JPH06313059A - シリコーンゴム弾性体 - Google Patents

シリコーンゴム弾性体

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JPH06313059A
JPH06313059A JP10394493A JP10394493A JPH06313059A JP H06313059 A JPH06313059 A JP H06313059A JP 10394493 A JP10394493 A JP 10394493A JP 10394493 A JP10394493 A JP 10394493A JP H06313059 A JPH06313059 A JP H06313059A
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JP
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silicone rubber
rubber
film
polyparaxylylene
elastic body
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JP10394493A
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Moritaka Takayama
盛隆 高山
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NIPPON PARIREN KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 シリコーンゴムの長所を失うことなく欠点で
ある気体透過性の改善、摩擦係数の改善等を行い、用途
を更に広くしたシリコーンゴム弾性体を提供することを
目的とする。 【構成】 オルガノポリシロキサンのゴム弾性体の表面
にポリパラキシリレン皮膜を気相蒸着重合法により形成
せしめたシリコーンゴム弾性体としたものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はシリコーンゴム弾性体に
関し、特に気体の透過性、潤滑性、耐熱、耐寒、及び耐
薬品性等を改善したシリコーンゴム弾性体に関する。
【0002】
【従来の技術】古くよりゴム材料は伸び縮みするという
特異的な性質から、人間社会にはなくてならない存在で
あった。これら、古くより使われてきたゴム材料の多く
は天然植物より採取されていた。
【0003】その後、ドイツに於いて世界で最初の合成
ゴムであるメチルゴムが工業的に生産され実用に供され
てから、種々な合成ゴムの生産が世界中で行われてき
た。
【0004】これら幾種類もの合成ゴムの中でも、シリ
コーンゴムは一般の石油系有機ゴムが炭素(−C−C
−)を骨格にしているのに対し、シロキサン結合(−S
i−O−)を主骨格としているため、耐熱性、耐寒性、
電気絶縁性、撥水性、化学的安定性、透明性、軽量性、
安全性等の他の有機ゴムにはない様々な特性を備えてい
る。
【0005】シリコーンゴムは従来より、これらの卓越
した特性からキーパッド、ゴムロール、アノードキャッ
プ、放電シート、パッキン類、細部特殊電線、各種シー
ル部品、ダイヤフラム、プラグブーツ、防水コネクタ
ー、ホース類、各種シール材、ガスケット、防音防振
材、人工血管、義乳、眼鏡用パッド等として、様々な分
野に於いて多様な用途に供されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらシリコ
ーンゴム弾性体は気体透過性が大きく、天然ゴム、スチ
レンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルブタ
ジエンゴム等の他のゴム弾性体に比べると、百倍、或い
は千倍前後の気体を透過してしまう性質がある。
【0007】このため、従来のシリコーンゴム弾性体を
電卓、ワードプロセッサー、各種コンピュータの端末等
のキーパッドに利用した場合、気体透過性の大きいシリ
コーンゴム内部をオペレーターの手に付着した汗、水
分、塩分等が長期間に透過して接点を腐食することがあ
り、これによって機械の寿命が著しく短縮されてしま
う。
【0008】又、精密電子部品と共存して使用される場
合には、未反応低分子珪素化合物が見かけ上完全に高分
子化しているシリコーンゴム弾性体の内部より気化し、
これが炭化、及び酸化を受けて絶縁物質を生成し、これ
によって接点に於ける導電不良や磨耗が生じ、機器への
悪影響を及ぼす。
【0009】更に、シリコーンゴム弾性体を自動車分野
に於いてパッキンやOリングとして利用するとき、漏れ
を防止する物質が気体の場合、そのシール効果は著しく
低下する。
【0010】ブチルゴム、ニトリルブタジエンゴム、水
素化ニトリルブタジエンゴム等の様な、気体透過性の著
しく低いゴムで代替出来るような箇所であれば良いが、
近年益々拍車のかかっている自動車の高級化、ロングラ
イフ化、高出力化に伴う周辺環境の過酷さに対応出来得
る特性を持ったゴム材料となると、シリコーン系のゴム
材料に頼らざるを得ない。
【0011】又、エネルギー資源の問題、排気ガス規制
の問題等からガソリンにメタノールやエタノールを混合
した、いわゆる混合ガソリンを主燃料とした多種燃料対
応車が今後増加すると考えられる。
【0012】現在、燃料系統周辺用のゴム材料としては
水素化ニトリルプタジエンゴムに実績があるが、次世代
の多種燃料対応車用ゴム材料という点では、必ずしも見
通しは明るくない。何故ならば、水素化ニトリルブタジ
エンゴムはメタノール混合比15〜20%の混合ガソリ
ンに膨潤してしまうからである。
【0013】生体に対しては本来不活性であることか
ら、人工血管、義乳等に利用されているシリコーンゴム
であるが、内部より未反応低分子有機化合物や各種添加
剤の浸出によって生体に悪影響を及ぼすことがあり、昨
今アメリカに於いては生体内に埋め込まれたシリコーン
ポリマーの発癌性が示唆され、未反応低分子有機化合物
や各種添加剤をポリマー内部に封鎖することは不可避と
なっている。
【0014】又、ゴム材料は一般的に摩擦抵抗が大きい
ために、各種滑り止め用途に供されてきたが、摩擦係数
が大きいが故の問題も少なくない。具体的には、自動車
のサーモスタット用のゴム材料を例に挙げると、温度の
変化によって金属製の軸を上下する働きが摩擦係数の大
きさのために制約されてしまう。
【0015】このため、現行のフッ素系ゴムにグリース
を塗って潤滑性を得ているが、このグリース塗布の作業
が煩雑である上、長年の使用によってグリース切れが起
こる。延いては、サーモスタットの交換、或いはこれに
気付かない場合は重大な事故につながる虞もある。
【0016】免震用積層ゴムとしては、現在テフロン
(4フッ化エチレン樹脂)を用いているが、このものの
摩擦係数は10%前後である。即ち、支えている重量の
10%以上の力がかからないと滑らないことになり、そ
れだけの大きさの地震でないと免震効果が発揮出来ない
ことである。
【0017】これらのシリコーンゴムの諸問題を解決し
ようと、これらに対する表面コーティングは色々検討さ
れて来たが、従来の技術は有機溶剤で希釈した硬化性樹
脂によるソフト、及びハードコーティングが主流であっ
た。
【0018】ところが、従来の如何なるコーティング材
を用いても、本来非粘着性であるシリコーンゴムとの密
着性が悪く、理想的な表面皮膜を得ることは出来ない。
又、見かけ上完全に密着していても、基材がゴム弾性を
有するために、これに追従してゆくだけの密着性は得ら
れない。
【0019】この改善のためにプラズマ放電、コロナ放
電、酸処理、カップリング剤処理等に非常に手間のかか
る前処理が必要であるが、これらによっても密着性の大
幅な改善は望めなかった。
【0020】更に、有機溶剤で希釈した硬化性樹脂で
は、細部、及び複雑な形状の部分に於いてはコーティン
グ層のむらが出来てしまい、これが歩留りや性能に悪影
響を及ぼしてきた。
【0021】なお、ポリパラキシリレンの基材への密着
性向上のための手法は、米国特許第3600216、同
4784881号公報、特開昭62−212920、特
開平1−168859、特開平2−283732等に開
示されているが、これらは何れも基材がシリコーンゴム
の場合はそれに記載されている効力は殆ど期待出来な
い。
【0022】本発明は上述の問題を解決して、表面皮膜
を形成したシリコーンゴム弾性体を提供することを課題
とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】上述の課題を解決するた
めに、オルガノポリシロキサンのゴム弾性体の表面にポ
リパラキシリレン皮膜を気相蒸着重合法により形成せし
めてたシリコーンゴム弾性体としたものである。
【0024】
【作用】上述のように、本来のシリコーンゴム本来の特
性を失うことなく、極薄いポリパラキシリレンの気相蒸
着重合法により気体の透過性、摩擦係数、耐熱、耐寒、
及び耐薬品性の改善が実現される。
【0025】
【実施例】ゴム弾性体の改質のための表面処理方法に
は、これに使用される皮膜(ウレタン、アクリル、ポリ
イミド等)、或いは皮膜の形成方法(刷毛塗り、高温焼
付、スパッタリング等)等によって種々の方法があり、
具体的には特開昭60−152584号公報等に開示さ
れているが、本発明者らは、ゴム弾性体としてオルガノ
ポリシロキサンを選定した場合、表面皮膜としてポリパ
ラキシリレンを、皮膜形成方法として気相蒸着重合法を
選定することによって、外部との気体の透過、及び内部
よりの気体の放出を改善し、オイルやグリース等の潤滑
剤を使用することなくそれ自体で潤滑性を有し、耐熱、
耐寒、耐薬品等様々な特性を有するシリコーンゴム弾性
体が得られることを見出した。
【0026】本発明に使用するシリコーンゴム弾性体と
しては、図1に示す従来より公知の化学構造の側鎖が全
てメチル基であるポリジメチルシロキサンゴム(A)、
メチル基の一部をビニル基で置換したビニルシリコーン
ゴム(B)、メチル基の一部をフェニル基で置換したフ
ェニルシリコーンゴム(C)、ビニルシリコーンゴムの
側鎖にフッ化アルキル基を導入したフッ化シリコーンゴ
ム(D)等を使用することが出来る。
【0027】これら各シリコーンゴムは、フッ素ゴムと
同等の約300℃の耐熱性が有り、耐寒性に於いてはフ
ッ素ゴムを凌ぐ約−100℃に於いても使用可能であ
る。シリコーンゴムの最大の特徴は上述のように幅広い
使用温度範囲であるが、諸物性の温度による変化、即ち
感温性が他のゴム材料に比べて著しく小さいことも大き
な特徴であり、これらの諸性質によってシリコーンゴム
は他のゴム材料の追従を許さない。特に、前述のフッ化
シリコーンゴムは耐熱、耐寒性はもとより、耐油、耐溶
剤、耐薬品性の優れた万能ゴムである。
【0028】これら、シリコーンゴム原料は、可塑化の
ためのロール練りを経た後、混練作業が施される。ここ
で二種類以上のシリコーンゴム、場合によっては異種ゴ
ムを添加することも可能である。
【0029】次に、状況に応じて、酸化亜鉛、ベンガ
ラ、カーボンブラック等の着色料、タルク、無水珪酸、
珪酸アルミニウム等の補強剤等を添加した後、一般的に
はジクミルペルオキシド、ジターシャリーブチルペルオ
キシド、ベンゾイルペルオキシド等の有機過酸化物の添
加を行う。この時、必要に応じてトリアリルシアルラー
ト、トリメチロールプロパントリメタクリラート等の加
硫促進剤を添加しても良い。
【0030】最後にこれらシリコーンゴムは、圧縮、ト
ランスファー、射出等の加熱、加圧成型により、目的と
する成型物に成型され、次工程として以下に示すポリパ
ラキシリレンの蒸着が施される。
【0031】ここで本発明に於いては、シリコーンゴム
弾性体とポリパラキシリレンとの密着性を向上させる操
作は特に必要としないが、必要であれば放射線照射、コ
ロナ放電、酸処理、表面粗化、カップリング剤等の密着
性向上のための物理的、及び化学的処理を施しても良
い。
【0032】本発明に使用されるポリパラキシリレンの
基本的な構造、製造法、重合法等は米国特許第3379
803号公報、特公昭44−21353、特公昭45−
31787、特公昭52−37479号公報等に開示さ
れており、具体的には図2の化学式(A)〜(F)で定
義され(但しnは5000以上の整数)、単独で使用し
ても組み合わせて使用しても、何れでも良い。
【0033】得られた皮膜は、耐熱、耐寒性に優れ、各
種有機溶剤をはじめ酸、アルカリ等の耐薬品性に優れ、
各種気体の遮断性に優れ、伸縮追従性に優れる。又、皮
膜形成が気相重合法によるため細部、及び複雑な形状の
部分に於いてもコンフォーマル(同形)コーティングが
可能である。更に室温で蒸着するため基材への熱的障害
を与えない等の特徴がある。
【0034】上述のポリパラキシリレンの蒸着機構は図
3に示すように3つの工程よりなる。即ち、原料である
固体二重体のジパラキシリレンの気化が起こる第一工程
(A)、二量体の熱分解によるジラジカルパラキシリレ
ンの発生が起こる第二工程(B)、基材へのジラジカル
パラキシリレンの皮膜形成が起こる第三工程(C)であ
る。
【0035】この3つの工程を図2(A)を例に化学式
で示すと図3のようになるが、この工程中一般に、真空
度は10-3〜1Torrであり、第一工程は100〜2
00℃、第二工程は450〜700℃、第三工程は室温
にて行われる。
【0036】これら一連の工程に於いて、気相状態で生
成した二量体の熱分解生成物であるジラジカルパラキシ
リレンは細部への侵入性に優れるため、浸入し易いシリ
コーンゴム内部に入り込み、シリコーン分子鎖中のラジ
カル重合性残基とラジカル重合して、化学的に結合し安
定化するものと考えられる。
【0037】それ故、シリコーンゴム弾性体に蒸着した
ポリパラキシリレンの皮膜は、基材であるシリコーンと
の密着性に非常にすぐれたものとなり、これはシリコー
ンゴム弾性体に特異的なものであって、他の如何なるゴ
ム弾性体に於いても観察し得ない現象である。
【0038】本発明に使用されるポリパラキシリレンの
蒸着後の皮膜厚さは、気化させるジパラキシリレン(図
3(A))の量、蒸発時間等によってほぼ定量的に制御
することが可能であり、通常0.1〜75μm、好まし
くは0.2〜20μm、更に好ましくは1〜10μmで
あり、これ以上ではポリパラキシリレン皮膜の基材に対
する追従性が下がり、折り曲げ等によってポリパラキシ
リレン皮膜の白化、亀裂、更にひどい場合は基材との剥
離が生じる可能性があり、これ以下ではピンホールの発
生、耐薬品性の低下等、基本特性に支障をきたす可能性
がある。
【0039】このようにして、本発明は従来のシリコー
ンゴム弾性体の欠点であった外部よりの気体の透過、及
び内部よりの気体の放出を改善し、オイルやグリース等
の潤滑剤を使用することなく自体で潤滑性を有し、耐
熱、耐寒、耐薬品性等に優れたシリコーンゴム弾性体が
得られる。
【0040】次に本発明の実験例を説明するが、これら
は本発明の使用を制限するものではない。
【0041】実験例1 シリコーンゴムとしてKE951−U(信越化学工業社
製)、加硫剤としてC−8A(信越化学工業社製)を使
用し、KE951−U:C−8A=100:0.5(重
量比)の割合で混練を行った。これを175℃、8分
間、180kgf/cm2 の条件で2mmの厚さに一次
加硫後、200℃で4時間二次加硫を行った。
【0042】これをシリコーンゴム材料として、比較の
ため各種汎用有機ゴム材料であるフッ素ゴム(FK
M)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、天然ゴム
(NR)、イソプレンゴム(IR)、エチレンプロピレ
ンゴム(EPM)、ブチルゴム(IIR)を使用した。
【0043】これら実験例、及び比較例の各種ゴム材料
に、次に示す蒸着条件で、化学式(図2(D))で定義
することのできるポリモノクロロパラキシリレンの蒸着
皮膜を形成し、各ゴムテストピースに対して180℃、
10回の折り曲げ試験、及び碁盤目試験によって基剤へ
の追従性、及び密着性を観察した。
【0044】結果は表1に示す。なお、表中の記号は〇
=蒸着皮膜に変化なし、△=蒸着皮膜の白化、×=蒸着
皮膜の基剤との剥離、をそれぞれ示す。又、数字(点)
は、100個の碁盤目のうち、セロファンテープによる
剥離試験後もゴム基剤に残っていたポリモノクロロパラ
キシリレン皮膜の数を示す。
【0045】蒸着条件 ダイマー・・・・・モノクロロパラキシリレンダイマー
/6g 昇華温度・・・・・150℃ 分解温度・・・・・700℃ 蒸着時圧力・・・・20〜23mToor 蒸着膜厚・・・・・3μm(アルミ片換算)
【表1】 表1より、ポリモノクロロパラキシリレンはシリコーン
ゴム(Q)に蒸着した場合に、特異的に密着性と基材追
従性が良好であった。
【0046】実験例2 実験例1と同様にシリコーンゴムとしてKE951−
U、加硫剤としてC−8Aを使用し、KE951−U:
C−8A=100:0.5(重量比)の割合で混練を行
った。これを175℃、8分間、180kgf/cm2
の条件で2mmの厚さに一次加硫後、200℃で4時間
二次加硫を行った。
【0047】これに、次に示す条件で、ポリモノクロロ
パラキシリレンの蒸着皮膜を形成し、これに対して各種
気体、及び水蒸気の透過性の試験を行った。なお、比較
例としてポリモノクロロパラキシリレンの蒸着皮膜を形
成しないシリコーンゴムに対しても、同様の透過試験を
行った。試験結果を表2に示す。
【0048】蒸着条件 ダイマー・・・・・モノクロロパラキシリレンダイマー
/20g 昇華温度・・・・・150℃ 分解温度・・・・・690℃ 蒸着時圧力・・・・18〜21mToor 蒸着膜厚・・・・・10μm(アルミ片換算)
【表2】 (A)=P×108 cc・cm/cm2 ・sec・at
m (B)=(cm2 gas・cm厚み/sec・cm2
cmHgΔΡ)10-9 表2より、本発明に於けるポリモノクロロパラキシリレ
ン皮膜を施したシリコーンゴム(実験例)は、そうでな
いもの(比較例)に比べて気体透過性が著しく低く、ガ
スバリアー性に非常に優れている。
【0049】実験例3 実験例1と同様にシリコーンゴムを作成し、これを1m
m角のサイコロ状に成型し、実験例1と同様にポリパラ
キシリレンを蒸着した。これを 150℃×120分の
条件に於ける重量減少率を熱天秤によって測定した。
【0050】比較例として、ポリパラキシリレンを蒸着
しないサイコロ状シリコーンゴムについても同様の測定
を行った。結果を表3に示す。
【0051】
【表3】 表3より、実験例のシリコーンゴムの重量減少率は、比
較例のそれの1/3以下であり、本発明によってアウト
ガスの著しく少ないシリコーンゴムを得ることが可能と
なった。
【0052】実験例4 実験例1と同様にシリコーンゴムを作成し、次に示す蒸
着条件でポリモノクロロパラキシリレンの蒸着皮膜を形
成し、これの摩擦係数、及び耐磨耗性の試験を次の条件
下で行った。なお、比較例としてポリモノクロロパラキ
シリレンの蒸着皮膜を形成しないシリコーンゴム
(Q)、及び水素化ニトリルブタジエンゴム(H−NB
R)に対しても同様の試験を行った。結果を表4に示
す。
【0053】蒸着条件 ダイマー・・・・・モノクロロパラキシリレンダイマー
/15g 昇華温度・・・・・150℃ 分解温度・・・・・700℃ 蒸着時圧力・・・・20〜22mToor 蒸着膜厚・・・・・7μm(アルミ片換算) 試験条件 (1)摩擦係数/ASTMD1894に準拠 対象板・・・・・・ニッケルメッキダル鋼板 スレッド重量・・・200g 試験速度・・・・・150mm/min (2)耐磨耗性/BS903に準拠 研磨紙・・・・・・AA−240 押付け荷重・・・・3.62kgf
【表4】 表4より、本発明に於けるゴム弾性体は、静、動摩擦係
数、及び磨耗量共に、比較例のような他のゴム弾性体に
比べて著しく小さい値となっており、グリースやワック
ス等の潤滑剤なしでも優れた潤滑性を示した。
【0054】
【発明の効果】上述のように、本発明のシリコーンゴム
弾性体は、従来通りOA、電気、電子機器分野向けには
アノードキャップ、各種パッキン、キーパッド、イグニ
ッションワイヤー、PPCロール、プラテンロール等
に、自動車分野向けには各種シール、パッキン部品、ダ
イヤフラム、プラグブーツ、防水コネクター、各種ホー
ス類等に、建築分野向けには防振ゴム等に、医療分野向
けにはカテーテル類、ダイアライザーOリング、義乳、
乳首等に、スポーツ分野向けには水中メガネ、競泳用キ
ャップ、シュノーケル、ゴーグルバンド等に幅広く利用
することが可能である。
【0055】上述のOA、電気、電子分野に於いて、本
発明に於けるシリコーンゴム弾性体を電卓、ワードプロ
セッサー、各種コンピューターの端末等のキーパッドに
利用すれば、シリコーンゴム独特の柔らかな感触を損な
うことなく、シリコーンゴムを通じて内部に浸入する
汗、水分、塩分等を遮断出来るため、これらの汗、水
分、塩分等の浸入によるキーパッド内の接点の腐食を阻
止することが出来、機器の寿命を大幅に延ばすことが可
能となる。
【0056】又、自動車分野に於いて、現在特定フロン
の一つR12から代替フロンの134aに切り替えつつ
あるが、R12と134aの両方に耐え得るゴム材料と
して本発明のシリコーンゴム弾性体は、これらフロン材
料の気体透過性は勿論のこと、フロン材料そのものに対
する耐性も兼ね備えている。
【0057】更にエネルギー資源の問題、排気ガス規制
の問題等からガソリンにメタノールやエタノールを添加
したいわゆる混合ガソリンが今後増加する見通しであ
り、これに伴い、燃料系統周辺のシール剤をはじめとす
る箇所に於いて、混合ガソリンに耐え得る特性を有する
ゴム材料として、併せて、益々拍車のかかる自動車の高
級化、ロングライフ化、高出力化に伴う周辺環境の高温
度化に対応出来うる特性をも有する。
【0058】又、自動車に於いて本発明のシリコーンゴ
ム弾性体の優れた滑り性を活用して、サーモスタットの
部品として金属との摺動部分用ゴム材料に応用出来、コ
ストの削減、メンテナンスフリーのサーモスタットの実
現が可能である。
【0059】建築分野では建築用の免震用積層ゴムとし
て利用することによって、シリコーンゴムの優れたゴム
弾性と、ポリパラキシリレン皮膜による滑り性とによっ
て、地震等による揺れを滑りの力に変換して建築物その
ものの揺れを吸収することが可能である。
【0060】医療分野では上述の他、人工血管、眼鏡用
パッド等としても利用することが可能である。人工血管
等生体内で使用する場合には、シリコーンゴム中に含ま
れていて、徐徐に外部にブリード、又はブルームしてく
る生体に有害な未反応有機化合物や各種添加剤をシリコ
ーンゴム内に封鎖することが出来、生体に対する影響が
全くない。
【0061】スポーツ分野では特に競泳用帽子に応用す
れば、水に対する抵抗が減少し、記録の短縮も可能であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】シリコーンゴム弾性体の化学構造式で、(A)
は側鎖が全てメチル基であるポリジメチルシロキサンゴ
ム、(B)はメチル基の一部をビニル基で置換したビニ
ルシリコーンゴム、(C)はメチル基の一部をフェニル
基で置換したフェニルシリコーンゴム、(D)はビニル
シリコーンゴムの側鎖にフッ化アルキル基を導入したフ
ッ化シリコーンゴムである。
【図2】ポリパラキシリレンの基本的なものの化学式
で、(A)〜(F)(但し、nは5000以上の整数)
はそれぞれの種類の化学式である。
【図3】ポリパラキシリレンの一種類の化学式の場合を
例にした工程図で、(A)は固体二量体の気化が起こる
状態の第一工程図、(B)は二量体が熱分解した状態の
第二工程図、(C)は高分子量の成膜形成が起こる状態
の第三工程図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 オルガノポリシロキサンのゴム弾性体の
    表面にポリパラキシリレン皮膜を気相蒸着重合法により
    形成せしめてなることを特徴とするシリコーンゴム弾性
    体。
JP10394493A 1993-04-30 1993-04-30 シリコーンゴム弾性体 Pending JPH06313059A (ja)

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