JPH06306310A - 防汚塗料用樹脂組成物 - Google Patents

防汚塗料用樹脂組成物

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JPH06306310A
JPH06306310A JP10097993A JP10097993A JPH06306310A JP H06306310 A JPH06306310 A JP H06306310A JP 10097993 A JP10097993 A JP 10097993A JP 10097993 A JP10097993 A JP 10097993A JP H06306310 A JPH06306310 A JP H06306310A
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JP
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group
resin
acid
antifouling
parts
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JP10097993A
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Shigeru Komazaki
茂 駒崎
Masataka Ooka
正隆 大岡
Koji Kinoshita
宏司 木下
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DIC Corp
Original Assignee
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08GMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED OTHERWISE THAN BY REACTIONS ONLY INVOLVING UNSATURATED CARBON-TO-CARBON BONDS
    • C08G18/00Polymeric products of isocyanates or isothiocyanates
    • C08G18/06Polymeric products of isocyanates or isothiocyanates with compounds having active hydrogen
    • C08G18/08Processes
    • C08G18/0804Manufacture of polymers containing ionic or ionogenic groups
    • C08G18/0819Manufacture of polymers containing ionic or ionogenic groups containing anionic or anionogenic groups

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Abstract

(57)【要約】 【構成】 たとえば、カルボキシル基、リン原子含有基
またはイオウ原子含有基などで代表されるような酸基を
有するポリウレタン樹脂、就中、これらの酸基を主鎖末
端に有するポリウレタン樹脂を、必須の皮膜形成性成分
として含有することから成る、防汚塗料用樹脂組成物。 【効果】 海水中で徐々に溶解するという機能を有する
樹脂が用いられている処から、塗料中に配合される防汚
剤を、長期間に亘って、安定的に溶出せしめることが出
来るし、加えて、強固で、かつ、適度なる水溶性を保持
することの出来る塗膜を与えるものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規にして有用なる防汚
塗料用樹脂組成物に関する。さらに詳細には、本発明
は、酸基を有するポリウレタン樹脂(A)を、最低必須
の成分として含んで成る、セルフ・ポリッシング型の防
汚塗料用樹脂組成物に関する。
【0002】そして、本発明の組成物は、とりわけ、長
期防汚性に優れるものであって、主として、船底ならび
に魚網などに用いられる、防汚塗料に供されるものであ
る。
【0003】
【従来の技術】水面下にある物体、構築物または船底な
どの、いわゆる海水中に長時間のあいだ放置される物体
の表面には、藻類やフジツボなどの水棲生物が付着し、
成長増殖するために、その外観を損なうし、しかも、腐
食が起こる。
【0004】そして、船舶については、船速低下と燃費
増大との原因にもなっている。
【0005】また、養殖用の網や金網などへの水棲生物
の付着によって、海水の流れが阻止され、そのために、
酸素不足が起こり、ひいては、魚類ないしは貝類が死ん
でしまうという、大きな問題にもなっている。
【0006】そのために、かかる水棲生物の成長を防ぐ
ために、それらの物体の表面には、トップコートとし
て、種々の防汚塗料が塗布されている。
【0007】かかる防汚塗料は、疎水性樹脂と、親水性
樹脂または親水性化合物と、それ自体が毒物である各種
の有機錫化合物や、亜酸化銅などのような種々の防汚剤
とを含んでいる。
【0008】こうした塗膜が海水と接触すると、親水性
樹脂または親水性化合物と、防汚剤とが、その表面から
溶出していく。
【0009】しかし、このようにして、ひとたび、塗膜
が海水に接触すると、直ちに、望ましくないほど速やか
に、防汚剤の溶出が起こり、その結果、必要以上に、高
濃度の毒物が、被覆物の周辺に存在することとなり、防
汚剤の浪費と、海水の汚染とを惹起する処となってい
た。
【0010】そして、或る程度まで、防汚剤の溶出が進
行したのちには、この防汚剤の溶出速度が低下してしま
い、海中の水棲生物の付着が再開するという問題があっ
た。かかる問題を解決するために、側鎖にトリブチル錫
エステル基を有するビニル系重合体から成る防汚塗料組
成物が開発された。
【0011】これは、この重合体をビヒクルとする塗膜
が、海水に触れると、前記トリブチル錫エステル基が加
水分解されて、海水に可溶なるカルボキシレート基と、
トリブチル錫ハイドロオキサイドとに分解する。
【0012】そのうち、前者は、塗膜の海水中への溶解
に寄与するし、後者は防汚剤として作用するという処か
ら、塗膜が海水と接触すると、常に、新鮮なる塗膜が生
成し形成され、防汚剤が均一なる速度で以て溶出して、
長期間に亘って、防汚効果を発揮し保持するという処か
ら、多くの船底、水中構築物ならびに漁網などに、幅広
く使用されてきた。
【0013】このように、塗膜自身が海水によって水溶
化するタイプを、セルフ・ポリシング型と称する。
【0014】しかし、近年、有機錫化合物の、生物や環
境などに与える悪影響が問題にされ、該有機錫化合物の
使用が制限されて来ている。そこで、セルフ・ポリシン
グ型で、しかも、生物を取り巻く環境などに悪影響を与
えないような、いわゆるマイルド防汚剤を含む形の防汚
塗料組成物の開発が急務となっている。
【0015】それがために、親水性基であるカルボキシ
ル基、ジメチルアミノ基、ヒドロキシル基または4級ア
ンモニウム基などを側鎖に持った重合体が、防汚塗料用
樹脂組成物のビヒクルとして提案されたが、長期に亘っ
て、均一なる塗膜自身ならびに防汚剤の溶出速度を保持
し得るものではなかった。
【0016】そこで、塗膜自身ならびに防汚剤の溶出速
度を適切なものとするために、カルボキシル基をフェノ
ールエステルにするとか、その他の活性エステル基や活
性アミド基あるいは無水物に変換するという試みも、各
種の文献や特許などに開示されて来てはいる。
【0017】しかしながら、それらの官能基を有する重
合体をビヒクルとする防汚塗料組成物から得られる塗膜
は、その塗膜と防汚剤との溶出性が劣るというのが、実
状である。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】このように、防汚性が
長期に亘って優れる防汚塗料は、未だに、得られてはい
ないというのが、実状である。
【0019】そこで、本発明者らは、上述した如き従来
技術における種々の欠点の存在に鑑みて、防汚剤の溶出
を、長期に亘って持続せしめることの出来る、極めて実
用性の高い、セルフ・ポリッシング型の樹脂を求めて、
鋭意、研究に着手した。
【0020】したがって、本発明が解決しようとする課
題は、一にかかって、防汚剤の有効成分(防汚毒物)の
溶出速度を均一に制御して、長期間に亘って、防汚剤の
溶出を持続せしめるために、塗膜自身が海水に徐々に溶
解し、常に、新鮮なる塗膜を形成せしめるという、斬新
なるセルフ・ポリシング型塗膜を与え得る防汚塗料用樹
脂組成物を提供することである。
【0021】
【課題を解決するための手段】そのために、本発明者ら
は、上述した如き発明が解決しようとする課題に照準を
合わせて、鋭意、検討を重ねた結果、必須の皮膜形成成
分として、酸基を有するポリウレタン樹脂(A)を含ん
で成る防汚塗料用樹脂組成物を用いた処、この酸基含有
ポリウレタン樹脂は、海水中で、海水と接触した部分か
ら溶出して行き、常に、新鮮なる塗膜が形成され、防汚
剤が均一なる速度で以て溶出して行くことを見い出すに
及んで、ここに、本発明を完成させるに到った。
【0022】すなわち、本発明は、基本的には、酸基を
有するポリウレタン樹脂(A)を、必須の成分として含
有するという、斬新なる形のセルフ・ポリシング型塗膜
を与える防汚塗料用樹脂組成物を提供しようとするもの
であり、具体的には、酸基を末端に有するポリウレタン
樹脂(A)を含有することから成る、セルフ・ポリシン
グ型塗膜を与える防汚塗料用樹脂組成物を、
【0023】酸基を有するポリウレタン樹脂(A)と、
親水性樹脂(B)および/または親水性化合物(C)と
を含有することから成る、セルフ・ポリシング型塗膜を
与える防汚塗料用樹脂組成物を、あるいは酸基を有する
ポリウレタン樹脂(A)と、疎水性樹脂(D)とを含有
することから、成るセルフ・ポリシング型塗膜を与える
防汚塗料用樹脂組成物を、
【0024】さらには、酸基を有するポリウレタン樹脂
(A)と、親水性樹脂(B)および/または親水性化合
物(C)と、疎水性樹脂(D)とを含有することから成
る、セルフ・ポリシング型塗膜を与える防汚塗料用樹脂
組成物を、そして、さらには、上記した各種の樹脂組成
物に、防汚剤(E)をも含んで成る、セルフ・ポリシン
グ型塗膜を与える防汚塗料用樹脂組成物を提供しようと
するものである。
【0025】[構成]ここにおいて、本発明において用
いられる、上記した酸基を有するポリウレタン樹脂
(A)とは、主鎖末端、あるいは、側鎖に酸基を有する
ポリウレタン樹脂を指称するものである。
【0026】当該酸基含有ポリウレタン樹脂(A)中に
含まれる酸基としては、一般に、酸性を示す官能基を挙
げることが出来るが、特に好ましい官能基としては、カ
ルボキシル基、式(I)
【0027】
【化4】
【0028】[ただし、式中のRは水素原子、アルキル
基、アルコキシル基、アリール基またはアリールオキシ
基を表わすものとする。]ないしは式(II)
【0029】
【化5】
【0030】[ただし、式中のRは水素原子、アルキル
基、アルコキシル基、アリール基またはアリールオキシ
基を表わすものとする。]で以て示されるようなリン原
子を有する官能基または式(III)
【0031】
【化6】
【0032】で以て示されるようなイオウ原子を有する
官能基などが挙げられる。
【0033】かかる酸基含有ポリウレタン樹脂(A)
は、公知慣用の方法によって調製することが出来る。次
に、その調製例のうちの特に代表的なもののみを挙げる
にとどめるが、当該ポリウレタン樹脂の調製方法が、決
して、次の例示にのみ限定されるものではない。
【0034】:水酸基の如き、各種の活性水素含有基
と、カルボキシル基、前掲したような式(I)、式(I
I)または式(III)で以て示される官能基とを併有
する化合物を用いて、目的とする当該ポリウレタン樹脂
を調製する。
【0035】:水酸基の如き、各種の活性水素含有基
を有するポリウレタン樹脂を調製したのちに、該ポリウ
レタン樹脂と、各種のポリカルボン酸無水物とを反応せ
しめることによって、酸基を導入する。
【0036】:イソシアネート基を有するポリウレタ
ン樹脂を調製したのちに、此のイソシアネート基含有ポ
リウレタン樹脂と、水酸基、チオール基またはアミノ基
の如き、各種の活性水素含有基と、前記した如き酸基と
を併有する化合物とを反応せしめることによって、ある
いは此のイソシアネート基含有ポリウレタン樹脂と、前
記した如き酸基を、一分子中に2個以上有する化合物と
を反応せしめることによって、酸基を導入する。
【0037】当該酸基含有ポリウレタン樹脂(A)を、
上述した、またはなる方法で以て調製する際に使
用されるジオール化合物として特に代表的なもののみを
例示するにとどめれば、エチレングリコール、ジエチレ
ングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレング
リコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレング
リコールまたはポリテトラメチレングリコールなどのよ
うな種々の(ポリ)エーテルジオール類;
【0038】1,4−ブタンジオール、1,3−ブタン
ジオールもしくは1,6−ヘキサンジオールの如き、各
種のポリアルキレンジオール類;2−ブテン−1,4−
ジオールもしくは3−ヘキセン−2,5−ジオールの如
き、各種のエンジオール類;3−メチル−1,5−ペン
タンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサ
ンジメタノール、ビスフェノールA、水添ビスフェノー
ルAまたはビスフェノールAのエチレンオキサイド付加
物の如き、各種のジオール類などをはじめ、
【0039】さらには、上掲した如き、各種のジオール
類などを用いて得られるような、それぞれ、(ポリ)エ
ステルジオール類、(ポリ)ウレタンジオール類、(ポ
リ)シロキサンジオール類またはポリブタジエンジオー
ル類などである。
【0040】上記した(ポリ)エステルジオール化合物
として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、
前掲された如き、各種のジオール化合物と、イソフタル
酸、テレフタル酸、(無水)フタル酸、(無水)テトラ
ヒドロフタル酸、(無水)ヘキサヒドロフタル酸、フマ
ル酸、マレイン酸、こはく酸の如き、各種のジカルボン
酸(無水物)との脱水縮合によって得られるポリエステ
ルジオール(油変性タイプをも含む。)や、
【0041】前掲されたジオール化合物と、ε−カプロ
ラクトンまたはバレロラクトンの如き、各種のラクトン
化合物との開環重合によって得られるポリエステルジオ
ールや、前掲されたような各種のジオール化合物と、水
酸基含有カルボン酸との脱水縮合によって得られるエス
テルジオールなどであり、いずれも、公知慣用の反応方
法によって得られるものである。
【0042】さらに、当該酸基含有ポリウレタン樹脂
(A)を、前掲した、またはの方法で調製する際
に使用されるジイソシアネート化合物の特に代表的なも
ののみを例示するにとどめれば、イソホロンジイソシア
ネート、メチルシクロヘキサン−2,4−ジイソシアネ
ート、メチルシクロヘキサン−2,6−ジイソシアネー
ト、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシア
ネート)、1,3−ジ(イソシアネートメチル)シクロ
ヘキサン、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメ
チレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジ
イソシアネート、トリメチルシクロヘキサンジイソシア
ネート、トリレンジイソシアネートもしくはキシリレン
ジイソシアネートの如き、各種のジイソシアネート類な
どであるし、さらには、これらの各種のジイソシアネー
ト類と、前記したジオール類とを付加反応せしめること
によって得られる付加物などである。
【0043】また、当該酸基含有ポリウレタン樹脂
(A)を、、またはの方法で調製する際には、鎖
伸長剤類として、アミノ基含有化合物を使用することも
できるが、かかる化合物として特に代表的なもののみを
例示するにとどめれば、エチレンジアミン、テトラエチ
レンジアミンまたはヘキサエチレンジアミンの如き、各
種のポリアミン化合物、あるいはヒドラジンなどであ
る。
【0044】当該ポリウレタン樹脂(A)を、の方法
で調製する際に使用される、水酸基の如き、各種の活性
水素含有基と、カルボキシル基、前掲したような式
(I)、式(II)または式(III)で以て示される
酸性を示す官能基とを併有する化合物として特に代表的
なもののみを例示するにとどめれば、1,3−ジメチロ
ールプロピオン酸、1,3−ジメチロール酪酸、1,3
−ジメチロール吉草酸、酒石酸、グリセリン酸、1,3
−ジメチロールプロパンスルホン酸、1,3−ジメチロ
ールブタンスルホン酸、1,3−ジメチロールペンタン
スルホン酸、1−メチロールヒドロキシプロパンスルホ
ン酸、2,3−ジヒドロキシブタンスルホン酸、硫酸モ
ノグリセリンエステル、燐酸モノグリセリンエステルま
たは燐酸ジ(エチレングリコール)エステルなどであ
る。
【0045】当該ポリウレタン樹脂(A)を、の方法
で調製する際に使用される、各種のポリカルボン酸無水
物として特に代表的なもののみを例示するにとどめれ
ば、無水コハク酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フ
タル酸、テトラブロモ無水フタル酸、テトラクロロ無水
フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水マレイン
酸、無水ヘット酸、無水ハイミック酸(「ハイミック
酸」は、日立化成工業(株)の登録商標である。)、無
水イタコン酸、無水トリメリット酸、メチルシクロヘキ
セントリカルボン酸無水物または無水ピロメリット酸で
ある。
【0046】当該ポリウレタン樹脂(A)を、の方法
で調製する際に使用される、水酸基、チオール基または
アミノ基の如き、各種の活性水素含有基と、カルボキシ
ル基、前掲したような式(I)、式(II)または式
(III)で示される官能基とを併有する化合物として
特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、グリコ
ール酸、β−ヒドロキシプロピオン酸、乳酸またはγ−
ヒドロキシ酪酸の如き、各種のヒドロキシカルボン酸
類;
【0047】グリシン、アラニン、アスパラギン、アス
パラギン酸、グルタミン、グルタミン酸、ヒスチジンま
たはバリンの如き、各種のアミノ酸類;あるいはチオグ
リコール酸、チオ乳酸、チオリンゴ酸または3−メルカ
プトプロピオン酸の如き、各種のチオール基含有カルボ
ン酸類などである。
【0048】さらに、前述したなる方法による場合に
使用できる、一分子中に2個以上の酸基を有する化合物
として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、
イソフタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、アゼライン
酸、セバシン酸またはフマル酸、あるいは前記した酸無
水物の加水開環物などのような種々の多塩基酸などであ
る。
【0049】当該酸基含有ポリウレタン樹脂(A)を調
製する際のウレタン化ないしは尿素化反応には、公知慣
用の触媒であるジブチル錫オクテートもしくはジブチル
錫ラウレートの如き、各種の錫系化合物を、またはDA
BCO(1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタ
ン)の如き、各種のアミン系化合物などを用いることも
出来る。
【0050】当該酸基含有ポリウレタン樹脂(A)を調
製する際の酸無水物付加反応には、公知慣用の触媒であ
るDABCO、DBU(1,8−ジアザビシクロ[5,
4,0]−7−ウンデセン)、N,N−ジメチルココア
ミン、トリエチルアミン、テトラメチルエチレンジアミ
ンまたはN−メチルイミダゾールの如き、各種の3級ア
ミン系化合物をはじめ、さらには、トリフェニルフォス
フィンなどのような種々の化合物を用いることが出来
る。
【0051】当該酸基含有ポリウレタン樹脂(A)を調
製する際のウレタン化ないしは尿素化反応の反応温度と
しては、0℃〜100℃なる範囲内が、好ましくは、2
0℃〜80℃なる範囲内が適切であるし、また、当該酸
基含有ポリウレタン樹脂(A)を調製する際の酸無水物
付加反応の反応温度としては、0℃〜150℃なる範囲
内が、好ましくは、50℃〜130℃なる範囲内が適切
である。
【0052】当該酸基含有ポリウレタン樹脂(A)を調
製する際のウレタン化反応ないしは尿素化反応、あるい
は酸無水物付加反応においては、反応溶剤を使用して
も、使用しなくてもよいが、当該樹脂それ自体の粘度な
どを考慮して、粘度が高い場合には、出来るだけ、使用
するなどのように、適宜、選択することが出来る。
【0053】反応溶剤を使用する際には、分子中に活性
水素を有しない化合物、あるいはそれらの混合物を使用
せねばならない。
【0054】かかる溶剤類として特に代表的なもののみ
を例示するにとどめれば、ベンゼン、トルエンもしくは
キシレンの如き、各種の芳香族炭化水素類;ヘキサン、
ヘプタン、オクタン、シクロヘキサンもしくはシクロオ
クタンの如き、各種の脂肪族炭化水素類ないしは脂環式
炭化水素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテ
ルもしくはジ−n−ブチルエーテルまたはジメトキシエ
タン、テトラヒドロフランもしくはジオキサンの如き、
各種のエーテル類;
【0055】酢酸エチル、酢酸ブチルもしくは酢酸アミ
ル、またはエチレングリコールモノメチルエーテルアセ
テートもしくはエチレングリコールモノエチルエーテル
アセテートの如き、各種のエステル系溶剤類;または塩
化メチレン、クロロフォルム、トリクロロエタン、四塩
化炭素もしくはクロロベンゼンの如き、各種のハロゲン
化炭化水素類;
【0056】N−メチルピロリドンもしくはジメチルフ
ォルムアミドの如き、非プロトン系極性溶剤類;または
アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケト
ン、メチルアミルケトンのもしくはシクロヘキサノンの
如き、ケトン類などである。
【0057】かかる溶剤類は、単独使用でも2種以上の
併用でもよいことは、勿論である。
【0058】かくして得られる酸基含有ポリウレタン樹
脂(A)の数平均分子量としては、300〜30,00
0なる範囲内が、好ましくは、500〜8,000なる
範囲内が適切である。
【0059】300未満なる場合には、どうしても、酸
基含有ポリウレタン樹脂(A)のフィルム強度が低くな
って、塗膜として機能し得なるし、30,000を超え
て余りに高くなる場合には、どうしても、酸基含有ポリ
ウレタン樹脂(A)の塗膜の、海水への溶出性が悪くな
るので、いずれの場合も適当ではない。
【0060】そして、当該酸基含有ポリウレタン樹脂
(A)の固形分酸価としては、10〜200程度が好ま
しく、特に、30〜150程度が好ましい。当該酸基含
有ポリウレタン樹脂(A)の1分子中に含有される酸基
の数は、1個以上が好ましい。さらに、防汚剤として、
後述するような多価金属化合物を配合する場合には、塗
料配合物のゲル化を抑制するという面からも、当該酸基
の数は、1〜2個とするのが、特に好ましい。
【0061】また、酸基含有ポリウレタン樹脂(A)成
分として、主鎖末端に酸基を有する樹脂、側鎖部分に酸
基を有する樹脂、あるいは主鎖末端と側鎖部分との両方
に酸基を有する樹脂のいずれもが使用できるが、防汚剤
として、後述するような多価金属化合物を配合する場合
には、塗料配合物のゲル化を抑制するという面からも、
主鎖末端に酸基を有するものの使用が、特に望ましい。
【0062】さらに、当該樹脂(A)の塗膜の、海水へ
の溶出性の観点からも、酸基としては、カルボキシル基
が特に好ましい。
【0063】本発明における樹脂成分としては、酸基を
末端に有するポリウレタン樹脂(A)を、唯一の皮膜形
成性成分として、単独で使用してもよいし、あるいは、
当該樹脂(A)の海水中への溶出速度を制御するために
も、親水性樹脂(B)および/または親水性化合物
(C)を併用することが出来るし、また、かかる親水性
樹脂(B)および/または親水性化合物(C)と、疎水
性樹脂(D)とを併用することも出来るし、さらには、
疎水性樹脂(D)とを併用することも出来る。
【0064】前記した親水性樹脂(B)とは、水溶性の
ないしは水膨潤性の高い樹脂類を指称するものである。
かかる親水性樹脂(B)として特に代表的なもののみを
例示するにとどめれば、分子中にエーテル基またはアミ
ド基の如き、種々の親水性基を有するビニル系重合体
や、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコー
ルもしくはポリテトラメチレングリコールの如き、各種
のポリエーテル樹脂などである。
【0065】また、上記親水性基含有ビニル系重合体と
して特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、メ
チルビニルエーテル、N−ビニルピロリドン、2−メト
キシエチルメタクリレート、(メタ)アクリルアミドも
しくはN,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドの如
き、各種の親水性基含有ビニル系単量体類の単独重合
体、あるいはこれらの親水性基含有ビニル系単量体類
と、(メタ)アクリル酸エステル類、スチレンまたはア
クリロニトリルなどの共重合可能なる重合性不飽和単量
体類との共重合体などである。
【0066】さらに、前記した親水性化合物(C)と
は、水溶性の、ないしは水膨潤性の高い、低分子量の化
合物を指称するものである。かかる親水性化合物(C)
として代表的なもののみを例示するにとどめれば、1価
アルコール類、ポリヒドロキシ化合物、モノカルボキシ
化合物またはポリカルボキシ化合物などであるが、これ
らのうちでも特に望ましいものとしては、モノカルボキ
シ化合物が、就中、ロジンの使用が望ましい。
【0067】さらにまた、前記した疎水性樹脂(D)と
は、非水溶性で、かつ、水膨潤性の低い樹脂類を指称す
るものである。かかる疎水性樹脂(D)として特に代表
的なもののみを例示するにとどめれば、塩素化オレフィ
ン系重合体類や、エーテル基またはアミド基の如き、い
わゆる親水性基を、何ら、有しないか、あるいは、かか
る親水性基の含有率が極めて低いビニル系重合体、就
中、アクリル系重合体などであるが、勿論、これらのも
ののみに限定されるものではない。
【0068】前述した(A)、(B)、(C)および
(D)なる各成分から、本発明の防汚塗料用樹脂組成物
を得るには、上述したように、樹脂成分として、専ら、
酸基含有ポリウレタン樹脂(A)のみを、単独で以て使
用してもよいし、あるいは、この酸基含有ポリウレタン
樹脂(A)と、該酸基含有ポリウレタン樹脂(A)以外
の3成分のうちの、少なくとも1種とを併用してもよ
い。
【0069】そのさい、当該酸基含有ポリウレタン樹脂
(A)と、該樹脂(A)成分以外の3成分のうちの、少
なくとも1種とを併用する場合には、通常、当該樹脂
(A)成分の100重量部に対して、(B)および/ま
たは(C)成分が5〜200重量部程度の範囲となるよ
うに、好ましくは、5〜100重量部の範囲内となるよ
うに、
【0070】あるいは、当該樹脂(A)成分の100重
量部に対して、(D)成分が5〜200重量部程度とな
るように、好ましくは、5〜100重量部の範囲内とな
るように、あるいは、さらに、当該樹脂(A)成分の1
00重量部に対して、(B)および/または(C)と、
(D)成分との合計量が、5〜200重量部程度となる
ように、好ましくは、5〜100重量部の範囲内となる
ようにして、混合すればよい。
【0071】さらに、本発明の防汚塗料用樹脂組成物に
対しては、防汚剤(F)を配合させることが出来る。当
該防汚剤として特に代表的なるもののみを挙げるにとど
めれば、トリフェニル錫ハイドロオキサイド、トリフェ
ニル錫フルオライド、トリフェニル錫クロライド、トリ
フェニル錫ニコチネート、トリフェニル錫バーサテー
ト、ビス(トリフェニル錫)−α,α’−ジブロムサク
シネート、ビス(トリフェニル錫)オキサイド、トリフ
ェニル錫ジメチルキチオカーバメート、トリブチル錫ハ
イドロオキサイド、ビス(トリブチル錫)オキサイド、
トリブチル錫クロライド、トリブチル錫フルオライド、
トリブチル錫アセテート、トリブチル錫ニコチネート、
トリブチル錫バーサテートをはじめ、
【0072】さらには、ビス(トリブチル錫)−α,
α’−ジブロムサクシネート、トリシクロヘキシル錫ハ
イドロオキサイド、ビス(トリシクロヘキシル錫)オキ
サイド、トリシクロヘキシル錫クロライド、トリシクロ
ヘキシル錫フルオライド、トリシクロヘキシル錫アセテ
ート、トリシクロヘキシル錫ニコチネート、トリシクロ
ヘキシル錫バーサテート、ビス(トリシクロヘキシル
錫)−α,α’−ジブロムサクシネートの如き、各種の
有機系錫防汚剤類;
【0073】クエン酸第二銅、キノリン第二銅、δ−ハ
イドロキノリン第二銅、オレイン酸第二銅、酒石酸第二
銅、オキシン酸銅、ナフテン酸銅、ノニルフェニルスル
ホン酸銅、酢酸銅、ビス(ペンタクロロフェノール酸)
銅の如き、各種の有機系銅防汚剤類;酢酸ニッケル、ジ
メチルジチオカルバミン酸ニッケルの如き、各種の有機
系ニッケル防汚剤類;酢酸亜鉛、カルバミン酸亜鉛、ジ
メチルジチオカルバミン酸亜鉛、エチレンビス(ジチオ
カルバミン酸)亜鉛の如き、各種の有機系亜鉛防汚剤
類;
【0074】N−トリクロロメチルチオフタルイミド、
N−フルオロジクロロメチルチオフタルイミドの如き、
各種のN−トリハロメチルチオフタルイミド系防汚剤
類;ビス(ジメチルチオカルバモイル)ジスルフィド、
N−メチルジチオカルバミン酸アンモニウム、エチレン
ビス(ジチオカルバミン酸)アンモニウムの如き、各種
のジチオカルバミン酸系防汚剤類;
【0075】N−(2,4,6−トリクロロフェニル)
マレイミド、N−4−トリルマレイミド、N−(3−ク
ロロフェニル)マレイミド、N−(4−n−ブチルフェ
ニル)マレイミド、N−(2,3−キシリル)マレイミ
ドの如き、各種のN−アリールマレイミド系防汚剤類;
3−ベンジリデンアミノ−1,3−チアゾリジン−2,
4−ジオン、3−(4−メチルベンジリデンアミノ)−
1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン、3−(2−ヒ
ドロキシベンジリデンアミノ)−1,3−チアゾリジン
−2,4−ジオン、3−(4−ジメチルアミノベンジリ
デンアミノ)−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオ
ン、3−(2,4−ジクロロベンジリデンアミノ)−
1,3−チアゾリジン−2,4−ジオンの如き、各種の
3−置換アミノ−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオ
ン系防汚剤類;
【0076】ジチオシアノメタン、ジチオシアノエタ
ン、2,5−ジチオシアノチオフェンの如き、各種のジ
チオシアノ系防汚剤類;トリアジン系防汚剤類;ナフト
キノン系防汚剤類;テトラメチルチウラムジスルファイ
ドの如き、各種のイオウ系防汚剤類;ニッケル銅合金、
銅、チオシアン酸銅、炭酸銅、硫酸銅、クロム酸第二
銅、フェロシアン酸第二銅、硝酸第二銅、燐酸第二
銅、、亜酸化銅、酸化第二銅、沃化第一銅または亜硫酸
第一銅の如き、各種の銅系防汚剤類;または硫酸亜鉛、
酸化亜鉛、硫酸ニッケル、クロム酸ストロンチウムの如
き、各種の金属防汚剤類などの、種々の有機系ないしは
無機系の防汚剤類などである。
【0077】さらには、各種の殺菌剤類、防藻剤類また
は防黴剤類などとして使用されるような種々の化合物も
また、使用できる。これらの防汚剤類は単独使用でも、
2種以上の併用でもよい。
【0078】特に、環境(海水)への汚染と、防汚性と
のバランスの上からも、亜酸化銅の使用が有効である。
【0079】当該防汚剤(E)の使用量としては、通
常、樹脂成分の100重量部に対して、1〜700重量
部なる範囲内、好ましくは、2〜500重量部なる範囲
内が適切であり、こうした範囲内となるような割合で以
て配合すればよい。
【0080】1重量部未満の場合には、どうしても、当
該(E)成分の添加効果が小さくなり易いし、一方、7
00重量部を超えて余りに多くなる場合には、どうして
も、系内に配合せしめることが困難になるので、いずれ
の場合も好ましくない。
【0081】また、本発明の防汚塗料樹脂組成物に対し
ては、さらに、顔料類を配合せしめることも出来る。そ
のうちでも特に代表例なもののみを例示するにとどめれ
ば、酸化チタン、酸化鉄、カーボンブラックの如き、各
種の無機顔料類;またはアゾ系、シアニン系もしくはキ
ナクリドン系の如き、各種の有機顔料類などであるが、
通常は、無機顔料類が用いられる。これらの顔料類は単
独使用でも、2種以上の併用でもよいことは、勿論であ
る。
【0082】当該酸基含有ポリウレタン樹脂(A)を、
必須の皮膜形成性成分として含有する、本発明の防汚塗
料用樹脂組成物には、酸基含有ポリウレタン樹脂
(A)、親水性樹脂(B)、親水性化合物(C)、疎水
性樹脂(D)または防汚剤(E)、あるいは顔料類を始
めとする、その他の添加剤類の溶解性を考慮して、各種
の溶剤類を添加することが出来る。
【0083】そうした溶剤類としては、前記した当該酸
基含有ポリウレタン樹脂(A)の調製時における溶剤類
をも含め、アルコール類などのように、分子中に活性水
素を有する化合物、あるいはこれらとの混合物を、添加
することも出来る。
【0084】また、当該樹脂(A)の固形分酸価が20
程度あれば、水分散体として、さらに、40程度以上あ
れば、水溶性タイプの防汚塗料用組成物とすることも可
能である。
【0085】以上のようにして得られる、本発明の防汚
塗料用組成物は、主として、船底塗料、海中構築物用塗
料または漁網用塗料などとして、広範囲に、利用するこ
とができる。
【0086】
【実施例】次に、本発明を参考例、実施例および比較例
により、一層、具体的に説明することにするが、本発明
は、決して、これらの実施例のみに限定されるものでは
ない。
【0087】なお、以下において部および%は、特に断
りの無い限り、すべて重量基準であるものとする。
【0088】参考例 1〔酸基を末端に有するポリウレ
タン樹脂(A)の調製例〕 温度計、還流冷却器、攪拌機および滴下漏斗を備えた反
応容器に、メチルエチルケトンの70部と、キシレンの
70部と、1,6−ヘキサンジオール210部と、ジブ
チル錫ジラウレート0.1部とを仕込んで、70℃にま
で昇温した。
【0089】次いで、同温度で、メチルエチルケトンの
69部と、キシレンの69部と、トリレンジイソシアネ
ート207部からなる混合物を、2時間に亘って滴下
し、その後も、同温度で、8時間のあいだ攪拌して、こ
の反応混合物中に、もはや、イソシアネート基が存在し
ていないことを、赤外線吸収スペクトル(IR)測定で
確認した。
【0090】しかるのち、ヘキサヒドロフタル酸無水物
の183部、メチルエチルケトンの61部と、キシレン
の61部と、N−メチルイミダゾールの0.6部を添加
し、85℃に昇温してから、同温度で10時間のあいだ
攪拌して、この反応混合物中に、酸無水基の存在してい
ないことを、IR測定で以て確認して、不揮発分が60
%なる目的樹脂の溶液を得た。以下、これをA−1と略
記する。
【0091】参考例 2(同上) 温度計、還流冷却器、攪拌機および滴下漏斗を備えた反
応容器に、メチルエチルケトンの113部と、キシレン
の113部と、燐酸モノグリセリド73部、2,2−ジ
メチル−3−ヒドロキシプロピル−2,2−ジメチル−
3−ヒドロキシプロピオネート215部、水素化ビスフ
ェノールA51部と、ジブチル錫ジラウレートの0.1
部を仕込んで、70℃にまで昇温した。
【0092】次いで、同温度で、メチルエチルケトンの
87部と、キシレンの87部と、トリレンジイソシアネ
ート74部、イソホロンジイソシアネート188部とか
らなる混合物を2時間に亘って滴下し、その後も同温度
で、10時間のあいだ攪拌して、この反応混合物中にイ
ソシアネート基が存在しないことを、IR測定で確認し
て、不揮発分が60%なる目的樹脂の溶液を得た。以
下、これをA−2と略記する。
【0093】参考例 3(同上) 温度計、還流冷却器、攪拌機および滴下漏斗を備えた反
応容器に、メチルエチルケトンの90部と、キシレンの
90部と、1,6−ヘキサンジオール103部と、水素
化ビスフェノールAの168部と、ジブチル錫ジラウレ
ートの0.1部とを仕込んで、70℃にまで昇温した。
【0094】次いで、同温度で、メチルエチルケトンの
92部およびキシレンの92部と、トリレンジイソシア
ネートの122部およびイソホロンジイソシアネート1
55部とからなる混合物を、2時間に亘って滴下し、そ
の後も、同温度で、8時間のあいだ攪拌して、この反応
混合物中には、もはや、イソシアネート基が存在してい
ないことを、IR測定で以て確認した。
【0095】しかるのち、フタル酸無水物の52部と、
メチルエチルケトンの17部と、キシレンの17部と、
N−メチルイミダゾールの0.6部とを添加し、85℃
にまで昇温したのち、同温度で、10時間のあいだ攪拌
して、この反応混合物中には、酸無水基の存在していな
いことを、IR測定で以て確認して、不揮発分が60%
なる、目的樹脂の溶液を得た。以下、これをA−3と略
記する。
【0096】参考例 4(同上) 温度計、還流冷却器、攪拌機および滴下漏斗を備えた反
応容器に、メチルエチルケトンの107部と、キシレン
の107部と、ジエチレングリコール56部と、ビスフ
ェノールAの水酸基に対してエチレンオキサイドが2モ
ル付加した形の化合物の265部と、ジブチル錫ジラウ
レートの0.1部とを仕込んで、70℃にまで昇温し
た。
【0097】次いで、同温度で、メチルエチルケトンの
87部およびキシレンの87部と、トリレンジイソシア
ネートの114部およびイソホロンジイソシアネートの
146部とからなる混合物を、2時間に亘って滴下し、
その後も、同温度で、8時間のあいだ攪拌して、この反
応混合物中におけるイソシアネート基量が、もはや、こ
れ以上には減少しないことを、IR測定で以て確認し
た。
【0098】しかるのち、グリコール酸の20部と、メ
チルエチルケトンの7部と、キシレンの7部とを添加
し、同温度で、10時間に亘って攪拌して、この反応混
合物中には、もはや、イソシアネート基の存在していな
いことを、IR測定で以て確認して、不揮発分が60%
なる、目的樹脂の溶液を得た。以下、これをA−4と略
記する。
【0099】参考例 5(同上) 温度計、還流冷却器、攪拌機および滴下漏斗を備えた反
応容器に、メチルエチルケトンの115部およびキシレ
ンの115部と、ポリエチレングリコール−300の2
58部および2,2−ジメチロールプロピオン酸の86
部と、ジブチル錫ジラウレートの0.1部とを仕込ん
で、70℃にまで昇温した。
【0100】次いで、同温度で、メチルエチルケトンの
85部およびキシレンの85部と、トリレンジイソシア
ネートの112部およびイソホロンジイソシアネートの
143部とからなる混合物を、2時間に亘って滴下し、
その後も、同温度で、10時間のあいだ攪拌して、この
反応混合物中には、もはや、イソシアネート基の存在し
ていないことを、IR測定で以て確認して、不揮発分が
60%なる、目的樹脂の溶液を得た。以下、これをA−
5と略記する。
【0101】参考例 6(同上) 温度計、還流冷却器、攪拌機および滴下漏斗を備えた反
応容器に、メチルエチルケトンの108部およびキシレ
ンの108部と、ポリエチレングリコール−300の1
67部および1,ヒドロキシ−1−メチロールプロパン
スルホン酸の157部と、ジブチル錫ジラウレートの
0.1部とを仕込んで、70℃にまで昇温した。
【0102】次いで、同温度で、メチルエチルケトンの
92部およびキシレンの92部と、トリレンジイソシア
ネートの78部およびイソホロンジイソシアネートの1
98部とからなる混合物を、2時間に亘って滴下し、そ
の後も、同温度で、10時間のあいだ攪拌して、この反
応混合物中には、もはや、イソシアネート基の存在して
いないことを、IR測定で以て確認して、不揮発分が6
0%なる、目的樹脂の溶液を得た。以下、これをA−6
と略記する。
【0103】参考例 7〔水溶性樹脂:N−ビニルピロ
リドン系共重合体(B)の調製例〕 温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下漏斗および窒素ガス
導入管を備えた反応容器に、キシレンの200部および
n−ブタノールの200部を仕込んで、内容液中に、3
0分間の窒素ガス・ブローを行なった。
【0104】次いで、100℃にまで昇温してから、キ
シレンの50部およびn−ブタノールの50部と、te
rt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートの
5部と、N−ビニルピロリドンの400部およびメチル
メタクリレートの100部とを、5時間かけて滴下し
た。
【0105】さらに、100℃で、10時間に亘る反応
を継続せしめて、目的とする水溶性樹脂たるN−ビニル
ピロリドン系共重合体(B)を得た。以下、これをB−
1と略記する。
【0106】参考例 8〔水溶性樹脂たるアクリルアミ
ド系共重合体(B)の調製例〕 温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下漏斗および窒素ガス
導入管を備えた反応容器に、キシレンの400部を仕込
んでから、100℃にまで昇温したのち、キシレンの1
00部と、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘ
キサノエートの10部およびアゾビスイソブチロニトリ
ルの2.5部と、 N,N−ジメチルアクリルアミドの
250部、メチルメタクリレートの100部およびエチ
ルアクリレートの150部とからなる混合物を、6時間
かけて滴下した。
【0107】さらに、同温度で8時間のあいだ反応を続
行せしめて、目的とする水溶性樹脂を得た。以下、これ
をB−2と略記する。 参考例 9〔疎水性共重合体(C)の調製例〕 温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下漏斗および窒素ガス
導入管を備えた反応容器に、キシレンの400部を仕込
んでから、100℃にまで昇温したのち、キシレンの1
00部と、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘ
キサノエートの10部およびアゾビスイソブチロニトリ
ルの2.5部と、メチルメタクリレートの400部およ
びイソブチルアクリレートの100部とからなる混合物
を、6時間かけて滴下した。
【0108】さらに、同温度で、8時間のあいだ反応を
続行せしめて、目的とする疎水性樹脂を得た。以下、こ
れをC−1と略記する。
【0109】実施例 1〜8ならびに比較例 1および
2 第1表に示される通りの配合組成に基づいて、各成分を
配合せしめ、混練分散を行なって、各種の防汚塗料を調
製した。
【0110】次いで、後掲する如き要領に従って、諸性
能の比較検討を行なった。それらの結果は、まとめて、
第2表に示す。
【0111】《性能試験要領》 〔I〕 ロータリー試験
【0112】サンド・ブラストした、10cm×10c
m×0.8mmなる大きさの銅板上に、エッチング・プ
ライマーを、塗膜厚が5ミクロン(μm)となるよう
に、1回塗装せしめ、さらに、タール・ビニル系船底防
錆塗料を、塗膜厚が70μmとなるようにして、1回塗
装せしめた。
【0113】次いで、これらの各例で得られた、それぞ
れの防汚塗料を、塗膜厚が60μmとなるようにし、3
回塗装せしめて、各種の試験板を得た。しかるのち、そ
れぞれの試験板を、海面下に垂下された回転ドラムの外
側に取り付け、該試験板に対して、海水の速度が10ノ
ットとなるようにして、ドラムを回転させ、3ケ月間の
ロータリー試験を行なって、初期膜厚と経時変化後との
膜厚差を測定して、自己研磨性の評価を行った。
【0114】〔II〕シミュレーション試験
【0115】サンド・ブラストした、10cm×10c
m×1mmなる大きさの銅板に、下塗防錆塗料として、
タール・エポキシ塗料を、125μmなる塗膜厚で以て
2回塗装せしめ、さらに、タール・ビニル系の中塗塗料
を、70μmなる塗膜厚となるようにして、1回塗装せ
しめた。
【0116】次いで、実施例1〜8ならびに比較例1お
よび2で得られた、それぞれの防汚塗料を、塗膜が10
0μmなる厚みとなるように、3回塗装せしめ、しかる
のち、かくして得られた、それぞれの試験板を、前述の
ロータリー試験を1ケ月間行なってから、さらに、その
あと、1.5mの海中に1ケ月間のあいだ浸漬せしめる
ことを以って、1サイクルの試験期間とした。
【0117】船舶の運航を想定したシミュレーション試
験を行ない、1サイクル毎の防錆性を、試験塗膜上の付
着生成物の占有面積(%)で以って表示した。それらの
試験結果を、まとめて、第9表に示す。
【0118】
【表1】
【0119】《第1表の脚注》塩化ゴムとしては、「ア
デカ塩化ゴム CR−10」[旭電化工業(株)製品]
を使用した。なお、此の塩化ゴムは、50%の酢酸エチ
ル溶液として用いた。
【0120】
【表2】
【0121】《第1表の脚注》ロジンは、50%のトル
エン溶液として用いた。
【0122】
【表3】
【0123】《第2表の脚注》表中の各数値は、塗膜の
消耗度(μm/月)で以て表示してある。
【0124】
【表4】
【0125】《第3表の脚注》表中の各数値は、付着生
成物の占有面積(%)で以て表示してある。
【0126】以上のように、本発明の防汚塗料用樹脂組
成物は、いわゆるセルフ・ポリッシング型のものであっ
て、防汚剤の有効成分たる防汚毒物の溶出速度を均一に
制御して、長期間に亘って、防汚剤の溶出を持続せしめ
る、というものであることが知れる。
【0127】加えて、こうした特徴を有する、本発明の
組成物は、それを用いて得られる塗膜、それ自身が、徐
々に、海水中に溶解して行くという処から、常に、新鮮
なる塗膜を形成せしめる、というものであることも知れ
よう。
【0128】
【発明の効果】本発明の防汚塗料用樹脂組成物は、海水
中で、徐々に、溶解するという機能を有する樹脂類を用
いているものであって、強固で、しかも、適度なる水溶
性を保持する塗膜を形成することが出来る。
【0129】したがって、本発明の組成物は、塗料中に
配合される防汚剤を、長期間に亘って、安定的に溶出せ
しめることが出来る処から、船底および魚網ならびに海
中構築構造物の如き、海水中に長期間に亘って放置され
るような、種々の物体の表面塗装などに、極めて有用な
ものである。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年5月19日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【化1】 [ただし、式中のRは水素原子、水酸基、アルキル基、
アルコキシル基、アリール基またはアリールオキシ基を
表わすものとする。]ないしは式(II)
【化2】 [ただし、式中のRは水素原子、水酸基、アルキル基、
アルコキシル基、アリール基またはアリールオキシ基を
表わすものとする。]で示されるリン原子を有する官能
基および式(III)
【化3】 で示されるイオウ原子を有する官能基よりなる群から選
ばれる、少なくとも一つの原子団基を有するものであ
る、請求項1〜8のいずれか一つに記載の防汚塗料用樹
脂組成物。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正内容】
【0028】[ただし、式中のRは水素原子、水酸基、
アルキル基、アルコキシル基、アリール基またはアリー
ルオキシ基を表わすものとする。]ないしは式(II)
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正内容】
【0030】[ただし、式中のRは水素原子、水酸基、
アルキル基、アルコキシル基、アリール基またはアリー
ルオキシ基を表わすものとする。]で示されるリン原子
を有する官能基または式(III)
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0120
【補正方法】変更
【補正内容】
【0120】
【表2】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09D 175/04 PHX 8620−4J

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸基を有するポリウレタン樹脂(A)
    を、必須の皮膜形成性成分として含有することを特徴と
    する、防汚塗料用樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 酸基を有するポリウレタン樹脂(A)
    と、親水性樹脂(B)および/または親水性化合物
    (C)とを含有することを特徴とする、防汚塗料用樹脂
    組成物。
  3. 【請求項3】 酸基を有するポリウレタン樹脂(A)
    と、疎水性樹脂(D)とを含有することを特徴とする、
    防汚塗料用樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 酸基を有するポリウレタン樹脂(A)
    と、親水性樹脂(B)および/または親水性化合物
    (C)と、疎水性樹脂(D)とを含有することを特徴と
    する、防汚塗料用樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 酸基を有するポリウレタン樹脂(A)
    と、防汚剤(E)とを含有することを特徴とする、防汚
    塗料用樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 酸基を有するポリウレタン樹脂(A)
    と、親水性樹脂(B)および/または親水性化合物
    (C)と、防汚剤(E)とを含有することを特徴とす
    る、防汚塗料用樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 酸基を有するポリウレタン樹脂(A)
    と、疎水性樹脂(D)と、防汚剤(E)とを含有するこ
    とを特徴とする、防汚塗料用樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 酸基を有するポリウレタン樹脂(A)
    と、親水性樹脂(B)および/または親水性化合物
    (C)と、疎水性樹脂(D)と、防汚剤(E)とを含有
    することを特徴とする、防汚塗料用樹脂組成物。
  9. 【請求項9】 前記した酸基有するポリウレタン樹脂
    (A)が、カルボキシル基、式(I) 【化1】 [ただし、式中のRは水素原子、アルキル基、アルコキ
    シル基、アリール基またはアリールオキシ基を表わすも
    のとする。]ないしは式(II) 【化2】 [ただし、式中のRは水素原子、アルキル基、アルコキ
    シル基、アリール基またはアリールオキシ基を表わすも
    のとする。]で示されるリン原子を有する官能基および
    式(III) 【化3】 で示されるイオウ原子を有する官能基よりなる群から選
    ばれる、少なくとも一つの原子団基を有するものであ
    る、請求項1〜8のいずれか一つに記載の防汚塗料用樹
    脂組成物。
  10. 【請求項10】 前記した酸基を有するポリウレタン樹
    脂(A)が、酸基を主鎖末端に有するものである、請求
    項1〜8のいずれか一つに記載の防汚塗料用樹脂組成
    物。
  11. 【請求項11】 前記した防汚剤(E)が亜酸化銅であ
    る、請求項5〜8のいずれか一つに記載の防汚塗料用樹
    脂組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN110117454A (zh) * 2019-04-24 2019-08-13 浙江枧洋高分子科技有限公司 一种水性防污处理剂及其制备方法和应用

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