JPH06308415A - 光偏向器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 回転多面鏡のカバーの窓から出入する空気に
よる騒音を低減する。 【構成】 回転多面鏡１はカバー２によって覆われてお
り、カバー２の円筒部分２ａは、回転多面鏡１の外周面
の反射面１ｂに照射されるレーザ光を通過させる窓３を
有する。窓３の、円筒部分２ａの内面側に開口する内側
開口端３ａは面取りされており、これによって窓３の断
面が円筒部分２ａの内面に向って拡大し、窓３を通る空
気が急激に絞られて大きな騒音を発生することのないよ
うに構成されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、レーザプリンタ等にお
いてレーザ光等を高速度で偏向走査する光偏向器に関す
るものである。

【０００２】

【従来の技術】レーザプリンタやレーザファクシミリ等
の光偏向器は、近年特に高速化が進み、これに用いられ
る回転多面鏡は毎分１万数千回転以上の高速回転を行
う。回転多面鏡をこのような高速度で回転させると、回
転中の風切音が増大し、大きな騒音を発生するため、回
転多面鏡の周囲は略円筒状のカバーで覆われている。

【０００３】図６は一般的な光偏向器の全体を説明する
もので、光学箱１００に取り付けられたレーザ発振器１
１０から発生されたレーザ光Ｌはシリンドリカルレンズ
１０５によって所定のビーム形状に集光されたのち、回
転多面鏡１０１によって偏向走査され、結像レンズ系１
０６を経て感光ドラム１０７上に結像する。回転多面鏡
１０１によって反射されたレーザ光の一部は反射ミラー
１０８によって光ファイバ１０９に導入され、走査開始
信号に変換される。

【０００４】図５は回転多面鏡１０１とその駆動部を示
すもので、回転多面鏡１０１の駆動部は、回転軸１１１
と、これに一体的に結合されたロータマグネット１１２
と、回転軸１１１を支承する軸受装置１１３と一体であ
るステータコイル１１４と、ステータコイル１１４に駆
動電流を供給する回路基板１１５を有し、回転多面鏡１
０１は、波型ワッシャ１１６ａと平型ワッシャ１１６ｂ
と止め輪１１６ｃからなる押え機構１１６によって、回
転軸１１１と一体であるフランジ部材１１１ａに押圧さ
れ、これによって回転軸１１１と一体化されている。回
転多面鏡１０１は略円筒状のカバー１０２によって覆わ
れており、これによって、回転多面鏡１０１の回転に伴
う空気の流動を制限し、風切音の発生を低減するととも
に、風切音が外部へ洩れるのを防ぐ。なお、カバー１０
２の円筒部分１０２ａにはレーザ光を通過させる窓１０
３が設けられている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来
の技術によれば、回転多面鏡の高速回転に伴ってカバー
の窓から出入する空気が、窓を通過するときに急激に絞
られるためにカバーの内外で渦を発生し、騒音の一因と
なる。

【０００６】本発明は、上記従来の技術の問題点に鑑み
てなされたものであり、回転多面鏡の高速回転に伴って
カバーの窓から出入する空気による騒音を低減できる光
偏向器を提供することを目的とするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明の光偏向器は、外周面に照射された照明光を偏
向走査する回転多面鏡と、その外周面を覆う円筒部分を
有するカバーからなり、該カバーの円筒部分に前記照明
光を通過させる開口が設けられており、該開口の断面
が、前記円筒部分の内面および外面の少くとも一方の近
傍でこれに近づくにつれて拡大していることを特徴とす
る。

【０００８】また、カバーの円筒部分が開口の少くとも
一部分を囲む突出部を有し、該突出部が、前記カバーの
円筒部分から遠ざかるにつれて拡大する流路を形成して
いればよい。

【０００９】

【作用】回転多面鏡が高速度で回転すると、これに伴っ
てカバーの内部の空気が高速度で流動し、一部は回転多
面鏡の回転方向に旋回しながらカバーの開口から流出す
る。開口の断面がカバーの円筒部分の内面に向って拡大
していれば、開口を通る空気は徐々に絞られるため、カ
バーの円筒部分の内側に渦が発生するのを防ぐことがで
きる。その結果、開口から流出する空気による騒音を低
減できる。また、開口から流出する空気が回転多面鏡の
回転方向に旋回するため、同方向上流側では負圧が発生
し、新たな空気が開口からカバー内へ流入する。開口の
断面がカバーの円筒部分の外面に向って拡大していれ
ば、流入する空気が徐々に絞られるため、カバーの円筒
部分の外側に渦が発生するのを防ぐことができる。その
結果、開口から流入する空気による騒音を低減できる。

【００１０】

【実施例】本発明の実施例を図面に基づいて説明する。

【００１１】図１は第１実施例の主要部を示す部分模式
断面図であって、本実施例の回転多面鏡１は、駆動部１
ａによって回転され、その外周面の反射面１ｂに照射さ
れたレーザ光を偏向走査し、図示しない結像レンズ系を
経て感光ドラムに結像させる。回転多面鏡１は略円筒状
のカバー２によって覆われており、カバー２は、回転多
面鏡１の反射面１ｂを含む外周面をほぼ同心的に包囲す
る円筒部分２ａを有し、円筒部分２ａは前記レーザ光を
通過させるための開口である窓３を有する。

【００１２】回転多面鏡１が高速度で回転すると、これ
に伴ってカバー２内の空気が高速度で流動し、その一部
は回転多面鏡１の回転方向に旋回しながら窓３から流出
する。このように高速度で流出する空気が窓３によって
急激に絞られるとカバー２の内側に渦を発生し、大きな
騒音を生じる。また、窓３の前記回転方向上流側では負
圧が発生し、このために新たな空気がカバー２内へ流入
する。このように、流入する空気が窓３によって急激に
絞られるとやはり渦を発生し、騒音の一因となる。カバ
ー２は、回転多面鏡を駆動するモータの回路基板４に取
り付けられている。

【００１３】本実施例においては、カバー２の円筒部分
２ａの内面側に開口する内側開口端３ａを面取りするこ
とで窓３の断面を円筒部分２ａの内面に向って拡大し、
窓３から流出する空気が、窓３によって急激に絞られる
ことなく、連続的に滑かに流動するように構成し、これ
によって、窓３から流出する空気による騒音を大幅に低
減する。

【００１４】また、図２に示すように、円筒部分２ａの
内面側に開口する内側開口端３ａを面取りする替わり
に、カバー１２の円筒部分１２ａの外面側に開口する外
側開口端１３ｂを面取りすれば、窓１３からカバー１２
内へ流入する空気が、窓１３によって急激に絞られて騒
音を発生するのを防ぐことができる。なお、カバーの円
筒部分の内側開口端と外側開口端の両方を面取りすれ
ば、より一層騒音を低減できることは言うまでもない。
実験によれば、カバーの円筒部分の窓の両開口端を面取
りした場合には、騒音が３ｄＢ〜５ｄＢ少くなることが
判明している。

【００１５】図３は第２実施例の主要部を示す部分模式
断面図であって、本実施例の回転多面鏡２１は、第１実
施例と同様の略円筒状のカバー２２によって覆われてお
り、カバー２２の円筒部分２２ａは、第１実施例の窓３
と同様の窓２３と、これを囲む略筒状の突出部２４を有
し、窓２３の内側開口端２３ａは第１実施例の窓３の内
側開口端３ａと同様に面取りされている。突出部２４
は、カバー２２の円筒部分２２ａと一体的に設けられて
おり、カバー２２から窓２３を通って流出する空気を回
転多面鏡２１の径方向外方へ連続的に流動させる流路２
４ａを形成する。流路２４ａの下流側に開口する流路開
口端２４ｂは面取りされており、流路２４ａを通ってカ
バー２２へ流入する空気が急激に絞られることなく連続
的に滑かに流動するように構成されている。すなわち、
窓２３のまわりを略筒状の突出部２４によって囲むこと
により、窓２３を通って出入する空気の量を減少させて
窓２３から出入する空気による風切音を減少させるとと
もに、カバー２２内で回転多面鏡２１の高速回転によっ
て発生する風切音が外部へ洩れるのを防ぎ、加えて、前
述のように、窓２３の内側開口端２３ａおよび突出部２
４の流路開口端２４ｂをそれぞれ面取りすることで、窓
２３および流路２４ａから出入する空気を滑かに流動さ
せて渦の発生を防ぎ、光偏向器の騒音を大幅に低減す
る。

【００１６】なお、図４に示すように、カバー２２と同
様のカバー３２の窓３３の内側開口端３３ａを面取りす
ることなく、突出部２４と同様の突出部３４の流路開口
端３４ｂのみを面取りするだけでも、騒音防止に大きな
効果がある。

【００１７】また、前記突出部２４，３４は、いずれも
窓２３，３３を全体的に囲む筒状体であるが、窓の一部
を囲む案内部材であってもよい。

【００１８】以上の実施例ではカバーはモータの回路基
板に取り付けられているが、カバーを光学箱内部を密閉
する蓋と一体に設けても、同様の効果が期待できる。

【００１９】

【発明の効果】本発明は上述のとおり構成されているの
で、以下に記載するような効果を奏する。

【００２０】回転多面鏡を覆うカバーの窓から出入する
空気による騒音を大幅に低減し、騒音の少ない光偏向器
を実現できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】第１実施例の主要部を示す部分模式断面図であ
る。

【図２】第１実施例の一変形例の主要部を示す部分模式
斜視図である。

【図３】第２実施例の主要部を示す部分模式斜視図であ
る。

【図４】第２実施例の一変形例の主要部を示す部分模式
斜視図である。

【図５】従来例の主要部を示す部分模式断面図である。

【図６】一般的な光偏向器を説明する説明図である。

【符号の説明】

１，２１ 回転多面鏡 １ｂ 反射面 ２，１２，２２，３２ カバー ２ａ，１２ａ，２２ａ 円筒部分 ３，１３，２３，３３ 窓 ３ａ，２３ａ，３３ａ 内側開口端 １３ｂ 外側開口端 ２４，３４ 突出部 ２４ａ 流路 ２４ｂ，３４ｂ 流路開口端

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鍋田 昇 東京都大田区下丸子３丁目30番２号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 冨田 健一 東京都大田区下丸子３丁目30番２号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 鈴木 康夫 東京都大田区下丸子３丁目30番２号 キヤ ノン株式会社内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 外周面に照射された照明光を偏向走査す
   る回転多面鏡と、その外周面を覆う円筒部分を有するカ
   バーからなり、該カバーの円筒部分に前記照明光を通過
   させる開口が設けられており、該開口の断面が、前記円
   筒部分の内面および外面の少くとも一方の近傍でこれに
   近づくにつれて拡大していることを特徴とする光偏向
   器。
2. 【請求項２】 カバーの円筒部分が開口の少くとも一部
   分を囲む突出部を有し、該突出部が、前記カバーの円筒
   部分から遠ざかるにつれて拡大する流路を形成している
   ことを特徴とする請求項１記載の光偏向器。