JPH0632742U

JPH0632742U - 電食防止転がり軸受

Info

Publication number: JPH0632742U
Application number: JP6818592U
Authority: JP
Inventors: 典男山田; 靖之辻; 邦茂乙竹; 秀司伊藤
Original assignee: NTN Corp
Current assignee: NTN Corp
Priority date: 1992-09-30
Filing date: 1992-09-30
Publication date: 1994-04-28

Abstract

(57)【要約】【目的】電気絶縁層と軸受軌道輪との密着性を高め
る。【構成】外輪１の端面側縁部には周溝１ａが設けら
れ、この周溝１ａに、樹脂層５の端面側縁部分５ａが充
填保持されている。周溝１ａの内径側（Ｘ方向）の側壁
面１ａ１は軸線に対して内径側に傾斜し、外径側の側壁
面１ａ２は軸線に対して平行である。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、軸受軌道輪の嵌合面および端面に電気絶縁層を形成した電食防止転がり軸受に関する。

【０００２】

【従来の技術】

例えば、電気機関車、電動客車等の電力を動力源として走行する鉄道車輌では、モータから漏れた電流によって車両部品が損傷を受けないようにするため、漏洩電流をアースする接地用集電装置を車体との間に設けている。しかし、なんらかの理由で僅かな漏洩電流が車軸を支承する転がり軸受に流れ込んでくる場合がある。この場合、漏洩電流によって、転がり軸受の転動体と内・外輪の転走面との間でスパークが発生し、電食を生じる可能性がある。

【０００３】このような電食を防止する手段として、図６に示すように、外輪１１の外径面および両端面に電気絶縁層例えば樹脂層５１を形成したものが知られている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

一般に、樹脂層５１は射出成形によって外輪１１にモールドされるが、特に端面側において、樹脂層５１と外輪１１との密着性が不十分になり易い。そのため、樹脂層５１の縁部５１ｅと外輪１１との間の僅かなすきまから水分等の異物が侵入し、樹脂層５１の剥離、劣化などを生じさせる懸念がある。

【０００５】本考案は、上記問題点に鑑み提案されたもので、その目的とするところは、樹脂層等の電気絶縁層と軸受軌道輪との密着性を向上させることにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案の電食防止転がり軸受は、内・外側軌道輪のうち少なくとも一方の軌道輪の端面に周溝を設け、この軌道輪の嵌合面から端面にかけて形成した電気絶縁層をこの周溝に充填保持させたものであって、周溝の両側壁面のうち少なくとも一方の側壁面を軸線に対して傾斜させたものである。

【０００７】

【作用】

電気絶縁層が軸受軌道輪の端面に設けた周溝に充填され、この周溝によって保持される。しかも、周溝の少なくとも一方の側壁面が軸線に対して傾斜しており、両者の密着性を阻害しようとする応力に対して、この傾斜した側壁面が電気絶縁層の充填された部分に係合して高い保持力を示すので、両者の密着性が極めて良好である。

【０００８】

【実施例】

以下、本考案の実施例を図面に従って説明する。

【０００９】図１に示す実施例は、本考案を円筒ころ軸受に適用したものである。この軸受は、外輪１、内輪２、内・外輪１、２間に介在する複数の円筒ころ３、円筒ころ３を円周等間隔に保持する保持器４、および、外輪１の外径面から両端面にかけて形成された電気絶縁層例えば樹脂層５で構成される。

【００１０】図１ｂに拡大（図１ａのＢ部）して示すように、外輪１の端面には周溝１ａが設けられ、この周溝１ａに、樹脂層５の端面側縁部分５ａが充填保持されている。周溝１ａの内径側（Ｘ方向）の側壁面１ａ１は軸線に対して内径側に傾斜し、外径側の側壁面１ａ２は軸線に対して平行である。例えば、同図に矢印で示す方向の応力ｆ（樹脂層５の残留ひずみ応力若しくは熱変形応力等の内部応力、あるいは、異物の侵入圧その他の外部応力等）が作用した場合でも、内径側の側壁面１ａ１が樹脂層５の端面側縁部分５ａに係合してこれを強固に保持するので、樹脂層５と外輪１との密着性が極めて良好で、しかも、この状態が長期にわたって維持される。

【００１１】図２に示す実施例は、周溝１ａの内径側（Ｘ方向）の側壁面１ａ１を軸線に対して平行、外径側の側壁面１ａ２を軸線に対して外径側に傾斜させたものである。樹脂層５の成形時の収縮等により、同図に矢印で示す方向の応力ｆ’が作用する場合に特に有利である。

【００１２】図３に示す実施例は、周溝１ａの内径側（Ｘ方向）の側壁面１ａ１および外径側の側壁面１ａ２を、それぞれ軸線に対して外径側に傾斜させたものである。この実施例では、側壁面１ａ１と側壁面１ａ２とが平行になっている。周溝加工を容易かつ効率的に行なうことができるよう考慮したものである。

【００１３】図４に示す実施例は、周溝１ａの内径側（Ｘ方向）の側壁面１ａ１および外径側の側壁面１ａ２を、それぞれ軸線に対して内径側に傾斜させたものである。

【００１４】図５に示す実施例は、周溝１ａの内径側（Ｘ方向）の側壁面１ａ１を軸線に対して内径側に傾斜させ、外径側の側壁面１ａ２を外径側に傾斜させたものである。

【００１５】その他、図示は省略するが、図１〜図５に示す周溝１ａに加え外輪１の外径面に周溝を設けたものが考えられる。その場合、外径面に設ける周溝の形状は、特に問わず、図１〜図５に示す周溝１ａの形状に準じたものでも良いし、あるいは、両側壁面を軸線に対して平行にしたものでも良い。

【００１６】尚、以上説明した実施例の構成は内輪２にも同様に適用することができる。また、電気絶縁層としては樹脂層のほか、例えば、セラミック層等でも良い。さらに、本考案は、円筒ころ軸受に限らず、転がり軸受一般に適用することができる。

【００１７】

【考案の効果】

以上説明したように、本考案によれば、側壁面を軸線に対して傾斜させた形状の周溝を軸受軌道輪の端面に設け、電気絶縁層をこの周溝に充填保持させたので、電気絶縁層と軸受軌道輪との密着性が向上し、電食防止効果を長期にわたって維持させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例を示す断面図（図１ａ）、図１
ａにおけるＢ部の拡大断面図（図１ｂ）である

【図２】本考案の他の実施例を示す拡大断面図である。

【図３】本考案の他の実施例を示す拡大断面図である。

【図４】本考案の他の実施例を示す拡大断面図である。

【図５】本考案の他の実施例を示す拡大断面図である。

【図６】従来の電食防止転がり軸受を示す断面図であ
る。

【符号の説明】

１外輪１ａ周溝１ａ１内径側の側壁面１ａ２外径側の側壁面２内輪５樹脂層

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】内・外側軌道輪のうち少なくとも一方の
軌道輪の端面に周溝を設け、この軌道輪の嵌合面から端
面にかけて形成した電気絶縁層をこの周溝に充填保持さ
せたものであって、前記周溝の両側壁面のうち少なくと
も一方の側壁面を軸線に対して傾斜させたことを特徴と
する電食防止転がり軸受。