH06337047A JP H06337047 A JPH06337047 A JP H06337047A JP 5124363 A JP5124363 A JP 5124363A JP 12436393 A JP12436393 A JP 12436393A JP H06337047 A JPH06337047 A JP H06337047A
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- ring gear
- gear
- locking member
- planetary
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 負荷の大小に応じた自動変速がスムーズにな
される。 【構成】 リングギア31,32にかかる負荷に応じて
遊星機構の軸方向に移動してリングギアを切り換える選
択係止部材7は、一方のリングギア31と係合してこの
リングギアの回転を阻止する第1の係止部材71と、他
方のリングギア32に係合してこのリングギアの回転を
阻止する第2の係止部材72と、遊星機構の軸方向にス
ライド自在であり且つ上記軸方向に共にスライド自在と
なっている第1の係止部材と第2の係止部材の両者を遊
星機構の軸方向において保持するとともに両係止部材の
遊星機構の周方向における個別の微小移動を許している
スライダー73とからなる。またリングギアの係合部間
には、中立域を設ける。
される。 【構成】 リングギア31,32にかかる負荷に応じて
遊星機構の軸方向に移動してリングギアを切り換える選
択係止部材7は、一方のリングギア31と係合してこの
リングギアの回転を阻止する第1の係止部材71と、他
方のリングギア32に係合してこのリングギアの回転を
阻止する第2の係止部材72と、遊星機構の軸方向にス
ライド自在であり且つ上記軸方向に共にスライド自在と
なっている第1の係止部材と第2の係止部材の両者を遊
星機構の軸方向において保持するとともに両係止部材の
遊星機構の周方向における個別の微小移動を許している
スライダー73とからなる。またリングギアの係合部間
には、中立域を設ける。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は遊星機構を利用して変速
を行なう遊星変速装置、殊に負荷の大小に応じて変速を
自動的に行う遊星変速装置に関するものである。
を行なう遊星変速装置、殊に負荷の大小に応じて変速を
自動的に行う遊星変速装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】遊星変速装置として、複数の遊星機構を
軸方向に並べてこれら遊星機構における複数の部材の回
転拘束を選択的に行なうことによって、いずれも1:1
ではない複数の変速比を得られるようにしたものがあ
る。このような遊星変速装置を用いた電動工具では、ね
じ締めや孔明け作業に際して、初期作業を低トルク高速
回転で行い、最終的な作業は高トルク低速回転で行うこ
とができるために、作業効率を高める結果となる。
軸方向に並べてこれら遊星機構における複数の部材の回
転拘束を選択的に行なうことによって、いずれも1:1
ではない複数の変速比を得られるようにしたものがあ
る。このような遊星変速装置を用いた電動工具では、ね
じ締めや孔明け作業に際して、初期作業を低トルク高速
回転で行い、最終的な作業は高トルク低速回転で行うこ
とができるために、作業効率を高める結果となる。
【0003】ここにおいて、特開昭63−186054
号公報には、負荷の大小に応じた上記変速、つまり低負
荷時には低トルク高速回転とし、高負荷時には高トルク
低速回転とする変速を自動的に行う遊星変速装置が示さ
れている。これは、サンギアとこれに噛み合う遊星ギア
及びサンギアと同心で遊星ギアが噛み合っているリング
ギアからなる遊星機構を軸方向に複数個設けるととも
に、各遊星機構における遊転自在とされたリングギアの
なかの一つの回転を選択的に阻止する選択係止部材を設
けるとともに、この選択係止部材が、リングギアにかか
る負荷に応じて移動して回転を阻止するリングギアが切
り換えられるようにしたものとして形成されている。
号公報には、負荷の大小に応じた上記変速、つまり低負
荷時には低トルク高速回転とし、高負荷時には高トルク
低速回転とする変速を自動的に行う遊星変速装置が示さ
れている。これは、サンギアとこれに噛み合う遊星ギア
及びサンギアと同心で遊星ギアが噛み合っているリング
ギアからなる遊星機構を軸方向に複数個設けるととも
に、各遊星機構における遊転自在とされたリングギアの
なかの一つの回転を選択的に阻止する選択係止部材を設
けるとともに、この選択係止部材が、リングギアにかか
る負荷に応じて移動して回転を阻止するリングギアが切
り換えられるようにしたものとして形成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来例に
おける選択係止部材は、一方のリングギアに係合してこ
のリングギアの回転を止める部分と、他のリングギアに
係合してこのリングギアの回転を止める部分とが一体
に、あるいは単一の部材として形成されているために、
選択係止部材が負荷の大小に応じて移動して回転を止め
るリングギアを切り換える時、両リングギアと同時に係
合してモータをロックさせてしまうことがある。
おける選択係止部材は、一方のリングギアに係合してこ
のリングギアの回転を止める部分と、他のリングギアに
係合してこのリングギアの回転を止める部分とが一体
に、あるいは単一の部材として形成されているために、
選択係止部材が負荷の大小に応じて移動して回転を止め
るリングギアを切り換える時、両リングギアと同時に係
合してモータをロックさせてしまうことがある。
【0005】本発明はこのような点に鑑み為されたもの
であり、その目的とするところは負荷の大小に応じた自
動変速をスムーズに行うことができる遊星変速装置を提
供するにある。
であり、その目的とするところは負荷の大小に応じた自
動変速をスムーズに行うことができる遊星変速装置を提
供するにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】しかして本発明は、サン
ギアとこれに噛み合う遊星ギア及びサンギアと同心で遊
星ギアが噛み合っているリングギアからなる遊星機構を
軸方向に複数個設けて、各遊星機構における遊転自在と
されたリングギアのなかの一つの回転を選択的に阻止す
る選択係止部材を設けるとともに、リングギアにかかる
負荷に応じて選択係止部材を遊星機構の軸方向に移動さ
せて選択係止部材が係合するリングギアを切り換える切
換手段を設けた遊星変速装置であって、一方向にばね付
勢された選択係止部材は、一方のリングギアと係合して
このリングギアの回転を阻止する第1の係止部材と、他
方のリングギアに係合してこのリングギアの回転を阻止
する第2の係止部材と、遊星機構の軸方向にスライド自
在であり且つ上記軸方向に共にスライド自在となってい
る第1の係止部材と第2の係止部材の両者を遊星機構の
軸方向において保持するとともに両係止部材の遊星機構
の周方向における個別の微小移動を許しているスライダ
ーとからなり、一方のリングギアにおける第1の係止部
材との係合部と、他方のリングギアにおける第2の係止
部材との係合部と間には、第1の係止部材と第2の係止
部材のうちの一方をいずれのリングギアとも係合させな
い中立域が設けられていることに特徴を有している。
ギアとこれに噛み合う遊星ギア及びサンギアと同心で遊
星ギアが噛み合っているリングギアからなる遊星機構を
軸方向に複数個設けて、各遊星機構における遊転自在と
されたリングギアのなかの一つの回転を選択的に阻止す
る選択係止部材を設けるとともに、リングギアにかかる
負荷に応じて選択係止部材を遊星機構の軸方向に移動さ
せて選択係止部材が係合するリングギアを切り換える切
換手段を設けた遊星変速装置であって、一方向にばね付
勢された選択係止部材は、一方のリングギアと係合して
このリングギアの回転を阻止する第1の係止部材と、他
方のリングギアに係合してこのリングギアの回転を阻止
する第2の係止部材と、遊星機構の軸方向にスライド自
在であり且つ上記軸方向に共にスライド自在となってい
る第1の係止部材と第2の係止部材の両者を遊星機構の
軸方向において保持するとともに両係止部材の遊星機構
の周方向における個別の微小移動を許しているスライダ
ーとからなり、一方のリングギアにおける第1の係止部
材との係合部と、他方のリングギアにおける第2の係止
部材との係合部と間には、第1の係止部材と第2の係止
部材のうちの一方をいずれのリングギアとも係合させな
い中立域が設けられていることに特徴を有している。
【0007】
【作用】本発明によれば、単一の選択係止部材で異なる
リングギアの回転を選択的に阻止するのではなく、分離
された第1の係止部材と第2の係止部材とで各リングギ
アの回転を負荷に応じて阻止するために、そして両係止
部材が遊星機構の周方向において微小移動が可能となっ
ているとともに中立域が設けられているために、回転を
阻止するリングギアの切り換えがスムーズになされるも
のである。
リングギアの回転を選択的に阻止するのではなく、分離
された第1の係止部材と第2の係止部材とで各リングギ
アの回転を負荷に応じて阻止するために、そして両係止
部材が遊星機構の周方向において微小移動が可能となっ
ているとともに中立域が設けられているために、回転を
阻止するリングギアの切り換えがスムーズになされるも
のである。
【0008】
【実施例】以下本発明を図示の実施例に基づいて詳述す
ると、ギアケース1の一端開口を閉じるモータ取付台2
に取り付けられたモータ6の出力軸60には、歯数の異
なる二つのサンギア11,12が固着されており、軸方
向に並ぶこれらサンギア11,12には夫々複数個ず
つ、図示例では2個ずつの遊星ギア21,22が噛み合
っている。両遊星ギア21,22は互いに歯数が異なる
とともに、出力軸5を一体に備えて軸受50で支持され
たキャリア4に対し、遊星ギア21は軸41によってサ
ンギア11の回りに等間隔で、遊星ギア22は図2に示
すように軸42によってサンギア12の回りに等間隔で
支持されており、両遊星ギア21,22は出力軸60の
軸回りに回転方向において90°ずれた状態で個々に自
転を行なうものの、同じ公転を行なうものとなってい
る。
ると、ギアケース1の一端開口を閉じるモータ取付台2
に取り付けられたモータ6の出力軸60には、歯数の異
なる二つのサンギア11,12が固着されており、軸方
向に並ぶこれらサンギア11,12には夫々複数個ず
つ、図示例では2個ずつの遊星ギア21,22が噛み合
っている。両遊星ギア21,22は互いに歯数が異なる
とともに、出力軸5を一体に備えて軸受50で支持され
たキャリア4に対し、遊星ギア21は軸41によってサ
ンギア11の回りに等間隔で、遊星ギア22は図2に示
すように軸42によってサンギア12の回りに等間隔で
支持されており、両遊星ギア21,22は出力軸60の
軸回りに回転方向において90°ずれた状態で個々に自
転を行なうものの、同じ公転を行なうものとなってい
る。
【0009】そして上記出力軸60と同心に配されてい
るとともに軸方向に並ぶ二つのリングギア31,32の
うち、リングギア31が遊星ギア21と噛み合ってお
り、リングギア32が遊星ギア22と噛み合っている。
両リングギア31,32はその内径が異なるものの、外
径は同一とされたもので、共にギアケース1内において
遊転自在に配されているとともに、各々の外周面には多
数個の係合溝35,36が周方向に等間隔で形成されて
いる。図中51はスラストリングである。
るとともに軸方向に並ぶ二つのリングギア31,32の
うち、リングギア31が遊星ギア21と噛み合ってお
り、リングギア32が遊星ギア22と噛み合っている。
両リングギア31,32はその内径が異なるものの、外
径は同一とされたもので、共にギアケース1内において
遊転自在に配されているとともに、各々の外周面には多
数個の係合溝35,36が周方向に等間隔で形成されて
いる。図中51はスラストリングである。
【0010】次に上記両リングギア31,32に選択的
に係止することで変速比の切り替えを行なう選択係止部
材7について説明する。この選択係止部材7は、遊星機
構の軸方向に並ぶ2つのローラや球体からなる係止部材
71,72と、両係止部材71,72を上記軸方向両端
の突片74,74間に位置させているスライダー73と
からなるもので、遊星機構の軸方向にスライド自在とな
っているスライダー73は、ばね9によって一方向に付
勢されることで、一方の係止部材71をリングギア31
外周面の係合溝35に係合させている。また、両係止部
材71,72は、図3に示すように、ギアケース1に形
成された窓8内に位置している。この窓8は、遊星機構
の軸方向に沿った辺が傾斜辺となるように、且つばね9
側の端部の方が広くなるようにされたもので、リングギ
ア31,32の係合溝35,36に係合しているため
に、リングギア31,32の回転方向の力が係止部材7
1,72に加えられた時、係止部材71,72と窓8の
傾斜辺との間に、係止部材71,72を遊星機構の軸方
向に動かそうとする分力が発生するようになっている。
に係止することで変速比の切り替えを行なう選択係止部
材7について説明する。この選択係止部材7は、遊星機
構の軸方向に並ぶ2つのローラや球体からなる係止部材
71,72と、両係止部材71,72を上記軸方向両端
の突片74,74間に位置させているスライダー73と
からなるもので、遊星機構の軸方向にスライド自在とな
っているスライダー73は、ばね9によって一方向に付
勢されることで、一方の係止部材71をリングギア31
外周面の係合溝35に係合させている。また、両係止部
材71,72は、図3に示すように、ギアケース1に形
成された窓8内に位置している。この窓8は、遊星機構
の軸方向に沿った辺が傾斜辺となるように、且つばね9
側の端部の方が広くなるようにされたもので、リングギ
ア31,32の係合溝35,36に係合しているため
に、リングギア31,32の回転方向の力が係止部材7
1,72に加えられた時、係止部材71,72と窓8の
傾斜辺との間に、係止部材71,72を遊星機構の軸方
向に動かそうとする分力が発生するようになっている。
【0011】さらに、リングギア31とリングギア32
は軸方向にわずかな間隔をおいて並んでいるだけである
のに対して、リングギア31外周面の係合溝35と、リ
ングギア32外周面の係合溝36との間には、同径とな
っている両係止部材71,72の径より少し大きい間隔
をあけて、中立域Cを設けてある。なお、この中立域に
おけるギアケース1の窓8の幅は、係止部材71,72
がリングギア31,32の周方向に並ぶことがない値と
されている。
は軸方向にわずかな間隔をおいて並んでいるだけである
のに対して、リングギア31外周面の係合溝35と、リ
ングギア32外周面の係合溝36との間には、同径とな
っている両係止部材71,72の径より少し大きい間隔
をあけて、中立域Cを設けてある。なお、この中立域に
おけるギアケース1の窓8の幅は、係止部材71,72
がリングギア31,32の周方向に並ぶことがない値と
されている。
【0012】しかしてこの遊星変速装置においては、モ
ータ6を始動させる際には、前述のように、ばね9によ
るスライダー73の付勢で、図3に示すように、両係止
部材71,72はリングギア31側に寄っているととも
に、係止部材71がリングギア31の係合溝35とギア
ケース1の窓8とに係合することで、リングギア31の
回転を阻止し、係止部材72は中立域Cにあるために、
モータ6の回転出力は、回転が阻止されているリングギ
ア31と噛み合った遊星ギア21を通じてキャリア4に
伝達される。この時、リングギア32は出力軸5と逆方
向に空転した状態となっている。
ータ6を始動させる際には、前述のように、ばね9によ
るスライダー73の付勢で、図3に示すように、両係止
部材71,72はリングギア31側に寄っているととも
に、係止部材71がリングギア31の係合溝35とギア
ケース1の窓8とに係合することで、リングギア31の
回転を阻止し、係止部材72は中立域Cにあるために、
モータ6の回転出力は、回転が阻止されているリングギ
ア31と噛み合った遊星ギア21を通じてキャリア4に
伝達される。この時、リングギア32は出力軸5と逆方
向に空転した状態となっている。
【0013】しかし、出力軸5にかかる負荷が増大し
て、リングギア31にかかる回転トルクが大きくなって
ある値を越えると、ギアケース1の窓9の傾斜辺のため
に、係止部材71はばね9に抗して係合溝35から押し
出され、図4に示す状態を経た後、図5に示すように、
リングギア32の係合溝36内に係止部材72が入ると
ともに、中立域Cに係止部材71が入るものであり、こ
の結果、リングギア32は出力軸5と同方向に回転し始
めて、図6に示す状態になった時点でリングギア32の
回転が止められ、これ以降は、回転が阻止されているリ
ングギア32と噛み合った遊星ギア22を通じてキャリ
ア4に動力が伝達される。出力軸5にかかる負荷が小さ
くなれば、ばね9による付勢で両係止部材71,72は
図3に示す状態に戻り、リングギア31の回転を阻止す
る。
て、リングギア31にかかる回転トルクが大きくなって
ある値を越えると、ギアケース1の窓9の傾斜辺のため
に、係止部材71はばね9に抗して係合溝35から押し
出され、図4に示す状態を経た後、図5に示すように、
リングギア32の係合溝36内に係止部材72が入ると
ともに、中立域Cに係止部材71が入るものであり、こ
の結果、リングギア32は出力軸5と同方向に回転し始
めて、図6に示す状態になった時点でリングギア32の
回転が止められ、これ以降は、回転が阻止されているリ
ングギア32と噛み合った遊星ギア22を通じてキャリ
ア4に動力が伝達される。出力軸5にかかる負荷が小さ
くなれば、ばね9による付勢で両係止部材71,72は
図3に示す状態に戻り、リングギア31の回転を阻止す
る。
【0014】リングギア31の回転が阻止されている時
には高速回転低トルクの出力が出力軸5に、リングギア
32の回転が阻止されている時には低速回転高トルクの
出力が出力軸5に現われるように変速比が設定されてい
るために、そして、上述のように、負荷トルクによって
変速比が自動的に変更されるために、この遊星変速装置
では図7に実線で示す出力特性を持つものである。
には高速回転低トルクの出力が出力軸5に、リングギア
32の回転が阻止されている時には低速回転高トルクの
出力が出力軸5に現われるように変速比が設定されてい
るために、そして、上述のように、負荷トルクによって
変速比が自動的に変更されるために、この遊星変速装置
では図7に実線で示す出力特性を持つものである。
【0015】この点について更に詳しく説明すると、図
3に示すギアケース1の窓8の傾斜辺の傾斜角をα、リ
ングギア31,32と噛み合う遊星ギア21,22の中
心軸の半径をR1 ,R2 とすると、リングギア31,3
2にかかる負荷トルクTL によって生ずるリングギア3
1,32と係止部材71,72との噛み合い点にかかる
力F1 ,F2 及び係止部材71,72をスライドさせよ
うとする力P1 ,P2は、 F1 =TL /R1 , P1 =F1 ×tanα F2 =TL /R2 , P2 =F2 ×tanα となる。従って、係止部材7をリングギア31側に向け
て付勢するばね9の力をP0 とすると、P1 >P0 とな
る負荷トルクTL1を受けた時、係止部材71はリングギ
ア31の係合溝35から外れてリングギア31の回転拘
束を解除し、係止部材72がリングギア32の回転拘束
を行う。そしてP2 <P0 となる負荷トルクTL2を受け
た時には、係止部材72がリングギア32の係合溝36
から外れてリングギア32の回転拘束を解除し、係止部
材71がリングギア31の回転拘束を行う。
3に示すギアケース1の窓8の傾斜辺の傾斜角をα、リ
ングギア31,32と噛み合う遊星ギア21,22の中
心軸の半径をR1 ,R2 とすると、リングギア31,3
2にかかる負荷トルクTL によって生ずるリングギア3
1,32と係止部材71,72との噛み合い点にかかる
力F1 ,F2 及び係止部材71,72をスライドさせよ
うとする力P1 ,P2は、 F1 =TL /R1 , P1 =F1 ×tanα F2 =TL /R2 , P2 =F2 ×tanα となる。従って、係止部材7をリングギア31側に向け
て付勢するばね9の力をP0 とすると、P1 >P0 とな
る負荷トルクTL1を受けた時、係止部材71はリングギ
ア31の係合溝35から外れてリングギア31の回転拘
束を解除し、係止部材72がリングギア32の回転拘束
を行う。そしてP2 <P0 となる負荷トルクTL2を受け
た時には、係止部材72がリングギア32の係合溝36
から外れてリングギア32の回転拘束を解除し、係止部
材71がリングギア31の回転拘束を行う。
【0016】ここにおいて、R1 <R2 であるために、
リングギア31と係止部材71との間に働く力F1 ,P
1 は、リングギア32と係止部材72との間に働く力F
2 ,P2 に対して、 F1 <F2 ,P1 <P2 であり、従って、変速点となる負荷トルクTL1,TL2は TL1>TL2 となるために、負荷トルクTL1を受ける時、リングギア
31の係合溝35から外れた係止部材71は、係止部材
72とリングギア32の係合溝36との係合状態が維持
され、係合溝35側に戻されることがない。そして負荷
トルクTL2を受ける時、リングギア32の係合溝36か
ら外れた係止部材72は、係止部材71とリングギア3
1の係合溝35との係合状態が維持されるために、係合
溝36側に戻されることがない。
リングギア31と係止部材71との間に働く力F1 ,P
1 は、リングギア32と係止部材72との間に働く力F
2 ,P2 に対して、 F1 <F2 ,P1 <P2 であり、従って、変速点となる負荷トルクTL1,TL2は TL1>TL2 となるために、負荷トルクTL1を受ける時、リングギア
31の係合溝35から外れた係止部材71は、係止部材
72とリングギア32の係合溝36との係合状態が維持
され、係合溝35側に戻されることがない。そして負荷
トルクTL2を受ける時、リングギア32の係合溝36か
ら外れた係止部材72は、係止部材71とリングギア3
1の係合溝35との係合状態が維持されるために、係合
溝36側に戻されることがない。
【0017】そしてこの切り換え時、ローラとして形成
された両係止部材71,72は、窓8の幅のために遊星
機構の回転方向における微動が可能である上に、この微
動に伴って遊星機構の軸方向における両係止部材71,
72の両端間の長さAが変化するために、選択係止部材
7がその係合相手を完全に変えてしまうまでの時間を、
中立域Cの存在もあって、十分にかせぐことができるも
のであり、両係止部材71,72による回転を停止させ
るリングギア31,32の切り換えがスムーズになされ
るものである。なお、ばね9のばね力P0 は、調整ねじ
10によって調整可能であるために、変速点となる負荷
トルクTL1,TL2を変更することができる。
された両係止部材71,72は、窓8の幅のために遊星
機構の回転方向における微動が可能である上に、この微
動に伴って遊星機構の軸方向における両係止部材71,
72の両端間の長さAが変化するために、選択係止部材
7がその係合相手を完全に変えてしまうまでの時間を、
中立域Cの存在もあって、十分にかせぐことができるも
のであり、両係止部材71,72による回転を停止させ
るリングギア31,32の切り換えがスムーズになされ
るものである。なお、ばね9のばね力P0 は、調整ねじ
10によって調整可能であるために、変速点となる負荷
トルクTL1,TL2を変更することができる。
【0018】また、図示例においては、手動による強制
的な変速も行えるように、図8にも示す切換ハンドル8
0を設けてある。この切換ハンドル80は、その内面側
にスライダー73が嵌まるとともに、スライダー73の
上記自動変速の際のスライド動作を許す長さとなってい
る嵌合凹部81を備えたもので、遊星機構の軸方向にス
ライド自在に、且つ3位置において停止自在となってい
る。今、クリック82が中央の凹部92と係合している
位置にある時は、上述の自動変速が可能となるものの、
切換ハンドル80をスライドさせて、クリック82が一
端側の凹部91と係合している時には、嵌合凹部81の
一端がスライダー73のばね9側の端部に当たるため
に、係止部材71がリングギア31の係合溝35から抜
け出すことができなくなり、低トルク高速回転の状態が
維持される。切換ハンドル80を逆方向にスライドさせ
てクリック82を他端側の凹部93に係合させた時に
は、この切換ハンドル80のスライドに伴ってスライダ
ー73及び係止部材71,72がばね9に抗してリング
ギア32側に移動し、係止部材72がリングギア32の
回転を阻止する状態となるために、高トルク低速回転の
状態が維持される。
的な変速も行えるように、図8にも示す切換ハンドル8
0を設けてある。この切換ハンドル80は、その内面側
にスライダー73が嵌まるとともに、スライダー73の
上記自動変速の際のスライド動作を許す長さとなってい
る嵌合凹部81を備えたもので、遊星機構の軸方向にス
ライド自在に、且つ3位置において停止自在となってい
る。今、クリック82が中央の凹部92と係合している
位置にある時は、上述の自動変速が可能となるものの、
切換ハンドル80をスライドさせて、クリック82が一
端側の凹部91と係合している時には、嵌合凹部81の
一端がスライダー73のばね9側の端部に当たるため
に、係止部材71がリングギア31の係合溝35から抜
け出すことができなくなり、低トルク高速回転の状態が
維持される。切換ハンドル80を逆方向にスライドさせ
てクリック82を他端側の凹部93に係合させた時に
は、この切換ハンドル80のスライドに伴ってスライダ
ー73及び係止部材71,72がばね9に抗してリング
ギア32側に移動し、係止部材72がリングギア32の
回転を阻止する状態となるために、高トルク低速回転の
状態が維持される。
【0019】
【発明の効果】以上のように本発明においては、負荷の
大きさに応じて変速動作が自動的になされるために、作
業内容に応じて変速操作を行なう必要がなく、非常に使
い勝手がよい上に、作業時間の短縮も期待できるもので
あり、しかも変速に際して単一の選択係止部材で異なる
リングギアの回転を選択的に阻止するのではなく、分離
された第1の係止部材と第2の係止部材とで各リングギ
アの回転を負荷に応じて阻止するために、そして両係止
部材は遊星機構の周方向における微小移動が可能となっ
ているとともに中立域が設けられているために、回転を
阻止するリングギアの切り換え、つまりは変速をスムー
ズに行えるものである。
大きさに応じて変速動作が自動的になされるために、作
業内容に応じて変速操作を行なう必要がなく、非常に使
い勝手がよい上に、作業時間の短縮も期待できるもので
あり、しかも変速に際して単一の選択係止部材で異なる
リングギアの回転を選択的に阻止するのではなく、分離
された第1の係止部材と第2の係止部材とで各リングギ
アの回転を負荷に応じて阻止するために、そして両係止
部材は遊星機構の周方向における微小移動が可能となっ
ているとともに中立域が設けられているために、回転を
阻止するリングギアの切り換え、つまりは変速をスムー
ズに行えるものである。
【図1】一実施例の断面図である。
【図2】同上の変速後の状態の断面図である。
【図3】同上の部分平面図である。
【図4】同上の変速途中の状態の部分平面図である。
【図5】同上の変速途中の状態の部分平面図である。
【図6】同上の変速完了後の状態の部分平面図である。
【図7】同上の出力特性(回転数−トルク特性)を示す
説明図である。
説明図である。
【図8】同上の切換ハンドルの平面図である。
9 ばね 31,32 リングギア 71,72 係止部材 73 スライダー
【手続補正書】
【提出日】平成5年7月5日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項2
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正内容】
【0013】しかし、出力軸5にかかる負荷が増大し
て、リングギア31にかかる回転トルクが大きくなって
ある値を越えると、ギアケース1の窓8の傾斜辺のため
に、係止部材71はばね9に抗して係合溝35から押し
出され、図4に示す状態を経た後、図5に示すように、
リングギア32の係合溝36内に係止部材72が入ると
ともに、中立域Cに係止部材71が入るものであり、こ
の結果、リングギア32は出力軸5と同方向に回転し始
めて、図6に示す状態になった時点でリングギア32の
回転が止められ、これ以降は、回転が阻止されているリ
ングギア32と噛み合った遊星ギア22を通じてキャリ
ア4に動力が伝達される。出力軸5にかかる負荷が小さ
くなれば、ばね9による付勢で両係止部材71,72は
図3に示す状態に戻り、リングギア31の回転を阻止す
る。
て、リングギア31にかかる回転トルクが大きくなって
ある値を越えると、ギアケース1の窓8の傾斜辺のため
に、係止部材71はばね9に抗して係合溝35から押し
出され、図4に示す状態を経た後、図5に示すように、
リングギア32の係合溝36内に係止部材72が入ると
ともに、中立域Cに係止部材71が入るものであり、こ
の結果、リングギア32は出力軸5と同方向に回転し始
めて、図6に示す状態になった時点でリングギア32の
回転が止められ、これ以降は、回転が阻止されているリ
ングギア32と噛み合った遊星ギア22を通じてキャリ
ア4に動力が伝達される。出力軸5にかかる負荷が小さ
くなれば、ばね9による付勢で両係止部材71,72は
図3に示す状態に戻り、リングギア31の回転を阻止す
る。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正内容】
【0017】そしてこの切り換え時、ローラとして形成
された両係止部材71,72は、窓8の幅のために遊星
機構の回転方向における微動が可能である上に、この微
動に伴って遊星機構の軸方向における両係止部材71,
72の両端間の長さAが変化するために、選択係止部材
7がその係合相手を完全に変えてしまうまでの時間を、
中立域Cの存在もあって、十分にかせぐことができるも
のであり、両係止部材71,72による回転を停止させ
るリングギア31,32の切り換えがスムーズになされ
るものである。なお、ばね9のばね力P0 は、調整ねじ
10によって調整可能であるために、変速点となる負荷
トルクTL1,TL2を変更することができる。両係止部材
71,72をばね9に抗して遊星機構の軸方向に動かす
力は、ここではギアケース1の窓8を傾斜辺とすること
で得ているが、前記従来例で示されているように、リン
グギア31,32の係合溝35,36をその側面が傾斜
辺となっているものとすることで得たり、上記スライダ
ー73の両側縁に窓8に代わって係止部材71,72に
接することになる傾斜辺を設けることで得てもよい。こ
れらの組み合わせによって得てもよいのはもちろんであ
る。
された両係止部材71,72は、窓8の幅のために遊星
機構の回転方向における微動が可能である上に、この微
動に伴って遊星機構の軸方向における両係止部材71,
72の両端間の長さAが変化するために、選択係止部材
7がその係合相手を完全に変えてしまうまでの時間を、
中立域Cの存在もあって、十分にかせぐことができるも
のであり、両係止部材71,72による回転を停止させ
るリングギア31,32の切り換えがスムーズになされ
るものである。なお、ばね9のばね力P0 は、調整ねじ
10によって調整可能であるために、変速点となる負荷
トルクTL1,TL2を変更することができる。両係止部材
71,72をばね9に抗して遊星機構の軸方向に動かす
力は、ここではギアケース1の窓8を傾斜辺とすること
で得ているが、前記従来例で示されているように、リン
グギア31,32の係合溝35,36をその側面が傾斜
辺となっているものとすることで得たり、上記スライダ
ー73の両側縁に窓8に代わって係止部材71,72に
接することになる傾斜辺を設けることで得てもよい。こ
れらの組み合わせによって得てもよいのはもちろんであ
る。
Claims (4)
- 【請求項1】 サンギアとこれに噛み合う遊星ギア及び
サンギアと同心で遊星ギアが噛み合っているリングギア
からなる遊星機構を軸方向に複数個設けて、各遊星機構
における遊転自在とされたリングギアのなかの一つの回
転を選択的に阻止する選択係止部材を設けるとともに、
リングギアにかかる負荷に応じて選択係止部材を遊星機
構の軸方向に移動させて選択係止部材が係合するリング
ギアを切り換える切換手段を設けた遊星変速装置であっ
て、一方向にばね付勢された選択係止部材は、一方のリ
ングギアと係合してこのリングギアの回転を阻止する第
1の係止部材と、他方のリングギアに係合してこのリン
グギアの回転を阻止する第2の係止部材と、遊星機構の
軸方向にスライド自在であり且つ上記軸方向に共にスラ
イド自在となっている第1の係止部材と第2の係止部材
の両者を遊星機構の軸方向において保持するとともに両
係止部材の遊星機構の周方向における個別の微小移動を
許しているスライダーとからなり、一方のリングギアに
おける第1の係止部材との係合部と、他方のリングギア
における第2の係止部材との係合部と間には、第1の係
止部材と第2の係止部材のうちの一方をいずれのリング
ギアとも係合させない中立域が設けられていることを特
徴とする遊星変速装置。 - 【請求項2】 切換手段は、遊星機構を納めたギアケー
スに形成されている傾斜辺を備えた窓であることを特徴
とする請求項1記載の遊星変速装置。 - 【請求項3】 選択係止部材の移動を強制的に行う切換
ハンドルを備えていることを特徴とする請求項1記載の
遊星変速装置。 - 【請求項4】 ばねのばね圧が調整可能となっているこ
とを特徴とする請求項1記載の遊星変速装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5124363A JPH06337047A (ja) | 1993-05-26 | 1993-05-26 | 遊星変速装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5124363A JPH06337047A (ja) | 1993-05-26 | 1993-05-26 | 遊星変速装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06337047A true JPH06337047A (ja) | 1994-12-06 |
Family
ID=14883552
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5124363A Withdrawn JPH06337047A (ja) | 1993-05-26 | 1993-05-26 | 遊星変速装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06337047A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7882900B2 (en) | 2007-08-29 | 2011-02-08 | Positec Power Tools (Suzhou) Co., Ltd | Power tool with signal generator |
-
1993
- 1993-05-26 JP JP5124363A patent/JPH06337047A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7882900B2 (en) | 2007-08-29 | 2011-02-08 | Positec Power Tools (Suzhou) Co., Ltd | Power tool with signal generator |
US7882899B2 (en) | 2007-08-29 | 2011-02-08 | Positec Power Tools (Suzhou) Co., Ltd | Power tool having control system for changing rotational speed of output shaft |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20000801 |