JPH0633028B2 - 流体圧機構を有する筆記具 - Google Patents

流体圧機構を有する筆記具

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JPH0633028B2
JPH0633028B2 JP62104349A JP10434987A JPH0633028B2 JP H0633028 B2 JPH0633028 B2 JP H0633028B2 JP 62104349 A JP62104349 A JP 62104349A JP 10434987 A JP10434987 A JP 10434987A JP H0633028 B2 JPH0633028 B2 JP H0633028B2
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安行 橋本
晴朗 山下
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  • Mechanical Pencils And Projecting And Retracting Systems Therefor, And Multi-System Writing Instruments (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、先端に筆記部を有する筆記体を前進後退可能
に本体内に収容し、上記筆記部を本体の先端から出没さ
せるようにした筆記具に関し、不使用時には筆記部を内
蔵させる操作をしなくても筆記部が本体内に収納される
ようにした汚れ防止を目的とする筆記具に関する。本発
明の筆記具は、サインペン、ボールペン、万年筆等の筆
記具に適用でき、特に乾燥しにくいインキを使用したり
空気孔の位置や構造を工夫して乾燥しにくくしたキヤツ
プレスや水性ボールペンやサインペンのような筆記具に
好適である。
(従来の技術) 従来、ノツクしたり回転したりして筆記体の筆記部を本
体内に収納し、不使用時に筆記部が衣服に接触して汚し
たり、インキを衣服ににじませたりすることのないよう
にした筆記具は知られている。
ところが、このようなものは、ノツクや回動するのを忘
れて筆記部を本体から突出させたまま、うつかりポケツ
トに差し込んだりポケツトへ放り込んだりしたとき等に
は、衣服を汚したり、インキをにじませてしまうという
不都合があつた。
このような不都合に対処するために、上記のようなうつ
かりミスをカバーした筆記具が開発され、既に市販され
ている。これらのものは、本体に取付けられているクリ
ツプに紙のような薄いものでも挾めば、クリツプが僅か
に動き、該クリツプの動きに連動して本体内の内部機構
が作動して筆記体が後退し、筆記部が本体内に収納され
るようになつている。
これらのものは、ノツクしたり回動したりして筆記部を
本体内に収納する筆記具と違つて、クリツプをポケツト
に差し込んでポケツトに入れるという動作だけで筆記部
を本体内に収納することができるので、ノツクしたり回
動したりする動作を忘れて筆記具の先端筆記部を出した
ままポケツトに差しこんだために衣服を汚したりインキ
を衣服ににじませてしまうということがなかつた。
(発明が解決しようとする問題点) しかしながら、上記した既に市販されているものは、ク
リツプと連動させている安全機構が働く場合でも、クリ
ツプをポケツトに差し込む動作の途中で、筆記部が衣服
に触れてポケツトを汚してしまうことがあり、また筆記
具をポケツトに差さずに放り込んだりすると、折角の安
全機構が働かず、衣服を汚したり衣服にインキをにじま
せてしまうという問題点があつた。
本発明は、ノツクしたり、回動したり、クリツプをポケ
ツトに差し込んだりする等の特別に定められた動作をし
なくても、不使用時には、いつも筆記部が本体内に収納
されているようにした筆記具を提供することを技術的課
題としている。
(問題点を解決するための手段) 本発明は、上記した従来技術の問題点及び技術的課題を
解決するために、筆記をする時には必らず本体のほぼ一
定部分を握るという動作に着目し、本体につまみ力を加
えていない限り筆記部がいつも本体内に収納されている
ような筆記具を提供することを解決手段としている。そ
してそのために、本体を指で握る部分の外周に、軸方向
にほぼ全長に亘って本体内に収容された筆記体を取り巻
く環状の流体室を設け、該流体室の外周壁の全部又は一
部を径方向に変位可能の押え部とし、上記流体室の容積
変化を軸方向の変位に変える軸方向変位手段を設け、本
体内には常時筆記体を後方に付勢するスプリングを設
け、つまみ力を加えたときは該スプリングにより後方に
付勢されている該筆記体を上記軸方向変位手段を介して
前進させるようにし、上記押え部につまみ力を加えてい
ないときは上記スプリングの力で筆記体を後退させた本
体内に上記筆記部が収納されるように構成したことを特
徴としている。
なお、実施に当つては、上記軸方向変位手段を、流体室
の圧力変化を受けて作動するピストン、又は内部に流体
室を形成した弾性包囲体の一部からなる軸方向突出部に
よつて構成するのが望ましい。
(作 用) 本発明は上記のように構成したことにより、筆記をしよ
うとして本体の押え部をつまめば、該押え部は径方向に
(内方に)変位して流体室の容積を小さくし、それにつ
れて内部の流体圧力が増大して軸方向変位手段を軸方向
に移動(変位)させる。この際、流体室は、筆記体の外
側を取り巻くようにして、軸方向に比べて径方向に短か
く形成されているので、押え部につまみ力を加えたと
き、流体室の流体の径方向の容積変化相当部分が軸方向
に移動しようとして軸方向変位手段を効率よく作動させ
る作用が生じる。該軸方向変位手段の軸方向の移動に伴
い、該軸方向変位手段によつて直接、間接に受けられて
いる筆記体がスプリングの力に抗して前方へ移動し、先
端の筆記部が本体の先端から突出する。この状態で筆記
が行われる。
次に、筆記を止めてつまみ力をゆるめたり筆記具から指
を離したりすれば、流体室を押圧していた力が解除され
るので、軸方向変位手段が自由に流体室方向へ戻ること
ができる状態になる。このため、スプリングの力で筆記
体が後退し、軸方向変位手段を介して押え部が自身の復
元力により、あるいは、軸方向変位手段を押し返すスプ
リング等の力により握る前の元の状態に復元する。
この復元の戻り作用は素速く行われるので、当該筆記具
をポケツトに差し込んだり、放り込んだりする以前に、
既に筆記部は本体内に収納されてしまう。
筆記中は、筆圧が強い場合には強く握り部材を握るし、
筆圧が弱い場合には弱く握り部材を握るので、筆圧の強
弱に拘らず、特に意識することなく自然に筆記を続ける
ことができる。このことは、裸の芯、例えばチヨークを
指で持つて書くのと同じである。
(実施例) 次に、本発明の実施例を図面と共に説明する。
第1図は、本発明の第1実施例を示す筆記具の側断面図
で、筆記部が本体内に軸方向にほぼ全長に亘って収納さ
れている不使用時の状態を示している。図において、1
は軸、2は口金を示し、軸1と口金2とは継手3で結合
されている。継手3は軸1の前端部に圧入、螺合などの
手段で結合され、口金2は継手3の前端部に螺合されて
いる。軸1の後端は閉じられていてよい。継手3の中間
部4は小径の円筒体として形成している。
筆記具を指で握る部分の全周に筆記体14を取り巻く環状
(筒状)の流体室5が設けられ、その外周壁6は、弾性
物質たとえばゴム等でつくられていて押え部を構成して
おり、その小径の前端周は継手3の中間部4にリング7
で密着して押さえられている。リング7はたとえば割り
環でもよい。同様に、外周壁6の中径の後端周は継手3
の外周面にリング8で密着して押さえられている。継手
3の中間部4からなる内周壁と外周壁6とでつくられる
流体室5には、水、油、シリコンオイルなどの流体が封
入されているが、これら流体に変えてゲル状物質などの
半流体が流体室5に詰めてもよい。また流体室5全体
が、表面は硬く内部は柔かくて流動可能な合成樹脂等で
作られていてもよい。
流体室5の後壁を形成する継手3の後方部に軸方向の複
数個(図では3個)のシリンダ室9が流体室5に通じる
ようにして設けられ、これらのシリンダ室9には、それ
ぞれピストン10が嵌挿され、流体室内の流体に接して
いる。該ピストン10は、押え部として設けられている
外周壁6が径方向に(内方に)変位したとき流体室5内
の圧力上昇により後方に変位(移動)する軸方向変位手
段となつている。
口金2、継手3、流体室5、軸1により本体を形成す
る。
また軸1内には、軸方向に且つ互いに逆方向に連動して
運動する1対の連動体11,12が設けられており、一
方の連動体11は、その前方部がピストン10の後端に
当接している。他方の連動体12には、受け部13が設
けられ、該受け部13に筆記体14の後端が当接してい
る。
上記一対の連動体11,12は、第1図のA−A線断面
位置では、2つ割りの円筒体をなしており、その両外周
面と軸1の内周面との間の隙間及び2つ割りされた両半
円筒体の対向した両端面間の隙間が何れも僅かであるた
め、両連動体11,12は軸1内で殆んどガタつかない
で、前後動できる。筆記体14は、これら1対の連動体
11と12の間に軸1の前方から挿入され受け部13に
より支持される。
また1対の連動体11,12の後端部の内側に、それぞ
れ同形のラツク15,16が形成されており、これらラ
ツク15及び16と噛み合うピニオン(小歯車)17が
中心軸18に支持されて設けられている。第3図は、第
1図のIII−III線による断面図であつて、この断面位置
では、両連動体11,12は肉厚になつており、該肉厚
部にピニオン17の側面を支持する案内溝19,20が
形成されている。
一方、口金2の内側には段部21が形成され、該段部2
1に一端が当接して嵌まり込むスプリング22が、口金
2内に設けられ、該スプリング22の他端(後端)は筆
記体14の段部に当接している。
第1図は、口金2を軸1から外し、筆記体14を前方か
ら軸1内の両連動体11,12間に落し込んだ後に、ス
プリング22を入れ、再び口金2を軸1に取付け、机上
などに当該筆記具を置いたときの不使用時の状態を示し
ており、連動体12の後端は、軸1の後端壁の裏面23
に当接している。
なお、図中、24は筆記体14の後方部に設けられた空
気孔、25は筆記体14の先端に形成された筆記部であ
る。
第4図は、継手3と該継手3を利用して構成した押え部
とをユニツト化したものを示している。このようにユニ
ツト化をすると、組立て作業を効率化できる。
第5図は、シリンダ室9a及びピストン10aを何れも
リング状に形成した実施例の要部断面図である。この実
施例によれば、ピストンの受圧面積を大きくできるの
で、筆記体に加わる力が大きくなる。
次に、作用、動作について説明する。第1図に示された
不使用時の状態にある筆記具を筆記するために、本体を
指で握ろうとすれば、流体室5を形成する外周壁6をつ
まむことになる。外周壁6をつまむと、外周壁6はつま
まれたところが径方向に(内方に)変形変位し、流体室
5の容積が減少するので流体圧が上昇して、ピストン1
0が後方(図で右方)に押されて移動し、ピストン10
の後端に当接している一方の連動体11が後方に動く。
そうすると、ラツク15,16,ピニオン17で構成さ
れる反転機構により他方の連動体12が前方に動き、該
連動体12に設けた受け部13に押されて筆記体14も
前方に動く。この際、流体室5は筆記体14の外側を取
り巻くようにして、軸方向に比べて径方向に短かく形成
されているので、押え部6につまみ力を加えたとき、流
体室5の流体の径方向の容積変化相当部分が軸方向に移
動しようとしてピストン10を効率よく軸方向に作動さ
せる。
筆記するのに必要な筆圧に抗することができる程度に十
分に外周壁6を握れば、一方の連動体11が軸1の後端
壁23に突き当たり、従つて、他方の連動体11が前進
して筆記体14は前進しており、その筆記部25は本体
の前端部の口金2の前端から突出している。第2図はこ
の筆記可能時の状態を示している。
上記の突出状態で筆記をする筆記中は、筆圧が強いとき
は自然に押え部をつまむ力も強く、筆圧が弱いときは自
然に押え部をつまむ力も弱くなるので、筆記圧の強弱に
応じて無理なく自然に筆記を続けることができる。従つ
て、芯体そのものも含めた一般の筆記具と全く同様に、
本発明の筆記具も指でつまんだ状態で筆記を続けること
ができる。
次いで、筆記を止めてつまみ力をゆるめたり、本体から
完全に指を離すと、筆記体14はスプリング22の力で
押し戻され、該筆記体14に受け部13を介して当接し
ている連動体12が後方に押され、該連動体12の後端
が軸1の後端壁の裏面23に突き当たるまで後退して、
筆記体14の筆記部25が完全に本体の口金2内に収納
される。この際、他方の連動体11はピニオン17を介
して連動体12の後退に連動して前進し、ピストン10
も前進し、流体室5は膨張して、握り部材の外周壁6は
元の状態に復元する。
第6図ないし第8図は、1対の連動体を逆方向に連動さ
せる反転機構の他の実施例を示すもので、第6図は第7
図のVI−VI線による断面図、第8図はピニオンの斜視図
である。この実施例では、先に示した実施例のピニオン
17に代えて、第6図及び第8図に示すような、中心軸
18に支持され径の異なる2個の歯車26a,26bを
同軸に一体に結合した歯車26が用いられている。径の
大きい歯車26aは、一方の連動体11のラツク27に
噛み合い、径の小さい歯車26bは、他方の連動体12
のラツク28に噛み合つている。
この実施例によれば、両歯車26a,26bの径が異な
つているため、弱い力で一方の連動体11を後方(図で
右方)へ押しやることができ、その分だけ筆記中に指で
押える力を弱くすることができる。
第9図は、反転機構のさらに他の実施例を示す要部断面
図であつて、図中、第1図に記載した符号と同一の符号
は、同一ないし同類部分を示すものとする。この例で
は、1対の連動体11,12の後端部が、中央をピン2
9で支持された揺動自在のレバー30の両端部に当接す
るように構成されており、上記レバー30は、不使用時
の状態において、スプリング22によつて軸1の後端壁
の裏面23にその一方の端部(図の下端部)に当接させ
られている。図はこの状態を示している。
この実施例によれば、簡単な構造で1対の連動体11,
12の反転運動を行なわせることができる。
第10図は、押え部の他の実施例を示す要部断面図であ
る。この実施例では流体室5の外周壁6aを非弾性物質
でつくり、その外周壁6aの周囲に、押え部として等間
隔に設けられた3個の押え板31を設け、これらの押え
板31の内側に、流体室5内の流体に接する稼動(能動
側)ピストン32を設け、押え板31を握つて径方向に
(内方に)変位させることによつて、第1図に示したピ
ストン10、即ちこの例では受動ピストン10を動かす
ように構成されている。
第11図では、本発明の第2実施例を示す筆記具の断面
図で、外周壁6を握つたときピストン10bが後方に動
かず前方に動くようにしている。この実施例によれば、
ピストン10bの前端に移動リング33が当接し、該移
動リング33に前方側で当接する複数本のロツド34が
継手3の前方部に設けた穴35内に挿入されている。
これらのロツド34の前端は、筆記体14の後端を受け
止めている筆記体ケース36の前端に設けた鋼37に当
接している。
この実施例によれば、前述の実施例に用いた反転機構を
省略することができる。
第12図は、押え部と軸方向変位手段とを一体の袋状弾
性体によつて形成した本発明の第3実施例の斜視図、第
13図は、このものを本体に組込んだ要部断面図であ
る。この実施例では、押え部をつまんだときに軸方向に
変位する軸方向変位手段として、ピストン等を使わず
に、内部に環状の流体室5を形成するゴム袋(弾性包囲
体)38の前方又は後方の側面部に、該ゴム袋38より
薄くしたりベローズ状とするなどして軸方向に変形し易
くされた、一端を閉じた小管状の1乃至複数個の軸方向
の突出部39が一体に形成されており、これらの突出部
39が軸方向変位手段として作動するように構成されて
いる。
この実施例によれば、流体室5と該流体室5と連通して
いる軸方向変位手段に相当する各突出部39とが、共通
の袋状弾性包囲体によつて形成されているので、ピスト
ンとシリンダにおけるような流体の漏洩の心配がなく、
また、部品点数が減つて組立てが簡単になるので、製造
コストを下げることができる。
この場合、ゴム袋38の内部2ケ所にいわゆるヘソを設
けておき、一方のヘソが流体を注入し、他方のヘソに注
射針を差しこんで空気を抜くようにすると、流体を流体
室内に一ぱいに入れることができ、かつ洩れを防ぐこと
ができる。
第14図ないし第19図は、筆記具の一つであるシヤー
プペンシルに適用した本発明の第4実施例を示す側断面
図と、シヤープペンシルの芯繰り出し作用を伴う筆記部
の突出、収納の動作とその順序を示す作動説明図であ
る。なお、本発明が適用されているこの種のいわゆる
「つまみ式シヤープペンシル」は、例えば特開昭53−
145735号,実開昭56−21586号(特願昭6
0−246683号に出願変更)、特願昭60−136
893号、同60−218034号,同60−2228
35号の各公報又は明細書に、基本例と変形例がそれぞ
れ詳しく説明されているが、本実施例では、ボールチヤ
ツクを使わずに「前進許容後退阻止」の機能を持たせた
芯挾持拠構を用いたものを一例として示している。
不使用時の状態を示す第14図において、押え部を形成
する外周壁6を握ると、流体室5の中の流体に接するピ
ストン10bが前進し、本体の前方部に配置されている
摺動体40がピストン10bに押されて前進し、締め具
41の前方に設けられているスリツト42の中に嵌まつ
ている摺動体40の足は締め具41の前端部のリング4
3に当たり(第15図)、さらに握り部材を握つて摺動
体40を前進させると、摺動体40は締め具41を引連
れてさらに前進し、チヤツク44が締め具41によつて
締まつて芯挾持状態となり、第14図から第16図まで
の摺動体40の前進長さだけ、摺動体40に一体に取付
けられている芯パイプ45が口金2の先端から突出し、
また、芯14aも摺動体40に取付けられている芯保持
具46に保持されて同じ長さだけ前進する。次に、つま
み力をゆるめると、第17図に示されるように、摺動体
40の足が締め具41のスリツト内で締め具41に突き
当たるまでスプリング22に押されて後退し、芯パイプ
45も芯保持具46も後退するが、芯14aはチヤツク
44と締め具41とが嵌合していて挾持されているので
後退を阻止されており、従つて、芯14aは摺動体4
0,芯パイプ45に対して芯保持具46を滑つて相対的
に前進する。この前進距離分が芯の繰り出し長となる。
さらに握り力を弱めるか、指を本体から完全に離すと、
スプリング22の力で摺動体40がさらに後退し、締め
具41を第14図の元の位置まで押し戻し、芯挾持状態
が解消され、芯パイプ45,芯14aの先端25が本体
内に収納されてしまう。第18図はこの時の状態を示し
ている。
この芯パイプ45.芯14aが本体内に収納されている
のが不使用時の状態であり、この状態のときに指で握つ
て筆記態勢に入れば、すでに芯14aの先端25は、本
体から突出している芯パイプ45の先端からも突出す
る。この第19図の状態で筆記をする。
以上いくつかの実施例について説明したが、本発明はこ
れらの実施例に限られるものではない。例えば、口金2
を別体に設けず、軸1を樹脂でつくり先端部を先細りと
して一体成形で本体をつくつてもよいし、軸1を前後軸
に分割して、後軸を外してその前方から筆記部材を挿入
するようにすることもできる。また、弾性包囲体やその
突出部をプラスチックで成形してもよく、握り部材の外
周壁6を薄い金属の可撓性材質で作つてもよい。
また、流体としては、油などの有機液体に限らず、水で
もよく、完全流体に限らず、ゾル、ゲルなどの半流体物
質を用いてもよく、さらには、細粒体などの流動体を用
いることもできる。要するに押え部をつまんだときに変
形変位するものなら何んでもよい。
スプリングとして圧縮コイルスプリングを用いたが、引
張ばねを用いるように設計を変更することもある。
流体に作用するように押え部をゴム、プラスチツク、薄
い金属の円筒体などでつくる場合は、全周を指で握るこ
とができるようになるので、まわし書きができて好都合
である。
なお、本発明は、指で本体などを握つて筆記するあらゆ
る筆記具に適用でき、たとえば、サインペン、ボールペ
ン、万年筆、シヤープペンシルに適用でき、また、キヤ
ツプの有無にかかわらず適用できるが、何よりも好まし
い適用例は、筆記体としてインキを乾燥しにくくしたキ
ヤツプレスのサインペン、水性ボールペンを使用したも
の、及び自動芯繰出しに均しい効果を有するシヤープペ
ンシルに使用したものである。
(発明の効果) 以上説明したように、本発明によれば次のような効果が
奏される。
(i) 本発明の筆記具は、筆記中につまみ力をゆるめた
り筆記を止めて押え部を指から離せば、ひとりでに、筆
記体の筆記部が本体内に収納されてしまうので、筆記部
を本体内に収納するために何らかの操作を必要とする筆
記具と全く違つて、うつかりミスはありえず、従つて、
インキや先端筆記部でポケツト周辺やポケツト内を汚し
たり傷つけたりということは皆無となる。
(ii) 筆記するためには必らず筆圧に抗するように本体
を握らなければならないので、筆記体の筆記部を本体の
先端から突出させておくために付加されるつまみ力は、
本発明の筆記具においてはほとんどない。特につまむ部
分をゴムなどの摩擦力の強い素材でつくつたり、金属で
つくる場合でも表面にデインプル,溝などの摩擦増進手
段を施せば、つまんだときの感触もよく、比較的弱いつ
まみ力で十分に筆圧力やスプリング力に対抗できる。
(iii) 本発明では、本体を指で握る部分に設けられる
押え部を、筆記体を取り巻くようにして設けられた径方
向に変位する環状の流体室の外周壁によって構成してい
るので、該流体室は軸方向に比べて径方向に短かく形成
され、それに伴って押え部につまみ力を加えたとき、流
体室内の流体の径方向の容積変化相当部分が軸方向に移
動しようとして軸方向変位手段を効率よく作動させるこ
とができ、また、押え部の径方向変位に対し軸方向変位
手段従つて筆記体のストロークを必要に応じて大きくす
ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の第1実施例を示す筆記具の側断面図、
第2図はその異つた作動状態を示す側断面図、第3図は
第1図III−III線による断面図、第4図,第5図,第1
0図ないし第13図は押え部と軸方向変位手段の異つた
実施例を示す要部断面図と斜視図、第6図ないし第9図
は反転機構の異つた実施例を示す要部断面図と斜視図、
第14図ないし第19図は本発明をシヤープペンシルに
適用した第4実施例の異つた作動状態を示す側断面図で
ある。 1……軸、2……口金、5……流体室、6,6a……外
周壁(押え部)、10,10a,10b,10c……ピ
ストン(軸方向変位手段)、11,12……連動体、1
4,14a……筆記部材、22……スプリング、25…
…筆記部、36……筆記体ケース、38……ゴム袋、3
9……突出部(軸方向変位手段)。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭55−148198(JP,A) 特開 昭58−153086(JP,A) 実開 昭58−153085(JP,U) 特公 昭41−19784(JP,B1) 実公 昭38−26236(JP,Y1) 実公 昭48−43476(JP,Y1)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】先端に筆記部を有する筆記体を前進後退可
    能に本体内に軸方向にほぼ全長に亘って収容し、該筆記
    体を本体の先端から出没させるようにした筆記具におい
    て、本体を指で握る部分の外周に、筆記体を取り巻く環
    状の流体室を設け、該流体室の外周壁の全部又は一部を
    径方向に変位可能の押え部とし、上記流体室の容積変化
    を軸方向の変位に変える軸方向変位手段を設け、本体内
    には常時筆記体を後方に付勢するスプリングを設け、上
    記押え部につまみ力を加えたときは該スプリングにより
    後方に付勢されている筆記体を上記軸方向変位手段を介
    して前進させるようにし、上記押え部につまみ力を加え
    ていないときは上記スプリングの力で筆記体を後退さ
    せ、本体内に筆記部が収納されるように構成したことを
    特徴とする流体圧機構を有する筆記具。
  2. 【請求項2】上記軸方向変位手段が、流体室の圧力変化
    を受けて作動するピストンによって構成されている特許
    請求の範囲第1項記載の流体圧機構を有する筆記具。
  3. 【請求項3】上記軸方向変位手段が、内部に流体室を形
    成した袋状弾性包囲体の側方の一部に軸方向に突出した
    突出部を設け、流体室の圧力変化を受けて該突出部が軸
    方向に伸長、収縮されるように構成されている特許請求
    の範囲第1項記載の流体圧機構を有する筆記具。
  4. 【請求項4】上記スプリングにより後方に付勢されてい
    る筆記体が、軸方向変位手段により反転機構によって互
    いに逆方向に移動される1対の連動体を介して前進させ
    るように構成されている特許請求の範囲第1項記載の流
    体圧機構を有する筆記具。
  5. 【請求項5】上記スプリングにより後方に付勢されてい
    る筆記体が、軸方向変位手段により直接受けるように構
    成されている特許請求の範囲第1項記載の流体圧機構を
    有する筆記具。
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