JPH06333670A - 電磁誘導加熱器 - Google Patents
電磁誘導加熱器Info
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- JPH06333670A JPH06333670A JP14016993A JP14016993A JPH06333670A JP H06333670 A JPH06333670 A JP H06333670A JP 14016993 A JP14016993 A JP 14016993A JP 14016993 A JP14016993 A JP 14016993A JP H06333670 A JPH06333670 A JP H06333670A
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- JP
- Japan
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- electromagnetic induction
- magnetic material
- soft magnetic
- powder
- resin
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Abstract
(57)【要約】
【構成】 電磁誘導部に、軟磁性材料と樹脂とを複合し
てなる樹脂質磁性材を設けてインダクタンスを高めたこ
とを特徴とする電磁誘導加熱器。 【効果】電磁誘導加熱コイルのインダクタンスが高くな
り、加熱部分の渦電流による発熱効果に優れる。しかも
樹脂質磁性材は衝撃に強く、加工性に優れているので、
該磁性材の取付け時に磁性材自体が破損することがな
く、運搬時の破損やひび割れの虞もない。また該磁性材
は電気抵抗が大きいので磁性材自体は発熱し難い。
てなる樹脂質磁性材を設けてインダクタンスを高めたこ
とを特徴とする電磁誘導加熱器。 【効果】電磁誘導加熱コイルのインダクタンスが高くな
り、加熱部分の渦電流による発熱効果に優れる。しかも
樹脂質磁性材は衝撃に強く、加工性に優れているので、
該磁性材の取付け時に磁性材自体が破損することがな
く、運搬時の破損やひび割れの虞もない。また該磁性材
は電気抵抗が大きいので磁性材自体は発熱し難い。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】近年、電磁誘導加熱を利用した業
務用および家庭用の各種加熱器が使用されている。その
一例として、トッププレートの裏側に誘導加熱コイルを
設け、プレート自体は加熱せず、その上に置いた鉄製の
鍋等に渦電流を誘導させて加熱する電磁調理器や、釜の
内周内側に誘導加熱コイルを配設し、内釜に渦電流を誘
導して加熱する電磁炊飯器(IH型炊飯器)などが知ら
れている。本発明はこのような電磁誘導加熱器(以下、
本明細書において、電磁調理器および電磁炊飯器などを
含む誘導加熱を利用した各種の加熱器を電磁誘導加熱器
と云う。)について、加工性に優れた磁性材によって磁
界発生部のインダクタンスを高めた電磁誘導加熱器に関
する。
務用および家庭用の各種加熱器が使用されている。その
一例として、トッププレートの裏側に誘導加熱コイルを
設け、プレート自体は加熱せず、その上に置いた鉄製の
鍋等に渦電流を誘導させて加熱する電磁調理器や、釜の
内周内側に誘導加熱コイルを配設し、内釜に渦電流を誘
導して加熱する電磁炊飯器(IH型炊飯器)などが知ら
れている。本発明はこのような電磁誘導加熱器(以下、
本明細書において、電磁調理器および電磁炊飯器などを
含む誘導加熱を利用した各種の加熱器を電磁誘導加熱器
と云う。)について、加工性に優れた磁性材によって磁
界発生部のインダクタンスを高めた電磁誘導加熱器に関
する。
【0002】
【従来技術とその課題】交流磁界では連続的に磁化の方
向が変化するため、磁界内の磁性体内部でこれを阻止す
る方向に渦電流が流れてジュール熱を発生する。電磁誘
導加熱器はこの原理を利用したものであり、磁性材料か
らなる加熱部の近傍に誘導加熱コイルからなる電磁誘導
部を設け、該コイルに交流電流を通じて交流磁界を発生
させ、この磁界によって加熱部分に渦電流を誘導し、こ
の渦電流が磁性体の電気抵抗によってジュール熱を発生
して加熱する。
向が変化するため、磁界内の磁性体内部でこれを阻止す
る方向に渦電流が流れてジュール熱を発生する。電磁誘
導加熱器はこの原理を利用したものであり、磁性材料か
らなる加熱部の近傍に誘導加熱コイルからなる電磁誘導
部を設け、該コイルに交流電流を通じて交流磁界を発生
させ、この磁界によって加熱部分に渦電流を誘導し、こ
の渦電流が磁性体の電気抵抗によってジュール熱を発生
して加熱する。
【0003】一例として、従来の電磁炊飯器の概略を図
4、図5の模式図に示す。図示するように、電磁炊飯器
10は外釜11と該外釜11に嵌着する内釜12を有
し、外釜11の底面と底部内周を囲むように誘導加熱コ
イル13が設置されており、内釜12はステンレスなど
の磁性体によって形成されている。また該コイルの外側
には樹脂製カバー16を介してフェライト製の板材14
が放射状に取付けられている。誘導加熱コイル13に交
流電流を流すと、該コイルを中心として交流磁場が生
じ、該交流磁場の磁力線によって内釜の磁性材内部に渦
電流15が誘導され、この渦電流15が磁性材の電気抵
抗によってジュール熱を発生し、内釜全体を加熱する。
ここで発生する磁束Φの大きさは該コイルに流れる交流
電流IとコイルのインダクタンスLとの積によって表さ
れる(Φ=I×L)。電磁炊飯器や電磁調理器などの電
磁誘導加熱装置では安全性の点から電流を無制限に大き
くすることはできないので、コイルの外側に軟磁性フェ
ライトを配置してインダクタンスLを高めて大きな磁束
を得ている。ところが、軟磁性フェライトは硬く脆い欠
点があり、部品の取付け時や器具の運搬時に衝撃を受け
て破損する問題がある。また加工性に劣るため、湾曲部
分や段差の部分を含む箇所に取付けるのが難しい。フェ
ライトに代えて軟磁性磁性合金を用いれば加工性の点は
問題ないが導電性を有し、電気抵抗が小さいので磁性材
内部に渦電流が発生して発熱する致命的な問題がある。
4、図5の模式図に示す。図示するように、電磁炊飯器
10は外釜11と該外釜11に嵌着する内釜12を有
し、外釜11の底面と底部内周を囲むように誘導加熱コ
イル13が設置されており、内釜12はステンレスなど
の磁性体によって形成されている。また該コイルの外側
には樹脂製カバー16を介してフェライト製の板材14
が放射状に取付けられている。誘導加熱コイル13に交
流電流を流すと、該コイルを中心として交流磁場が生
じ、該交流磁場の磁力線によって内釜の磁性材内部に渦
電流15が誘導され、この渦電流15が磁性材の電気抵
抗によってジュール熱を発生し、内釜全体を加熱する。
ここで発生する磁束Φの大きさは該コイルに流れる交流
電流IとコイルのインダクタンスLとの積によって表さ
れる(Φ=I×L)。電磁炊飯器や電磁調理器などの電
磁誘導加熱装置では安全性の点から電流を無制限に大き
くすることはできないので、コイルの外側に軟磁性フェ
ライトを配置してインダクタンスLを高めて大きな磁束
を得ている。ところが、軟磁性フェライトは硬く脆い欠
点があり、部品の取付け時や器具の運搬時に衝撃を受け
て破損する問題がある。また加工性に劣るため、湾曲部
分や段差の部分を含む箇所に取付けるのが難しい。フェ
ライトに代えて軟磁性磁性合金を用いれば加工性の点は
問題ないが導電性を有し、電気抵抗が小さいので磁性材
内部に渦電流が発生して発熱する致命的な問題がある。
【0004】
【発明の解決課題】本発明はこのような従来の電磁誘導
加熱器の課題を解決するものであり、合金系磁性材に代
わる加工性に優れた磁性材を用いて電磁誘導部のインダ
クタンスを高めた電磁誘導加熱器を提供することを目的
とする。本発明において、上記磁性材として、軟磁性材
と樹脂とを複合した樹脂質磁性材を用いれば、磁性材の
発熱がなく、また加工性に優れ、部材の形状に適合して
設けることができるので優れた磁気漏れ防止効果を達成
できることが見出だされた。
加熱器の課題を解決するものであり、合金系磁性材に代
わる加工性に優れた磁性材を用いて電磁誘導部のインダ
クタンスを高めた電磁誘導加熱器を提供することを目的
とする。本発明において、上記磁性材として、軟磁性材
と樹脂とを複合した樹脂質磁性材を用いれば、磁性材の
発熱がなく、また加工性に優れ、部材の形状に適合して
設けることができるので優れた磁気漏れ防止効果を達成
できることが見出だされた。
【0005】
【発明の構成】本発明によれば以下の電磁誘導加熱器が
提供される。 (1) 電磁誘導部に、軟磁性材料と樹脂とを複合して
なる樹脂質磁性材を設けてインダクタンスを高めた電磁
誘導加熱器。 (2) 電磁誘導部に、樹脂中に軟磁性粉末を分散させ
てなる樹脂質磁性材を設けた上記(1) の電磁誘導加熱
器。 (3) 電磁誘導部に、軟磁性材の箔と樹脂層を積層し
てなる樹脂質磁性材を設けた上記(1) の電磁誘導加熱
器。 (4) 電磁誘導部に、軟磁性粉末を樹脂中に分散させ
た磁気シールド層と樹脂層を積層してなる樹脂質磁性材
を設けた上記(1) の電磁誘導加熱器。 (5) 電磁誘導部に、軟磁性粉末を有機結合剤と混合
して樹脂シートにコーテングし積層してなる樹脂質磁性
材を設けた上記(1) の電磁誘導加熱器。 (6) 電磁誘導部に、合金系の軟磁性粉末と絶縁性の
軟磁性粉末とを樹脂中に分散させてなる樹脂質磁性材を
設けた上記(1) の電磁誘導加熱器。 (7) 上記軟磁性粉末が高透磁率および低保磁力を有
しアスペクト比が5以上の鱗片状粉末である上記(1) 〜
(6) の電磁誘導加熱器。
提供される。 (1) 電磁誘導部に、軟磁性材料と樹脂とを複合して
なる樹脂質磁性材を設けてインダクタンスを高めた電磁
誘導加熱器。 (2) 電磁誘導部に、樹脂中に軟磁性粉末を分散させ
てなる樹脂質磁性材を設けた上記(1) の電磁誘導加熱
器。 (3) 電磁誘導部に、軟磁性材の箔と樹脂層を積層し
てなる樹脂質磁性材を設けた上記(1) の電磁誘導加熱
器。 (4) 電磁誘導部に、軟磁性粉末を樹脂中に分散させ
た磁気シールド層と樹脂層を積層してなる樹脂質磁性材
を設けた上記(1) の電磁誘導加熱器。 (5) 電磁誘導部に、軟磁性粉末を有機結合剤と混合
して樹脂シートにコーテングし積層してなる樹脂質磁性
材を設けた上記(1) の電磁誘導加熱器。 (6) 電磁誘導部に、合金系の軟磁性粉末と絶縁性の
軟磁性粉末とを樹脂中に分散させてなる樹脂質磁性材を
設けた上記(1) の電磁誘導加熱器。 (7) 上記軟磁性粉末が高透磁率および低保磁力を有
しアスペクト比が5以上の鱗片状粉末である上記(1) 〜
(6) の電磁誘導加熱器。
【0006】
【発明の具体的な開示】以下、図面を参照して本発明を
具体的に説明する。図1は、本発明に係る電磁誘導加熱
装置の一例である電磁炊飯器の模式断面図であり、図2
はその底部を模式的に示す平面図である。本発明に係る
電磁炊飯器10は外釜11と該外釜11に嵌着した着脱
自在な内釜12を有し、外釜11の底面および底部内周
には、この部分を囲むように誘導加熱コイル13が設け
られている。上記基本構造は従来と同様であるが、本発
明の電磁炊飯器10は、上記誘導加熱コイル13を設け
た部分(以下、電磁誘導部と云う)に樹脂と軟磁性材を
複合してなる磁性材20を設けた点が従来と異なる。該
磁性材20は従来と同様に電磁誘導加熱コイルの近傍に
放射状に設けても良く、また該電磁誘導部の加熱側を除
く周囲全体を囲むように設けても良い。磁性材20を電
磁誘導部全体を覆うように設ければ、該電磁誘導加熱コ
イルを中心として発生する磁束を遮断でき、磁束の漏出
を防止できるので好ましい。電磁誘導部を覆うように設
けるには、例えば電磁炊飯器や電磁調理器では、図示す
るように、電磁誘導加熱コイルが配設されている底面か
ら側面に至る部分を磁性材20によって覆う。
具体的に説明する。図1は、本発明に係る電磁誘導加熱
装置の一例である電磁炊飯器の模式断面図であり、図2
はその底部を模式的に示す平面図である。本発明に係る
電磁炊飯器10は外釜11と該外釜11に嵌着した着脱
自在な内釜12を有し、外釜11の底面および底部内周
には、この部分を囲むように誘導加熱コイル13が設け
られている。上記基本構造は従来と同様であるが、本発
明の電磁炊飯器10は、上記誘導加熱コイル13を設け
た部分(以下、電磁誘導部と云う)に樹脂と軟磁性材を
複合してなる磁性材20を設けた点が従来と異なる。該
磁性材20は従来と同様に電磁誘導加熱コイルの近傍に
放射状に設けても良く、また該電磁誘導部の加熱側を除
く周囲全体を囲むように設けても良い。磁性材20を電
磁誘導部全体を覆うように設ければ、該電磁誘導加熱コ
イルを中心として発生する磁束を遮断でき、磁束の漏出
を防止できるので好ましい。電磁誘導部を覆うように設
けるには、例えば電磁炊飯器や電磁調理器では、図示す
るように、電磁誘導加熱コイルが配設されている底面か
ら側面に至る部分を磁性材20によって覆う。
【0007】上記磁性材20の態様としては、薄い箔状
の軟磁性材料と樹脂層とを積層した磁性材、絶縁性の高
い樹脂中に軟磁性粉末を混合し均一に分散させてなる磁
性材、軟磁性粉末を樹脂中に分散させてなる磁性層と樹
脂層とを積層した磁性材、軟磁性粉末を有機結合剤と共
に樹脂シート表面に塗布し、または吹き付けて磁性層を
形成した磁性材(以下、これらを樹脂質磁性材と云う)
は電気抵抗が大きく渦電流が発生し難いので磁性材自体
の発熱を抑えることができる。しかも加工性に富むので
電磁誘導部の湾曲面や屈曲部分、隅部などに隙間無く設
けることができる。
の軟磁性材料と樹脂層とを積層した磁性材、絶縁性の高
い樹脂中に軟磁性粉末を混合し均一に分散させてなる磁
性材、軟磁性粉末を樹脂中に分散させてなる磁性層と樹
脂層とを積層した磁性材、軟磁性粉末を有機結合剤と共
に樹脂シート表面に塗布し、または吹き付けて磁性層を
形成した磁性材(以下、これらを樹脂質磁性材と云う)
は電気抵抗が大きく渦電流が発生し難いので磁性材自体
の発熱を抑えることができる。しかも加工性に富むので
電磁誘導部の湾曲面や屈曲部分、隅部などに隙間無く設
けることができる。
【0008】樹脂質磁性材のマトリックスとなる樹脂の
種類は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂など使用条件に応
じて適宜用いられる。また成形体として剛性が要求され
る場合には硬質の樹脂が用いられ、可塑性が必要な場合
には軟質樹脂が用いられる。樹脂中に分散配合される軟
磁性粉末としては、高い磁気特性を得るには高透磁率を
有することが望ましく、ヒステリシス損を小さくするに
は低保磁力であることが望ましい。このような高透磁率
および低保磁力を有する軟磁性粉末としては、具体的に
は、パーマロイ合金粉末、センダスト合金粉末、鉄やコ
バルト系の非晶質合金粉末が好適である。代表的なこれ
ら軟磁性粉末の保磁力は1.0Oe以下である。
種類は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂など使用条件に応
じて適宜用いられる。また成形体として剛性が要求され
る場合には硬質の樹脂が用いられ、可塑性が必要な場合
には軟質樹脂が用いられる。樹脂中に分散配合される軟
磁性粉末としては、高い磁気特性を得るには高透磁率を
有することが望ましく、ヒステリシス損を小さくするに
は低保磁力であることが望ましい。このような高透磁率
および低保磁力を有する軟磁性粉末としては、具体的に
は、パーマロイ合金粉末、センダスト合金粉末、鉄やコ
バルト系の非晶質合金粉末が好適である。代表的なこれ
ら軟磁性粉末の保磁力は1.0Oe以下である。
【0009】上記軟磁性粉末は鱗片状(偏平状)のもの
が好ましい。鱗片状の軟磁性粉末は長手方向に磁化し易
く、この方向に磁束が通り易くなり電磁誘導コイルのイ
ンダクタンスが高くなる。インダクタンスを更に高める
には鱗片状粉末を層状に配向させると良い。特にアスペ
クト比が5以上の鱗片状粉末が好適である。本発明にお
いてアスペクト比とは鱗片状粉末の偏平面の平均直径に
対する厚さの比(平均直径/厚さ)を云う。鱗片粉の偏
平面の平均直径は顕微鏡下での観察により測定でき、ま
た鱗片粉の厚さは平面に配向した鱗片粉の断面を顕微鏡
下で観察して測定できる。アスペクト比が5以上の鱗片
状軟磁性粉末は偏平面に沿って配向し易いので平面を覆
うのに適し、かつ粉末が相互に重なり易く接触面積が増
すので磁気抵抗がかなり小さくなる。また樹脂中で層状
に配向し易い。
が好ましい。鱗片状の軟磁性粉末は長手方向に磁化し易
く、この方向に磁束が通り易くなり電磁誘導コイルのイ
ンダクタンスが高くなる。インダクタンスを更に高める
には鱗片状粉末を層状に配向させると良い。特にアスペ
クト比が5以上の鱗片状粉末が好適である。本発明にお
いてアスペクト比とは鱗片状粉末の偏平面の平均直径に
対する厚さの比(平均直径/厚さ)を云う。鱗片粉の偏
平面の平均直径は顕微鏡下での観察により測定でき、ま
た鱗片粉の厚さは平面に配向した鱗片粉の断面を顕微鏡
下で観察して測定できる。アスペクト比が5以上の鱗片
状軟磁性粉末は偏平面に沿って配向し易いので平面を覆
うのに適し、かつ粉末が相互に重なり易く接触面積が増
すので磁気抵抗がかなり小さくなる。また樹脂中で層状
に配向し易い。
【0010】上記アスペクト比の粉末は、水アトマイズ
法などによって得られるほぼ球形の粒子を、例えば、ボ
ールミル等の機械的手段によって鱗片状に加工するか、
あるいは、溶融金属を鱗片状に固化して製造することが
できる。工程の簡素化、粉末表面の平滑性という点で
は、後者の方法が好ましいが、後者の方法では、比較的
小粒径の粉末を得ることが難しいため、用途により何れ
か適する方法を選択するのがよい。またアスペクト比は
製造条件を適宜変更することにより制御することができ
る。フェライト系の鱗片状軟磁性粉は、例えば酸化マン
ガン、酸化亜鉛と酸化第二鉄を混合し焼成して得た粉末
を、ボールミル等の機械的手段によって鱗片状に加工し
て得られる。
法などによって得られるほぼ球形の粒子を、例えば、ボ
ールミル等の機械的手段によって鱗片状に加工するか、
あるいは、溶融金属を鱗片状に固化して製造することが
できる。工程の簡素化、粉末表面の平滑性という点で
は、後者の方法が好ましいが、後者の方法では、比較的
小粒径の粉末を得ることが難しいため、用途により何れ
か適する方法を選択するのがよい。またアスペクト比は
製造条件を適宜変更することにより制御することができ
る。フェライト系の鱗片状軟磁性粉は、例えば酸化マン
ガン、酸化亜鉛と酸化第二鉄を混合し焼成して得た粉末
を、ボールミル等の機械的手段によって鱗片状に加工し
て得られる。
【0011】なお、絶縁性の軟磁性粉末を用いれば磁性
材の電気抵抗が大きくなり渦電流の発生を抑制できる
が、代表的な絶縁性の軟磁性材であるフェライトなどは
鱗片状に加工するのに手間がかかる。そこで、加工性の
良い合金系の軟磁性粉末とフェライトなどの絶縁性軟磁
性粉末を混合して樹脂中に分散させれば、電気抵抗が大
きいために渦電流を生じ難く、他方、磁気抵抗が小さく
ので磁気特性に優れた樹脂質磁性材を得ることができ
る。混合粉末の絶縁性軟磁性粉末の含有量は10〜80
重量%が好ましい。10重量%未満であるとその効果が
不十分であり、80重量%を越えると、鱗片状粉末でな
い場合に粉末相互の接触が不十分になり磁気抵抗が高く
なるので好ましくない。
材の電気抵抗が大きくなり渦電流の発生を抑制できる
が、代表的な絶縁性の軟磁性材であるフェライトなどは
鱗片状に加工するのに手間がかかる。そこで、加工性の
良い合金系の軟磁性粉末とフェライトなどの絶縁性軟磁
性粉末を混合して樹脂中に分散させれば、電気抵抗が大
きいために渦電流を生じ難く、他方、磁気抵抗が小さく
ので磁気特性に優れた樹脂質磁性材を得ることができ
る。混合粉末の絶縁性軟磁性粉末の含有量は10〜80
重量%が好ましい。10重量%未満であるとその効果が
不十分であり、80重量%を越えると、鱗片状粉末でな
い場合に粉末相互の接触が不十分になり磁気抵抗が高く
なるので好ましくない。
【0012】鱗片状の軟磁性粉末を樹脂に分散させてな
る磁性層に絶縁層を積層することにより、磁性層に誘発
される渦電流を該絶縁層によって分断し、実質的に渦電
流が流れないようにしてその発熱を防止した磁性材を用
いることもできる。具体的には、パーマロイ合金、セン
ダスト合金またはこれらの非晶質合金の鱗片状軟磁性粉
末を樹脂に層状に配向させた磁性層に、軟磁性粉末を含
まない絶縁性樹脂層、あるいはフェライトなどの絶縁性
軟磁性粉末を樹脂に配合した絶縁層を積層した磁性材を
用いることができる。
る磁性層に絶縁層を積層することにより、磁性層に誘発
される渦電流を該絶縁層によって分断し、実質的に渦電
流が流れないようにしてその発熱を防止した磁性材を用
いることもできる。具体的には、パーマロイ合金、セン
ダスト合金またはこれらの非晶質合金の鱗片状軟磁性粉
末を樹脂に層状に配向させた磁性層に、軟磁性粉末を含
まない絶縁性樹脂層、あるいはフェライトなどの絶縁性
軟磁性粉末を樹脂に配合した絶縁層を積層した磁性材を
用いることができる。
【0013】樹脂に複合する軟磁性粉末の平均粒径は1
μm 〜10mmの範囲が好ましい。平均粒径が1μm 未満
であると、接触点が多く磁気抵抗が増すので磁気特性が
低下する。また平均粒径が10mmを超えると樹脂に配合
したときに均一に分散し難い。なお、樹脂に混合する場
合は1mm以下が好ましい。
μm 〜10mmの範囲が好ましい。平均粒径が1μm 未満
であると、接触点が多く磁気抵抗が増すので磁気特性が
低下する。また平均粒径が10mmを超えると樹脂に配合
したときに均一に分散し難い。なお、樹脂に混合する場
合は1mm以下が好ましい。
【0014】上記樹脂質磁性材中の軟磁性粉末の割合は
5〜90重量%が適当であり、40〜90重量%が好ま
しい。5重量%未満では磁気特性が不十分であり、90
重量%を越えると粉末が樹脂に取り込まれず成形が困難
になる。上記磁性材の成形過程において、樹脂に軟磁性
粉末を配合したものに磁場を加えることにより樹脂中の
軟磁性粉末を層状に配向させた磁性材を得ることができ
る。
5〜90重量%が適当であり、40〜90重量%が好ま
しい。5重量%未満では磁気特性が不十分であり、90
重量%を越えると粉末が樹脂に取り込まれず成形が困難
になる。上記磁性材の成形過程において、樹脂に軟磁性
粉末を配合したものに磁場を加えることにより樹脂中の
軟磁性粉末を層状に配向させた磁性材を得ることができ
る。
【0015】
【実施例および比較例】以下、本発明の実施例を比較例
と共に示す。 実施例 図3に電磁調理器のインダクタンスの測定系を示す構成
図を示す。電磁調理器31の内部に電磁誘導加熱コイル
33が内臓されており、該コイル33の下側には磁性材
37が設置され、その下側にコイル制御部35、電源部
36が設けられている。電磁誘導加熱コイル33にはそ
のインダクタンス値を測定するLCRメータ34が接続
されている。磁性材37として表1の試料1〜4を用
い、また比較例として、磁性材を設けないもの(試料
6)、磁性材として軟磁性フェライト材(5mm×60mm×20
mm) を用いたもの(試料5)について、おのおの電磁誘
導加熱コイル33のインダクタンス値を測定した。この
結果を表2に示した。さらに磁性材の衝撃強度試験とし
て、各試料1〜6について厚さ2mm、長さ60mm、幅2
0mmの試験片を1mの高さから鉄板上に落下させ,その
状態を観察した。この結果を表2に示した。表2に示す
ように、本発明に係る電磁誘電加熱器では、上記磁性材
が厚さが薄いわりには従来のフェライト材に匹敵するイ
ンダクタンス上昇効果を有し、しかもフェライト材と異
なり衝撃強度に強い。
と共に示す。 実施例 図3に電磁調理器のインダクタンスの測定系を示す構成
図を示す。電磁調理器31の内部に電磁誘導加熱コイル
33が内臓されており、該コイル33の下側には磁性材
37が設置され、その下側にコイル制御部35、電源部
36が設けられている。電磁誘導加熱コイル33にはそ
のインダクタンス値を測定するLCRメータ34が接続
されている。磁性材37として表1の試料1〜4を用
い、また比較例として、磁性材を設けないもの(試料
6)、磁性材として軟磁性フェライト材(5mm×60mm×20
mm) を用いたもの(試料5)について、おのおの電磁誘
導加熱コイル33のインダクタンス値を測定した。この
結果を表2に示した。さらに磁性材の衝撃強度試験とし
て、各試料1〜6について厚さ2mm、長さ60mm、幅2
0mmの試験片を1mの高さから鉄板上に落下させ,その
状態を観察した。この結果を表2に示した。表2に示す
ように、本発明に係る電磁誘電加熱器では、上記磁性材
が厚さが薄いわりには従来のフェライト材に匹敵するイ
ンダクタンス上昇効果を有し、しかもフェライト材と異
なり衝撃強度に強い。
【0016】
【表1】
【0017】
【表2】
【0018】
【発明の効果】本発明の電磁誘導加熱器は、電磁誘導部
分の近傍に樹脂質軟磁性材を設けたので電磁誘導加熱コ
イルのインダクタンスが高くなり、加熱部分の渦電流に
よる発熱効果に優れる。しかも該樹脂質磁性材は衝撃に
強く、加工性に優れているので、該磁性材の取付け時に
該磁性材自体が破損することがなく、運搬時の破損やひ
び割れの虞もない。また該樹脂質磁性材は電気抵抗が大
きいので軟磁性材自体は発熱し難い。
分の近傍に樹脂質軟磁性材を設けたので電磁誘導加熱コ
イルのインダクタンスが高くなり、加熱部分の渦電流に
よる発熱効果に優れる。しかも該樹脂質磁性材は衝撃に
強く、加工性に優れているので、該磁性材の取付け時に
該磁性材自体が破損することがなく、運搬時の破損やひ
び割れの虞もない。また該樹脂質磁性材は電気抵抗が大
きいので軟磁性材自体は発熱し難い。
【図1】本発明に係る電磁炊飯器の模式断面図。
【図2】該電磁炊飯器の底部を模式的に示す平面図。
【図3】電磁誘導加熱コイルのインダクタンス測定系を
示す構成図。
示す構成図。
【図4】従来の電磁炊飯器の模式断面図。
【図5】該電磁炊飯器の底部を模式的に示す平面図。
10−電磁誘導加熱器 11−外釜 12−内釜 13−電磁誘導加熱コイル 20−磁性材
フロントページの続き (72)発明者 土木田 芳彦 埼玉県大宮市北袋町1丁目297番地 三菱 マテリアル株式会社新素材開発センター内
Claims (7)
- 【請求項1】 電磁誘導部に、軟磁性材料と樹脂とを複
合してなる樹脂質磁性材を設けてインダクタンスを高め
た電磁誘導加熱器。 - 【請求項2】 電磁誘導部に、樹脂中に軟磁性粉末を分
散させてなる樹脂質磁性材を設けた請求項1の電磁誘導
加熱器。 - 【請求項3】 電磁誘導部に、軟磁性材の箔と樹脂層を
積層してなる樹脂質磁性材を設けた請求項1の電磁誘導
加熱器。 - 【請求項4】 電磁誘導部に、軟磁性粉末を樹脂中に分
散させた磁気シールド層と樹脂層を積層してなる樹脂質
磁性材を設けた請求項1の電磁誘導加熱器。 - 【請求項5】 電磁誘導部に、軟磁性粉末を有機結合剤
と混合して樹脂シートにコーテングし積層してなる樹脂
質磁性材を設けた請求項1の電磁誘導加熱器。 - 【請求項6】 電磁誘導部に、合金系の軟磁性粉末と絶
縁性の軟磁性粉末とを樹脂中に分散させてなる樹脂質磁
性材を設けた請求項1の電磁誘導加熱器。 - 【請求項7】 上記軟磁性粉末が高透磁率および低保磁
力を有しアスペクト比が5以上の鱗片状粉末である請求
項1ないし6のいずれかの電磁誘導加熱器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14016993A JPH06333670A (ja) | 1993-05-19 | 1993-05-19 | 電磁誘導加熱器 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14016993A JPH06333670A (ja) | 1993-05-19 | 1993-05-19 | 電磁誘導加熱器 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06333670A true JPH06333670A (ja) | 1994-12-02 |
Family
ID=15262493
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP14016993A Pending JPH06333670A (ja) | 1993-05-19 | 1993-05-19 | 電磁誘導加熱器 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06333670A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2008054070A1 (en) * | 2006-11-03 | 2008-05-08 | Sung Il Kim | A heating apparatus and luminous apparatus using induction heating |
EP3821769A1 (en) | 2019-11-18 | 2021-05-19 | Ztove ApS | Smart cookware for use on induction cooktops |
-
1993
- 1993-05-19 JP JP14016993A patent/JPH06333670A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2008054070A1 (en) * | 2006-11-03 | 2008-05-08 | Sung Il Kim | A heating apparatus and luminous apparatus using induction heating |
EP3821769A1 (en) | 2019-11-18 | 2021-05-19 | Ztove ApS | Smart cookware for use on induction cooktops |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20000801 |