JPH06321537A - 酸化物超電導材料の製造方法 - Google Patents
酸化物超電導材料の製造方法Info
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- JPH06321537A JPH06321537A JP11317593A JP11317593A JPH06321537A JP H06321537 A JPH06321537 A JP H06321537A JP 11317593 A JP11317593 A JP 11317593A JP 11317593 A JP11317593 A JP 11317593A JP H06321537 A JPH06321537 A JP H06321537A
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- annealing
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- oxygen
- atm
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 アニール条件を最適化することにより、大き
な超電導体積分率を有するLa2-xAxCaCu2O
6 (ただし、Aはアルカリ土類金属を示す。)系酸化物
超電導材料を再現性良く製造する。 【構成】 La2-xAxCaCu2O6 系酸化物超電導材
料を製造する際に、酸素分圧10気圧以上950℃以上
でアニールした後に、350〜900℃で低温アニール
処理をする。酸素分圧が400〜10、10〜3、3〜
1気圧の時、それぞれ350〜900、350〜80
0、350〜700℃とする。全圧1気圧以下の時は3
50〜550℃とする。これにより、超電導体積分率は
増大し、特に全圧1気圧以下550℃以下のアニールで
はTcを上昇させることもできる。
な超電導体積分率を有するLa2-xAxCaCu2O
6 (ただし、Aはアルカリ土類金属を示す。)系酸化物
超電導材料を再現性良く製造する。 【構成】 La2-xAxCaCu2O6 系酸化物超電導材
料を製造する際に、酸素分圧10気圧以上950℃以上
でアニールした後に、350〜900℃で低温アニール
処理をする。酸素分圧が400〜10、10〜3、3〜
1気圧の時、それぞれ350〜900、350〜80
0、350〜700℃とする。全圧1気圧以下の時は3
50〜550℃とする。これにより、超電導体積分率は
増大し、特に全圧1気圧以下550℃以下のアニールで
はTcを上昇させることもできる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、超電導状態となる体積
分率が大きいLa2-x Ax CaCu2 O6 (ただし、A
はアルカリ土類金属を示す。)で表される酸化物超電導
材料の製造方法に関するものである。
分率が大きいLa2-x Ax CaCu2 O6 (ただし、A
はアルカリ土類金属を示す。)で表される酸化物超電導
材料の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】超電導材料は、1)電気抵抗がゼロであ
る、2)完全反磁性である、3)ジョセフソン効果があ
る、といった、他の材料にない特性を持っており、電力
輸送、発電機、核融合プラズマ閉じ込め、磁気浮上列
車、磁気シールド、高速コンピュータ等の幅広い応用が
期待されている。
る、2)完全反磁性である、3)ジョセフソン効果があ
る、といった、他の材料にない特性を持っており、電力
輸送、発電機、核融合プラズマ閉じ込め、磁気浮上列
車、磁気シールド、高速コンピュータ等の幅広い応用が
期待されている。
【0003】1986年に、ベドノルツ(Bednorz )と
ミュラ−(Muller)により約30Kという高い超電導転
移温度(Tc)をもつ、酸化物系超電導材料(La1-x B
ax)2 CuO4 が見い出だされ、それ以後YBa2 C
u3 Ox ,Bi−Sr−Ca−Cu−O,Tl−Ba−
Ca−Cu−Oなどで相次いで高い温度での超電導転移
が報告されている。現在、これらの材料の製造法、物
性、応用等に関して多くの研究がなされている。
ミュラ−(Muller)により約30Kという高い超電導転
移温度(Tc)をもつ、酸化物系超電導材料(La1-x B
ax)2 CuO4 が見い出だされ、それ以後YBa2 C
u3 Ox ,Bi−Sr−Ca−Cu−O,Tl−Ba−
Ca−Cu−Oなどで相次いで高い温度での超電導転移
が報告されている。現在、これらの材料の製造法、物
性、応用等に関して多くの研究がなされている。
【0004】最近、他の酸化物超電導体と類縁の結晶構
造を有していながら長い間非超電導体であると認識され
ていたLa2-x Ax CaCu2 O6 (ただし、Aはアル
カリ土類金属を示す。)が高温高圧の酸素中アニールに
よって超電導を示すことが報告された(R.J.キャ
バ、ネイチャー(R. J. Cava et al., Nature )345(19
90)602.)。彼らの試料の作製方法はやや煩雑で次に示す
様なものであった。 (1)特殊な原料(La2-x C2 O4 ・10H2 O,S
r(NO3 )2 ,Ca(NO3 )2 ・4H2 O,Cu
O)を用いる。 (2)酸素気流中、温度925℃で1〜3日間焼成す
る。 (3)Ptで包んだペレットを酸素を充填した厚い石英
管中に封じ、970℃、20気圧で2日間アニールした
後、850℃、750℃、650℃、500℃でそれぞ
れ5h保持しながら冷却する。
造を有していながら長い間非超電導体であると認識され
ていたLa2-x Ax CaCu2 O6 (ただし、Aはアル
カリ土類金属を示す。)が高温高圧の酸素中アニールに
よって超電導を示すことが報告された(R.J.キャ
バ、ネイチャー(R. J. Cava et al., Nature )345(19
90)602.)。彼らの試料の作製方法はやや煩雑で次に示す
様なものであった。 (1)特殊な原料(La2-x C2 O4 ・10H2 O,S
r(NO3 )2 ,Ca(NO3 )2 ・4H2 O,Cu
O)を用いる。 (2)酸素気流中、温度925℃で1〜3日間焼成す
る。 (3)Ptで包んだペレットを酸素を充填した厚い石英
管中に封じ、970℃、20気圧で2日間アニールした
後、850℃、750℃、650℃、500℃でそれぞ
れ5h保持しながら冷却する。
【0005】彼らは、この方法で作製したLa1.6 Sr
0.4 CaCu2 O6 がTc=60Kの超伝導を示したと
報告している。同試料は4.2Kにおいて約20%の体
積分率が反磁性を示した。
0.4 CaCu2 O6 がTc=60Kの超伝導を示したと
報告している。同試料は4.2Kにおいて約20%の体
積分率が反磁性を示した。
【0006】高温高圧の酸素中アニールを市販のHIP
装置(等方加圧雰囲気炉)を用いることで、煩雑なプロ
セスを用いることなしに超電導を示すLa2-xAxCaC
u2O6 (ただし、Aはアルカリ土類金属を示す。)を
再現性良く製造できることがすでに提案されている(例
えば、特願平2−250385号)。合成条件に関する
研究から、この物質を超電導体にするためには酸素分圧
10気圧以上950℃以上におけるアニールが必要であ
ることが明らかにされている。
装置(等方加圧雰囲気炉)を用いることで、煩雑なプロ
セスを用いることなしに超電導を示すLa2-xAxCaC
u2O6 (ただし、Aはアルカリ土類金属を示す。)を
再現性良く製造できることがすでに提案されている(例
えば、特願平2−250385号)。合成条件に関する
研究から、この物質を超電導体にするためには酸素分圧
10気圧以上950℃以上におけるアニールが必要であ
ることが明らかにされている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】前記のように、HIP
装置を用いることで再現性よく超電導を示すLa2-xAx
CaCu2O6 (ただし、Aはアルカリ土類金属を示
す。)が製造できるようになったが、作製したLa2-x
AxCaCu2O6 超電導体の超電導体積分率は一般に小
さく、1%程度のものしか得られなかった。長時間アニ
ールすることで体積分率を大きくできることが示された
が、高々数%程度までしか大きくならなかった。
装置を用いることで再現性よく超電導を示すLa2-xAx
CaCu2O6 (ただし、Aはアルカリ土類金属を示
す。)が製造できるようになったが、作製したLa2-x
AxCaCu2O6 超電導体の超電導体積分率は一般に小
さく、1%程度のものしか得られなかった。長時間アニ
ールすることで体積分率を大きくできることが示された
が、高々数%程度までしか大きくならなかった。
【0008】本発明は、前記従来の問題を解決するた
め、超電導体積分率の大きいLa2-xAxCaCu2O6
系酸化物超電導材料の製造方法を提供することを目的と
する。
め、超電導体積分率の大きいLa2-xAxCaCu2O6
系酸化物超電導材料の製造方法を提供することを目的と
する。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明の酸化物超電導材料の製造方法は、化学式L
a2-x Ax CaCu2 O6 (ただし、Aはアルカリ土類
金属を示す。)で表される酸化物超電導材料の製造方法
であって、酸素分圧10気圧以上かつ950℃以上でア
ニールした後に、350〜900℃の条件で低温アニー
ルすることを特徴とする。
め、本発明の酸化物超電導材料の製造方法は、化学式L
a2-x Ax CaCu2 O6 (ただし、Aはアルカリ土類
金属を示す。)で表される酸化物超電導材料の製造方法
であって、酸素分圧10気圧以上かつ950℃以上でア
ニールした後に、350〜900℃の条件で低温アニー
ルすることを特徴とする。
【0010】前記構成においては、低温アニールを、酸
素分圧400〜10気圧の条件で行うことが好ましい。
また前記構成においては、低温アニールを、温度350
〜800℃、かつ酸素分圧10〜3気圧で行うことが好
ましい。
素分圧400〜10気圧の条件で行うことが好ましい。
また前記構成においては、低温アニールを、温度350
〜800℃、かつ酸素分圧10〜3気圧で行うことが好
ましい。
【0011】また前記構成においては、低温アニール
を、温度350〜700℃、かつ酸素分圧3〜1気圧で
行うことが好ましい。また前記構成においては、低温ア
ニールを、温度350〜550℃、かつ全圧1気圧以下
で行うことが好ましい。
を、温度350〜700℃、かつ酸素分圧3〜1気圧で
行うことが好ましい。また前記構成においては、低温ア
ニールを、温度350〜550℃、かつ全圧1気圧以下
で行うことが好ましい。
【0012】低温アニールの温度範囲は圧力により変わ
り、酸素分圧が400〜10、10〜3、3〜1気圧の
時、それぞれ、350〜900、350〜800、35
0〜700℃とする。全圧1気圧以下の時は350〜5
50℃とするのが好ましい。
り、酸素分圧が400〜10、10〜3、3〜1気圧の
時、それぞれ、350〜900、350〜800、35
0〜700℃とする。全圧1気圧以下の時は350〜5
50℃とするのが好ましい。
【0013】
【作用】前記した本発明方法の構成によれば、化学式L
a2-xAxCaCu2O6 (ただし、Aはアルカリ土類金
属を示す。)で表される酸化物超電導材料の製造方法で
あって、酸素分圧10気圧以上かつ950℃以上でアニ
ールした後に、350〜900℃の条件で低温アニール
することにより、La2-xAxCaCu2O6 系酸化物超
電導材料の超電導体積分率を著しく増大できる。特に、
特殊な高温高圧処理装置を用いない全圧1気圧以下55
0℃以下での低温アニールでは超電導体積分率の増大の
みならずTcを上昇させることもできる。
a2-xAxCaCu2O6 (ただし、Aはアルカリ土類金
属を示す。)で表される酸化物超電導材料の製造方法で
あって、酸素分圧10気圧以上かつ950℃以上でアニ
ールした後に、350〜900℃の条件で低温アニール
することにより、La2-xAxCaCu2O6 系酸化物超
電導材料の超電導体積分率を著しく増大できる。特に、
特殊な高温高圧処理装置を用いない全圧1気圧以下55
0℃以下での低温アニールでは超電導体積分率の増大の
みならずTcを上昇させることもできる。
【0014】
【実施例】以下実施例を用いて本発明をさらに具体的に
説明する。純度99%以上のLa2 O3 ,CaCO3 ,
CuOの各粉末をLa:Ca:Cuの比が1.85:1.15:2
になるように秤量し混合した。混合終了後、960℃で
24時間空気中で仮焼した。粉砕の後0.6gを18mm
×5mmの金型中で600kg/cm2 の圧力で一軸加圧
成形した。この成形体を、電気炉にて1030℃で10
時間焼成した。さらに、得られた焼結体を2000atm
の80vol.%Ar−20vol.%O2 中1090℃で1〜
100時間アニールした。得られた試料について、粉末
X線回折で結晶構造を調べた。また、直流四端子法で電
気抵抗率を、SQUID により磁化率(10 Gauss磁場中冷
却)を測定した。
説明する。純度99%以上のLa2 O3 ,CaCO3 ,
CuOの各粉末をLa:Ca:Cuの比が1.85:1.15:2
になるように秤量し混合した。混合終了後、960℃で
24時間空気中で仮焼した。粉砕の後0.6gを18mm
×5mmの金型中で600kg/cm2 の圧力で一軸加圧
成形した。この成形体を、電気炉にて1030℃で10
時間焼成した。さらに、得られた焼結体を2000atm
の80vol.%Ar−20vol.%O2 中1090℃で1〜
100時間アニールした。得られた試料について、粉末
X線回折で結晶構造を調べた。また、直流四端子法で電
気抵抗率を、SQUID により磁化率(10 Gauss磁場中冷
却)を測定した。
【0015】得られた試料は全てX線的には単一相であ
った。図1に抵抗−温度特性を示す(製造条件:200
0気圧、80vol.%Ar−20vol.%O2 中において1
090℃、0−100時間アニール)。アニール時間が
長いほど抵抗ゼロを示す温度(Tc(zero))が高くなって
いることがわかる。100時間のアニール処理を施した
試料の Tc(zero) は45Kであった。図2に同試料の磁
化率−温度特性を示す。アニール時間が長いほど反磁性
を示す信号が大きくなり、超電導体積分率が大きくなっ
ていることがわかる。しかし、100時間のアニール処
理でも5Kにおける超電導体積分率は3%程度であっ
た。
った。図1に抵抗−温度特性を示す(製造条件:200
0気圧、80vol.%Ar−20vol.%O2 中において1
090℃、0−100時間アニール)。アニール時間が
長いほど抵抗ゼロを示す温度(Tc(zero))が高くなって
いることがわかる。100時間のアニール処理を施した
試料の Tc(zero) は45Kであった。図2に同試料の磁
化率−温度特性を示す。アニール時間が長いほど反磁性
を示す信号が大きくなり、超電導体積分率が大きくなっ
ていることがわかる。しかし、100時間のアニール処
理でも5Kにおける超電導体積分率は3%程度であっ
た。
【0016】この100時間のアニール処理を施した試
料について、さらにアニール処理(300〜100℃、
40時間)を行った。試料中の酸素が脱離しないように
アニール処理は2000〜5atm の80vol.%Ar−2
0vol.%O2 中(酸素分圧で400〜1atm )で行っ
た。図3に低温アニール前後の磁化率−温度特性を示す
(製造条件:2000気圧、80vol.%Ar−20vol.
%O2 中において1090℃、0−100時間アニー
ル)。図3中の白丸印は低温アニール前、黒丸印は低温
アニール(600℃酸素分圧400atm )後の特性であ
る。超電導体積分率が大きくなっていることがわかる。
5Kにおける超電導体積分率は4倍程度増大している。
アニール温度と5Kにおける磁化率を(表1)にまとめ
る。表中の点線の枠の内部の部分で10-3台の反磁性が
観測されている。
料について、さらにアニール処理(300〜100℃、
40時間)を行った。試料中の酸素が脱離しないように
アニール処理は2000〜5atm の80vol.%Ar−2
0vol.%O2 中(酸素分圧で400〜1atm )で行っ
た。図3に低温アニール前後の磁化率−温度特性を示す
(製造条件:2000気圧、80vol.%Ar−20vol.
%O2 中において1090℃、0−100時間アニー
ル)。図3中の白丸印は低温アニール前、黒丸印は低温
アニール(600℃酸素分圧400atm )後の特性であ
る。超電導体積分率が大きくなっていることがわかる。
5Kにおける超電導体積分率は4倍程度増大している。
アニール温度と5Kにおける磁化率を(表1)にまとめ
る。表中の点線の枠の内部の部分で10-3台の反磁性が
観測されている。
【0017】
【表1】
【0018】上記のアニールは、高圧酸素処理であるた
めHIPの様な特殊な設備が必要となる。このような特
殊な装置を用いずに同様の効果が得られるならば、工業
的には極めて有利である。そこで、高圧酸素のかわりに
酸素気流中、空気中、Ar気流中における低温アニール
(300〜700℃、10日間)を試みた。図3中の×
印は低温アニール(450℃酸素気流中)後の特性であ
る。超電導体積分率が大きくなっていることがわかる。
5Kにおける超電導体積分率は低温アニールにより3.
5倍程度増大している。また、Tcも5K程度上昇して
いることがわかる。酸素気流中で低温アニール下時の温
度と5Kにおける磁化率、Tcを(表2)にまとめる。
550℃以下の処理で10-3台の磁化率が得られ、50
0℃以下ではTcの上昇が認められた。600℃以上で
超伝導特性が劣化したのは、酸素の脱離が顕著になった
ためと考えられる。空気中、Ar気流中でも同様の結果
が得られた。結果を(表2)に示す。
めHIPの様な特殊な設備が必要となる。このような特
殊な装置を用いずに同様の効果が得られるならば、工業
的には極めて有利である。そこで、高圧酸素のかわりに
酸素気流中、空気中、Ar気流中における低温アニール
(300〜700℃、10日間)を試みた。図3中の×
印は低温アニール(450℃酸素気流中)後の特性であ
る。超電導体積分率が大きくなっていることがわかる。
5Kにおける超電導体積分率は低温アニールにより3.
5倍程度増大している。また、Tcも5K程度上昇して
いることがわかる。酸素気流中で低温アニール下時の温
度と5Kにおける磁化率、Tcを(表2)にまとめる。
550℃以下の処理で10-3台の磁化率が得られ、50
0℃以下ではTcの上昇が認められた。600℃以上で
超伝導特性が劣化したのは、酸素の脱離が顕著になった
ためと考えられる。空気中、Ar気流中でも同様の結果
が得られた。結果を(表2)に示す。
【0019】
【表2】
【0020】ここで低温アニールの意味について考察す
る。La2-xAxCaCu2O6 を超電導体にするために
はカチオンを規則配列させることが必要である。超電導
体化のためには、酸素分圧10気圧以上950℃以上の
アニールが必要であることが知られている。900℃以
下のアニールでは『カチオンの規則配列化』は進行しな
い。La2-xAxCaCu2O6 の酸素量は理想的には
6.00であるが、そのような酸素量は高圧酸素中アニ
ールによってはじめて可能となる。酸素分圧が不十分だ
と酸素欠損を生じ、超電導性は得られなくなる。本発明
の低温アニール(350〜900℃)では、温度が低す
ぎるためカチオンの規則配列化は進行しないと考えられ
る。しかし、酸素原子は900℃以下でも十分動き得る
ので、本発明の低温アニールの条件ではカチオンは動か
ずに酸素原子が動いていると考えられる。低温アニール
によって超電導性が損なわれずにいることは、超電導性
に悪影響を及ぼすほどの酸素欠損が生じていないことを
示している。超電導性が損なわれるどころか、体積分率
やTcに向上が見られることは、超電導性を阻害する因
子が結晶中から除去されたことを示唆している。すなわ
ち、酸素原子が結晶中から脱離せずに位置を変えて『酸
素原子の規則配列化』が進行したと考えられる。また、
La2-xAxCaCu2O6 のAがCaの時のみならずS
rまたはBaの時も、同様の効果が得られた。
る。La2-xAxCaCu2O6 を超電導体にするために
はカチオンを規則配列させることが必要である。超電導
体化のためには、酸素分圧10気圧以上950℃以上の
アニールが必要であることが知られている。900℃以
下のアニールでは『カチオンの規則配列化』は進行しな
い。La2-xAxCaCu2O6 の酸素量は理想的には
6.00であるが、そのような酸素量は高圧酸素中アニ
ールによってはじめて可能となる。酸素分圧が不十分だ
と酸素欠損を生じ、超電導性は得られなくなる。本発明
の低温アニール(350〜900℃)では、温度が低す
ぎるためカチオンの規則配列化は進行しないと考えられ
る。しかし、酸素原子は900℃以下でも十分動き得る
ので、本発明の低温アニールの条件ではカチオンは動か
ずに酸素原子が動いていると考えられる。低温アニール
によって超電導性が損なわれずにいることは、超電導性
に悪影響を及ぼすほどの酸素欠損が生じていないことを
示している。超電導性が損なわれるどころか、体積分率
やTcに向上が見られることは、超電導性を阻害する因
子が結晶中から除去されたことを示唆している。すなわ
ち、酸素原子が結晶中から脱離せずに位置を変えて『酸
素原子の規則配列化』が進行したと考えられる。また、
La2-xAxCaCu2O6 のAがCaの時のみならずS
rまたはBaの時も、同様の効果が得られた。
【0021】以上説明した通り、本実施例によれば、低
温アニールの温度範囲は圧力により変わり、酸素分圧が
400〜10、10〜3、3〜1気圧の時、それぞれ、
350〜900、350〜800、350〜700℃が
好ましく、全圧1気圧以下の時は350〜550℃が好
ましいことが確認できた。この結果、大きな超電導体積
分率を有するLa2-xAxCaCu2O6 系酸化物超電導
材料を再現性良く製造できる。特に、全圧1気圧以下5
50℃以下の低温アニールではTcを上昇させることも
できる。
温アニールの温度範囲は圧力により変わり、酸素分圧が
400〜10、10〜3、3〜1気圧の時、それぞれ、
350〜900、350〜800、350〜700℃が
好ましく、全圧1気圧以下の時は350〜550℃が好
ましいことが確認できた。この結果、大きな超電導体積
分率を有するLa2-xAxCaCu2O6 系酸化物超電導
材料を再現性良く製造できる。特に、全圧1気圧以下5
50℃以下の低温アニールではTcを上昇させることも
できる。
【0022】
【発明の効果】前記したとおり本発明方法によれば、化
学式La2-xAxCaCu2O6 (ただし、Aはアルカリ
土類金属を示す。)で表される酸化物超電導材料の製造
方法であって、酸素分圧10気圧以上かつ950℃以上
でアニールした後に、350〜900℃の条件で低温ア
ニールすることにより、La2-xAxCaCu2O6 系酸
化物超電導材料の超電導体積分率を著しく増大できる。
特に、特殊な高温高圧処理装置を用いない全圧1気圧以
下550℃以下での低温アニールでは超電導体積分率の
増大のみならずTcを上昇させることもできる。
学式La2-xAxCaCu2O6 (ただし、Aはアルカリ
土類金属を示す。)で表される酸化物超電導材料の製造
方法であって、酸素分圧10気圧以上かつ950℃以上
でアニールした後に、350〜900℃の条件で低温ア
ニールすることにより、La2-xAxCaCu2O6 系酸
化物超電導材料の超電導体積分率を著しく増大できる。
特に、特殊な高温高圧処理装置を用いない全圧1気圧以
下550℃以下での低温アニールでは超電導体積分率の
増大のみならずTcを上昇させることもできる。
【図1】本発明の一実施例のLa1.85Ca1.15Cu2 O
6 の電気抵抗率−温度特性図。
6 の電気抵抗率−温度特性図。
【図2】本発明の一実施例のLa1.85Ca1.15Cu2 O
6 の磁化率−温度特性図。
6 の磁化率−温度特性図。
【図3】本発明の一実施例のLa1.85Ca1.15Cu2 O
6 の磁化率−温度特性図。
6 の磁化率−温度特性図。
フロントページの続き (71)出願人 000222037 東北電力株式会社 宮城県仙台市青葉区一番町3丁目7番1号 (72)発明者 安達 成司 東京都江東区東雲一丁目14番3号 財団法 人 国際超電導産業技術研究センター 超 電導工学研究所内 (72)発明者 桜井 健 東京都江東区東雲一丁目14番3号 財団法 人 国際超電導産業技術研究センター 超 電導工学研究所内 (72)発明者 八重樫 裕司 東京都江東区東雲一丁目14番3号 財団法 人 国際超電導産業技術研究センター 超 電導工学研究所内 (72)発明者 山内 尚雄 東京都江東区東雲一丁目14番3号 財団法 人 国際超電導産業技術研究センター 超 電導工学研究所内
Claims (5)
- 【請求項1】 化学式La2-x Ax CaCu2 O6 (た
だし、Aはアルカリ土類金属を示す。)で表される酸化
物超電導材料の製造方法であって、酸素分圧10気圧以
上かつ950℃以上でアニールした後に、350〜90
0℃の条件で低温アニールすることを特徴とする製造方
法。 - 【請求項2】 低温アニールを、酸素分圧400〜10
気圧の条件で行う請求項1に記載の製造方法。 - 【請求項3】 低温アニールを、温度350〜800
℃、かつ酸素分圧10〜3気圧で行う請求項1に記載の
製造方法。 - 【請求項4】 低温アニールを、温度350〜700
℃、かつ酸素分圧3〜1気圧で行う請求項1に記載の製
造方法。 - 【請求項5】低温アニールを、温度350〜550℃、
かつ全圧1気圧以下で行う請求項1に記載の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11317593A JPH06321537A (ja) | 1993-05-14 | 1993-05-14 | 酸化物超電導材料の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11317593A JPH06321537A (ja) | 1993-05-14 | 1993-05-14 | 酸化物超電導材料の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06321537A true JPH06321537A (ja) | 1994-11-22 |
Family
ID=14605460
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11317593A Withdrawn JPH06321537A (ja) | 1993-05-14 | 1993-05-14 | 酸化物超電導材料の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06321537A (ja) |
-
1993
- 1993-05-14 JP JP11317593A patent/JPH06321537A/ja not_active Withdrawn
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20000801 |