JPH06322592A - 鋼材の表面処理方法およびその装置 - Google Patents
鋼材の表面処理方法およびその装置Info
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- JPH06322592A JPH06322592A JP13250893A JP13250893A JPH06322592A JP H06322592 A JPH06322592 A JP H06322592A JP 13250893 A JP13250893 A JP 13250893A JP 13250893 A JP13250893 A JP 13250893A JP H06322592 A JPH06322592 A JP H06322592A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 本発明は、鋼材表面に高速で高品質のリン酸
塩皮膜を形成させる表面処理方法、および前記リン酸塩
皮膜を形成した鋼材表面にステアリン酸ナトリウムを反
応させ金属石鹸潤滑皮膜を形成させる表面処理方法とそ
の装置を提供する。 【構成】 鋼材を陽極として、リン酸塩溶液の中に浸漬
させた陰極との間に直流電流をパルス状に印加してリン
酸塩皮膜を形成させる。また、前記方法でリン酸塩皮膜
を形成させた鋼材の表面にステアリン酸ナトリウムを反
応させ金属石鹸潤滑皮膜を形成させる。 【効果】 本発明法に従えば、従来の表面処理法と同等
以上のリン酸塩皮膜および金属石鹸潤滑皮膜を極短時間
で得ることが可能となり、高品質の表面処理材を製造可
能となったばかりか、ダイス寿命の延長や生産性向上に
よる経済的効果や省力化にもたらす効果は極めて大き
い。
塩皮膜を形成させる表面処理方法、および前記リン酸塩
皮膜を形成した鋼材表面にステアリン酸ナトリウムを反
応させ金属石鹸潤滑皮膜を形成させる表面処理方法とそ
の装置を提供する。 【構成】 鋼材を陽極として、リン酸塩溶液の中に浸漬
させた陰極との間に直流電流をパルス状に印加してリン
酸塩皮膜を形成させる。また、前記方法でリン酸塩皮膜
を形成させた鋼材の表面にステアリン酸ナトリウムを反
応させ金属石鹸潤滑皮膜を形成させる。 【効果】 本発明法に従えば、従来の表面処理法と同等
以上のリン酸塩皮膜および金属石鹸潤滑皮膜を極短時間
で得ることが可能となり、高品質の表面処理材を製造可
能となったばかりか、ダイス寿命の延長や生産性向上に
よる経済的効果や省力化にもたらす効果は極めて大き
い。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鋼材表面にリン酸塩皮
膜を形成させる表面処理方法およびリン酸塩処理とステ
アリン酸ナトリウム処理を組み合わせた表面処理方法と
その実施に係わる装置に関するものである。
膜を形成させる表面処理方法およびリン酸塩処理とステ
アリン酸ナトリウム処理を組み合わせた表面処理方法と
その実施に係わる装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】鋼材へのリン酸塩処理は、塗装下地、防
錆処理や部品加工用潤滑皮膜として広く利用されてい
る。
錆処理や部品加工用潤滑皮膜として広く利用されてい
る。
【0003】リン酸塩処理は一般的に浸漬法、スプレー
法により実施されてきており、リン酸塩処理の促進技術
の一つとして電気的促進法がある。
法により実施されてきており、リン酸塩処理の促進技術
の一つとして電気的促進法がある。
【0004】リン酸塩処理の電気的促進技術は英国特許
16300号(1909年)で直流定電流法が開示され
て以来、交流通電法(例えば特公昭49―46220号
公報)等の改良が重ねられている。
16300号(1909年)で直流定電流法が開示され
て以来、交流通電法(例えば特公昭49―46220号
公報)等の改良が重ねられている。
【0005】また、冷間鍛造用線材、棒材の素材表面の
潤滑処理の良否は、伸線工程のみならず、次工程の冷間
鍛造用金型の寿命や製品品質に重大な影響を与える。
潤滑処理の良否は、伸線工程のみならず、次工程の冷間
鍛造用金型の寿命や製品品質に重大な影響を与える。
【0006】この表面潤滑処理としてリン酸亜鉛、リン
酸カルシウム等のリン酸塩皮膜を形成させた後、ステア
リン酸ナトリウム等の反応型石鹸処理を施す組合せが良
好なものとして実施されてきており、その処理方法とし
て、一般的なバッチ処理方法と伸線に先立って連続的に
移動しつつある長尺材へのインライン処理(例えば特公
平4―59972号公報)がある。
酸カルシウム等のリン酸塩皮膜を形成させた後、ステア
リン酸ナトリウム等の反応型石鹸処理を施す組合せが良
好なものとして実施されてきており、その処理方法とし
て、一般的なバッチ処理方法と伸線に先立って連続的に
移動しつつある長尺材へのインライン処理(例えば特公
平4―59972号公報)がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、リン酸塩処理
の電気的促進法において、直流定電流法は皮膜付着量の
増加が可能だが、結晶の粗大化、密着性の低下等の問題
がある。
の電気的促進法において、直流定電流法は皮膜付着量の
増加が可能だが、結晶の粗大化、密着性の低下等の問題
がある。
【0008】交流通電法では結晶の緻密化が可能だが、
生成させられる皮膜付着量が少ない問題があった。
生成させられる皮膜付着量が少ない問題があった。
【0009】また、リン酸塩処理の後、その表面にステ
アリン酸ナトリウムを反応させる表面潤滑処理におい
て、前述のインライン処理法では、処理液の高濃度化等
を実施しても、通常の伸線工程に組み込む場合には、伸
線速度を制限するか処理装置を長くする必要があった。
アリン酸ナトリウムを反応させる表面潤滑処理におい
て、前述のインライン処理法では、処理液の高濃度化等
を実施しても、通常の伸線工程に組み込む場合には、伸
線速度を制限するか処理装置を長くする必要があった。
【0010】しかも、高濃度化により処理液の消耗が激
しいことや頻繁にスラッジ処理する必要が有る等、経済
性、作業性にも問題があった。
しいことや頻繁にスラッジ処理する必要が有る等、経済
性、作業性にも問題があった。
【0011】いずれの方法にせよ、潤滑性良好な条件と
される8g/m2以上の緻密で密着性が高いリン酸塩皮
膜を5秒以内の短時間で生成させることはできなかっ
た。
される8g/m2以上の緻密で密着性が高いリン酸塩皮
膜を5秒以内の短時間で生成させることはできなかっ
た。
【0012】またその皮膜の上にステアリン酸ナトリウ
ムを反応させた金属石鹸(1g/m2以上が良好とされ
る)の品質も十分ではなかった。
ムを反応させた金属石鹸(1g/m2以上が良好とされ
る)の品質も十分ではなかった。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は以上の問題を解
決する為に改良された電気的リン酸塩処理法とその処理
条件および該リン酸塩処理とステアリン酸ナトリウム処
理の組合せによる鋼材の表面処理方法とその装置に関す
るものである。
決する為に改良された電気的リン酸塩処理法とその処理
条件および該リン酸塩処理とステアリン酸ナトリウム処
理の組合せによる鋼材の表面処理方法とその装置に関す
るものである。
【0014】本発明の適用となる鋼材とは熱間圧延材は
もとより、その表面にメッキ皮膜を形成させたメッキ
材、その他、原理的にリン酸塩処理が可能な全ての鋼材
を対象として実施可能である。
もとより、その表面にメッキ皮膜を形成させたメッキ
材、その他、原理的にリン酸塩処理が可能な全ての鋼材
を対象として実施可能である。
【0015】本発明の要旨とするところは、鋼材を陽極
としてリン酸塩溶液の中に浸漬させた陰極間とに直流電
流をパルス状に印加するリン酸塩処理法である。
としてリン酸塩溶液の中に浸漬させた陰極間とに直流電
流をパルス状に印加するリン酸塩処理法である。
【0016】また、従来法を上回る高品質なリン酸塩皮
膜を得る条件としてパルス状の直流電流を0.3A/d
m2以上、500A/dm2以下の密度で周波数0.3H
z以上、20000Hz以下の範囲で印加する。
膜を得る条件としてパルス状の直流電流を0.3A/d
m2以上、500A/dm2以下の密度で周波数0.3H
z以上、20000Hz以下の範囲で印加する。
【0017】また、前記の方法でリン酸塩皮膜を形成さ
せた鋼材の表面に、ステアリン酸ナトリウムを反応さ
せ、短時間で金属石鹸潤滑皮膜を形成させる表面処理法
である。
せた鋼材の表面に、ステアリン酸ナトリウムを反応さ
せ、短時間で金属石鹸潤滑皮膜を形成させる表面処理法
である。
【0018】本発明にかかる表面処理装置に関する発明
の要旨は鋼材の連続伸線工程において、伸線ダイス前に
機械的に除去するデスケーリング装置、リン酸塩溶液を
反応管に供給し該反応管内を通過中の鋼材にパルス状の
直流電流を印加してリン酸塩皮膜を形成させるリン酸塩
処理装置と、余分に付着したリン酸塩溶液を除く洗浄装
置と、その後、該鋼材表面にステアリン酸ナトリウム溶
液を反応させ付着させるステアリン酸ナトリウム処理装
置と、余分に付着したステアリン酸ナトリウム溶液を除
去するエアパージ装置と、該鋼材表面の金属石鹸潤滑皮
膜を乾燥させる乾燥装置とを列設構成したことにある。
の要旨は鋼材の連続伸線工程において、伸線ダイス前に
機械的に除去するデスケーリング装置、リン酸塩溶液を
反応管に供給し該反応管内を通過中の鋼材にパルス状の
直流電流を印加してリン酸塩皮膜を形成させるリン酸塩
処理装置と、余分に付着したリン酸塩溶液を除く洗浄装
置と、その後、該鋼材表面にステアリン酸ナトリウム溶
液を反応させ付着させるステアリン酸ナトリウム処理装
置と、余分に付着したステアリン酸ナトリウム溶液を除
去するエアパージ装置と、該鋼材表面の金属石鹸潤滑皮
膜を乾燥させる乾燥装置とを列設構成したことにある。
【0019】なお、本発明で言うリン酸塩とは、リン酸
亜鉛、リン酸ニッケル、リン酸鉄、リン酸カルシウムの
一種または2種以上を含有したもののことである。
亜鉛、リン酸ニッケル、リン酸鉄、リン酸カルシウムの
一種または2種以上を含有したもののことである。
【0020】
【作用】本発明方法は、直流電流のパルス印加によりリ
ン酸塩の析出が可能なPH上昇領域の厚みを制御して、
リン酸塩結晶の析出と核生成を促進し、緻密で密着性の
高いリン酸塩皮膜を短時間で生成させることと、その改
良されたリン酸塩皮膜の上にステアリン酸ナトリウムを
反応させることで、必要量の金属石鹸皮膜を極短時間で
生成可能としたことに基づいている。
ン酸塩の析出が可能なPH上昇領域の厚みを制御して、
リン酸塩結晶の析出と核生成を促進し、緻密で密着性の
高いリン酸塩皮膜を短時間で生成させることと、その改
良されたリン酸塩皮膜の上にステアリン酸ナトリウムを
反応させることで、必要量の金属石鹸皮膜を極短時間で
生成可能としたことに基づいている。
【0021】即ち、リン酸塩溶液中で直流通電された被
処理材表面では、局所陽極反応の結果として水素気泡が
発生するとともに、表面近傍の溶液のPHが上昇し、不
水溶性の第三リン酸塩が析出、成長する。
処理材表面では、局所陽極反応の結果として水素気泡が
発生するとともに、表面近傍の溶液のPHが上昇し、不
水溶性の第三リン酸塩が析出、成長する。
【0022】ところが、通電を長時間継続すると、水素
気泡の発生量が過剰となり、PHの上昇領域の厚みが増
加して、反応が活発な反応境界層が被処理材表面から離
れる為、既に析出した皮膜の上に重なるように形成され
るものが多くなり、結晶サイズが粗大化するとともに、
結晶個数密度の小さい疎な皮膜となる。
気泡の発生量が過剰となり、PHの上昇領域の厚みが増
加して、反応が活発な反応境界層が被処理材表面から離
れる為、既に析出した皮膜の上に重なるように形成され
るものが多くなり、結晶サイズが粗大化するとともに、
結晶個数密度の小さい疎な皮膜となる。
【0023】このようなリン酸塩皮膜の上にステアリン
酸ナトリウムを反応させても、金属石鹸皮膜の生成量が
不十分であり、潤滑性不良となる。
酸ナトリウムを反応させても、金属石鹸皮膜の生成量が
不十分であり、潤滑性不良となる。
【0024】本発明は、通電を瞬間的に中断した場合
に、被処理材表面近傍の水素気泡の消散に伴う急激な圧
力変動により、PH上昇領域内の高PH溶液と領域外の
新鮮なリン酸塩溶液が置換する、所謂、置換流動作用を
利用するものである。
に、被処理材表面近傍の水素気泡の消散に伴う急激な圧
力変動により、PH上昇領域内の高PH溶液と領域外の
新鮮なリン酸塩溶液が置換する、所謂、置換流動作用を
利用するものである。
【0025】置換流動により新鮮なリン酸塩溶液が被処
理材表面に接触すると、新たな結晶核が生成され、次サ
イクルの通電時にはそれらの点でも結晶成長が促進され
るから緻密で高付着量のリン酸塩皮膜を短時間で形成で
きる。
理材表面に接触すると、新たな結晶核が生成され、次サ
イクルの通電時にはそれらの点でも結晶成長が促進され
るから緻密で高付着量のリン酸塩皮膜を短時間で形成で
きる。
【0026】また、このように改良されたリン酸塩皮膜
の上にステアリン酸ナトリウムを反応させると、従来処
理法によるリン酸塩皮膜に反応させた場合よりも皮膜生
成量が増加し密着性も高くなり、従来の方法では得られ
ない良好な潤滑皮膜を短時間で得られる。
の上にステアリン酸ナトリウムを反応させると、従来処
理法によるリン酸塩皮膜に反応させた場合よりも皮膜生
成量が増加し密着性も高くなり、従来の方法では得られ
ない良好な潤滑皮膜を短時間で得られる。
【0027】本発明のリン酸塩処理法により従来法を上
回る高品質のリン酸塩皮膜を得る為の条件は、直流の電
流密度が0.3A/dm2以上、500A/dm2以下、
周波数0.3Hz以上、20000Hz以下の範囲でパ
ルス状に印加することである。電流密度が0.3A/d
m2未満では、皮膜付着量の増加は僅かで、従来法との
顕著な差が見られないし、500A/dm2を越えると
急激な水素気泡の発生により結晶が粗大化してしまう。
回る高品質のリン酸塩皮膜を得る為の条件は、直流の電
流密度が0.3A/dm2以上、500A/dm2以下、
周波数0.3Hz以上、20000Hz以下の範囲でパ
ルス状に印加することである。電流密度が0.3A/d
m2未満では、皮膜付着量の増加は僅かで、従来法との
顕著な差が見られないし、500A/dm2を越えると
急激な水素気泡の発生により結晶が粗大化してしまう。
【0028】また、周波数0.3Hz未満、20000
Hz超の場合にも結晶が粗大化する。この原因は、低周
波数では置換頻度不足、高周波数では置換速度不足の為
と推定される。
Hz超の場合にも結晶が粗大化する。この原因は、低周
波数では置換頻度不足、高周波数では置換速度不足の為
と推定される。
【0029】本発明の表面処理装置は、連続伸線工程の
伸線ダイス前に設置される。サプライスタンド2より引
き出した鋼材1は長手方向に連続的に移動させられつ
つ、矯正機3によりほぼ直線状に矯正され、デスケーリ
ング装置4により表面に付着したスケールを除去され
る。
伸線ダイス前に設置される。サプライスタンド2より引
き出した鋼材1は長手方向に連続的に移動させられつ
つ、矯正機3によりほぼ直線状に矯正され、デスケーリ
ング装置4により表面に付着したスケールを除去され
る。
【0030】スケールが除去された鋼材1は予熱装置5
に供給される。予熱装置5は蒸気によって鋼材1を80
℃から100℃に予熱するものである。
に供給される。予熱装置5は蒸気によって鋼材1を80
℃から100℃に予熱するものである。
【0031】予熱された鋼材1はリン酸塩処理装置6に
供給される。この処理装置6は鋼材の移動経路に従って
配設された反応管61を備えている。
供給される。この処理装置6は鋼材の移動経路に従って
配設された反応管61を備えている。
【0032】パルス電流供給装置7より配線された陰極
電極72は反応管61内に配置され、反応管61の直前
には鋼材1を挟み込むように接触するローラー式陽極電
極71が配置されている。
電極72は反応管61内に配置され、反応管61の直前
には鋼材1を挟み込むように接触するローラー式陽極電
極71が配置されている。
【0033】反応管61には、図示を省略するリン酸塩
タンク、移送ポンプよりリン酸塩溶液が供給され、反応
管61内を連続的に移動する鋼材1にリン酸塩溶液を付
着させながらパルス電流を通電し、リン酸塩皮膜を形成
させる。
タンク、移送ポンプよりリン酸塩溶液が供給され、反応
管61内を連続的に移動する鋼材1にリン酸塩溶液を付
着させながらパルス電流を通電し、リン酸塩皮膜を形成
させる。
【0034】リン酸塩処理装置6を出た鋼材1は洗浄装
置8において温湯により洗浄され、余分のリン酸塩溶液
を除かれた後、ステアリン酸ナトリウム処理装置9に供
給される。処理装置9にも反応管91が鋼材の移動経路
に沿って配設され、図示を省略する溶液タンク、移送ポ
ンプによりステアリン酸ナトリウム溶液が供給される。
置8において温湯により洗浄され、余分のリン酸塩溶液
を除かれた後、ステアリン酸ナトリウム処理装置9に供
給される。処理装置9にも反応管91が鋼材の移動経路
に沿って配設され、図示を省略する溶液タンク、移送ポ
ンプによりステアリン酸ナトリウム溶液が供給される。
【0035】鋼材1が反応管91を通過する間に、パル
ス電流印加法により生成されたリン酸塩皮膜とステアリ
ン酸ナトリウムを反応させ、必要量の金属石鹸皮膜を生
成させる。
ス電流印加法により生成されたリン酸塩皮膜とステアリ
ン酸ナトリウムを反応させ、必要量の金属石鹸皮膜を生
成させる。
【0036】反応管91を出たあとの表面には、未反応
のステアリン酸ナトリウム溶液が多く付着している。
のステアリン酸ナトリウム溶液が多く付着している。
【0037】この未反応ステアリン酸ナトリウム付着量
が過多の場合、溶液の消耗が早いことや反応管9を出た
後も反応が継続し、不必要な金属石鹸皮膜が生成される
こと、次工程の伸線ダイスや冷間鍛造ダイスに詰まる等
の経済性、作業性、品質上の問題を引き起こす。
が過多の場合、溶液の消耗が早いことや反応管9を出た
後も反応が継続し、不必要な金属石鹸皮膜が生成される
こと、次工程の伸線ダイスや冷間鍛造ダイスに詰まる等
の経済性、作業性、品質上の問題を引き起こす。
【0038】従って、反応管91の後にエアパージ装置
10を設置し、余分なステアリン酸ナトリウム溶液を除
去する。
10を設置し、余分なステアリン酸ナトリウム溶液を除
去する。
【0039】エアパージの後、鋼材1は乾燥装置11に
供給される。乾燥装置11は熱風発生機、熱線ヒーター
等を内部に配置しており、150℃程度の熱風を鋼材1
に吹きつける等して鋼材1を乾燥させる。
供給される。乾燥装置11は熱風発生機、熱線ヒーター
等を内部に配置しており、150℃程度の熱風を鋼材1
に吹きつける等して鋼材1を乾燥させる。
【0040】乾燥装置11をでた鋼材1は伸線ダイス1
2に供給され、縮径された後、巻き取り装置13にてコ
イル状に巻き取られる。
2に供給され、縮径された後、巻き取り装置13にてコ
イル状に巻き取られる。
【0041】
【実施例】本発明の実施例を、鋼線材にリン酸亜鉛皮膜
を形成させた後、ステアリン酸ナトリウムを反応させ、
金属石鹸潤滑処理を実施した場合について詳述する。
を形成させた後、ステアリン酸ナトリウムを反応させ、
金属石鹸潤滑処理を実施した場合について詳述する。
【0042】第1表には、図1のインライン表面処理ラ
インを用いて本発明法と従来法を以下の条件で実施した
結果を比較して示す。
インを用いて本発明法と従来法を以下の条件で実施した
結果を比較して示す。
【0043】<実施条件> 被処理材:JIS S45C相当、直径φ16mm デスケーリング:ショットブラスト 処理材予熱温度:80〜100℃ リン酸亜鉛処理:濃度50Pt、処理時間5秒 印加電流:パルス電流印加法(本発明法)50A/dm
2(直流)、2Hz 直流定電流法(従来法)50A/dm2(直流) 無電流浸漬法(従来法) 0A/dm2 ステアリン酸ナトリウム処理:濃度50g/l、処理時
間5秒 エアパージ・乾燥:エアパージ0.5秒 熱風乾燥15
0℃、5秒 伸線条件:仕上げ線径φ14.3mm(減面率20%) 第1表から明らかなように、本発明法によれば9g/m
2以上のリン酸亜鉛、1g/m2以上のステアリン酸亜鉛
付着量が確保され、従来のインライン処理法を上回る付
着量が得られている。
2(直流)、2Hz 直流定電流法(従来法)50A/dm2(直流) 無電流浸漬法(従来法) 0A/dm2 ステアリン酸ナトリウム処理:濃度50g/l、処理時
間5秒 エアパージ・乾燥:エアパージ0.5秒 熱風乾燥15
0℃、5秒 伸線条件:仕上げ線径φ14.3mm(減面率20%) 第1表から明らかなように、本発明法によれば9g/m
2以上のリン酸亜鉛、1g/m2以上のステアリン酸亜鉛
付着量が確保され、従来のインライン処理法を上回る付
着量が得られている。
【0044】図2〜4は、本発明法のパルス電流印加法
(図2)と従来法(図3)、(図4)により生成したリ
ン酸亜鉛皮膜をそれぞれ電子顕微鏡写真にて比較したも
のである。
(図2)と従来法(図3)、(図4)により生成したリ
ン酸亜鉛皮膜をそれぞれ電子顕微鏡写真にて比較したも
のである。
【0045】図2 本発明法 パルス電流印加法 電流密度 50A/dm2 パルス周波数 2Hz 処理時間 5sec
【0046】図3 従来法 直流定電流法 電流密度 50A/dm2 処理時間 5sec
【0047】図4 従来法 無電流浸漬法 処理時間 5sec
【0048】これから分かるように本発明の方法による
皮膜は、従来法に比較してその結晶が極めて緻密となっ
ており、この改良されたリン酸塩皮膜を得られたことが
従来のインライン処理法を上回るステアリン酸亜鉛皮膜
の付着量増加をもたらす理由と推定される。
皮膜は、従来法に比較してその結晶が極めて緻密となっ
ており、この改良されたリン酸塩皮膜を得られたことが
従来のインライン処理法を上回るステアリン酸亜鉛皮膜
の付着量増加をもたらす理由と推定される。
【0049】
【表1】
【0050】第1表には、表面潤滑皮膜の潤滑性を評価
する一指標として伸線後のリン酸亜鉛の残存付着量も示
す。これより、本発明法のリン酸皮膜は従来法に比べ残
存量が多く、密着性に優れることがわかる。
する一指標として伸線後のリン酸亜鉛の残存付着量も示
す。これより、本発明法のリン酸皮膜は従来法に比べ残
存量が多く、密着性に優れることがわかる。
【0051】図5は、本発明法のパルス電流印加条件と
リン酸亜鉛皮膜品質を付着量と結晶サイズで評価したも
ので、破線の内側は従来の無電流浸漬法で5秒間処理し
た場合の付着量(6g/m2)以上、且つ結晶サイズ
(70μm)以下の皮膜を得られた範囲を示す。
リン酸亜鉛皮膜品質を付着量と結晶サイズで評価したも
ので、破線の内側は従来の無電流浸漬法で5秒間処理し
た場合の付着量(6g/m2)以上、且つ結晶サイズ
(70μm)以下の皮膜を得られた範囲を示す。
【0052】更に実線の内側の範囲はより好適なる皮膜
(付着量8g/m2以上結晶サィズ50μm 以下)を得
られるパルス電流印加条件を示すもので、その範囲は電
流密度5A/dm2以上、400A/dm2以下、周波数
は1Hz以上、5000Hz以下であった。
(付着量8g/m2以上結晶サィズ50μm 以下)を得
られるパルス電流印加条件を示すもので、その範囲は電
流密度5A/dm2以上、400A/dm2以下、周波数
は1Hz以上、5000Hz以下であった。
【0053】また、図示を省略するデューティータイム
(1パルス周期に対する通電時間の割合)の影響は、概
ね0.1から0.85の範囲で良好な皮膜が得られた。
(1パルス周期に対する通電時間の割合)の影響は、概
ね0.1から0.85の範囲で良好な皮膜が得られた。
【0054】但し、好適な処理条件とは、必要な皮膜の
重量、結晶サイズ、処理時間等の要求により決定すれば
良く、本発明法が上記条件にのみ限定されるものではな
い。
重量、結晶サイズ、処理時間等の要求により決定すれば
良く、本発明法が上記条件にのみ限定されるものではな
い。
【0055】
【発明の効果】以上述べたように、本発明法に従えば、
従来の表面処理法と同等以上のリン酸塩皮膜および金属
石鹸潤滑皮膜を極短時間で得ることが可能となり、高品
質の表面処理材を製造可能となったばかりか、ダイス寿
命の延長や生産性向上による経済的効果や省力化にもた
らす効果は極めて大きい。
従来の表面処理法と同等以上のリン酸塩皮膜および金属
石鹸潤滑皮膜を極短時間で得ることが可能となり、高品
質の表面処理材を製造可能となったばかりか、ダイス寿
命の延長や生産性向上による経済的効果や省力化にもた
らす効果は極めて大きい。
【図1】本発明のインライン表面処理ラインを示す処理
工程ブロック図である。
工程ブロック図である。
【図2】本発明法のパルス電流印加法によりインライン
表面処理ラインで生成したリン酸亜鉛皮膜の結晶構造を
それぞれ比較した電子顕微鏡写真である。
表面処理ラインで生成したリン酸亜鉛皮膜の結晶構造を
それぞれ比較した電子顕微鏡写真である。
【図3】従来法によりインライン表面処理ラインで生成
したリン酸亜鉛皮膜の結晶構造をそれぞれ比較した電子
顕微鏡写真である。
したリン酸亜鉛皮膜の結晶構造をそれぞれ比較した電子
顕微鏡写真である。
【図4】従来法によりインライン表面処理ラインで生成
したリン酸亜鉛皮膜の結晶構造をそれぞれ比較した電子
顕微鏡写真である。
したリン酸亜鉛皮膜の結晶構造をそれぞれ比較した電子
顕微鏡写真である。
【図5】本発明による品質良好なリン酸塩皮膜を得られ
るパルス電流印加条件の一例を示す図。
るパルス電流印加条件の一例を示す図。
1 鋼材 2 サプライスタンド 3 矯正機 4 デスケーリング装置 5 鋼材予熱装置 6 リン酸塩処理装置 7 パルス電流印加装置 8 洗浄装置 9 ステアリン酸ナトリウム処理装置 10 エアパージ装置 11 乾燥装置 12 伸線ダイス 13 巻き取り装置 61 リン酸塩反応管 71 陽極電極 72 陰極電極 91 反応管
Claims (4)
- 【請求項1】 鋼材の表面にリン酸塩皮膜を形成させる
に際し、前記鋼材を陽極として、リン酸塩溶液の中に浸
漬させた陰極との間に直流電流をパルス状に印加してリ
ン酸塩皮膜を形成させることを特徴とする鋼材の表面処
理方法。 - 【請求項2】 請求項1記載の方法において、電流密度
0.3A/dm2以上500A/dm2以下、周波数0.
3Hz以上、20000Hz以下の直流電流をパルス状
に印加することを特徴とする鋼材の表面処理方法。 - 【請求項3】 請求項1記載の方法で鋼材の表面にリン
酸塩皮膜を形成した後、さらに該鋼材の表面にステアリ
ン酸ナトリウムを反応させ、金属石鹸潤滑皮膜を形成さ
せることを特徴とする鋼材の表面処理方法。 - 【請求項4】 鋼材の連続伸線工程において、伸線ダイ
ス前に設置した表面処理装置が、前記鋼材の表面スケー
ルを機械的に除去するデスケーリング装置とリン酸塩溶
液を反応管に供給し該反応管内を通過中の該鋼材にパル
ス状の直流電流を印加してリン酸塩皮膜を形成させるリ
ン酸塩処理装置と、余分に付着したリン酸塩溶液を除く
洗浄装置と、その後、さらに該鋼材表面にステアリン酸
ナトリウム溶液を反応させ付着させるステアリン酸ナト
リウム処理装置と、余分に付着したステアリン酸ナトリ
ウム溶液を除去するエアパージ装置と、該ステアリン酸
ナトリウムが反応して形成した該鋼材表面の金属石鹸潤
滑皮膜を乾燥させる乾燥装置とから列設構成したことを
特徴とする鋼材の表面処理装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13250893A JP3200235B2 (ja) | 1993-05-11 | 1993-05-11 | 鋼材の表面処理方法およびその装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13250893A JP3200235B2 (ja) | 1993-05-11 | 1993-05-11 | 鋼材の表面処理方法およびその装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06322592A true JPH06322592A (ja) | 1994-11-22 |
JP3200235B2 JP3200235B2 (ja) | 2001-08-20 |
Family
ID=15082997
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP13250893A Expired - Fee Related JP3200235B2 (ja) | 1993-05-11 | 1993-05-11 | 鋼材の表面処理方法およびその装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3200235B2 (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP0972862A2 (en) | 1998-07-01 | 2000-01-19 | Nihon Parkerizing Co., Ltd. | Method for forming a phosphate film on steel wires and apparatus used therefor |
KR20020053275A (ko) * | 2000-12-27 | 2002-07-05 | 이구택 | 인산염 처리후 표면외관이 미려한 전기아연도금강판제조방법 |
JP2006187789A (ja) * | 2005-01-07 | 2006-07-20 | Nippon Steel Corp | 伸線前鋼線及びその潤滑下地処理方法 |
JP2011231408A (ja) * | 2007-02-27 | 2011-11-17 | Kos Ltd | 燐酸塩皮膜冷間圧造用のステンレス鋼線及びそれを利用した直結ネジ |
JP2015193900A (ja) * | 2014-03-27 | 2015-11-05 | 株式会社神戸製鋼所 | 鋼線材の連続表面処理方法 |
-
1993
- 1993-05-11 JP JP13250893A patent/JP3200235B2/ja not_active Expired - Fee Related
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---|---|---|---|---|
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US6235180B1 (en) | 1998-07-01 | 2001-05-22 | Nihon Parkerizing Co., Ltd. | Method for forming phosphate film on the steel wires and apparatus used therefore |
KR20020053275A (ko) * | 2000-12-27 | 2002-07-05 | 이구택 | 인산염 처리후 표면외관이 미려한 전기아연도금강판제조방법 |
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JP2015193900A (ja) * | 2014-03-27 | 2015-11-05 | 株式会社神戸製鋼所 | 鋼線材の連続表面処理方法 |
US20180202049A1 (en) * | 2014-03-27 | 2018-07-19 | Kabushiki Kaisha Kobe Seiko Sho (Kobe Steel, Ltd.) | Continuous surface treatment method for steel wire |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP3200235B2 (ja) | 2001-08-20 |
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