JPH06328837A - 自己発色型感圧記録シート - Google Patents

自己発色型感圧記録シート

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JPH06328837A
JPH06328837A JP5141448A JP14144893A JPH06328837A JP H06328837 A JPH06328837 A JP H06328837A JP 5141448 A JP5141448 A JP 5141448A JP 14144893 A JP14144893 A JP 14144893A JP H06328837 A JPH06328837 A JP H06328837A
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Takayuki Hayashi
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 優れた耐光性を有する自己発色型感圧記録シ
ートを提供する。また、優れた耐光性と共に優れた耐水
性をも有する自己発色型感圧記録シートを提供する。 【構成】 支持体上に、電子供与性発色剤を含有するマ
イクロカプセル及び電子受容性顕色剤を含む自己発色層
が設けられた自己発色型感圧記録シートであって、該自
己発色層の上に、紫外線吸収剤及びポリマーを含む紫外
線吸収性塗膜が形成されている自己発色型感圧記録シー
ト。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自己発色型感圧記録シ
ート、特に自己発色層の耐光性が向上した自己発色型感
圧記録シートに関する。
【0002】
【従来の技術】電子供与性発色剤(以下、「発色剤」と
言うことがある)を含有するマイクロカプセルからなる
発色剤層(以下、「発色剤層」と言うことがある)と、
電子受容性顕色剤(以下、「顕色剤」と言うことがあ
る)を含む顕色剤層とを接触させ、これに圧力を加えて
マイクロカプセルを破壊して、発色剤と顕色剤とを反応
させることにより発色像を形成させることを利用した感
圧記録シートは古くから知られており、広く利用されて
いる。
【0003】このような感圧記録シートの態様として、
大別すると、発色剤層と顕色剤層とを別々の支持体の表
面に形成し、発色剤層と顕色剤層とを接触させて使用す
るものと、同一の支持体の表面上に発色剤を含有するマ
イクロカプセルと顕色剤とを含む自己発色層を設けた、
所謂、自己発色型感圧記録シート(又は、プレスタイプ
紙、セルフコンテインド紙)と呼ばれるものとがある。
自己発色層としては、発色剤を含有するマイクロカプセ
ルを含む発色剤層と顕色剤を含む顕色剤層とが重層され
ている二層タイプと、同一層内に発色剤を含有するマイ
クロカプセルと顕色剤とを含む一層タイプとがある。
【0004】自己発色型感圧記録シートは、その自己発
色層が設けられた面に圧力を加えると、マイクロカプセ
ルが破壊されて発色剤と顕色剤とが反応して自己発色層
に発色像が形成されるので、自己発色型感圧記録シート
の自己発色層の上に普通紙を載せて普通紙の上から筆記
具、タイプ等で文字等の画像を記録し、感圧記録シート
の自己発色層に発色像を形成する場合、自己発色型感圧
記録シートの自己発色層にインキリボンを使用しないで
直接タイプ、プリンタ等により印字して発色像を形成す
る場合、OCR用の印字をする場合(発色剤層と顕色剤
層とを別々の支持体に設けたものは、紙の反りや粉落ち
等が起き易いので、普通の紙と自己発色型感圧記録シー
トとを組み合わせたものが用いられる)等に用いられて
いる。
【0005】更に、複数枚のコピーを作る場合、支持体
の一方の面に自己発色層を設け、その反対側の面に発色
剤層を形成した自己発色型感圧記録シート(このタイプ
の自己発色型感圧記録シートも本発明の自己発色型感圧
記録シートに含める)を、支持体の片面に発色剤層を設
けその反対側の面に顕色剤層を設けた中用紙又は支持体
の片面に顕色剤層を設けた下用紙と組み合わせて使用さ
れることもある。
【0006】また、自己発色型感圧記録シートは、文字
等の複写のためのみで無く、例えば、精密機器や美術品
を輸送する場合等に、これらに直接取り付けるか又は梱
包容器に取り付けて、輸送中に物品が他のものにぶつか
ったか否かを記録するために(ぶつかった個所に発色像
が生じる)用いられたり、圧力測定センサーとして用い
られたりする。
【0007】このような自己発色型感圧記録シートを使
用前に長時間日光に曝すと、発色性が低下し、極端な場
合には発色しなくなることがある。その原因は紫外線に
より発色剤が分解するためであろうと考えられ、自己発
色層に紫外線吸収剤を含有させることが一般的に提案さ
れている。しかしながら、自己発色型感圧記録シートに
十分な耐光性を付与するために自己発色層に紫外線吸収
剤を含有させる場合、通常の添加量では自己発色型感圧
記録シートを室内で使用するときには十分な耐光性であ
っても屋外で使用するとき耐光性が不十分であり、屋外
で使用しても十分な耐光性を有するようにするためにか
なりの量の紫外線吸収剤を自己発色層に含有させると、
発色剤の含有量が相対的に減少して発色像の濃度が低下
する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、日光
に曝した後での発色性能の低下が極めて少ない、優れた
耐光性を有する自己発色型感圧記録シートを提供するこ
とにある。本発明の他の目的は、優れた耐光性と共に優
れた耐水性をも有する自己発色型感圧記録シートを提供
することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、支持体上に、
電子供与性発色剤を含有するマイクロカプセル及び電子
受容性顕色剤を含む自己発色層が設けられた自己発色型
感圧記録シートであって、該自己発色層の上に、紫外線
吸収剤及びポリマーを含む紫外線吸収性塗膜が形成され
ていることを特徴とする自己発色型感圧記録シートであ
る。
【0010】本発明の好適な態様は下記の通りである。
【0011】(1)上記の自己発色層が、同一層内に電
子供与性発色剤を含有するマイクロカプセルと電子受容
性顕色剤とを含む自己発色層であるか、又は電子供与性
発色剤を含有するマイクロカプセルを含む発色剤層と、
その上に設けられた顕色剤を含む顕色剤層とからなる上
記の自己発色型感圧記録シート。
【0012】(2)上記の紫外線吸収性塗膜に含まれる
ポリマーが、マレイン酸系共重合体、カルボキシル基変
性ポリビニルアルコールの架橋物、及び自己架橋型アク
リル酸系共重合体の架橋物からなる群から選択されたポ
リマーである上記の自己発色型感圧記録シート。
【0013】(3)上記マレイン酸系共重合体が、マレ
イン酸−スチレン共重合体である上記の自己発色型感圧
記録シート。
【0014】(4)上記カルボキシル基変性ポリビニル
アルコールの架橋物が、カルボキシ変性ポリビニルアル
コールのエポキシ化ポリアミド樹脂による架橋物である
上記の自己発色型感圧記録シート。
【0015】本発明の自己発色型感圧記録シートは、基
本的に支持体の同一平面上に自己発色層が設けられ、そ
の上に紫外線吸収剤及びポリマーを含む紫外線吸収性塗
膜が形成されている自己発色型感圧記録シートである。
本発明の自己発色型感圧記録シートは、自己発色層の上
に紫外線吸収性塗膜が設けられていることを除いて、公
知の自己発色型感圧記録シートと同様に構成されてい
る。
【0016】本発明の自己発色型感圧記録シートの自己
発色層は、同一層内に電子供与性発色剤を含有するマイ
クロカプセルと電子受容性顕色剤とを含む形態の自己発
色層、及び、電子供与性発色剤を含有するマイクロカプ
セルを含む発色剤層と、顕色剤を含む顕色剤層とが重層
されてなる形態の自己発色層の何れのものであってもよ
い。
【0017】上記の自己発色層が発色剤層と顕色剤層と
からなる場合、発色剤層と顕色剤層とは何れを支持体側
に設けてもよいが、発色剤層が外側にあると、自己発色
型感圧記録シートの通常の取り扱いの際にマイクロカプ
セルが破壊されて発色剤が出てきて顕色剤と反応し、発
色汚れを生じる恐れがあり、また耐光性を向上させる点
からも、支持体の上に発色剤層が設けられ、その上に顕
色剤層が設けられた構成であることが好ましい。
【0018】支持体としては、従来の自己発色型感圧記
録シートと同様に木材パルプからの紙やプラスチック材
料からの合成紙が使用される。
【0019】本発明の自己発色型感圧記録シートに含ま
れる発色剤を含有するマイクロカプセルは、従来の自己
発色型感圧記録シートに使用される発色剤含有マイクロ
カプセルと同様に形成することができる。発色剤を含有
するマイクロカプセルは、それ自体公知の任意の方法、
例えば、界面重合法、内部重合法、相分離法、外部重合
法、コアセルベーション法等の方法により製造すること
ができる。
【0020】上記発色剤としては、トリフェニルメタン
フタリド系化合物、フルオラン系化合物、フェノチアジ
ン系化合物、インドリルフタリド系化合物、ロイコオー
ラミン系化合物、ローダミンラクタム系化合物、トリフ
ェニルメタン系化合物、ジフェニルメタン系化合物、ト
リアゼン系化合物、スピロピラン系化合物、フルオレン
系化合物など各種の化合物を使用することができる。中
でも、耐紫外線性を有する発色剤として、例えば、特開
昭63−15780号公報に記載されているp−置換ア
ミノフェニルインドリルフタリド誘導体と3,6−ビス
アリールアミノフルオラン誘導体とを併用することが好
ましい。特に好ましい化合物の組み合わせとしては、3
−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3
−(1−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)
フタリドと3,6−ビス−ジフェニルアミノフルオラン
との併用を挙げることができる。
【0021】上記マイクロカプセルの壁材としては、従
来感圧記録シートの発色剤含有マイクロカプセルの壁材
として使用されている水不溶性、油不溶性のポリマーで
あれば特に限定されることなく使用できるが、マイクロ
カプセルの壁材は、熱カブリに対する耐性が大きいこと
からポリウレタンウレア樹脂であることが特に好まし
い。発色剤を含有するポリウレタンウレア壁材のマイク
ロカプセルの分散液を調製する方法としては、例えば、
多価イソシアネートと多価ヒドロキシ化合物及び発色剤
を疎水性溶媒に溶解した溶液を親水性液体中に乳化分散
させ、得られた乳化分散液中に多価アミンを添加し、乳
化分散液中の疎水性液滴をポリウレタンウレア樹脂で被
覆してマイクロカプセル化する方法がある。多価ヒドロ
キシ化合物と多価アミンとは両方を用いてもよく、何れ
か一方を用いてもよい。
【0022】発色剤を含有するマイクロカプセルは、例
えば、前記のような発色剤を必要に応じて紫外線吸収剤
と共に、適当な溶媒(例えば、アルキル化ナフタレン、
アルキル化ジフェニル、アルキル化ジフェニルメタン、
アルキル化ターフェニル、塩素化パラフィン等の合成
油、木綿油、ヒマシ油等の植物油、動物油、鉱物油又は
これらの混合物等)に溶解し、この溶液を前記のような
方法によりマイクロカプセル化することにより製造する
ことができる。マイクロカプセル液には、発色濃度を高
くするために、後述するようなカルボキシル基変性ポリ
ビニルアルコールを含有させてもよい。
【0023】本発明の自己発色型感圧記録シートに含有
される顕色剤としては、酸性白土、活性白土、アタパル
ジャイト、ゼオライト、ベントナイト、カオリンのよう
な粘土物質、芳香族カルボン酸の金属塩、フェノールホ
ルムアルデヒド樹脂等を挙げることができる。中でも芳
香族カルボン酸金属塩が好ましい。この芳香族カルボン
酸金属塩の好ましい具体例としては、3,5−ジ−t−
ブチルサリチル酸、3,5−ジ−t−オクチルサリチル
酸、3,5−ジ−t−ノニルサリチル酸、3,5−ジ−
t−ドデシルサリチル酸、3−メチル−5−t−ドデシ
ルサリチル酸、3−t−ドデシルサリチル酸、5−t−
ドデシルサリチル酸、5−シクロヘキシルサリチル酸、
3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)サリチル
酸、3−メチル−5−(α−メチルベンジル)サリチル
酸、3−(α,α−ジメチルベンジル)−5−メチルサ
リチル酸、3−(α,α−ジメチルベンジル)−6−メ
チルサリチル酸、3−(α−メチルベンジル)−5−
(α,α−ジメチルベンジル)サリチル酸、3−(α,
α−ジメチルベンジル)−6−エチルサリチル酸、3−
フェニル−5−(α,α−ジメチルベンジル)サリチル
酸、カルボキシ変性テルペンフェノール樹脂、3,5−
ビス(α−メチルベンジル)サリチル酸とベンジルクロ
リドとの反応生成物であるサリチル酸樹脂等の、亜鉛
塩、ニッケル塩、アルミニウム塩、カルシウム塩等を挙
げることができる。
【0024】上記芳香族カルボン酸金属塩は、ボールミ
ル、アートライター、サンドグラインダー等を使用して
機械的に水系で分散処理するか、又は有機溶媒に溶解し
て使用することができる。
【0025】芳香族カルボン酸金属塩を溶解する有機溶
媒としては、ジイソプロピルナフタレン、1−フェニル
−1−キシリルエタン、1−フェニル−1−イソプロピ
ルフェニルエタン、1−フェニル−1−エチルフェニル
エタン、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メ
チルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、酢酸エチ
ル、酢酸ブチル、酢酸アミル、メチレンクロライド、ブ
タノール、パラフィン、灯油等を挙げることができる。
【0026】芳香族カルボン酸金属塩を上記有機溶媒に
溶解した溶液を、分散剤を含む水に対して5〜120重
量%、好ましくは50〜100重量%添加して乳化分散
させる。続いてこの乳化分散液を加熱して有機溶媒を除
去してもよい。
【0027】この分散剤としては、イオン系又は非イオ
ン系の界面活性剤や水溶性高分子化合物を使用すること
ができる。界面活性剤としては、アルキルベンゼンスル
ホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキル
スルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、ポリオキ
シエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアル
キルフェニルエーテル、多価アルコール脂肪酸部分エス
テル等が挙げられる。また、水溶性高分子化合物として
は、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコー
ル、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸ソーダ、ポリ
ビニルエーテル、ポリスチレンスルホン酸ソーダ、無水
マレイン酸共重合体等が挙げられる。
【0028】芳香族カルボン酸金属塩は有機溶媒に対し
て一般に10〜200重量%溶解して使用する。
【0029】本発明の自己発色型感圧記録シートの電子
供与性発色剤を含有するマイクロカプセルを含む発色剤
層と、顕色剤を含む顕色剤層とからなる形態の自己発色
層は、上記マイクロカプセルを含む発色剤層形成用塗布
液と顕色剤を含む顕色剤層形成用塗布液とを調製し、例
えば、支持体側に発色剤層を設ける場合は、発色剤層形
成用塗布液を支持体上に塗布し、乾燥し、次いで発色剤
層の上に顕色剤層形成用塗布液を塗布し、乾燥すること
により形成することができる。また、発色剤層形成用塗
布液と顕色剤層形成用塗布液とを同時重層塗布して、上
記のような自己発色層を形成することもできる。
【0030】また、同一層内に電子供与性発色剤を含有
するマイクロカプセルと電子受容性顕色剤とを含有する
形態の自己発色層は、上記のような発色剤層形成用塗布
液と顕色剤層形成用塗布液とを混合し、得られた混合物
を支持体上に塗布し、乾燥することによって形成するこ
とができる。
【0031】発色剤層形成用塗布液は、発色剤等を含有
するマイクロカプセル、バインダー、カプセル保護剤等
を水中に分散又は溶解することにより調製する。発色剤
層形成用塗布液中に使用できるバインダーは、従来発色
剤層に使用されているバインダーであれば特に限定され
ず、例えば、ポリビニルアルコール、マレイン酸系共重
合体、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロー
ス、ヒドロキシプロピルセルロース、アラビアゴム、デ
ンプン、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、カゼイン、
スチレン・ブタジエン・ゴムラテックス、アクリロニト
リル・ブタジエン・ゴムラテックス、ポリ酢酸ビニル等
を挙げることができる。また、カプセル保護剤として
は、セルロース粉末、デンプン粒子、タルク等を使用す
ることができる。
【0032】また、発色剤層形成用塗布液中のバインダ
ー及びカプセル保護剤の合計の含有量は、この塗布液中
の全固形分(マイクロカプセルはマイクロカプセル全体
を固形分として計算する)の20〜40重量%、特に2
5〜35重量%であることが好ましい。この含有量が上
記範囲よりも小さいと発色剤層のカプセルが破壊されて
発色汚れが発生し易く、上記範囲よりも大きいと発色濃
度が低下する傾向にある。
【0033】顕色剤層形成用塗布液は、前記のような顕
色剤分散液に、従来顕色剤層に使用されているバインダ
ー、例えば、ポリビニルアルコール、マレイン酸系共重
合体、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロー
ス、ヒドロキシプロピルセルロース、アラビアゴム、デ
ンプン、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、カゼイン、
スチレン・ブタジエン・ゴム(SBR)ラテックス、ア
クリロニトリル・ブタジエン・ゴム(NBR)ラテック
ス、ポリ酢酸ビニル等、及び無機顔料分散液を添加混合
することによって調製する。
【0034】また、顕色剤層形成用塗布液中のバインダ
ーの含有量は、この塗布液中の全固形分の10〜30重
量%であることが好ましい。この含有量が上記範囲より
も小さいと顕色剤層の塗膜強度が低下し、上記範囲より
も大きいと発色濃度が低下する傾向にある。
【0035】支持体上への発色剤層及び顕色剤層の形成
はそれ自体公知の方法、例えば、エアーナイフ塗布方
法、ブレード塗布方法、カーテン塗布方法等により行う
ことができる。発色剤層形成用塗布液と顕色剤層形成用
塗布液との同時重層塗布が可能であり、しかも高速塗布
が可能であることからカーテン塗布方法により発色剤層
と顕色剤層とを形成することが有利である。
【0036】発色剤の最終塗布量は、0.05g/m2
〜0.30g/m2 、好ましくは0.08g/m2
0.20g/m2 が適当である。また顕色剤の最終塗布
量は、0.1g/m2 〜3.0g/m2 、好ましくは
0.2g/m2 〜1.0g/m2が適当である。
【0037】本発明の自己発色型感圧記録シートに於け
る紫外線吸収性塗膜は、紫外線吸収剤及びポリマーを含
む塗膜である。
【0038】本発明に於て上記紫外線吸収剤は特に限定
されないが、特に270〜380nmの波長領域に分光
吸収を有するものが好ましい。好ましい紫外線吸収剤の
例としては、フェニルサリシレート、p−tert−ブ
チルフェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリ
シレート等のようなサリチル酸系紫外線吸収剤、2,4
−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−
メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクト
キシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオ
キシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メ
トキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4,
4′−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4
−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン等のようなベン
ゾフェノン系紫外線吸収剤、2−(2−ヒドロキシ−5
−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(5−t
ert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリ
アゾール、2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−
ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−
tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニ
ル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−
ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5
−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−te
rt−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリア
ゾール、2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニ
ル)ベンゾトリアゾール等のようなベンゾトリアゾール
系紫外線吸収剤、2−エチルヘキシル−2−シアノ−
3,3′−ジフェニルアクリレート、エチル−2−シア
ノ−3,3′−ジフェニルアクリレート等のようなシア
ノアクリレート系紫外線吸収剤を挙げることができる。
中でも特に好ましいものは、ベンゾトリアゾール系紫外
線吸収剤である。ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤
は、常温で固体であるものでも液体であるものでもよい
が、液体であるものが好ましい。液体のベンゾトリアゾ
ール系紫外線吸収剤の具体例は、特公昭55−3698
4号公報、同55−12587号公報、特開昭58−2
14152号公報等に記載されている。
【0039】本発明の自己発色型感圧記録シートの紫外
線吸収性塗膜中の紫外線吸収剤の含有量(塗布量)は、
紫外線吸収剤の種類、発色剤の種類によっても変わる
が、一般に0.01〜3.0g/m2 の範囲内であるこ
とが好ましい。紫外線吸収剤の塗布量が、上記範囲より
も少ないと耐光性が十分でなく、上記範囲より多いとよ
り以上の耐光性は期待できないのみならず、発色濃度が
不十分になる傾向がある。
【0040】本発明の自己発色型感圧記録シートの紫外
線吸収性塗膜に含まれるポリマーとしては、例えば、ポ
リビニルアルコール、カルボキシル基変性ポリビニルア
ルコール、シリカ変性ポリビニルアルコール、メチルセ
ルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプ
ロピルセルロース、アラビアゴム、デンプン、変性デン
プン、ポリビニルピロリドン、カゼイン等の水溶性高分
子化合物のバインダー、スチレン−ブタジエンラテック
ス、アクリロニトリル−ブタジエンラテックス、酢酸ビ
ニル等のラテックス系バインダーが挙げられる。
【0041】上記紫外線吸収性塗膜に含まれるポリマー
として、更に、マレイン酸系共重合体、カルボキシル基
変性ポリビニルアルコールの架橋物、及び自己架橋型ア
クリル酸系共重合体の架橋物からなる群から選択された
ポリマーを挙げることができ、これらのポリマーを紫外
線吸収性塗膜に含有させると、自己発色型感圧記録シー
トに優れた耐光性と共に優れた耐水性を付与することが
できる。
【0042】本発明に於ける紫外線吸収性塗膜は、上記
のような紫外線吸収剤及びポリマーを含む乳化分散液又
は水溶液からなる紫外線吸収性塗膜形成用塗布液を、自
己発色層の上に塗布し、乾燥することにより容易に形成
することができる。
【0043】紫外線吸収剤は一般に水には実質的に溶解
しないので、紫外線吸収性塗膜形成用塗布液の調製に際
して、紫外線吸収剤を適当な有機溶媒に溶解し、得られ
た溶液を上記ポリマーの水溶液に乳化分散させる。
【0044】紫外線吸収剤のための適当な有機溶媒の例
としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、四塩化炭
素、クロロホルム、メタノール、エタノール、n−ブタ
ノール、ジオキサン、アセトン、ベンゼン等のような低
沸点溶媒と、リン酸エステル、カルボン酸エステル、脂
肪族アミド、アルキル化ビフェニル、アルキル化ターフ
ェニル、塩素化パラフィン、アルキル化ナフタレン、ジ
アリールエタン等のような高沸点溶媒との混合物が好ま
しい。高沸点溶媒の具体例としては、リン酸トリクレジ
ル、リン酸トリオクチル、リン酸オクチルジフェニル、
リン酸トリシクロヘキシル、フタル酸ジブチル、フタル
酸ジオクチル、フタル酸ジラウレート、フタル酸ジシク
ロヘキシル、オレイン酸ブチル、ジエチレングリコール
ジベンゾエート、セバシン酸ジオクチル、セバシン酸ジ
ブチル、アジピン酸ジオクチル、トリメリット酸トリオ
クチル、クエン酸アセチルトリエチル、マレイン酸オク
チル、マレイン酸ジブチル、イソアミルビフェニル、ジ
イソプロピルナフタレン、1,1′−ジトリルエタン、
2,4−ジ−tert−アミルフェノール、N,N−ジ
ブチル−2−ブトキシ−5−tert−オクチルアニリ
ン等を挙げることができる。
【0045】紫外線吸収剤は二種類以上混合して用いる
ことが好ましい。その理由は、紫外線吸収剤を一種類の
み使用すると、長期保存時に紫外線吸収性塗膜中で紫外
線吸収剤が結晶化して析出し、可視光透過率が低下する
傾向があるためである。従って、紫外線吸収剤の結晶
化、析出を防止するために、紫外線吸収剤を高沸点溶媒
に溶解してマイクロカプセル化することにより紫外線吸
収剤をカプセル内に封入してもよい。紫外線吸収剤と共
に、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、ハイド
ロキノン誘導体等の添加剤を使用してもよい。
【0046】紫外線吸収性塗膜形成用塗布液は、上記の
紫外線吸収剤の有機溶媒溶液を保護コロイド、例えば、
ゼラチン水溶液、ポリビニルアルコール水溶液等又はポ
リマーのエマルジョンに加え、コロイドミル、ホモジナ
イザーにより、また超音波の適用により乳化分散させる
ことによって調製することができる。このとき必要に応
じて界面活性剤等を加えてもよい。
【0047】紫外線吸収性塗膜のポリマーとしてマレイ
ン酸系共重合体を使用する場合、紫外線吸収性塗膜は次
のようにして形成する。即ち、溶解したマレイン酸系共
重合体のアンモニウム塩を含む水溶液からなる紫外線吸
収性塗膜形成用塗布液を、自己発色層の上に塗布して塗
布液膜を形成し、これを乾燥する間にアンモニアを離脱
させて除去しカルボン酸のアンモニウム塩を遊離のカル
ボキシル基に変えることによって、遊離のカルボキシル
基を有するマレイン酸系共重合体に変える。マレイン酸
系共重合体のアンモニウム塩は水溶性であるが、脱アン
モニアしてカルボキシル基を有するマレイン酸系共重合
体になると疎水性になり、その塗膜は耐水性を有するよ
うになる。このようにして、水溶液からなる塗布液から
耐水性の塗膜を容易に形成することができる。
【0048】マレイン酸系共重合体のアンモニウム塩
は、例えば、無水マレイン酸と他の共重合可能なモノマ
ーとから無水マレイン酸共重合体を製造し、無水マレイ
ン酸共重合体をアルコールによって部分的にエステル化
し、遊離のカルボキシル基をアンモニアにより中和して
アンモニウム塩にすることによって製造することができ
る。
【0049】無水マレイン酸と共重合可能なモノマーの
好ましい例としては、スチレン、イソブチレン、ジイソ
ブチレン、エチレン、メチルビニルエーテル、アクリロ
ニトリル、プロピレン、ブタジエン、酢酸ビニル等を挙
げることができる。中でもスチレン、エチレン、イソブ
チレンが好ましく、最も好ましいものはスチレンであ
る。無水マレイン酸共重合体の分子量は2万〜10万、
特に3万〜7万の範囲内であることが好ましい。
【0050】無水マレイン酸共重合体のエステル化のた
めに使用できるアルコールは特に限定されないが、メチ
ルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコ
ール、ブチルアルコール等のような低級アルコールが特
に好ましい。得られる無水マレイン酸共重合体の部分エ
ステル化物のエステル化度は、20〜50%、特に30
〜50%であることが好ましい。上記のエステル化によ
り酸無水物基は開環してエステル化されたカルボキシル
基と遊離のカルボキシル基とが形成される。
【0051】次いで、この無水マレイン酸共重合体の部
分エステル化物の遊離のカルボキシル基の少なくとも一
部をアンモニウム塩に変える。遊離のカルボキシル基の
30〜100%をアンモニウム塩に変えることが好まし
い。
【0052】上記の無水マレイン酸と共重合可能なモノ
マーとの共重合反応、アルコールによるエステル化及び
アンモニウム塩への転化は、それ自体公知の方法により
行うことができる。
【0053】カルボキシル基変性ポリビニルアルコール
の架橋物を含む紫外線吸収性塗膜は次のようにして形成
する。即ち、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール
と架橋剤とを含む水溶液からなる紫外線吸収性塗膜形成
用塗布液を、自己発色層の上に塗布して塗布液膜を形成
し、これを乾燥する間にカルボキシル基変性ポリビニル
アルコールを架橋させて架橋物を生成させる。カルボキ
シル基変性ポリビニルアルコールは水溶性であるが、こ
れを架橋させることによって疎水性になり塗膜が耐水性
を有するようになる。このようにして、水溶液からなる
塗布液から耐水性の塗膜を容易に形成することができ
る。
【0054】カルボキシル基変性ポリビニルアルコール
は水溶性であり、例えば、ポリビニルアルコールを、ア
クリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、無水イタコン
酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマー
ル酸等のカルボン酸又はカルボン酸無水物(好ましくは
イタコン酸、無水イタコン酸、アクリル酸、メタクリル
酸等)を使用して変性することにより製造することがで
きる。
【0055】カルボキシル基変性ポリビニルアルコール
は、平均重合度が1000〜2000であり、カルボキ
シル基変性度が1〜10モル%、特に2〜10モル%、
更に特に2.5〜5.5モル%であり、ケン化度が80
〜95%、特に80〜85%であるものが好ましい。カ
ルボキシル基変性度が上記の範囲よりも小さいと耐水性
が不足し、上記の範囲よりも大きいと発色剤層を形成す
る塗布液の流動性が低下し、その塗布に支障が生じる傾
向がある。カルボキシル基変性ポリビニルアルコールは
市販品として容易に入手できるものであり、またその製
造方法は、例えば、特公昭44−5331号公報、同5
1−38753号公報、同54−2408号公報等に記
載されている。
【0056】上記の架橋剤としては、メラミン樹脂、ホ
ルムアルデヒド、グリオキザール、グルタルアルデヒ
ド、ポリアミド樹脂(エポキシ化ポリアミド樹脂を含
む)、ホウ砂又はホウ酸、無機酸(硫酸、塩酸、硝酸
等)の二価金属(Ca、Mg等)塩、水溶性エポキシ樹
脂、クロム明礬、イソシアネート樹脂、ポリアミドポリ
尿素樹脂、炭酸ジルコニウム等が挙げられる。
【0057】これらの架橋剤の中で特に好ましいもの
は、エポキシ化ポリアミド樹脂である。エポキシ化ポリ
アミド樹脂は、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリ
ン樹脂とも呼ばれ、基本的には下記のようにして製造さ
れる。即ち、分子中に第二級アミノ基を有するジアミン
化合物(例えば、ジエチレントリアミン)とジカルボン
酸化合物(例えば、アジピン酸)との脱水縮合反応によ
りポリアミドポリアミンを製造し、このポリアミドポリ
アミンの第二級アミノ基にエピクロルヒドリン(架橋部
位になる)を付加反応させた後、(例えば、塩酸で)p
Hを酸性側に調整することによりカチオン性のポリアミ
ドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂を製造する。
【0058】カルボキシル基変性ポリビニルアルコール
に対する架橋剤の割合は、使用する架橋剤の種類や所望
する架橋物の性質によっても変わるが、一般に、紫外線
吸収性塗膜形成用塗布液中のカルボキシル基変性ポリビ
ニルアルコールと架橋剤との比率は、カルボキシル基変
性ポリビニルアルコール100重量部に対して一般に架
橋剤10〜100重量部、特に30〜80重量部である
ことが、良好な耐水性が得られるので好ましい。
【0059】自己架橋型アクリル酸系共重合体の架橋物
を含む紫外線吸収性塗膜は次のようにして形成する。即
ち、自己架橋型アクリル酸系共重合体を含む水溶液から
なる紫外線吸収性塗膜形成用塗布液を、自己発色層の上
に塗布して塗布液膜を形成し、これを乾燥する間に自己
架橋を起こさせ架橋物にする。自己架橋型アクリル酸系
共重合体は架橋する前は水性エマルジョンであるが、こ
れを架橋させることによって疎水性になり塗膜が耐水性
を有するようになる。このようにして、水性エマルジョ
ンからなる塗布液から耐水性の塗膜を容易に形成するこ
とができる。
【0060】自己架橋型のアクリル系共重合体として
は、例えば、アクリル系モノマーと炭素−炭素二重結合
以外に反応性基を有するアクリル系モノマーと、更に場
合により第三の他の反応性基を有するモノマーとの共重
合体を挙げることができる。アクリル系モノマーとして
は、例えば、アクリル酸、アクリル酸ナトリウム、アク
リル酸アンモニウム、アクリル酸カリウム、アクリル酸
メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリ
ル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸、メタクリル
酸ナトリウム、メタクリル酸アンモニウム、メタクリル
酸カリウム、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチ
ル、メタクリル酸ブチル、等のようなアクリル酸、アク
リル酸塩、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタク
リル酸塩、メタクリル酸エステル等を挙げることができ
る。
【0061】炭素−炭素二重結合以外に反応性基を有す
るアクリル系モノマーとしては、例えば、アクリル酸グ
リシジル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸
ジメチルアミノエチル、メタクリル酸グリシジル、メタ
クリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ジメチ
ルアミノエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、エ
チレングリコールジメタクリレート等のようなアクリル
酸エステル、メタクリル酸エステルを挙げることができ
る。
【0062】自己架橋型アクリル系共重合体の好ましい
具体的例として、N−メチロールアミドとメタクリル酸
ヒドロキシエチル又はアクリル酸との共重合体、メタク
リル酸グリシジルとアクリル酸又はアクリル酸ジメチル
アミノエチルとの共重合体、メタクリル酸ヒドロキシエ
チルとアクリル酸又はアクロレインとの共重合体が挙げ
られる。上記自己架橋型アクリル系共重合体は、一般に
エマルジョンの形で市販品として入手できる。
【0063】本発明の自己発色型感圧記録シートの紫外
線吸収性塗膜の材料として使用する上記の物質は、何れ
も水溶性乃至水乳化性の状態から疎水性の物質に変化す
るという特徴を有するものである。従って、上記の物質
が水溶性乃至水乳化性である状態のときにこれを含む水
性塗布液を調製し、この塗布液を自己発色層の上に塗布
し、得られた塗布液膜を乾燥することにより、紫外線吸
収性塗膜を容易に形成することができる。
【0064】紫外線吸収性塗膜形成用塗布液の塗布は、
それ自体公知の方法、例えば、エアーナイフ塗布方法、
ブレード塗布方法、カーテン塗布方法等により行うこと
ができる。また、カーテン塗布方法により、発色剤層形
成用塗布液及び顕色剤層形成用塗布液と、又は発色剤含
有カプセル及び顕色剤を含む一層の自己発色層形成用塗
布液と、同時重層塗布することもできる。
【0065】本発明の自己発色型感圧記録シートに於け
る紫外線吸収性塗膜は、上記のようにして容易に形成す
ることができ、自己発色層には全く悪影響を与えること
がない。
【0066】上記のマレイン酸系共重合体、カルボキシ
ル基変性ポリビニルアルコールの架橋物、及び自己架橋
型アクリル酸系共重合体の架橋物からなる群から選択さ
れたポリマーを含む紫外線吸収性塗膜には、その耐水性
を受容できないほど低下させない範囲で、前記のような
親水性のポリマーを含有させてもよい。
【0067】更に、紫外線吸収性塗膜には、必要に応じ
て、一般の有機顔料又は無機顔料、例えば、炭酸カルシ
ウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、酸化チタ
ン、タルク、ロウ石、カオリン、焼成カオリン、非晶質
シリカ、コロイダルシリカ、尿素−ホルマリン樹脂粉
末、ポリエチレン樹脂粉末等が含まれていてもよい。ま
た、より耐水性を上げるために紫外線吸収性塗膜には、
更に、撥水剤又は撥油剤、例えば、モンタンワックス、
パラフィンワックス、カルナバワックス、マイクロクリ
スタリンワックス、ポリエチレンワックス、シリコー
ン、フッ素樹脂等が含まれていてもよい。
【0068】比較例2と各実施例との比較から明らかな
ように、紫外線吸収剤を自己発色剤層に含有させたもの
に比較して、紫外線吸収剤を含む紫外線吸収性層を設け
た自己発色型感圧記録シートの方が遥かに優れた耐光性
を有する。
【0069】
【実施例】次に、実施例及び比較例により本発明を更に
詳細に説明する。
【0070】[実施例1] [発色剤層形成用塗布液の調製]発色剤として、3,6
−ビス−ジフェニルアミノフルオラン3.0gと3−
[4−(ジメチルアミノ)−2−エトキシフェニル]−
3−(2−メチル−1−オクチル−3−インドリル)フ
タリド3.0gを、ジイソプロピルナフタレン100g
に溶解した。得られた油性液に、パラフィン系溶媒とし
てIPソルベント1620(出光石油化学株式会社製)
60g、多価イソシアネートとしてカルボジイミド変性
ジフェニルメタンジイソシアネート(日本ポリウレタン
株式会社製、商品名「ミリオネートMTL」)10g、
ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体(住友
バイエルウレタン株式会社製、商品名「スミジュールN
3200」)5g及びアミンのアルキレンオキサイド付
加物としてエチレンジアミンのブチレンオキサイド付加
物(エチレンジアミンに対するブチレンオキサイドの付
加モル数16.8モル、分子量1267)3.0gを溶
解し、一次溶液を調製した。
【0071】次に、水140gにポリビニルアルコール
10g及びカルボキシメチルセルロース5gを溶解して
二次溶液を調製した。二次溶液を激しく攪拌しながら、
これに上記の一次溶液を注いで水中油滴型エマルジョン
を形成させた。オイルドロップレットのサイズが5.0
μmになったところで攪拌を弱め、次いでこの乳化物中
に20℃の水100gを添加した後、更にテトラエチレ
ンペンタミン0.5gを添加し、系の温度を徐々に70
℃にまで上昇させ、この温度で90分間維持した。
【0072】このようにして得られたカプセル液に15
%ポリビニルアルコール水溶液(株式会社クラレ製、P
VA−205)80g、カルボキシ変性SBRラテック
スを固形分にて30g及びデンプン粒子(平均粒径15
μm)60gを添加した。次いで水を添加して固形分濃
度を20重量%に調節し、発色剤層形成用塗布液を調製
した。
【0073】[顕色剤分散液の調製]3,5−ビス(α
−メチルベンジル)サリチル酸亜鉛100gを、キシレ
ン80gに加えて溶解した。
【0074】このキシレン溶液を4%ポリビニルアルコ
ール(株式会社クラレ製、PVA−205)水溶液12
0g中に添加し、更に界面活性剤として10%ポリオキ
シエチレンソルビタンオレエート水溶液4gをこれに添
加し、ホモジナイザーにより乳化物の平均粒径が1.0
μmになるように乳化分散液を調製した。
【0075】次に、この乳化分散液に水180gを加え
た後加熱し、キシレンを水と共沸させて乳化分散液から
除去し、固形分濃度が30%になるように調節して顕色
剤分散液を得た。
【0076】[顕色剤層形成用塗布液の調製]炭酸カル
シウム120g、酸化亜鉛20g、ヘキサメタリン酸ナ
トリウム1g及び水200gを用いて、サンドミルによ
り微粒化処理した無機顔料分散液を得た。
【0077】この無機顔料分散液300gに、9%ポリ
ビニルアルコール(株式会社クラレ製、PVA−11
7)水溶液200g及びカルボキシ変性SBRラテック
ス(住友ノーガタック株式会社製SU−307)4gを
添加し、更に上記の顕色剤分散液を15g添加し、固形
分濃度が20%になるように加水調整して顕色剤層形成
用塗布液を調製した。
【0078】[紫外線吸収性塗膜形成用塗布液Aの調
製]紫外線吸収剤として、2−(3,5−ジ−t−ブチ
ル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリ
アゾール10重量部、2−(5−t−ブチル−2−ヒド
ロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール26
重量部、及び2−(3−t−ブチル−5−sec−ブチ
ル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリ
アゾール47重量部を、トリノニルフォスフェート(高
沸点溶媒)42重量部と酢酸エチル47重量部との混合
溶媒に添加し、加熱溶解し、得られた溶液をトリイソプ
ロピルナフタレンスルホン酸ソーダを含むゼラチン水溶
液中に加えて、コロイドミルにて体積平均粒径が0.4
μmになるまで乳化分散させた。この乳化分散液に更に
8%ゼラチン溶液を200重量部添加して、紫外線吸収
性塗膜形成用塗布液Aを調製した。
【0079】[自己発色型感圧記録シートの作製]40
g/m2 の原紙の一方の面に、上記の発色剤層形成用塗
布液が5.0g/m2 の固形分で塗布されるように、そ
して発色剤層の上に顕色剤層形成用塗布液が5.0g/
2 の固形分で塗布されるように、重層カーテン塗布方
法により塗布し、100℃で乾燥して、紙の一方の面に
発色剤層及び顕色剤層の二層からなる自己発色層を形成
させた。
【0080】この自己発色層の上に、上記の紫外線吸収
性塗膜形成用塗布液Aを2.0g/m2 の固形分で、単
層カーテン塗布方法により塗布し、100℃で乾燥し
て、紙の一方の面に自己発色層及び紫外線吸収性塗膜が
形成された自己発色型感圧記録シートを作製した。
【0081】[耐光性試験]上記のようにして作製した
自己発色型感圧記録シートの自己発色層の面に、屋外で
日光を照射し、その後その紫外線吸収性塗膜の上から静
圧加重500kg/cm2 をかけて発色させ、耐光性の
評価値として、発色像が実用上問題となり始めるまでの
日光照射日数(即ち、実用上問題なく使用可能な照射日
数)を測定した。本実施例で得られた自己発色型感圧記
録シートの耐光性を表1に示す。
【0082】[実施例2] [自己発色層形成用塗布液の調製]実施例1に於けると
同様にして調製した発色剤層形成用塗布液と、実施例1
に於けると同様にして調製した顕色剤層形成用塗布液と
を、1:1の重量割合で混合して自己発色層形成用塗布
液を調製した。
【0083】[自己発色型感圧記録シートの作製]40
g/m2 の原紙の一方の面に、上記の自己発色層形成用
塗布液が10.0g/m2 の固形分で塗布されるよう
に、そして自己発色層の上に、実施例1に於けると同様
にして調製した紫外線吸収性塗膜形成用塗布液Aが2.
0g/m2 の固形分で塗布されるように、両塗布液を重
層カーテン塗布方法により塗布し、100℃で乾燥し
て、紙の一方の面に自己発色層及び、紫外線吸収性塗膜
が形成された自己発色型感圧記録シートを作製した。
【0084】得られた自己発色型感圧記録シートについ
て実施例1に於けると同様の方法により耐光性を評価し
た。その結果を表1に示す。
【0085】[比較例1]紫外線吸収性塗膜の形成を行
わなかった他は、実施例1に於けると同様にして、自己
発色型感圧記録シートを作製した。得られた自己発色型
感圧記録シートについて実施例1に於けると同様の方法
により耐光性を評価した。その結果を表1に示す。
【0086】[実施例3] [紫外線吸収性塗膜形成用塗布液Bの調製]カルボキシ
ル基変性ポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、K
L−318、カルボキシル基変性度5モル%、ケン化度
の88%)の10重量%水溶液150gと、エポキシ化
ポリアミド樹脂(東邦化学株式会社製、FL−71)の
30重量%水溶液50gとを混合し、得られた溶液に、
紫外線吸収剤として、2−(3,5−ジ−t−ブチル−
2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ
ール10重量部、2−(5−t−ブチル−2−ヒドロキ
シフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール26重量
部、及び2−(3−t−ブチル−5−sec−ブチル−
2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ
ール47重量部を、トリノニルフォスフェート(高沸点
溶媒)42重量部と酢酸エチル47重量部との混合溶媒
に添加し、加熱溶解して得られた溶液200gを添加混
合して、紫外線吸収性塗膜形成用塗布液Bを調製した。
【0087】[自己発色型感圧記録シートの作製]実施
例1に於て使用した紫外線吸収性塗膜形成用塗布液Aの
代わりに、上記の紫外線吸収性塗膜形成用塗布液Bを
3.0g/m2 の固形分塗布量で塗布した他は、実施例
1に於けると同様にして、自己発色型感圧記録シートを
作製した。
【0088】得られた自己発色型感圧記録シートについ
て実施例1に於けると同様の方法により耐光性を評価し
た。その結果を表1に示す。
【0089】上記の自己発色型感圧記録シートを、水中
に三日間浸漬した後水から取り出し、濡れた状態で顕色
剤層の表面を指先で3回こすったが、塗膜は何ら影響を
受けず剥れることもなく、実用上問題のない優れた耐水
性を示した。
【0090】[実施例4] [発色剤層形成用塗布液の調製]実施例1に於ける発色
剤層形成用塗布液の調製の際に、一次溶液に更に紫外線
吸収剤である2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒド
ロキシフェニル)ベンゾトリアゾール15重量部を添加
した他は実施例1に於けると同様にして、発色剤層形成
用塗布液を調製した。
【0091】[自己発色型感圧記録シートの作製]実施
例1に於て使用した発色剤層形成用塗布液の代わりに、
上記の発色剤層形成用塗布液を5.0g/m2 の固形分
塗布量で塗布した他は、実施例1に於けると同様にし
て、自己発色型感圧記録シートを作製した。
【0092】得られた自己発色型感圧記録シートについ
て実施例1に於けると同様の方法により耐光性を評価し
た。その結果を表1に示す。
【0093】[比較例2]紫外線吸収性塗膜の形成を行
わなかった他は、実施例4に於けると同様にして、自己
発色型感圧記録シートを作製した。得られた自己発色型
感圧記録シートについて実施例1に於けると同様の方法
により耐光性を評価した。その結果を表1に示す。
【0094】
【表1】
【0095】表1のデータから明らかなように、本発明
の自己発色型感圧記録シートである実施例1〜4で作製
した自己発色型感圧記録シートは、何れも耐光性が極め
て優れているものである。これに対して本発明に於ける
紫外線吸収性塗膜が設けられていない比較例1で作製し
た自己発色型感圧記録シートは耐光性が著しく劣り、比
較例2で作製した自己発色型感圧記録シートは、紫外線
吸収剤を発色剤層に含有させているにもかかわらず、紫
外線吸収性塗膜が設けられていないために本発明の自己
発色型感圧記録シートに比較して耐光性が著しく劣って
いる。
【0096】
【発明の効果】本発明の自己発色型感圧記録シートは、
光に曝した後での発色性能の低下が極めて少ない、優れ
た耐光性を有するものである。更に、紫外線吸収性塗膜
に特定のポリマーを含有する本発明の自己発色型感圧記
録シートは、優れた耐光性と共に優れた耐水性をも有す
るものである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に、電子供与性発色剤を含有す
    るマイクロカプセル及び電子受容性顕色剤を含む自己発
    色層が設けられた自己発色型感圧記録シートであって、
    該自己発色層の上に、紫外線吸収剤及びポリマーを含む
    紫外線吸収性塗膜が形成されていることを特徴とする自
    己発色型感圧記録シート。
  2. 【請求項2】 該紫外線吸収性塗膜に含まれるポリマー
    が、マレイン酸系共重合体、カルボキシル基変性ポリビ
    ニルアルコールの架橋物、及び自己架橋型アクリル酸系
    共重合体の架橋物からなる群から選択されたポリマーで
    あることを特徴とする請求項1に記載の自己発色型感圧
    記録シート。
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