JPH06328175A - リテーナの成形方法および装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、連続素材を予め湾曲させその曲率
中心に向かって切断することにより、切断角度の均一な
高真円度のリテーナを製造できるリテーナの成形方法を
実現し、構成の簡素な成形装置を提供することを目的と
する。 【構成】 帯状の素材１を所定の供給方向に供給する素
材供給工程と、供給方向所定位置で素材１をプレス加工
しベアリングを保持する複数の窓穴２ａを所定ピッチで
形成するプレス加工工程と、プレス加工された素材１に
最終製品としてのリテ−ナの曲率よりもわずかに曲率の
大きい曲げぐせを付ける第１の曲げ工程と、曲げぐせの
付いた素材を前記リテ−ナの曲率に屈曲させる第２の曲
げ工程と、前記リテ−ナの曲率に屈曲した素材１をその
曲率中心に向かって所定長さに切断する切断工程と、を
包含するよう構成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、リテーナの成形方法お
よび装置、詳しくはベアリングを保持するための半割り
形状を有するリテーナの形成方法およびその装置に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】従来、ニードルベアリング等のベアリン
グを保持するリテーナには半割り形状を有するものがあ
り、この種のリテーナは次のような成形方法および装置
により成形されている。まず、図４、図５に示すよう
に、供給装置11によりコイル状に巻取り保持した素材１
をその先端側から順次繰り出すとともに、フィード装置
12により所定の供給方向（矢印Ｘ方向）に搬送して材料
供給し、その供給方向の所定位置に配置された通常のプ
レス機械13で素材１を打ち抜いて、素材１に複数のブラ
ンク２とこれらを連結する連結部３とを形成する。この
とき、各ブランク２にはニ−ドルベアリングを保持する
複数の窓穴２ａが形成され、各連結部３にはパイロット
穴３ａ（位置決め穴）が形成される。次いで、図６(ａ)
に示すように、このプレス加工された素材１をその表裏
面に対し切断した端面が所定の角度θをなすようフオー
ミングプレス14により斜めに切断加工して、ブランク２
と連結部３とを切り離す。なお、この切断角度θは、図
６(ｂ)に示すようにブランク２を半円形状に屈曲させた
とき、ブランク２の両端面２ｂ，２ｃがその曲率中心に
近接する同一平面上に位置するよう決定する。次いで、
所定長さになったブランク２を後続素材１により成形機
15に送り、その一端を図７に示すように円形金型４とク
ランパ５の間にクランプした後、曲げ用パンチ６、７、
８を順に前進させてブランク２を前記一端側から金型４
に沿って順次屈曲させ（図中仮想線で示す状態）、略半
円形の半割りリテーナを得る。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来のリテーナの形成方法および装置にあっては、
次のような問題点があった。 （１）ブランク２の両端面２ｂ，２ｃが素材１の表裏面
に対し交差するよう素材１が斜めに切断されるため、型
構造の複雑なフオーミングプレス装置を使用する必要が
あるばかりか、切断角度θがばらつき易く、しかもその
切断部近傍の窓穴２ａが変形し易い。

【０００４】（２）クランパ５によりブランク２の一端
部の狭い領域をクランプした状態で曲げ用パンチ６，
７，８による強制曲げを行なうため、その一端部付近の
窓穴２ａが変形してしまい、その変形が大きいと、ベア
リングの回転がわるくなったりベアリングとリテーナの
ガタが大きくなったりしてベアリング保持性能が著しく
低下してしまう。

【０００５】（３）所定長のブランク２を丸曲げするた
め、その両端部を強く加圧する必要があり、その両端部
が折れ曲がったようになって真円度が低下する。そこ
で、本発明は、窓穴の変形を防止するよう連続した素材
を予め湾曲させた後にその曲率中心側に向かって所定長
に切断することにより、切断角度のばらつきがなくベア
リング保持性能に優れた高真円度のリテーナを製造する
ことのできるリテーナの成形方法を実現し、それを実施
する構成の簡素なリテーナの成形装置を提供することを
目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的達成のため、請
求項１記載の発明に係るリテーナの成形方法は、帯状の
素材を所定の供給方向に供給する素材供給工程と、前記
供給方向の所定位置で素材をプレス加工しベアリングを
保持する複数の窓穴を所定ピッチで形成するプレス加工
工程と、プレス加工された素材に最終製品としてのリテ
ーナの曲率よりもわずかに曲率の大きい曲げぐせを付け
る第１の曲げ工程と、曲げぐせの付いた素材を前記リテ
ーナの曲率に屈曲させる第２の曲げ工程と、前記リテー
ナの曲率に屈曲した素材をその曲率中心に向かって所定
の長さに切断する切断工程と、を包含することを特徴と
するものであり、請求項２記載の発明は、前記窓穴がニ
−ドルベアリングを保持する略長方形の穴であることを
特徴とする。

【０００７】また、請求項３記載の発明に係るリテーナ
の成形装置は、帯状の素材を所定の供給方向に供給する
素材供給手段と、前記供給方向の所定位置で素材をプレ
ス加工し該素材にベアリングを保持する複数の窓穴を所
定ピッチで形成するプレス加工手段と、前記供給方向の
所定位置より下流側でプレス加工された素材の両面に当
接する複数のロールを有し素材に最終製品としてのリテ
ーナの曲率よりもわずかに曲率の大きい曲げぐせを付け
るロール成形手段と、ロール成形手段を通過し曲げぐせ
の付いた素材の内周面に当接するよう設けられた金型
と、前記曲げぐせの付いた素材をその長手方向複数箇所
で加圧して金型に押し付け該素材を前記リテーナの曲率
に屈曲させる複数の曲げ用パンチと、前記複数の曲げ用
パンチの間に設けられ曲げ用パンチにより金型に押し付
けられた素材をその曲率中心に向かって所定の長さに切
断するカッタと、を備えたことを特徴とするものであ
り、請求項４記載の発明は、前記プレス加工手段が前記
複数の窓穴と共に素材の位置決め穴を所定ピッチで形成
するようになし、該位置決め穴により素材を位置決めす
る位置決め手段を前記ロール成形手段の近傍に設けたこ
とを特徴とし、請求項５記載の発明は、前記複数の窓穴
がニ−ドルベアリングを保持する略長方形の穴であり、
前記位置決め穴が該窓穴の間に位置する丸穴であること
を特徴とし、請求項６の発明は、前記複数の曲げ用パン
チが前記カッタによる切断位置の近傍を加圧する第１パ
ンチと該第１パンチより素材先端側を第１パンチより弱
い圧力で加圧する第２パンチとからなることを特徴とす
る。

【０００８】請求項７記載の発明は、前記第１パンチが
前記カッタにより所定長に切断される素材の後端部所定
領域に当接する後端部曲げ用パンチおよび該所定長の素
材の後続素材の先端部所定領域に当接する先端部曲げ用
パンチからなり、前記第２パンチは前記所定長の素材の
先端部と後端部曲げ用パンチの間の所定中間領域に当接
することを特徴とするものである。

【０００９】

【作用】請求項１記載の発明では、供給工程で帯状の素
材が供給方向に供給されると、プレス加工工程で前記供
給方向の所定位置で素材がプレス加工され、該素材にベ
アリングを保持する複数の窓穴が所定ピッチで形成され
る。このようにプレス加工された素材は次の第１の曲げ
工程で最終製品としてのリテーナの曲率よりもわずかに
曲率の大きい曲げぐせを付けられ、曲げぐせの付いた素
材が第２の曲げ工程で前記リテーナの曲率に屈曲させら
れる。そして、前記リテーナの曲率に屈曲した素材は切
断工程でその曲率中心に向かって所定の長さに切断され
る。したがって、リテーナ１個分の長さの素材でなく、
その切断前の素材を段階的に予め湾曲させることにな
り、リテーナの両端部付近の窓穴が変形するといった問
題が解消される。また、湾曲後の素材をその曲率中心に
向かって所定長に切断するから、斜め切断をする必要が
なく、高速切断を行なってもその切断角度のばらつきが
殆どない。

【００１０】請求項２記載の発明では、前記窓穴がニ−
ドルベアリングを保持する略長方形の穴であるから、ニ
ードルベアリング用のリテーナを窓穴の変形を抑えた高
真円度のリテーナとすることができる。また、請求項３
記載の発明では、素材供給手段により帯状の素材が所定
の供給方向に供給されると、その供給方向の所定位置で
素材がプレス加工手段によりプレス加工され、該素材に
ベアリングを保持する複数の窓穴が所定ピッチで形成さ
れる。また、前記供給方向の所定位置より下流側では、
プレス加工された素材の両面に当接するロール成形手段
によって素材が最終製品としてのリテーナの曲率よりも
わずかに曲率の大きい曲げぐせを付けられ、ロール成形
手段を通過し曲げぐせの付いた素材が複数の曲げ用パン
チによって金型に押し付けられ、前記リテーナの曲率に
屈曲する。そして、複数の曲げ用パンチの間に設けられ
たカッタが金型に押し付けられている素材の曲率中心に
向かって移動し、素材を所定の長さに切断する。したが
って、ロール成形時や曲げ用パンチおよび金型により素
材を最終的な曲率に湾曲させる段階で一部の窓穴の近傍
だけ強く曲げられたり押圧されたりということがなく、
リテーナの両端部付近の窓穴が変形するといった問題が
解消される。また、複数の曲げ用パンチにより金型に押
し付けた素材をその曲率中心に向かって切断するから、
簡単なカッタにより切断角度のばらつきの殆どない切断
を高速で行なうことができる。

【００１１】請求項４記載の発明では、前記プレス加工
手段によって複数の窓穴と共に素材の位置決め穴が所定
ピッチで形成されるとともに、前記ロール成形手段の近
傍に設けられた位置決め手段によって位置決め穴を介し
て素材が位置決めされる。したがって、素材の送り量を
一定に保ってリテーナの製品形状のばらつきをなくすこ
とができる。

【００１２】請求項５記載の発明では、前記窓穴がニ−
ドルベアリングを保持する略長方形の穴として、前記位
置決め穴が窓穴間に位置する丸穴として形成される。し
たがって、素材の位置決め穴部分をカッターによる切断
領域に設けることになり、素材の歩留りを低下させるこ
となく位置決め穴を所定ピッチで形成することができ
る。

【００１３】請求項６の発明では、素材がカッタによる
切断位置の近傍で第１パンチにより加圧され、該第１パ
ンチより素材先端側で第２パンチより第１パンチより弱
い圧力で加圧される。したがって、素材の切断部分が確
実に保持されるとともに、開放端である先端部の変形が
防止される。請求項７記載の発明では、カッタによる素
材切断部分が後端部曲げ用パンチおよび先端部曲げ用パ
ンチによりその両側で加圧され、その状態でカッタによ
り切断される。したがって、切断部分の素材の保持がよ
り確実になされるとともに、後続素材のうち次の所定長
の素材（最終製品としてのリテーナ）の先端部を切断前
に確実に最終的な曲率に成形しておくことができ、第２
パンチを先端部から多少離れた所定中間領域に当接させ
ることで、開放端である先端部の変形がより確実に防止
されることになる。

【００１４】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて具体
的に説明する。図１〜図３は請求項１、２記載の発明に
係るリテーナの成形方法の一実施例を実施する装置を示
す図であるとともに、請求項３〜７記載の発明に係るリ
テーナの成形装置の一実施例を示す図である。

【００１５】まず、この装置の構成を説明する。なお、
図４〜図７に示した従来例と同様の構成については詳細
を図示していないが、同一符号を用いて説明すると、供
給装置11およびフィード装置12は帯状の素材１を所定の
供給方向に供給する素材供給手段であり、コイル状に巻
き取られた所定幅の素材１をその先端側から順次繰り出
し、前記供給方向の所定位置に配置されたプレス機械13
に供給する。このプレス機械13は通常の打ち抜きを行な
う従来と同様なプレス加工手段で、素材１に上述した複
数のブランク２とこれらを連結する連結部３とを形成す
る。このとき、各ブランク２にはニ−ドルベアリングを
保持する複数の略長方形の窓穴２ａが形成され、各連結
部３にはパイロット穴３ａが小径の丸穴として所定ピッ
チで形成される。本実施例では、従来のフォーミングプ
レス14に相当するものは設けられておらず、素材１はプ
レス機械13からフィード装置12によりそのまま図３に示
す成形機20に送られる。

【００１６】図３において、成形機20は複数のベンディ
ングスライド機構21、22、23、24、25および26と、フィ
ード装置12からの素材１を導入する金型取付けブロック
27とを備えている（このような基本構成自体は公知であ
り、例えば特開昭５９−１７４２２３号公報に記載され
ている）。また、図１、図２に示すように、成形機20の
前記供給方向（矢印Ｘ方向）の所定位置より下流側には
ロール成形手段30が設けられている。このロール成形手
段30は、プレス機械13によりプレス加工された素材１の
両面に当接する複数のロール31、32、33を有しており、
これらのロール31〜33によって素材１に最終製品として
のリテーナの曲率よりもわずかに曲率の大きい曲げぐせ
を付けるようになっている。

【００１７】ロール成形手段30の下方には、ロール成形
手段30を通過して曲げぐせの付いた素材１の内周面に当
接するよう金型40が設けられているとともに、その素材
１を長手方向（曲げぐせの周方向）の複数箇所で加圧す
る複数の曲げ用パンチ41、42、43、44が設けられてい
る。ここで、金型40は最終製品であるリテーナの曲率半
径に近い曲率半径を有しており、複数の曲げ用パンチ41
〜44は曲げぐせの付いた素材１を金型40に押し付けてそ
の素材１を前記リテーナの曲率に屈曲させることができ
る。また、複数の曲げ用パンチ41〜44はカッタ45および
クランプユニット46と共にガイドブロックとしての金型
取付けブロック27に摺動自在に案内され、複数のベンデ
ィングスライド機構21〜26によって所定のタイミングで
駆動されるようになっている。

【００１８】カッタ45は複数の曲げ用パンチ41、42の間
に設けられ、曲げ用パンチ41〜44により金型40に押し付
けられた素材１をその曲率中心に向かって切断するよう
になっており、カッタ45によって切断された部分は最終
製品である半割リテーナとなる。また、クランプユニッ
ト46はロール成形手段30の素材導入部の直前に設けられ
た位置決め手段で、素材１の連結部３に形成されたパイ
ロット穴３ａにパイロットピン46ａを嵌入させて素材１
を位置決めするとともに、その素材１をクランパ46ｂに
より金型取付けブロック27の素材導入部27ａに押し付け
るようになっている。

【００１９】また、複数の曲げ用パンチ41〜44はカッタ
45による切断位置の近傍を加圧する第１パンチとしての
曲げ用パンチ41、42と、これら第１パンチ41、42より素
材先端側を第１パンチ41、42より弱い圧力で加圧する第
２パンチとしての曲げ用パンチ43、44とから構成されて
いる。さらに、第１パンチ41、42は、カッタ45により所
定長に切断される素材１の後端部所定領域Ａ₁ に当接す
る後端部曲げ用パンチ42と、この所定長の素材１の後続
素材１の先端部所定領域Ａ₂ に当接する先端部曲げ用パ
ンチ41からなり、第２パンチ43、44は前記所定長の素材
１の先端部と後端部曲げ用パンチ42の間の所定中間領域
Ａ₃ に当接するようになっている。

【００２０】なお、成形機20には、できあがった半割リ
テーナを機外の所定位置に排出する製品排出機構と、カ
ッタ45による切断でスクラップとなった連結部３を機外
に排出するスクラップ排出機構とが設けられているが、
これらの構成については公知であるので特に詳述しな
い。次に、請求項１、２記載の発明に係るリテーナの成
形方法の一実施例と共に、その作用を説明する。

【００２１】まず、供給装置11およびフィード装置12に
よって帯状の素材１を所定の供給方向である矢印Ｘ方向
に供給すると（素材供給工程）、その供給方向の所定位
置においてプレス機械13が作動し、素材１を所定形状に
プレス加工する（プレス加工工程）。このとき、素材１
はブランク２と連結部３とを交互に配列したブランク連
設体となり、前記ニードルベアリングを保持する複数の
窓穴２ａとパイロット穴３ａとが所定ピッチで形成され
る。

【００２２】次いで、フィード装置12により素材１を供
給方向に送りながら、プレス機械13より素材供給方向の
下流側において、プレス加工された素材１の両面にロー
ル成形手段30を当接させ、その素材１に最終製品として
のリテーナの曲率よりもわずかに曲率の大きい曲げぐせ
を付ける（第１の曲げ工程）。このとき、ロール成形手
段30を通過し曲げぐせの付いた素材１は、図２に示すよ
うに金型40にその内周面を近接しながら移動する。

【００２３】この状態においてフィード装置12による素
材１の送り量が所定値に達すると、まず、ベンディング
スライド機構21によりクランプユニット46を下方に駆動
し、素材１をパイロット穴３ａを介して位置決めさせク
ランプさせる。次いで、ベンディングスライド機構22、
24、25および26によって曲げ用パンチ41〜44を駆動し、
曲げぐせの付いた素材１を図１に示すように曲げ用パン
チ41〜44により金型40に押し付けて、前記半割リテーナ
の曲率（最終製品の曲率）に屈曲させる（第２の曲げ工
程）。

【００２４】上記第１、第２の曲げ工程においては、素
材１が複数のブランク２の連設体として形成されたまま
であるから、ロール成形の際あるいは曲げ用パンチ41〜
44および金型40によって素材１を最終的な曲率に湾曲さ
せる際に、一部の窓穴２ａの近傍だけ強く曲げられたり
過度に押圧されたりということがなく、リテーナの両端
部付近の窓穴２ａが変形するといった問題が解消され
る。

【００２５】次いで、金型40に押し付けられている素材
１の曲率中心に向かってベンディングスライド機構23に
よりカッタ45を移動させ、素材１を所定長さに切断する
と、最終製品である半割リテーナができあがる。このと
き、ベンディングスライド機構23によりカッタ45を高速
移動させることで、切断角度のばらつきの殆どない切断
を高速に行なうことができる。

【００２６】次いで、ベンディングスライド機構21〜26
により曲げ用パンチ41〜44、カッタ45およびクランプユ
ニット46を所定の順序で復帰させるとともに、できあが
った半割リテーナと切断されスクラップとなって金型40
内に入った連結部３とを前記排出機構により機外に排出
させると、初期状態に戻り、次の加工が可能になる。し
たがって、上述と同様な工程を繰り返すことにより、素
材１から複数の半割リテーナを成形することができる。

【００２７】このような本実施例の成形作業において
は、プレス機械13によって複数の窓穴２ａと共にパイロ
ット穴３ａが所定ピッチで形成され、ロール成形手段30
の近傍に設けられたクランプユニット46によってパイロ
ット穴３ａを介して素材１が位置決めされる。したがっ
て、素材１の送り量を一定に保ってリテーナの製品形状
のばらつきをなくすことができる。また、そのパイロッ
ト穴３ａが窓穴２ａ間に位置する丸穴として形成される
から、素材１の位置決め穴部分をカッタ45による切断領
域Ａ₄ に設けることができ、素材１の歩留りを低下させ
ることなくパイロット穴３ａを形成することができる。
さらに、素材１がカッタ45による切断位置の近傍で第１
パンチ41、42により加圧され、その第１パンチ41、42よ
り素材１の先端側において第２パンチ43、44によって第
１パンチ41、42よりも弱い圧力で加圧されるから、素材
１の切断部近傍および開放端である先端部近傍の窓穴２
ａの変形が防止される。また、カッタ45による切断部近
傍が後端部曲げ用パンチ42および先端部曲げ用パンチ41
により加圧された状態で素材１が切断されるから、所望
の切断面形状が得られるとともに、後続素材１のうち次
の所定長の素材（ブランク２の１個分に対応する素材）
の先端部所定領域Ａ₂ をその切断前に確実に最終的な曲
率に成形しておくことができる。そして、これにより第
２パンチ43、44を先端部から多少離れた所定中間領域Ａ
₃ に当接させることで、開放端近傍の窓穴２ａの変形を
より確実に防止することができる。さらに、従来のよう
に曲げ工程前に素材を切断するとともにその切断面を斜
めにするという必要がないから、複雑な型構造を有する
斜め切断のためのフォーミングプレスが不要となり、成
形工数の短縮による高速化とコスト低減が可能になる。

【００２８】

【発明の効果】請求項１記載の発明によれば、プレス加
工工程でプレス加工された素材に次の第１の曲げ工程で
最終製品としてのリテーナの曲率よりもわずかに曲率の
大きい曲げぐせを付け、曲げぐせの付いた素材を第２の
曲げ工程で前記リテーナの曲率に屈曲させ、切断工程で
素材をその曲率中心に向かって所定の長さに切断するよ
うにしているから、リテーナ１個分の長さの素材でな
く、その切断前の連続素材を段階的に湾曲させること
で、リテーナの両端部付近の窓穴の変形を防止すること
ができるとともに、切断角度のばらつきが殆どない切断
を高速に行なうことができ、成形速度を高めることがで
きる。

【００２９】請求項２記載の発明によれば、前記窓穴を
ニ−ドルベアリングを保持する略長方形の穴としている
ので、ニードルベアリング用のリテーナを窓穴の変形を
抑えた高真円度のリテーナとすることができる。請求項
３記載の発明によれば、プレス加工された素材に対しロ
ール成形手段によって最終製品としてのリテーナの曲率
よりもわずかに曲率の大きい曲げぐせを付け、曲げぐせ
の付いた素材を複数の曲げ用パンチにより金型に押し付
けて前記リテーナの曲率に屈曲させるとともに、金型に
押し付けられている素材の曲率中心に向かってカッター
を移動させて該素材を所定の長さに切断するようにして
いるので、ロール成形の段階や曲げ用パンチおよび金型
により素材を最終的な曲率に湾曲させる段階で一部の窓
穴の近傍だけ強く曲げられたり押圧されたりということ
をなくし、リテーナの両端部付近の窓穴の変形を防止す
ることができる。さらに、複雑なフォーミングプレスで
なく簡単なカッタにより切断角度のばらつきの殆どない
切断を高速で行なうことができ、高速化とコスト低減を
図ることができる。

【００３０】請求項４記載の発明によれば、プレス加工
手段によって複数の窓穴と共に素材の位置決め穴を所定
ピッチで形成するとともに、位置決め手段により該位置
決め穴を介して素材を位置決めするので、素材の送り量
を一定に保ってリテーナの製品形状のばらつきをなくす
ことができる。請求項５記載の発明によれば、窓穴をニ
−ドルベアリングを保持する略長方形の穴とし、位置決
め穴を窓穴間に位置する丸穴として形成するので、素材
の位置決め穴部分をカッターによる切断領域に設け、材
料歩留りを低下させることなく前記位置決め穴を形成す
ることができる。

【００３１】請求項６の発明によれば、カッタによる切
断位置の近傍で素材を第１パンチにより加圧し、該第１
パンチより素材先端側の素材を第２パンチにより第１パ
ンチよりも弱い圧力で加圧するので、素材の切断部分を
確実に保持するとともに、開放端近傍の窓穴の変形を確
実に防止することができる。請求項７記載の発明によれ
ば、カッタによる切断部近傍を後端部曲げ用パンチおよ
び先端部曲げ用パンチにより両側で加圧し、その状態で
カッタにより切断するので、所望の切断面形状を得るこ
とができるとともに、後続素材のうち次の所定長の素材
の先端部を切断前に最終曲率に成形することができ、第
２パンチを先端部から多少離れた所定中間領域に当接さ
せることで、開放端近傍の変形をより確実に防止するこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るリテーナの成形方法を実施する装
置の一実施例の要部構成を示す断面図である。

【図２】その要部への素材供給時の状態を示す作用説明
図である。

【図３】その第１、第２の曲げ工程および切断工程を実
施する装置の正面図である。

【図４】素材の形状を示す平面図である。

【図５】従来のリテーナの成形方法を実施する装置の概
略構成図である。

【図６】従来の成形方法の説明図である。

【図７】従来のリテーナ成形装置の要部構成図である。

【符号の説明】

１ 素材 ２ ブランク ２ａ 窓穴 ３ 連結部 ３ａ パイロット穴（位置決め穴） 11 供給装置（素材供給手段） 12 フィード装置（素材供給手段） 13 プレス機械（プレス加工手段） 20 成形機 21、22、23、24、25、26 ベンディングスライド機構 27 金型取付けブロック 30 ロール成形手段 31、32、33 複数のロール 40 金型 41 曲げ用パンチ（第１パンチ、先端部曲げ用パン
チ） 42 曲げ用パンチ（第１パンチ、後端部曲げ用パン
チ） 43、44 曲げ用パンチ（第２パンチ） 45 カッタ 46 クランプユニット

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】帯状の素材を所定の供給方向に供給する素
   材供給工程と、 前記供給方向の所定位置で素材をプレス加工しベアリン
   グを保持する複数の窓穴を所定ピッチで形成するプレス
   加工工程と、 プレス加工された素材に最終製品としてのリテーナの曲
   率よりもわずかに曲率の大きい曲げぐせを付ける第１の
   曲げ工程と、 曲げぐせの付いた素材を前記リテーナの曲率に屈曲させ
   る第２の曲げ工程と、 前記リテーナの曲率に屈曲した素材をその曲率中心に向
   かって所定の長さに切断する切断工程と、を包含するこ
   とを特徴とするリテーナの成形方法。
2. 【請求項２】前記窓穴がニ−ドルベアリングを保持する
   略長方形の穴であることを特徴とする請求項１記載のリ
   テーナの成形方法。
3. 【請求項３】帯状の素材を所定の供給方向に供給する素
   材供給手段と、 前記供給方向の所定位置で素材をプレス加工し該素材に
   ベアリングを保持する複数の窓穴を所定ピッチで形成す
   るプレス加工手段と、 前記供給方向の所定位置より下流側でプレス加工された
   素材の両面に当接する複数のロールを有し、素材に最終
   製品としてのリテーナの曲率よりもわずかに曲率の大き
   い曲げぐせを付けるロール成形手段と、 ロール成形手段を通過し曲げぐせの付いた素材の内周面
   に当接するよう設けられた金型と、 前記曲げぐせの付いた素材をその長手方向複数箇所で加
   圧して金型に押し付け該素材を前記リテーナの曲率に屈
   曲させる複数の曲げ用パンチと、 前記複数の曲げ用パンチの間に設けられ、曲げ用パンチ
   により金型に押し付けられた素材をその曲率中心に向か
   って所定の長さに切断するカッタと、を備えたことを特
   徴とするリテーナの成形装置。
4. 【請求項４】前記プレス加工手段が前記複数の窓穴と共
   に素材の位置決め穴を所定ピッチで形成するようにな
   し、該位置決め穴により素材を位置決めする位置決め手
   段を前記ロール成形手段の近傍に設けたことを特徴とす
   る請求項３記載のリテーナの成形装置。
5. 【請求項５】前記複数の窓穴がニ−ドルベアリングを保
   持する略長方形の穴であり、前記位置決め穴が該窓穴の
   間に位置する丸穴であることを特徴とする請求項４記載
   のリテーナの成形装置。
6. 【請求項６】前記複数の曲げ用パンチが前記カッタによ
   る切断位置の近傍を加圧する第１パンチおよび該第パン
   チより素材先端側を第１パンチより弱い圧力で加圧する
   第２パンチからなることを特徴とする請求項３記載のリ
   テーナの成形装置。
7. 【請求項７】前記第１パンチが前記カッタにより所定長
   に切断される素材の後端部所定領域に当接する後端部曲
   げ用パンチおよび該所定長の素材の後続素材の先端部所
   定領域に当接する先端部曲げ用パンチからなり、 前記第２パンチは前記所定長の素材の先端部と後端部曲
   げ用パンチの間の所定中間領域に当接することを特徴と
   する請求項６記載のリテーナの成形装置。