JPH06307215A - 電磁駆動バルブ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】吸排気バルブの駆動時の衝撃力を生ずる部材を
なくすとともにストロークが長くても十分な駆動力が得
られる電磁駆動バルブ。 【構成】電磁バルブ１のステム１１の上方に磁性体のリ
ング状の可動子４を取付け、これを吸引駆動する電磁機
構５として２段のＡコイル５１、Ｂコイル５２により励
磁されるコア５３を設け、それぞれの磁気空隙のＡ空隙
５１１とＢ空隙５２１を隣接させる。駆動時には両空隙
５１１、５２１と可動子４との相対位置に応じ順次に両
コイル５１、５２への通電を制御し、電磁バルブ１を上
下駆動し開閉弁させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は内燃機関のシリンダの吸
排気口に設けられ、電磁力により駆動されて開閉する電
磁駆動バルブに関する。

【０００２】

【従来の技術】シリンダの吸排気口に設けられて流路を
開閉するバルブは、通常クランク軸の回転に基づくタイ
ミングベルトなどの部材を介して駆動されており、駆動
源のクランク軸とは機械的な連係のため、開閉の自由度
が小さいので、この自由度を大きくした電磁バルブが開
発されている。

【０００３】この種の電磁バルブには、リニア直流モー
タと電磁ソレノイドとの電磁力を組合わせ、初期駆動力
は吸着板などを吸引する電磁ソレノイドで行い、駆動し
てからの制御はリニア直流モータを用いるものがあり、
また、平板型の電磁石を使用するものでは本出願人によ
る出願として特開平２−１２３２１０号公報にバルブ制
御装置が開示されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上述の前者のリニア直
流モータと電磁ソレノイドとを用いた方式ではバルブの
リフト時および着座時に吸着板が大きな衝撃力を受け、
このため耐久性の点から不利であり、また可動体がソレ
ノイドと直流モータとの合計となるため重量が増加する
という問題がある。

【０００５】なお後者の平板型の電磁石では上述の衝撃
力の不都合が解消されず、さらに平板型では駆動するス
トロークが長いと磁束密度が減じて十分な初期駆動力が
得られないという欠点がある。

【０００６】本発明はこのような問題に鑑みてなされた
ものであり、その目的は電磁バルブの初期駆動力を確保
するとともに、衝撃力の点をも解消しようとする電磁駆
動バルブを提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに本発明によれば、プランジャ型の電磁ソレノイドの
吸引力により吸排気バルブに取付けた磁性体からなる可
動子を駆動して開閉弁する電磁駆動バルブにおいて、前
記の吸排気バルブの駆動方向に直列に配置された二組の
電磁ソレノイドと、これらの電磁ソレノイドの励磁コイ
ルへの通電を前記可動子の移動に応じて順次に制御する
通電制御手段とを備えた電磁駆動バルブが提供される。

【０００８】

【作用】プランジャ型電磁石の吸引力を生ずる空隙部を
隣接させて二段に配置し、磁性体の可動子の移動に応じ
て電磁石への通電を順次に制御するので、ストロークが
多少長くても十分な駆動力が得られる。

【０００９】

【実施例】つぎに本発明の実施例について図面を用いて
詳細に説明する。図１は本発明にかかる電磁駆動バルブ
の一実施例を示す縦断面図である。同図において、１は
電磁バルブで、そのステム１１はバルブガイド１２によ
り軸支され、下方の弁部１３は閉弁時にシリンダ２の内
壁のバルブシート２１に着座して流路を閉鎖する。

【００１０】３はスプリングであり、ステム１１の所定
位置に設けられたアッパーシート１４と、シリンダ２の
外壁との間に配置され、その弾性力によってステム１１
を上方に引上げて電磁バルブ１を閉弁位置に偏倚させ
る。

【００１１】４は強磁性体からなる中空円筒の可動子で
アッパーシート１４に取付けられ、その外周に配置され
た電磁機構５の電磁力により上下方向に駆動され、電磁
バルブ１を開閉させるものであり、アッパーシート１４
の上方にはバルブ押え１５が取付けられている。

【００１２】電磁機構５は上下に２段のＡコイル５１、
Ｂコイル５２と、これらのコイルに励磁される図示のよ
うな形状のコア５３とを備え、両コイルに挟まれた部分
の中コア５３１の内側上下にＡ空隙５１１およびＢ空隙
５２１が形成されている。したがってＡコイル５１に通
電するとＡ空隙５１１に磁場が生じ、また、Ｂコイル５
２に通電するとＢ空隙５２１に磁場が生じるように構成
されている。

【００１３】図２は本実施例の作動時における可動子と
励磁の状態を示す説明図であり、つぎに同図を参照して
本実施例の作動を説明する。

【００１４】電磁バルブ１が閉弁位置では可動子４は図
２（Ａ）に示す位置にあり、この状態にてはＡコイル５
１のみに通電するとコア５３が励磁され、Ａ空隙５１１
の部分の磁束が可動子４に通じ、可動子４を下方に推す
電磁力が働き開弁が開始される。

【００１５】ついで、可動子４が図２（Ｂ）に示す位置
に進んだときは、Ａコイル５１およびＢコイル５２に通
電するとＡ空隙５１１の磁束に加えてＢ空隙５２１にも
磁束が生じ、両空隙の部分の磁束により可動子４を更に
下方に進めることになる。

【００１６】そして、図２（Ｃ）のような位置に可動子
４が進むと、Ａコイル５１の通電を断にしてＢコイル５
２のみに通電を継続させ、Ｂ空隙５２１の部分の磁束に
より可動子４を下方に進めることにより、ストロークが
長くても電磁バルブ１が完全に開弁されることになる。

【００１７】つぎに閉弁のタイミングにて電磁バルブ１
を上方に駆動する場合は、上記の開弁時の作動の逆の順
序の通電、即ち初期にＢコイル５２、ついでＢコイル５
２とＡコイル５１との両方、終期にＡコイル５１にのみ
通電を行うことにより開弁している電磁バルブ１が閉弁
できることになる。

【００１８】以上、本発明を上述の実施例によって説明
したが、本発明の主旨の範囲内で種々の変形が可能であ
り、これらの変形を本発明の範囲から排除するものでは
ない。

【００１９】

【発明の効果】上述の実施例のように本発明によれば、
電磁バルブの駆動に際して吸着板を用いずに二段に重ね
た空隙に生ずる磁束により駆動される可動子の推力によ
り電磁バルブを駆動するので、開／閉弁時のいずれでも
十分な初期駆動力が得られ、また駆動機構に衝突部分が
ないため耐久性も改善され、さらに空隙の二段重ねによ
り長いストロークでも強い駆動力が得られるという効果
がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明にかかる電磁駆動バルブの一実施例を示
す縦断面図である。

【図２】本実施例の作動時の可動子と励磁の状態の説明
図である。

【符号の説明】

１…電磁バルブ ４…可動子 ５…電磁機構 ５１…Ａコイル ５２…Ｂコイル ５３…コア ５１１…Ａ空隙 ５２１…Ｂ空隙

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】プランジャ型の電磁ソレノイドの吸引力に
   より吸排気バルブに取付けた磁性体からなる可動子を駆
   動して開閉弁する電磁駆動バルブにおいて、前記の吸排
   気バルブの駆動方向に直列に配置された二組の電磁ソレ
   ノイドと、これらの電磁ソレノイドの励磁コイルへの通
   電を前記可動子の移動に応じて順次に制御する通電制御
   手段とを備えたことを特徴とする電磁駆動バルブ。
2. 【請求項２】前記の二組の電磁ソレノイドは可動子の吸
   引部となるそれぞれの磁気空隙部が互いに隣接して配置
   されていることを特徴とする請求項１記載の電磁駆動バ
   ルブ。