JPH0632243B2 - 電気ケーブル運搬装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、種々の長さの電気ケーブルを加工する製造ス
テーションの電気ケーブル運搬装置に関する。

［従来の技術］ この運搬装置は、ケーブル端部を把持する開閉可能なグ
リッパを具備すると共にケーブル端部の軸線に垂直な水
平方向にステップ式に移動可能な少なくとも１個の移動
装置と、この移動装置の端部に配置されたケーブル一時
置き場とを有する。

上記のような運搬装置は、自動車その他の乗り物の組み
立てにおける電気的設備の配線や家庭用電化製品等に用
いられる様々な長さ、断面あるいはタイプの電気ケーブ
ルを加工するための製造ステーションの構成要素であ
る。個々のケーブルがワイヤフィーダから自動的に選出
され、予め選択された長さに切断されて運搬装置に渡さ
れ、運搬装置はケーブルを加工ラインに沿って、加工ス
テーションから加工ステーションへとステップ式に案内
する。その際、両ケーブル端部は例えば絶縁材を除去さ
れて、プラグ、ケーブルシュー等のような様々な接続器
具を設備される。ケーブル部分も、集合プラグにまとめ
られた複式接続器具も、後加工のため任意の個数に自動
的に調節され得る。

上記のような製造ステーションの、切断されたケーブル
部分を該ケーブル部分の軸線に垂直に運搬するケーブル
運搬装置は、その他の付属装置と共に西独特許公開公報
第 26 22 360号によって公知である。特に第１図及び第
２図は、２個のチェーンホイールを巡って反転走行する
運搬チェーンを有する無端の循環運搬システムの側面図
であり、上記運搬チェーンは切断されたケーブル部分の
端部を把持する複数個の運搬クランプを具備している。
運搬クランプの各２個の挟み顎は、各々無端運搬チェー
ンの２個の側板と２個の連結シャフトとの間に回動可能
に取り付けられており、これらの挟み顎はばね力によっ
て閉じた状態に保持される。ケーブルを受け取る領域に
おいて、ケーブル供給時、挟み顎は制御カム及び制御ロ
ーラによりばね力に抗して開かれる。運搬チェーンの駆
動は、制動装置を具備した歯車原動機によって駆動され
る特別に構成されたウォーム歯車装置によって制御され
て、ステップ式に実施される。運搬チェーンの上方のホ
イール間部分に沿って該チェーンの側方及び上方に、切
断されたケーブル部分の各端部の所望の加工様式に応じ
て様々な加工ステーションが配置されている。更にこの
公報の明細書によれば、運搬装置の全体は、互いに平行
に並置された２基の上述のようなユニットから成り、一
方のユニットを機械フレーム上に変位可能に取り付ける
ことによって２本のチェーンの平行間隔が調節され得
る。両ユニットの間隔は加工されるべき切断ケーブル部
分の長さに従属し、図示されない調節装置を介してその
都度調節される。

［発明が解決しようとする課題］ 上述のケーブル運搬装置の欠点は、実際上２個の、鏡像
式に組み立てられた同等の運搬ユニットが必要である点
である。また、加工されるべきケーブルの長さが制限さ
れており、運搬ユニット同士が完全に当接する際の最小
長と、運搬ユニット同士が一杯に引き離される際の最大
長との間でしか変化し得ない。２ｍ〜３ｍより長い切断
ケーブル部分はもはや、この搬送装置を用いては加工さ
れ得ない。更に、両ケーブル端部の加工のために二つの
独立の加工ラインが必要である。

西独特許公開公報第 33 40 744号によって別のケーブル
製造ステーションが公知であり、このステーションも、
間隔を置いて互いに平行に並置され、かつ各々２個のチ
ェーンホイールを巡って反転走行する２本の無端運搬チ
ェーンの形態のケーブル運搬装置を有する。両チェーン
の周辺には解放可能な複数個のグリッパ対が一列に配置
されており、これらのグリッパ対は各ケーブルの両端部
を把持する。チェーン同士の間隔は不変であり、切断さ
れたケーブルは両運搬チェーン間に、該ケーブルの長さ
に応じて多かれ少なかれ低く垂れ下がり、輪を構成す
る。ケーブルフィーダの領域で輪が構成され得るよう
に、両運搬チェーン間でケーブル案内部として機能する
結合プレートを、必要な場合に自動的に開き、かつ新し
いケーブルが供給される際には再び閉じる回動可能なド
アもしくはフラップとして形成することが必要である。
垂れ下がったケーブルの輪が運搬時にどこにも引っ掛か
り得ないように、運搬装置下側では両チェーン間に付加
的な板張が必要である。運搬チェーンの両外側には、両
ケーブル端部処理用の幾つかの加工ステーションが運搬
方向に相前後して設置されている。ウォーム歯車装置及
びマルタクロス歯車装置を介して電動機により操作され
るステップ駆動装置が、切断されたケーブル部分を加工
ステーションから加工ステーションへとステップ式に移
動する。

上記運搬装置の欠点も、両ケーブル端部の加工のために
やはり二つの独立の加工ラインが必要な点である。その
うえ、この運搬装置は、比較的長いケーブルを問題なく
運搬するうえで十分なものではない。約２ｍ〜３ｍより
長いケーブルの輪は床に無制限に延び広がり、加工ステ
ーションから加工ステーションへの運搬の際には床上を
引きずられる。また、万が一故障した場合に個々のケー
ブルストランドの除去がきわめて困難であるという欠点
も有る。上記のような場合少なくとも、互いに重なり合
い、かつ部分的に互いに絡み有ったケーブル輪の束全体
が除去されなければならない。

本発明の目的は、長さ寸法の大きい切断ケーブルを外部
と接触することなしに安全かつ確実に運搬し得、しかも
保守が容易で小型の電気ケーブル運搬装置を提供するこ
とにある。

［課題を解決するための手段］ 本発明によれば、前述の目的は、種々の長さの電気ケー
ブルを加工する製造ステーションの電気ケーブル運搬装
置であって、前後方向に移動する移送支持体と、移送支
持体に取り付けられており、電気ケーブルの端部の軸線
と移送支持体の移動方向とに対して直交する軸線のまわ
りを回転自在である少なくとも一つの移送モジュール
と、移送モジュールに配設されており、電気ケーブルの
両端の夫々を把持しつつ該電気ケーブルを水平方向かつ
電気ケーブルの端部の軸線に直交する方向にステップ移
送する少なくとも一つの移送把持手段と、移動把持手段
の停止時、電気ケーブルの両端部の夫々を把持すべく構
成された少なくとも一つの静止把持手段と、電気ケーブ
ルを一時的に保管すべく移動把持手段の一端側に設けら
れた保管手段と、電気ケーブルを巻き込んだ状態で受容
すると共に該電気ケーブルを保管手段に放出するように
構成された少なくとも一つの運搬容器と、ケーブルフィ
ーダから送られてくる電気ケーブルの一端を静止把持手
段によって把持した状態で束を形成しつつ電気ケーブル
を運搬容器内に押し込むように電気ケーブルのたるみを
変位させるデフレクタと、運搬容器を移動把持手段に対
応して循環的にステップ移送する循環移送手段とを備え
ている電気ケーブル運搬装置によって達成される。

［作用］ 本発明の電気ケーブル運搬装置によれば、電気ケーブル
の両端の夫々を把持する移動把持手段は前後方向に移動
する移送支持体に移送モジュールを介して取り付けられ
ており、電気ケーブルを水平方向かつ電気ケーブルの端
部の軸線に直交する方向にステップ移送する。この移送
モジュールは電気ケーブルの端部の軸線と移送支持体の
移動方向とに対して直交する軸線のまわりを回転自在で
あるため、電気ケーブルの端部を加工する場合、運搬経
路の一方の側に配置された加工ステーションで一方の端
部を加工した後、移送モジュールを半回転することによ
り同一の加工ステーションで他方の端部も加工し得る。
従って、電気ケーブルの両端の加工を運搬経路のいずれ
か一方の側に配置された加工ステーションのみで行い
得、従来は運搬経路に沿って両側対称に対で必要とされ
ていた加工ステーションの一方を省いて装置本体の小
型、省スペース化を図り得ると共に価格を低減し得、あ
るいは、加工ステーションを運搬経路の両側に交互に配
置することにより運搬経路を短縮し得る。しかも、不具
合が生じた場合に電気ケーブルの束の除去等の作業か加
工ステーションのない側から容易に行い得る。加えて、
運搬容器は電気ケーブルを巻き込んだ状態で受容すると
共に該電気ケーブルを保持手段に放出するように構成さ
れており、デフレクタはケーブルフィーダから送られて
くる電気ケーブルの一端を静止把持手段によって把持し
た状態で束を形成しつつ電気ケーブルのたるみを変位さ
せて運搬容器内に押し込み、循環移送手段は運搬容器を
移動把持手段に対応して循環的にステップ移送するが故
に、長くて取扱いが困難な、例えば約10ｍに切断された
電気ケーブルをも床上で引きずることなく、かつ電気ケ
ーブルの巻きを外部の突出部に引っ掛けることなく安全
かつ確実に運搬し得る。その結果、長さ寸法の大きい切
断ケーブルを外部と接触することなしに安全かつ確実に
運搬し得、しかも保守が容易で小型の電気ケーブル運搬
装置を提供し得る。

［実施例］ 本発明の実施例を、添付図面を参照しつつ以下に詳述す
る。

第１図及び第２図に示した、完全に電子的に制御される
ケーブル加工設備は、絶縁された電気ケーブル19の加工
に用いられる。このケーブル加工設備は主に、ケーブル
予選機1 と、測長及び切断装置を具備したケーブルフィ
ーダ2 と、ケーブル牽引モジュール50と、変位可能に取
り付けられたデフレクタ49と、ケーブル加工ライン3
と、ケーブル一時置き場4 と、場合によっては設置され
るケーブル引き出し装置48と、図示しない、完全に電子
的なマイクロプロセッサ制御装置とから成る。ケーブル
加工ライン3 は、早替えプレートを具備した２個のテー
ブル 5，6 と、絶縁材除去ステーション 7，8 、異なる
装備を有する様々なプレス9 といった幾つかの加工ステ
ーションと、運搬装置10とによって構成されている。運
搬装置10は、充填用開口部11.1を具えた、以後運搬容器
11と呼称する変位可能な幾つかの受容器と、対に配置さ
れた幾組かの静止把持手段としての定置把持モジュール
13，14と、前方及び後方へ律動的に変位可能な幾つかの
移送モジュール17から成る移動装置25とを有する。運搬
容器11は、往路30，44、復路31，45並びに２個の反転ス
テーション32，33を有する閉じた循環移送手段としのて
循環路29，40を描く。第３図及び第４図に、上記のよう
な循環路29，40の二つの実施例を示す。第３図には、往
路レール34と、復路レール35と、２個の反転レール36，
37を有する循環路29を示す。運搬容器11は、変位可能な
二重底12の形態の押し出し装置を具備し得る。往路レー
ル34の領域において各運搬容器11にケーブル束20が配分
され、その際各ケーブル束20の両ケーブル端部21，22
は、定置把持モジュール13,14 のグリッパ15,16 か、ま
たは変位可能な移送モジュール17の移動把持手段として
のグリッパ18によって交互に把持される。変位可能な移
送モジュール17，17′，17″は律動行程38に対応する等
しい間隔で、往路30上方に平行に配置された移送支持体
26に取り付けられている。移送支持体26は軸受27，28内
を滑動して案内され、例えば図示しない空気式最終制御
要素によって前後に律動的に移動される。矢印39は、運
搬容器11の循環方向を示す。運搬容器11の律動的変位
は、例えばやはり図示しない空気式最終制御要素によっ
て実現され得る。ケーブル加工ライン3 の端部に、ケー
ブル一時置き場4 が設置されている。

第４図に示した運搬容器11の循環路40は、例えば有歯ベ
ルトあるいはチェーンといった運搬機構41と、互いに離
隔して配置された、往路44及び復路45を規定する２個の
反転ホイール42，43とを有する。矢印46が運搬容器11の
移動方向を示す。やはり往路44の領域において各運搬容
器11にケーブル束20が配分され、その際各ケーブル束20
の両ケーブル端部21，22は、やはり定置把持モジュール
13，14のグリッパ15，16か、または変位可能な移送モジ
ュール17，17′，17″のグリッパ18，18′によって交互
に把持される。変位可能な移送モジュール17，17′，1
7″はこの例でも、運搬容器11の往路44に対して平行に
配置された移送支持体26によって支持される。移送支持
体26は軸受27，28内を滑動して案内され、図示しない空
気式最終制御要素その他の駆動ユニットによって前後に
律動的に移動され得る。この場合も、運搬容器11は変位
可能な二重底12を有し得、この二重底12によって、ケー
ブル束20は往路44の端部でケーブル一時置き場4 内へと
押し出される。運搬機構41の駆動は、適当な駆動ユニッ
ト50によってステップ式に実施される。

第５図に、ケーブル引き渡しステーションを拡大して示
す。運搬容器を符号11によって示す。運搬容器11内部
に、必要に応じて設置され得る変位可能な二重底12とケ
ーブル束20とが配置されている。ケーブル束20の両ケー
ブル端部21，22は、定置把持モジュール13′，14′のグ
リッパ15′，16′並びに移送モジュール17のグリッパ18
によって把持されている。移送モジュール17は運搬容器
11上方に配置された移送支持体26に取り付けられてお
り、この支持体26は、支持フレーム47に固定された軸受
27，28内を滑動して案内される。

第６図は、ケーブル予選機1 と、ケーブルフィーダ2
と、グリッパ51を具備したケーブル牽引モジュール50と
を有するケーブル供給ステーションの領域を概略的に示
す断面図である。ケーブル牽引モジュール50は、ケーブ
ル予選機1 とストッパ24との間に変位可能に取り付けら
れている。案内モジュール52の、水平軸線周囲に傾斜可
能な２個の部分から成る案内管53は、スライドモジュー
ル54のデフレクタ49と共にケーブル19の案内に有用であ
り、上記デフレクタ49は運搬容器11の水平な移動方向に
おいて、ケーブル供給ステーションに位置するその時々
の運搬容器11の充填用開口部11.1上方へと変化し得る。
運搬容器11の内部に導入されたケーブル束20を暗示的に
図示する。ケーブル19の一方の端部21が、一方の定置把
持モジュール13のグリッパ15によって把持されている。

第７図に、循環路40の、運搬室62の形態の受容器用であ
る一変形例を示す。運搬室62は、垂直に張り出した複数
個のウェブ57を具備した、例えば有歯ベルトあるいはチ
ェーンのような運搬機構41と、運搬機構41側方に並置し
て固定された２個の側壁55，56とによって構成されてお
り、充填用開口部62.1を有する。運搬機構41の、互いに
離隔して配置された２個の反転ホイール42，43が、往路
44及び復路45を規定する。矢印46は、運搬機構41の走行
方向を示す。往路44の領域において各運搬室62にケーブ
ル束20が配分され、その際各ケーブル束20の両ケーブル
端部21，22は、定置把持モジュール13，14のグリッパ1
5，16か、または移動装置25の変位可能な移送モジュー
ル17，17′，17″のグリッパ18，18′によって交互に把
持される。変位可能な移送モジュール17，17′，17″
は、運搬機構41の往路44に対して平行に配置された移送
支持体26によって支持される。移送支持体26は軸受27，
28内を滑動して案内され、図示しない空気式最終制御要
素その他の駆動ユニットによって前後に律動的に移動さ
れ得る。前方及び後方それぞれへの移動の律動行程を符
号38で示す。ケーブル束20は往路44の端部で、運搬室62
の傾斜によってケーブル一時置き場4 内へ排出される
か、あるいはその全長において運搬室62から引き出さ
れ、伸長した状態でケーブル一時置き場4 に引き渡され
る。運搬機構41の駆動は、やはり適当な駆動ユニット50
によりステップ式に実施される。

第８図〜第10図は、第７図の運搬機構41に関して三つの
異なる実施例を示しており、その際いずれの実施例も一
体的な構成要素として無端の循環有歯ベルトを有する。
第８図は有歯ベルトに直接形成された、走行面から垂直
に張り出したウェブ57を示し、このウェブ57は各２個の
ウェブ57同士の間に運搬室62を構成する。第９図の有歯
ベルトには等間隔に、かつ走行方向を横切って関節部64
が配置されており、これらの関節部64に各１個のＵ字形
キャリヤ61が蝶番式に取り付けられている。キャリヤ61
は底部60と、垂直に張り出した２個のウェブ58，59と、
底部60中央で有歯ベルトの関節部64と結合され得る軸受
部63とを有する。運搬室62は、１個のキャリヤ61に属す
る２個のウェブ58及び59間にか、互いに隣接する２個の
キャリヤ61の一方にそれぞれ属する２個のウェブ58及び
59間に構成される。第10図は、有歯ベルトに例えばリベ
ットで取り付けられた、運搬室62を構成するウェブ57を
示す。

上述の装置は、次のように作動する。

ケーブル予選機1 は、加工場所と或る貯蔵ケーブルとの
媒介として、選出されたケーブル19を受容位置へともた
らし、この位置において、走行するケーブル端部21はケ
ーブル牽引モジュール50のグリッパ51によって把持され
て、ケーブル牽引モジュール50がストッパ24に当接する
まで引っ張られる。この牽引移動の間に順次、ケーブル
を圧迫する２個の送り帯から成るケーブルフィーダ2 が
装着され、案内モジュール52の、２個の部分から成る案
内管53がケーブル19を保持しつつ傾斜し、案内プレート
として構成されたデフレクタ49が運搬容器11の開口部上
方へ変位し、ケーブル端部21が第一の定置把持モジュー
ル13のグリッパ15によって把持される。一端を把持され
たケーブル19はケーブルフィーダ2 によって更に押し出
され、かつデフレクタ49の補助によって、充填用開口部
11.1を通って運搬容器11内へと導かれる。その際ケーブ
ル束20が形成される。ケーブル19の所定の長さがケーブ
ルフィーダ2 に関連する図示しない測定及び切断装置に
よって確認されるや否や、移送モジュール17の両グリッ
パ18がケーブル19を把持して、切断装置が形成されたケ
ーブル束20を貯蔵ケーブルから切り離し、一方で案内管
53が開き、また第一の定置把持モジュール13のグリッパ
15はケーブル端部21を解放する。それによって、第二の
把持されたケーブル端部22が出現する。複数個の移送モ
ジュール17を支持した移送支持体26は今や、図示しない
空気式最終制御要素によって操作されて、それまでのケ
ーブル移動の方向に対して垂直な方向へ前進律動を行な
う。運搬容器11も、支持体26の前進律動から独立にでは
あるが該律動と厳密に同じタイミングで同じ方向へ前進
し、その結果ケーブル束20も把持されたケーブル端部2
1,22共々同時に、かつ端部21，22の伸長方向に対して垂
直に１律動分だけ移動し、到達した位置で両ケーブル端
部21，22は再び一対の定置把持モジュール13′，14′の
グリッパ15′，16′によって把持される。この位置には
第一の絶縁材除去ステーション7 が存在し、ステーショ
ン7 は今や一方のケーブル端部22から絶縁材を除去し、
一方移送支持体26は、グリッパ18の開いた関連移送モジ
ュール17と共に後退律動を行なう。後退律動の終わり
に、第一の移送モジュール17のグリッパ18は上記の間に
形成された新しいケーブル束20の両ケーブル端部21，22
を把持し、また第二の移送モジュール17′のグリッパ1
8′は先に形成されたケーブル束のケーブル端部21，22
を把持し、該グリッパ18′は関連する運搬容器11と同時
に次の律動分だけ前進して、他方のケーブル端部21から
絶縁材が除去される第二の絶縁材除去ステーション8 が
存在する位置に達する。ケーブル19の律動的移動は、所
与本数のケーブル19の各ケーブル端部21，22に関する所
定作業が総て実施されるまで継続する。加工の完了した
各ケーブル19は加工ライン端部で、ケーブル束20として
運搬容器11から該容器11の傾斜により排出されるか、あ
るいは場合によって装着される二重底12の変位によって
押し出され得、あるいはケーブル19は、伸長状態の加工
ユニットとして更に加工されるように引き出し装置48に
よって運搬容器11から引き出され得る。

第３図及び第４図から、運搬容器11がその循環路29，40
をどのように辿るかが知見される。例えば第３図の実施
例の場合、運搬容器11の上方列が前進（往路30を移動）
し、同時に下方列が後退（復路31を移動）する各作業律
動の前に、最初の運搬容器11が上方へ変位し、最後の運
搬容器11が下方へ変位する中間律動が必要である。この
構成では、各運搬容器11は常に同じ水平状態にある。こ
の場合、二重底12を鉛直方向に相対変位させることによ
るケーブル押し出し装置の操作は、加工ライン端部に替
えて復路31の領域内の任意の場所において行なうことも
可能であろう。運搬容器11の律動的移動は、例えば図示
しない空気式最終制御要素によって、あるいは電気機械
的駆動ユニットによって実施される。

第４図の実施例では、運搬容器11は無端の運搬機構41の
循環路40上を移動し、即ちケーブル加工ライン3 の領域
において上方では往路44を、下方では復路45を移動し、
また上記ライン3 両端部では反転ホイール42，43を巡っ
て移動する。この例の場合運搬容器11は、往路44ではや
はり充填用開口部が上を向く状態にあるが、復路45では
上記充填用開口部は下向きとなる。ここでも運搬容器11
の変位可能な二重底12が、加工ライン端部でケーブル束
20を運搬容器11から押し出し得る。しかし、運搬容器11
が反転ホイール43を巡って移動する時ケーブル束20が運
搬容器11から該容器11の傾斜により容易に排出されるこ
とも考えられ、その際第３図及び第４図に示した以外の
形態の運搬容器も用いられ得る。個々の運搬容器11の移
動は運搬機構41を駆動する駆動ユニット50によって、先
に述べたのと同様この例でも律動的に実施される。

第３図及び第４図からは、移送モジュール17，17′，1
7″を支持した移送支持体26も知見される。作動律動に
おいて、移送支持体26は軸受27，28内で、運搬容器11の
移動路に対して平行に律動行程38だけ前方へ変位し、そ
の後再び律動行程38だけ後方へ変位して、開始位置に戻
る。移送モジュール17のグリッパ18は、移送支持体の前
進の間は閉じたままで、後退の際に開く。更に、各律動
の際、あるいは各加工場所において、各移送モジュール
17をその鉛直軸線周囲に 180゜回転することが可能であ
り、その結果両ケーブル端部21，22をケーブル加工ライ
ンのいずれか一方の側方へ任意に向けることができる。
それによって、両ケーブル端部21，22それぞれを加工す
るための様々な絶縁材除去ステーション 7，8 並びに様
々なプレス9 をケーブル加工ライン3 の左右両側に交互
に設置し得、あるいはまた、やはり各ケーブル19の両端
部のために適用され得る様々な絶縁材除去ステーション
7，8 及びプレス9 を加工ライン3 の一方の側方だけ
に、移動方向に相前後して配置することも可能である。

定置把持モジュールの回動、傾斜あるいは変位が、例え
ば剥き出しのケーブル端部を融剤及び亜鉛浴に浸漬する
ようなケーブル端部の特定の加工あるいは処理に必要で
あったり、加工を実施する比較的大きいフリースペース
を創出するべく加工ステーション手前の把持モジュール
に一時的に場所を開けさせるのに必要であったりする場
合に、少なくとも１個の回動、傾斜あるいは変位する定
置把持モジュール13，14，13′，14′を設置することが
容易に考えられる。

運搬装置に運搬容器11の形態のケーブル束受容器を設置
する替わりに、第７図〜第10図に示し、かつ説明した運
搬室62の形態のケーブル束受容器を設置することも直ち
に可能である。

［効果］ 本発明の電気ケーブル運搬装置によれば、電気ケーブル
の端部を加工する場合、運搬経路の一方の側に配置され
た加工ステーションで一方の端部を加工した後、移送モ
ジュールを半回転することにより同一の加工ステーショ
ンで他方の端部も加工し得る。従って、電気ケーブルの
両端の加工を運搬経路のいずれか一方の側に配置された
加工ステーションのみで行い得、従来は運搬経路に沿っ
て両側対称に対で必要とされていた加工ステーションの
一方を省いて装置本体の小型、省スペース化を図り得る
と共に価格を低減し得、あるいは、加工ステーションを
運搬経路の両側に交互に配置することにより運搬経路を
短縮し得る。しかも、不具合が生じた場合に電気ケーブ
ルの束の除去等の作業が加工ステーションない側から容
易に行い得る。加えて、長くて取扱いが困難な電気ケー
ブルをも床上で引きずることなく、かつ電気ケーブルの
巻きを外部の突出部に引っ掛けることなく安全かつ確実
に運搬し得る。その結果、長さ寸法の大きい切断ケーブ
ルを外部と接触することなしに安全かつ確実に運搬し
得、しかも保守が容易で小型の電気ケーブル運搬装置を
提供し得る。

【図面の簡単な説明】

第１図はケーブル加工設備の概略的平面図、第２図は第
１図のケーブル加工設備の線II−IIにおける横断面図、
第３図は本発明のケーブル運搬装置の一実施例を具備し
た第１図のケーブル加工設備の線III−IIIにおける縦断
面図、第４図は本発明のケーブル運搬装置の他の実施例
を具備した第１図のケーブル加工設備の線III−IIIにお
ける縦断面図、第５図は第２図のケーブル引き渡しステ
ーションの細部を示す説明図、第６図はケーブル供給ス
テーションの細部を示す、第１図の線VI−VIにおける横
断面図、第７図は本発明のケーブル運搬装置の更に別の
実施例を具備した第１図のケーブル加工装置の線III−I
IIにおける縦断面図、第８図は垂直に張り出したウェブ
を有する運搬機構の細部を示す説明図、第９図はキャリ
ヤを蝶番式に取り付けられた運搬機構の細部を示す説明
図、第10図は例えばリベットで取り付けられたウェブを
有する運搬機構の細部を示す説明図である。 4……ケーブル一時置き場、11……運搬容器、 13，13′，14，14′……把持モジュール、 15，15′，16，16′，18，18′……グリッパ、 17，17′，17″……移送モジュール、19……ケーブル、
21，22……ケーブル端部、25……移送装置、26……移送
支持体、29，40……循環路。

Claims (11)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】種々の長さの電気ケーブルを加工する製造
   ステーションの電気ケーブル運搬装置であって、 前後方向に移動する移送支持体(26)と、 前記移送支持体に取り付けられており、前記電気ケーブ
   ルの端部の軸線と前記移送支持体(26)の移動方向とに対
   して直交する軸線のまわりを回転自在である少なくとも
   一つの移送モジュール(17)と、 前記移送モジュールに配設されており、前記電気ケーブ
   ルの両端の夫々を把持しつつ該電気ケーブルを水平方向
   かつ前記電気ケーブルの端部の軸線に直交する方向にス
   テップ移送する少なくとも一つの移送把持手段(18)と、 前記移動把持手段の停止時、前記電気ケーブルの両端部
   の夫々を把持すべく構成された少なくとも一つの静止把
   持手段(13,14) と、 前記電気ケーブルを一時的に保管すべく前記移動把持手
   段の一端側に設けられた保管手段(4) と、 前記電気ケーブルを巻き込んだ状態で受容すると共に該
   電気ケーブルを前記保管手段に放出するように構成され
   た少なくとも一つの運搬容器(11)と、 ケーブルフィーダ(2) から送られてくる電気ケーブルの
   一端を前記静止把持手段によって把持した状態で束を形
   成しつつ前記電気ケーブルを前記運搬容器内に押し込む
   ように前記電気ケーブルのたるみを変位させるデフレク
   タ(49)と、 前記運搬容器を前記移動把持手段に対応して循環的にス
   テップ移送する循環移送手段(29,40) とを備えている電
   気ケーブル運搬装置。
2. 【請求項２】前記運搬容器は、四つの側壁と、底面と、
   上方に開口した充填用開口部と、前記側壁の内側に配置
   されており、前記電気ケーブルを受容又は押し出すよう
   に前記底面に対して垂直方向に変位する二重底とを有し
   ている特許請求の範囲第１項に記載の装置。
3. 【請求項３】前記デフレクタが前記運搬容器の充填用開
   口部全体を覆う案内プレートである特許請求の範囲第２
   項に記載の装置。
4. 【請求項４】前記充填用開口部の長さが少なくとも前記
   底面の長さより大きい特許請求の範囲第２項又は第３項
   に記載の装置。
5. 【請求項５】前記移動把持手段の一端側に前記電気ケー
   ブルを前記運搬容器から引き出す引出し装置が配置され
   ている特許請求の範囲第１項から第４項のいずれか一項
   に記載の装置。
6. 【請求項６】前記循環移送手段が、エンドレス運搬機構
   である特許請求の範囲第１項から第５項のいずれか一項
   に記載の装置。
7. 【請求項７】前記循環移送手段は、前記運搬容器を滑動
   的に案内するレールと、前記運搬容器をステップ移動さ
   せる空気制御式駆動ユニットとを含む特許請求の範囲第
   １項から第６項のいずれか一項に記載の装置。
8. 【請求項８】前記静止把持手段は前記移動把持手段の移
   動方向に平行な軸線のまわりに傾斜自在に配置されてい
   る特許請求の範囲第１項から第７項のいずれか一項に記
   載の装置。
9. 【請求項９】前記循環移送手段がエンドレス運搬機構で
   あり、前記運搬容器は、前記エンドレス運搬機構の走行
   面上に垂直に張り出した少なくとも二つのウェブと、前
   記移動把持手段の移動方向に平行かつ前記走行面に直交
   するように配置された二つの静止側壁とを有しており、
   前記走行面と前記ウェブと前記静止側壁とが互いに協働
   して運搬室を画定する特許請求の範囲第１項に記載の装
   置。
10. 【請求項１０】前記エンドレス運搬機構が有歯ベルトで
    あり、前記ウェブの夫々は該有歯ベルトに一体的に設け
    られている特許請求の範囲第９項に記載の装置。
11. 【請求項１１】前記二つのウェブは底部が前記エンドレ
    ス運搬機構に該エンドレス運搬機構の移動方向に関して
    傾斜自在に蝶番取付けされたＵ字形のキャリヤであり、
    該キャリヤの前記エンドレス運搬機構への取付けピッチ
    が前記ウェブの中心間距離の２倍である特許請求の範囲
    第９項に記載の装置。