JPH06329500A - 窒化ホウ素薄膜及び半導体素子の形成方法、その薄膜形成装置並びにそれらを用いた半導体素子 - Google Patents

窒化ホウ素薄膜及び半導体素子の形成方法、その薄膜形成装置並びにそれらを用いた半導体素子

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JPH06329500A
JPH06329500A JP13984093A JP13984093A JPH06329500A JP H06329500 A JPH06329500 A JP H06329500A JP 13984093 A JP13984093 A JP 13984093A JP 13984093 A JP13984093 A JP 13984093A JP H06329500 A JPH06329500 A JP H06329500A
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thin film
boron
nitrogen
vapor
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Toshiyuki Oishi
敏之 大石
Akihiko Furukawa
彰彦 古川
Kazuyoshi Kojima
一良 児島
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Mitsubishi Electric Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 レーザ薄膜形成装置を使った窒化ホウ素の薄
膜形成において、化学量論比を持った欠陥の無い窒化ホ
ウ素の薄膜を形成する。 【構成】 レーザ薄膜形成装置の窒素ガス10をラジカ
ルにしてチャンバ5内へ導入することでエネルギーの高
い窒素を使い、窒化ホウ素の薄膜を形成する。この方法
によって作製された窒化ホウ素は化学量論比を持った欠
陥の無い薄膜となる。このため窒化ホウ素と銅の多層構
造が形成でき、この多層構造を用いて紫外発光素子、ト
ランジスタ等が作製される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、レーザパルスを利用
して基板上に窒化ホウ素の薄膜を形成する窒化ホウ素薄
膜及び半導体素子の形成方法、その薄膜形成装置並びに
それらを用いた半導体素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図2(a)は、例えば、雑誌「エム ア
ール エス ブルティン(MRS BULLETI
N)、92年2月号の第31頁に示された従来のレーザ
光を用いた薄膜形成装置を示す概略図であり、図におい
て、1は窒化ホウ素のターゲットのバンドギャップと一
致した248mm(〜5eV)のKrFのエキシマレー
ザ光(以下、レーザ光という)、2はレーザ光1をター
ゲット3に集光させるためのMgF2 レンズ(f/4)
(以下、レンズという)であり、ターゲット3はそのタ
ーゲット3の表面に均一にレーザ光1を照射するために
回転部材4により回転される。5は反応室であり、該反
応室5内には、レーザ光1をターゲット3に照射させる
ためレーザ光1を通過する窓6と、窒化ホウ素薄膜を形
成するためターゲット3と対向して試料7を載置するた
めの支持台8と、試料7を加熱するためのヒータ9と、
高純度の窒素ガス10を反応室5内に導入するためのガ
ス導入管11が配設されている。該反応室5は、真空ポ
ンプ12で〜10-7Torrの真空度を得る。この装置
を用いて作製された窒化ホウ素薄膜は、雑誌「フィジカ
ルレビュー(Physical Review )B」43巻(91年3
月15日発行)、第6816頁に示されている。すなわ
ち、(100)Si基板に窒化ホウ素をエピタキシャル
成長させた場合、(100)Si面に平行な結晶面を有
する正六面体の(100)窒化ホウ素薄膜が得られる。
【0003】次に動作について説明する。レーザ光1が
反応室5内の窒化ホウ素からなるターゲット3に照射さ
れると、窒化ホウ素のターゲット3上のレーザ照射部に
おいて、急峻にプラズマ状態が生成される。該プラズマ
状態が、数10nsで消滅していく過程の中で、孤立し
た励起原子やイオンが生成される。これらの一群の励起
原子やイオンは数μs以上の寿命をもっており、空間へ
放出されて蝋燭の炎のようなプルーム13を形成する。
プルーム13中の励起原子やイオンは、試料7上に到達
した後、堆積しながら薄膜を形成していく。しかし、窒
素は蒸気圧が高いため、ターゲット3中の窒素のみでは
試料7に形成される窒化ホウ素薄膜中の窒素が不足し、
窒化ホウ素中の窒素とホウ素との化学量論比が1より小
さくなる。このため、作成される窒化ホウ素薄膜中の窒
素の不足分を補うため窒素ガスが反応室5内と導入され
る。
【0004】図12(b)は、窒素ガスを窒化ホウ素薄
膜中に供給した場合の結晶成長機構を示す説明図であ
る。図において、21は窒素原子20が窒化ホウ素の結
晶格子に入る状況を、22は窒素原子20が窒化ホウ素
の結晶格子に入らずに飛散していく状況を示す。すなわ
ち、窒素原子20がガスで導入された場合に、窒化ホウ
素の結晶格子の窒素の入る空孔23に到達した窒素原子
20のみが窒化ホウ素の結晶成長に寄与し、一方、窒化
ホウ素の結晶格子の窒素の入る空孔23に到達しなかっ
た窒素原子20は、再び真空中に飛散していき窒化ホウ
素の結晶成長に寄与しないことになる。24はホウ素原
子である。このような現象が生ずるのは窒素原子20が
試料7表面上を移動できるに十分なエネルギーを有して
いないためである。従って、窒素原子20が試料7表面
上に到達しても窒素原子20は移動エネルギーを持って
いないので試料7表面上を移動することができない。そ
こで、たまたま窒化ホウ素の窒素原子20の結晶格子の
空孔23に到達した窒素原子20のみが窒化ホウ素の結
晶成長に寄与することになる。そして、窒化ホウ素の窒
素原子20の結晶格子位置のうちで空孔23になってい
る場所に真空中から飛来してきた窒素原子20が入り込
む確率は非常に低い。このため、窒素ガス中の窒素原子
20で窒化ホウ素の結晶成長に寄与できる窒素原子20
は非常に少ない。よって、窒化ホウ素の組成比を化学量
論比である1にするためには窒素ガスを多量に供給する
必要がある。しかし、窒素ガスを多量に反応室5内へ供
給すると真空度が低くなりプルームを構成するイオンや
励起原子が励起状態から緩和される時間が短くなり、試
料7までプルームが到達できなくなる。プルームが試料
7まで到達できないと、ガス中で窒化ホウ素の微粒子が
でき、それが試料7に到達し、その試料7の表面に微粒
子が付着する。よって、試料7表面に細かな凹凸がで
き、良質な窒化ホウ素薄膜が成長できない。以上より、
窒化ガスを用いたレーザ薄膜形成装置の場合、窒素原子
20の不足した窒化ホウ素薄膜か、膜質の悪い窒化ホウ
素薄膜しか作ることができない。なお、上記では試料7
上に窒化ホウ素薄膜を結晶成長させる機構について説明
したが、成膜された層上に窒化ホウ素を堆積する場合も
成長機構は同じである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来のレーザ光を用い
た薄膜形成装置は以上のように構成されているので、試
料7表面に微粒子が付着するためその試料7表面に細か
な凹凸ができ、良質な窒化ホウ素薄膜を成長させること
ができないなどの問題点があった。
【0006】請求項1の発明は上記のような問題点を解
消するためになされたもので、ホウ素の蒸気とエネルギ
ーを持った窒素とを試料に供給することにより、欠陥の
ない良好な結晶を有する窒化ホウ素薄膜の形成方法を提
供することを目的とする。
【0007】請求項2の発明は、ホウ素の蒸気を発生さ
せるのにレーザ光を用いることにより、短時間に欠陥の
無い良好な結晶を有する窒化ホウ素薄膜の形成方法を提
供することを目的とする。
【0008】請求項3の発明は、ホウ素の蒸気を発生さ
せるのにヒータ等の加熱装置を用いることにより、欠陥
の無い良好な結晶を有する窒化ホウ素薄膜の形成方法を
提供することを目的とする。
【0009】請求項4の発明は、薄膜を形成すべき物質
のターゲットを複数個設置することにより、効率よく連
続して窒化ホウ素薄膜上に銅やシリコン等の薄膜をエピ
タキシャル成長させた半導体素子の形成方法を提供する
ことを目的とする。
【0010】請求項5の発明は、ホウ素以外の物質をヒ
ータ等の加熱を用いて蒸発させることにより、欠陥のな
い窒化ホウ素薄膜中に均一に不純物が分布した窒化ホウ
素薄膜の形成方法を提供することを目的とする。
【0011】請求項6の発明は、p型もしくはn型形成
物質を蒸発させることにより、欠陥のない良好なp型も
しくはn型の窒化ホウ素薄膜の形成方法を容易に提供す
ることを目的とする。
【0012】請求項7の発明は、ゲルマニウムを蒸発さ
せることにより、欠陥のない良好なゲルマニウムを混合
した窒化ホウ素薄膜の形成方法を提供することを目的と
する。
【0013】請求項8の発明は、レーザ光を照射するタ
ーゲットにゲルマニウムを含有させることにより、効率
よく欠陥のない良好なゲルマニウムをドープした窒化ホ
ウ素薄膜の形成方法を提供することを目的とする。
【0014】請求項9の発明は、窒化ホウ素薄膜上に銅
をエピタキシャル成長させることにより、欠陥のない形
でエピタキシャル成長させることができる半導体素子の
形成方法を提供することを目的とする。
【0015】請求項10の発明は、窒素原子励起手段を
設けることにより、欠陥のない良好な結晶を有する窒化
ホウ素薄膜の薄膜形成装置を得ることを目的とする。
【0016】請求項11の発明は、反応室内に窒素及び
窒素以外の物質を蒸発させる蒸気発生手段を設けること
により、効率よく欠陥のない良好な不純物を含有した窒
化ホウ素薄膜の薄膜形成装置を得ることを目的とする。
【0017】請求項12の発明は、発光層の側壁の窒化
ホウ素層の一部を覆って銅配線層を設けることにより放
熱の効率を上げ、大電流を流すことができる半導体レー
ザ素子を得ることを目的とする。
【0018】請求項13の発明は、層間絶縁膜に窒化ホ
ウ素を、配線に銅を用いた組合せとすることにより抵
抗、容量共に低い配線部分を構成でき、よって高周波特
性の優れた半導体素子を得ることを目的とする。
【0019】請求項14の発明は、電極間に窒化ホウ素
層を設けることにより、素子の温度上昇を抑えて、素子
の特性劣化を防止できる半導体発光素子を得ることを目
的とする。
【0020】請求項15の発明は、ベース電極を銅層と
窒化ホウ素層とで構成することにより、高速動作がで
き、しかも大電流密度の動作が可能な半導体素子を得る
ことを目的とする。
【0021】請求項16の発明は、銅電極間に窒化ホウ
素層を挟んで設けることにより、大電流動作が可能で、
しかもサイズを小さくできる半導体素子を得ることを目
的とする。
【0022】請求項17の発明は、銅電極間に窒化ホウ
素層を設けることにより、真空中に放出する電子が多数
できる半導体素子を得ることを目的とする。
【0023】請求項18の発明は、銅薄膜と窒化ホウ素
薄膜とをいずれも結晶構造としたことにより、窒化ホウ
素上に銅を欠陥のない結晶の形でエピタキシャル成長さ
せることができる半導体素子を得ることを目的とする。
【0024】請求項19の発明は、ゲルマニウムをドー
プした窒化ホウ素薄膜を形成したことにより、シリコン
基板上に該混晶薄膜をエピタキシャル成長した半導体素
子を得ることを目的とする。
【0025】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明に係る窒
化ホウ素薄膜の形成方法は、試料表面にホウ素の蒸気と
エネルギーを持った窒素とを供給するものである。
【0026】請求項2の発明に係る窒化ホウ素薄膜の形
成方法は、試料表面にレーザ光により発生したホウ素の
蒸気とエネルギーを持った窒素とを供給するものであ
る。
【0027】請求項3の発明に係る窒化ホウ素薄膜の形
成方法は、試料表面に加熱により発生したホウ素の蒸気
とエネルギーを持った窒素とを供給するものである。
【0028】請求項4の発明に係る半導体素子の形成方
法は、ホウ素もしくは窒化ホウ素のターゲットと銅、シ
リコンなどのターゲットにレーザを照射して蒸気を発生
させて窒化ホウ素薄膜上に銅やシリコンなどの薄膜をエ
ピタキシャル成長させたものである。
【0029】請求項5の発明に係る窒化ホウ素薄膜の形
成方法は、ホウ素蒸気をターゲット照射により発生さ
せ、ホウ素以外のドーピング物質をヒータ等を利用して
蒸発させて窒化ホウ素薄膜中に物質をドーピングするも
のである。
【0030】請求項6の発明に係る窒化ホウ素薄膜の形
成方法は、ホウ素以外のドーピング物質をp型もしくは
n型半導体を作るものとしたものである。
【0031】請求項7の発明に係る窒化ホウ素薄膜の形
成方法は、ホウ素の蒸気とゲルマニウム蒸気を反応室内
で発生させて窒化ホウ素とゲルマニウムとを混合させた
ものである。
【0032】請求項8の発明に係る窒化ホウ素薄膜の形
成方法は、ホウ素、窒素及びゲルマニウムを混合したタ
ーゲットにレーザ光を照射させて蒸気を発生させたもの
である。
【0033】請求項9の発明に係る半導体素子の形成方
法は、窒化ホウ素薄膜上に銅を、又は銅薄膜上に窒化ホ
ウ素をエピタキシャル成長させたものである。
【0034】請求項10の発明に係る窒化ホウ素薄膜形
成装置は、窒素にエネルギーを持たせる窒素原子励起手
段を備えたものである。
【0035】請求項11の発明に係る窒化ホウ素薄膜形
成装置は、反応室内に窒素及び窒素以外の物質を蒸発さ
せる蒸気発生手段を設けたものである。
【0036】請求項12の発明に係る半導体素子は、発
光層の側壁に設けられた窒化ホウ素層の一部を覆って銅
配線層を設けたものである。
【0037】請求項13の発明に係る半導体素子は、窒
化ホウ素の層間絶縁膜と銅配線層とを備えたものであ
る。
【0038】請求項14の発明に係る半導体素子は、電
極間に窒化ホウ素の発光層を挟んで第1及び第2導電型
の窒化ホウ素層を設けたものである。
【0039】請求項15の発明に係る半導体素子は、銅
ベース電極と銅コレクタ電極及び銅エミッタ電極との間
にそれぞれ第1及び第2導電型の窒化ホウ素層を設けた
ものである。
【0040】請求項16の発明に係る半導体素子は、銅
ベース電極と銅コレクタ電極及び銅エミッタ電極との間
にそれぞれ窒化ホウ素層を設けたものである。
【0041】請求項17の発明に係る半導体素子は、電
極間に窒化ホウ素層を設けたものである。
【0042】請求項18の発明に係る半導体素子は、結
晶構造を有する銅と窒化ホウ素とを積層したものであ
る。
【0043】請求項19の発明に係る半導体素子は、シ
リコン層上に窒化ホウ素とゲルマニウムを混合した薄
膜、又は窒化ホウ素とゲルマニウムを混合した薄膜上に
シリコン層をエピタキシャル成長させたものである。
【0044】
【作用】請求項1の発明における窒化ホウ素薄膜の形成
方法は、窒素にエネルギーを持たせて、窒素が試料の表
面に付着する時間を長くして試料表面を移動できるよう
にしたことにより、窒素原子が結晶格子に効率よく入る
ことができ、従って格子欠陥のない良好な結晶を得るこ
とができる。
【0045】請求項2の発明における窒化ホウ素薄膜の
形成方法は、ホウ素又は窒化ホウ素にレーザ光を照射し
ホウ素蒸気を発生させ、窒素にエネルギーを持たせるこ
とにより短時間に欠陥の無い良好な結晶を得る得ること
ができる。
【0046】請求項3の発明における窒化ホウ素薄膜の
形成方法は、加熱温度の応じた蒸気圧のホウ素の蒸気を
発生させ、窒素にエネルギーを持たせることにより欠陥
の無い良好な結晶を得ることができる。
【0047】請求項4の発明における半導体素子の形成
方法は、薄膜を形成すべき物質のターゲットを複数個設
けることにより、窒化ホウ素膜と銅及びシリコン等の種
々の物質の膜とを交互に容易に作成することができる。
【0048】請求項5の発明における窒化ホウ素薄膜の
形成方法は、ホウ素又は窒化ホウ素のターゲットにレー
ザ光を照射しホウ素蒸気を発生させ、窒素にエネルギー
を持たせると同時に例えばシリコンを蒸発させることに
より、シリコンを窒化ホウ素膜中に均一にドーピングさ
せることができる。
【0049】請求項6の発明における窒化ホウ素薄膜の
形成方法は、窒化ホウ素膜に例えばシリコンがドープさ
れるとn型半導体に、またベリリウムがドープされると
p型半導体とすることにより、容易に半導体の窒化ホウ
素薄膜を得ることができる。
【0050】請求項7の発明における窒化ホウ素薄膜の
形成方法は、ホウ素及びゲルマニウムの蒸気とエネルギ
ーを持った窒素とを用いることにより、窒化ホウ素とゲ
ルマニウムとを混合した欠陥のない良好な薄膜を得るこ
とができる。
【0051】請求項8の発明における窒化ホウ素薄膜の
形成方法は、ターゲットにホウ素及びゲルマニウムを含
んだものを用いることにより、効率よく欠陥のないゲル
マニウムをドープした薄膜を得ることができる。
【0052】請求項9の発明における半導体素子の形成
方法は、窒化ホウ素の結晶格子と銅の結晶格子の一辺の
長さは等しいことにより、その界面で歪のない、かつ銅
を欠陥のない結晶の形でエピタキシャル成長させること
ができる。
【0053】請求項10の発明における窒化ホウ素薄膜
形成装置は、窒素にエネルギーを持たせて、窒素をラジ
カル、イオン、又はイオンクラスターとすることによ
り、効率よく窒素を窒化ホウ素の結晶格子中に入れるこ
とができる。
【0054】請求項11の発明における窒化ホウ素薄膜
形成装置は、窒化ホウ素とゲルマニウムと反応室内で同
時に蒸発させるようにしたことにより、効率よくゲルマ
ニウムをドープした薄膜を得ることができる。
【0055】請求項12の発明における半導体素子は、
半導体層及び発光層で発生する大量の熱を窒化ホウ素を
通じて外部に逃がしてやることにより、放電の効果を上
げ、大電流を流すことができる。
【0056】請求項13の発明における半導体素子は、
層間絶縁膜と配線の配線部分にそれぞれ窒化ホウ素及び
銅を用いて抵抗及び容量を共に低くすることにより、優
れた高周波特性を得ることができる。
【0057】請求項14の発明における半導体素子は、
発光層で発生した熱を窒化ホウ素層を通じて外部に逃が
して該素子の温度の上昇を抑えることにしたことによ
り、特性の劣化を防止できる。
【0058】請求項15の発明における半導体素子は、
ベースを銅と窒化ホウ素とで構成してベース抵抗を減少
させることにより、高周波特性を改善できる。
【0059】請求項16の発明における半導体素子は、
窒化ホウ素の高い熱伝導率と銅の低い抵抗率により熱が
素子内部に留まることがないようにすることにより、大
電流動作が可能で、かつ寸法を小さくできる。
【0060】請求項17の発明における半導体素子は、
窒化ホウ素と銅との組合せでは大電流を素子の温度を上
昇させないで流すことができ、しかも電子を真空準位よ
りエネルギーの高い状態へ遷移させることにより、多数
の電子を真空中に放出することができる。
【0061】請求項18の発明における半導体素子は、
銅の結晶は面心立方構造、窒化ホウ素は立方硫化亜鉛構
造であり、どちらの結晶も単位格子の形は立方体となっ
ており、原子構造は銅と窒化ホウ素で共通であることに
より、窒化ホウ素上に銅を欠陥のない結晶の形でエピタ
キシャル成長させることができる。
【0062】請求項19の発明における半導体素子は、
ゲルマニウムと窒化ホウ素の混晶の格子定数は、おおよ
そそれぞれの結晶の値の内挿値であり、ゲルマニウム
0.9、窒化ホウ素0.1の割合の混晶を作製すればシ
リコンと格子定数が一致させることができることによ
り、シリコン上にエピタキシャル成長をさせることがで
きる。
【0063】
【実施例】
実施例1.以下、この発明の一実施例を図1(a)につ
いて説明する。図1(a)は請求項1、2及び10の発
明の一実施例による窒化ホウ素薄膜の形成方法及びその
薄膜形成装置を示す概略図、図1(b)は窒化ホウ素結
晶の成長機構を示す説明図である。従来技術である図1
2(a)に示した相当部分には同一符号を付しその説明
は省略する。図1(a)において、14は窒素ガス10
を反応室5内に供給するためのガス導入管11に設けら
れた高周波(RF)コイル、15はRFコイル14のR
F電源である(窒素原子励起手段)。なお、RFを印加
するのにRFコイル14ではなく、対向電極にRFを印
加する容量型結合回路を用いてもよい。
【0064】次に動作について説明する。レーザ光1が
窒化ホウ素からなるターゲット3に当ると、対向するタ
ーゲット3と支持台8間にプルーム13が形成される。
窒素ガス10は反応室5に導入される前にRFコイル1
4によって励起されてエネルギーを持つ状態になる。こ
れによって、窒素原子20はラジカルになる。ラジカル
となった窒素原子20は、高いエネルギーを持っている
ため試料7の表面上を移動することができる。窒素原子
20は、試料7表面上を移動している間に窒化ホウ素結
晶格子の空孔23に到達する。窒化ホウ素結晶格子のう
ち空孔23のポテンシャルは、他の部分に比べて低くな
っているため、移動してきた窒素原子20は該空孔23
に入り込むことができる(図1(b))。以上の形成方
法で得られた窒化ホウ素薄膜は、窒素とホウ素の化学量
論比が1となり、良好な結晶体である。良好な結晶体と
は、試料7上に窒化ホウ素薄膜をエピタキシャル成長さ
せた時に、格子欠陥の無い結晶体が得られることであ
る。良好な結晶体を形成するためには、窒化ホウ素の結
晶中で窒素原子20とホウ素原子24とを所定の結晶格
子位置に収める必要がある。ホウ素原子24は蒸気圧が
低いため、試料7表面に到達したホウ素原子24は試料
7表面に一度吸着すると表面から離脱することはなく、
所定の格子位置に落ち着くことができる。しかし、窒素
原子20は蒸気圧が高く、試料7表面に吸着している時
間が非常に短く、しかも表面上を移動することなく真空
中に離脱してしまうが、窒素原子20をラジカルにし、
窒素原子20にエネルギーを持たせてやることで窒素原
子20を試料7表面に付着する時間を長く保つことがで
き、よって表面上を移動することができる。これによ
り、窒素原子20は、その窒素原子20の結晶格子の空
孔23内に効率よく入ることができる。
【0065】なお、上記では窒素原子励起手段としてR
Fコイル14を用いたが、これ以外にも窒素ガス10に
紫外光を照射してもよく、また窒素ガス10の代わりア
ンモニア、あるいはヒドラジン(N22 )を用いても
よい。
【0066】また、上記ではラジカルな窒素原子20を
用いたが、窒素原子20のイオンやイオンクラスターを
用いてもよい。窒素原子20のイオンやイオンクラスタ
ーは、ラジカルと同様にエネルギーを持っている。イオ
ンを発生させるためにはラジカルを発生させるのと同様
の方法を用いることができる。
【0067】また、上記ではターゲット3として窒化ホ
ウ素を用いたが、ホウ素を用いてもよい。上述では、窒
化ホウ素又はホウ素のターゲット3にレーザ光1を照射
してホウ素原子24を試料7に供給しているが、ホウ素
原子24を供給する他の方法として、ホウ素をるつぼに
入れてこれをヒータ等により加熱することで加熱温度に
応じた蒸気圧のホウ素を試料7に供給するようにしても
よい(第1の蒸気発生手段、請求項3)。
【0068】この実施例1の構成によれば、ホウ素の蒸
気とエネルギーを持った窒素とを試料7に供給すること
により、欠陥のない良好な結晶を作ることができる。
【0069】実施例2.図2は請求項4の発明の一実施
例による窒化ホウ素を含む多層半導体を形成するための
薄膜形成装置を示す概略図であり、図1(a)に示した
相当部分には同一符号を付しその説明を省略する。図に
おいて、3は窒化ホウ素又はホウ素のターゲット、30
は銅のターゲット、31はシリコンのターゲットであ
り、これらターゲットは支持棒4に回転可能に取り付け
られている。なお、ターゲットの個数は3つに限らず複
数個設けることができる。
【0070】次に動作について説明する。支持棒4を回
転させて所定のターゲットにレーザ光1を照射し、試料
7上にそれぞれの薄膜を作成することができる。すなわ
ち、試料7上に窒化ホウ素の薄膜を形成するにはレーザ
光1を窒化ホウ素のターゲット3に当て、かつラジカル
な窒素ガス10を加えればよい。次に、該窒化ホウ素薄
膜上に銅の薄膜を形成するには、窒素ガス10の供給を
止め高周波(RF)電源15を切り、支持棒4を回転さ
せてレーザ光1が銅のターゲット30に当るようにし、
またシリコン薄膜を形成する場合はレーザ光1がシリコ
ンのターゲット31に当るようにする。
【0071】この実施例2の構成によれば、ターゲット
を複数個反応室5内に設けてあるので、効率よく連続し
て積層させることができる。
【0072】実施例3.図3は請求項5、11の発明の
一実施例による窒化ホウ素薄膜に不純物をドープするた
めの薄膜形成装置の概略図であり、図1(a)に示した
相当部分には同一符号を付しその説明を省略する。図に
おいて、40は反応室5内に配設されたるつぼであり、
このるつぼ40は、例えばシリコンやベリリウム41が
設けられている。42はるつぼ40を加熱するためのヒ
ータ(第2の蒸気発生手段)であり、該ヒータ42によ
ってるつぼ40は所定の温度に加熱され、シリコン,ベ
リリウム41が蒸発する。このるつぼ40は、反応室5
内に幾つ配置してもよい。例えばシリコン用るつぼとベ
リリウム用るつぼの2つを配設することも可能である。
なお、43はるつぼ40に取り付けられているシャッタ
ーである。
【0073】次に動作について説明する。ホウ素又は窒
化ホウ素のターゲット3にレーザ光1を照射し、窒素ガ
ス10にRFコイル14により高周波(RF)を印加し
てラジカル又はイオンの窒素とし、同時にシリコンを蒸
発させて窒化ホウ素薄膜中にシリコンをドープする。シ
リコンがドープされた窒化ホウ素はn型の半導体、また
ベリリウムがドープされた窒化ホウ素はp型の半導体と
なる(請求項6)。
【0074】また、上記ではシリコンを窒化ホウ素のド
ーピング材料とする例について述べたが、シリコン用る
つぼでシリコン基板を作成し、その後連続して該シリコ
ン基板上に窒化ホウ素薄膜を形成するようにしてもよ
い。
【0075】この実施例3の構成によれば、ドーピング
物質を加熱蒸発させることにより欠陥のない均一な不純
物分布を作ることができる。
【0076】実施例4.また、図3は請求項7の発明の
一実施例による窒化ホウ素との混晶を形成するための薄
膜形成装置を示すの概略図であり、図において、反応室
5内に設けられたるつぼ(蒸気発生手段)40の中には
窒化ホウ素薄膜と混晶を形成するゲルマニウムが設けら
れている。その他の構成については実施例3と同じであ
り、その説明を省略する。
【0077】次に動作について説明する。窒化ホウ素の
ターゲット3にレーザ光1を照射し、窒素ガス10に高
周波(RF)を印加して窒素原子をラジカルにすると同
時にゲルマニウムを蒸発させると、ゲルマニウムが窒化
ホウ素薄膜中に取り込まれ、窒化ホウ素とゲルマニウム
とが混合した混晶薄膜が得られる。また、窒化ホウ素薄
膜にゲルマニウムが混合した混晶薄膜は、シリコン基板
上にエピタキシャル成長させることができる(請求項1
9)。図4はゲルマニウムと窒化ホウ素の割合とその混
晶薄膜の格子定数及びバンドギャップの関係を示す。該
混晶薄膜の格子定数は、ゲルマニウムと窒化ホウ素のそ
れ値の内挿値となる。該図より、ゲルマニウム0.9、
窒化ホウ素0.1の割合の混晶薄膜を作成すればシリコ
ンの格子定数と一致し、よってシリコン基板上にエピタ
キシャル成長させることができる。また、バンドギャッ
プに関しても該混晶薄膜のそれは、ゲルマニウムと窒化
ホウ素のそれ値の内挿値となる。すなわち、シリコンと
格子整合する混晶薄膜のバンドギャップは1.29eV
となる。よって、格子定数はシリコンと等しいが、バン
ドギャップは異なる混晶薄膜が形成できる。
【0078】なお、ホウ素の供給方法としては、ホウ素
をるつぼ40に入れてこれをヒータ42により加熱する
ことで温度に応じた蒸気圧のホウ素を供給してもよい。
【0079】この実施例4の構成によれば、ゲルマニウ
ムを蒸発させることにより欠陥のない良好なゲルマニウ
ムを混合させることができる。
【0080】実施例5.図1は請求項8の発明の一実施
例による混晶窒化ホウ素薄膜を形成するための薄膜形成
装置の概略図であり、該装置は実施例1の図1(a)と
同じ構造であるためその説明を省略する。該実施例で
は、ターゲット3にホウ素と窒素とゲルマニウムを混合
したものを用いて、このターゲット3にレーザ光1を照
射し発生する各元素の蒸気とラジカルな又はイオンの窒
素とを試料7上に導き、窒化ホウ素とゲルマニウムの混
合物を作成する。
【0081】この実施例5の構成によれば、ターゲット
3にゲルマニウムを含有させてレーザ光1を照射させて
蒸発させることにより、効率よく均一にゲルマニウムを
ドープすることができる。
【0082】実施例6.図5は請求項9の発明の一実施
例による窒化ホウ素層と銅層とを積層した半導体素子の
断面図及び銅及びホウ素の結晶構造を示す図である。該
半導体素子は、実施例1に記載された薄膜形成装置図1
(a)を用いて窒化ホウ素薄膜上にエピタキシャル成長
して銅薄膜を積層して作られる。50は窒化ホウ素層で
あり、51は銅層である。図5において、52は銅原
子、53は銅原子52に隠されている銅原子、54はホ
ウ素原子、55はホウ素原子54に隠されている原子、
56は窒素原子である。
【0083】次に動作について説明する。銅の結晶構造
は面心立方構造、窒化ホウ素の結晶構造は立方硫化亜鉛
構造である。該図に示すように、どちらの結晶構造も単
位格子の形は立方体となっている。その立方体の1つの
面に注目すると、原子はそれぞれの辺の交わった部分と
面の中心に配置されている。この原子構造は、銅と窒化
ホウ素で共通である。更に、単位格子の立方体の一辺の
長さは、銅、窒化ホウ素共に3.615オングストロー
ムと等しい。よって、窒化ホウ素薄膜と銅薄膜とを接続
した場合、余る原子はない。以上のように、窒化ホウ素
と銅は非常に類似した結晶構造を有するため、窒化ホウ
素上に銅を欠陥のない結晶の形でエピタキシャル成長さ
せることができる(請求項18)。しかも、窒化ホウ素
の結晶格子と銅の結晶格子のそれぞれの一辺の長さは等
しいため、窒化ホウ素と銅の界面での歪の無い結晶が成
長できる。
【0084】この実施例6の構成によれば、窒化ホウ素
薄膜上に銅をエピタキシャル成長させて欠陥のない形で
エピタキシャル成長させることができる。
【0085】実施例7.図6は請求項12の発明の一実
施例による半導体レーザ素子を示す断面図であり、図に
おいて、60は基板であり、該基板60上に半導体層6
1を形成し、該層は発光層に電子とホールを注入するた
めに電子とホールを供給する役割を果たす。該半導体層
61,61間に発光層62が形成されており、該半導体
層61及び発光層62の両側壁に電流阻止層63が形成
されている。64は発光層62に電子とホールを注入す
るための上部電極であり半導体層61上に設けられ、6
5は基板に設けられた下部電極である。66は半導体層
61及び発光層62で発生した熱を該装置外へ逃がすた
めの窒化ホウ素層である。該窒化ホウ素層66は、実施
例1に記載した如くラジカルな窒素とホウ素蒸気とを用
いて形成される。67は上部の電極64及び窒化ホウ素
層の一部を覆ってエピタキシャル成長して設けられた銅
からなる配線層である。
【0086】次に動作について説明する。電極64,6
5間に電流を流すと発光層62に電子とホールが注入さ
れる。発光層62に注入された電子とホールは結合して
光を発生する。半導体レーザ装置は、光を発生させるた
めに大量の電子とホールを発光層62に注入させる必要
がある。大量の電子、ホールを発光層62に注入させる
ためには半導体層61,61を通じて大電流を流さなく
てはならない。このため、半導体層61は、大量の熱
(ジュール熱)を発生する。発光層62においても結合
した電子とホールが全て光に変換されることは無く、光
にならない非発光成分は熱となる。このため、半導体レ
ーザ装置は、駆動時に半導体層61及び発光層62で大
量の熱を発生する。大量に発生した熱を外部に逃がさな
いと発光層62、半導体層61に熱が溜まり半導体レー
ザ装置の温度が上昇して半導体レーザ装置の特性を劣化
させて寿命を短くする。熱の発生する発光層62、半導
体層61の側壁を覆って窒化ホウ素層を設けることによ
り、窒化ホウ素の熱伝導率は13W/cm・Kと低いた
め、発生した熱を窒化ホウ素層66を通じて外部に効率
よく逃がすことができる。しかも、窒化ホウ素層は、実
施例1で上述した方法で作成されることにより、良好な
結晶ができ、その抵抗は高い。このため、上部と下部の
電極64,65間を窒化ホウ素層を通じてリーク電流が
流れることは無い。また、窒化ホウ素層66上の配線層
としての銅層67は、結晶の形で堆積されるため抵抗の
小さい配線が可能となり、大量の電流を流すことができ
る。
【0087】この実施例7の構成によれば、窒化ホウ素
層上の配線層に銅を用いたため、放熱の効果を上げて、
しかも大電流を流すことができる。
【0088】実施例8.図7は請求項13の発明の一実
施例によるMOS型トランジスタを示す断面図であり、
図において、70はp型シリコン基板であり、71はp
型シリコン基板70に形成された高ドープn型拡散領域
であり、該拡散領域71,71間にゲート酸化膜72が
設けられている。73は拡散領域71及びゲート絶縁膜
上に形成された電極である。74は銅からなる配線層で
ある。該銅配線層74とシリコン基板70間に層間絶縁
膜75が設けられている。この層間絶縁膜75は窒化ホ
ウ素から作られている。また、この窒化ホウ素は、実施
例1に記載した如くラジカルな窒素とホウ素蒸気とによ
って形成される。配線層の銅は、層間絶縁膜上にエピタ
キシャル成長して形成される。
【0089】次に動作について説明する。ゲート電極7
3に電圧が印加されると、ゲート酸化膜72とp型シリ
コン基板70の間にできるチャンネル層の大きさが変化
する。これによって、高ドープn型拡散領域71,71
間に流れる電流が変化する。これによって、ゲート電極
に信号を入れることにより信号の増幅が行われる。MO
Sトランジスタの高周波特性を改善するためにはMOS
トランジスタのRC積(抵抗と容量の積)と配線部分の
RC積を小さくすることが必要となる。一般に、MOS
トランジスタのサイズが小さくなるとRC積は減少し、
配線部分のRC積がMOSトランジスタの高周波特性を
決める要因となる。配線部分は銅配線層74と層間絶縁
膜75とからなる。配線部分のRC積のうち抵抗Rは、
配線の抵抗によって、容量Cは層間絶縁膜の容量によっ
て決定される。銅の抵抗率は1.7Ω・cm、また容量
は材料の誘電率に比例するので窒化ホウ素の誘電率は
2.8である。従って、窒化ホウ素と銅とを組合せにす
ることにより抵抗、容量共に低い配線部分を構成でき
る。しかも窒化ホウ素は、実施例1で上述した方法で作
成されることにより良好な結晶ができる。
【0090】上述ではMOSトランジスタの配線部分に
ついて述べたが、バイポーラトランジスタや堆積回路の
配線部分として用いてもよい。また、シリコンのトラン
ジスタや集積回路に限らず、ガリウムヒ素、インジウム
リンなどのトランジスタや集積回路にも適用できる。
【0091】この実施例8の構成によれば、層間絶縁層
に窒化ホウ素を、配線に銅を用いたことにより優れた高
周波特性を得ることができる。
【0092】実施例9.図8(a)は請求項14の発明
の一実施例による半導体発光素子を示す断面図であり、
図8(b)は該発光素子のバンドギャップを示す概略図
である。図8(a)において、該発光素子は窒化ホウ素
層80上に下部銅層81、n型窒化ホウ素層82、ドー
ピングされていない窒化ホウ素層83、p型窒化ホウ素
層84及び上部銅層85をそれぞれエピタキシャル成長
させて積層して形成される。窒化ホウ素層80,83
は、実施例1に記載した如くラジカルな窒素とホウ素蒸
気とによって形成される。また、n型及びp型窒化ホウ
素層82,84は、ラジカルな窒素とホウ素蒸気と、シ
リコンやベリリウム等のn型及びp型を形成する不純物
蒸気とによって形成される。86は上部及び下部銅層の
第1、第2電極81,85間に所定の電圧を印加するた
めの電源である。
【0093】次に動作について説明する。電源86から
銅電極81,85を通じてn型窒化ホウ素層82に電子
が、p型窒化ホウ素層84にホールがそれぞれ注入され
る。注入された電子87とホール88は、窒化ホウ素層
83内で再結合されて光89を発生する。この光の波長
は図8(b)に示すように電子とホールが再結合する部
分のバンドギャップの大きさとなる。窒化ホウ素層のバ
ンドギャップは200nm(6.2eV)であるので発
光波長は200nmとなる。これは紫外領域の波長に対
応する。発光素子に注入された電流が光に換わる割合
(発光効率)が大きいほど良い発光素子となる。発光効
率をよくするためには結晶の欠陥を介して非発光再結合
する電子とホールの数を減らす必要がある。このために
は結晶性の良好な窒化ホウ素を作製する必要がある。実
施例1のレーザ薄膜形成装置(図1(a))によって作
製すれば、従来の窒化ホウ素より結晶性の良い窒化ホウ
素ができるため、高効率の発光素子が作製可能である。
また、この発光素子は窒化ホウ素と銅の組合せで構成さ
れているため熱の発生を抑え、大電流を流すことが可能
であるため、輝度の高い発光素子が得られる。窒化ホウ
素80は発光素子で発生した熱を外に逃がしてやるため
に配置されている。窒化ホウ素80により発光素子で発
生した熱を効率よく外に伝えることができるため、発光
素子の温度の上昇を抑えることができる。このため、大
電流により発光素子の温度が上昇し、特性劣化が起こる
ことを防止できる。また図5(a)において、p型窒化
ホウ素をn型窒化ホウ素に、n型窒化ホウ素をp型窒化
ホウ素としても同じ効果が期待される。また、発光層と
してドーピングしない窒化ホウ素について述べたが、ド
ーピングをした窒化ホウ素を用いてもよい。ドーピング
を行うことにより発生したバンド間準位を介した発光が
起きる。このため、ドーピングの種類を変化させること
により発光波長を変化させることができる。
【0094】この実施例9の構成によれば、電極間に窒
化ホウ素を設けることにより素子の温度上昇を抑えて素
子の特性劣化を防止できる。
【0095】実施例10.図9(a)は請求項15の発
明の一実施例によるバイポーラトランジスタを示す断面
図であり、図9(b)は該トランジスタのバンドギャッ
プを示す概略図である。図9(a)において、該トラン
ジスタは、窒化ホウ素層90上に第1銅層91、n型窒
化ホウ素層92、p型窒化ホウ素層93、第2銅層9
4、p型窒化ホウ素層95、n型窒化ホウ素層96及び
第3銅層97をそれぞれこの順にエピタキシャル成長さ
せて積層して形成される。上記窒化ホウ素層は、実施例
1に記載した如くラジカルな窒素とホウ素蒸気とによっ
て形成される。第1、第2及び第3の銅層は、それぞれ
エミッタ、ベース、コレクタ電極である。また、第1、
第2及び第3の銅層をそれぞれコレクタ、ベース、エミ
ッタ電極としてもよい。98は銅層91,94,97に
所定の電圧を印加するための電源である。また、図9
(b)において、99はポテンシャル井戸である。ま
た、87は窒化ホウ素層に注入された電子、88は窒化
ホウ素層に注入されたホールである。
【0096】次に動作について説明する。エミッタ端子
(第1銅層)91から注入された電子87は窒化ホウ素
エミッタ(窒化ホウ素層)92を経てベースである窒化
ホウ素(窒化ホウ素層)93に注入される。ベースは窒
化ホウ素93と銅94で構成される。ベース中で電子8
7の一部はホール88と再結合したり、ポテンシャル井
戸99に捕まりベース電流となる。ベースで再結合をし
なかった電子は窒化ホウ素コレクタ(窒化ホウ素層)9
6に到達しコレクタ電流となる。ベース中で再結合した
電子の数よりコレクタに到達した電子の数が多ければ増
幅率は1より大きくなり、トランジスタとして動作す
る。ベース中での再結合を減少させるためにはエミッタ
・ベース界面や窒化ホウ素93と銅の界面、窒化ホウ素
(窒化ホウ素層)95の欠陥を少なくする必要がある。
実施例1で述べたレーザ薄膜形成装置を用いることで欠
陥の少ない窒化ホウ素の結晶ができること、また銅と窒
化ホウ素の格子定数が一致(図5)していて界面の欠陥
が少ないことにより実現できる。図9(a)に示したト
ランジスタはベースを窒化ホウ素のみで構成するのでは
なく、銅94と窒化ホウ素93,95により構成してい
る。窒化ホウ素93,95の間に銅94を挿入すること
によりベース抵抗を減少させることができる。ベース抵
抗が減少すればトランジスタのRC積が減少するため高
周波特性を改善できる。従来のトランジスタのベースは
半導体のみで構成されているため、抵抗が高くなり、こ
れにより高周波特性が制限される場合がある。以上より
実施例1のレーザ薄膜形成装置により銅と窒化ホウ素を
エピタキシャル成長させ、高速なトランジスタを作製で
きる。また、このトランジスタは金属とした銅を用いて
いるため抵抗の低い電極が得られ、実施例7で述べたよ
うに、大電流動作が可能である。また、実施例9で述べ
たように、窒化ホウ素は熱伝導率が高いためトランジス
タで発生した熱を効率よく外部に伝えることができるの
で、トランジスタに熱がこもることが少なく、大電流密
度の動作が可能となる。大電流動作が可能であるため、
同じ電流動作を行うトランジスタを作製する場合、より
小さい面積の素子が可能となる。上記ではエミッタとコ
レクタがn型、ベースがp型の窒化ホウ素の組合せにつ
いて述べたが、エミッタとコレクタがp型、ベースがn
型の窒化ホウ素の組合せとしても同様の効果が得られ
る。また、図9(a)ではベース構造として銅を窒化ホ
ウ素で挟み込んだ構造について説明したが、窒化ホウ素
を銅で挟み込んだ構造のベース構造としても同じ効果が
期待される。また、ベース構造を銅と窒化ホウ素を互い
違いに積層した構造、銅のみで構成した構造についても
同じ効果が期待される。
【0097】この実施例10の構成によれば、ベース電
極を銅と窒化ホウ素とで構成することにより高速動作が
でき、しかも大電流密度の動作が可能となる。
【0098】実施例11.図10(a)は請求項16の
発明の一実施例によるバイポーラトランジスタを示す断
面図であり、図10(b)は該トランジスタのバンドギ
ャップを示す説明図である。図10(a)において、該
トランジスタは、メタルベーストランジスタであり、窒
化ホウ素層100上に第1銅層(第1電極)101、窒
化ホウ素層102、第2銅層(第2電極)103、窒化
ホウ素層104、及び第3銅層(第3電極)105をそ
れぞれエピタキシャル成長させて積層して形成される。
上記窒化ホウ素層は、実施例1に記載した如くラジカル
な窒素とホウ素蒸気とによって形成される。106は第
1、第2及び第3の銅層101,103,105に電流
を供給するための電源である。ここで、銅層101はエ
ミッタ電極、銅層105はコレクタ電極、銅層103は
ベース電極として作用する。
【0099】次に動作について説明する。銅エミッタ電
極101から注入された電子87はトンネル現象によっ
てベースに注入される。銅ベース103に注入された電
子の中でエネルギーを失った電子はベース電流としてベ
ース電極に入るが、ほとんどの電子はベース領域で再結
合せず、コレクタ領域に達し、コレクタ電流となる。コ
レクタ電流がベース電流より大きければ増幅率が1より
大きくなり、トランジスタとして動作する。ベース電流
に信号を加え、変調をかけるとコレクタ電流は増幅され
て変調される。実施例9と同様に、このトランジスタに
おいても、窒化ホウ素の高い熱伝導率と銅の低い抵抗率
により熱が素子内部に溜まることがないので、大電流動
作が可能となる。また、実施例10と同様に電流密度が
高くできるため、その分面積を小さくできる。図10
(a)では銅の間に窒化ホウ素を2層挟んだメタルベー
ストランジスタについて説明したが、上記の動作(エミ
ッタから注入された電子のうち、ほとんどの電子はベー
ス領域で再結合せず、コレクタ領域に達し、コレクタ電
流となる)が満たされる範囲であれば銅の間に窒化ホウ
素を幾層でも挟んでよい。
【0100】この実施例11の構成によれば、銅電極間
に窒化ホウ素層を挟んで設けることにより大電流動作が
可能で、しかもサイズを小さくできる。
【0101】実施例12.図11(a)は請求項17の
発明の一実施例による半導体素子を示す断面図であり、
図11(b)は該素子のバンドギャップを示す説明図で
ある。図11(a)において、該素子は窒化ホウ素層1
11上に上部銅層112、窒化ホウ素層113、及び下
部銅層114をそれぞれエピタキシャル成長させて積層
して形成される。上記窒化ホウ素層は、実施例1に記載
した如くラジカルな窒素とホウ素蒸気とによって形成さ
れる。上記銅層112,114は、それぞれ第1、第2
電極として作用し、電源115から所定の電圧が印加さ
れる。図11(b)において、116は真空準位、11
7は真空中に飛び出した電子である。
【0102】電極112,114間に高電圧を印加する
と窒化ホウ素113のバンドが曲がり電子が窒化ホウ素
113をトンネルする。トンネルした電子は高いエネル
ギーを持っている。この時、電子のエネルギーが真空準
位116より高ければ電子は真空中に飛び出す。電子に
エネルギーを与えるのは電極112,114間の電圧を
高くすることにより実現できる。真空中に放出された電
子のエネルギーは電圧により制御できる。実施例9で述
べたように、窒化ホウ素と銅の組合せでは大電流を素子
の温度上昇なしに流せるため、真空中に放出する電子の
数を多くできる。図11(a)ではドーピングをしない
窒化ホウ素113を用いた例について述べたが、電子を
真空準位よりエネルギーの高い状態へ遷移させることが
できればよいので、ドーピングをしない窒化ホウ素11
3のかわりにp型窒化ホウ素とn型窒化ホウ素の接合を
用いた電界により電子にエネルギーを与えてもよい。
【0103】この実施例12の構成によれば、銅電極間
に窒化ホウ素層を設けることにより真空中に放出する電
子の数を多くすることができる。
【0104】
【発明の効果】以上のように、請求項1の発明によれ
ば、ホウ素の蒸気とエネルギーを持った窒素とによって
窒化ホウ素薄膜を構成したので、欠陥のない良好な結晶
が得られる効果がある。
【0105】請求項2の発明によれば、レーザ光により
発生したホウ素の蒸気とエネルギーを持った窒素とによ
って成膜するように構成したので、短時間に欠陥のない
良好な結晶が得られる効果がある。
【0106】請求項3の発明によれば、ヒータ加熱によ
り発生したホウ素の蒸気とエネルギーを持った窒素とに
よって成膜するように構成したので、欠陥のない良好な
結晶が得られる効果がある。
【0107】請求項4の発明によれば、窒化ホウ素層の
ターゲットと銅及びシリコン等のターゲットを設置する
ように構成したので、効率よく連続して薄膜を積層でき
る効果がある。
【0108】請求項5の発明によれば、ターゲットにレ
ーザ光を照射してホウ素を蒸発させ、ドーピング物質を
ヒータ加熱で蒸発させて成膜するように構成したので、
欠陥のない窒化ホウ素薄膜中に均一にドーピング物質を
分布できる効果がある。
【0109】請求項6の発明によれば、p型もしくはn
型半導体素子を作るドーピング物質をを反応室内で蒸発
させるように構成したので、欠陥のない良好な半導体素
子が得られる効果がある。
【0110】請求項7の発明によれば、ホウ素の蒸気と
ゲルマニウムの蒸気を反応室内で発生させるように構成
したので、欠陥のない良好なゲルマニウムを混合した窒
化ホウ素薄膜が得られる効果がある。
【0111】請求項8の発明によれば、ホウ素、窒素及
びゲルマニウムを有するターゲットを構成したので、効
率よく欠陥のないゲルマニウムドープの窒化ホウ素薄膜
が得られる効果がある。
【0112】請求項9の発明によれば、窒化ホウ素薄膜
上に銅を、又は銅薄膜上に窒化ホウ素をエピタキシャル
成長するように構成したので、欠陥のない形でエピタキ
シャル成長できる効果がある。
【0113】請求項10の発明によれば、窒素原子励起
手段を設けるように構成したので、欠陥のない良好な結
晶を得る効果がある。
【0114】請求項11の発明によれば、反応室内に窒
素及び窒素以外の物質を蒸発させる蒸気発生手段を設け
るように構成したので、欠陥のない良好な不純物ドープ
の窒化ホウ素薄膜を効率よく得られる効果がある。
【0115】請求項12の発明によれば、発光層の側壁
に設けられた窒化ホウ素層の一部を覆って銅配線層を設
けるように構成したので、放熱の効率を上げ、大電流を
流すことができる効果がある。
【0116】請求項13の発明によれば、層間絶縁膜を
窒化ホウ素、配線層を銅で構成したので、抵抗、容量を
低くでき、優れた高周波特性を有する効果がある。
【0117】請求項14の発明によれば、電極間に窒化
ホウ素の発光層を挟んで第1及び第2導電型の窒化ホウ
素層を設けるように構成したので、温度上昇を抑えて素
子の特性劣化を防止できる効果がある。
【0118】請求項15の発明によれば、ベース領域を
銅と窒化ホウ素の層で構成したので高速動作ができ、し
かも大電流密度の動作が可能となる効果がある。
【0119】請求項16の発明によれば、銅電極間に窒
化ホウ素層を2層挟んで構成したので、大電流動作が可
能で、サイズを小さくできる効果がある。
【0120】請求項17の発明によれば、銅電極間に窒
化ホウ素層を設けるように構成したので、多数の電子を
真空中に放出できる効果がある。
【0121】請求項18の発明によれば、結晶構造を有
する銅と窒化ホウ素とを積層するように構成したので、
窒化ホウ素上に銅を欠陥のない結晶形でエピタキシャル
成長できる効果がある。
【0122】請求項19の発明によれば、シリコン上に
ゲルマニウムを含む窒化ホウ素を、またゲルマニウムを
含む窒化ホウ素上にシリコンをエピタキシャル成長させ
るように構成したので、欠陥のない積層体が得られる効
果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は請求項1、2、8及び10の発明の一
実施例による窒化ホウ素薄膜を形成するための薄膜形成
装置を示す概略図である。(b)は窒化ホウ素結晶の成
長機構を示す説明図である。
【図2】請求項4の発明の一実施例による多層半導体を
形成するための薄膜形成装置を示す概略図である。
【図3】請求項5、7及び11の発明の一実施例による
ドープもしくは混晶窒化ホウ素薄膜を形成するための薄
膜形成装置を示す概略図である。
【図4】請求項19の発明の一実施例による混晶薄膜の
原理を説明するためのゲルマニウムと窒化ホウ素の割合
とその混晶薄膜の格子定数及びバンドギャップの関係を
示す図である。
【図5】請求項9の発明の一実施例による窒化ホウ素と
銅とを積層した半導体素子を示す断面図及び窒化ホウ素
と銅の結晶構造を示す図である。
【図6】請求項12の発明の一実施例による半導体レー
ザ素子を示す断面図である。
【図7】請求項13の発明の一実施例によるMOS型ト
ランジスタを示す断面図である。
【図8】(a)は請求項14の発明の一実施例による半
導体発光素子を示す断面図である。(b)は該半導体発
光素子のバンドギャップを示す概略図である。
【図9】(a)は請求項15の発明の一実施例によるバ
イポーラトランジスタを示す断面図である。(b)は該
バイポーラトランジスタのバンドギャップを示す概略図
である。
【図10】(a)は請求項16の一実施例によるバイポ
ーラトランジスタを示す断面図である。(b)は該バイ
ポーラトランジスタのバンドギャップを示す概略図であ
る。
【図11】(a)は請求項17の発明の一実施例による
半導体素子を示す断面図である。(b)は該半導体素子
のバンドギャップを示す概略図である。
【図12】(a)は従来の窒化ホウ素薄膜を形成するた
めの薄膜形成装置を示す概略図である。(b)は窒化ホ
ウ素薄膜の結晶成長機構を示す説明図である。
【符号の説明】
1 レーザ光 3,30,31 ターゲット 5 反応室(チャンバ) 7 試料 10 窒素ガス(窒素) 12 RF電源(窒素原子励起手段) 14 RFコイル(窒素原子励起手段) 40 るつぼ(蒸気発生手段) 50,83,100,102,104,111,113
窒化ホウ素層 51 銅層 52,53 銅原子 54,55 ホウ素原子 56 窒素原子 61 半導体層 62 発光層 63 電流阻止層 64,65,73 電極 67,74 銅配線層 70 シリコン基板(p型) 71 高ドープn型シリコン(拡散領域) 72 ゲート酸化膜 81,85 銅層(第1,第2電極) 82,92,96 窒化ホウ素層(n型) 84,93,95 窒化ホウ素層(p型) 91,94,97 第1,第2,第3銅層 101,112 第1電極 103,114 第2電極 105 第3電極
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年11月25日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項5
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項6
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正内容】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、レーザ光を利用して
基板上に窒化ホウ素の薄膜を形成する窒化ホウ素薄膜及
び半導体素子の形成方法、その薄膜形成装置並びにそれ
らを用いた半導体素子に関するものである。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0002
【補正方法】変更
【補正内容】
【0002】
【従来の技術】図12(a)は、例えば、雑誌「エム
アール エス ブルティン(MRSBULLETI
N)、92年2月号の第31頁に示された従来のレーザ
光を用いた薄膜形成装置を示す概略図であり、図におい
て、1は248mm(〜5eV)のKrFのエキシマレ
ーザ光(以下、レーザ光という)、2はレーザ光1をタ
ーゲット3に集光させるためのMgF2 レンズ(f/
4)(以下、レンズという)であり、ターゲット3はそ
のターゲット3の表面に均一にレーザ光1を照射するた
めに回転部材4により回転される。5は反応室であり、
該反応室5内には、レーザ光1をターゲット3に照射さ
せるためレーザ光1を通過する窓6と、窒化ホウ素薄膜
を形成するためターゲット3と対向して試料7を載置す
るための支持台8と、試料7を加熱するためのヒータ9
と、高純度の窒素ガス10を反応室5内に導入するため
のガス導入管11が配設されている。該反応室5は、真
空ポンプ12で〜10-7Torrの真空度を得る。この
装置を用いて作製された窒化ホウ素薄膜は、雑誌「フィ
ジカル レビュー(Physical Review )B」43巻(9
1年3月15日発行)、第6816頁に示されている。
すなわち、(100)Si基板に窒化ホウ素をエピタキ
シャル成長させた場合、(100)Si面に平行な結晶
面を有する立方硫化亜鉛構造の(100)窒化ホウ素薄
膜が得られる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正内容】
【0024】請求項19の発明は、ゲルマニウムを混合
した窒化ホウ素薄膜を形成したことにより、シリコン基
板上に該混晶薄膜をエピタキシャル成長した半導体素子
を得ることを目的とする。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正内容】
【0029】請求項5の発明に係る窒化ホウ素薄膜の形
成方法は、ホウ素蒸気をターゲット照射により発生さ
、ドーピング物質をヒータ等を利用して蒸発させて窒
化ホウ素薄膜中に物質をドーピングするものである。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正内容】
【0030】請求項6の発明に係る窒化ホウ素薄膜の形
成方法は、ドーピング物質でp型もしくはn型半導体を
作るものとしたものである。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正内容】
【0035】請求項11の発明に係る窒化ホウ素薄膜形
成装置は、反応室内にホウ素及び窒化ホウ素以外の物質
を蒸発させる蒸気発生手段を設けたものである。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0045
【補正方法】変更
【補正内容】
【0045】請求項2の発明における窒化ホウ素薄膜の
形成方法は、ホウ素又は窒化ホウ素にレーザ光を照射し
ホウ素蒸気を発生させ、窒素にエネルギーを持たせるこ
とにより短時間に欠陥の無い良好な結晶を得ることがで
きる。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0046
【補正方法】変更
【補正内容】
【0046】請求項3の発明における窒化ホウ素薄膜の
形成方法は、加熱温度応じた蒸気圧のホウ素の蒸気を
発生させ、窒素にエネルギーを持たせることにより欠陥
の無い良好な結晶を得ることができる。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0049
【補正方法】変更
【補正内容】
【0049】請求項6の発明における窒化ホウ素薄膜の
形成方法は、窒化ホウ素膜に例えばシリコンがドープさ
れるとn型半導体に、またベリリウムがドープされると
p型半導体とすることにより、容易にドーピングされた
窒化ホウ素薄膜を得ることができる。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0055
【補正方法】変更
【補正内容】
【0055】請求項12の発明における半導体素子は、
半導体層及び発光層で発生する大量の熱を窒化ホウ素を
通じて外部に逃がしてやることにより、発光の効果を上
げ、大電流を流すことができる。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0056
【補正方法】変更
【補正内容】
【0056】請求項13の発明における半導体素子は、
層間絶縁膜と配線にそれぞれ窒化ホウ素及び銅を用いて
容量及び抵抗を共に低くすることにより、優れた高周波
特性を得ることができる。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0074
【補正方法】変更
【補正内容】
【0074】また、上記ではシリコンを窒化ホウ素のド
ーピング材料とする例について述べたが、シリコン用る
つぼでシリコン薄膜を作成し、その後連続して該シリコ
ン薄膜上に窒化ホウ素薄膜を形成するようにしてもよ
い。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0076
【補正方法】変更
【補正内容】
【0076】実施例4.また、図3は請求項7の発明の
一実施例による窒化ホウ素との混晶を形成するための薄
膜形成装置を示す概略図であり、図において、反応室5
内に設けられたるつぼ(蒸気発生手段)40の中には窒
化ホウ素薄膜と混晶を形成するゲルマニウムが設けられ
ている。その他の構成については実施例3と同じであ
り、その説明を省略する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01L 21/90 K 7514−4M // C30B 23/08 Z 9040−4G H01L 21/31

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ホウ素より発生した蒸気を試料表面に堆
    積させると共に、エネルギーを持たせた窒素を上記試料
    表面に供給することを特徴とする窒化ホウ素薄膜の形成
    方法。
  2. 【請求項2】 ホウ素又は窒化ホウ素にレーザ光を照射
    することにより発生した蒸気を試料表面に堆積させると
    共に、ラジカル又はイオンにした窒素を上記試料表面に
    供給することを特徴とする窒化ホウ素薄膜の形成方法。
  3. 【請求項3】 ホウ素又は窒化ホウ素を加熱することに
    より発生した蒸気を試料表面に堆積させると共に、ラジ
    カル又はイオンにした窒素を上記試料表面に供給するこ
    とを特徴とする窒化ホウ素薄膜の形成方法。
  4. 【請求項4】 ホウ素又は窒化ホウ素のターゲットと銅
    及びシリコンのターゲットにレーザ光を照射することに
    より発生した蒸気を試料表面に堆積させると共に、エネ
    ルギーを持たせた窒素を上記試料表面に供給することに
    より薄膜を形成することを特徴とする半導体素子の形成
    方法。
  5. 【請求項5】 ホウ素又は窒化ホウ素を含むターゲット
    にレーザ光を照射して発生した蒸気を試料表面に堆積さ
    せる工程と、ラジカル又はイオンにした窒素を上記試料
    表面に供給する工程と、ホウ素以外のドーピング物質を
    加熱して蒸気を発生させ、上記試料表面の窒化ホウ素薄
    膜中に前記ホウ素以外の不純物をドーピングする工程と
    を備えた窒化ホウ素薄膜の形成方法。
  6. 【請求項6】 ホウ素以外のドーピング物質は、窒化ホ
    ウ素をp型もしくはn型とするものであることを特徴と
    する請求項5記載の窒化ホウ素薄膜の形成方法。
  7. 【請求項7】 ホウ素の蒸気を発生させ試料表面に堆積
    させる工程と、エネルギーを持たせた窒素を上記試料表
    面に供給する工程と、ゲルマニウムの蒸気を発生させ窒
    化ホウ素とゲルマニウムの混合薄膜を形成させる工程と
    を備えた窒化ホウ素薄膜の形成方法。
  8. 【請求項8】 ホウ素と窒素とゲルマニウムとを混合し
    たターゲットにレーザ光を照射することにより発生した
    蒸気を試料表面に堆積させる工程と、エネルギーを持た
    せた窒素を上記試料表面に供給する工程とを備えた窒化
    ホウ素薄膜の形成方法。
  9. 【請求項9】 ホウ素の蒸気とエネルギーを持たせた窒
    素とを用いて窒化ホウ素薄膜を形成する工程と、該薄膜
    上に銅をエピタキシャル成長させる工程と、又は銅薄膜
    上にホウ素の蒸気とエネルギーを持たせた窒素とを用い
    て窒化ホウ素薄膜をエピタキシャル成長させる工程とを
    備えた半導体素子の形成方法。
  10. 【請求項10】 反応室内に設けられホウ素の蒸気を発
    生させその発生した蒸気を試料表面に堆積させる第1の
    蒸気発生手段と、窒素にエネルギーを持たせその窒素を
    上記試料表面に供給する窒素原子励起手段とを備えた窒
    化ホウ素薄膜の薄膜形成装置。
  11. 【請求項11】 シリコン、ゲルマニウム及びベリリウ
    ムのうち1つ以上の元素を加熱し蒸発させる第2の蒸気
    発生手段を備えたことを特徴とする請求項10記載の窒
    化ホウ素薄膜の薄膜形成装置。
  12. 【請求項12】 基板上に形成した発光層の側壁に形成
    された窒化ホウ素膜と、該窒化ホウ素膜の一部を覆って
    形成された銅配線膜とを備え、前記窒化ホウ素膜は、ホ
    ウ素の蒸気とエネルギーを持った窒素とによって形成さ
    れてなる半導体素子。
  13. 【請求項13】 シリコン基板に形成された拡散領域
    と、該領域間で前記基板上に形成されたゲート酸化膜
    と、前記拡散領域及びゲート酸化膜上に形成された電極
    と、該電極に接続された銅配線層と、該配線層と前記基
    板間に配設された窒化ホウ素の層間絶縁膜とを備え、前
    記窒化ホウ素の層間絶縁膜は、ホウ素の蒸気とエネルギ
    ーを持った窒素とによって形成されてなる半導体素子。
  14. 【請求項14】 窒化ホウ素層上に下部銅電極と、第1
    導電型の窒化ホウ素層と、窒化ホウ素層と、第2導電型
    の窒化ホウ素層と、上部銅電極とをこの順に積層してな
    り、前記窒化ホウ素層は、ホウ素の蒸気とエネルギーを
    持った窒素とによって形成されてなる半導体素子。
  15. 【請求項15】 窒化ホウ素層上に第1銅電極と、第1
    導電型の窒化ホウ素層と、第2導電型の窒化ホウ素層
    と、第2銅電極と、第2導電型の窒化ホウ素層と、第1
    導電型の窒化ホウ素層と、第3銅電極とをこの順に積層
    してなり、前記窒化ホウ素層は、ホウ素の蒸気とエネル
    ギーを持った窒素とによって形成されてなる半導体素
    子。
  16. 【請求項16】 窒化ホウ素層上に第1銅電極と、窒化
    ホウ素層と、第2銅電極と、窒化ホウ素層と、第3銅電
    極とをこの順に積層してなり、前記窒化ホウ素層は、ホ
    ウ素の蒸気とエネルギーを持った窒素とによって形成さ
    れてなる半導体素子。
  17. 【請求項17】 窒化ホウ素層上に第1銅電極と、窒化
    ホウ素層と、第2銅電極とをこの順に積層してなり、前
    記窒化ホウ素層は、ホウ素の蒸気とエネルギーを持った
    窒素とによって形成され、前記第1及び第2電極間に電
    圧を印加して電子を第2銅電極から放出してなる半導体
    素子。
  18. 【請求項18】 銅層と窒化ホウ素層とを積層してな
    り、前記銅と前記窒化ホウ素は、いずれも結晶構造を有
    する半導体素子。
  19. 【請求項19】 シリコン層上にエピタキシャル成長し
    て形成された窒化ホウ素とゲルマニウムとからなる半導
    体層を備えた半導体素子、又は窒化ホウ素とゲルマニウ
    ムとからなる半導体層上にエピタキシャル成長して形成
    されたシリコン層とを備え、前記半導体層は、ホウ素の
    蒸気とエネルギーを持った窒素と、ゲルマニウムの蒸気
    を用いて形成される半導体素子。
JP13984093A 1993-05-20 1993-05-20 窒化ホウ素薄膜及び半導体素子の形成方法、その薄膜形成装置並びにそれらを用いた半導体素子 Pending JPH06329500A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08316144A (ja) * 1995-03-22 1996-11-29 Deutsche Forsch & Vers Luft Raumfahrt Ev エピタキシャル層の生成装置及び生成方法
CN104313684A (zh) * 2014-09-30 2015-01-28 中国科学院半导体研究所 一种制备六方氮化硼二维原子晶体的方法

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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