JPH0632923B2 - 廃インク容器 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［技術分野］ 本発明は記録に使用されなかった、いわゆる廃インクを
回収、収納する廃インク容器に関し、特に回収したイン
クの量の報知手段を備えた廃インク容器に関する。

［従来の技術］ この種の廃インク容器を用いる記録装置として、例えば
インクジェットプリンタが挙げられる。インクジェット
プリンタにおいては、記録ヘッドに設けられたノズルか
らインク滴を吐出し、記録紙に付着させて記録を行なっ
ている。このため温度，湿度等の使用環境によるノズル
先端部のインクの増粘、記録紙の紙カス等のゴミによる
ノズルの目づまり、ノズル内への気泡の侵入等によるイ
ンクの吐出不良やインクの不吐出が生じると記録が適正
に行なわれない。

従って、インクジェットプリンタではインクの吐出不良
や不吐出の状態を正常に回復するために吐出回復機構が
設けられる場合が多い。この様な吐出回復機構は、通常
ノズル内のインクを高圧により吸引するかまたは押し出
すかして増粘したインク、ゴミ、気泡等をインクととも
にノズル外に排出することにより、正常な吐出状態を回
復している。

具体的な構成としては例えばポンプに連結された吸引用
キャップを吐出不良のノズル先端に嵌着し、ポンプを駆
動させる事によって発生する吸引力によりインクを吸引
してノズル内のインクを排出する等の構成が知られてい
る。

この場合に排出されたインクは装置内の所望の場所に設
けられたインクを溜める部材（以下廃インク容器と呼
ぶ）に導かれ、それに一時貯蔵される。この廃インク容
器は記録用の新しいインクの交換時等の所望の時点で交
換される。

ところがノズルの吐出不良や不吐出が多発し、回復動作
が多数回行なわれ、廃インク容器の容量より多量のイン
クがその交換以前に廃インク容器中に排出された場合に
は、廃インク容器からインクが溢れ出してしまう。この
場合装置内が汚されるばかりでなく、インクが導電性で
あれば装置内の電気回路がそのインクに浸漬される事に
よりショートし、電気回路が損傷する恐れがある。

特に最近は装置全体の小型化のために廃インク容器の容
量も小さく設定されることが多いので上記の不都合が生
じる可能性が大きい。

上記の事はインクジェットプリンタに限らず冒頭に述べ
た種類の記録装置のすべてにあてはまる。

［目的］ 本発明は記録に使用されなかったインクを収納し、装置
内にインクをあふれさせないための構成を有した廃イン
ク容器を提供することを目的とする。

［発明の構成］ 上記目的を達成するために、本発明では、インクを用い
て記録を行う記録装置に交換可能に装填され、インクが
導入され得る廃インク容器において、前記インクを吸収
し体積変化を呈するインク吸収体と、導入されたインク
によつて前記インク吸収体が所定の体積にまで増大した
ことを検知し、導入されたインク量が所定量に達したこ
とを検知する検知部材と、を具備する構成を採用した。

この様に廃インク容器内に廃インクがいっぱいになった
ことを検出する手段を設けたので、使用者に適宜警告を
与えられる、また、警告が発せられたことで廃インク容
器を交換すれば装置内が汚れたり、電気回路が損傷を受
けたりすることが防止される。

［実施例］ 以下、図に示した実施例に基づいて本発明の詳細を説明
する。ここでは本発明を適用したインクジェットプリン
タを実施例としている。

第１図はインクジェットプリンタのインク供給系および
吐出回復機構の構成を示すものである。同図において符
号１で示すものは記録用のインクを貯蔵したメインタン
クであり、同タンク内のインクはチューブ２を介して、
インクジェットヘッドに設けられたサブタンク３内に供
給される。サブタンク３には、同タンク内のインク４を
吸い込みインク滴として吐出して記録を行なうノズル５
が設けられている。

また同図において符号６で示すものは吸引用のキャップ
でポンプ７に連結されており、吐出回復時には同図に示
すようにノズル５の先端に嵌着される。吐出回復時には
ポンプ７の駆動による吸引力でキャップ６を介してノズ
ル５内のインクがポンプ７に吸引される。吸引されたイ
ンクはポンプ７からチューブ８を介して廃インク容器９
に導かれ、そこに貯蔵される。

この廃インク容器９の構造は第２図に示されるように内
部形状が略直方体のタンク状に形成された内部に略直方
体形状のインク吸収体１０が収容されている。このイン
ク吸収体１０は廃インク容器９内の貯蔵インクの揺動を
防止するとともに吸収量を増加させるために設けられて
いるもので、高さおよび幅寸法それぞれが廃インク容器
９の内側の高さおよび幅寸法のそれぞれよりも小さく形
成されている。またインク吸収体１０は、スポンジのよ
うに空気層を多く有するものではなく、液体の吸収によ
って材料が変形等して更に液体が取り込まれる空間がつ
くられる多孔質体や高分子材料から形成され、液体の吸
収によつてその体積が増加する。このような材料として
は、例えば化粧用に使用されるパフ材、写真用フィルム
の水分を拭う場合に使用される多孔質スポンジ体（酢酸
セルロース発泡体、酢酸ビニル発泡体）、フェルト材、
高吸収性樹脂（例えば商品名サンウエット、三洋化成工
業社製）などが具体的に挙げられる。またこのインク級
数体１０には廃インク容器９の一方の側面に挿通された
先述のチューブ８の先端部が挿し込まれている。

また廃インク容器９の内側の天井面と底面には廃インク
容器９内のインク量が所望量に達したか否かを検出する
ための電極である接触子１１ａ，１１ｂがそれぞれ固定
されている。この両接触子１１ａ，１１ｂはそれぞれ廃
インク容器９の側面に導かれた信号線１１，１２に接続
されている。

接触子１１ａ，１１ｂは信号線１１，１２を介して第３
図に示す回路、すなわちインク量検出、警報回路に接続
されている。同図に示される様に信号線１１はインクジ
ェットプリンタ全体の制御を行なうＣＰＵ（中央処理装
置）１２に接続されており、また抵抗Ｒ１を介して電源
Ｖｃｃに接続されている。また接触子１１ｂに接続され
た信号線１２の他端は接地されている。

ここでＣＰＵ１２は信号線１１の信号レベルを監視し、
そのレベルの逆のレベルの信号を信号線１３に出力する
ように構成されている。この信号線１３にはインバータ
１３を介してランプ１４が接続されている。

このランプ１４は廃インク容器９内のインクが例えば満
杯に近い所望量に達した場合に点灯して警告表示を行な
うものであり、例えばＬＥＤから構成され、他端が抵抗
Ｒ２を介して電源Ｖｃｃに接続されている。

次に以上の構成からなる本実施例のインク排出時の動作
につき説明する。

第１図に示す吐出回復機構の回復動作により排出され、
廃インク容器９に導かれたインクの量がまだ少ない場
合、廃インク容器９内のインク吸収体１０の外形は、第
２図に実線で示すように略直方体形状に留まっている。
従って同図に示すようにインク吸収体１０の上面と接触
子１１ａの間には隙間があるため、接触子１１ａ，１１
ｂ間は電気的に遮断されている。このためＣＰＵ１２に
接続されている信号線１１の信号レベルはハイレベルと
なっており、これを受けてＣＰＵ１２は信号線１３への
出力レベルをローレベルに保っている。従ってインバー
タ１３の出力側はハイレベルとなっており、ランプ１４
に電流が流れず、ランプ１４は消灯している。

次に吐出回復機構の動作の繰り返しに伴って、インクが
廃インク容器９に導かれインク吸収体１０に吸収された
インク量が増加すると、インク吸収体１０の体積は全体
的に膨張する。従ってインク吸収体１０は周囲の四方向
と上方向に大きくなる。そしてインク量が廃インク容器
９の満杯に近い所望量に達すると、インク吸収体１０の
外形は第２図に点線で示す如くになり、その上面が接触
子１１ａと接触する。

すると、インク吸収体１０に吸収されたインクを介して
接触子１１ａ，１１ｂ間が導通し、信号線１１が接触子
１１ａ，１１ｂと信号線１２を介して接地され、ＣＰＵ
１２に対する信号線１１の信号レベルはハイレベルから
ローレベルへと変化する。

これを受けてＣＰＵ１２は信号線１３への出力信号のレ
ベルをローレベルからハイレベルとするので、インバー
タ１３の出力側はローレベルとなり、電源Ｖｃｃからラ
ンプ１４に電流が印加されランプ１４が点灯する。この
点灯により、廃インク容器９が満杯近くになつたことの
警告が装置の使用者に報知される。

以上の動作によれば、廃インク容器９内のインクの貯蔵
量が満杯近くになると、ランプ１４が点灯し、使用者に
警告が発せられるので、その警告を受けた使用者が廃イ
ンク容器９を交換することにより、廃インク容器９から
のインクの溢出が未然に防止される。

なお上記実施例では廃インク容器内の廃インク量をイン
ク吸収体の体積増加による接触子の電気的導通で検出し
たが、接触子に限らず他の電気的導通手段を用いてもよ
い。また上記の検出は電気的導通に限らず、インク吸収
体の体積増加を例えば光学的検知手段や圧力的検知手段
等を用いて検知することによっても行なえる。

また上記の構成はインクジェットプリンタに限らず冒頭
に述べた種類の記録装置の全てに適用できる。

［効果］ 以上の説明から明らかなように本発明によれば、導入さ
れたインク量が所定量となったことを報知するために、
廃インク容器に廃インクを吸収したインク吸収体の体積
の増大を検出する検知部材を設けたので、廃インクが容
器内にいっぱいとなってもそれを装置側に伝達出来得る
ので使用者に適宜警告を発生させることが可能となり廃
インクを溢れさせることが無くなる。

【図面の簡単な説明】

図は本発明の実施例を説明するもので、第１図はインク
ジェットプリンタのインク供給系および吐出回復機構の
概略構成図、第２図は第１図中の廃インク容器の縦断側
面図、第３図はインク量検出、警報回路の構成を示すブ
ロック回路図である。 ９……廃インク容器、１０……インク吸収体 １１ａ，１１ｂ……接触子、１２……ＣＰＵ １３……インバータ、１４……ランプ ｌ_１〜ｌ_３……信号線

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】インクを用いて記録を行う記録装置に交換
   可能に装填され、インクが導入され得る廃インク容器に
   おいて、 前記インクを吸収し体積変化を呈するインク吸収体と、 導入されたインクによって前記インク吸収体が所定の体
   積にまで増大したことを検知し、導入されたインク量が
   所定量に達したことを検知する検知部材と、 を具備することを特徴とする廃インク容器。
2. 【請求項２】前記導入されたインク量が所定量となった
   ときに交換されることを特徴とする特許請求の範囲第１
   項記載の廃インク容器。