JPH0631365A - ワイヤ送給装置 - Google Patents

ワイヤ送給装置

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JPH0631365A
JPH0631365A JP4188393A JP18839392A JPH0631365A JP H0631365 A JPH0631365 A JP H0631365A JP 4188393 A JP4188393 A JP 4188393A JP 18839392 A JP18839392 A JP 18839392A JP H0631365 A JPH0631365 A JP H0631365A
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JP
Japan
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wire
amount
straightening
welding
roller
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JP4188393A
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English (en)
Inventor
Shinobu Shimizu
忍 清水
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明はワイヤを送給する際にワイヤの曲が
り癖を矯正するワイヤ送給装置に関し、ワイヤのそりの
量及び方向に応じてそり矯正を行うことにより、常に真
っ直ぐなワイヤを送給することを目的とする。 【構成】 引き側ローラ11と押し側ローラ12とをサ
ーボ駆動する。押し側ローラ12のサーボをオフとした
瞬間の両ローラ11と12の回転速度が同じになるよう
に両ローラ11、12を制御する。両ローラ11、12
の間に無荷重状態に保持された溶接ワイヤ102のそり
量と方向を、そり測定リング31で検出する。溶接ワイ
ヤ102のそり測定部がワイヤガイドローラ62、65
と68、69との間に送給されたら、検出されたそりを
矯正する向きに、必要な量だけ矯正ローラ56、58を
移動させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はワイヤ送給装置に係り、
特にワイヤを送給する際にワイヤの曲がり癖を矯正する
ワイヤ送給装置に関する。
【0002】
【従来の技術】自動溶接装置における溶接ワイヤや、自
動はんだ付け装置における糸はんだ等は、溶接またはは
んだ付けを行うにつれて消耗する。このため、これらの
装置には、一般に、溶接ワイヤや糸はんだ等の消耗性ワ
イヤを随時供給するためのワイヤ送給装置が組み込まれ
ている。
【0003】このようなワイヤ送給装置においては、ワ
イヤはワイヤリールに巻かれて保管され、必要に応じて
そこから巻き出されて送給される。このため、送給され
るワイヤには、ワイヤリールに巻かれていた際の曲がり
癖がそりとして残る。このそりはワイヤの送給異常の原
因となることから、従来より、ワイヤそり矯正装置が組
み込まれたワイヤ送給装置が知られている(実開昭61
−143725号公報)。
【0004】図12は、上記公報に記載されたワイヤ送
給装置の構成図を示す。同図中、符号1はワイヤリール
で、溶接ワイヤや糸はんだ等のワイヤ2が巻かれてい
る。ワイヤ2は、ワイヤ供給口3を通って前方に送ら
れ、ワイヤガイドローラ4及びワイヤ矯正ローラ5にガ
イドされて供給ローラ6及びガイドローラ7の間に導か
れる。送給ローラ6は送給モータ8に駆動されて、ワイ
ヤ2を順次ワイヤ通路9に送り出す。
【0005】ワイヤガイドローラ4は所定間隔を空けて
配置される2つのローラ4a及び4bからなり、ワイヤ
2を上からガイドする。ワイヤ矯正ローラ5は、ワイヤ
ガイドローラ4のローラ4a、4bの間に配置され、ワ
イヤ2を下から上に押し上げた状態でガイドする。
【0006】ワイヤリール1から送給されたワイヤ2に
は、ワイヤリール1に巻かれていた間の曲がり癖が残留
しており、そのためのそりが生じている。つまり、同図
に示すように、ワイヤ2がワイヤリール1の下側から接
線方向に引き出された場合、ワイヤガイドローラ4の位
置まで送給されたワイヤ2には、下に凸となるそりが生
じている。
【0007】しかし、上記の装置においては、ワイヤガ
イドローラ4のローラ4a、4b間に位置するワイヤ2
は、ワイヤ矯正ローラ5で上に凸となるように押圧され
ている。また、ワイヤ矯正ローラ5には、矯正量調整ネ
ジ5aが設けられており、矯正ローラ5がワイヤ2を上
に押し上げる量が調整できる構成となっている。 この
ため、上記のワイヤガイドローラ4とワイヤ矯正ローラ
5によれば、矯正量調節ネジ5aを適当に調節すること
により、ワイヤ2の曲がり癖によるそりを矯正して、真
っ直ぐなワイヤとしてワイヤ通路9に送りだすことがで
きる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の装
置では、ワイヤの矯正量は矯正量調整ネジ5aの設定位
置で決まり、矯正方向も上下方向だけに固定される。こ
のため、ワイヤのそりの曲率半径や方向等が変わると、
もはやワイヤのそりを矯正することができなくなる。特
にワイヤのそり方向が変わったような場合には、そりが
矯正できないばかりか、ワイヤ矯正ローラ5により新た
なそりを与えてしまうことになる。
【0009】上記したように、ワイヤ2にそりが生じて
いる場合、ワイヤの送給に異常が生じ易くなる。すなわ
ち、ワイヤ2のそりのため、ワイヤ通路9の入口部や内
部に引っ掛かり易くなる。また、ワイヤがそったまま加
工ステージに供給されると、そったワイヤ材で溶接やは
んだ付けをすることになり、加工部位がずれる等、品質
不良の原因ともなる。
【0010】本発明は、上述の点に鑑みてなされたもの
であり、ワイヤのそりの量及び方向を検出し、その検出
結果に基づいてワイヤのそり矯正を行うことにより、常
に真っ直ぐなワイヤを送給できるワイヤ送給装置を提供
することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の課題は、図1の原
理図に示すように、ワイヤM1のそり量及びそり方向を
検出するワイヤそり量検出手段M2と、該ワイヤそり量
検出手段M2の検出信号に基づいて、前記ワイヤM1を
矯正すべき方向と量を算出するワイヤ矯正量算出手段M
3と、該ワイヤ矯正量算出手段M3の算出結果に基づい
て前記ワイヤM1を矯正するワイヤ矯正手段M4とを備
えるワイヤ送給装置により解決される。
【0012】
【作用】上記の構成によれば、前記ワイヤ矯正量算出手
段M3では、前記ワイヤそり量検出手段M2で検出され
たワイヤのそり量に基づいて、前記ワイヤM1のそりを
矯正するために前記ワイヤ1に与えるべき変位の量及び
方向が算出される。
【0013】前記ワイヤ矯正手段M4は、前記ワイヤM
1の、前記ワイヤ反り量検出手段M2がそりを検出した
部位に、前記ワイヤ矯正量算出手段M3が算出した変位
量を与える。
【0014】従って、前記ワイヤM1のそりは、曲率半
径の変動等に影響されず常に真っ直ぐに矯正される。こ
のため、前記ワイヤ矯正手段M4以後、前記ワイヤM1
は真っ直ぐな状態で送給される。
【0015】
【実施例】図3は、本発明に係るワイヤ送給装置を溶接
装置に適用した場合の一実施例のシステム構成図を示
す。同図に示すように、本実施例のワイヤ送給装置は、
ワイヤ送給部10、ワイヤ矯正部30及びワイヤ矯正部
50で構成されている。
【0016】ワイヤ送給部10は、引き側ローラ11及
び押し側ローラ12により、ワイヤを無荷重状態で送給
する部分である。引き側ローラ11及び押し側ローラ1
2は、それぞれサーボモータ13、14により駆動され
る。
【0017】また、サーボモータ13、14には、これ
らのモータの回転量を検出するためのエンコーダ15、
16が取り付けられている。これらサーボモータ13、
14及びエンコーダ15、16はローラ制御装置17と
接続されている。
【0018】すなわち、このローラ制御装置17は、エ
ンコーダ15、16からサーボモータ13、14の回転
量を検知して、後述の制御方法により、引き側ローラ1
1と押し側ローラ12との間のワイヤに張力または圧縮
力からなる荷重がかからないように、サーボモータ1
3、14を同期回転させる。
【0019】また、ローラ制御装置17には、溶接電源
100が接続されて溶接の開始信号やワイヤ供給指令等
が供給されている。つまり、ローラ制御装置17は、溶
接の進行に伴うワイヤの消耗と、ワイヤ送給部10が送
給するワイヤの量が釣り合うように、引き側ローラ11
及び押し側ローラ12を回転させる。
【0020】ワイヤ矯正量演算部30は、ワイヤそり量
検出手段及びワイヤ矯正量算出手段に相当する。すなわ
ち、引き側ローラ11と押し側ローラ12との間のワイ
ヤにどの程度のそりが生じているかを検出して、その矯
正のためにワイヤに与えるべき変位量を算出する部分で
ある。
【0021】本実施例装置においては、内部にワイヤを
通したそり測定リング31が、ワイヤのそりによって受
ける力を荷重計32、33及び荷重計制御装置34で計
測し、この荷重に基づいてワイヤを矯正するための変位
量を、ワイヤ矯正量算出用コウピュータ35で算出して
いる。
【0022】また、ワイヤ矯正部50は、ワイヤ矯正手
段に相当し、ワイヤ矯正量算出用コンピュータ35で算
出された変位量だけワイヤに変位を与えて、ワイヤを真
っ直ぐな状態に矯正する部分である。
【0023】同図中、符号51は矯正量制御装置を示
す。この矯正量制御装置51は、ワイヤ矯正量算出用コ
ンピュータ35の出力に基づいて、エンコーダ52、5
3の出力を監視しながらサーボモータ54、55を駆動
する装置である。
【0024】また、これらのサーボモータ54、55
は、矯正すべきワイヤを中心として放射状に配置された
矯正ローラ56〜59を備えるローラ基台60、61を
それぞれ所定方向に変位させるためのモータである。従
って、ワイヤはワイヤ矯正量算出用コンピュータ35の
出力に応じた変位を与えられ、真っ直ぐな状態に矯正さ
れる。
【0025】図2及び図4〜図7は、上記のシステムを
具現化したワイヤ送給装置の一例の構成図を示す。以
下、各図に沿って、本発明に係るワイヤ送給装置の構成
及び動作について詳細に説明する。尚、同図中、図3と
同一の部分には同一の符号を付して、その説明を省略す
る。
【0026】同図中、符号101はワイヤリールを示
し、溶接用消耗電極である溶接ワイヤ120が巻かれて
いる。ワイヤリール101から引き出された溶接ワイヤ
102はワイヤ供給通路103を通され、次いで押し側
ローラ12とワイヤ押さえローラ18とで挟持される。
【0027】以下、図2、及び図2におけるA矢視図で
ある図4に沿って説明する。押し側ローラ12は減速機
19を介して、上記したようにエンコーダ16付きサー
ボモータ14の軸に固定されている。押し側ローラ12
は、このサーボモータ14をサーボ運転することにより
所定の角速度で所定角度だけ回転するように制御され
る。尚、サーボモータ14のサーボがオフである場合
は、押し側ローラ12の回転に対しては、何の拘束力も
存在しない。
【0028】ワイヤ押さえローラ18の回転軸は、ワイ
ヤ押さえスプリング20により常に押し側ローラ12方
向に付勢されているアーム21に固定されている。ま
た、ワイヤ押さえスプリング20の上方には、スプリン
グの付勢力を調整するための押さえ力調整ノブ22が設
けられている。すなわち、ワイヤ押さえローラ18が溶
接ワイヤ102を押さえる力は、この押さえ力調整ノブ
を調整することにより所定の力に設定される。
【0029】また、押し側ローラ12及びワイヤ押さえ
ローラ18のローラ面には、溶接ワイヤ102の断面形
状に対応した凹部が設けられている。このため、上記の
ワイヤ押さえスプリング20の付勢力が所定の力に設定
されている場合、溶接ワイヤ102が、押し側ローラ1
2とワイヤ押さえローラ18との間から脱落することは
ない。
【0030】押し側ローラ12とワイヤ押さえローラ1
8との間を通過した溶接ワイヤ102は、次に、そり測
定リング31に通される。図5に示す、図2におけるB
矢視図は、このそり測定リング31の周辺構造を示す図
である。以下、同図に沿って、そり測定リング31の働
きについて説明する。
【0031】そり測定リング31には、上記したように
荷重計32、33が取り付けられている。この荷重計3
2、33は、そり測定リング31を通る溶接ワイヤ10
2の長手方向に対して垂直な平面(X−Y平面)内に設
けられており、そり測定リング31にX−Y平面内に作
用する力が加わった場合、その力をそれぞれX方向、Y
方向に分離して検出する。
【0032】尚、X方向の力を検出する荷重計32、及
びY方向の力を検出する荷重計33はそれぞれスライド
ベース34、35上に配置されている。このため、例え
ばそり測定リング31がX方向に力を受けて、X方向に
変位したとすると、Y方向の力を検出するための荷重計
33はスライドベース35の作用により一緒にX方向に
移動する。従って、この荷重計34の存在が、X方向の
力を検出するための荷重計34が検出する荷重に影響を
与えることはない。同様に、X方向の力を検出するため
の荷重計34の存在がY方向の力を検出するための荷重
計34が検出する荷重に影響を与えることもない。
【0033】尚、そり測定リング31は、溶接ワイヤ1
02が押し側ローラ12から真っ直ぐに引き側ローラ1
1に延びている場合に荷重が“0”となるような位置に
配置されている。
【0034】引き側ローラ11の周辺の構成は、上記し
た押し側ローラ12の周辺の構成と同一である。すなわ
ち、溶接ワイヤ102は、引き側ローラ11とワイヤ押
さえローラ23との間に挟持され、減速機24を介して
サーボモータ13の回転が伝わって引き側ローラ11が
回転すると、これに伴って送給される。
【0035】また、ワイヤ押さえローラ23の回転軸
は、押さえ力調整ノブ27付きワイヤ押さえスプリング
20により付勢されているアーム23に固定されている
ため、ワイヤ押さえローラ23と引き側ローラ11との
間の挟持力は、調整により所定の力に設定することがで
きる。
【0036】引き側ローラ11とワイヤ押さえローラ2
3との間を通過して送給された溶接ワイヤ102は、ロ
ーラ面に溶接ワイヤ102の断面形状と対応した凹部を
有するワイヤガイドローラ62〜65の間に導かれる。
【0037】図2におけるC矢視図である図6に示すよ
うに、ワイヤガイドローラ62、63及び64、65は
それぞれローラ基台66及び67の直行する面に回転軸
が固定されている。また、ローラ基台66及び67は、
ワイヤガイドローラ62〜65が、溶接ワイヤ102を
中心として放射状に配置される位置に固定されている。
【0038】従って、ワイヤガイドローラ62〜65の
間を通過した溶接ワイヤ102は、これらのローラ62
〜65の放射中心に対して上下左右どの方向に張力がか
かっても、ワイヤガイドローラ62〜65の拘束から外
れることがない。
【0039】図2において、符号68及び69は、上記
のワイヤガイドローラ62及び65に相当するワイヤガ
イドローラであり、図示されない2つのワイヤガイドロ
ーラと共に、溶接ワイヤ102を中心とする放射状のワ
イヤガイドローラを構成している。
【0040】従って、先のワイヤガイドローラ62〜6
5と、後のワイヤガイドローラ68、69との間で、溶
接ワイヤ102にどのような向きの張力を与えても、溶
接ワイヤ102がいずれのワイヤガイドローラの拘束か
ら外れることがない。
【0041】このため、本実施例の装置によれば、先後
のワイヤガイドローラ62〜65と68、69との間
で、溶接ワイヤ102がどのような向きの張力を受けて
いても、溶接ワイヤ102をスムーズに送給することが
できる。
【0042】ところで、先のワイヤガイドローラ62〜
65と、後のワイヤガイドローラ68、69との間に
は、溶接ワイヤ102のそりを矯正するための矯正ロー
ラが配置されている。
【0043】また、図2のD矢視図である図7は、この
矯正ローラの周辺の構成図を示す。上記のワイヤガイド
ローラの構成と同様に、矯正ローラ56〜58は、互い
に垂直で、かつ溶接ワイヤ102を中心として放射状に
配置される。矯正ローラ56〜58をこのように配置す
るため、矯正ローラ56、57及び58、59の回転軸
をそれぞれ保持するローラ基台60及び61はL字型の
固定台68の所定位置に固定される。
【0044】固定台68は、その垂直な面で、同じくL
字型のスライドベース69の垂直な面に取り付けられ、
スライドベース69に沿って上下方向(Y方向)に移動
することができる。他方、固定台68の水平な面にはボ
ールネジ70の端部が固定される。従って、ボールネジ
70を回転させることにより、固定台68ごと矯正ロー
ラ56〜59を上下方向に動かすことができる。
【0045】ボールネジ70の他方の端部は、スライド
ベース69の水平面に固定された減速機71に噛み合わ
されている。このため、減速機を回転させるサーボモー
タ55がサーボ運転を開始すると、上記の矯正量制御装
置51の指令に応じて、矯正ローラ56〜59のY方向
位置が決められる。
【0046】また、スライドベース69は、その水平な
面で、更にL字型のスライドベース72の水平な面に取
り付けられ、スライドベース72に沿って左右方向(X
方向)に移動することができる。他方、スライドベース
69の垂直な面にはボールネジ73の端部が固定され
る。従って、ボールネジ73を回転させることにより、
スライドベース69や減速機71ごと矯正ローラ56〜
59を左右方向に動かすことができる。
【0047】ボールネジ73の他方の端部は、スライド
ベース72の垂直面に固定された減速機74に噛み合わ
されており、減速機74を回転させるサーボモータ54
がサーボ運転を開始すると、矯正ローラ56〜59のX
方向位置が上記の矯正量制御装置51の指令に応じた位
置となるまで回転する。
【0048】このように、矯正ローラ56〜59は、先
のワイヤガイドローラ62〜65と後のワイヤガイドロ
ーラ68、69との間の溶接ワイヤ102に、溶接ワイ
ヤ102の長手方向に対して垂直な、あらゆる方向の張
力を与えることができる。更に、上記ワイヤガイドロー
ラの作用により、溶接ワイヤ102に加えられた張力に
よりその送給が滞ることがない。
【0049】すなわち、本実施例の装置によれば、溶接
ワイヤ102のそりがどんな方向に発生していても、そ
の溶接ワイヤ102を送給しながら、そりを矯正するこ
とができる。従って、溶接ワイヤ102は常に真っ直ぐ
に矯正された状態で、図2に示す溶接トーチ104に送
給される。
【0050】このため、溶接ワイヤ102が溶接トーチ
104の送給される際に、溶接トーチ104のワイヤ供
給通路105の入口に引っ掛かることがない。また、図
示されない溶接トーチ104の先端部においても、溶接
ワイヤ102にそりが生じることがないことから、溶接
ワイヤ102の先端部位置が安定化され、溶接位置精度
が向上する。
【0051】以下、図8〜図10に沿って、本実施例装
置が溶接ワイヤ102のそり量を測定して、矯正するま
での制御内容について説明する。
【0052】図8は、本実施例装置のローラ制御装置1
7が、引き側ローラ11と押し側ローラ12との間の溶
接ワイヤ102を無荷重状態で送給するために実行する
処理の一例のフローチャートを示す。
【0053】この処理が起動すると、まず溶接電源10
0から溶接ワイヤ送給量指令が入力されるのを待つ(ス
テップ201)。溶接電源100は、溶接が開始される
と溶接ワイヤ102の消耗分を補うため、ローラ制御装
置17に対して、送給すべき溶接ワイヤ量の送給指令を
送信する。
【0054】以下に、まず引き側サーボモータ13の処
理について説明する。尚、引き側サーボモータ13は、
要求される溶接ワイヤ102を所定の速度で送給する働
きを有している。
【0055】ワイヤ送給量指令が入力されたら、送給す
べき溶接ワイヤの量から引き側サーボモータ13の必要
回転量を計算する(ステップ202)。次いで引き側サ
ーボモータ13に駆動指令をだして(ステップ20
3)、エンコーダ15を監視しながら引き側サーボモー
タ13をサーボ駆動する(ステップ204)。
【0056】このように、エンコーダ15が、引き側サ
ーボモータ13の回転量が上記ステップ202で計算し
た回転量に達したことを示すまで、溶接ワイヤ102を
所定の速度で送給する。
【0057】エンコーダ15から、引き側サーボモータ
の回転量が上記所定の回転量に達したことを示す信号が
送信されたら(ステップ205)、この時点で溶接ワイ
ヤ102の送給量の指示値が更新されていないかをみ
て、更新されている場合はその更新による送給補正量を
計算して(ステップ206)、ステップ202に戻る。
【0058】以下、ステップ206で、送給量補正の必
要無し(必要な溶接ワイヤの送給が終了)と判定される
まで、上記のステップ202〜206の処理を繰り返し
実行する。
【0059】次に、送給される溶接ワイヤ102を無負
荷状態に保持する働きを有する押し側ローラ12の制御
について説明する。
【0060】本実施例装置のローラ制御装置17は、上
記のステップ202において、引き側サーボモータの回
転量を計算し終えたら、その後、引き側サーボモータ1
3の制御と平行して、押し側サーボモータ14の制御も
行う。
【0061】すなわち、ステップ202を実行後、ステ
ップ203で引き側サーボモータ13に駆動指令を出す
のと同時に、押し側サーボモータ14に対して駆動指令
を発し(ステップ207)、エンコーダ16の出力を監
視しながら押し側サーボモータ14を引き側サーボモー
タ13と同期させた状態でサーボ駆動する(ステップ2
08)。
【0062】所定時間が経過したら、溶接ワイヤ102
の張り具合をみるため、押し側サーボモータ14のサー
ボをオフとする(ステップ209)。上記したようにサ
ーボモータのサーボがオフとなっている場合、そのモー
タには、回転方向に対して何の拘束力も存在しない。
【0063】このため、仮に溶接ワイヤ102に張力が
働いていたとすると、このワイヤ102が縮もうとする
ため、サーボモータ14は溶接ワイヤ102送給方向に
回転する。また、逆に、溶接ワイヤ102に圧縮力が働
いていたとすると、このワイヤ102が伸びようとする
ため、サーボモータ14はワイヤの送給方向と逆の方向
に回転する。
【0064】従って、このサーボオフとした瞬間のサー
ボモータ14の回転方向と回転量を検出すれば、溶接ワ
イヤ102に対してどのような力がどの程度作用してい
るかを検知することができる。
【0065】本実施例装置においては、サーボをオフと
した後にサーボモータ14から出力される誘導電流を所
定のしきい値と比較して、その大小で溶接ワイヤ102
に張力が作用しているのか、圧縮力が作用しているのか
を推定している(ステップ210)。
【0066】つまり、溶接ワイヤ102が無荷重であれ
ば、サーボをオフとした後、押し側サーボモータ14
は、引き側サーボモータ13に連れ回りして、引き側サ
ーボモータ13の回転数により決定される誘導電流を送
出するはずである。従って、この電流値を上記所定のし
きい値として、これより大きい誘導電流が検出されれば
溶接ワイヤ102には圧縮力が作用していたと判断で
き、逆であれば張力が作用していたと判断できる。
【0067】また、サーボモータ14には、エンコーダ
16が組み込まれている。このため、サーボをオフとし
たあとのエンコーダ16の出力を監視することにより、
サーボモータ14がサーボオフとなった後に回転した量
から溶接ワイヤ102が移動した量を検出している(ス
テップ211)。
【0068】この結果から溶接ワイヤ102が無荷重状
態であるか否かを判別して(ステップ212)、無荷重
でないと判別されたらステップ213に進む。ステップ
213では、上記のステップ210及び211で検出し
たデータに基づいて、溶接ワイヤ102を無荷重とする
ための送給量を計算する。
【0069】以後、この計算値に基づいて溶接ワイヤ1
02が無荷重状態となるように、サーボモータ14をサ
ーボ駆動して、溶接ワイヤ102が無荷重であると判別
されるまでステップ207〜212を繰り返し実行す
る。
【0070】ステップ214で、溶接ワイヤ102が無
荷重であると判別されたら、ステップ214へ進んでエ
ンコーダ15を監視して、引き側サーボモータ13の回
転量がステップ202で計算した所定の回転量に達した
と判別されるのを待つ。
【0071】ステップ214で、所定の回転量に達した
と判別されたら、上記の引き側サーボモータ13の制御
と同様に、溶接電源100の指示値に対する補正量を計
算してステップ207に戻る。
【0072】以後、所望の送給が終了するまで、上記ス
テップ207〜215を繰り返し実行する。
【0073】以上の処理を行うことにより、本実施例装
置においては、引き側ローラ11と押し側ローラ12と
の間の溶接ワイヤ102を、無荷重状態に保ったまま送
給することができる。
【0074】図9は、ワイヤ矯正量算出部30で実行さ
れる処理の一例のフローチャートを示す。以下、同図に
沿って、ワイヤ矯正量算出部30で、溶接ワイヤ102
のそり量を検出して、矯正量を算出するために行なわれ
る処理について説明する。
【0075】上記したように、そり測定リング31は、
溶接ワイヤ102にそりがないとした場合のワイヤ送給
ルート上に配置されている。そして、そのリング31中
を無荷重状態の溶接ワイヤ102が送給される。このた
め、そり測定リング31にかかる荷重は、その部位にお
ける溶接ワイヤ102が有しているそり量だけに起因す
ることになる。そこで、本実施例装置は、そり測定リン
グ31で検出された荷重に基づいて、溶接ワイヤ102
が有しているそり量の算出を行っている。
【0076】図9に示すように、ワイヤ矯正量算出用コ
ンピュータ35において、そり量算出処理が起動する
と、まず荷重計制御装置34が検出したX方向荷重
(X)とY方向荷重(Y)とをデータとして取り込む
(ステップ301)。
【0077】図10(A)はそり測定リング31が溶接
ワイヤ31から受ける力をX−Y平面上にベクトル表示
した一例を示す。
【0078】ワイヤ矯正量算出用コンピュータ35は、
ステップ301でデータを取り込んだら、溶接ワイヤ1
02のそり量をベクトルとして認識するため、荷重デー
タに基づいて図10(A)に示すような合成荷重F及び
そり方向θを計算する(ステップ302)。
【0079】そりを矯正するためには、溶接ワイヤ10
2に対して、そり方向を打ち消す方向に、そりによるひ
ずみを相殺する永久ひずみを与えることが必要である。
本実施例装置では、以下のステップ303〜306で、
その永久ひずみを与えるために溶接ワイヤ102に加え
るべき変位量の算出を行っている。
【0080】これらのステップの処理について、図10
(B)に示す、溶接ワイヤ102の応力・ひずみ線図に
沿って説明する。尚、同図に示す特性は、溶接ワイヤ1
02の物性により決まる特性で、ワイヤ矯正量算出用コ
ンピュータ35には、予めこの物性データが記憶されて
いる。
【0081】ところで、溶接ワイヤ102にそりが生じ
ている場合、上記したようにそり測定リング31では合
成荷重Fが検出される。この合成荷重Fは、溶接ワイヤ
102のひずみが“0”となるまで溶接ワイヤ102を
弾性変形させるのに必要な荷重である。
【0082】従って、同図(B)中に実線で示す、ひず
みを“0”としたときの荷重がFとなるような応力・ひ
ずみ線図を用いることにより、溶接ワイヤ102がそり
測定リング31に拘束されない(溶接ワイヤ102に加
えられる応力が“0”)場合のひずみεを求めることが
できる。
【0083】このために、ステップ303では、上記の
ステップ302で計算した合成荷重Fに基づいて、ワイ
ヤ矯正量算出用コンピュータ35内に記憶されている物
性データから、そりの矯正に用いる応力・ひずみ線図を
選択している。
【0084】次いで、ステップ304では、そりが無い
場合の応力・ひずみ線図を読み出している(同図(B)
中、一点鎖線で示す曲線)。尚、この場合の応力・ひず
み線図は、溶接ワイヤ102にそりがないことが前提で
あるから、ステップ303で選択した応力・ひずみ線図
を、原点を通るように平行移動した曲線とほぼ同一の曲
線となる。
【0085】ここで、同図(B)中、点Aは、矯正すべ
き溶接ワイヤ102の弾性限界である。すなわち、ひず
みεを有する溶接ワイヤ102を、ひずみεを打ち消す
方向に変位させ続けた場合、点Aまでは弾性変形を示す
が、これを超えると溶接ワイヤ102には永久ひずみが
生じる。従って、その後応力を取り除いても、もはやひ
ずみ量はεには戻らない。
【0086】また、同図(B)中、点Bは、上記の2つ
の応力・ひずみ線図の交点である。この点Bは、そりを
有する溶接ワイヤ102にとっては弾性限界であるA点
を超えた点であり、そりの無い溶接ワイヤにとっては正
に弾性限界である。従って、そりを有する溶接ワイヤ1
02に、B点に達するための変位を与えると、その後、
応力を取り除いた際には、そりの無い場合の応力・ひず
み線図に沿って復元し、そりの無い溶接ワイヤ102と
なる。
【0087】このための処理として、本実施例装置は、
上記のステップ303及び304で求めた2つの応力・
歪み曲線の交点Bを求め(ステップ304)、次いでこ
の交点Bにおけるひずみ量bを、矯正のための変位量と
して求めている(ステップ306)。このようにして溶
接ワイヤ矯正量を算出したら、その矯正量を、そりの方
向θと共にデータバッファに一時記憶する(ステップ3
07)。
【0088】その後上記のステップ301〜307を随
時繰り返し実行して、引き側ローラ11と押し側ローラ
12との間を送給される溶接ワイヤのそりの矯正量を連
続的に算出する。
【0089】また、ワイヤ矯正量算出用コンピュータ3
5は、このように連続的にそりの矯正量を算出する一
方、ステップ307で矯正量の記憶を終えたら、ワイヤ
矯正部50にワイヤの矯正量を指示する時期を計算する
ため、ワイヤ送給部10から溶接ワイヤ102の送給量
が入力されるのを待つ(ステップ308)。
【0090】上記したように、溶接ワイヤ102のそり
量を測定するそり測定リング31と溶接ワイヤ102の
そりを矯正する矯正ローラ56〜59とは、所定の間隔
をあけて配置されている。このため、そりの測定が行わ
れた部位が、矯正ローラ56〜59の位置まで送給され
るのに要する時間だけ、矯正量を遅延して出力する必要
がある。
【0091】このため、ステップ309では、上記のス
テップ308で取り込んだ溶接ワイヤ102の送給量デ
ータに基づいて、矯正量を出力するまでの遅延時間を計
算している。
【0092】次いで、この遅延時間が経過したら、デー
タバッファに記憶されているデータから、対応する矯正
量と矯正方向をピックアップして、ワイヤ矯正部50に
出力している(ステップ311)。
【0093】尚、ここで、矯正方向は、図10(C)に
示すように、溶接ワイヤ102のそり方向θと反対の方
向、つまりθ+180°の方向としている。
【0094】以後、ステップ310に戻って、順次算出
される矯正量に対する遅延時間を監視し、その時間が経
過するたびに、ステップ311を実行する。
【0095】図11はワイヤ矯正部50で実行される処
理の一例のフローチャートを示す。この処理が起動する
と、まずワイヤ矯正量算出部30から矯正量と矯正方向
が送信されてくるのを待つ(ステップ401)。
【0096】ワイヤ矯正量算出部30から、矯正量及び
矯正方向が送信されたら、それらのデータを組み合わせ
て、溶接ワイヤ102に与えるべき変位のX方向成分
と、Y方向成分とを計算する(ステップ402)。
【0097】ついで、矯正ローラ56〜59を移動させ
るため、X方向、Y方向それぞれの変位量だけ、サーボ
モータ54、55を回転させて、溶接ワイヤ102に所
望の変位を与える(ステップ403)。
【0098】以後、ステップ401に戻り、ワイヤ矯正
量算出部30から順次送信されてくる矯正量データに基
づいてステップ401〜403を繰り返し実行する。
【0099】このように、本実施例装置によれば、溶接
ワイヤ102を送給しながら、随時そのそりを監視し
て、適正な矯正を行うことができる。このため、ワイヤ
リールから引き出される溶接ワイヤ102の曲率や、そ
りの方向が変動した場合でも、常に溶接ワイヤ102は
真っ直ぐに矯正される。
【0100】従って、溶接トーチ104のワイヤ供給通
路105等に溶接ワイヤ102が引っ掛かることが無
い。このため、従来の装置において頻繁に発生していた
ワイヤ引っ掛かりによる設備停止を防止することがで
き、生産性の向上を図ることができる。
【0101】また、溶接ワイヤの引っ掛かりが防止さ
れ、その供給精度が向上されるため、溶接ワイヤ先端部
の被溶接物に対する位置や、溶接ワイヤと被溶接物間の
溶接ギャップの精度が安定して、溶接品質が向上する。
【0102】
【発明の効果】上述の如く、本発明によれば、検出した
ワイヤの反りに基づいて、適正な方向に適正量の矯正を
行うことができる。このため、送給されるワイヤの曲率
や、そりの方向が変動しても、常にそのワイヤのそりを
矯正することができる。
【0103】このため、送給されるワイヤがワイヤの送
給通路等に引っ掛かることが無く、従来の装置のよう
に、ワイヤの引っ掛かりにより設備を停止させるような
ことがない。従って、設備の稼動率向上が可能となり、
生産性の向上を図ることができる。更に、ワイヤがスム
ーズに送給されるため、溶接ワイヤや糸はんだ等消耗材
料の供給精度が向上して、溶接やはんだ付け等の加工精
度が向上するという特長を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るワイヤ送給装置の原理図である。
【図2】本発明に係るワイヤ送給装置の一実施例の構成
図である。
【図3】本発明に係るワイヤ送給装置の一実施例のシス
テム構成図である。
【図4】本実施例装置のワイヤ送給部の要部の構成図で
ある。
【図5】本実施例装置のワイヤ矯正量算出部の要部の構
成図である。
【図6】本実施例装置のワイヤガイドローラの構成図で
ある。
【図7】本実施例装置のワイヤ矯正部の要部の構成図で
ある。
【図8】本実施例装置のワイヤ矯正部が実行する処理の
一例のフローチャートである。
【図9】本実施例装置のワイヤ矯正量算出部が実行する
処理の一例のフローチャートである。
【図10】本実施例装置のワイヤ矯正量算出部が実行す
る処理の一例を説明するための図である。
【図11】本実施例装置のワイヤ矯正部が実行する処理
の一例のフローチャートである。
【図12】従来のワイヤ送給装置の構成図である。
【符号の説明】
M2 ワイヤそり量検出手段 M3 ワイヤ矯正量算出手段 M4 ワイヤ矯正手段 10 ワイヤ送給部 11 引き側ローラ 12 押し側ローラ 13、14、54、55 サーボモータ 17 ローラ制御装置 30 ワイヤ矯正量算出部 31 そり測定リング 32、33 荷重計 35 ワイヤ矯正量算出用コンピンュータ 50 ワイヤ矯正部 51 矯正量制御装置「 56〜59 矯正ローラ 100 溶接電源 102 溶接ワイヤ

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 送給すべきワイヤのそり量及びそり方向
    を検出するワイヤそり量検出手段と、 該ワイヤそり量検出手段の検出信号に基づいて、前記ワ
    イヤを矯正すべき方向と量とを算出するワイヤ矯正量算
    出手段と、 該ワイヤ矯正量算出手段の算出結果に基づいて前記ワイ
    ヤを矯正するワイヤ矯正手段とを備えることを特徴とす
    るワイヤ送給装置。
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