JPH06307357A - スクロール圧縮機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 制御不能領域の解消と良好な容量制御を行う
ことができ、かつ容量可変範囲が広く高効率な容量制御
機構を備えたスクロール圧縮機を提供すること。 【構成】 端板にうず巻体を立設してなる一対の固定ス
クロール４２と可動スクロール５２とを噛合せて両スク
ロール間に圧縮室110,111,112 を形成し、可動スクロー
ル５２を円軌道運動させて圧縮室110,111.112 に流体を
取り込み、圧縮室をその容積を減少させながら中心側へ
移動させて流体を圧縮すると共に、固定スクロール４２
に圧縮室111,112 と吸入室５８側との間を連通するパイ
パスポートを形成し、バイパスポートに設けた開閉機構
により圧縮室111,112 から流体を吸入室５８側へバイパ
スさせて圧縮機容量を制御する機能を備えたスクロール
圧縮機において、バイパスポートを開閉するバイパスピ
ストン１３０と、バイパスピストン１３０を駆動するモ
ータ１３１とで、開閉機構を構成したことを特徴とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、スクロール圧縮機に係
わり、特に圧縮機容量制御の改良をはかったスクロール
圧縮機に関する。

【０００２】

【従来の技術】図８に、従来の容量制御機構付スクロー
ル圧縮機の部分断面図を示す。この種のスクロール圧縮
機では、同圧縮機により圧縮される流体の容積を制御す
るために次のようにしている。一般的には、例えば吸入
室５８から圧縮室１１０，１１１，１１２に吸入した流
体を、圧縮室に設けたバイパス孔１２１ａ，１２２ａを
バイパスピストン１３０ａを軸方向に摺動させて開閉す
ることにより、吸入室５８側へバイパスさせている（特
願昭 63-199998号）。

【０００３】バイパスピストン１３０ａの位置制御は、
例えば吐出圧力ガスと吸入圧力ガスから自動式圧力制御
弁１５２により発生させた制御圧力、或いは電気式圧力
制御弁により発生させた制御圧力をバイパスピストンヘ
ッド室１０１に導き、その制御圧力とバネ１３１ａ及び
バイパスピストン後流室１００の圧力（実際には吸入圧
力に近似できる）とのバランスによりバイパスピストン
１３０ａの位置制御を行っている（実願昭62-43418
号）。

【０００４】圧縮機が運転されていない状態では、 吐出圧力＝吸入圧力＝制御圧力 となり、バネ力により図８に示すバイパス孔１２１ａ，
１２２ａは全開状態となる。なお、図中の１３はハウジ
ング、４１は端板、４２は固定スクロール、５２は可動
スクロール、５４はＯリングを示している。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
スクロール圧縮機にあっては次のような問題があった。
即ち、吐出圧力を示すガスと吸入圧力を示すガスから制
御圧力を発生させる制御弁を用いているため、高効率で
広範囲な容量制御率を得るためバイパス孔面積及びバイ
パス孔位置を十分大きく広く設置した圧縮機では、低外
気温での低回転数起動時において、圧縮室に吸入した流
体の殆どがバイパス孔から流出し、近似的に 吐出圧力＝吸入圧力（吸入圧力＝制御圧力） となり、制御不能領域が存在する。そこで、この制御不
能領域をできるだけ狭くするため、実際には効率及び容
量制御率を多少犠牲にする必要があった。

【０００６】また、従来のスクロール圧縮機では、吐出
圧力ガスと吸入圧力ガスから制御圧力を発生させる制御
弁を用いているため、制御弁に流入する吐出圧力ガスの
状態、即ち油の混入量，吐出圧力脈動等の影響を受け、
制御圧力特性が変化し、必要な制御特性から逸脱するこ
とがあった。

【０００７】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
もので、その目的とするところは、制御不能領域の解消
と良好な容量制御を行うことができ、かつ容量可変の範
囲が広く高効率な容量制御機構を備えたスクロール圧縮
機を提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明は、次のような構成を採用している。即ち本発
明（請求項１）は、端板にうず巻体を立設してなる一対
の固定スクロールと可動スクロールとを噛合せて両スク
ロール間に圧縮室を形成し、可動スクロールを自転阻止
機構によりその自転を阻止しながら駆動機構を介して円
軌道運動させることにより圧縮室に流体を取り込み、同
圧縮室をその容積を減少させながら中心側へ移動させて
流体を圧縮すると共に、固定スクロールに圧縮室と吸入
室側との間を連通するパイパスポートを形成し、同バイ
パスポートに設けた開閉手段により圧縮室から流体を吸
入室側へバイパスさせて圧縮機容量を制御する容量制御
機構を備えてなるスクロール圧縮機において、開閉手段
を、バイパスポートを開閉するバイパスピストン（回転
型バイパスピストン又はスライド型バイパスピストン）
と、同バイパスピストンを駆動するモータとで構成して
なることを特徴とする。

【０００９】また本発明（請求項４）は、端板にうず巻
体を立設してなる一対の固定スクロールと可動スクロー
ルとを噛合せて両スクロール間に圧縮室を形成し、可動
スクロールを自転阻止機構によりその自転を阻止しなが
ら駆動機構を介して円軌道運動させることにより圧縮室
に流体を取り込み、同圧縮室をその容積を減少させなが
ら中心側へ移動させて流体を圧縮すると共に、固定スク
ロールに圧縮室と吸入室側との間を連通するパイパスポ
ートを形成し、同バイパスポートに設けた開閉手段によ
り圧縮室から流体を吸入室側へバイパスさせて圧縮機容
量を制御する容量制御機構を備えてなるスクロール圧縮
機において、開閉手段を、固定スクロールの反うず巻体
側背面に回転可能に設置されてバイパスポートを開閉す
る開閉板と、同開閉板を回転駆動するモータとで構成し
てなることを特徴とする。

【００１０】また、本発明の望ましい実施態様として
は、次のものが上げられる。 (1) バイパスピストンをモータ軸に連結し、モータと共
に回転してバイパスポートを開閉する回転型バイパスピ
ストンとなしたこと。 (2) バイパスピストンをモータ軸に形成されたねじ軸部
に螺合し、モータの回転によりスライドしてバイパスポ
ートを開閉するスライド型バイパスピストンとなしたこ
と。 (3) バイパスポートを固定スクロールのうず巻体の背側
曲線及び／又は復側曲線に沿って複数個所設け、同バイ
パスポートを前記開閉板に設けたバイパス溝で順次開閉
可能となしたこと。

【００１１】

【作用】本発明では、バイパスピストンの作動にガス圧
力を用いないため、前述した低外気温での低回転数起動
時において、電気信号によりバイパスピストン位置を任
意の位置（例えば起動時の液圧縮等を避けるためバイパ
ス孔が全開でなく部分開口した位置）に設定でき、液圧
縮起動の回避と共に、制御不能領域の解消が可能とな
る。

【００１２】また、同上の理由から、十分なバイパス孔
面積が設定できると共に、構成上スクロールプロファイ
ルに沿って連続的にバイパス孔を設定でき、広範囲な運
転に対し、高効率で広範囲な容量制御率を持った容量制
御機構を可能とする。さらに本発明では、バイパスピス
トンの作動がガス圧力を用いた間接的なものでなく、モ
ータによる直動のため、より良好な容量制御特性が得ら
れる。

【００１３】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。 （実施例１）図１は、本発明の第１の実施例に係わるス
クロール圧縮機の構成を示す部分断面図である。筒状の
ハウジング１３に固定スクロール４２を図示しないネジ
により取り付けている。５２は可動スクロールで、両ス
クロール４２，５２の歯形間には密閉された圧縮室１１
０，１１１，１１２が形成されている。そして、固定ス
クロール４２に対し可動スクロール５２を円軌道運動さ
せることにより、吸入室５８から圧縮室１１１，１１２
に流体を取り込んで圧縮しつつ次第にスクロール歯形の
中央部に移動させ、図示しない吐出ポートから吐出チャ
ンバへ流体を流出する。

【００１４】ここで、固定スクロール４２は、端板４１
にうず巻体を立設して構成される。可動スクロール５２
は、図示しない自転阻止機構によりその自転を阻止しな
がら駆動機構を介して円軌道運動されるものとなってい
る。

【００１５】圧縮室１１１，１１２には、バイパス孔１
２１，１２２が設けてあり、その流出側にバイパスピス
トン１３０が滑動可能なバイパスシリンダ１２３が設け
てある。バイパスピストン１３０の一端にはネジ孔１３
０ａ、回転止め用ピン孔１３０ｂが設けてあり、モータ
１３１の駆動軸１３１ａとネジ孔１３０ａを螺合し、ま
たモータ１３１の端面で偏心させた位置に設けた回転止
め用ピン１３１ｂをピン孔１３０ｂに挿入し構成してあ
る。

【００１６】モータ１３１はスナップリング１３２によ
りラジアル方向への抜け止め、固定部材１３３により回
転止めを施してある。モータ１３１への電気信号は端子
１３４、圧縮機内外のシール機能を備えた端子１３５、
リード線１３６により送信する構造となっている。モー
タ１３１としては、パルスモータが公知であり、ロータ
回転位置はパルスの符号と数に応じて任意設定可能であ
るから、バイパスピストン１３０の位置はネジを介して
自在に制御され、即ちバイパス通路の開度制御が可能で
ある。

【００１７】このように本実施例によれば、バイパス孔
１２１，１２２を開閉するバイパスピストン１３０と同
ピストン１３０を駆動するモータ１３１とで開閉機構を
構成しているので、圧縮機の運転状態に拘らずバイパス
ピストン１３０の位置を任意に設定することができる。
このため、容量制御率を任意に選べる等、制御不能領域
がなくなり、より細かい良好な容量制御が可能となる。

【００１８】また、上記理由から、十分なバイパス孔１
２１，１２２の面積を任意に設定することができ、広範
囲な運転に対し、高効率で広範囲な容量制御率を持った
容量制御機構が可能となる。さらに、バイパスピストン
１３０をガス圧力で作動させる方式に比べ、ガス導入通
路，ガス導入孔，圧力の異なった室のシール等が不要と
なり、構造が簡単となる利点がある。 （実施例２）図２は、本発明の第２の実施例に係わるス
クロール圧縮機の構成を示す部分断面図である。なお、
図１と同一部分には同一符号を付して、その詳しい説明
は省略する。

【００１９】この実施例が第１の実施例と異なる点は、
バイパスピストン１３０の駆動の仕方にある。即ち、バ
イパスピストン１３０の一端には孔１３０ａが設けてあ
り、モータ１３１の駆動軸１３１ａとナット１３７によ
りバイパスピストン１３０を駆動軸１３１ａに固定す
る。

【００２０】図３に本実施例におけるバイパスピストン
１３０の斜視図を示す。バイパスピストン１３０の周面
に沿って、前記バイパス孔１２１，１２２に対応する通
路１４０，１４１がそれぞれ設けられている。図４に
は、バイパスピストン１３０に設けた通路１４０，１４
１がバイパス孔１２１，１２２に対して、回転すること
により開口する状態図を示す。

【００２１】図４において、（ａ）はバイパス孔１２
１，１２２が通路１４０，１４１に開口してしない状態
を示し、フルロード状態である。（ｂ）はピストン１３
０が回転しバイパス孔１２１が通路１４１に開口した状
態を示し、パーシャル状態である。（ｃ）はさらにピス
トン１３０が回転し、バイパス孔１２１が通路１４１に
開口し、バイパス孔１２２が通路１４０に開口した状態
を示し、フルキャパコン状態である。

【００２２】このような構成であれば、モータ１３１の
回転によりバイパスピストン１３０を回転駆動すること
によって、図４に示すようにバイパス孔１２１，１２２
を任意に開閉制御することができる。従って、先に説明
した第１の実施例と同様の効果が得られる。 （実施例３）図５は、本発明の第３の実施例に係わるス
クロール圧縮機の構成を示す部分断面図である。なお、
図１と同一部分には同一符号を付して、その詳しい説明
は省略する。

【００２３】この実施例が第１の実施例と異なる点は、
バイパスピストンの代わりに開閉板を設けたことにあ
る。圧縮室１１１，１１２にはバイパス孔１２１（121-
1,121-2,121-3 …），１２２（122-1,122-2,122-3 …）
を設けており、その流出側に開閉板１４３が滑動可能に
設けてある。図６に、これらのバイパス孔の設定位置を
示す。

【００２４】開閉板１４３の中央部にはラジアル軸受け
１２４を内蔵しており、固定スクロール４２の中央部に
設けた吐出ポートに固定の吐出管１２６で回転可能とな
っている。また、開閉板１４３の一端にはスラスト荷重
を受けるためのスラスト軸受け１２７，スラストプレー
ト１２８，開閉板１４３を固定スクロール４２の背面に
押し当てるためのバネ１２９を備えている。

【００２５】また、ハウジング１３に圧入し固定したモ
ータ１３１とギア１４４を介して開閉板１４３と連結し
モータ１３１の駆動力を伝達する構造とした。開閉板１
４３には図７に示すように、バイパス溝１２５（125-1,
125-2 ）を設けており、回転することにより固定スクロ
ールプロファイルを形成する腹側及び背側曲線上に連続
的に設けたバイパス孔を順次開閉し、バイパスした冷媒
ガスはチャンバ１４５，通路１４６（146-1,146-2 ）を
通って吸入チャンバ５８へ流出する。

【００２６】このような構成であれば、モータ１３０の
回転により開閉板１４３を回転駆動することによって、
バイパス孔１２１，１２２を任意に開閉制御することが
できる。従って、第１の実施例と同様の効果が得られ
る。なお、本発明は上述した各実施例に限定されるもの
ではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形して
実施することができる。

【００２７】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、バ
イパスポートを開閉するバイパスピストンと、同バイパ
スピストンを駆動するモータとでバイパスポートの開閉
機構を構成、又は固定スクロールの反うず巻体側背面に
回転可能に設置されてバイパスポートを開閉する開閉板
と、同開閉板を回転駆動するモータとでバイパスポート
の開閉機構を構成しているので、制御不能領域の解消と
良好な容量制御を行うことができ、かつ容量可変の範囲
が広く高効率な容量制御機構を備えたスクロール圧縮機
を実現することが可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】第１の実施例に係わるスクロール圧縮機の構成
を示す部分断面図。

【図２】第２の実施例に係わるスクロール圧縮機の構成
を示す部分断面図。

【図３】第２の実施例に用いたバイパスピストンの構成
を示す斜視図。

【図４】第２の実施例におけるバイパスピストンの回転
状態を示す模式図。

【図５】第３の実施例に係わるスクロール圧縮機の構成
を示す部分断面図。

【図６】第３の実施例におけるバイパス孔の設定位置を
示す平面図。

【図７】第３の実施例に用いた開閉板の構造を示す平面
図。

【図８】従来の容量制御機構付スクロール圧縮機の構成
を示す部分断面図。

【符号の説明】

１３…ハウジング ４１…端板 ４２…固定スクロール ５２…可動スクロ
ール ５８…吸入室 １１０，１１１，
１１２…圧縮室 １２１，１２２…バイパス孔 １２３…バイパス
シリンダ １２４…ラジアル軸受 １２５…バイパス
溝 １２６…吐出管 １２７…スラスト
軸受け １２８…スラストプレート １２９…バネ １３０…バイパスピストン １３０ａ…ネジ孔 １３０ｂ…回転止め用ピン孔 １３１…モータ １３１ａ…駆動軸 １３１ｂ…回転止
め用ピン １３２…スナップリング １３３…固定部材 １３４，１３５…端子 １３６…リード線 １３７…ナット １４０，１４１…
通路 １４３…開閉板 １４４…ギア １４５…チャンバ １４６…通路

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】端板にうず巻体を立設してなる一対の固定
   スクロールと可動スクロールとを噛合せて両スクロール
   間に圧縮室を形成し、前記可動スクロールを自転阻止機
   構によりその自転を阻止しながら駆動機構を介して円軌
   道運動させることにより前記圧縮室に流体を取り込み、
   同圧縮室をその容積を減少させながら中心側へ移動させ
   て流体を圧縮すると共に、前記固定スクロール端板に前
   記圧縮室と吸入室側との間を連通するパイパスポートを
   形成し、同バイパスポートに設けた開閉手段により前記
   圧縮室から流体を吸入室側へバイパスさせて圧縮機容量
   を制御する容量制御機構を備えてなるスクロール圧縮機
   において、 前記開閉手段を、前記バイパスポートを開閉するバイパ
   スピストンと、同バイパスピストンを駆動するモータと
   で構成してなることを特徴とするスクロール圧縮機。
2. 【請求項２】前記バイパスピストンをモータ軸に連結
   し、モータと共に回転してバイパスポートを開閉する回
   転型バイパスピストンとなしたことを特徴とする請求項
   １記載のスクロール圧縮機。
3. 【請求項３】前記バイパスピストンをモータ軸に形成さ
   れたねじ軸部に螺合し、モータの回転によりスライドし
   てバイパスポートを開閉するスライド型バイパスピスト
   ンとなしたことを特徴とする請求項１記載のスクロール
   圧縮機。
4. 【請求項４】端板にうず巻体を立設してなる一対の固定
   スクロールと可動スクロールとを噛合せて両スクロール
   間に圧縮室を形成し、前記可動スクロールを自転阻止機
   構によりその自転を阻止しながら駆動機構を介して円軌
   道運動させることにより前記圧縮室に流体を取り込み、
   同圧縮室をその容積を減少させながら中心側へ移動させ
   て流体を圧縮すると共に、前記固定スクロール端板に前
   記圧縮室と吸入室側との間を連通するパイパスポートを
   形成し、同バイパスポートに設けた開閉手段により前記
   圧縮室から流体を吸入室側へバイパスさせて圧縮機容量
   を制御する容量制御機構を備えてなるスクロール圧縮機
   において、 前記開閉手段を、前記固定スクロール端板の反うず巻体
   側背面に回転可能に設置されてバイパスポートを開閉す
   る開閉板と、同開閉板を回転駆動するモータとで構成し
   てなることを特徴とするスクロール圧縮機。
5. 【請求項５】前記バイパスポートを前記固定スクロール
   のうず巻体の背側曲線及び／又は復側曲線に沿って複数
   個所設け、同バイパスポートを前記開閉板に設けたバイ
   パス溝で順次開閉可能となしたことを特徴とする請求項
   ４記載のスクロール圧縮機。