JPH06306855A - 連続地中壁構築用の鉄筋籠 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 コンクリート打設領域に打設されるコンクリ
ート及びこれの両側に充填される充填材の厳格な天端管
理を必要とすることなく、掘削溝内の地中壁の構築を可
能にする連続地中壁構築用の鉄筋籠を提供する。 【構成】 連続地中壁構築用の鉄筋籠１３は、多数の主
鉄筋２０と、これらの主鉄筋２０を補強するとともに所
定の位置に固定するための配力鉄筋２１及び補強枠２２
と、コンクリートを打設する領域を掘削溝のオーバーラ
ップ部１５と区画するための一対の仕切鉄板１４とによ
って構成される。また、この鉄筋籠１３には、さらに、
一対の仕切鉄板１４の各端部間に土木シート３０が取り
付けられるとともに、その内側には溶接金網２８が架設
固定される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、連続地中壁構築用の
鉄筋籠に関し、特に、単位掘削溝をその端部をオーバー
ラップしつつ地中に掘削形成するとともに、各掘削溝に
コンクリートを順次打設して一体となった壁体を構築す
る連続地中壁工法において使用する連続地中壁構築用の
鉄筋籠に関する。

【０００２】

【従来の技術】例えば地盤を開削して地下構造物を構築
する際に土留壁を設置するための手段として、あるいは
軟弱な地盤を補強するための壁体を地中に構築するため
の手段として、従来より連続地中壁工法が採用されてい
る。この連続地中壁工法は、掘削機械の大きさによって
画定される所定の幅及び長さを有する単位掘削溝を、地
中壁の延長方向に沿って連続形成するとともに、各単位
掘削溝にコンクリートを打設して一体となった連続地中
壁を構築するものである。

【０００３】そして、かかる連続地中壁工法では、各単
位掘削溝に構築される各地中壁を、これらの間に隙間を
生じさせることなく連続一体化する必要があり、そのた
め各地中壁の接合部を精度良く構築する必要がある。

【０００４】そして、各地中壁の接合部を精度良く構築
する方法の一例として、単位掘削溝をこれの端部をオー
バーラップして掘削しつつ、各単位掘削溝にコンクリー
トを順次打設することにより一体となった高精度の地中
壁を構築する連続地中壁工法が提案されている。すなわ
ちこの工法は、先行して掘削形成した単位掘削溝に、コ
ンクリートを打設する領域とオーバーラップ部とを区画
する一対の仕切板を有する鉄筋籠を挿入し、オーバーラ
ップ部を残して仕切板の間にのみコンクリートを打設し
て先行する地中壁を構築する。そして、これに隣接する
地中壁を構築すべく、後続する単位掘削溝を掘削する際
に、前記オーバーラップ部をも重複して掘削し、かかる
後続する単位掘削溝の掘削によって、先行して掘削形成
された両隣の単位掘削溝内の鉄筋籠の仕切板を露出し、
該仕切板によって挾まれる部分にコンクリートを打設す
ることにより、接合部すなわちオーバーラップ部のコン
クリート壁体を確実かつ精度良く構築せんとするもので
ある。

【０００５】また、上記連続地中壁工法では、単位掘削
溝内に挿入される鉄筋籠には、一対の仕切板の間に打設
されるコンクリートが、仕切り板と掘削溝の側壁面との
間の隙間を通じてオーバーラップ部に流出するのを防止
すべく、両仕切板の端部間には鉄筋籠の内側からから単
位掘削溝の側壁面を覆うシート部材が取り付けられ、ま
た、コンクリートの打設中にコンクリートの重量によっ
て仕切板が移動するのを防止すべく、オーバーラップ部
には、コンクリートの上昇と並行して、砕石等の充填材
が投入される。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記連
続地中壁工法では、上記コンクリートの上昇に伴ってこ
れの天端レベルと略同一のレベルとなるように充填材を
投入管理することが困難で、充填材の充填レベルがコン
クリートの天端レベルより高くなる場合には、充填材が
仕切り板と掘削溝の側壁面との隙間を介してコンクリー
トの打設領域の余掘部にまわり込むとともに、鉄筋籠の
内側にシート部材を押し出すことになるため、かかるシ
ート部材の食い込みによって地中壁の壁厚を確保できな
くなる恐れがあるという問題があった。

【０００７】一方、コンクリートの天端レベルが充填材
の充填レベルより相当に高くなる場合には、コンクリー
トの圧力によりシート部材が余掘部に押出されて破損
し、打設したコンクリートがオーバーラップ部に流出す
る恐れがあるという問題があった。

【０００８】そこで、この発明は上記問題点を解消する
ためになされたもので、コンクリート及び充填材の厳格
な天端管理を必要とすることなく地中壁の壁厚を容易に
確保しかつシート部材の破損を容易に防止することので
きる連続地中壁構築用の鉄筋籠を提供することを目的と
する。

【０００９】

【課題を解決するための手段】この発明は、上記目的を
達成するためになされたもので、その要旨は、単位掘削
溝をその端部をオーバーラップしつつ地中に掘削形成す
るとともに、各掘削溝にコンクリートを順次打設して一
体となった壁体を構築する連続地中壁工法において使用
する鉄筋籠であって、オーバーラップ部を確保すべく単
位掘削溝の両端部を残してコンクリートを打設する際に
当該単位掘削溝に挿入される、コンクリートが打設され
る領域を前記オーバーラップ部から区画する一対の仕切
板と、両仕切板の端部間に配設されて単位掘削溝の側壁
面を覆うシート部材とを有する鉄筋籠において、この鉄
筋籠が、シート部材の内側に位置して両仕切板の端部間
に架設される金網部材をさらに備えることを特徴とする
連続地中壁構築用の鉄筋籠にある。

【００１０】

【作用】以上の構成を有するこの発明の連続地中壁構築
用の鉄筋籠によれば、シート部材の内側には両仕切板の
端部間に架設されて金網部材が取り付けられているの
で、充填材をコンクリートよりも先行して充填すること
により、当該充填材がコンクリート打設領域の余掘部に
まわり込んでも、金網部材が充填材によるシート部材の
鉄筋籠内方への押し出しを阻止する。すなわち、充填材
を先行して充填しつつコンクリートを打設できるので、
コンクリート及び充填材の天端管理を容易に行なうこと
ができる。

【００１１】また、余掘部が大きい場合には、当該余掘
部に充填材をまわり込ませてシート部材を予め押さえる
ことにより、コンクリートの圧力によるシート部材の破
損を防止することができる。

【００１２】

【実施例】以下、この発明の好適な実施例を添付図面を
参照して詳細に説明する。この実施例は、図１に示すよ
うに、例えば地下タンクや貯水池を構築すべく、円形断
面の連続地中壁を造成する際にこの発明の連続地中壁構
築用の鉄筋籠を使用するものである。すなわち、かかる
円形断面の連続地中壁では、その曲率のため、いわゆる
カッティング工法として知られる、先行する地中壁の端
部を切削しつつ掘削溝を掘削形成する工法を採用するこ
とが困難なため、掘削溝内にその端部を残してコンクリ
ートを打設し、当該端部をオーバーラップ部として重複
掘削しつつ連続地中壁を造成してゆく、この発明にかか
る連続地中壁工法を採用することが好ましい。

【００１３】そして、かかる円形断面の連続地中壁１０
を構築するには、円形断面を、使用する地中壁構築用の
掘削機械の大きさに応じて確定される所定幅及び所定長
の多数の単位掘削溝に分割するとともに、これらの単位
掘削溝を例えば一つおきに先行掘削溝１１及び後行掘削
溝１２として、まず先行掘削溝１１の掘削作業を行な
う。

【００１４】先行掘削溝１１の掘削が完了したら、図２
に示すように、当該先行掘削溝１１には台形断面の鉄筋
籠１３を挿入し、鉄筋籠１３の仕切鉄板１４によって仕
切られる先行掘削溝１１の両端部、すなわちオーバーラ
ップ部１５を残して鉄筋籠１３の内部にはコンクリート
を打設するとともに、コンクリートの圧力によって鉄筋
籠１３が動かぬように、オーバーラップ部１５には砕石
１６が充填材として投入される。

【００１５】次に、両隣の先行掘削溝１１の間に位置す
る後行掘削溝１２を掘削形成する。すなわち、先行掘削
溝１１のオーバーラップ部１５に充填された砕石１６を
除去し、当該オーバーラップ部１５を重複掘削しつつ後
行掘削溝１２を形成する。ここで、鉄筋籠１３の仕切鉄
板１４は、円形断面の連続地中壁１０の曲率に応じて斜
めに取り付けられているため、隣接する先行掘削溝１１
内の鉄筋籠１３の仕切板１４は互いに平行に位置し、し
たがって後行掘削溝１２の掘削作業を容易に行なうこと
ができる。そして、掘削が完了した後行掘削溝１２には
後行掘削溝用の鉄筋籠（図示せず）が建て込まれ、露出
した両隣の仕切鉄板１４の間にコンクリートを打設し
て、一体となった連続地中壁１０を構築する。なお、か
かる後行掘削溝１２における地中壁の構築作業は、全て
の先行掘削溝１１における地中壁の構築作業が終わった
後に一括して行っても良く、また、両隣の先行掘削溝１
１における地中壁の構築作業が完了した時点で直ちに行
なうこともできる。

【００１６】そして、この実施例の連続地中壁構築用の
鉄筋籠１３は、上述のように先行掘削溝１１に挿入して
使用されるもので、図３に示すように、先行掘削溝１１
内において鉛直方向に延長する多数の主鉄筋２０と、主
鉄筋２０を補強するとともに所定の位置に固定するため
の配力鉄筋２１及び補強枠２２と、コンクリートを打設
する領域をオーバーラップ部１５と区画するための一対
の仕切鉄板１４とによって構成される。また、一対の仕
切鉄板１４はネジ鉄筋２３によって締付固定されるとと
もに、この仕切鉄板１４には、各種の補強用の鋼材２４
や吊込金具２５等が取付けられている。

【００１７】また、この鉄筋籠１３には、さらに、一対
の仕切鉄板１４の各端部間に例えば厚さ約０．５１ｍｍ
程度の土木シート３０が取付プレート２６やイトネジ２
７等を介して取り付けられるとともに、その内側には溶
接金網２８が、取付金具２９等を介して取付プレート２
６に架設固定されている。ここで、土木シート３０は、
先行掘削溝１１の壁面を鉄筋籠１３の内側から覆って、
鉄筋籠１３内に打設されたコンクリートが仕切鉄板１４
と掘削溝の側壁面との間の隙間を通じてオーバーラップ
部１５に流出するのを防止するもので、溶接金網２８
は、砕石１６がコンクリート打設領域の余掘部にまわり
込んでも、この砕石１６により土木シート３０が鉄筋籠
１３の内方へ押し出されるのを阻止するものである。

【００１８】そして、かかる構成を有する鉄筋籠１３を
使用すれば、前記先行掘削溝１１における地中壁の構築
作業を容易に管理することができる。すなわち、砕石１
６がコンクリート打設領域の余掘部にまわり込んでも、
溶接金網２８により土木シート３０の押出しを阻止して
地中壁の壁厚を容易に確保することができるので、砕石
１６を先行して充填しつつコンクリートを打設でき、し
たがってコンクリートの天端レベルと砕石１６の天端レ
ベルとを略一致させる等の厳格な天端管理を行なう必要
がなく、また、コンクリートの天端レベルが砕石１６の
天端レベルより相当に高くなることによる土木シート３
０の破損も容易に回避することができる。さらに、コン
クリート打設領域における余掘部が大きい場合には、当
該余掘部に砕石１６をまわり込ませて土木シート３０を
予め押さえることにより、コンクリートの圧力による土
木シート３０の破損を容易に防止することができる。さ
らにまた、溶接金網２８のメッシュをコンクリート内の
粗骨材の大きさ以上にしておけば、コンクリートが余掘
部の砕石１６を押し出し、コンクリートを十分に充填す
ることができる。

【００１９】なお、この実施例では、円形断面の連続地
中壁を造成する場合について記載したが、この発明はか
かる連続地中壁に限定されず、単位掘削溝をその端部を
オーバーラップしつつ地中に掘削形成するとともに、各
掘削溝にコンクリートを順次打設して一体となった壁体
を構築する連続地中壁工法であれば、直線状に延長する
連続地中壁等、その他の連続地中壁にも容易に適用する
ことができる。

【００２０】

【発明の効果】以上詳細に説明したように、この発明の
連続地中壁構築用の鉄筋籠は、コンクリートの打設領域
をオーバーラップ部から区画する一対の仕切板と、両仕
切板の端部間に配設されて単位掘削溝の側壁面を覆うシ
ート部材とを有する鉄筋籠において、シート部材の内側
には、さらに、両仕切板の端部間に架設される金網部材
を備える。したがって、充填材がコンクリート打設領域
の余掘部にまわり込んでも、金網部材が充填材によるシ
ート部材の鉄筋籠内方への押し出しを阻止するので、充
填材を先行して充填することにより、コンクリート及び
充填材の厳格な天端管理を不要とし、かつシート部材の
破損を容易に防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明にかかる連続地中壁構築用の鉄筋籠を
用いて構築される連続地中壁の一実施例を示す平面図で
ある。

【図２】図１におけるＡ部を拡大して示す、この発明に
かかる連続地中壁工法の説明図である。

【図３】この発明の連続地中壁構築用の鉄筋籠の一実施
例を示す平面図である。

【符号の説明】

１０ 連続地中壁 １１ 先行掘削溝（単位掘削溝） １２ 後行掘削溝（単位掘削溝） １３ 鉄筋籠 １４ 仕切鉄板 １５ オーバーラップ部 １６ 砕石（充填材） ２８ 溶接金網（金網部材） ３０ 土木シート（シート部材）

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 単位掘削溝をその端部をオーバーラップ
   しつつ地中に掘削形成するとともに、当該各掘削溝にコ
   ンクリートを順次打設して一体となった壁体を構築する
   連続地中壁工法において使用する鉄筋籠であって、前記
   オーバーラップ部を確保すべく前記単位掘削溝の両端部
   を残してコンクリートを打設する際に当該単位掘削溝に
   挿入される、コンクリートが打設される領域を前記オー
   バーラップ部から区画する一対の仕切板と、両仕切板の
   端部間に配設されて前記単位掘削溝の側壁面を覆うシー
   ト部材とを有する鉄筋籠において、該鉄筋籠が、前記シ
   ート部材の内側に位置して前記両仕切板の端部間に架設
   される金網部材をさらに備えることを特徴とする連続地
   中壁構築用の鉄筋籠。