JPH0633347A - 複列針床経編機における筬運動装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 二面式経編地の編成において、前後基布を連
結するパイル糸に特別な編成運動を与えることでフォー
ルプレートを用いずにフォールプレートラップの形成が
できる筬運動装置を提供すること。 【構成】 前部筬、中間筬及び後部筬を有し、複列の編
針列を備えた経編機において、中間筬について前後両編
針列への編成運動手段として、筬振り運動と昇降運動の
合成運動手段を備え、これにより中間筬に装着される導
糸杆が両編針列の間で８の字状の運動軌跡を描くように
なし、導糸杆より導糸されるパイル糸がニードルに円滑
に作用して安定したフォールプレートラップを形成す
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、主として二面式経編地
を特に人工芝生用として編成するために、パイル糸用と
しての太糸を好適に編成するための複列針床経編機にお
ける筬運動装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】前後二列の編針列を有し、該編針列に対
し前部筬、後部筬及びこれらの筬に挾まれる中間筬を備
えてなる複列針床経編機を用い、前部筬の地糸により前
部側基布を、後部筬の地糸により後部側基布を編成する
とともに、中間筬のパイル糸により前記両基布を連結編
成して二面式経編地を編成後、パイル糸の連結個所の中
間部分を切断することにより、二枚のカットパイル経編
地とすることは周知である。

【０００３】又、前記カットパイル経編地を人工芝生な
どに使用することも良く知られており、実際に製品化が
なされている。この人工芝生においては、パイルの立毛
性が問題となっており、本出願人も、この立毛性を高め
る新規なパイルの立毛構造に関し、特願平４−１３９７
９５号において提案している。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上記提案におけるパイ
ル糸については、地糸により編成される基布中に、ニー
ドルループにより止定するのでなく、前後の２つのルー
プに緊締するために、いわゆるフォールプレートラップ
あるいはヘンケンループと称される特殊編込み形態にパ
イル糸を編成しなければならない。

【０００５】このためには、地糸によるニードルループ
形成以前に編針にパイル糸をオーバーラップさせた後
で、編針のフック内のループ形成可能位置より編針の根
元のループ形成不能位置へ落すことが必要である。本発
明は、このパイル糸を通糸する筬に特別な編成運動を与
えることでフォールプレートを用いずにフォールプレー
トラップの形成ができる筬運動装置を提供せんとするも
のである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、前後二列の編
針列と、前部筬、後部筬及びこれらの筬に挾まれる中間
筬からなる複列針床経編機において、中間筬が両編針列
に対する筬振り運動と昇降運動の合成運動手段を備えて
なり、中間筬に装着される導糸杆が両編針間で８の字状
の運動軌跡を描くようにしたものである。

【０００７】

【実施例】図１は本発明の筬運動装置の一実施例を示す
編成要部の斜視図、図２は、筬運動装置を備えてなる複
列針床経編機の編成要部の側面図、図３〜図１０は、本
発明の駆動装置を用いた経編機の一編成サイクルの各々
の編成過程を示す編成要部の概略側面図である。

【０００８】図１において１ａは前部の針列におけるニ
ードル、２ａはトングであり、１ｂは後部の針列におけ
るニードル、２ｂはトングである。３は、パイル糸を導
糸する導糸杆であり、パイル糸をニードルに対し円滑に
給糸するために、パイプガイド形態をとっており、この
導糸杆３は中間筬４にニードル列方向に装着されてい
る。中間筬４はブラケット５に螺着されているスライド
軸６に、ニードル列方向で摺動可能に嵌装されている。
ブラケット５は駆動軸７に嵌着されてなり、駆動軸７は
カムシャフト８に嵌着されてなるカム９より、カムレバ
ー９０、ロッド１０、支軸１１に支承される中間レバー
１２、ロッド１３を経て、駆動軸７に嵌着される筬振り
レバー１４によって矢印１５方向に揺動される。

【０００９】一方、駆動軸７には偏心輪１６の一端が嵌
装され、他端は回動軸１７に嵌装されてなり、回動軸１
７は機枠（図示せず）に同着してなるブラケット１８に
回転可能に支承されてなるとともに、駆動軸７が、ブラ
ケット１８に摺動軸１９を介し嵌着している。２０はカ
ムシャフト８と同期して回転される回転軸であり、回転
軸２０と回動軸１７は、各軸１７，２０に嵌着される歯
車２１，２２に掛け渡されるタイミングベルト２３で連
結されている。ここで歯車２２の歯数は歯車２１の歯数
の２倍にしており、これによって、カムシャフト８が１
回転する間に偏心輪１６の昇降運動が２回実施できるよ
うに構成している。これにより昇降運動が矢印２４の方
向に生起される。前記矢印１５方向の筬振り運動と矢印
２４方向の昇降運動の合成運動として、図中Ｌで示され
る８の字状の運動軌跡が得られる。

【００１０】図２は、図１に示す筬運動装置が組み込ま
れた複列針床経編機の編成要部の概略側面図である。３
１，３２，３３，３４，３５，３６は導糸杆であり、導
糸杆３１，３２，３３は各々地筬（図示せず）に装着さ
れ、揺動不能に機枠軸に固定されており、これらによっ
て前部筬が構成されている。又、同じく導糸杆３４，３
５，３６によって後部筬が形成され同様に機枠軸に固定
されている。３７，３８，３９は導糸杆３１，３２．３
３に通糸される地糸であり、これらの地糸により前部の
基布が編成される。４１，４２，４３は導糸杆３４，３
５，３６に通糸されている地糸であり、これらの地糸に
より後部の基布が編成される。４０はパイル糸であり、
中間筬に装着される導糸杆３に通糸されている。

【００１１】次に本発明の駆動装置が組み込まれた上記
構成の経編機によって二面式経編地を編成する過程を図
３〜図１０に基づき説明する。

【００１２】図３は、パイル糸４０を導糸する導糸杆３
が前部側のニードル１ａ（以後ニードル１ａという）か
ら後部側のニードル１ｂ（以後ニードル１ｂという）に
向い運動し、ニードル１ｂ間に達している状態で、この
ときニードル１ｂは最上昇位置にある。ニードル１ｂは
矢印５０方向に揺動され図４の位置に至る。

【００１３】図４では、導糸杆３をニードル１ｂの下部
にパイル糸４０が巻き掛かるようにオーバーラップをな
そうとしており、このとき前部の導糸杆３１，３２，３
３はアンダーラップをなし、ニードル１ａも上昇途中で
ある。

【００１４】図５では、導糸杆３がニードル１ｂ下部に
オーバーラップ後下降しながらニードル１ａ側へ向う運
動がなされ、次に地筬３４，３５がオーバーラップをな
そうとしている。ニードル１ａは最上昇位置にある。

【００１５】図６に至り、地筬３４，３５のオーバーラ
ップが完了し、トング２ｂも閉じられニードル１ｂは下
降し導糸杆３がニードル１ａ側へ向う運動がなされ、ニ
ードル１ａに対し斜め右上方への運動を始めているニー
ドル１ｂはノックオーバーをしようとしている。

【００１６】図７では導糸杆３がニードル１ａ間に達
し、ニードル１ａへの巻き掛けをしようとしており、こ
のときニードル１ｂはノックオーバーを完了しており、
地筬３４，３５，３６がアンダーラップを始める。

【００１７】図８において、導糸杆３はオーバーラップ
位置に至り、ニードル１ａへのパイル糸４０の巻き掛け
を行なわんとしており、このときニードル１ｂはニード
ル１ａと同様上部位置にある。

【００１８】図９では導糸杆３がニードル１ａ下部にオ
ーバーラップ後下降しながらトング２ａが閉じた後にニ
ードル１ｂ側に向う運動がなされ、次に地筬３１，３
２，３３がオーバーラップをなそうとしている。ニード
ル１ｂは後部の地筬中を通過している。

【００１９】図１０に至り、地筬３２，３３のオーバー
ラップが完了し、ニードル１ａはトング２ａとともに下
降しノックオーバーをしようとしている。導糸杆３はニ
ードル１ｂに向い斜め左上方への運動を続けている。

【００２０】そしてもとの図３の位置でニードル１ａは
ノックオーバーし、以降は前記の順番の編成過程が繰り
返されて二面式経編地の編成がなされる。

【００２１】以上のように、筬振り運動と昇降運動の合
成運動が与えた導糸杆３が８の字状の運動軌跡を描いて
両ニードル１ａ，１ｂ間で編成作用がなされるので、パ
イル糸はニードルにオーバーラップにより投げ掛けられ
た後、下方向の張力でパイル糸のニードルへの作用位置
が保持され、地糸のオーバーラップへの影響がないの
で、円滑な編成がなされ、フォールプレートを用いずに
フォールプレートラップの形成が効率的になされる。

【００２２】なお本発明は、上記実施例のように駆動軸
に筬振り運動と昇降運動の両運動が合成されるもの以外
に、筬振り運動がなされる筬自体に昇降運動手段を備え
た構成も含むものであり、これ以外にも請求範囲を逸脱
しない範囲での種々の構成が成立する。

【００２３】

【発明の効果】以上説明したように、本発明は、パイル
糸を導糸する導糸杆が装着される中間筬が前部ニードル
列と後部ニードル列間で筬振り運動と昇降運動の合成運
動手段により８の字状の運動軌跡で運動するので、ニー
ドルに掛け渡されるときは地糸にパイル糸の導糸杆が接
触しない程度にニードル上部より作用し、投げ掛けられ
た後は、下方にパイル糸を引き下げるのでパイル糸がニ
ードル下部に安定して保持されることとなり、地糸がオ
ーバーラップをする際パイル糸は不要な障害とならず円
滑に編成がなされ、パイル糸によって正確にフォールプ
レートラップの形成がなされる。又、編針列がニードル
とトングによる複合針であれば、パイル糸がニードルへ
投げ掛けられる際に、例えばベラ針のベラのような障害
物がなく、トングによりフックが閉じられるまでパイル
糸を下方向の張力で保持できるので、パイル糸の特殊編
込み形態を形成する上で編成状態がより好適なものとな
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の筬運動装置の一実施例を示す編成要部
の斜視図。

【図２】本発明の筬運動装置が組み込まれた複列針床経
編機の編成要部の概略図。

【図３】，

【図４】，

【図５】，

【図６】，

【図７】，

【図８】，

【図９】及び，

【図１０】本発明の駆動装置を用いた経編機の一編成サ
イクルの各々の編成過程を示す編成要部の概略側面図。

【符号の説明】

１ａ 前部ニードル １ｂ 後部ニードル ２ａ 前部トング ２ｂ 後部トング ３ 導糸杆 Ｌ 運動軌跡

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 前後二列の編針列と、前部筬、後部筬及
   びこれらの筬に挾まれる中間筬からなる複列針床経編機
   において、中間筬が両編針列に対する筬振り運動と昇降
   運動の合成運動手段を備えてなり、中間筬に装着される
   導糸杆が両編針に対し８の字状の運動軌跡を描くように
   構成したことを特徴とする複列針床経編機における筬運
   動装置。
2. 【請求項２】 編針はニードルとトングからなる複合針
   である請求項１に記載の複列針床経編機における筬運動
   装置。