JPH06306013A - 含フッ素アルキルポリカルボン酸エステルとその製造方法およびそれを有する磁気記録媒体 - Google Patents

含フッ素アルキルポリカルボン酸エステルとその製造方法およびそれを有する磁気記録媒体

Info

Publication number
JPH06306013A
JPH06306013A JP10237393A JP10237393A JPH06306013A JP H06306013 A JPH06306013 A JP H06306013A JP 10237393 A JP10237393 A JP 10237393A JP 10237393 A JP10237393 A JP 10237393A JP H06306013 A JPH06306013 A JP H06306013A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ether group
alcohol
acid
fluoroalkyl ether
aliphatic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10237393A
Other languages
English (en)
Inventor
Yukikazu Ochi
幸和 大地
Yoshiaki Kai
義昭 貝
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority to JP10237393A priority Critical patent/JPH06306013A/ja
Publication of JPH06306013A publication Critical patent/JPH06306013A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)
  • Lubricants (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)
  • Magnetic Record Carriers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 低湿度環境において潤滑性の低下しない物質
の提供を目的とする。 【構成】 化学式が(化1)で示される含フッ素アルキ
ルポリカルボン酸エステルである。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高精度な潤滑性が要求さ
れる精密機械、精密部品の潤滑剤、界面活性剤、離型
剤、防錆剤などに有用な新規な含フッ素アルキルポリカ
ルボン酸エステルとその製造方法およびそれを有する磁
気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】機械装置、部品の小型化、高精度化に伴
いそれらの摺動部における潤滑形態も流体潤滑から境界
潤滑へと移行してきている。とりわけ、VTR、磁気デ
ィスク等の電子機器、電子部品においては記録密度の向
上を目的とした強磁性金属薄膜の採用により、磁気テー
プや磁気ディスクと磁気ヘッドとの摺動には高精度の潤
滑が必要となってきた。例えば、蒸着テープやハードデ
ィスクでは耐久性と信頼性を確保しながら磁気記録媒体
と磁気ヘッドとのスペーシングロスを極力小さくして高
出力化を図るために、磁性層表面の潤滑剤層はわずか数
10Åの厚さとなるように形成される。したがって、こ
の潤滑剤層を形成する材料として、潤滑性の優れた有機
化合物の開発が重要な課題となっている。
【0003】金属薄膜型磁気記録媒体用の潤滑剤として
は、(化2)で示されるフロロアルキルエーテル基付モ
ノカルボン酸が金属薄膜との適合性に優れているため、
多数の提案がなされている(例えば、特開昭58−41
438号公報、特開昭59−127230号公報、特開
昭62−58414号公報)。
【0004】
【化2】
【0005】また、最近の従来例としては(化3)で示
されるモノカルボン酸のパーフルオロポリエーテルエス
テルがある(特開平2−49218号公報)。
【0006】
【化3】
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の(化
2)で示されるフロロアルキルエーテル基付モノカルボ
ン酸の潤滑剤および(化3)で示されるモノカルボン酸
のパーフルオロポリエーテルエステルの潤滑剤は低湿度
の環境下で潤滑性が低下するという問題があった。
【0008】本発明は上記の従来の問題を解決するもの
で、低湿度環境下においても潤滑性の低下しない物質の
提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明の物質は一般式が(化4)で示される含フッ
素アルキルポリカルボン酸エステルである。
【0010】
【化4】
【0011】脂肪族アルキル基または脂肪族アルケニル
基(R1)としては炭素数が6〜30、好ましくは10
〜24が適しており、炭素数が6未満または30を超え
ると潤滑性が低下する。フロロアルキルエーテル基(R
2)としてはフッ素と結合した炭素数が5〜50、好ま
しくは8〜30が適しており、炭素数が5未満または5
0を超えると潤滑性が低下する。nの値は2以上の整数
で、好ましくは2〜5が適しており、nが1であると低
湿度環境下での耐久性が低下する。
【0012】本発明の磁気記録媒体は非磁性支持体の上
に強磁性膜を設け、その強磁性膜の上に直接または保護
膜を介して一般式が(化4)で示される含フッ素アルキ
ルポリカルボン酸エステルを1種類以上含有する潤滑剤
層を設けたものである。
【0013】この潤滑剤層は一般式が(化4)で示され
る含フッ素アルキルポリカルボン酸エステルを単独もし
くは他の潤滑剤、防錆剤などを添加して薄層状に存在さ
せる。その存在量は表面1m2当り0.05〜100mg、
好ましくは0.1〜50mgの範囲が適している。また、
前記他の潤滑剤、防錆剤としては含フッ素化合物が好ま
しく、液体系の含フッ素化合物がさらに好ましい。その
添加量としては0〜80%、好ましくは0〜70%の範
囲が適している。一般式が(化4)で示される含フッ素
アルキルポリカルボン酸エステルが20%未満であると
本発明の効果が得られ難い。
【0014】保護膜としてはスパッタリング、プラズマ
CVDなどの方法で得られるアモルファス状、グラファ
イト状、ダイヤモンド状あるいはそれらの混合状態、積
層状態のカーボン薄膜が適用でき、その厚さとしては5
0〜500Åが好ましい。
【0015】
【作用】本発明の含フッ素アルキルポリカルボン酸エス
テルは同一分子内に2個以上のフロロアルキルエーテル
基と1個の脂肪族炭化水素基、すなわち脂肪族アルキル
基または脂肪族アルケニル基を有する構造である。ここ
で、フロロアルキルエーテル基は金属薄膜の表面または
保護膜の表面や磁気ヘッドの表面に露出してその表面の
低エネルギー化に寄与し、非粘着面を形成する。これに
より、フロロアルキルエーテル基は低湿度環境下におい
て金属薄膜の表面や磁気ヘッドの表面の保護作用を発現
する。この作用はフロロアルキルエーテル基の方がフロ
ロアルキル基、フロロアルケニル基よりもはるかに強
い。
【0016】ところで、脂肪族炭化水素基は柔軟な炭素
−炭素結合鎖であり、かつ、隣接する他の分子の炭化水
素鎖との適度な分子間相互作用で配向するために良好な
潤滑性を示す。ただし、同一分子内に脂肪族炭化水素基
がフロロアルキルエーテル基よりも多く存在すると、低
湿度環境下における金属薄膜の表面や磁気ヘッドの表面
の保護作用が低下する。
【0017】したがって、これらの各基をバランス良く
存在させることで生じる相乗効果により、低湿度環境下
において優れた潤滑性を発現する。
【0018】
【実施例】
(実施例1)以下、本発明の第1の実施例について具体
的に説明する。
【0019】本実施例の物質の化学式は(化5)で示さ
れるものである。
【0020】
【化5】
【0021】つぎに、(化5)で示される物質の製造方
法を説明する。出発原料は(化6)で示されるオクタデ
シル無水コハク酸35.3g(0.10モル)と(化7)
で示されるフロロアルキルエーテル基付アルコール11
4.6g(0.10モル)である。
【0022】
【化6】
【0023】
【化7】
【0024】上記の原料と酸触媒のパラトルエンスルホ
ン酸(以下PTSと略す)4.5g(原料の重量に対して
3%)とノルマルヘプタン500mlとを撹拌翼を備えた
1lit.のフラスコに採取し、還流下で24時間反応を行
なった。反応終了後、反応溶液を蒸留水でpHが7にな
るまで繰り返し洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥
させた。つぎに、ノルマルヘプタンを留去し、反応混合
物をベンゼンに溶解し、−10℃に冷却して未反応のオ
クタデシル無水コハク酸を除去した。さらに、反応混合
物をメタノール溶液として同様の処理により、未反応の
フロロアルキルエーテル基付アルコールを除去して(化
8)のモノエステル102gを得た。
【0025】
【化8】
【0026】つぎに、このモノエステル75.0g(0.
05モル)と(化9)で示されるフロロアルキルエーテ
ル基付アルコール32.4g(0.05モル)とPTS2.
8g(原料の重量に対して3.0%)とノルマルヘプタン
300mlとを水分離器と撹拌翼を備えた1lit.のフラス
コに採取し、還流下で24時間反応を行なった。
【0027】
【化9】
【0028】反応終了後、反応溶液を蒸留水でpHが7
になるまで繰り返し洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで
乾燥させた。つぎに、ノルマルヘプタンを留去し、反応
混合物をメタノールに溶解し、−10℃に冷却して未反
応のモノエステルを除去した。さらに、反応混合物をイ
ソプロピルアルコール(IPA)溶液として同様の処理
により、未反応のフロロアルキルエーテル基付アルコー
ルを除去して無色透明の液体75gを得た。この無色透
明の液体は赤外分光分析(IR)、ゲルパーミエーショ
ンクロマトグラフィ(GPC)および有機質量分析(F
D−MS)により、出発原料および副生成物を含まない
(化5)の式で表わされる物質であることが判明した。
【0029】IR;酸無水物の1,775cm-1の吸収ピ
ークおよびアルコールの3,330cm-1の吸収ピーク消
滅、エステルの1,760cm-1の吸収ピーク出現。
【0030】GPC;フロロアルキルエーテル基付アル
コール、オクタデシル無水コハク酸およびモノエステル
検出されず。
【0031】FD−MS;m/e2,130に主ピーク
有り。本実施例においては脂肪族アルキル無水コハク酸
としてオクタデシル無水コハク酸を用いたが、これに代
えて脂肪族アルケニル無水コハク酸を用いてもよい。酸
触媒としては通常のエステル化に用いられるもの、たと
えば硫酸、塩酸などの鉱酸、芳香族スルホン酸などの有
機酸あるいはフッ化ホウ素エーテラートなどのLewi
s酸が適用できる。このことは他の実施例においても同
じである。
【0032】(実施例2)つぎに、本発明の第2の実施
例について具体的に説明する。
【0033】本実施例の物質は実施例1と同じ(化5)
に示すものであるが、その製造方法が相違する。本実施
例の出発原料は(化6)で示されるオクタデシル無水コ
ハク酸35.3g(0.10モル)と(化9)で示される
フロロアルキルエーテル基付アルコール64.8g(0.
10モル)である。上記の原料とノルマルヘプタン30
0mlとを撹拌翼を備えた1lit.のフラスコに採取し、還
流下で24時間反応を行なった。反応終了後、反応溶液
からノルマルヘプタンを留去し、反応混合物をベンゼン
に溶解し、−10℃に冷却して未反応のオクタデシル無
水コハク酸を除去した。さらに、反応混合物をメタノー
ル溶液として同様の処理により、未反応のフロロアルキ
ルエーテル基付アルコールを除去して(化10)のモノ
エステル70gを得た。
【0034】
【化10】
【0035】つぎに、このモノエステル50.1g(0.
05モル)とPTS2.9g(原料の重量に対して3.0
%)とノルマルヘプタンの300mlと(化7)で示され
る上記フロロアルキルエーテル基付アルコールと組成の
異なるフロロアルキルエーテル基付アルコール57.3g
(0.05モル)とを水分離器と撹拌翼を備えた1lit.
のフラスコに採取し、還流下で24時間反応を行なっ
た。反応終了後、反応溶液を蒸留水でpHが7になるま
で繰り返し洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ
た。つぎに、ノルマルヘプタンを留去し、反応混合物を
メタノールに溶解し、−10℃に冷却して未反応のモノ
エステルを除去した。さらに、反応混合物をメタノール
溶液として同様の処理により、未反応のフロロアルキル
エーテル基付アルコールを除去して無色透明の液体77
gを得た。この無色透明の液体は実施例1と同じ(化
5)の式で表わされる物質であった。
【0036】(実施例3)つぎに、本発明の第3の実施
例について具体的に説明する。
【0037】本実施例の物質は(化11)で示されるも
のである。
【0038】
【化11】
【0039】上記の物質は式中のフロロアルキルエーテ
ル基が2個とも同じものである。このためにその製造方
法はつぎに述べるようにモノエステルは製造しないで直
接ジエステルを製造する。
【0040】すなわち、(化12)で示されるフロロア
ルキルエーテル基付アルコール90.4g(0.10モ
ル)とオクタデシル無水コハク酸17.6g(0.05モ
ル)とPTS3.2g(原料の重量に対して3.0%)と
ノルマルヘプタンの300mlとを水分離器と撹拌翼を備
えた1lit.のフラスコに採取し、還流下で24時間反応
を行なった。
【0041】
【化12】
【0042】反応終了後、実施例1と同様な精製処理を
行なって無色透明の液体81gを得た。この無色透明の
液体はIR、GPCおよびFD−MSにより、出発原料
および副生成物を含まない(化11)の式で示される物
質であることが判明した。
【0043】IR;酸無水物の1,775cm-1の吸収ピ
ークおよびアルコールの3,330cm-1の吸収ピーク消
滅、エステルの1,760cm-1の吸収ピーク出現。
【0044】GPC;フロロアルキルエーテル基付アル
コールおよびオクタデシル無水コハク酸検出されず。
【0045】 FD−MS;m/e2,143に主ピーク有り。 (実施例4)つぎに、本発明の第4の実施例について具
体的に説明する。
【0046】本実施例が実施例3と相違する点は、オク
タデシル無水コハク酸に代えてオクタデシルコハク酸を
用いた点である。
【0047】すなわち、(化12)で示されるフロロア
ルキルエーテル基付アルコール90.4g(0.10モ
ル)とオクタデシルコハク酸18.5g(0.05モル)
とPTS3.3g(原料の重量に対して3.0%)とノル
マルヘプタンの300mlとを水分離器と撹拌翼を備えた
1lit.のフラスコに採取し、還流下で24時間反応を行
なった。反応終了後、実施例1と同様な精製処理を行な
って無色透明の液体81gを得た。この無色透明の液体
は実施例3と同じ(化11)の式で表わされる物質であ
った。
【0048】(実施例5)つぎに、本発明の第5の実施
例について具体的に説明する。
【0049】本実施例の物質は実施例1と同じ(化5)
に示すものであるが、その製造方法が相違する。本実施
例の出発原料は(化6)で示されるオクタデシル無水コ
ハク酸35.3g(0.10モル)と(化7)で示される
フロロアルキルエーテル基付アルコール114.6g
(0.10モル)である。上記の原料と酸触媒のPTS
4.5g(原料の重量に対して3%)とノルマルヘプタン
の500mlとを撹拌翼を備えた1lit.のフラスコに採取
し、還流下で24時間反応を行なった。反応終了後、実
施例1と同様な精製処理を行なって(化8)のモノエス
テル102gを得た。このモノエステル75.0g(0.0
5モル)と塩化チオニル60gを撹拌翼を備えた1lit.
のフラスコに採取し、還流下で3時間反応を行なった。
反応終了後、反応溶液から過剰の塩化チオニルを減圧蒸
留により除去した後、これに氷冷下で(化9)で示され
るフロロアルキルエーテル基付アルコール32.4g
(0.05モル)を溶解したピリジン20mlとIPEの
300mlの混合溶液を2時間で滴下した。滴下終了後、
室温で4時間撹拌を続けて反応を完結させた。反応終了
後、反応溶液を5%塩酸水溶液300mlで洗浄し、過剰
のピリジンを反応溶液から除去した。さらに、この溶液
を蒸留水でpHが7になるまで繰り返し洗浄した後、無
水硫酸ナトリウムで乾燥させた。つぎに、IPEを留去
し、反応混合物をメタノールに溶解し、−10℃に冷却
して未反応のモノエステルを除去した。さらに、反応混
合物をIPA溶液として同様の処理により、未反応のフ
ロロアルキルエーテル基付アルコールを除去して無色透
明の液体75gを得た。この無色透明の液体は実施例1
と同じ(化5)の式で表わされる物質であった。
【0050】本実施例の製造方法はモノエステルの製造
後にそれを塩素化して塩素化カルボン酸とし、その後塩
基触媒の存在下でジエステルを製造する点に特徴があ
り、この方法によればモノエステルからジエステルを製
造する時の収率が90%以上となる。これに対して実施
例1および2の直接製造する方法では約70%である。
【0051】塩素化剤としては塩化ホスホリル、塩化チ
オニル、五塩化リン、三塩化リンなどの無機ハロゲン化
合物が適用できる。また、塩基触媒としてはピリジン、
トリエチルアミン、塩化亜鉛、ヨウ素などが適用でき
る。このことは他の実施例においても同じである。
【0052】なお本実施例では脂肪族アルキルコハク酸
をモノエステル化する時にフロロアルキルエーテル基付
アルコールを用い、ジエステル化する時に上記フロロア
ルキルエーテル基付アルコールと組成の異なるフロロア
ルキルエーテル基付アルコールを用いたが、この順序を
逆にしても同じものが得られる。このことは他の実施例
においても同じである。
【0053】(実施例6)以下、本発明の第6の実施例
について具体的に説明する。
【0054】本実施例の物質の化学式は(化13)で示
されるものである。
【0055】
【化13】
【0056】つぎに、(化13)で示される物質の製造
方法を説明する。出発原料は(化14)で示されるステ
アリン酸クロライドと(化15)で示される3−オキシ
トリカルバリル酸である。
【0057】
【化14】
【0058】
【化15】
【0059】ステアリン酸クロライド31.7g(0.1
0モル)とベンゼン500mlとを撹拌翼を備えた1lit.
のフラスコに採取し、これに氷冷下で(化15)で示さ
れる3−オキシトリカルバリル酸19.2g(0.10モ
ル)を溶解したピリジン20mlとIPEの300mlの混
合溶液を2時間で滴下した。滴下終了後、室温で4時間
撹拌を続けて反応を完結させた。反応終了後、反応溶液
を5%塩酸水溶液300mlで洗浄し、過剰のピリジンを
反応溶液から除去した。さらに、この溶液を蒸留水でp
Hが7になるまで繰り返し洗浄した後、無水硫酸ナトリ
ウムで乾燥させた。つぎに、IPEを留去し、反応混合
物をメタノールに溶解し、−10℃に冷却して未反応の
3−オキシトリカルバリル酸を除去した。さらに、反応
混合物をIPA溶液として同様の処理により、未反応の
ステアリン酸クロライドを除去して(化16)のモノエ
ステル35gを得た。
【0060】
【化16】
【0061】つぎに、このモノエステル24.5g(0.
05モル)と(化9)で示されるフロロアルキルエーテ
ル基付アルコール171.9g(0.15モル)とPTS
6.0g(原料の重量に対して3.0%)とノルマルヘプ
タン600mlとを水分離器と撹拌翼を備えた1lit.のフ
ラスコに採取し、還流下で24時間反応を行なった。反
応終了後、反応溶液を蒸留水でpHが7になるまで繰り
返し洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。つ
ぎに、ノルマルヘプタンを留去し、反応混合物をメタノ
ールに溶解し、−10℃に冷却して未反応のモノエステ
ルを除去した。さらに、反応混合物をIPA溶液として
同様の処理により、未反応のフロロアルキルエーテル基
付アルコールを除去して無色透明の液体140gを得
た。この無色透明の液体はIR、GPCおよびFD−M
Sにより、出発原料および副生成物を含まない(化1
3)の式で示される物質であることが判明した。
【0062】IR;カルボン酸の1,735cm-1の吸収
ピークおよびアルコールの3,330cm-1の吸収ピーク
消滅、エステルの1,760cm-1の吸収ピーク出現。
【0063】GPC;フロロアルキルエーテル基付アル
コール、3−オキシトリカルバリル酸およびモノエステ
ル検出されず。
【0064】 FD−MS;m/e3,859に主ピーク有り。 (実施例7)つぎに、本発明の磁気記録媒体の実施例に
ついて具体的に説明する。
【0065】本実施例の磁気記録媒体の非磁性支持体
は、ポリエステルフィルム内に添加されたシリカ微粒子
による勾配のゆるやかな粒状突起(平均高さ70Å、直
径1μm)が表面100μm2当り数個存在し、しかも
重合触媒残さに起因する微粒子による比較的大きな突起
を極力低減させたポリエステルフィルムの表面に、直径
150Åのシリカコロイド粒子を核とし、紫外線硬化エ
ポキシ樹脂を結合剤とする急峻な山状突起を1mm2当り
1×107個となるように形成させたものを用いた。そ
して、その非磁性支持体の上に連続真空斜め蒸着法によ
りCo−Niの強磁性膜(Ni含有量20%、膜厚10
00Å)を微量の酸素の存在下で設けた。強磁性膜中の
酸素含有量は原子分率で5%であった。
【0066】つぎに、上記の強磁性膜の上に(化5)の
含フッ素アルキルコハク酸ジエステルを1m2当り10mg
の存在量になるように塗布して潤滑剤層を形成させた
後、所定幅に裁断して磁気テープを作製した。その磁気
テープを23℃、10%RHの環境下で市販のビデオデ
ッキに掛けて繰り返し走行時の出力特性を測定し、RF
出力が初期値に対し3dB低下するかまたは出力変動の
発生し始めるまでの走行回数を求めた。
【0067】(実施例8)実施例7の磁気テープにおい
て、(化5)に代えて(化11)を用いた磁気テープを
作製して同様の試験を行った。
【0068】(実施例9)実施例7の磁気テープにおい
て、(化5)に代えて(化13)を用いた磁気テープを
作製して同様の試験を行った。
【0069】(実施例10)実施例7の磁気テープにお
いて、(化5)に代えて(化5)と公知の潤滑剤C8
1724NHC1835を重量比で2:1の混合物を用い
た磁気テープを作製して同様の試験を行った。
【0070】(実施例11)実施例7の磁気テープにお
いて、(化5)に代えて(化11)と公知の潤滑剤C17
33COOC24613を重量比で1:1の混合物を
用いた磁気テープを作製して同様の試験を行った。
【0071】以上の実施例の試験結果を(表1)に示
す。表中の従来例1、2および3の潤滑剤はそれぞれ
(化17)、(化18)および(化19)に示すもので
ある。
【0072】
【化17】
【0073】
【化18】
【0074】
【化19】
【0075】
【表1】
【0076】(表1)より、本発明の含フッ素アルキル
ポリカルボン酸エステルを1種以上含有する潤滑剤層を
設けた磁気テープ試料はすべて低湿度中における繰り返
し走行回数が優れていることが明らかである。一方、従
来の潤滑剤のみから成る潤滑剤層を設けた磁気テープは
低湿度中で走行の耐久性が劣ることが明らかである。
【0077】(実施例12)つぎに、本発明の他の磁気
記録媒体の実施例について具体的に説明する。
【0078】本実施例の磁気記録媒体の非磁性支持体
は、直径95mm、厚さ1.2mmのAl合金板の表面に厚
さ25μmの非磁性Ni−P合金メッキを施し、テクス
チャ加工により平均粗さ50Å、最大高さ300Åの突
起を形成したものを用いた。非磁性Ni−P合金メッキ
の上にスパッタリング法によって厚さ1300ÅのCr
下地と厚さ600ÅのCo−Niの強磁性膜を形成し、
さらにその強磁性膜の上にスパッタリング法によって厚
さ200Åのグラファイトの保護膜を形成させたものを
試料Aとする。グラファイト保護膜の代わりにプラズマ
CVD法によって厚さ50Åのダイヤモンドライクカー
ボンの保護膜を形成させたものを試料Bとする。つぎ
に、これらの試料の保護膜の上に(化5)の含フッ素ア
ルキルコハク酸ジエステルを1m2当り10mgの存在量と
なるように塗布して潤滑剤層を設けて磁気ディスクを作
製した。その磁気ディスクに23℃、10%RHの環境
下でCSS(コンタクト・スタート・ストップ)試験を
実施し、摩擦係数が1.0を超えた時点のCSS回数ま
たはヘッドクラッシュ発生時のCSS回数で耐久性の判
定を行なった。
【0079】(実施例13)実施例12の磁気ディスク
において、(化5)に代えて(化11)を用いた磁気デ
ィスクを作製して同様の試験を行った。
【0080】(実施例14)実施例12の磁気ディスク
において、(化5)に代えて(化13)を用いた磁気デ
ィスクを作製して同様の試験を行った。
【0081】(実施例15)実施例12の磁気ディスク
において、(化5)に代えて実施例10と同じ潤滑剤を
用いた磁気ディスクを作製して同様の試験を行った。
【0082】(実施例16)実施例12の磁気ディスク
において、(化5)に代えて実施例11と同じ潤滑剤を
用いた磁気ディスクを作製して同様の試験を行った。
【0083】以上の実施例の試験結果を(表2)に示
す。表中の従来例4、5および6の潤滑剤はそれぞれ
(化17)、(化18)および(化19)に示すもので
ある。
【0084】
【表2】
【0085】(表2)より、本発明の含フッ素アルキル
ポリカルボン酸エステルを1種以上含有する潤滑剤層を
設けた磁気ディスクはすべて低湿度中および高湿度中に
おけるCSSの耐久性に優れていることが明らかであ
る。一方、従来の潤滑剤のみから成る潤滑剤層を設けた
磁気ディスクは低湿度中でCSSの耐久性が劣ることが
明らかである。
【0086】なお、実施例では(化5)、(化11)お
よび(化13)の物質について説明したが、(化2
0)、(化21)、(化22)、(化23)および(化
24)の物質についても同様の効果が得られる。
【0087】
【化20】
【0088】
【化21】
【0089】
【化22】
【0090】
【化23】
【0091】
【化24】
【0092】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の含フッ素アルキルポリカルボン酸エステルは、同一分
子内に2個以上のフロロアルキルエーテル基と1個の脂
肪族炭化水素基、すなわち脂肪族アルキル基または脂肪
族アルケニル基を有する構造であるために低湿度環境下
においても潤滑性が低下しないという優れた効果を示
す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G11B 5/71 7215−5D // C07B 61/00 300 C10N 40:18

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式が(化1)で示される含フッ素アル
    キルポリカルボン酸エステル。 【化1】
  2. 【請求項2】非磁性支持体の上に強磁性膜を設け、上記
    強磁性膜の上に直接または保護膜を介して一般式が(化
    1)で示される含フッ素アルキルポリカルボン酸エステ
    ルを1種類以上含有する潤滑剤層を設けた磁気記録媒
    体。
  3. 【請求項3】脂肪族アルキル無水コハク酸または脂肪族
    アルケニル無水コハク酸とフロロアルキルエーテル基付
    アルコールとを酸触媒の存在下で付加反応させてモノエ
    ステルとし、上記モノエステルと上記フロロアルキルエ
    ーテル基付アルコールと組成の異なるフロロアルキルエ
    ーテル基付アルコールを酸触媒の存在下でエステル化反
    応させてジエステルとする含フッ素アルキルポリカルボ
    ン酸エステルの製造方法。
  4. 【請求項4】脂肪族アルキル無水コハク酸または脂肪族
    アルケニル無水コハク酸とフロロアルキルエーテル基付
    アルコールとを酸触媒の存在下でエステル化反応させて
    ジエステルとする含フッ素アルキルポリカルボン酸エス
    テルの製造方法。
  5. 【請求項5】脂肪族アルキルコハク酸または脂肪族アル
    ケニルコハク酸とフロロアルキルエーテル基付アルコー
    ルとを酸触媒の存在下でエステル化反応させてジエステ
    ルとする含フッ素アルキルポリカルボン酸エステルの製
    造方法。
  6. 【請求項6】脂肪族アルキル無水コハク酸または脂肪族
    アルケニル無水コハク酸とフロロアルキルエーテル基付
    アルコールとを酸触媒の存在下で付加反応させてモノエ
    ステルとし、上記モノエステルを塩素化して塩素化カル
    ボン酸とし、上記塩素化カルボン酸と上記フロロアルキ
    ルエーテル基付アルコールと組成の異なるフロロアルキ
    ルエーテル基付アルコールとを塩基触媒の存在下で反応
    させてジエステルとする含フッ素アルキルポリカルボン
    酸エステルの製造方法。
  7. 【請求項7】クエン酸と塩素化脂肪族アルキルカルボン
    酸、塩素化脂肪族アルケニルカルボン酸のいずれかとを
    塩基性触媒の存在下で反応させてモノエステルとし、上
    記モノエステルとフロロアルキルエーテル基付アルコー
    ルとを酸触媒の存在下でエステル化させる含フッ素アル
    キルポリカルボン酸エステルの製造方法。
JP10237393A 1993-04-28 1993-04-28 含フッ素アルキルポリカルボン酸エステルとその製造方法およびそれを有する磁気記録媒体 Pending JPH06306013A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10237393A JPH06306013A (ja) 1993-04-28 1993-04-28 含フッ素アルキルポリカルボン酸エステルとその製造方法およびそれを有する磁気記録媒体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10237393A JPH06306013A (ja) 1993-04-28 1993-04-28 含フッ素アルキルポリカルボン酸エステルとその製造方法およびそれを有する磁気記録媒体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH06306013A true JPH06306013A (ja) 1994-11-01

Family

ID=14325665

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10237393A Pending JPH06306013A (ja) 1993-04-28 1993-04-28 含フッ素アルキルポリカルボン酸エステルとその製造方法およびそれを有する磁気記録媒体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH06306013A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010020284A (ja) * 2008-06-11 2010-01-28 Tokyo Ohka Kogyo Co Ltd 液浸露光用レジスト組成物およびそれを用いたレジストパターン形成方法
WO2011082770A3 (de) * 2010-01-07 2012-02-02 Merck Patent Gmbh Fluortenside
US8642244B2 (en) 2008-02-06 2014-02-04 Tokyo Ohka Kogyo Co., Ltd. Resist composition for immersion exposure, method of forming resist pattern using the same, and fluorine-containing compound

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8642244B2 (en) 2008-02-06 2014-02-04 Tokyo Ohka Kogyo Co., Ltd. Resist composition for immersion exposure, method of forming resist pattern using the same, and fluorine-containing compound
US8742038B2 (en) 2008-02-06 2014-06-03 Tokyo Ohka Kogyo Co., Ltd. Resist composition for immersion exposure, method of forming resist pattern using the same, and fluorine-containing compound
JP2010020284A (ja) * 2008-06-11 2010-01-28 Tokyo Ohka Kogyo Co Ltd 液浸露光用レジスト組成物およびそれを用いたレジストパターン形成方法
US8518629B2 (en) 2008-06-11 2013-08-27 Tokyo Ohka Kogyo Co., Ltd. Resist composition for immersion exposure and method of forming resist pattern using the same
WO2011082770A3 (de) * 2010-01-07 2012-02-02 Merck Patent Gmbh Fluortenside

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0473871B1 (en) Fluorine-containing compounds
JP3139206B2 (ja) 含フッ素アルキルコハク酸ジエステルとその製造方法およびそれを有する磁気記録媒体
US5578387A (en) Fluorine-containing alkylsuccinic acid diester, process for preparing the same and use thereof
US5391814A (en) Fluorine-containing alkylsuccinic acid diester, process for preparing the same and use thereof
US5431833A (en) Lubricant and magnetic recording medium therewith
JPH06306013A (ja) 含フッ素アルキルポリカルボン酸エステルとその製造方法およびそれを有する磁気記録媒体
US5266724A (en) Fluorine-containing compounds
US5252400A (en) Fluorine-containing compounds
JPH07133253A (ja) 含フッ素アルキルコハク酸ジエステルとその製造方法およびそれを有する磁気記録媒体
JPH0819046B2 (ja) 含フッ素化合物および含フッ素化合物を含有する潤滑剤組成物および磁気記録媒体
JP2574622B2 (ja) 含フッ素アルキルコハク酸ジエステルとその製造方法およびそれを有する磁気記録媒体
EP0563791B1 (en) Fluorine-containing alkyl-succinic acid diester, process for preparing the same and use thereof
EP0363987A2 (en) Organic fluorine compound
JP2962033B2 (ja) 含フッ素アルコールとその製造方法およびそれを有する磁気記録媒体
WO1999016850A1 (fr) Composition lubrifiante et support d'enregistrement magnetique fabrique a partir de ladite composition
JP3216316B2 (ja) 含フッ素カルボン酸およびそれを有する磁気記録媒体
JP2956404B2 (ja) フロロアルケニルカルボン酸エステルとその製造方法及びその潤滑剤層を有する磁気記録媒体
JPH05339205A (ja) フロロアルキルカルボン酸エステル、その製造方法及びその潤滑剤層を有する磁気記録媒体
JP2553831B2 (ja) 含フッ素化合物および含フッ素化合物を含有する潤滑剤組成物および磁気記録媒体
JPH06208720A (ja) フロロアルキル基とメルカプト基を有するアルキルコハク酸エステルとその製造方法及びそれを用いた磁気記録媒体
JPH1180073A (ja) 含フッ素アルキルカルボン酸と該含フッ素アルキルカルボン酸を含有する潤滑剤層を設けた磁気記録媒体
JPH10204031A (ja) 含フッ素アルキルカルボン酸モノエステルとそれを有する磁気記録媒体
JPH07118204A (ja) 含フッ素化合物とそれを有する磁気記録媒体
JPH11171832A (ja) 含フッ素アルキルカルボン酸エステルとそれを有する磁気記録媒体及び磁気記録媒体の製造方法
JPH10204032A (ja) 含フッ素ジアルキルカルボン酸モノエステルとそれを有する磁気記録媒体