JPH06330641A - 壁面自走台車用落下防止機構 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 安価で作業能率が高いと共に台車への衝撃も
小さくて済む壁面自走台車用落下防止機構を提供する。 【構成】 壁面１の上部にロープ止め６を介して上端を
固定して垂下されたロープ６を台車２に挿通支持させる
と共に、この台車２が落下しようとする際には前記ロー
プ２を挾持又は該ロープ２が掛け回されたプーリの回転
を止めて同台車の落下を抑制し得るクラッチ４を同台車
２に組み付けたことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、壁面を自走する例えば
検査用台車に適用される落下防止機構に関する。

【０００２】

【従来の技術】この種台車が垂直又は垂直に近い傾斜面
を自走（歩行）する場合、多くの例として真空パッド又
は電磁石パッドを備えた複数脚を交互に操作して所謂尺
取り虫のように移動するようになっている。

【０００３】この種台車の落下防止方法として、従来は
図１０に示すように、壁面０１を自走する台車０２を滑
車０３及びウィンチ０４を介してロープ０５で吊り下げ
て、通常はウィンチ０４でロープ０５の長さを加減する
ことで自走の妨げとならないようにし、何らかの事故で
台車０２が落下するような場合にはウィンチ０４にブレ
ーキをかけて宙吊りにし、その後床上に降ろす方法を採
用している。

【０００４】尚、台車０２が二次元移動をする場合は、
図１０のように二組のロープ０５及びウィンチ０４を使
用し、垂直方向の移動のみならば一組のロープ０５及び
ウィンチ０４を使用すればよい。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところが、上述した落
下防止方法では、一組又は二組のウィンチを準備しかつ
滑車を設ける必要があるから、コスト高になると共に、
台車の移動に対応したウィンチの協調操作が必要である
から、作業能率が悪いという問題点があった。また、ウ
ィンチのブレーキ操作により台車に大きな衝撃がかかる
という欠点もあった。

【０００６】本発明は、このような課題を解決するため
に提案されたもので、安価で作業能率が高いと共に台車
への衝撃も小さくて済む壁面自走台車用落下防止機構を
提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の、本発明による壁面自走台車用落下防止機構は、壁面
を自走する台車の落下を防止する機構であって、壁面上
部に上端を固定して垂下されたロープを台車に挿通支持
させると共に、この台車が落下しようとする際には前記
ロープに直接又は間接的に作用して同台車の落下を抑制
し得るクラッチを同台車に組み付けたことを特徴とす
る。

【０００８】

【作用】前記構成によれば、台車の自走機構が故障して
台車が落下し始めると、クラッチが働いて大きな衝撃を
伴わずに台車の落下が抑制される。

【０００９】

【実施例】以下添付図面に基づいて、本発明の一実施例
を説明する。

【００１０】図１に示すように、壁面１を図示しない自
走機能で自走可能な検査用台車２の落下防止機構は、二
組のロープ３とクラッチ４とウェイト兼外れ止め５とか
らなる。

【００１１】前記ロープ３は、壁面１の上部にロープ止
め６により上端が固定されて垂下されると共に中間部分
が前記クラッチ４を介して前記検査用台車（以下単に台
車という）２に挿通支持される。

【００１２】前記ウェイト兼外れ止め５は前記ロープ３
の下端に設けられて、ロープ３の緩み防止に十分な重量
を有すると共に所定の大きさを有してストッパの役目を
有する。

【００１３】また、前記ロープ３の長さとウェイト兼外
れ止め５の位置は、台車２の行動範囲によって決定され
る。

【００１４】前記クラッチとして、本実施例では、機械
式クラッチが用いられ、次にその詳細を図に基づいて説
明する。

【００１５】図２〜図４に示すように、ケーシング１０
内に第一プーリ１１と第二プーリ１２とカム機構１３と
第一摩擦板１４と第二摩擦板１５とが組み付けられてい
る。

【００１６】第一プーリ１１は、ケーシング１０に軸受
１６を介して回転自在に架設された第一軸１７上に固設
され、第二プーリ１２は、ケーシング１０に軸受１８を
介して回転自在に架設された第二軸１９上に固設され
る。

【００１７】そして、図示例では、第二軸１９が第二プ
ーリ１２部で二分割されて分割面相互がピン２０及び軸
受２１を介して連結され、第二プーリ側軸部１９ａとカ
ム機構側軸部１９ｂとが相対回転自在になっている。

【００１８】また、前記ロープ３は、第一プーリ１１を
半巻きした後第二プーリ１２を逆方向に一巻してからケ
ーシング１０より下方へ垂れている。

【００１９】カム機構１３は、第二プーリ１２の側面部
に一体に付設された正面カム２２と、該正面カム２２と
同軸的にカム機構側軸部１９ｂにキー２３を介して回転
不能でかつ軸方向に摺動可能に嵌合されると共にその一
端面が前記正面カム２２のカム面と係合した筒状のスラ
イダ２４と、該スライダ２４を正面カム２２側に付勢す
るためにその基端側がケーシング１０に対してスラスト
軸受２６により支持された圧縮ばね２５と、からなる。

【００２０】第一摩擦板１４は前記スライダ２４の他端
面側に付設される一方これと対向する第二摩擦板１５は
ケーシング１０側に付設され、これら両摩擦板１４，１
５は、通常は、非接触状態にある。

【００２１】次に、本実施例の作用を図５を参照して説
明する。

【００２２】通常時（台車２の走行時）、ロープ３が低
速で動くと、これに伴い第二プーリ１２及びこれと一体
の正面カム２２が回転してカム機構１３の係合部に回転
力Ｆが発生する。

【００２３】ところが、通常時は第二プーリ１２の回転
速度が低く、カム機構側軸部１９ｂにおける粘性機構の
抵抗も小さいので、前記回転力Ｆによって正面カム２２
とスライダ２４とが連動回転する。

【００２４】この場合、前記係合部の軸力Ｗは小さいの
で、圧縮ばね２５の付勢力ｆで第一摩擦板１４は第二摩
擦板１５から引き離されている。

【００２５】一方異常発生時（台車２の落下時）は、ロ
ープ３が高速で動くことから、第二プーリ１２及び正面
カム２２も高速で回転する。

【００２６】ところが、この場合は、前記粘性機構の抵
抗が大きいため、カム機構側軸部１９ｂ及びこれに固定
されたスライダ２４は回転しない。

【００２７】このため、前記係合部で大きな軸力Ｗが発
生し、この軸力Ｗが圧縮ばね２５の付勢力ｆに打ち勝て
ば、スライダ２４が第二摩擦板１５側に動く。

【００２８】そして、第一摩擦板１４が第二摩擦板１５
に接触すると、スライダ２４がケーシング１０に対して
静止し、これに伴い正面カム２２及び第二プーリ１２も
回転不能になってスライダ２４に対し静止する。

【００２９】この結果、ロープ３に対し台車２が固定さ
れ、その落下が未然に回避される。

【００３０】尚、本実施例は、必ずしも台車２を完全に
停止させるものではなく、落下速度を抑制し、最終的に
は、台車２をロープ３下端のウェイト兼外れ止め５に落
ち着かせることを目的としている。即ち、落下時の台車
２に対する衝撃を緩和することにある。

【００３１】次に、図６及び図７は、本発明の別の実施
例を示すものである。これは、クラッチとして真空圧式
クラッチを用いた例である。即ち、ロープ３を挿通した
筒状ケーシング３０と一体のシリンダ３１内にピストン
３２が摺動自在に収容され、ピストン左方室３３に通気
孔３４より導入される真空圧とピストン左方室３３に配
設した圧縮ばね３５の付勢力とで平衡される。そして、
ピストン３２にはシリンダ３１を左右方向へ摺動自在に
貫通するロッド３６が連結され、このロッド３６の筒状
ケーシング３０内に臨む端部にはロープ３を筒状ケーシ
ング３０の内周面へ押し付けるための断面円弧状の抑え
金具３７が一体形成されている。

【００３２】これによれば、真空圧が低くなると、圧縮
ばね３５の付勢力が勝ってロッド３６が右方に移動し、
抑え金具３７がロープ３を筒状ケーシング３０へ押し付
けて台車２（図１参照）の落下を抑制する。

【００３３】従って、本クラッチは、自走機能に真空パ
ッドを用いた台車２に適用すると、バキューム源が兼用
できて好適である。

【００３４】次に、図８及び図９は、本発明のさらに別
の実施例を示すものである。これは、クラッチとして電
気式クラッチを用いた例である。即ち、ロープ３を挿通
した筒状ケーシング４０と該ケーシング４０と一体のハ
ウジング４１に左右方向へ摺動自在に支持された鉄心４
２付きの駆動軸４３が圧縮ばね４４の付勢力とハウジン
グ４１に付設したコイル４５への通電による電磁力とで
平衡される。そして、前記駆動軸４３の筒状ケーシング
４０内に臨む端部にはロープ３を筒状ケーシング４０の
内周面へ押し付けるための断面円弧状の抑え金具４６が
一体形成されている。

【００３５】これによれば、電源からの通電が停止する
と、圧縮ばね４４の付勢力で駆動軸４３が右方に移動
し、抑え金具４６がロープ３を筒状ケーシング４０へ押
し付けて台車２（図１参照）の落下を抑制する。。

【００３６】従って、本クラッチは、自走機能に電磁石
パッドを用いた台車２に適用すると、電源が兼用できて
好適である。

【００３７】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、壁
面上部に上端を固定して垂下されたロープを台車に挿通
支持させると共に、この台車が落下しようとする際には
前記ロープに直接又は間接的に作用して同台車の落下を
抑制し得るクラッチを同台車に組み付けたので、台車へ
の大きな衝撃を伴わずに台車の床上への落下を確実に防
止できると共に、従来用いていたウィンチ及びその協調
操作が不要となるのでコストダウンと作業能率の向上が
図れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施例の全体斜視図である。

【図２】図１のクラッチ部の断面図である。

【図３】図２のＡ−Ａ断面図である。

【図４】図２のカム機構部の斜視図である。

【図５】図２のカム機構部の作用説明図である。

【図６】本発明の第２実施例におけるクラッチ部の断面
図である。

【図７】図６の要部断面図である。

【図８】本発明の第３実施例におけるクラッチ部の断面
図である。

【図９】図８の要部断面図である。

【図１０】従来例の全体斜視図である。

【符号の説明】

１ 壁面 ２ 台車 ３ ロープ ４ クラッチ ５ ウェイト兼外れ止め

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 壁面を自走する台車の落下を防止する機
   構であって、壁面上部に上端を固定して垂下されたロー
   プを台車に挿通支持させると共に、この台車が落下しよ
   うとする際には前記ロープに直接又は間接的に作用して
   同台車の落下を抑制し得るクラッチを同台車に組み付け
   たことを特徴とする壁面自走台車用落下防止機構。
2. 【請求項２】 ロープの下端にウェイト兼外れ止めを設
   けた請求項１記載の壁面自走台車用落下防止機構。