JPH06329409A - 高結晶性トバモライトの製法 - Google Patents

高結晶性トバモライトの製法

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JPH06329409A
JPH06329409A JP12148293A JP12148293A JPH06329409A JP H06329409 A JPH06329409 A JP H06329409A JP 12148293 A JP12148293 A JP 12148293A JP 12148293 A JP12148293 A JP 12148293A JP H06329409 A JPH06329409 A JP H06329409A
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tobermorite
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Tatsuo Yamaguchi
辰男 山口
Kentarou Sakou
謙太朗 酒向
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 珪酸質原料と石灰質原料から、高結晶性トバ
モライトを短時間の水熱合成で得る。 【構成】 珪酸原料と石灰質原料から水熱反応させトバ
モライト結晶を製造する方法において、水を水/固形物
重量比が5以下、アルミニウムをアルミニウム/(珪素
+アルミニウム)原子比が0.06〜0.2、アルカリ
をアルカリ/アルミニウム原子比が1.0〜20の範囲
で存在させながら反応させる。 【効果】 低い水量でも、水熱反応時間を大巾に短縮し
高結晶性トバモライト得ることができるため、生産性が
高く、省エネルギー化プロセスを提供できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は珪酸カルシウム水和物の
トバモライト結晶の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、トバモライト結晶〔Ca5 (Si
6 16(OH)4 )・2H2 O〕は高純度の結晶性シリ
カと石灰から水熱反応で得られることが知られている。
珪酸質原料はトバモライト結晶化反応に大きく影響し、
非晶質珪酸原料では、非晶質様のゲルが生成するのみ
で、高結晶性トバモライトは生成しにくく、極めて長時
間の反応を要することが知られている〔岩鉱 特別号3
317(1982)〕。このため、従来は純度の高い
結晶性珪酸質原料、例えば高純度の石英をトバモライト
の珪酸質原料に用いる必要があった。
【0003】またアルカリの反応への効果については、
結晶性珪酸質原料である石英にアルカリを共存させて反
応した場合、微少量(0.3〜0.5%)では水和物生
成の促進効果が見られる。しかしながら多量(0.5%
以上)のアルカリが存在すると水熱反応が妨害されるこ
とが報告されている〔セメント技術年報 85(196
8)〕。また、非晶質様のゲルが生成するため結晶化反
応が遅延され、そのため極めて長時間の反応を必要とす
る(セラミック15.184(1980))との報告も
ある。すなわち、珪酸質原料と多量のアルカリは、非晶
質様のゲルが生成しトバモライト結晶化反応を阻害する
とされている。
【0004】一方、アルミニウム(Al)で珪素(S
i)の一部を、およびナトリウム(Na)またはカリウ
ム(K)でカルシウム(Ca)を一部置換したアルミニ
ウム、アルカリ含有トバモライトの合成も報告されてい
る(セメント技術年報 41昭62)。しかしながら、
アルミニウムは珪酸質原料の反応性を低下させ、カルシ
ウムとの水和反応生成物であるハイドロガーネットを生
成しやすいことが知られている。そのため、ハイドロガ
ーネットの生成を抑制する手段として、多量の水が存在
する反応条件が選択されている(セメント技術年報 3
3.63、昭54)。
【0005】水/固形物重量比は本反応では重要なパラ
メーターの一つである。本発明では水/固形物重量比は
自由水と固形物の重量比と定義し、固形物が結晶水を含
む場合は固形物重量として扱う。反応に水は不可欠の成
分ではあるが、最終的にはトバモライト結晶水としてわ
ずかに残るのみである。したがって、反応性に影響ない
範囲の最少水量で反応することが望ましい。反応に用い
る水量を減らすことができれば、オートクレーブなどの
反応容器や、付帯設備を小さくすることができ、しかも
加熱に必要なエネルギーも低減でき、経済的意義は極め
て大きい。すなわち、水/固形物重量比の低い条件で高
結晶性のトバモライトを得ることができれば、省スペー
ス、省エネルギー、省力化に大きく寄与することにな
る。
【0006】しかし、従来の技術では、水/固形物重量
比が20と0.35の場合を比較し、水/固形物重量比
が0.35と低くなると、水熱反応速度が遅くなり、ト
バモライト結晶の生成に長時間要すると報告されている
(セメント技術年報 33.63 昭54)。このよう
に、従来技術では水/固形物重量比を小さくすると反応
が遅くなり、しかも、この系にアルミニウムが存在する
とハイドロガーネットが生成してしまうという二重の困
難があった。
【0007】一方、水/固形物重量比が比較的低く、し
かもアルミニウムが存在しながらも、短時間でトバモラ
イトが生成する唯一の報告例として、特殊なゼオライト
であるクリノプチロライトを用いた例が報告されている
(Mineraruogical Journal v
ol.6 No.3 1970)。クリノプチロライト
は、アルカリとアルミニウムを含む低い結晶性のゼオラ
イトであり、その特異な構造が高い反応性を示すと考え
られ、他のゼオライトではハイドロガーネットが生成す
るのに対し、クリノプチロライトを用いた場合には、ハ
イドロガーネットが生成せず、トバモライト結晶が生成
すると報告されている。しかし、この場合も水/固形物
比は依然低いとは言えず、10〜15の領域での反応例
である。また、ゼオライト類は結晶性珪酸質原料、例え
ば珪石などに比べ高価であり、実用的とはいえない。
【0008】以上述べたように、従来は、汎用性があり
安価に入手できる結晶性珪酸質原料を用い、水/固形物
重量比が低い領域で、短時間でトバモライトを生産する
技術は開発されていなかった。そのため、経済性の観点
から、できるかぎり水/固形物重量比の低い領域で、し
かも、短時間でトバモライトを生産できる省スペース、
省エネルギー、省力型の工業的プロセスが切望されてお
り、そのためには、水固形物重量比の低い領域で、反応
速度を高めることが課題であった。
【0009】
【本発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、低
い水/固形物重量比ながら、従来法よりさらに短時間
で、かつハイドロガーネットを生成させることなくトバ
モライト結晶を得る経済的な方法を提供することにあ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】まず、本発明者らは、水
/固形物重量比を下げていくと反応速度が低下し、水/
固形物重量比が5以下では反応速度の低下が顕著とな
り、また、特に水固形物重量比が1以下になると、カル
シウムとアルミニウムの水和生成物であるハイドロガー
ネットが副生し、トバモライト結晶は180℃、1時間
の反応ではほとんど生成しないことを確認した。
【0011】そこで、本発明者らは、トバモライト生成
反応機構および各構成元素の役割について検討し、アル
カリ、アルミニウムの独立した機能ではトバモライト生
成には有利に働かず、また、水量によっても各構成元素
の機能が大きく変化することから、三者間の互いに従属
した関係があることを見いだした。さらに、鋭意検討し
た結果、本発明者らは、水/固形物重量比が5以下の低
い領域でも、アルカリ/アルミニウム原子比が1以上の
過剰のアルカリ、アルミニウム存在条件で水熱反応を行
うことで、ハイドロガーネットを生成させることなく、
しかも従来技術に比べても大幅に反応時間を短縮できる
極めて経済的なトバモライト結晶の製造方法を見いだし
た。
【0012】すなわち、本発明は珪酸質原料と石灰質原
料を主成分として水熱反応によりトバモライト結晶を製
造する方法において、水を水/固形物重量比が5以下、
アルミニウムをアルミニウム/(珪素+アルミニウム)
原子比が0.06〜0.2、アルカリをアルカリ/アル
ミニウム原子比が1.0〜20の範囲で存在させながら
反応することを特徴とするトバモライト結晶の製造方法
である。
【0013】本発明に用いられる石灰質原料としてはセ
メント、石灰等をはじめ一般に珪酸カルシウム水和物を
合成するのに使用されている石灰質原料が使用できる。
本発明に用いられる珪酸質原料としては、シリカを主成
分とした、結晶性珪酸質である珪石、長石などの天然鉱
物が好ましく、これを適度な粒径に粉砕して用いる。ま
た、ケイソウ土、ゼオライト、白土、フライアシュ、フ
ェロシリコンダスト、シラス、その他ポゾラン物質やS
iO2 の含有量が40%以上の物質も使用可能ではある
が、これらは上記珪石、長石などの一部をこれらに置き
換えて使用することが好ましい。また、経済性の面か
ら、珪酸質原料としては安価で入手が容易な珪石等の結
晶性珪酸質原料の中から選択することが好ましい。
【0014】アルミニウム源としては、水酸化アルミニ
ウム、酸化アルミニウムなどのアルミニウム化合物、金
属アルミニウム、ボーキサイト、セメント粘土、アルミ
ノ珪酸塩、粘土鉱物、などのアルミニウムを10%以上
含有する天然鉱物であれば広い範囲から選べ、また、高
炉スラッグの様なアルミニウムを10%以上含有する産
業副生成物を単独で、あるいはこれらを組合せて用いる
こともできる。アルミニウムがアルミニウム/(珪素+
アルミニウム)原子比で0.06〜0.2の範囲に限定
されるのは、0.06以下では反応時間短縮効果が小さ
いためであり、0.2以下に限定されるのは、アルミニ
ウムのトバモライト結晶への置換率の上限が0.15で
あり、0.2以上ではアルミニウムが有効に利用されな
くなり、ハイドロガーネットの生成が顕著となることに
よる。
【0015】アルカリ源としては、本発明の目的を達成
するアルカリ類であれば広い範囲から選べるが、例え
ば、NaOH、LiOH、KOH、RbOH、CsOH
等のアルカリ金属水酸化物を用いることができる。アル
カリ金属水酸化物以外でも、容易に溶解して塩基性を示
すアルカリ含有物質であれば使用が可能である。これら
は、それぞれを単独で用いることもできるし、組合せて
用いることも可能である。また、過剰に用いたアルカリ
は、反応後トバモライト結晶と分離回収し、再使用する
ことも可能である。反応に用いる場合は、アルカリをあ
らかじめ水溶液として反応に用いることが望ましい。
【0016】アルカリの量は、反応に共存させるアルミ
ニウムおよび、水/固形物重量比によって最適な比率が
選択される、しかし、アルカリ/アルミニウム原子比が
1.0以下では反応速度の向上効果が小さく、ハイドロ
ガーネットの生成抑制効果も低くなる、20以上ではア
ルカリ、アルミニウム、シリカ由来の副生物が生成する
ことから好ましくない。さらに、アルカリの経済的な利
用効率を考慮するとアルカリ/アルミニウム比は1.0
〜10の範囲での利用が好ましい。
【0017】水熱反応は、100〜250℃の飽和水蒸
気が存在する条件であれば原理的に実施することができ
る。反応時間短縮と経済性の観点から好ましくは、高温
側の180℃付近で反応を行うことが好ましいがこれに
限定されるものではない。反応は100〜250℃の飽
和水蒸気雰囲気を形成できれば特定の反応器、または、
特定の反応方法に限定されるものではない。例えば、撹
拌機付オートクレーブ中に原料スラリーを投入し、かき
混ぜながら実施することができ、また、オートクレーブ
中に静置して実施することができる。加熱する方法に関
しても、外部からヒーター、あるいはオイルなどの熱媒
で加熱する方法、または水蒸気を吹き込んで内部から加
熱して水熱反応を行うことができる。反応原料の形態に
関してもスラリーに限定されず、軽量気泡コンクリート
(ALC)のような成形体として得ることもできる。こ
の場合は、石灰質原料の一部にセメントを用い、100
℃以下の温度であらかじめ金属アルミニウムで発泡させ
る方法や、フォーミング剤と混合させる方法で成形加工
した後に、オートクレーブ等の反応器中で水蒸気を吹き
込み、気泡構造を持つ形成体とすることもできる。これ
らは所望するトバモライト結晶の形態や処理する量、サ
イズによって最適な反応器、および反応方法を選択し実
施するのが望ましい。
【0018】以下、実施例により、さらに具体的に説明
する。
【0019】
【実施例】以下に本発明の実施例について説明する。 〔トバモライト結晶性の評価法〕以下に述べる実施例お
よび比較例において、合成されたトバモライト結晶につ
いてX線回折法(以下XRDと略記する)による測定を
行い、面間隔が11.3,5.48,3.08,2.9
8,2.82オングストロームの回折線の強度を和した
値(以下、回折線強度和と称する)でトバモライト結晶
性を評価した。XRD測定の条件は加速電圧50kV、
加速電流160mA、発散スリット幅1.0°、散乱ス
リット幅1.0°、受光スリット幅0.15mm、走査
速度8°/min、サンプリング幅0.02°、測定角
度5〜55°とした。
【0020】
【実施例1】表1に示す重量組成比でアルミニウム/
(珪素+アルミニウム)原子比が0.15、アルカリ/
アルミニウム原子比が3.00、水/固形物重量比が
0.75となるように、珪酸質原料として珪石(SiO
2 純度99%粒径12.0μm)、石灰質原料として水
酸化カルシウム(和光純薬1級:表中で消石灰と称
す)、アルミニウム原料として水酸化アルミニウム(和
光純薬1級:表中でAl(OH)3 と称す)を水酸化ナ
トリウム(和光純薬特級:表中でNaOHと称す)水溶
液に加え、攪拌機で5分間混合した後に、溶積100m
lのマイクロボンベに封入して、室温のオイルバスに投
入した。次に、オイルバスを室温から180℃まで2.
5時間かけて昇温し、さらに180℃で1.0時間反応
した後にオイルバスからマイクロボンベを取り出し、こ
れを室温の水で急速に冷却した。次に、合成物をマイク
ロボンベより取り出し、真空乾燥機で60℃の温度で一
昼夜かけて乾燥させた。こうして得られた合成物はXR
Dで測定した結果、トバモライト結晶であり、その回折
線強度和は9800cpsであり、結晶性は極めて高い
ことがわかった。XRD測定で得られた回折図形を図1
(A)に示す。
【0021】
【比較例1】〔表2〕に示す重量組成比で、石灰質原料
として酸化カルシウム(CaO純度95%:表中で生石
灰と称す)を用い、アルミニウム原料およびアルカリ原
料を添加せず、溶積1000mlの撹拌機付きオートク
レーブ(以下オートクレーブと称す)を用い、室温から
180℃まで2.0時間かけて昇温した後に、180℃
で4.0時間反応した他は実施例1と同様な処理を行
い、合成物を得た。得られた合成物をXRDで評価した
ところ、回折線強度和が5700cpsなるトバモライ
ト結晶が得られたことがわかった。
【0022】
【比較例2】〔表2〕に示す重量組成比で、アルカリ/
アルミニウム原子比を0.4とした他は実施例1と同様
な処理を行い、合成物を得た。得られた合成物をXRD
で評価したところ、カルシウムシリケートハイドレート
( 以下CSHと称す) なる非晶性の水和物とハイドロガ
ーネット(Ca3 Al2 (OH)12:表中でH.G.と
称す)が生成し1.0時間の反応ではトバモライト結晶
は得られなかったことがわかった。XRD測定で得られ
た回折図形を図1(B)に示す。
【0023】
【比較例3】〔表2〕に示す重量組成比で、反応時間を
4.0時間とした他は比較例2と同様な処理を行い、合
成物を得た。得られた合成物をXRDで評価したとこ
ろ、CSHおよびハイドロガーネットの生成量が比較例
2に比べて減少し、回折線強度和が6700cpsなる
トバモライト結晶が得られたことがわかった。
【0024】
【実施例2】〔表1〕に示す重量組成比で、アルミニウ
ム原料として酸化アルミニウム(和光純薬1級:表中で
Al2O3と称す)を用い、アルカリ原料として水酸化
リチウム(和光純薬特級:表中でLiOHと称す)を用
い、160℃の温度で3.0時間の反応とした他は実施
例1と同様な処理を行い、合成物を得た。得られた合成
物をXRDで評価したところ、トバモライト結晶の回折
線強度和は9200cpsであった。
【0025】
【実施例3〜4】〔表1〕に示す重量組成比でアルカリ
/アルミニウム原子比を11.0ならびに20.0とし
た他は実施例1と同様な処理を行い、合成物を得た。得
られた合成物をXRDで評価したところ、トバモライト
結晶の回折線強度和は6800cpsならびに5100
cpsであった。
【0026】
【実施例5】〔表1〕に示す重量組成比でアルミニウム
/(珪素+アルミニウム)原子比を0.20とした他は
実施例1と同様な処理を行い、合成物を得た。得られた
合成物をXRDで評価したところ、トバモライト結晶の
回折線強度和は7400cpsであった。
【0027】
【実施例6】〔表1〕に示す重量組成比で、オートクレ
ーブを用い、水蒸気を吹き込むことによって、室温から
180℃まで2.0時間で昇温し、さらに180℃で
2.0時間反応した他は実施例1と同様な処理を行い、
合成物を得た。得られた合成物をXRDで評価したとこ
ろ、トバモライト結晶の回折線強度和は8100cps
であった。
【0028】
【実施例7〜10】〔表1〕に示す重量組成比で、アル
ミニウム原料としてベーム石(AlOOH含有率90重
量%:表中でAlOOHと称す)を用い、珪酸質原料と
して珪石と長石を混合したもの(長石含有率22重量
%:表中で珪石/長石と称す)、珪石と明礬石を混合し
たもの(明礬石含有率12重量%:表中で珪石/明礬石
と称す)、珪石とパイロフィライトを混合したもの( パ
イロフィライト含有率19重量%:表中で珪石/ パイロ
フィライトと称す) ならびに珪石とカオリナイトを混合
したもの(カオリナイト含有率11重量%:表中で珪石
/カオリナイトと称す)を用いた他は実施例1と同様な
処理を行い、合成物を得た。得られた合成物をXRDで
評価したところ、トバモライト結晶の回折線強度は52
00cps,5100cps,4700cpsならびに
4800cpsであった。
【0029】
【実施例11】〔表1〕に示す重量組成比で、石灰質原
料として酸化カルシウムに加えてセメントクリンカー
(SiO2 含有率22重量%,CaO含有率65重量
%:表中でセメントと称する)を混合したものを用い、
珪酸質原料として珪石とクリノプチロライトを混合した
もの(ゼオライト含有率15重量%:表中で珪石/クリ
ノプチロライトと称す)を用い、80℃のウオーターバ
スで3.0時間の加熱を行ない、その後オイルバスで8
0℃から180℃まで2.5時間かけて昇温し、さらに
180℃で2.0時間反応した他は実施例1と同様な処
理を行い、合成物を得た。得られた合成物をXRDで評
価したところ、トバモライト結晶の回折線強度和は49
00cpsであった。
【0030】
【実施例12】〔表1〕に示す重量組成比で、石灰質原
料として酸化カルシウムに加えてセメントクリンカーを
混合したものを用い、アルミニウム原料としてボーキサ
イト(Al2 3 成分60重量%:表中でボーキサイト
と称す)を用い、80℃のウオーターバスで3.0時間
の加熱を行ない、その後オイルバスで80℃から180
℃まで2.5時間かけて昇温し、さらに180℃で2.
0時間反応した他は実施例1と同様な処理を行い、合成
物を得た。得られた合成物をXRDで評価したところ、
トバモライト結晶の回折線強度和は4300cpsであ
った。
【0031】
【実施例13】〔表1〕に示す重量組成比で、石灰質原
料として酸化カルシウムに加えてセメントクリンカーを
混合したものを用い、アルミニウム原料としてハロイサ
イトと珪石との混合物(Al2 3 成分15重量%:表
中でハロイサイトと称す)を用い、アルカリ原料として
水酸化カリウム(和光純薬特級:表中でKOHと称す)
を用い、80℃のウオーターバスで3.0時間の加熱を
行ない、その後オイルバスで80℃から180℃まで
2.5時間かけて昇温し、さらに180℃で3.0時間
反応した他は実施例1と同様な処理を行い、合成物を得
た。得られた合成物をXRDで評価したところ、トバモ
ライト結晶の回折線強度和は7800cpsであった。
【0032】
【比較例4】〔表2〕に示す重量組成比で、アルミニウ
ム原料を添加せず、アルカリ原料を添加し、反応時間を
4.0時間とした他は実施例1と同様な処理を行い、合
成物を得た。得られた合成物をXRDで評価したとこ
ろ、CSHが生成し、トバモライト結晶は得られなかっ
たことがわかった。
【0033】
【比較例5】〔表2〕に示す重量組成比で、アルカリ原
料を添加せず、アルミニウム原料を添加し、反応時間を
4.0時間とした他は実施例1と同様な処理を行い、合
成物を得た。得られた合成物をXRDで評価したとこ
ろ、CSHおよびハイドロガーネットが生成し、トバモ
ライト結晶は得られなかったことがわかった。
【0034】
【比較例6】〔表2〕に示す重量組成比で、アルカリ/
アルミニウム原子比を0.8とし、珪酸質原料として珪
酸(SiO2 含有率76重量%:表中で珪酸と称す)を
用いた他は実施例1と同様な処理を行い、合成物を得
た。得られた合成物をXRDで評価したところ、回折線
強度和が6900cpsのトバモライト結晶が得られた
ことがわかった。
【0035】
【比較例7】〔表2〕に示す重量組成比で、アルカリ/
アルミニウム原子比を1.5とし、珪酸質原料としてシ
リカゲル(SiO2 純度95%:表中でシリカゲルと称
す)を用いた他は実施例1と同様な処理を行い、合成物
を得た。得られた合成物をXRDで評価したところ、回
折線強度和が7100cpsのトバモライト結晶が得ら
れたことがわかった。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
【発明の効果】以上に詳細に説明したように、水/固体
重量比が低い領域において、アルミニウムを共存させ、
化学量論量以上の過剰のアルカリ金属が存在する条件下
で水熱反応を行うことによって、極めて短時間で、かつ
高結晶性のトバモライトを生成することができるので、
品質の高いトバモライトを高い生産性で製造することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1で得られた合成物トバモライト結晶
のXRD測定による回折図形(A)と、比較例2で得ら
れた合成物のXRD測定による回折図形(B)である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 珪酸質原料と石灰質原料を主成分として
    水熱反応によりトバモライト結晶を製造する方法におい
    て、水を水/固形物重量比が5以下、アルミニウムをア
    ルミニウム/(珪素+アルミニウム)原子比が0.06
    〜0.2、アルカリをアルカリ/アルミニウム原子比が
    1.0〜20の範囲で存在させながら反応することを特
    徴とするトバモライト結晶の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20160140823A (ko) 2014-03-29 2016-12-07 도미따 세이야꾸 가부시끼가이샤 분말상 토버모라이트형 규산칼슘계 재료 및 그 제조방법
JP2018516225A (ja) * 2015-05-29 2018-06-21 ファンダシオン テクナリア リサーチ アンド イノベイション コンクリートおよびセメント系材料中の硬化促進剤として使用されるケイ酸カルシウム水和物の製造方法、およびこの方法で製造されたケイ酸カルシウム水和物
CN108910902A (zh) * 2018-08-24 2018-11-30 内蒙古中建亚太建材科技有限公司 一种高铝粉煤灰合成托贝莫来石复合保温材料的方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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