JPH06313909A - 非線形光学薄膜素子 - Google Patents

非線形光学薄膜素子

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JPH06313909A
JPH06313909A JP10254693A JP10254693A JPH06313909A JP H06313909 A JPH06313909 A JP H06313909A JP 10254693 A JP10254693 A JP 10254693A JP 10254693 A JP10254693 A JP 10254693A JP H06313909 A JPH06313909 A JP H06313909A
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carbon atoms
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JP10254693A
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English (en)
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Taro Sakakibara
太郎 榊原
Yutaka Takeya
竹谷  豊
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Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 大きな非線形光学特性を有し、かつ、経時安
定性に優れた素子を提供することを目的とする。 【構成】 本発明は、下記一般式(I) [但し、nは、0、1または2を表す。―Ar1 ―は、
炭素数5〜14の芳香族基を表す。R1 ―は、R2 3
N―で表されるアミノ基、そのハロゲン化水素塩、R4
―O―で表されるエーテル基、R5 ―S―で表されるチ
オエーテル基、シアノ基、―COOR6 もしくは―OC
OR7 で表されるエステル基、―CONR 8 9 もしく
は―NR10COR11で表されるアミド基および―R12
表される炭化水素基(R2 〜R12は、同一または異なる
炭素数1〜8の1価の炭化水素基または水素原子を表
す。)から選ばれる基である。]で表わされるα―シア
ノアクリル酸誘導体基がその一部を形成する三次元架橋
型樹脂からなり、かつ、該誘導体基の双極子モーメント
の方向が膜厚方向に配向していることを特徴とする非線
形光学薄膜素子である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光情報伝送材料、光記
録技術分野における短波長変換、パラメトリック発振、
屈折率変化等を主とした配向された非線形光学薄膜素子
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】有機材料の非線形光学特性が、既存の無
機化合物に比べて大きい事が、近年知られてきた。非線
形光学効果とは、例えばレーザ光のような強い光電場を
物質に印加した時、その物質の電気分極応答が印加電界
の大きさの一次に比例する関係から、レーザー光の電界
大きさの二次以上の高次の効果があらわれることを言
う。
【0003】二次の非線形光学には、入射光の波長を1
/2の波長に変換する第2高調波発生、1種類の波長の
光を2種類の光に変換させるパラメトリック発振、逆に
2種類の波長の光から1種類の波長の光を発現させる二
光波混合などがある。これらの諸特性から、大きな技術
発展が期待される光データ/光情報処理や、光通信に用
いられる光スイッチ、光メモリー、あるいは、光情報記
憶素子として使用される可能性が高い。特に近年、光記
録分野では、記録信号の読み取り、あるいは書き込みの
波長の短波長化が、高密度の記録を行う上で強く要望さ
れるようになってきた。操作性、簡便性の観点から、半
導体レーザが主として用いられてきているが、既存の半
導体材料の組合わせでは、一般に630nmより短い波
長の発光を生起することは困難であるといわれている。
この観点から、ここに述べた二次の非線形光学特性を利
用して、第二高調波発生により、紫外領域に近い青色発
光の材料が詳しく検討され、ニオブ酸リチウム、KT
P、BBOに代表される無機材料での応用が積極的に研
究されている。しかしながら、この様な状態での波長変
換の操作は、結晶の複屈折を利用した位相整合条件を満
足した時にのみ、活性が高くなるという現象であり、こ
の条件を揃えるための、空間配置の決定など非常に煩雑
な操作が必要であり、かつ外部温度、湿度により複屈折
の挙動が変化する事も多く、実用上問題が多い。
【0004】近年、これらの無機材料に対して、2―メ
チル―4―ニトロアニリン(MNA)に代表される、大
きい性能を有する有機化合物は、単結晶の形態で、デバ
イス材料への開発が行われている。しかし有機結晶は、
機械的特性や耐熱性が低いことが難点となっている。一
般に第2高調波発生能は分子内での分極が大きく、かつ
その分極の寄与が大きくなる長い共役系ほど大きくなる
が、このように分極を増大させると固体化の際、結晶が
成長する段階で分子の配向がその分極を打ち消し合うよ
うに空間的に安定化し反転対称性の構造が優先的に形成
されるため光学素子として非線形光学効果が発現しない
ことが多い。かかる観点から、分子1ケの双極子モーメ
ントの活性が固体状の集合体でも残存するような工夫が
種々なされているが、高い電場を印加することで双極子
の方向を揃えることが可能となる場合があり、通常コロ
ナ放電処理として知られている。このコロナ放電処理が
可能となるためには、非線形光学材料が適当な媒体に溶
解、分子分散していることが必要で、容易に達成でき
る。ところがこの方法では、相互の溶解性が一般に低
く、非線形工学機能を十分に発現し得る濃度を高くする
ことができず、本来の高機能を発現することが困難にな
る例が多い。さらに双極子モーメントの方向がそろった
非線形光学分子は、熱的緩和により配向が乱れ、非線形
光学性能が大幅に低下するという時間安定性の問題があ
ると言われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、大きな非線
形光学特性を有し、かつ、経時安定性に優れた光学素子
を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】この様な観点から鋭意検
討した結果、α―シアノアクリル酸誘導体基がその一分
を形成するアリル樹脂あるいはエポキシ樹脂等の三次元
架橋型樹脂からなり、かつ該誘導体基の双極子モーメン
トを一方向に配向させることで、大きな非線形光学特性
を有し、かつ、経時安定性に優れることが認められ本発
明に到達した。
【0007】すなわち本発明は、下記一般式(I)
【0008】
【化4】
【0009】[但し、nは、0、1または2を表す。―
Ar1 ―は、炭素数5〜14の芳香族基を表す。R1
は、R2 3 N―で表されるアミノ基、そのハロゲン化
水素塩、R4 ―O―で表されるエーテル基、R5 ―S―
で表されるチオエーテル基、シアノ基、―COOR6
しくは―OCOR7 で表されるエステル基、―CONR
8 9 もしくは―NR10COR11で表されるアミド基お
よび―R12で表される炭化水素基(R2 〜R12は、同一
または異なる炭素数1〜8の1価の炭化水素基または水
素原子を表す。)からなる群より選ばれる基である。]
で表わされるα―シアノアクリル酸誘導体基がその一部
を形成する三次元架橋型樹脂からなり、かつ、該誘導体
基の双極子モーメントの方向が膜厚方向に配向している
ことを特徴とする非線形光学薄膜素子である。ここで述
べる該誘導体基を持つ化合物は下記一般式(II)
【0010】
【化5】
【0011】[但し、nは、0、1または2を表す。―
Ar1 ―は、炭素数5〜14の芳香族基を表す。R1
は、R2 3 N―で表されるアミノ基、そのハロゲン化
水素塩、R4 ―O―で表されるエーテル基、R5 ―S―
で表されるチオエーテル基、シアノ基、―COOR6
しくは―OCOR7 で表されるエステル基、―CONR
8 9 もしくは―NR10COR11で表されるアミド基お
よび―R12で表される炭化水素基(R2 〜R12は、同一
または異なる炭素数1〜8の1価の炭化水素基または水
素原子を表す。)から選ばれる基である。]で表わされ
るα―シアノアクリル酸誘導体のアリルエステル、多官
能アリル化合物およびラジカル開始剤からなる組成物の
薄膜面に垂直方向に、直流電界を印加しながら加熱硬化
して得られる非線形光学薄膜素子に関するものである
か、または下記一般式(III )
【0012】
【化6】
【0013】[但し、nは、0、1または2を表す。―
Ar1 ―は、炭素数5〜14の芳香族基を表す。R1
は、R2 3 N―で表されるアミノ基、そのハロゲン化
水素塩、R4 ―O―で表されるエーテル基、R5 ―S―
で表されるチオエーテル基、シアノ基、―COOR6
しくは―OCOR7 で表されるエステル基、―CONR
8 9 もしくは―NR10COR11で表されるアミド基お
よび―R12で表される炭化水素基(R2 〜R12は、同一
または異なる炭素数1〜8の1価の炭化水素基または水
素原子を表す。)からなる群より選ばれる基である。]
で表わされるα―シアノアクリル酸誘導体のグリシジル
エステル、多官能エポキシ化合物およびエポキシ硬化剤
からなる組成物の薄膜面に垂直方向に、直流電界を印加
しながら加熱硬化して得られる非線形光学薄膜素子に関
するものである。
【0014】本薄膜素子は、一例を挙げれば、上記化合
物(II)に、多官能アリル化合物およびラジカル開始剤
を加え、例えばスライドガラス等の基板上にキャスト
し、膜厚方向に直流電界を印可しながら加熱することに
よって、硬化反応がおこり三次元架橋した非線形光学性
能を有する薄膜樹脂が得られる。
【0015】かかる材料(II)の合成については、例え
ば、特開平1―245230号公報(平成1年9月29
日公開)に示されるように、芳香族アルデヒドとシアノ
酢酸アリルエステルなどの活性メチレン化合物との反応
で得られるα―シアノアクリル酸アリルエステル化合物
が該当する。
【0016】多官能アリル化合物としては、例えばジア
リル化合物、トリアリル化合物、テトラアリル化合物な
どがある。主なものを列記すると、ジエチレングリコー
ルビスアリルカーボネート、ジエチレングリコールジア
リルエーテル、ジアリルフタレート、ジアリルイソフタ
レート、ジアリルテレフタレート、クロレンド酸ジアリ
ル、ヘキサヒドロフタル酸ジアリル、トリメリット酸ト
リアリル、トリアリルイソシアヌレート、ピロメリット
酸テトラアリルなどがあげられる。本発明のアリルエス
テル(II)と多官能アリル化合物の重量比は1/99〜
30/70、好ましくは2/98から25/75であ
る。それ以下では高い非線形光学効果が得られないし、
逆にそれ以上では、相分離を起こしたりするために好ま
しくない。
【0017】使用するラジカル開始剤は、その種類によ
るが、40℃〜170℃、好ましくは80℃〜120℃
である。ラジカル重合開始剤としては10時間で半減期
を得るため分解温度が20℃〜170℃である有機過酸
化物またはアゾ化合物などを用いることができる。例え
ばベンゾイルパーオキシサイド、ジ―t―ブチルオキサ
イド、ジクミルパーオキサイド、1,1―ビス(t―ブ
チルパーオキシ)―3,3,5―トリメチルシクロヘキ
サン、n―ブチル―4,4―ビス(t―ブチルパーオキ
シ)バーライト、t―ブチルパーオキシイソプロピルカ
ーボネート、2,2―ビス(t―ブチルパーオキシ)ブ
タン、ラウロイルパーオキサイド、アセチルパーオキサ
イド、2,2′―アゾビス(イソブチロニトリル)、
2,2′―アゾビス(2―メチルブチロニトリル)、
2,2′―アゾビス{2―(2―イミダゾリン―2―イ
ル)プロパン}などがある。ラジカル開始剤の使用量は
本発明のジアリル化合物100重量部に対して0.1〜
10重量部、好ましくは、0.5〜5重量部である。
【0018】本発明において用いられる硬化反応は、そ
のラジカル開始剤に大きく依存するが、40℃〜170
℃、好ましくは80〜120℃の範囲で行われる。それ
以下では反応速度が著しく遅くなり、それ以上で反応速
度が速すぎて、均一な硬化ができなかったり、劣化が起
こったりするので好ましくない。また時間は5分〜24
時間、好ましくは10分〜10時間で行われる。それ以
下では、硬化不十分になり、それ以上では時間を伸ばす
意味がないし、また劣化を誘発するので好ましくない。
【0019】また、本発明においては重合促進剤、重合
遅延剤、着色防止剤、UV吸収剤などの添加物を必要に
応じて添加することができる。重合促進剤は重合速度を
高めるあるいは重合温度を下げるのに効果的であり、例
えばナフテン酸コバルトなどの有機コバルト化合物が好
ましく用いられる。重合遅延剤は重合速度を抑制し成形
物の均一性を向上させるのに効果的であり、ハイドロキ
ノン、パラベンゾキノン、パラメトキシフェノールなど
が用いられる。着色防止剤としては、フェノール系酸化
防止剤やリン系酸化防止剤などが用いられる。
【0020】本発明において用いられる化合物(III )
については、該化合物の中間生成物であるα―シアノア
クリル酸誘導体を用いて、エポキシ化合物の工業的な製
造法であるエピクロロヒドリンとの脱塩酸反応で容易に
合成できる。また、シアノ酢酸グリシジルエステルと、
対応する芳香族アルデヒドとの縮合反応によっても合成
することができる。
【0021】該化合物から得られる本発明の非線形光学
薄膜素子は、該化合物(III )および多官能エポキシ化
合物をエポキシ硬化剤の存在下、前記のアリル系硬化樹
脂からなる薄膜素子と同様の方法で得ることができる。
すなわち、膜厚方向に直流電界を印可しながら加熱する
ことによって、三次元架橋した非線形光学性能を有する
薄膜樹脂を得ることができる。
【0022】多官能エポキシ化合物としては、例えばジ
エポキシ化合物、トリエポキシ化合物、テトラエポキシ
化合物などがある。主なものを列記すると、ビスフェノ
ールA型エポキシ樹脂、テトラブロムビスフェノールA
型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビ
スフェノールF型エポキシ樹脂、ヘキサヒドロビスフェ
ノールA型エポキシ樹脂、ポリプロピレングリコールジ
グリシジルエーテル、フェノールノボラック型エポキシ
樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、テトラグ
リシジルジアミノジフェニルメタン、テトラビス(グリ
シジルオキシフェニル)エタン等を挙げることができ
る。本発明のグリシジルエステル(III )と、多官能エ
ポキシ化合物およびエポキシ硬化剤との重量比は、1/
99〜30/70、好ましくは2/98〜25/75で
ある。それ以下では高い非線形光学効果が得られない
し、逆にそれ以上では、相分離を起こしたりするために
好ましくない。
【0023】硬化剤としては、通常のエポキシ樹脂硬化
物に使用される加熱硬化用硬化剤が適用できる。例えば
アミン化合物、無水カルボン酸、フェノール類等であ
る。主なものを列記すると、トリエチレンテトラミン、
ジアミノジフェニルメタン、メタキシレンジアミン、イ
ソホロンジアミン、ビス(4―アミノ―3―メチルシク
ロヘキシル)メタン、無水フタル酸、無水テトラヒドロ
フタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水トリメリツ
酸、フェノール樹脂などがある。なお、エポキシ化合物
と硬化剤に重量比は依存し、硬化反応を最適にするよう
に適宜選択すればよい。
【0024】また、本発明において成形時の流動性を抑
制するために、反応性稀釈剤を必要に応じて添加しても
よい。例えば、n―ブチルグリシジルエーテル、フェニ
ルグリシジルエーテル、スチレンオキサイドなどが用い
られる。
【0025】硬化温度は、エポキシ化合物、硬化剤の種
類に依存するが、40〜150℃、好ましくは50〜1
20℃の範囲で行われる。それ以下では反応速度が著し
く遅くなり、それ以上では反応速度が速すぎて、均一な
硬化ができなかったり、劣化が起こったりするので好ま
しくない。また反応時間は10〜24時間、好ましくは
20分〜10時間で行われる。
【0026】本発明において、薄膜形式は特に制限はな
いが、一般には流延法、スピンコート法、バーコート
法、ドクターナイフ法、グラビアコート法等が好ましく
用いられる。その際、組成物は溶媒に希釈せずにコーテ
ィングしても、溶媒に希釈したものをコーティングして
もよい。但し、溶媒に希釈する場合、乾燥温度は硬化反
応が進行しない程度の温度で行う必要がある。
【0027】膜厚は使用目的にもよるが、一般には0.
5μm〜200μm、好ましくは1μm〜100μmの
範囲が用いられる。
【0028】非線形光学特性を有するα―シアノアクリ
ル酸誘導体の双極子モーメントの方向をポリマー担持体
の膜厚方向に配向する方法としては、直流電場を印加す
ることが好ましい。この高電場の印加方法としては、ポ
リマー担持体が有効に帯電すればよく、各種の方法が考
えられるが、コロナ放電による方法を用いると容易に達
成することが可能となる。
【0029】コロナ放電とは、図1に示した通り平板状
電極15と針状電極12との間に、直流電源11により
高電圧、例えば1KV以上、好ましくは5〜15KVの
電圧を印加して、コロナ放電を発生させ、該ポリマー担
持体13を帯電させるものである。この時の現象として
は、空気中の分子がイオン化して、平板電極の方法にイ
オンが飛翔し、結果的にポリマー担持体にイオンが多数
蓄積され、上部電極とガラス担持体表面とが電位が等し
くなるまで放電が継続することになる。この間、担持体
表面13と平板電極15の間には、印加した電位差が生
じており、担持体中の非線形光学材料のカルボン酸誘導
体は電場と平行にその双極子モーメントが保持されるこ
とになる。即ち、ポリマー担持体膜厚方向に、配向が揃
う形になる。
【0030】このコロナ放電においては、一方の極は、
必ずしも針状である必要性がなく、線状でもここに示し
た目的に合致するもので、むしろポリマー担持体に均等
な電場の印加が効果的に発現するために、より望ましい
場合もある。分子の配向の確認は、上記コロナ放電した
ポリマー担持体を回転させながら、入射光の偏光の方向
を変化させて、二次の高調波を観測することでも確認で
きるし、あるいは、電子スペクトルの測定を偏光の方向
依存性を測定することでで確認できる。
【0031】
【発明の効果】本発明によれば、大きな非線形光学特性
を有し、かつ、経時安全性に優れた素子が提供される。
【0032】
【実施例】以下に実施例をあげ、本発明を詳述する。
【0033】
【実施例1】α―シアノアクリル酸アリルエステルとし
て、4―ジメチルアミノフェニル―2―シアノペンタジ
エン酸アリルエステルを、トリメリット酸トリアリルに
相対重量比5:100で混合し、ジクミルパーオキサイ
ドを全重量に対して2重量%添加した。この溶液を厚さ
2mmのパイレックスガラス基板上に塗布し、図1に示
すような平板電極の上に置いた。片側の線状電極の下8
mmのところに静置して窒素雰囲気下で120℃に加熱
しながら、10KVの電界を印加した。5時間後、硬化
した薄膜試料をNd:YAGレーザーの1.06μmの
波長の基本光を入射したところ、緑色に発光する光が観
測され、明らかに非線形光学材料の双極子が膜厚方向に
配向していることが認められた。メーカーフリンジ法に
より求めた水晶を基準試料とした非線形光学性能は4p
m/Vであった。ポーリング終了直後から700時間経
過後も発生する緑色の光の強度の低下は見られず、経時
変化のない極めて安定な性能を示した。
【0034】
【実施例2】α―シアノアクリル酸グリシジルエステル
として、4―メトキシフェニル―2―シアノペンタジエ
ン酸グリシジルエステルを、ビスフェノールA型エポキ
シ樹脂(エピコート828)に相対重量比10:100
で混合し、硬化剤としてジアミノジフェニルメタンを3
0重量%加え、よく混合した。これをスピンコーティン
グにより厚さ2mmのパイレックスガラス基板上に製膜
し、図1に示すような平板電極の上に置いた。片側の線
状電極の下8mmのところに静置して窒素雰囲気下で1
10℃に加熱しながら、10KVの電界を印加した。8
時間後、硬化した薄膜試料をNd:YAGレーザーの
1.06μmの波長の基本光を入射したところ、緑色に
発光する光が観測され、明らかに非線形光学材料の双極
子が膜厚方向に配向していることが認められた。メーカ
ーフリンジ法により求めた水晶を基準試料とした非線形
光学性能は2.5pm/Vであった。ポーリング終了直
後から700時間経過後も発生する緑色の光の強度の低
下は見られず、経時変化のない極めて安定な性能を示し
た。
【0035】
【実施例3】4―メトキシフェニル―2―シアノペンタ
ジエン酸アリルエステルをジエチレングリコールジアリ
ルエーテルに相対重量比7:100で混合し、2,2′
―アゾビス(イソブチロニトリル)を全重量に対して
1.5重量%添加し、60℃で加熱した以外は実施例1
と同様の操作を行い、薄膜材料を得た。硬化した薄膜試
料をNd:YAGレーザーの1.06μmの波長の基本
光を入射したところ、緑色に発光する光が観測され、明
らかに非線形光学材料の双極子が膜厚方向に配向してい
ることが認められた。メーカーフリンジ法により求めた
水晶を基準試料とした非線形光学性能は1.2pm/V
であった。ポーリング終了直後から700時間経過後も
発生する緑色の光の強度の低下は見られず、経時変化の
ない極めて安定な性能を示した。
【0036】
【実施例4】4―ジメチルアミノフェニル―2―シアノ
ペンタジエン酸グリシジルエステルを、ビスフェノール
Fジグリシジルエーテルに相対重量比8:100で混合
し、硬化剤としてジアミノジフェニルスルフォン22重
量%を加え、よく混合し、140℃で10時間加熱した
以外は実施例2と同様の操作を行い、水晶を基準試料と
した非線形光学性能8.5pm/Vを得た。ポーリング
終了直後から700時間経過後も発生する緑色の光の強
度の低下は見られず、経時変化のない極めて安定な性能
を示した。
【0037】
【比較例1】有機色素分子として、メチルイソブチルケ
トンに1.25重量%で溶かしたデスパースレッド―1
を、ポリメチルメタクリレートに相対重量比3:100
で混合し、この溶液をガラス基板上に塗布し、95℃に
加熱しながら10KVの電圧を印加して実施例1と同様
にコロナポーリングを行い非線形光学性能4pm/Vを
得たが、700時間経過後には2pm/Vに大幅に減少
した。
【図面の簡単な説明】
【図1】コロナ放電の概略を示す。
【符号の説明】
11 高電圧電源 12 ワイアー 13 担持体 14 基板 15 平板電極

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I) 【化1】 [但し、nは、0、1または2を表す。―Ar1 ―は、
    炭素数5〜14の芳香族基を表す。R1 ―は、R2 3
    N―で表されるアミノ基、そのハロゲン化水素塩、R4
    ―O―で表されるエーテル基、R5 ―S―で表されるチ
    オエーテル基、シアノ基、―COOR6 もしくは―OC
    OR7 で表されるエステル基、―CONR 8 9 もしく
    は―NR10COR11で表されるアミド基および―R12
    表される炭化水素基(R2 〜R12は、同一または異なる
    炭素数1〜8の1価の炭化水素基または水素原子を表
    す。)からなる群より選ばれる基である。]で表わされ
    るα―シアノアクリル酸誘導体基がその一部を形成する
    三次元架橋型樹脂からなり、かつ、該誘導体基の双極子
    モーメントの方向が膜厚方向に配向していることを特徴
    とする非線形光学薄膜素子。
  2. 【請求項2】 下記一般式(II) 【化2】 [但し、nは、0、1または2を表す。―Ar1 ―は、
    炭素数5〜14の芳香族基を表す。R1 ―は、R2 3
    N―で表されるアミノ基、そのハロゲン化水素塩、R4
    ―O―で表されるエーテル基、R5 ―S―で表されるチ
    オエーテル基、シアノ基、―COOR6 もしくは―OC
    OR7 で表されるエステル基、―CONR 8 9 もしく
    は―NR10COR11で表されるアミド基および―R12
    表される炭化水素基(R2 〜R12は、同一または異なる
    炭素数1〜8の1価の炭化水素基または水素原子を表
    す。)からなる群より選ばれる基である。]で表わされ
    るα―シアノアクリル酸誘導体のアリルエステル、多官
    能アリル化合物およびラジカル開始剤からなる組成物の
    薄膜面に垂直方向に、直流電界を印加しながら加熱硬化
    して得られる請求項1に記載の非線形光学薄膜素子。
  3. 【請求項3】 下記一般式(III ) 【化3】 [但し、nは、0、1または2を表す。―Ar1 ―は、
    炭素数5〜14の芳香族基を表す。R1 ―は、R2 3
    N―で表されるアミノ基、そのハロゲン化水素塩、R4
    ―O―で表されるエーテル基、R5 ―S―で表されるチ
    オエーテル基、シアノ基、―COOR6 もしくは―OC
    OR7 で表されるエステル基、―CONR 8 9 もしく
    は―NR10COR11で表されるアミド基および―R12
    表される炭化水素基(R2 〜R12は、同一または異なる
    炭素数1〜8の1価の炭化水素基または水素原子を表
    す。)からなる群より選ばれる基である。]で表わされ
    るα―シアノアクリル酸誘導体のグリシジルエステル、
    多官能エポキシ化合物およびエポキシ硬化剤からなる組
    成物の薄膜面に垂直方向に、直流電界を印加しながら加
    熱硬化して得られる請求項1に記載の非線形光学薄膜素
    子。
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