JPH06325358A - 磁気記録媒体及びその製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、磁気情報の読み取りスピードが早
い情報処理機器においても磁気バーコード等の識別情報
を正確に判別することができる磁気記録媒体とその製造
方法を提供すること。 【構成】 非磁性体からなる基体上に光硬化型樹脂を含
有する磁性層が形成されてなり、該磁性層を形成する磁
性体の大部分が該磁性層の塗布方向に対して所定の方向
に磁場配向され、かつ一部分が無配向であるか、あるい
は前記配向方向とは別の方向に磁場配向されている磁気
記録媒体、および非磁性体からなる基体上に光硬化型樹
脂を含有する磁性塗料を塗布して磁性層を形成し、該磁
性層に対してパターン状に光エネルギーを照射して照射
部分を部分硬化させ、更に残余の未硬化の磁性層を形成
する磁性体を塗布方向に対して所定の方向に磁場配向処
理し、しかる後、磁性層全体を光エネルギーにより硬化
させる磁気記録媒体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、買物カード、預貯金カ
ード、定期券、乗車券、回数券、駐車券、プリペイドカ
ード、キャッシュカード、ポイントカード、身分証明
書、診察券等の磁気記録媒体及びその製造方法に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】カード状の磁気記録媒体に不正使用防止
機能を付与する方法としては多くのものが提案されてい
るが、それらは以下の２種類の方法に大別される。すな
わち、第１の方法は、記録された磁気情報を磁気的に隠
蔽して読み取れなくすることにより磁気情報の改ざんや
複製を困難にする方法であり、第２の方法は磁気記録媒
体が正規のものであるか否かを判定するための識別情報
を磁気記録媒体そのものに入れておくことにより偽造を
防止する方法である。例えば、第１の方法の不正防止策
として知られているものには、磁気記録部を多層化する
ことによって正規の情報を読み取れなくしたり、ダミー
情報を重畳し正規の情報の解析を困難にするものがあ
る。また、第２の方法の不正防止策としては、光学バー
コードや磁気バーコードを設けたものがある。そしてこ
の方法は、正しい判定情報を持った正規の磁気記録媒体
でなければ例え磁気情報を偽造できたとしても実際には
使用できないという特徴を有する。しかしこれらの方法
にはそれぞれ問題があった。すなわち第１の方法は製造
工程が複雑であり、かつ記録の書き込み、読み出し装置
が複雑になる等の問題があった。また隠蔽する方法の詳
細がわかってしまえば、磁気記録に詳しいものであれ
ば、情報を読み出し解析することは可能であり、従って
複製も可能となるという問題があった。一方、第２の方
法の不正防止策を施したものは、製造工程が複雑になっ
たり、判定情報の読み出し装置が複雑になるという問題
があった。

【０００３】そこで、本発明者等は、特公平３−６８４
５２号において、非磁性体からなるベースの上に磁性層
を設けてなる磁気記録媒体において、該磁性層を形成す
る磁性体の大部分が該磁性層の塗布方向に対して所定の
角度の方向に偏倚して配向され、かつ一部分は前記配向
方向に対して一定の角度をなして配向を乱された部分を
持つ磁気記録媒体を提案した。この磁気記録媒体は不正
使用がほとんど不可能であって、簡易に製造できるとい
う点においては優れた効果を有するものであった。しか
しながら、近年、情報処理機器の発展にともない磁気情
報の読み取りスピードが早くなってきており、磁気バー
コード等の識別情報をより早く、かつ正確に読み取るこ
とができる磁気記録媒体の要望には、上記の既提案の磁
気記録媒体では十分に対応することができにくいという
問題を生じていた。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、磁気情報の
読み取りスピードが早い情報処理機器においても磁気バ
ーコード等の識別情報を正確に判別することができる磁
気記録媒体とその製造方法を提供するものである。

【０００５】

【問題点を解決するための手段】本発明は、磁気記録媒
体が正規か否かの判定をするための識別情報を磁気記録
媒体そのものに入れて偽造を防ぐ方法の改良であって、
その概要は以下の通りである。本発明は、非磁性体から
なる基体上に光硬化型樹脂を含有する磁性層が形成され
てなり、該磁性層を形成する磁性体の大部分が該磁性層
の塗布方向に対して所定の方向に磁場配向され、かつ一
部分が無配向であるか、あるいは前記配向方向とは別の
方向に磁場配向されていることを特徴とする磁気記録媒
体を提供するものである。また本発明は、非磁性体から
なる基体上に光硬化型樹脂を含有する磁性塗料を塗布し
て磁性層を形成し、該磁性層に対してパターン状に光エ
ネルギーを照射して照射部分を部分硬化させ、更に残余
の未硬化の磁性層を形成する磁性体を塗布方向に対して
所定の方向に磁場配向処理し、しかる後、磁性層全体を
光エネルギーにより硬化させることを特徴とする磁気記
録媒体の製造方法を提供するものである。更にまた本発
明は、非磁性体からなる基体上に光硬化型樹脂を含有す
る磁性塗料を塗布して磁性層を形成し、該磁性層を形成
する磁性体を塗布方向に対して所定の方向に磁場配向処
理した後、磁性層に対してパターン状に光エネルギーを
照射して照射部分を部分硬化させ、更に残余の未硬化の
磁性層を形成する磁性体を前記配向方向とは別の方向に
磁場配向処理し、しかる後、磁性層全体を光エネルギー
により硬化させることを特徴とする磁気記録媒体の製造
方法を提供するものである。

【０００６】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
磁気記録媒体は例えば図１あるいは図２に示すような構
成となっている。すなわち、図１は本発明の磁気記録媒
体の一例を示すカードの平面図で、基体全面に磁性層１
が設けられ、該磁性層１を形成する磁性体の大部分は、
該磁性層の塗布方向（図の長手方向）に対して角度α＝
０゜の方向に磁場配向がなされており、かつ磁気記録媒
体の一部分に無配向部Ａが設けられている。また、図２
は本発明の磁気記録媒体の他の一例を示すカードの平面
図で、基体全面に磁性層１が設けられ、該磁性層１を形
成する磁性体の大部分は、該磁性層の塗布方向（図の長
手方向）に対して角度α＝０゜の方向に磁場配向がなさ
れており、かつ磁気記録媒体の一部分は磁性層の塗布方
向（図の長手方向）に対して角度β＝４５゜の方向に磁
場配向がなされた配向部Ｂが設けられている。なお、本
発明の磁気記録媒体は、上記のような基体全面に磁性層
を設けたものに限らず、例えば基体の一部にストライプ
状の磁性層を設けたものでもよい。

【０００７】本発明の磁気記録媒体は、主たるバインダ
ーの光硬化型樹脂に磁性体と顔料等他の添加剤を分散し
た磁性塗料を非磁性体からなる基体上に塗布することに
よって磁性層を形成してなるものである。非磁性体から
なる基体としては、厚さ１５０μｍ〜１ｍｍのポリエス
テルフィルム、塩化ビニルフィルム、合成紙、木材パル
プ紙、ラミネート紙等のシート状の非磁性体が適用でき
る。

【０００８】また、磁性体としては、γ−酸化鉄、コバ
ルトドープのγ−酸化鉄、酸化クロム、バリウムフェラ
イト、ストロンチウムフェライト等の微粉末が使用され
る。このうち磁気記録情報が通常の永久磁石により消失
または減衰するのを防止するためにバリウムフェライト
やストロンチウムフェライトのような１５００〜５００
０エルステッド程度の高い保磁力を有する磁性体を使用
するのが好ましい。

【０００９】光硬化型樹脂は磁性層を構成する主たるバ
インダーをなすもので、プレポリマーや光重合性低重合
体からなるオリゴマー、反応性希釈剤の用途がある光重
合性単量体であるモノマーおよび光重合性開始剤により
構成される。オリゴマーとしては、例えばポリエステル
アクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリ
レート、ポリオールアクリレート、不飽和ポリエステル
オリゴマー等があげられる。モノマーとしては、例えば
２−ヒドロキシエチルアクリレート、２−ヒドロキシプ
ロピルアクリレート、Ｎ−ビニルピロリドン、メトキシ
テトラエチレングリコールアクリレート、Ｎ，Ｎ−ジメ
チルアクリルアミド、Ｎ−メチロールアクリルアミド、
Ｎ，Ｎ−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、Ｎ，
Ｎ−ジメチルアミノエチルアクリレート、Ｎ，Ｎ−ジメ
チルアミノプロピルアクリレート等の単官能モノマー、
ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレング
リコールジアクリレート、１，６−ヘキサンジオールジ
アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレー
ト、グリセリンジグリシジルエーテルジアクリレート、
ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリス
リトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールヘ
キサアクリレート等の多官能モノマーがあげられる。光
重合開始剤としては、例えばベンゾイン、ベンゾインエ
チルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾ
インプロピルエーテル等のベンゾインアルキルエーテル
系、２−ヒドロキシ−２−メチルプロピオフェノン等の
プロピオフェノン系、アセトフェノン、２，２−ジメト
キシ−２−フェニルアセトフェノン、２，２−ジエトキ
シアセトフェノン等のアセトフェノン系、２−エチルア
ントラキノン、２−クロルアントラキノン等のアントラ
キノン系、２，４−ジメチルチオキサントン、２−クロ
ロチオキサントン等のチオキサントン系のものがあげら
れる。

【００１０】また、前記磁性層の上には、必要に応じて
下記の被覆層を設けることができる。すなわち、（ａ）
前記磁性層の着色を隠蔽するためのアルミニウム粉末、
白色顔料等を含んだ着色層、（ｂ）ロイコ染料型感熱記
録層、錫あるいはアルミニウム等の金属蒸着層からなる
放電記録層、（ｃ）熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、紫外
線硬化型樹脂、光硬化型樹脂等からなる保護層、のうち
の１層もしくは複数層を順次積層して形成することがで
きる。更にまた、磁性層に光硬化型樹脂以外の塩化ビニ
ル・酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル・酢酸ビニル・ビ
ニルアルコール共重合体、ポリウレタン樹脂、ポリエス
テル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイソシアネート樹脂等の
樹脂を配合せしめてもよい。この場合、磁性層中の光硬
化型樹脂の配合量は全樹脂中に３０重量％以上であるこ
とが塗料の光硬化特性を維持しパターンを良好に形成せ
しめる点で好ましい。

【００１１】次に本発明の磁気記録媒体の製造方法につ
いて図を示しながら説明する。図３は本発明の磁気記録
媒体を製造する方法の一例の説明図で、非磁性体からな
るシート状の基体Ｓ−１を、送り出しリール１１より送
り出し、磁性塗料の塗布装置１２に導いて塗工ヘッド１
３で磁性塗料が塗布され磁性層を形成する。そして、シ
ート状の基体Ｓ−１上に磁性塗料が塗布された塗布体Ｓ
−２はロール１４を経て磁場配向装置１５、光硬化装置
１７、ロール１８を経て、巻き取りリール１９に巻取ら
れる。この場合、磁場配向装置１５で磁性層中の磁性体
を塗布方向に対して所定の方向に配向させる前に、レー
ザー発振器２０でレーザービームを発振し、可動ミラー
２１より導いて塗布体Ｓ−２の特定の部分にレーザービ
ームをスキャニングし、磁性層の塗布面の一部（後に磁
性層が無配向である部分となる）を硬化させる。その
後、残余の未硬化の磁性層中の磁性体を磁場配向装置１
５により、塗布方向に対して所定の方向に磁場配向処理
し、光硬化装置１７で磁性層全体を硬化させるものであ
る。図４を用いて更に詳細に説明すると、シート状の塗
布体Ｓ−２は磁場配向装置１５を通過させる前にレーザ
ーにより部分的に硬化処理が施され、無配向部Ａを形成
し、その後磁気配向装置１５により磁性層の全体を塗布
方向に対して所定の方向（図４では角度α＝０゜の方
向）に磁場配向がなされるものである。

【００１２】図５は本発明の磁気記録媒体を製造する方
法の他の一例の説明図で、非磁性体からなるシート状の
基体Ｓ−１を、送り出しリール１１より送り出し、磁性
塗料の塗布装置１２に導いて塗工ヘッド１３で磁性塗料
が塗布され磁性層を形成する。そして、シート状の基体
Ｓ−１上に磁性塗料が塗布された塗布体Ｓ−２はロール
１４を経て第１の磁場配向装置１５、第２の磁場配向装
置１６、光硬化装置１７、ロール１８を経て、巻き取り
リール１９に巻取られる。この場合、第１の磁場配向装
置１５で磁性層中の磁性体を塗布方向に対して所定の方
向に配向した後、レーザー発振器２０でレーザービーム
を発振し、可動ミラー２１より導いて塗布体Ｓ−２の特
定の部分にレーザービームをスキャニングし、磁性層の
塗布面の一部（後に磁性層が特定方向に配向された部分
となる）を硬化させる。その後、残余の未硬化の磁性層
中の磁性体を第２の磁場配向装置１６により、塗布方向
に対して前記の配向方向とは別の方向に磁場配向処理
し、光硬化装置１７で磁性層全体を硬化させるものであ
る。図６を用いて更に詳細に説明すると、シート状の塗
布体Ｓ−２はまず磁性層を形成する磁性体全体が第１の
磁場配向装置１５により磁性層の塗布方向に対して所定
の方向（図６では角度β＝４５゜の方向）に磁場配向さ
れ、次にレーザーにより部分的に硬化処理を施され、配
向部Ｂを形成し、その後第２の磁気配向装置１６により
磁性層全体を塗布方向に対して前記の配向方向とは別の
方向（図６では角度α＝０゜の方向）に磁場配向がなさ
れるものである。

【００１３】本発明の製造方法において部分的に光エネ
ルギーを照射する手段としては、Ｈｅ−Ｎｅレーザー、
Ｈｅ−Ｃｄレーザー、ルビーレーザー、ＹＡＧレーザ
ー、炭酸ガスレーザー、アルゴンレーザー、紫外線レー
ザー、真空紫外線レーザー等のレーザーやキセノンラン
プの閃光があげられる。レーザーの場合は可動ミラーに
よりレーザービームをスキャニングし、磁性層の塗布面
の所定の部分にバーコード状または文字や図形のパター
ン状に硬化させることができる。また、ビームの口径が
広いレーザーを用いる場合は、バーコード状または文字
や図形のパターンのマスクを介して光エネルギーを磁性
層の塗布面の所定の部分に照射することにより、磁性層
の一部分を硬化させることができる。

【００１４】また、前記のレーザーの代わりにキセノン
ランプの閃光を用いる場合は、バーコード状または文字
や図形のパターン状をしたマスクを介して光エネルギー
を磁性層の塗布面の所定の部分に照射することにより、
塗布面の所定の一部分を硬化させることができる。

【００１５】

【作用】本発明による磁気記録媒体は、磁性層を形成す
る主たるバインダーとして光硬化型樹脂を使用するた
め、光エネルギーが照射され硬化された磁性層の硬化部
分と未硬化部分との境目が明確に形成される。したがっ
て、硬化部分の磁気記録・再生を行った場合、その部分
の再生出力の波形が鮮明に表れるため、個々の識別情報
を明確に判別することができるとともに一定面積あたり
の識別情報の情報量を多く形成させることができる。ま
た、光エネルギーを照射すると光硬化型樹脂は瞬時に硬
化がなされるため生産性が優れているという作用効果を
奏する。

【００１６】

【実施例】以下、実施例により本発明を詳述する。尚、
配合部は全て重量部を示すものとする。 実施例１ 磁性層用の磁性塗料を以下の配合で調製した。

【化１】 上記配合からなる混合物を３本ロールミルで６時間分散
して磁性層用の磁性塗料を得た。この磁性塗料と厚さ１
８８μｍのポリエステルフィルムからなる非磁性体の基
体を使用し図３および図４に示す方法にて下記の手順で
本発明の磁気記録媒体を作製した。まず、上記基体上に
磁性塗料を塗布して磁性層を形成しシート状塗布体を得
た。そして、バーコード状になるように紫外線レーザー
ビームを照射して磁性層を部分的に硬化させた後、シ−
ト状塗布体が通過する部分の磁場が５０００エルステッ
ドで、かつ塗布方向に対して同方向（α＝０゜）となる
ように調整した磁場配向装置に前記シート状塗布体を通
過させ磁場配向処理をせしめ、１２００Ｗの水銀灯紫外
線硬化装置で未硬化の磁性層を硬化させ本発明の磁気記
録媒体を得た。このようにして得られた本発明による磁
気記録媒体から、図１に示すような無配向部分が３箇所
入るようにＪＩＳサイズの磁気カ−ドを打ち抜いた。そ
して、高速のカ−ド用磁気記録／再生装置を用いて記録
密度２１０ＦＣＩでオールＦ（１６進）のＦＭ記録をし
て再生を行ったところ、図７のような出力パターンを得
た。磁性層が無配向である部分の磁気出力ａは、そうで
ない部分のｂに対して約６０％の出力を有し、無配向部
分とそうでない部分との境目はほぼ直角で明確に表わさ
れることが確認された。この出力の低い部分の個数、
幅、カ−ド端からの位置を検知することにより充分に安
定して磁気カ−ドを識別することができた。

【００１７】実施例２ 実施例１の磁性塗料と基体とを使用し図５および図６に
示す方法にて下記の手順で本発明の磁気記録媒体を作製
した。まず、上記基体上に磁性塗料を塗布して磁性層を
形成しシート状塗布体を得た。そして、シ−ト状塗布体
が通過する部分の磁場が５０００エルステッドで、かつ
塗布方向に対して４５゜（β＝４５゜）となるように調
整した第１の磁場配向装置に前記シート状塗布体を通過
させ磁場配向処理した後、バーコード状になるように紫
外線レーザービームを照射して磁性層を部分的に硬化さ
せた。そして、シ−ト状塗布体が通過する部分の磁場が
５０００エルステッドで、かつ塗布方向に対して同方向
（α＝０゜）となるように調整した第２の磁場配向装置
に前記シート状塗布体を通過させ磁場配向処理をせし
め、１２００Ｗの水銀灯紫外線硬化装置で未硬化の磁性
層を硬化させ本発明の磁気記録媒体を得た。このように
して得られた本発明による磁気記録媒体から、図２に示
すような配向部分が３箇所入るようにＪＩＳサイズの磁
気カ−ドを打ち抜いた。そして、高速のカ−ド用磁気記
録／再生装置を用いて記録密度２１０ＦＣＩでオールＦ
（１６進）のＦＭ記録をして再生を行ったところ、図８
のような出力パターンを得た。磁性層の配向状態が異な
る部分の磁気出力ｃは、そうでない部分のｄに対して約
４０％の出力を有し、配向状態が異なる部分の境目はほ
ぼ直角で明確に表わされることが確認された。この出力
の低い部分の個数、幅、カ−ド端からの位置を検知する
ことにより充分に安定して磁気カ−ドを識別することが
できた。

【００１８】実施例３ 磁性層用の磁性塗料を以下の配合で調製した。 │

【化２】 上記配合からなる混合物を３本ロールミルで６時間分散
して磁性層用の磁性塗料を得た。この磁性塗料と厚さ１
８８μｍのポリエステルフィルムからなる非磁性体の基
体を使用し図３および図４に示す方法にて下記の手順で
本発明の磁気記録媒体を作製した。まず、この磁性塗料
をポリエステルフィルムからなるシ−ト状の基体にスク
リーン印刷方式で塗布して磁性層を形成しシート状塗布
体を得た。そして、バーコード状になるように紫外線レ
ーザービームを照射して磁性層を部分的に硬化させた
後、シ−ト状塗布体が通過する部分の磁場が５０００エ
ルステッドで、かつ塗布方向に対して同方向（α＝０
゜）となるように調整した磁場配向装置に前記シート状
塗布体を通過させ磁場配向処理をせしめ、１２００Ｗの
水銀灯紫外線硬化装置で未硬化の磁性層を硬化させ本発
明の磁気記録媒体を得た。このようにして得られた本発
明による磁気記録媒体から、図１に示すような無配向部
分が３箇所入るようにＪＩＳサイズの磁気カ−ドを打ち
抜いた。そして、高速のカ−ド用磁気記録／再生装置を
用いて記録密度２１０ＦＣＩでオールＦ（１６進）のＦ
Ｍ記録をして再生を行ったところ、図９のような出力パ
ターンを得た。磁性層が無配向である部分の磁気出力ｅ
は、そうでない部分のｆに対して約６０％の出力を有
し、無配向部分とそうでない部分との境目はほぼ直角で
明確に表わされることが確認された。この出力の低い部
分の個数、幅、カ−ド端からの位置を検知することによ
り充分に安定して磁気カ−ドを識別することができた。

【００１９】

【発明の効果】以上のごとく本発明の磁気記録媒体は、
磁性層に光硬化型樹脂を含有して構成されているため、
識別情報を明確に判別することができる。よって、磁気
情報の読み取りスピードが早い情報処理機器においても
十分に適応させることができるという効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の磁気記録媒体の一例を示す説明図

【図２】本発明の磁気記録媒体の他の一例を示す説明図

【図３】本発明の製造方法の一例を示す製造工程略図

【図４】図３の要部説明図

【図５】本発明の製造方法の他の一例を示す製造工程略
図

【図６】図５の要部説明図

【図７】実施例１で得られた磁気カードの出力パターン

【図８】実施例２で得られた磁気カードの出力パターン

【図９】実施例３で得られた磁気カードの出力パターン

【符号の説明】

１ 磁性層 Ａ 無配向部 Ｂ 配向部 １１ 送り出しリール １２ 塗布装置 １３ 塗工ヘッド １４ ロール １５ 磁場配向装置 １６ 磁場配向装置 １７ 光硬化装置 １８ ロール １９ 巻き取りリール ２０ レーザー発振器 ２１ 可動ミラー Ｓ−１ 基体 Ｓ−２ 塗布体

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 非磁性体からなる基体上に光硬化型樹脂
   を含有する磁性層が形成されてなり、該磁性層を形成す
   る磁性体の大部分が該磁性層の塗布方向に対して所定の
   方向に磁場配向され、かつ一部分が無配向であるか、あ
   るいは前記配向方向とは別の方向に磁場配向されている
   ことを特徴とする磁気記録媒体。
2. 【請求項２】 非磁性体からなる基体上に光硬化型樹脂
   を含有する磁性塗料を塗布して磁性層を形成し、該磁性
   層に対してパターン状に光エネルギーを照射して照射部
   分を部分硬化させ、更に残余の未硬化の磁性層を形成す
   る磁性体を塗布方向に対して所定の方向に磁場配向処理
   し、しかる後、磁性層全体を光エネルギーにより硬化さ
   せることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
3. 【請求項３】 非磁性体からなる基体上に光硬化型樹脂
   を含有する磁性塗料を塗布して磁性層を形成し、該磁性
   層を形成する磁性体を塗布方向に対して所定の方向に磁
   場配向処理した後、磁性層に対してパターン状に光エネ
   ルギーを照射して照射部分を部分硬化させ、更に残余の
   未硬化の磁性層を形成する磁性体を前記配向方向とは別
   の方向に磁場配向処理し、しかる後、磁性層全体を光エ
   ネルギーにより硬化させることを特徴とする磁気記録媒
   体の製造方法。