JPH0631863B2

JPH0631863B2 - 原子炉の廃止処理工法

Info

Publication number: JPH0631863B2
Application number: JP60175910A
Authority: JP
Inventors: 恭博喜志; 正明牟田; 修二塚原; 博文鎌田
Original assignee: Taisei Corp
Current assignee: Taisei Corp
Priority date: 1985-08-12
Filing date: 1985-08-12
Publication date: 1994-04-27
Anticipated expiration: 2009-04-27
Also published as: JPS6236595A

Description

【発明の詳細な説明】＜産業上の利用分野＞本発明は、原子炉の廃止処理の工法に関する発明であ
る。

＜従来の技術＞原子力発電所の運転終了後の原子炉の廃止処理の方法と
して、国際的には密閉管理方法、遮蔽による方法、解体
撤去による方法等が存在する。

我が国の場合は、国土が狭く撤去後の跡地を有効に利用
する必要があるため、解体撤去による方法の研究が進め
られている。

＜本発明が解決しようとする問題点＞上記した解体撤去の方法には、次のような問題点が存在
する。

（イ）解体によって放射性廃棄物が大量に発生し、人体
および周囲の環境に与える影響が大きい。

（ロ）解体作業以前にたくさんの施設に対して除染が必
要になる。

（ハ）解体によって発生する放射性廃棄物の処理が必要
になる。

（ニ）構造物に接近せざるを得ない解体作業員の被爆に
対して、充分な配慮を必要とする。

（ホ）解体作業を行う特殊な機械の開発が必要である。

＜本発明の目的＞本発明は以上のような問題点を解決するためになされた
ので、原子炉の廃止処理作業中に放射性廃棄物の発生を
防止して、作業の安全性、廃棄物処理の安全性、環境へ
の影響が少ない原子炉の廃止処理工法を提供することを
目的とする。

＜実施例＞以下、図面を参照しながら本発明の原子炉の廃止処理工
法の一実施例について説明する。

（１）作業空間の形成（第１図）原子炉格納施設１の下に作業空間２を、次のようにして
形成する。

原子炉格納施設１の近辺に立坑３を構築し、この立坑３
を利用して、水平坑４を原子炉格納施設１の下部方向に
掘削する。

そして、水平坑４を利用して作業坑５を上側に掘削し、
原子炉格納施設１の底部に作業坑５が到達するようにす
る。

作業坑５が構築されたら、原子炉格納施設１の下に作業
空間２を形成する。

（２）刃口の形成（第１図）作業空間２を利用して、原子炉格納施設１の底部外縁お
よび内側に、鋼製等からなる刃口６を突設する。

原子炉格納施設１の外縁に突設した刃口６の外周面は、
原子炉格納施設１の外周面と同一垂直面か僅かに外方に
突設する程度に形成する。

従って、刃口６は、原子炉格納施設１の自重によって原
子炉格納施設１が通過できる範囲を確保しながら支持地
盤Ｇに食い込むことになる。

（３）原子炉格納施設の沈下（第２図）さらに原子炉格納施設１の支持地盤Ｇの全域を掘削し、
掘削した掘削土は立坑３から排出する。

その結果、支持地盤Ｇを掘り下げることによって、原子
炉格納施設１は自重によって除々に沈下していく。

沈下の際、支持地盤Ｇを平均して掘削し、沈下のバラン
スを保ちながら原子炉格納施設１を所定の深さに到達す
るまで沈下させる。

（４）原子炉格納施設の密封（第３図）原子炉格納施設１が所定の深さまで沈下したら、作業空
間２、立坑３、水平坑４、作業坑５等にグラウト材等を
充填する。

さらに、原子炉格納施設１の上方から掘削土等の土砂を
投入して埋め戻しを行う。

この場合において、作業空間２、立坑３等に放射性産業
廃棄物を投入してからグラウト材を充填することもでき
る。

その結果、原子炉格納施設１は周囲の地盤とコンクリー
トで放射能がもれるのを防止した状態で密封され、埋設
されることになる。

＜他の実施例＞本発明の原子炉の廃止処理工法は、上記した以外にも、
次のようにして実施することもできる。

（イ）第４図に示すように、立坑３を構築する場合に、
複数本から構築することも可能であり、この場合にはそ
れぞれに水平坑４や複数本の作業坑５を掘削することも
できる。

（ロ）第４図に示すように、刃口６を形成する過程にお
いて、高さが異なる二種類の大刃口１１、小刃口１２を
形成することもできる。

この場合には、沈下の際の掘削を段階的に行うことがで
きるため、予想以上に沈下しても一度に作業空間２が消
滅することはない。

従って、安全に作業することができる。

（ハ）第５図に示すように、原子炉格納施設１本体の側
部に立坑室７を構築し、原子炉格納施設１の沈下と共に
立坑室７を、上方に延長していく工法も採用できる。

また、他の実施例の立坑３を原子炉格納施設１本体の壁
面に接触する状態で掘削して作業空間２のずり出しを行
うことも可能である。

（ニ）立坑３のかわりに、斜坑を構築して行うこともで
きる。

（ホ）支持地盤Ｇの支持力が不足する場合には、水平坑
４にバックヘッドによるロック設備を設けることで、沈
下を圧気でコントロールすることも可能である。

（ヘ）刃口を形成する過程において、刃口を原子炉格納
施設１に突設することなく、砂によるジャッキ支持、エ
アーチューブによる支持、機械的なジャッキによる支
持、地盤で直接行う支持等の支持方法によることも可能
である。

以上の実施例は、原子炉を廃止処理する場合について説
明したが、本発明はその他の構造物についても実施する
ことができる。

＜本発明の効果＞本発明は以上説明したようになるから、次のような効果
を期待することができる。

（イ）放射性物質を有する原子炉を解体もせず、全く加
工することなく処理できるので、放射性物質が外部に放
出される心配がない。

（ロ）汚染部分や危険部分へ全く作業員が接近せずに施
工できる。

（ハ）立坑を使用して地下部分の掘削を行うから、既存
の構造物において直ちに利用でき汎用性が広い。

（ニ）作業空間や立坑等にグラウト材を充填するので、
他の放射性廃棄物も同時に処理することができる。

（ホ）密封された放射性廃棄物は充填コンクリートおよ
び、原子炉によって包囲されているので、相当大きい地
震等の外力が作用しても、これらのコンクリートが破損
する心配がない。

従って、周囲に放射性廃棄物が漏出する危険がないの
で、安全性が高い。

（ヘ）原子炉を地中に埋設するだけの作業であるから、
特殊な機械を必要とせず、既存の作業機械を使用するこ
とができる。

（ト）原子炉を埋設した跡地は埋戻しによって、平地化
できるので、土地の有効利用を図ることができる。

（チ）従来、原子炉格納施設の基盤に貫通させて立坑を
構築する技術が存在する（特公平３−４１１８号）。

しかしこの従来技術の場合、基盤を有する原子炉格納施
設でなければ使用できないという欠点を有している。

それに対して本発明は、立坑を、原子炉格納施設の近辺
に構築する。

決して、原子炉格納施設の一部である基盤に貫通させて
構築するものではない。

即ち、原子炉格納施設の近辺に立坑を構築し、水平坑及
び作業坑を介して、下方から回り込むように原子炉可能
施設の底部に作業空間を形成する技術である。

従って、本発明の場合は、基盤の無い原子炉格納施設の
配置処理工法に利用できるという利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１〜３図：本発明の原子炉の廃止処理工法の一実施例
の説明図第４〜５図：他の実施例の説明図１：原子炉、２：作業空間、３：立坑、６刃口

フロントページの続き (56)参考文献特開昭60−24498（ＪＰ，Ａ) 特開昭60−13125（ＪＰ，Ａ)

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】原子炉格納施設の近辺に立坑を構築し、この立坑を利用して原子炉格納施設の下に作業空間を形
成し、この作業空間を利用して原子炉格納施設の底部に刃口を
形成し、刃口の形成後に原子炉格納施設の支持地盤を掘削排土し
ながら原子炉格納施設を所定の深さまで沈下させ、立坑や作業空間等にグラウト材等を充填し、原子炉格納施設の上方から土砂を投入して埋め戻しを行
い、原子炉格納施設を密封して地中に埋設した事を特徴とす
る、原子炉の廃止処理工法。