JPH06333665A - スパークプラグ用絶縁碍子 - Google Patents
スパークプラグ用絶縁碍子Info
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- JPH06333665A JPH06333665A JP11828693A JP11828693A JPH06333665A JP H06333665 A JPH06333665 A JP H06333665A JP 11828693 A JP11828693 A JP 11828693A JP 11828693 A JP11828693 A JP 11828693A JP H06333665 A JPH06333665 A JP H06333665A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 窒化アルミニウム質焼結体よりなるスパーク
プラグ用絶縁碍子の表面に放電エネルギーにより導電金
属が析出して導電路になることによるトラッキング現象
の発生を防止することを可能にする。 【構成】 ガソリン機関用のスパークプラグ1を、ガソ
リン機関に取り付けるための主体金具2、この主体金具
2により支持された絶縁碍子5、この絶縁碍子5の脚長
部13内に嵌め込まれた中心電極4、および絶縁碍子5
のコルゲーション部14内に嵌め込まれた端子電極8等
より構成した。そして、その絶縁碍子5を、窒化アルミ
ニウム原料粉末に酸化イットリウムを添加して焼成した
窒化アルミニウム質焼結体よりなる碍子母材の表面に、
酸化イットリウムとアルミナとを混合してなり、放電エ
ネルギーにより分解し難い酸化物被膜をディッピングし
て成形した。
プラグ用絶縁碍子の表面に放電エネルギーにより導電金
属が析出して導電路になることによるトラッキング現象
の発生を防止することを可能にする。 【構成】 ガソリン機関用のスパークプラグ1を、ガソ
リン機関に取り付けるための主体金具2、この主体金具
2により支持された絶縁碍子5、この絶縁碍子5の脚長
部13内に嵌め込まれた中心電極4、および絶縁碍子5
のコルゲーション部14内に嵌め込まれた端子電極8等
より構成した。そして、その絶縁碍子5を、窒化アルミ
ニウム原料粉末に酸化イットリウムを添加して焼成した
窒化アルミニウム質焼結体よりなる碍子母材の表面に、
酸化イットリウムとアルミナとを混合してなり、放電エ
ネルギーにより分解し難い酸化物被膜をディッピングし
て成形した。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車等に搭載される
内燃機関に取り付けられるスパークプラグ用絶縁碍子に
関するものである。
内燃機関に取り付けられるスパークプラグ用絶縁碍子に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、ガソリン機関に取り付けられ
るスパークプラグのプレイグニッション現象等を防止す
る目的で、スパークプラグの熱引きを向上させるため
に、アルミナ質焼結体より熱伝導率に優れる窒化アルミ
ニウム質焼結体を絶縁碍子に使用した技術(特公昭55
−46634号公報等)が知られている。
るスパークプラグのプレイグニッション現象等を防止す
る目的で、スパークプラグの熱引きを向上させるため
に、アルミナ質焼結体より熱伝導率に優れる窒化アルミ
ニウム質焼結体を絶縁碍子に使用した技術(特公昭55
−46634号公報等)が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、従来の技術
においては、火花放電ギャップでの火花放電時に発生す
るコロナ放電の放電エネルギーにより窒化アルミニウム
質焼結体が、AlN→Al+N2 ↑のように分解して、
絶縁碍子の表面に導電性金属であるアルミニウムが析出
してしまうことがあった。そして、絶縁碍子の表面に析
出したアルミニウムが導通路になることにより、絶縁碍
子と主体金具との間の絶縁が低下して中心電極と主体金
具とが短絡してしまい、絶縁碍子の脚長部にトラッキン
グ現象が発生する。これにより、火花放電ギャップにお
ける火花放電が不完全になり飛火ミスが多くなってしま
うため、やがてガソリン機関の失火や停止に至るという
問題点があった。
においては、火花放電ギャップでの火花放電時に発生す
るコロナ放電の放電エネルギーにより窒化アルミニウム
質焼結体が、AlN→Al+N2 ↑のように分解して、
絶縁碍子の表面に導電性金属であるアルミニウムが析出
してしまうことがあった。そして、絶縁碍子の表面に析
出したアルミニウムが導通路になることにより、絶縁碍
子と主体金具との間の絶縁が低下して中心電極と主体金
具とが短絡してしまい、絶縁碍子の脚長部にトラッキン
グ現象が発生する。これにより、火花放電ギャップにお
ける火花放電が不完全になり飛火ミスが多くなってしま
うため、やがてガソリン機関の失火や停止に至るという
問題点があった。
【0004】本発明は、表面にアルミニウムが析出する
ことによるトラッキング現象の発生を防止することが可
能なスパークプラグ用絶縁碍子の提供を目的とする。
ことによるトラッキング現象の発生を防止することが可
能なスパークプラグ用絶縁碍子の提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、窒化
アルミニウムを主成分とし、この窒化アルミニウムに酸
化物よりなる焼結助剤を添加してなる絶縁碍子母材と、
この絶縁碍子母材の表面に設けられ、前記焼結助剤とほ
ぼ同一成分よりなる焼結助剤と酸化アルミニウムとを混
合した酸化物被膜とからなる技術手段を採用した。
アルミニウムを主成分とし、この窒化アルミニウムに酸
化物よりなる焼結助剤を添加してなる絶縁碍子母材と、
この絶縁碍子母材の表面に設けられ、前記焼結助剤とほ
ぼ同一成分よりなる焼結助剤と酸化アルミニウムとを混
合した酸化物被膜とからなる技術手段を採用した。
【0006】請求項2の発明は、請求項1に記載のスパ
ークプラグ用絶縁碍子において、前記酸化物被膜は、前
記絶縁碍子母材の表面に2μm以上50μm以下の厚み
で形成されている技術手段を採用した。なお、絶縁碍子
は、主体金具により支持される脚長部内に中心電極を備
えており、酸化物被膜は、絶縁碍子のうち少なくとも脚
長部に設けてあれば良い。
ークプラグ用絶縁碍子において、前記酸化物被膜は、前
記絶縁碍子母材の表面に2μm以上50μm以下の厚み
で形成されている技術手段を採用した。なお、絶縁碍子
は、主体金具により支持される脚長部内に中心電極を備
えており、酸化物被膜は、絶縁碍子のうち少なくとも脚
長部に設けてあれば良い。
【0007】
【作用】請求項1の発明によれば、絶縁碍子母材の窒化
アルミニウム成分が直接放電エネルギーに晒されないよ
うに、絶縁碍子母材の表面を放電エネルギーにより分解
し難い酸化物被膜で覆うことによって、スパークプラグ
用絶縁碍子の表面にトラッキングが生じ難くなる。
アルミニウム成分が直接放電エネルギーに晒されないよ
うに、絶縁碍子母材の表面を放電エネルギーにより分解
し難い酸化物被膜で覆うことによって、スパークプラグ
用絶縁碍子の表面にトラッキングが生じ難くなる。
【0008】請求項2の発明によれば、酸化物被膜の厚
みを2μm未満に小さくすると酸化物被膜としての効果
を備えない。また、酸化物被膜の厚みを50μmより大
きくすると、絶縁碍子母材の表面に酸化物被膜を形成す
る時に酸化物被膜にクラックや剥離が生じるため良好な
被膜が形成されない。
みを2μm未満に小さくすると酸化物被膜としての効果
を備えない。また、酸化物被膜の厚みを50μmより大
きくすると、絶縁碍子母材の表面に酸化物被膜を形成す
る時に酸化物被膜にクラックや剥離が生じるため良好な
被膜が形成されない。
【0009】
【実施例】本発明のスパークプラグ用絶縁碍子を図に示
す実施例に基づき説明する。 〔第1実施例の構成〕図1および図2は本発明の第1実
施例を示したもので、図1は自動車に搭載されるガソリ
ン機関用のスパークプラグを示した図である。スパーク
プラグ1は、主体金具2、接地電極3、中心電極4およ
び絶縁碍子5等より構成されている。
す実施例に基づき説明する。 〔第1実施例の構成〕図1および図2は本発明の第1実
施例を示したもので、図1は自動車に搭載されるガソリ
ン機関用のスパークプラグを示した図である。スパーク
プラグ1は、主体金具2、接地電極3、中心電極4およ
び絶縁碍子5等より構成されている。
【0010】主体金具2は、スパークプラグ1の外殻を
構成し、絶縁碍子5の支持およびガソリンエンジンへの
取り付けの役目をする。この主体金具2の上部にはレン
チ等の工具をかけるための六角部6が形成されており、
下部にはガソリンエンジンへの取付用のねじ部7が形成
されており、先端には接地電極3が溶接等の手段により
接合されている。
構成し、絶縁碍子5の支持およびガソリンエンジンへの
取り付けの役目をする。この主体金具2の上部にはレン
チ等の工具をかけるための六角部6が形成されており、
下部にはガソリンエンジンへの取付用のねじ部7が形成
されており、先端には接地電極3が溶接等の手段により
接合されている。
【0011】接地電極3や中心電極4は、ガソリンエン
ジンの使用中に高温の燃焼ガスに晒されるためにニッケ
ル、クロム合金やニッケル、マンガン、シリコン合金等
が使用されている。接地電極3の放電端面と中心電極4
の先端面との間には火花放電ギャップGが形成されてい
る。また、中心電極4は、高電圧が印加される端子電極
8の中軸9との間に、電波雑音防止用の抵抗体10が配
されている。また、中心電極4の後端部と中軸9との間
は、導電性ガラス粉末11を溶融することによりガラス
シールされている。
ジンの使用中に高温の燃焼ガスに晒されるためにニッケ
ル、クロム合金やニッケル、マンガン、シリコン合金等
が使用されている。接地電極3の放電端面と中心電極4
の先端面との間には火花放電ギャップGが形成されてい
る。また、中心電極4は、高電圧が印加される端子電極
8の中軸9との間に、電波雑音防止用の抵抗体10が配
されている。また、中心電極4の後端部と中軸9との間
は、導電性ガラス粉末11を溶融することによりガラス
シールされている。
【0012】絶縁碍子5は、軸孔内部に中心電極4を嵌
め込んでおり、主体金具2をかしめることにより主体金
具2内で保持されている。また、絶縁碍子5の発火部1
2側にはガソリンエンジンの使用中に高温の燃焼ガスに
晒される脚長部13が設けられ、後端側には端子電極8
の中軸9を収めるコルゲーション部14が設けられてい
る。
め込んでおり、主体金具2をかしめることにより主体金
具2内で保持されている。また、絶縁碍子5の発火部1
2側にはガソリンエンジンの使用中に高温の燃焼ガスに
晒される脚長部13が設けられ、後端側には端子電極8
の中軸9を収めるコルゲーション部14が設けられてい
る。
【0013】また、絶縁碍子5は、図2に示したよう
に、含有量が99重量%以上の窒化アルミニウム(Al
N)に、酸化イットリウム(Y2 O3 )、酸化カルシウ
ム(CaO)等の酸化物のうちから一種類選んだ焼結助
剤を添加してなる絶縁碍子母材15と、この絶縁碍子母
材15の表面に2μm以上50μm以下の厚みでディッ
ピングされた酸化物被膜16とから構成されている。そ
の酸化物被膜16は、絶縁碍子母材15の焼結助剤とし
て用いた同一の酸化物を被膜剤中の含有量30重量%〜
80重量%と、酸化アルミニウム(アルミナ)を被膜剤
中の含有量20重量%〜70重量%とを混合した混合物
よりなる。
に、含有量が99重量%以上の窒化アルミニウム(Al
N)に、酸化イットリウム(Y2 O3 )、酸化カルシウ
ム(CaO)等の酸化物のうちから一種類選んだ焼結助
剤を添加してなる絶縁碍子母材15と、この絶縁碍子母
材15の表面に2μm以上50μm以下の厚みでディッ
ピングされた酸化物被膜16とから構成されている。そ
の酸化物被膜16は、絶縁碍子母材15の焼結助剤とし
て用いた同一の酸化物を被膜剤中の含有量30重量%〜
80重量%と、酸化アルミニウム(アルミナ)を被膜剤
中の含有量20重量%〜70重量%とを混合した混合物
よりなる。
【0014】次に、この実施例の絶縁碍子5を図1およ
び図2に基づいて詳細に説明する。絶縁碍子5を成形す
るセラミックス原料として、純度90.0%〜99.0
%で平均粒径1.0μmの窒化アルミニウム原料粉末
(AlN)中に、不純物として酸素(Al2 O3 として
存在)を0.90%〜9.0%含有したものを使用し
た。また、焼結助剤として、Y2 O3 またはCaO(C
aCO3 として添加)の、いずれも純度99%で平均粒
径1μm以下のよりなる酸化物を使用して表1に示すよ
うに以下の操作を行った。
び図2に基づいて詳細に説明する。絶縁碍子5を成形す
るセラミックス原料として、純度90.0%〜99.0
%で平均粒径1.0μmの窒化アルミニウム原料粉末
(AlN)中に、不純物として酸素(Al2 O3 として
存在)を0.90%〜9.0%含有したものを使用し
た。また、焼結助剤として、Y2 O3 またはCaO(C
aCO3 として添加)の、いずれも純度99%で平均粒
径1μm以下のよりなる酸化物を使用して表1に示すよ
うに以下の操作を行った。
【0015】〔第1実施例の作用〕次に、この実施例の
スパークプラグ1の作用を図1および図2に基づいて簡
単に説明する。窒化アルミニウムに酸化物よりなる焼結
助剤を添加して絶縁碍子母材15を構成し、酸化物被膜
16を施そうとする絶縁碍子母材15の焼結助剤とほぼ
同一成分よりなる焼結助剤と酸化アルミニウムと混合し
て酸化物被膜16を構成している。これにより、絶縁碍
子母材15の表面には、焼成した後に焼結助剤と酸化ア
ルミニウムとからなる組成物が析出するため、その組成
物と酸化物被膜16とが強固に接着するので、酸化物被
膜16が絶縁碍子母材15の表面に強固に固着する。し
たがって、絶縁碍子母材15の窒化アルミニウム成分が
直接放電エネルギーに晒されないように、放電エネルギ
ーにより分解し難い酸化物被膜16で絶縁碍子母材15
の表面を覆うことによって、絶縁碍子5の脚長部(中心
電極4の先端部周辺より主体金具2が最も接近している
部分までを言う)13の表面にトラッキングが発生しな
くなる。
スパークプラグ1の作用を図1および図2に基づいて簡
単に説明する。窒化アルミニウムに酸化物よりなる焼結
助剤を添加して絶縁碍子母材15を構成し、酸化物被膜
16を施そうとする絶縁碍子母材15の焼結助剤とほぼ
同一成分よりなる焼結助剤と酸化アルミニウムと混合し
て酸化物被膜16を構成している。これにより、絶縁碍
子母材15の表面には、焼成した後に焼結助剤と酸化ア
ルミニウムとからなる組成物が析出するため、その組成
物と酸化物被膜16とが強固に接着するので、酸化物被
膜16が絶縁碍子母材15の表面に強固に固着する。し
たがって、絶縁碍子母材15の窒化アルミニウム成分が
直接放電エネルギーに晒されないように、放電エネルギ
ーにより分解し難い酸化物被膜16で絶縁碍子母材15
の表面を覆うことによって、絶縁碍子5の脚長部(中心
電極4の先端部周辺より主体金具2が最も接近している
部分までを言う)13の表面にトラッキングが発生しな
くなる。
【0016】〔第1実施例の効果〕以上のように、この
実施例のスパークプラグ1は、酸化物被膜16により絶
縁碍子母材15が直接放電エネルギーに晒されないた
め、トラッキングの発生を防止することができる。これ
により、正規の火花放電ギャップGの飛火ミスを防止す
ることができるので、ガソリン機関の失火や停止を防止
することができる。
実施例のスパークプラグ1は、酸化物被膜16により絶
縁碍子母材15が直接放電エネルギーに晒されないた
め、トラッキングの発生を防止することができる。これ
により、正規の火花放電ギャップGの飛火ミスを防止す
ることができるので、ガソリン機関の失火や停止を防止
することができる。
【0017】〔スパークプラグ試料の製造方法〕次に、
スパークプラグ試料(表1の実施例1〜実施例6、比較
例1〜比較例5、比較例8および比較例9)の製造方法
を説明する。アルミナ還元窒化法により合成された窒化
アルミニウム原料粉末に対して5重量%のY2 O3 また
はCaO(CaCO3 として添加)よりなる焼結助剤を
加えたものに、ワックス系やポリビニルアルコール(P
VA)系の有機質バインダーを混合した後にスプレード
ライヤー(噴霧乾燥機)にて造粒して、粒径40μm〜
100μmの窒化アルミニウム造粒粉末を作る。
スパークプラグ試料(表1の実施例1〜実施例6、比較
例1〜比較例5、比較例8および比較例9)の製造方法
を説明する。アルミナ還元窒化法により合成された窒化
アルミニウム原料粉末に対して5重量%のY2 O3 また
はCaO(CaCO3 として添加)よりなる焼結助剤を
加えたものに、ワックス系やポリビニルアルコール(P
VA)系の有機質バインダーを混合した後にスプレード
ライヤー(噴霧乾燥機)にて造粒して、粒径40μm〜
100μmの窒化アルミニウム造粒粉末を作る。
【0018】続いて、窒化アルミニウム造粒粉末をプレ
ス圧力100MPaで冷間静水圧プレス(C.I.P)
成形した後に、窒化アルミニウム質プレス成形体を離型
して大気中500℃で加熱することにより有機質バイン
ダーを焼き取り(脱脂工程)、絶縁碍子5の形状に旋盤
等で切削加工する。続いて、窒化アルミニウム質プレス
成形体を窒素雰囲気中、焼成温度1750℃、2時間の
焼成条件で常圧焼結法により焼成して絶縁碍子母材15
を構成する窒化アルミニウム質焼結体を製作する。
ス圧力100MPaで冷間静水圧プレス(C.I.P)
成形した後に、窒化アルミニウム質プレス成形体を離型
して大気中500℃で加熱することにより有機質バイン
ダーを焼き取り(脱脂工程)、絶縁碍子5の形状に旋盤
等で切削加工する。続いて、窒化アルミニウム質プレス
成形体を窒素雰囲気中、焼成温度1750℃、2時間の
焼成条件で常圧焼結法により焼成して絶縁碍子母材15
を構成する窒化アルミニウム質焼結体を製作する。
【0019】続いて、その窒化アルミニウム焼結体の表
面に表1に示す条件で焼結助剤とアルミナ(Al
2 O3 )とを混合した酸化物被膜16を構成する泥状の
被膜剤(溶媒としてエタノールを使用)を塗布またはデ
ィッピングした後に、窒素雰囲気中、焼成温度1750
℃、2時間の焼成条件で常圧焼結法により焼成して絶縁
碍子5を製作する。続いて、絶縁碍子5内に中心電極4
を挿入し、導電性ガラス粉末11を充填した後に抵抗体
10を挿入して再度導電性ガラス粉末11を充填し、端
子電極8の中軸9を高温にて圧入して中心電極4の後端
部と端子電極8の中軸9との間をガラスシールする。そ
して、先端に接地電極3を溶接した主体金具2内に絶縁
碍子5を組み付けてスパークプラグ1を製作する。
面に表1に示す条件で焼結助剤とアルミナ(Al
2 O3 )とを混合した酸化物被膜16を構成する泥状の
被膜剤(溶媒としてエタノールを使用)を塗布またはデ
ィッピングした後に、窒素雰囲気中、焼成温度1750
℃、2時間の焼成条件で常圧焼結法により焼成して絶縁
碍子5を製作する。続いて、絶縁碍子5内に中心電極4
を挿入し、導電性ガラス粉末11を充填した後に抵抗体
10を挿入して再度導電性ガラス粉末11を充填し、端
子電極8の中軸9を高温にて圧入して中心電極4の後端
部と端子電極8の中軸9との間をガラスシールする。そ
して、先端に接地電極3を溶接した主体金具2内に絶縁
碍子5を組み付けてスパークプラグ1を製作する。
【0020】〔実施例と比較例の特性〕次に、表1に基
づいて、実施例と比較例との特性を比較する。ここで、
表1には、実施例1〜実施例6、比較例1〜比較例9に
ついて、絶縁碍子5の焼結助剤の成分、酸化物被膜を構
成する被膜剤の組成(重量%)、酸化物被膜の厚み(μ
m)を記すと共に、耐トラッキング性を測定した結果を
示した。なお、酸化物被膜16の厚みはSEM(走査型
電子顕微鏡)により測定した。また、比較例6および比
較例7には、絶縁碍子母材15の表面に酸化物被膜をデ
ィッピングしないものを記した。
づいて、実施例と比較例との特性を比較する。ここで、
表1には、実施例1〜実施例6、比較例1〜比較例9に
ついて、絶縁碍子5の焼結助剤の成分、酸化物被膜を構
成する被膜剤の組成(重量%)、酸化物被膜の厚み(μ
m)を記すと共に、耐トラッキング性を測定した結果を
示した。なお、酸化物被膜16の厚みはSEM(走査型
電子顕微鏡)により測定した。また、比較例6および比
較例7には、絶縁碍子母材15の表面に酸化物被膜をデ
ィッピングしないものを記した。
【0021】
【表1】 ×印は酸化物被膜に亀裂が生じたものを示す。△印は酸
化物被膜がAlN質の絶縁碍子母材表面より剥離したも
のを示す。
化物被膜がAlN質の絶縁碍子母材表面より剥離したも
のを示す。
【0022】ここで、耐トラッキング性に対する実験
は、接地電極3を除去したスパークプラグ試料(実施例
1〜実施例6、比較例1〜比較例9)を、加圧容器内に
入れて1MPaの空気加圧にて30kVの高電圧を端子
電極8に印加して絶縁碍子5の脚長部13にフラッシュ
オーバーさせるようにした。これは、直流インパルス電
圧発生器にて毎分3000回スパークさせて行った。こ
の実験を行うことによって、絶縁碍子5の脚長部13よ
りトラッキングの発生するものは、トラッキング痕が導
通路となるため、主体金具2と中心電極4とがやがて導
通して短絡し、飛火ミスするため、飛火ミスに至るまで
の時間(h)で耐トラッキング性を評価することが可能
になる。
は、接地電極3を除去したスパークプラグ試料(実施例
1〜実施例6、比較例1〜比較例9)を、加圧容器内に
入れて1MPaの空気加圧にて30kVの高電圧を端子
電極8に印加して絶縁碍子5の脚長部13にフラッシュ
オーバーさせるようにした。これは、直流インパルス電
圧発生器にて毎分3000回スパークさせて行った。こ
の実験を行うことによって、絶縁碍子5の脚長部13よ
りトラッキングの発生するものは、トラッキング痕が導
通路となるため、主体金具2と中心電極4とがやがて導
通して短絡し、飛火ミスするため、飛火ミスに至るまで
の時間(h)で耐トラッキング性を評価することが可能
になる。
【0023】〔実施例と比較例の比較結果〕以上の調査
結果で確認できるように、実施例1〜実施例6の耐トラ
ッキング性に関する寿命がいずれも50時間(h)以上
を示すため、耐トラッキング性が良好なことが確認でき
る。これらに対して、比較例1、比較例2および比較例
5は、絶縁碍子母材15の表面を覆う酸化物被膜16の
膜厚が50μmより厚いため酸化物被膜16内に亀裂が
無数に入り、実験中この亀裂より徐々に酸化物被膜16
の剥離が生じるため、耐トラッキング性に関する寿命が
いずれも短くなる。
結果で確認できるように、実施例1〜実施例6の耐トラ
ッキング性に関する寿命がいずれも50時間(h)以上
を示すため、耐トラッキング性が良好なことが確認でき
る。これらに対して、比較例1、比較例2および比較例
5は、絶縁碍子母材15の表面を覆う酸化物被膜16の
膜厚が50μmより厚いため酸化物被膜16内に亀裂が
無数に入り、実験中この亀裂より徐々に酸化物被膜16
の剥離が生じるため、耐トラッキング性に関する寿命が
いずれも短くなる。
【0024】また、比較例3および比較例4は、絶縁碍
子母材15の表面を覆う酸化物被膜16の膜厚が2μm
より薄いため、また比較例6および比較例7は、絶縁碍
子母材15の表面に酸化物被膜16を全く持たないた
め、耐トラッキング性に対する効果を発揮できないこと
が確認できる。さらに、比較例8は、絶縁碍子母材15
の焼結助剤成分と異なる焼結助剤を酸化物被膜16に用
いた例を示し、比較例9は酸化物被膜16をアルミナの
みで構成した例を示す。これらの場合は、絶縁碍子母材
15の表面より酸化物被膜16が剥離すると共に、耐ト
ラッキング性に対する効果を発揮できないことが確認で
きる。
子母材15の表面を覆う酸化物被膜16の膜厚が2μm
より薄いため、また比較例6および比較例7は、絶縁碍
子母材15の表面に酸化物被膜16を全く持たないた
め、耐トラッキング性に対する効果を発揮できないこと
が確認できる。さらに、比較例8は、絶縁碍子母材15
の焼結助剤成分と異なる焼結助剤を酸化物被膜16に用
いた例を示し、比較例9は酸化物被膜16をアルミナの
みで構成した例を示す。これらの場合は、絶縁碍子母材
15の表面より酸化物被膜16が剥離すると共に、耐ト
ラッキング性に対する効果を発揮できないことが確認で
きる。
【0025】〔第2実施例〕図3および図4は本発明の
第2実施例を示したもので、図3はガソリン機関用のス
パークプラグを示した図である。この実施例のスパーク
プラグ1は、主体金具2により分割型絶縁碍子17を支
持している。この分割型絶縁碍子17は、発火部12側
に設けられ、中心電極4を嵌め込む脚長部13を構成す
る窒化アルミニウム質焼結体18と、この窒化アルミニ
ウム質焼結体18の後端側に凹凸嵌合され、端子電極8
の中軸9を嵌め込むコルゲーション部14を構成する酸
化アルミニウム(アルミナ)質焼結体19とからなる。
第2実施例を示したもので、図3はガソリン機関用のス
パークプラグを示した図である。この実施例のスパーク
プラグ1は、主体金具2により分割型絶縁碍子17を支
持している。この分割型絶縁碍子17は、発火部12側
に設けられ、中心電極4を嵌め込む脚長部13を構成す
る窒化アルミニウム質焼結体18と、この窒化アルミニ
ウム質焼結体18の後端側に凹凸嵌合され、端子電極8
の中軸9を嵌め込むコルゲーション部14を構成する酸
化アルミニウム(アルミナ)質焼結体19とからなる。
【0026】なお、窒化アルミニウム質焼結体18は、
図4に示したように、主成分の窒化アルミニウム中に酸
化イットリウム等の酸化物よりなる焼結助剤を添加して
なる絶縁碍子母材20を焼成し、その絶縁碍子母材20
の表面に酸化イットリウム等の焼結助剤とアルミナとを
混合した酸化物被膜21を塗布またはディッピングした
後に再度焼成して製造されたものである。このように、
分割型絶縁碍子17の先端側の窒化アルミニウム質焼結
体18にのみ、すなわち、分割型絶縁碍子17のうちの
少なくとも脚長部13の表面にのみ酸化物被膜21を形
成することによって、熱引きに優れ、トラッキング現象
の発生の少ないスパークプラグ1を低コストで得ること
ができる。
図4に示したように、主成分の窒化アルミニウム中に酸
化イットリウム等の酸化物よりなる焼結助剤を添加して
なる絶縁碍子母材20を焼成し、その絶縁碍子母材20
の表面に酸化イットリウム等の焼結助剤とアルミナとを
混合した酸化物被膜21を塗布またはディッピングした
後に再度焼成して製造されたものである。このように、
分割型絶縁碍子17の先端側の窒化アルミニウム質焼結
体18にのみ、すなわち、分割型絶縁碍子17のうちの
少なくとも脚長部13の表面にのみ酸化物被膜21を形
成することによって、熱引きに優れ、トラッキング現象
の発生の少ないスパークプラグ1を低コストで得ること
ができる。
【0027】
【発明の効果】請求項1の発明は、酸化物被膜により絶
縁碍子母材が直接放電エネルギーに晒されないため、ト
ラッキングの発生を抑えることができる。これにより、
正規の火花放電ギャップの飛火ミスを抑えることができ
るので、ガソリン機関の失火や停止を抑制することがで
きる。
縁碍子母材が直接放電エネルギーに晒されないため、ト
ラッキングの発生を抑えることができる。これにより、
正規の火花放電ギャップの飛火ミスを抑えることができ
るので、ガソリン機関の失火や停止を抑制することがで
きる。
【0028】請求項2の発明は、絶縁碍子母材の表面を
覆う酸化物被膜の膜厚を2μm以上50μm以下の厚み
にしているので、耐トラッキング性の効果を十分に発揮
することができる。
覆う酸化物被膜の膜厚を2μm以上50μm以下の厚み
にしているので、耐トラッキング性の効果を十分に発揮
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例にかかるガソリン機関用の
スパークプラグを示した断面図である。
スパークプラグを示した断面図である。
【図2】図1のスパークプラグの絶縁碍子の主要部を示
した断面図である。
した断面図である。
【図3】本発明の第2実施例にかかるガソリン機関用の
スパークプラグを示した断面図である。
スパークプラグを示した断面図である。
【図4】図3のスパークプラグの絶縁碍子の主要部を示
した断面図である。
した断面図である。
1 スパークプラグ 2 主体金具 4 中心電極 5 絶縁碍子 8 端子電極 13 脚長部 15 絶縁碍子母材 16 酸化物被膜 18 窒化アルミニウム質焼結体 19 アルミナ質焼結体 20 絶縁碍子母材 21 酸化物被膜
フロントページの続き (72)発明者 西川 倹一 名古屋市瑞穂区高辻町14番18号 日本特殊 陶業株式会社内
Claims (3)
- 【請求項1】 (a)窒化アルミニウムを主成分とし、
この窒化アルミニウムに酸化物よりなる焼結助剤を添加
してなる絶縁碍子母材と、 (b)この絶縁碍子母材の表面に設けられ、前記焼結助
剤とほぼ同一成分よりなる焼結助剤と酸化アルミニウム
とを混合した酸化物被膜とからなるスパークプラグ用絶
縁碍子。 - 【請求項2】 請求項1に記載のスパークプラグ用絶縁
碍子において、 前記酸化物被膜は、前記絶縁碍子母材の表面に2μm以
上50μm以下の厚みで形成されていることを特徴とす
るスパークプラグ用絶縁碍子。 - 【請求項3】 請求項1または請求項2のうちのいずれ
かに記載のスパークプラグ用絶縁碍子において、 前記絶縁碍子は、主体金具により支持される脚長部内に
中心電極を備え、 前記酸化物被膜は、前記絶縁碍子のうち少なくとも前記
脚長部に設けたことを特徴とするスパークプラグ用絶縁
碍子。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11828693A JPH06333665A (ja) | 1993-05-20 | 1993-05-20 | スパークプラグ用絶縁碍子 |
BR9401701A BR9401701A (pt) | 1993-05-20 | 1994-05-19 | Isolador para vela de ignição |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11828693A JPH06333665A (ja) | 1993-05-20 | 1993-05-20 | スパークプラグ用絶縁碍子 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06333665A true JPH06333665A (ja) | 1994-12-02 |
Family
ID=14732914
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11828693A Pending JPH06333665A (ja) | 1993-05-20 | 1993-05-20 | スパークプラグ用絶縁碍子 |
Country Status (2)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06333665A (ja) |
BR (1) | BR9401701A (ja) |
-
1993
- 1993-05-20 JP JP11828693A patent/JPH06333665A/ja active Pending
-
1994
- 1994-05-19 BR BR9401701A patent/BR9401701A/pt not_active Application Discontinuation
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
BR9401701A (pt) | 1994-12-06 |
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