JPH06328559A - 電気絶縁フィルムおよびこれを用いたキャリアテープ - Google Patents

電気絶縁フィルムおよびこれを用いたキャリアテープ

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JPH06328559A
JPH06328559A JP12408493A JP12408493A JPH06328559A JP H06328559 A JPH06328559 A JP H06328559A JP 12408493 A JP12408493 A JP 12408493A JP 12408493 A JP12408493 A JP 12408493A JP H06328559 A JPH06328559 A JP H06328559A
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JP
Japan
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film
insulating film
polyether
repeating unit
unit represented
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JP12408493A
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English (en)
Inventor
Chikafumi Kayano
慎史 茅野
Toru Iga
徹 伊賀
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IDEMITSU MATERIAL KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】寸法安定性および耐熱性に優れ、かつ表面の平
滑性にも優れた電気絶縁フィルムを提供する。 【構成】特定のポリエーテル系共重合体を非晶質フィル
ム化し、この非晶質フィルムをたて方向の倍率およびよ
こ方向の倍率が共に3.0倍を超える倍率で二軸延伸し
て配向フィルムとした後、この配向フィルムを前記ポリ
エーテル系共重合体のガラス転移温度以上結晶融点以下
の温度で1回以上熱処理してなるポリエーテル系共重合
体の熱固定配向フィルムからなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電気絶縁フィルムおよび
キャリアテープに係り、特に、テープキャリアボンディ
ング(以下、TABと略記する。)で用いるキャリアテ
ープ用の電気絶縁フィルムとして好適な電気絶縁フィル
ムおよびこれを用いて得られたキャリアテープに関す
る。
【0002】
【従来の技術】TABで用いるキャリアテープは、その
構造から何種類かに分類することができるが、電気絶縁
フィルムと、この電気絶縁フィルムの片面に設けられた
熱硬化性の接着剤層と、この接着剤層に加熱圧着された
銅箔を所定形状に成形した後にスズ(Sn)や金(A
u)等をメッキしてなる複数のリードとを備えた3層構
造のものが多用されている。この種の電気絶縁フィルム
としては従来よりポリイミドフィルムが多用されている
が、ポリイミドフィルムは吸湿性が比較的高いため、銅
箔の加熱圧着後に反りやねじれを生じることがある等、
寸法安定性の点で未だ不十分である。
【0003】また、電気・電子分野で電気絶縁材料とし
ての応用が期待されている材料としてポリエーテルケト
ン系重合体があるが、このポリエーテルケトン系重合体
は難燃性や耐薬品性等に非常に優れてはいるものの、キ
ャリアテープ用の電気絶縁フィルムとして用いるには耐
熱性が未だ不十分である。
【0004】このため、キャリアテープ用の電気絶縁フ
ィルムとして好適な樹脂フィルムの開発が進められてお
り、寸法安定性および耐熱性に優れた樹脂フィルムとし
ては、無機充填剤を10〜50wt%含有するポリエー
テル系共重合体樹脂組成物のフィルムに二段階の熱処理
を施して得たものが開発されている(特開平4−469
39号公報参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記公
報に開示されているフィルムは、無機充填剤を大量に含
有する組成物からなることから表面の平滑性が比較的低
い。近年のTAB技術の向上およびIC(集積回路)チ
ップの多ピン化に伴い、TABにはより精密なピッチで
配線することが求められているが、キャリアテープ用の
電気絶縁フィルムの表面の平滑性が低いと、このような
要求を満たすことは困難である。
【0006】本発明はこのような事情に基づいてなされ
たものであり、その第1の目的は、寸法安定性および耐
熱性に優れ、かつ表面の平滑性にも優れた電気絶縁フィ
ルムを提供することにある。また第2の目的は、TAB
によりICチップを実装するにあたってより精密なピッ
チで配線することが容易なキャリアテープを提供するこ
とにある。さらに第3の目的は、前記電気絶縁フィルム
や前記キャリアテープ等の原料として好適はポリエーテ
ル系共重合体の配向フィルムを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記第1の目的を達成す
る本発明の電気絶縁フィルムは、下式(I)
【化7】 で表される繰返し単位と、下式(II)
【化8】 で表される繰返し単位とからなると共に、前記式(I)
で表される繰返し単位の割合がモル比で0.15〜0.
40で、400℃における剪断速度10sec-1での溶
融粘度が500〜600,000ポイズであるポリエー
テル系共重合体を非晶質フィルム化し、この非晶質フィ
ルムをたて方向の倍率およびよこ方向の倍率が共に3.
0倍を超える倍率で二軸延伸して配向フィルムとした
後、この配向フィルムを前記ポリエーテル系共重合体の
ガラス転移温度以上結晶融点以下の温度で1回以上熱処
理してなるポリエーテル系共重合体の熱固定二軸配向フ
ィルからなることを特徴とするものである。
【0008】また、上記第2の目的を達成する本発明の
キャリアテープは、下式(I)
【化9】 で表される繰返し単位と、下式(II)
【化10】 で表される繰返し単位とからなると共に、前記式(I)
で表される繰返し単位の割合がモル比で0.15〜0.
40で、400℃における剪断速度10sec-1での溶
融粘度が500〜600,000ポイズであるポリエー
テル系共重合体を非晶質フィルム化し、この非晶質フィ
ルムをたて方向の倍率およびよこ方向の倍率が共に3.
0倍を超える倍率で二軸延伸して配向フィルムとした
後、この配向フィルムを前記ポリエーテル系共重合体の
ガラス転移温度以上結晶融点以下の温度で1回以上熱処
理してなるポリエーテル系共重合体の熱固定二軸配向フ
ィルからなる電気絶縁フィルムと、この電気絶縁フィル
ム上に形成された複数のリードとを少なくとも有するこ
とを特徴とするものである。
【0009】そして、上記第3の目的を達成する本発明
の配向フィルムは、下式(I)
【化11】 で表される繰返し単位と、下式(II)
【化12】 で表される繰返し単位とからなると共に、前記式(I)
で表される繰返し単位の割合がモル比で0.15〜0.
40で、400℃における剪断速度10sec-1での溶
融粘度が500〜600,000ポイズであるポリエー
テル系共重合体を非晶質フィルム化した後、この非晶質
フィルムをたて方向の倍率およびよこ方向の倍率が共に
3.0倍を超える倍率で二軸延伸してなることを特徴と
するものである。
【0010】以下、本発明を詳細に説明する。まず本発
明の電気絶縁フィルムについて説明すると、この電気絶
縁フィルムは、上述したように特定のポリエーテル系共
重合体の熱固定二軸配向フィルムからなり、このポリエ
ーテル系共重合体は、前記式(I)で表される繰返し単
位と前記式(II)で表される繰返し単位とからなる。そ
して、このポリエーテル系共重合体における前記式
(I)で表される繰返し単位の割合は、上述したよう
に、モル比で0.15〜0.40である。
【0011】前記式(I)で表される繰返し単位の割合
の下限をモル比で0.15に限定する理由は、この比が
0.15未満であるとポリエーテル系共重合体のガラス
転移温度が低くなって耐熱性が低下し過ぎたり、融点が
高くなって成形加工性が低下するからである。一方、前
記式(I)で表される繰返し単位の割合の上限をモル比
で0.40に限定する理由は、この比が0.40を超え
るとポリエーテル系共重合体の結晶性が失われて、耐熱
性や耐溶剤性が低下し過ぎるからである。
【0012】また、本発明で用いられる前記ポリエーテ
ル系共重合体は、400℃における剪断速度10sec
-1での溶融粘度が500〜600,000ポイズのもの
である。この溶融粘度の下限を500ポイズに限定する
理由は、500ポイズ未満のポリエーテル系共重合体は
低分子量過ぎて、耐熱性、延伸性、機械的強度等が不十
分となるからである。一方、前記溶融粘度の上限を60
0,000ポイズに限定する理由は、600,000ポ
イズを超えるポリエーテル系共重合体では成形加工性が
低過ぎるからである。
【0013】繰返し単位および溶融粘度についての上述
の条件を満たすポリエーテル系共重合体の結晶融点は概
ね330〜400℃の範囲内にあり、このポリエーテル
系共重合体は高い結晶性を有すると共に十分な耐熱性を
有する。さらに、耐溶剤性や機械的強度にも優れてい
る。したがって、電気・電子機器分野、機械分野等にお
ける素材として好適に用いることができる。
【0014】このようなポリエーテル系共重合体は、例
えば、ジハロゲノベンゾニトリル、4,4′−ジハロゲ
ノベンゾフェノン、4,4′−ビフェノール、およびア
ルカリ金属化合物の各々所定量を中性極性溶媒中で反応
させた後、反応生成物を公知の方法に従って分離、精製
することにより得ることができる。
【0015】ここで、上記ジハロゲノベンゾニトリルは
下式(i)
【化13】 (式中、Xはハロゲン原子を示す。)で表される化合物
であり、その具体例としては2,6−ジクロロベンゾニ
トリル、2,6−ジフルオロベンゾニトリル、2,4−
ジクロロベンゾニトリル、2,4−ジフルオロベンゾニ
トリル等が挙げられる。特に好ましいジハロゲノベンゾ
ニトリルは、2,6−ジクロロベンゾニトリルである。
【0016】また、前記4,4′−ジハロゲノベンゾフ
ェノンは下式(ii)
【化14】 (式中、Xはハロゲン原子を示す。)で表される化合物
であり、その具体例としては4,4′−ジクロロベンゾ
フェノン、4,4′−ジフルオロベンゾフェノン等が挙
げられる。
【0017】前記アルカリ金属化合物は、下式(iii)
【化15】 で表される前記4,4′−ビフェノールをアルカリ金属
塩にすることができるものであれば特に限定されるもの
ではないが、アルカリ金属炭酸塩およびアルカリ金属炭
酸水素塩が好ましい。アルカリ金属炭酸塩の具体例とし
ては、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、
炭酸ルビジウム、炭酸セシウム等が挙げられる。好まし
いアルカリ金属炭酸塩は、炭酸ナトリウムおよび炭酸カ
リウムである。また、アルカリ金属炭酸水素塩の具体例
としては、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭
酸水素カリウム、炭酸水素ルビジウム、炭酸水素セシウ
ム等が挙げられる。好ましいアルカリ金属炭酸水素塩
は、炭酸水素ナトリウムおよび炭酸水素カリウムであ
る。
【0018】そして、前記中性極性溶媒の具体例として
は、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチル
ホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N
−ジエチルアセトアミド、N,N−ジプロピルアセトア
ミド、N,N−ジメチル安息香酸アミド、N−メチル−
2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−イ
ソプロピル−2−ピロリドン、N−イソブチル−2−ピ
ロリドン、N−n−プロピル−2−ピロリドン、N−n
−ブチル−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル−2−
ピロリドン、N−メチル−3−メチル−2−ピロリド
ン、N−エチル−3−メチル−2−ピロリドン、N−メ
チル−3,4,5−トリメチル−2−ピロリドン、N−
メチル−2−ピペリドン、N−エチル−2−ピペリド
ン、N−イソプロピル−2−ピペリドン、N−メチル−
6−メチル−2−ピペリドン、N−メチル−3−エチル
ピペリジン、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキ
シド、1−メチル−1−オキソスルホラン、1−エチル
−1−オキソスルホラン、1−フェニル−1−オキソス
ルホラン、N,N′−ジメチルイミダゾリジノン、ジフ
ェニルスルホン等が挙げられる。
【0019】上述したジハロゲノベンゾニトリル、4,
4′−ジハロゲノベンゾフェノン、4,4′−ビフェノ
ール、およびアルカリ金属化合物の各々の使用量は、目
的とするポリエーテル系共重合体が得られる量であれば
特に限定されるものではないが、ジハロゲノベンゾニト
リルおよび4,4′−ジハロゲノベンゾフェノンについ
ては、4,4′−ビフェノールの使用量に対するこれら
の合計量のモル比が0.98〜1.02、好ましくは
1.00〜1.01となるように使用することが望まし
い。また、アルカリ金属化合物は、4,4′−ビフェノ
ールの使用量に対するモル比が1.03〜2.50、好
ましくは1.03〜1.25となるように使用すること
が望ましい。
【0020】上述した中性極性溶媒の使用量については
特に制限はないが、ジハロゲノベンゾニトリルと4,
4′−ビフェノールとアルカリ金属化合物との合計量が
当該中性極性溶媒200ml当たり0.05〜1モルと
なるよう使用することが好ましい。
【0021】中性極性溶媒中でのジハロゲノベンゾニト
リル、4,4′−ジハロゲノベンゾフェノン、4,4′
−ビフェノール、およびアルカリ金属化合物の反応は、
通常、反応温度150〜380℃、反応時間0.1〜1
0時間の条件で行われる。反応温度が150℃未満では
反応速度が遅すぎるため、実用的でない。一方、380
℃を超えると副反応をまねくことがある。好ましい反応
温度は180〜330℃である。また、好ましい反応時
間は0.5〜5時間である。
【0022】本発明で用いられるポリエーテル系共重合
体は、上述のようにして生じた反応生成物を公知の方法
に従って分離、精製することにより得られるが、当該ポ
リエーテル系共重合体におけるアルカリ金属塩の含有量
はできるだけ少量であることが好ましく、例えば50pp
m 以下であることが望ましい。その理由は、アルカリ金
属塩の含有量が多いポリエーテル系共重合体を長期間使
用すると、アルカリ金属塩の浸出により周囲の金属を腐
食させたりすることがあるからである。
【0023】したがって、上述のようにして得られたポ
リエーテル系共重合体については、必要に応じてアルカ
リ金属塩の脱塩を行う。この脱塩は、例えば、有機酸も
しくは無機酸を含有するpH3.5以下の酸性水溶液で
ポリエーテル系共重合体を洗浄することにより行うこと
ができる。
【0024】ここで、前記有機酸の具体例としては、ギ
酸、酢酸、モノクロル酢酸、ジクロル酢酸、トリクロル
酢酸、プロピオン酸等のモノカルボン酸や、シュウ酸、
マロン酸等のジカルボン酸等が挙げられる。これらの中
でもジカルボン酸が好ましく、特にシュウ酸が好まし
い。有機酸は1種を単独使用してもよいし、2種以上を
併用してもよい。また、前記無機酸の具体例としては塩
酸、硫酸、リン酸等が挙げられる。これらの中でも塩酸
が好ましい。
【0025】前記酸性水溶液によるポリエーテル系共重
合体の洗浄時間は、ポリエーテル系共重合体におけるア
ルカリ金属塩の含有量が所望値、例えば50ppm 以下に
なるに十分な時間である。なお、脱塩効果を促進するた
めに、加温下または加圧下で洗浄を行ってもよい。
【0026】このようにして脱塩を行った後には、ポリ
エーテル系共重合体から酸を除去するために、純水、イ
オン交換水、蒸留水等でポリエーテル系共重合体を洗浄
することが好ましい。
【0027】本発明の電気絶縁フィルムは、上述したポ
リエーテル系共重合体を非晶質フィルム化し、この非晶
質フィルムをたて方向の倍率およびよこ方向の倍率が共
に3.0倍を超える倍率で二軸延伸して配向フィルムと
した後、この配向フィルムを前記ポリエーテル系共重合
体のガラス転移温度以上結晶融点以下の温度で1回以上
熱処理してなるポリエーテル系共重合体の熱固定二軸配
向フィルからなる。
【0028】ポリエーテル系共重合体の非晶質フィルム
化は、例えばT−ダイ法やチューブラー法等の通常の押
出成形法でポリエーテル系共重合体をフィルム状に成形
した後に急冷することで行うことができ、これにより透
明性のよい非晶質フィルムが得られる。押出成形は、ポ
リエーテル系共重合体の結晶融点よりも10〜100℃
高い温度、好ましくは30〜70℃高い温度で行うこと
が望ましい。また、非晶質フィルムの厚さは、目的とす
る電気絶縁フィルムの用途等に応じて適宜選択される。
【0029】この非晶質フィルムから配向フィルムを得
るための二軸延伸は、逐次二軸延伸および同時二軸延伸
のいずれでもよいが、いずれの場合でもたて方向の倍率
およびよこ方向の倍率が共に3.0倍を超えるように延
伸する。たて方向の延伸倍率およびよこ方向の延伸倍率
を共に3.0倍を超える倍率に限定する理由は、一方ま
たは両方の延伸倍率が3.0倍以下では十分な延伸効果
が得られないからである。なお、いずれの方向の延伸倍
率の上限も特に限定されるものではなく、破断が生じな
ければよい。
【0030】延伸温度は、延伸しようとするポリエーテ
ル系共重合体のガラス転移温度以上冷結晶化温度(Tc
c)以下とすることが好ましい。延伸温度がガラス転移
温度未満ではフィルムが不均質になり、冷結晶化温度を
超えると結晶化が起こり易くなる。なお、ポリエーテル
系共重合体の組成に応じてガラス転移温度および冷結晶
化温度が変動するために前述の延伸温度の範囲は一定で
はないが、本発明で用いるポリエーテル系共重合体の場
合は概ね170〜250℃の範囲内であり、好ましい延
伸温度は概ね175〜220℃の範囲内である。また、
延伸速度は200〜10,000%/分とすることが好
ましく、特に500〜6,000%/分とすることが好
ましい。延伸速度が200%分未満では、配向緩和が起
こり易い。
【0031】このように延伸してなるポリエーテル系共
重合体の配向フィルム(この配向フィルムは前記第3の
目的を達成する本発明の配向フィルムに相当する。)
は、耐熱性、耐溶剤性、機械的強度、電気絶縁性等に優
れたフィルムである。
【0032】本発明の電気絶縁フィルムは、この配向フ
ィルムに特定の熱処理を施すことにより高温下での寸法
安定性および表面の平滑性を向上さたものである。すな
わち、本発明の電気絶縁フィルムは、前述したように上
記配向フィルムを前記ポリエーテル系共重合体のガラス
転移温度以上結晶融点以下の温度で1回以上熱処理して
なるポリエーテル系共重合体の熱固定二軸配向フィルか
らなる。
【0033】この熱処理は1回でもよいが、複数回行う
方がより好ましい。複数回熱処理する場合、それぞれの
熱処理温度は同一であってもよいし異なっていてもよ
い。また、少なくとも1回目の熱処理については、配向
フィルムを金属フレームで固定する等の方法により、前
記配向フィルムを緊張状態に保ちつつ行う。2回目以降
の熱処理は緊張状態に保ちつつ行ってもよいし、緊張状
態に保たずに行ってもよい。なお、ポリエーテル系共重
合体の組成に応じてガラス転移温度および結晶融点が変
動するために前述の熱処理温度の範囲は一定ではない
が、熱処理の代表的な一例としては190〜370℃で
1〜600秒間の熱処理が挙げられる。
【0034】このようにしてなる本発明の電気絶縁フィ
ルムの線膨脹係数は1.5×10-5〜2.3×10-5
℃と銅並に低い。また、この電気絶縁フィルムは耐熱
性、耐溶剤性、機械的強度等に優れている他、高温下で
の寸法安定性および表面の平滑性にも優れている。これ
らのことから、TABで用いるキャリアテープ用の電気
絶縁フィルム等、種々の用途の電気絶縁フィルムとして
好適である。
【0035】次に、本発明のキャリアテープについて説
明すると、このキャリアテープは、上述した本発明の電
気絶縁フィルムと、この電気絶縁フィルム上に形成され
た複数のリードとを少なくとも有することを特徴とする
ものである。本発明のキャリアテープは、電気絶縁フィ
ルムとして上記本発明の電気絶縁フィルムを用いたもの
であればよく、キャリアテープの構造等、他の点は特に
限定されるものではない。
【0036】また、その製造方法も、電気絶縁フィルム
として上記本発明の電気絶縁フィルムを用いる以外は公
知の方法と同様である。例えば、従来より多用されてい
る電気絶縁フィルム、接着剤層、および複数のリードと
を備えた3層構造のキャリアテープとする場合には、以
下のようにして製造することができる。
【0037】まず、上記本発明の電気絶縁フィルムを所
定幅(通常35mm)の長尺テープに切断し、トリクロ
ロエチレン等の溶剤を用いて脱脂してから熱硬化性の接
着剤を片面に塗布し、スプロケット孔やデバイス孔等を
打ち抜く。次に、接着剤を塗布した側の面に、スプロケ
ット孔を除いて所定厚さ(例えば35μm)の銅箔を加
熱圧着した後、更に熱硬化させる。この後、銅箔をフォ
トエッチングして所望本数のリードを形成し、これらの
リードにスズ(Sn)や金(Au)等をメッキする。こ
れにより目的とするキャリアテープが得られる。
【0038】本発明のキャリアテープにおいては、その
製造過程での電気絶縁フィルムの寸法変化は殆ど生じ
ず、銅箔の加熱圧着後等に反りやねじれを生じることは
実質的にない。また、電気絶縁フィルムの表面の平滑性
が高いことから、リードを精密に形成することが容易で
ある。さらに、本発明のキャリアテープを用いたTAB
によるICチップの実装過程でも、キャリアテープの寸
法変化は殆ど生じない。したがって、ICチップを実装
するにあたって精密なピッチでの配線を容易に行うこと
が可能である。
【0039】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。 実施例1 (1)ポリエーテル系共重合体の製造 まず、攪拌装置および窒素ガス導入管を備えた内容積5
0リットルの反応容器に、2,6−ジクロロベンゾニト
リル1,094g(6.3モル)、4,4′−ジクロロ
ベンゾフェノン3,728g(14.7モル)、4,
4′−ビフェノール3,910g(21モル)、炭酸カ
リウム3,193g(23.1モル)、およびジフェニ
ルスルホン28kgを入れ、反応容器中の雰囲気を窒素
ガスで置換した後に150℃で攪拌して、溶液を調製し
た。次いで、窒素ガス雰囲気のままこの溶液の温度を3
00℃まで昇温させ、この状態で1時間保持して、反応
を行わせた。
【0040】次に、攪拌した水中に反応液を投入して、
反応生成物の冷却、固化、および粉砕を行った。この
後、メタノール、水の順で反応生成物を洗浄し、洗浄後
に乾燥させて、白色粉末7.1kgを得た(収率99
%)。
【0041】この白色粉末をその赤外線吸収スペクトル
から同定したところ、下式(I)
【化16】 で表される繰返し単位と下式(II)
【化17】 で表される繰返し単位とからなるポリエーテル系共重合
体で、前記式(I)で表される繰返し単位の割合がモル
比で0.3のものであることが判明した。
【0042】また、このポリエーテル系共重合体の40
0℃における剪断速度10sec-1での溶融粘度は2
0,000ポイズ、ガラス転移温度は180℃、結晶融
点は364℃、冷結晶化温度(Tcc)は240℃、熱
分解開始温度(空気中、5%重量減)は560℃であっ
た。
【0043】(2)非晶質フィルムの製造 まず、上記(1)で得られたポリエーテル系共重合体を
二軸押出機(池貝鉄工社製;PCM−30)により39
0℃で押出成形した後にペレット化した。次いで、この
ペレットを用いてT−ダイ法により390℃で押出成形
した後に急冷して、幅25cm、厚さ0.8mmの非晶
質フィルムを得た。得られた非晶質フィルムは、透明性
の高いものであった。
【0044】(3)配向フィルムの製造 上記(2)で得られた非晶質フィルムを延伸温度185
℃、延伸速度1,000%/分の条件でたて方向には
3.3倍、よこ方向には3.5倍に逐次二軸延伸して、
配向フィルムを得た。
【0045】(4)熱固定二軸配向フィルム 上記(3)で得られた配向フィルムを緊張状態に保ちつ
つ、熱処理温度300℃、熱処理時間3分の条件で1回
目の熱処理を行った後、緊張状態には保たずに熱処理温
度300℃、熱処理時間3分の条件で2回目の熱処理を
行って、熱固定二軸配向フィルムすなわち目的とする電
気絶縁フィルムを得た。この電気絶縁フィルムの厚さは
70μmであり、線膨脹係数は2.0×10-5/℃であ
った。また、この電気絶縁フィルムの表面粗さを、触針
式表面粗さ計(東京精密社製;SURF COM3B)
により針の半径2μm、荷重0.07gの条件下でJI
S B0601に準じて測定したところ、平均表面粗さ
値(Ra)は0.015μmであった。このことから、
この電気絶縁フィルムは表面の平滑性に優れていること
がわかる。
【0046】(5)キャリアテープの製造 まず、上記(4)で得られた電気絶縁フィルムを35m
m幅の長尺テープに切断し、トリクロロエチレンで脱脂
してから熱硬化性の接着剤を片面に塗布し、スプロケッ
ト孔およびデバイス孔を打ち抜いた。次に、接着剤を塗
布した側の面に、スプロケット孔を除いて厚さ35μm
の銅箔を加熱圧着した後、更に熱硬化させた。この後、
銅箔をフォトエッチングして所定本数のリードを形成
し、これらのリードにスズ(Sn)をメッキして、目的
とするキャリアテープを得た。電気絶縁フィルムの寸法
変化は上述の製造過程で殆ど生じず、銅箔の加熱圧着後
に反りやねじれは生じなかった。次に、このキャリアテ
ープを用いてのTABによりICチップを実装したとこ
ろ、実装過程でもキャリアテープの寸法変化は殆どな
く、15本/mmの配線でも不良は生じなかった。
【0047】比較例1 まず、実施例1(1)〜(2)と同様にして幅25c
m、厚さ0.8mmの非晶質フィルムを得た後、この非
晶質フィルムを延伸温度185℃、延伸速度1,000
%/分の条件で逐次二軸延伸して、配向フィルムを得
た。このとき、たて方向の延伸倍率とよこ方向の延伸倍
率のそれぞれを、本発明の限定範囲外である3.0倍に
した。次に、この配向フィルムに実施例1(4)と同条
件の熱処理を施して、厚さ90μm、線膨脹係数3.2
×10-5/℃の電気絶縁フィルムを得た。
【0048】この電気絶縁フィルムを用い、実施例1
(5)と同様にしてキャリアテープを製造したところ、
銅箔の加熱圧着後に反りを生じ、キャリアテープとして
実用に供することはできなかった。確認のために銅箔の
線膨脹係数を測定したところ、1.8×10-5/℃であ
った。
【0049】比較例2 まず、実施例1(1)と同様にして製造したポリエーテ
ル系共重合体とタルク[浅田製粉(株)製のFF−R、
平均粒径0.7μm]とを混合して、タルクの含有率が
20wt%の混合物を得た。次いで、ポリエーテル系共
重合体に変えてこの混合物を用いた以外は実施例1
(2)と同様にして、幅25cm、厚さ125μmのフ
ィルムを得た後、このフィルムを延伸温度180℃、延
伸速度1,000%/分の条件でたて方向およびよこ方
向共に1.3倍に逐次二軸延伸して、延伸フィルムを得
た。この後、この延伸フィルムに実施例1(4)と同条
件の熱処理を施して、厚さ75μm、線膨脹係数1.8
×10-5/℃の電気絶縁フィルムを得た。
【0050】この電気絶縁フィルムの表面粗さを実施例
1(4)と同様にして測定したところ、平均表面粗さ値
(Ra)は0.725μmであった。このことから、こ
の電気絶縁フィルムは表面の平滑性の低いものであるこ
とがわかる。また、この電気絶縁フィルムを用いて実施
例1(5)と同様にしてキャリアテープを製造し、得ら
れたキャリアテープを用いてのTABによりICチップ
を実装したところ、10本/mm以上の密度で配線を施
したものの20%に配線不良が生じていた。
【0051】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
寸法安定性および耐熱性に優れ、かつ表面の平滑性にも
優れた電気絶縁フィルム、およびTABによりICチッ
プを実装するにあたって精密なピッチで配線することが
容易なキャリアテープが提供される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29L 7:00 4F C08L 71:10

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下式(I) 【化1】 で表される繰返し単位と下式(II) 【化2】 で表される繰返し単位とからなると共に、前記式(I)
    で表される繰返し単位の割合がモル比で0.15〜0.
    40で、400℃における剪断速度10sec-1での溶
    融粘度が500〜600,000ポイズであるポリエー
    テル系共重合体を非晶質フィルム化し、この非晶質フィ
    ルムをたて方向の倍率およびよこ方向の倍率が共に3.
    0倍を超える倍率で二軸延伸して配向フィルムとした
    後、この配向フィルムを前記ポリエーテル系共重合体の
    ガラス転移温度以上結晶融点以下の温度で1回以上熱処
    理してなるポリエーテル系共重合体の熱固定二軸配向フ
    ィルムからなることを特徴とする電気絶縁フィルム。
  2. 【請求項2】 下式(I) 【化3】 で表される繰返し単位と、下式(II) 【化4】 で表される繰返し単位とからなると共に、前記式(I)
    で表される繰返し単位の割合がモル比で0.15〜0.
    40で、400℃における剪断速度10sec-1での溶
    融粘度が500〜600,000ポイズであるポリエー
    テル系共重合体を非晶質フィルム化し、この非晶質フィ
    ルムをたて方向の倍率およびよこ方向の倍率が共に3.
    0倍を超える倍率で二軸延伸して配向フィルムとした
    後、この配向フィルムを前記ポリエーテル系共重合体の
    ガラス転移温度以上結晶融点以下の温度で1回以上熱処
    理してなるポリエーテル系共重合体の熱固定二軸配向フ
    ィルからなる電気絶縁フィルムと、 この電気絶縁フィルム上に形成された複数のリードとを
    少なくとも有することを特徴とするキャリアテープ。
  3. 【請求項3】 下式(I) 【化5】 で表される繰返し単位と、下式(II) 【化6】 で表される繰返し単位とからなると共に、前記式(I)
    で表される繰返し単位の割合がモル比で0.15〜0.
    40で、400℃における剪断速度10sec-1での溶
    融粘度が500〜600,000ポイズであるポリエー
    テル系共重合体を非晶質フィルム化した後、この非晶質
    フィルムをたて方向の倍率およびよこ方向の倍率が共に
    3.0倍を超える倍率で二軸延伸してなることを特徴と
    するポリエーテル系共重合体の配向フィルム。
JP12408493A 1993-05-26 1993-05-26 電気絶縁フィルムおよびこれを用いたキャリアテープ Withdrawn JPH06328559A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009540095A (ja) * 2006-06-14 2009-11-19 ビクトレックス マニュファクチャリング リミテッド ポリマー材料

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