JPH0632759A - 新規ポリカルボン酸又はその塩、及びこれらの製造方法 - Google Patents

新規ポリカルボン酸又はその塩、及びこれらの製造方法

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JPH0632759A
JPH0632759A JP18670892A JP18670892A JPH0632759A JP H0632759 A JPH0632759 A JP H0632759A JP 18670892 A JP18670892 A JP 18670892A JP 18670892 A JP18670892 A JP 18670892A JP H0632759 A JPH0632759 A JP H0632759A
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gluconolactone
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gluconic acid
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JP18670892A
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Hiroyuki Terasaki
博幸 寺崎
Takehiro Imanaka
健博 今中
Akira Fujio
明 藤生
Yukinaga Yokota
行永 横田
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Kao Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】 一般式(I)で表されるポリカルボン酸又は
その塩。 (A)n G (I) 〔式中、Gは におけるすべてのOHのH を除いたあとに残る残基、n は
そのOHの総数、M はH 、アルカリ金属、アルカリ土類金
属等の基、AはG基において、除かれたH が結合してい
た酸素原子と結合する基で、H 又は式 R1はH 又は−COOM、−CH2COOM 等の基、R2はアルキレン
基等の基、p は1又は0の数を示す。〕 【効果】 水溶性、生分解性、分散性に優れ、従来にな
い画期的なキレート剤として有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規なポリカルボン酸
又はその塩およびこれらの製造方法に関するものであ
る。これらの化合物は水溶性の金属分散剤又は家庭用お
よび工業用のキレート剤として有用である。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】キレー
ト剤は硬水中のカルシウムイオン、マグネシウムイオン
の除去を中心として金属イオンを封鎖し、その害毒を取
り除くことを目的に様々な分野で利用されている。繊
維、染色工業では、天然繊維からは殺虫・殺菌剤に由来
する金属が、合成繊維からは装置からの金属が混入して
いる。従って、洗浄工程で、これらの金属がセッケンと
結合して繊維内に沈積するが、これを防止するためキレ
ート剤が用いられている。また、漂白工程で、過酸化水
素等を用いて漂白するが、微量の金属イオン(特に鉄、
銅、マンガン)により、漂白剤の分解がおこる為、ここ
でもキレート剤を添加してこれを防止している。更に、
染色工程では、色の変化、色ムラの原因となる微量金属
をキレート剤でトラップしている。
【0003】金属・メッキ工業では、金属表面の洗浄の
為、キレート剤を用いてアルカリ洗浄している。また、
浸せきメッキといってはがねを銅でメッキする際、Cu(I
I)−キレート剤を用いると、反応で生じた鉄(II)イオン
を結合し、溶解状態を保ち、微細で均一なメッキができ
る効果がある。また家庭用では様々な洗浄剤を用いて汚
れを織物・食器・身体から取り出しているが、この作用
をしている界面活性剤が、水道水中のカルシウム又はマ
グネシウムと反応し、洗浄を妨害する。そこで通常、洗
剤にはキレート剤として、ビルダーを配合しており、カ
ルシウム・マグネシウムを効率よく分散させ、界面活性
剤の性能を引き出している。また、ビルダーは繊維と汚
れのバインダーとして存在するカルシウムイオンをキレ
ートすることにより除去し、汚れ落ちを向上させる効果
がある。
【0004】従来、これらのキレート剤としてトリポリ
リン酸ソーダ (STPP) 及びエチレンジアミンテトラアセ
テート (EDTA) が用いられてきたが、STPPは湖水の富栄
養化から、EDTAは毒性菌から使用規制の方向にある。そ
こで、代替物として、有機性の含窒素化合物、炭酸塩、
ゼオライト及びアクリル酸オリゴマーがある。しかしな
がら、これらの物質は個々に次のような問題を持ってい
る。含窒素化合物は生分解性が劣ることが懸念される。
また、炭酸塩は、不溶性の炭酸カルシウムの不溶性沈澱
を生成させる。ゼオライトは広く使用されているが、水
に不溶性物質であり、過剰に使用されると、下水管等を
詰まらせるという欠点がある。又、アクリル酸オリゴマ
ーは、生分解性が低いという問題がある。従って、水溶
性であり、しかも生分解性、安全性に優れ、しかも金属
錯形成能および金属分散能の高いキレート剤の開発が要
求される。本発明の課題は、かかる性能を有する物質を
提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定構造を有する、
新規ポリカルボン酸又はその塩により上記目的を大いに
達成しうることを見出し、本発明を完成した。即ち、本
発明は、一般式(I)で表されるポリカルボン酸又はそ
の塩を提供するものである。
【0006】(A)n G (I) 〔式中、 G:
【0007】
【化9】
【0008】におけるすべての水酸基の水素原子を除い
たあとに残る残基を示す。ここでM は水素原子、アルカ
リ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、総炭素数1
〜36のアルキルアンモニウム、総炭素数2〜9のアルカ
ノールアンモニウム又は塩基性アミノ酸基を示す。 n :
【0009】
【化10】
【0010】における水酸基の総数を示す。 A:G基において、除かれた水素原子が結合していた酸
素原子と結合する基であり、水素原子又は
【0011】
【化11】
【0012】ここでR1は水素原子又は −COOM、−CH2C
OOM もしくは
【0013】
【化12】
【0014】M は前記の意味を示す。R2は炭素数1〜20
の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン基又は
【0015】
【化13】
【0016】(但し、R3は炭素数2〜3のアルキレン基
を示し、q は0〜10の数を示す。)で表される基を示
す。p は1又は0の数を示す。〕本発明が提供する一般
式(I)で表されるポリカルボン酸又はその塩を例示す
れば例えば、次の通りである。
【0017】
【化14】
【0018】本発明が提供するポリカルボン酸又はその
塩は、ソルビタン、グルコン酸もしくはグルコノラクト
ンについて、下記の (a)〜(f) に示されるいずれかの工
程を行うことによって製造される。工程(a) ソルビタン、グルコン酸もしくはグルコノラクトンを一
般式(II)で表される化合物とアルカリ性物質の存在下
に反応させ、要すれば塩交換する工程。
【0019】
【化15】
【0020】(式中、X はハロゲン原子を示し、R1
R2、p 、M は前記の意味を示す。)工程(b) ソルビタン、グルコン酸もしくはグルコノラクトンを一
般式(III) で表される化合物と銅触媒存在下に反応さ
せ、ついで得られた生成物を加水分解し、さらに要すれ
ば塩交換する工程。
【0021】
【化16】
【0022】(式中、R1、R2、p は前記の意味を示し、
R4は炭素数1〜5のアルキル基を示す。)工程(c) ソルビタン、グルコン酸もしくはグルコノラクトンを一
般式(IV)で表される化合物とアルカリ性物質の存在下
に反応させ、ついで得られた生成物を加水分解し、さら
に要すれば塩交換する工程。 CH2=CH−Q (IV) (式中、Q は−CN又は−COOR4 で表される基を示し、R4
は前記の意味を示す。)工程(d) ソルビタン、グルコン酸もしくはグルコノラクトンを、
マレイン酸又は無水マレイン酸とCa(OH)2 の存在下に反
応させ、ついで塩交換する工程。工程(e) ソルビタン、グルコン酸もしくはグルコノラクトンを一
般式(V)で表される化合物と酸性または塩基性触媒存
在下に反応させ、ついで要すれば加水分解し、さらに要
すれば塩交換する工程。
【0023】
【化17】
【0024】(式中、R5は水素原子、陽イオン基又は炭
素数1〜5のアルキル基を示す。)工程(f) ソルビタン、グルコン酸もしくはグルコノラクトンに、
炭素数2〜3のアルキレンオキサイドを付加し、ついで
得られた生成物の分子中に存在するヒドロキシメチル基
を酸化してカルボン酸とし、要すれば塩交換する工程。
【0025】上記工程 (a)〜(f) を更に詳細に説明す
る。工程(a) ソルビタン、グルコン酸もしくはグルコノラクトンと一
般式(II)で表される化合物とを、アルカリ金属又はア
ルカリ土類金属の水酸化物、酸化物または炭酸塩等のア
ルカリ性物質 (NaOH、KOH 、Na2CO3、K2CO3 等)の存在
下に反応させ、必要により塩交換することによって一般
式(I)で表される化合物が得られる。ここで、一般式
(II)で表される化合物としてはω−モノクロロ脂肪酸
ナトリウム、ω−モノブロモ脂肪酸カリウム等が挙げら
れる。反応はアルカリ性物質を水溶液としておき、ソル
ビタン、グルコン酸もしくはグルコノラクトンと一般式
(II)で表される化合物との混合物(溶媒を含有してお
いてもよい)中へ滴下していくか、アルカリ性物質とソ
ルビタン、グルコン酸もしくはグルコノラクトンとの混
合物中へ、一般式(II)で表される化合物の水溶液を滴
下する方法で行うことができる。
【0026】滴下の際、水があまり滞留すると、カルボ
キシアルキル化剤(一般式(II)で表される化合物)の
分解を促進する為、溶媒としてはベンゼン、ジオキサ
ン、エチレングリコールジメチルエーテル等を用い、こ
れと混入している水とを共沸留去しながら、反応を行う
のが効果的である。反応を円滑に行うには、触媒として
テトラブチルアンモニウム塩のような相間移動触媒を用
いると更に反応率が上がる。また本反応において一般式
(II)で表される化合物の一部が、
【0027】
【化18】
【0028】(式中、R1、R2、p は前記の意味を示
す。)となり、ハロゲン化アルカリ金属塩が副生してく
る。これらを除く必要がある場合、除去後の手段として
は電気透析、または、水−アルコール系での再結晶が使
用され得る。
【0029】工程(b) ソルビタン、グルコン酸もしくはグルコノラクトンと一
般式(III)で表される化合物とを銅粉の存在下60〜120
℃で反応させてソルビタン、グルコン酸もしくはグルコ
ノラクトンと一般式(III)で表される化合物との付加体
を得、その付加体におけるエステル基を加水分解し、必
要により塩交換すれば、一般式(I)で表される化合物
が得られる。ここで一般式(III) で表される化合物とし
ては、ジアゾ酢酸メチル、ジアゾ酢酸エチル、ジアゾコ
ハク酸メチル、ジアゾコハク酸エチル、ジアゾマロン酸
メチル、ジアゾマロン酸エチル等が挙げられる。本反応
では、一般式(III)で表される化合物の一部が、
【0030】
【化19】
【0031】(式中、R1、R2、p は前記の意味を示
す。)となるが、これらを除去する必要がある場合は、
ソルビタン、グルコン酸もしくはグルコノラクトンと一
般式(III)で表される化合物との付加体におけるエステ
ル基を加水分解する前に、蒸留することにより、又はシ
リカゲルカラムによる精製で容易に除くことができる。
【0032】工程(c) ソルビタン、グルコン酸もしくはグルコノラクトンと一
般式(IV)で表される化合物とをC2H5ONa 、CH3ONa等の
塩基性物質の存在下、付加させてソルビタン、グルコン
酸もしくはグルコノラクトンと一般式(IV)で表される
化合物との付加体を得、その付加体におけるニトリル基
またはエステル基を加水分解し、必要により塩交換すれ
ば、一般式(I)で表される化合物が得られる。
【0033】工程(d) ソルビタン、グルコン酸もしくはグルコノラクトンとマ
レイン酸または無水マレイン酸とをアルカリ条件下、水
酸化カルシウムを触媒として付加させ、塩交換すること
によって一般式(I)で表される化合物が得られる。こ
こで反応系をアルカリ性にするアルカリ性物質として
は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物が
挙げられる。
【0034】工程(e) ソルビタン、グルコン酸もしくはグルコノラクトンと一
般式(V)で表される化合物とを BF3・O(C2H5)2、p−
トルエンスルホン酸(PTS) 、H2SO4 、陽イオン交換樹脂
等の酸性物質、またはNaOC2H5 、NaOCH3、t−C4H9OK、
Ca(OH)2 等の塩基性物質の存在下、付加させ、必要によ
りエステル基を加水分解し、さらに必要により塩交換す
れば一般式(I)で表される化合物が得られる。
【0035】工程(f) ソルビタン、グルコン酸もしくはグルコノラクトンと炭
素数2〜3のアルキレンオキサイドとを酸性または塩基
性物質の存在下反応させ、得られた生成物の分子中に存
在するヒドロキシメチル基をPd、Pt等の貴金属触媒存在
下O2または空気を吹き込んで室温ないし 100℃にて酸化
させ−OCH2COOM基(Mは前記の意味を示す) とし、必要に
より塩交換すれば一般式(I)で表される化合物が得ら
れる。
【0036】なお本発明の原料として用いられるソルビ
タン、グルコン酸またはグルコノラクトンとしては、
1,4−ソルビタン、 1,5−ソルビタン、D−グルコン
酸、L−グルコン酸、D,L−グルコン酸、γ−D−グ
ルコノラクトン、δ−D−グルコノラクトン、γ−L−
グルコノラクトン、δ−L−グルコノラクトンが挙げら
れる。ソルビタン、グルコン酸またはグルコノラクトン
は従来公知の方法によって合成される。即ち、ソルビト
ールを脱水することにより、 1,4−ソルビタン、 1,5−
ソルビタンを、グルコースを臭素酸化することによりグ
ルコン酸を、更にグルコン酸の脱水反応によりγ−、ま
たはδ−グルコノラクトンを得ることができる。
【0037】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでは
ない。
【0038】実施例1 グルコン酸のカルボキシメチル
化物のナトリウム塩の合成
【0039】
【化20】
【0040】グルコン酸11.8g (0.06mol)、モノクロル
酢酸ナトリウム 279.6g(2.4mol)、テトラブチルアンモ
ニウムブロマイド(TBAB)1.45g(0.0045mol) 、水 200
g、ジオキサン 500gを2リットル容の四つ口フラスコ
に仕込み、96℃まで昇温した。48%水酸化ナトリウム水
溶液 200g(2.4mol)を90分にわたって滴下した。更に同
温度に60分保ち、次いで水とジオキサンを完全に留去さ
せた。反応終了固体に水500gを加えて溶解させ、この
溶液に48%水酸化ナトリウム水溶液8.4g(0.1mol)を加
えて2時間還流した。反応液を室温まで冷却後、不溶分
を濾過して除き、次いで水を完全に留去させて、粗反応
物 398.6gを得た。得られた粗反応物 200gをイオン交
換水1800gに溶解させ塩酸でpHを8とした後、電気透析
により脱塩を行った。透析後の溶液を凍結乾燥し、白色
固体17.8gを得た。 NMRから原料のOH基は、完全にOCH2
COONa に置換されたことを確認した。またIRにおいても
OH伸縮による吸収は見られず、変わって1594cm-1にCOON
aによる吸収、1141cm-1に−C−O−C−(エーテル)によ
る吸収が認められた。以上のことより得られた化合物は
上記式(I-1) で表される目的物であることを確認した。
【0041】実施例2 δ−グルコノラクトンのカルボ
キシメチル化物のナトリウム塩の合成
【0042】
【化21】
【0043】δ−グルコノラクトン10.7g(0.06mol) 、
銅粉 2.2gを 500ml容3つ口フラスコに仕込み、90℃に
昇温した。激しく攪拌しながらジアゾ酢酸エチル54.8g
(0.48mol) を 7.5時間かけて滴下した。滴下終了後、90
℃にて3時間熟成した。反応液を80℃に冷却し、酢酸エ
チル 100g、活性炭5gを加え1時間攪拌した後、銅
粉、活性炭を濾過により除去した。酢酸エチルを留去
後、蒸留により低沸の副生物を除去し、茶色油状物29.8
gを得た。IRにてOHの吸収が消失しており、油脂分析値
も表1に示すように理論値と一致したことから得られた
化合物は上記式(I-2a)で表される化合物であることを確
認した。
【0044】
【表1】
【0045】得られた式(I-2a)で表される化合物26.1g
(0.05mol) をエタノール 200gに溶解し、この溶液にNa
OH 12.0g(0.3mol)、水 180gを加え、80℃で5時間攪
拌した。反応液放冷後、塩酸で溶液のpHを8とし、水−
エタノールを留去した。得られた残渣を減圧乾燥して、
茶色粉末30.7gを得た。IRスペクトルにより、エステル
基の吸収が消失し、変わって1602cm-1にCOONa による吸
収が現れていることから、エステル基は完全にケン化さ
れ、得られた化合物は上記式(I-2b)で表される目的物で
あることを確認した。表2に式(I-2b)で表される化合物
の油脂分析値の実測値及び理論値を示す。
【0046】
【表2】
【0047】注) *:NaCl 7.73 %、水分1.45%の場合の理論値実施例3 1,4−ソルビタンのカルボキシメチル化物の
ナトリウム塩の合成
【0048】
【化22】
【0049】1,4−ソルビタン 9.9g (0.06mol)に実施
例2と同様の方法で、ジアゾ酢酸エチルを反応させ上記
式(I-3a)で表される化合物29.9gを得た。IRにてOH基の
吸収が消失しており、油脂分析値も表3に示すように理
論値と一致したことから得られた化合物は上記式(I-3a)
で表される化合物であることを確認した。
【0050】
【表3】
【0051】得られた式(I-3a)で表される化合物27.4g
(0.054mol)をエタノール 200gに溶解し、この溶液にNa
OH 12.9g(0.32mol) 、水 200gを加え81℃で5時間攪
拌した。反応液を放冷後、塩酸でpHを8とし、水−エタ
ノールを留去した。得られた残渣を減圧乾燥して、茶色
粉末31.9gを得た。IRスペクトルによりエステル基の吸
収が消失し、変わって1612cm-1にCOONa による吸収が現
れていることからエステル基は完全にケン化され、得ら
れた化合物は上記式(I-3b)で表される目的物であること
を確認した。表4に式(I-3b)で表される化合物の油脂分
析値の実測値及び理論値を示す。
【0052】
【表4】
【0053】注) *:NaCl 13.7 %、水分4.96%とした場合の理論値実施例4 1,4−ソルビタンのコハク酸エーテルのナト
リウム塩の合成
【0054】
【化23】
【0055】1,4−ソルビタン16.4g(0.1mol)、無水マ
レイン酸39.2g(0.4mol)および水200mlを1リットル容
四つ口フラスコに仕込み、攪拌しながら水酸化カルシウ
ム39.3g(0.53mol) を加えた。この溶液を攪拌しながら
3時間還流し、室温まで冷却した。反応液に炭酸ナトリ
ウム56.2g(0.53mol) /水 100gの溶液を少しずつ加え
た後、徐々に昇温し、50℃で1時間攪拌した。放冷後、
沈殿するCaCO3 を濾過によって除去し、pHを8に調整し
て、水を留去した。得られた白色固体を水 300mlに溶解
させ、この溶液にメタノール1800mlを加えてデカンテー
ションを行った。この操作を3回くり返し、得られた白
色固体をアセトンで洗浄した後、乾燥し、白色固体55.9
gを得た。GC分析により原料の 1,4−ソルビタンは完全
に消失しており、またIR分析から1592cm-1に−COONa の
吸収が現れたことから、得られた化合物は上記式(I-4)
で表される目的物であるこことを確認した。なお水酸基
価が 149であることから平均エーテル化度は 2.5/4
(即ち4個の水酸基のうち 2.5個がエーテル化されてい
る)であった。
【0056】試験例 実施例1、2及び3で得られた化合物のCaイオン捕捉能
及びCaイオン安定度定数pK Ca2+ を以下に示す方法によ
り調べた。また比較のために従来キレート剤として用い
られているゼオライトについても同様にCaイオン捕捉能
及びCaイオン安定度定数pK Ca2+ を調べた。結果を表5
に示す。
【0057】カルシウムイオンに対する捕捉能測定法及
びキレート安定度定数測定法 溶液は全て以下の緩衝液を用いて調製した。 緩衝液; 0.1M NH4Cl−NH4OH 緩衝液 (pH10) (1) 検量線の作成 標準カルシウムイオン溶液を作成し、図1に示すごとき
カルシウムイオン濃度の対数と電位の関係を示す検量線
を作成する。
【0058】(2) カルシウムイオン捕捉能の測定 100ml メスフラスコに 0.1gのサンプルを秤量し、上記
緩衝液でメスアップする。これに20,000ppm (CaCO3
算) に相当するCaCl2 溶液 (pH10) をビュレットから滴
下する(ブランクも測定する)。滴下はCaCl2 溶液を
0.1〜0.2ml ずつ加えて行い、その時の電位を読み取
り、図1の検量線よりカルシウムイオン濃度を求める。
図2中のCaCl2 溶液の滴下量Aにおけるカルシウムイオ
ン濃度がサンプルのカルシウムイオン捕捉能となる。
【0059】(3) カルシウムイオンキレート安定度定数
の計算 カルシウムイオンキレート安定度定数(pK Ca2+) はCa2+
捕捉能測定時の結果を用いる。サンプルに対して等モル
のカルシウムを加えた時に1対1の錯体を作るものとし
て計算する。錯体の安定度定数は以下の式に従って求め
ることができる。
【0060】
【数1】
【0061】
【表5】
【0062】
【発明の効果】本発明によれば、水溶性、生分解性、分
散性に優れ、従来にない画期的なキレート剤として有用
な新規ポリカルボン酸又はその塩を提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】カルシウムイオン濃度の対数と電位の関係を示
す検量線である。
【図2】カルシウムイオン捕捉能の測定時におけるCaCl
2 溶液の滴下量とカルシウムイオン濃度との関係を示す
グラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07D 307/20 309/12 7252−4C

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I)で表されるポリカルボン酸
    又はその塩。 (A)n G (I) 〔式中、 G: 【化1】 におけるすべての水酸基の水素原子を除いたあとに残る
    残基を示す。ここでM は水素原子、アルカリ金属、アル
    カリ土類金属、アンモニウム、総炭素数1〜36のアルキ
    ルアンモニウム、総炭素数2〜9のアルカノールアンモ
    ニウム又は塩基性アミノ酸基を示す。 n : 【化2】 における水酸基の総数を示す。 A:G基において、除かれた水素原子が結合していた酸
    素原子と結合する基であり、水素原子又は 【化3】 ここでR1は水素原子又は −COOM、−CH2COOM もしくは 【化4】 M は前記の意味を示す。R2は炭素数1〜20の直鎖もしく
    は分岐鎖のアルキレン基又は 【化5】 (但し、R3は炭素数2〜3のアルキレン基を示し、q は
    0〜10の数を示す。)で表される基を示す。p は1又は
    0の数を示す。〕
  2. 【請求項2】ソルビタン、グルコン酸もしくはグルコノ
    ラクトンについて、下記の(a) 〜(f) に示すいずれかの
    工程を行うことを特徴とする請求項1記載の一般式
    (I)で表されるポリカルボン酸又はその塩の製造方
    法。工程(a) ソルビタン、グルコン酸もしくはグルコノラクトンを一
    般式(II)で表される化合物とアルカリ性物質の存在下
    に反応させ、要すれば塩交換する工程。 【化6】 (式中、X はハロゲン原子を示し、R1、R2、p 、M は前
    記の意味を示す。)工程(b) ソルビタン、グルコン酸もしくはグルコノラクトンを一
    般式(III) で表される化合物と銅触媒存在下に反応さ
    せ、ついで得られた生成物を加水分解し、さらに要すれ
    ば塩交換する工程。 【化7】 (式中、R1、R2、p は前記の意味を示し、R4は炭素数1
    〜5のアルキル基を示す。)工程(c) ソルビタン、グルコン酸もしくはグルコノラクトンを一
    般式(IV)で表される化合物とアルカリ性物質の存在下
    に反応させ、ついで得られた生成物を加水分解し、さら
    に要すれば塩交換する工程。 CH2=CH−Q (IV) (式中、Q は−CN又は−COOR4 で表される基を示し、R4
    は前記の意味を示す。)工程(d) ソルビタン、グルコン酸もしくはグルコノラクトンを、
    マレイン酸又は無水マレイン酸とCa(OH)2 の存在下に反
    応させ、ついで塩交換する工程。工程(e) ソルビタン、グルコン酸もしくはグルコノラクトンを一
    般式(V)で表される化合物と酸性または塩基性触媒存
    在下に反応させ、ついで要すれば加水分解し、さらに要
    すれば塩交換する工程。 【化8】 (式中、R5は水素原子、陽イオン基又は炭素数1〜5の
    アルキル基を示す。)工程(f) ソルビタン、グルコン酸もしくはグルコノラクトンに、
    炭素数2〜3のアルキレンオキサイドを付加し、ついで
    得られた生成物の分子中に存在するヒドロキシメチル基
    を酸化してカルボン酸とし、要すれば塩交換する工程。
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