JP2574622B2 - 含フッ素アルキルコハク酸ジエステルとその製造方法およびそれを有する磁気記録媒体 - Google Patents

含フッ素アルキルコハク酸ジエステルとその製造方法およびそれを有する磁気記録媒体

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JP2574622B2 JP5059859A JP5985993A JP2574622B2 JP 2574622 B2 JP2574622 B2 JP 2574622B2 JP 5059859 A JP5059859 A JP 5059859A JP 5985993 A JP5985993 A JP 5985993A JP 2574622 B2 JP2574622 B2 JP 2574622B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高精度な潤滑性が要求さ
れる精密機械、精密部品の潤滑剤、界面活性剤、離型
剤、防錆剤などに有用な新規な含フッ素化合物とその製
造方法およびそれを有する磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】機械装置、部品の小型化、高精度化に伴
いそれらの摺動部における潤滑形態も流体潤滑から境界
潤滑へと移行してきている。とりわけ、VTR、磁気デ
ィスク等の電子機器、電子部品においては記録密度の向
上を目的とした強磁性金属薄膜の採用により、磁気テー
プや磁気ディスクと磁気ヘッドとの摺動には高精度の潤
滑が必要となってきた。例えば、蒸着テープやハードデ
ィスクでは耐久性と信頼性を確保しながら磁気記録媒体
と磁気ヘッドとのスペーシングロスを極力小さくして高
出力化を図るために、磁性層表面の潤滑剤層はわずか数
10Åの厚さとなるように形成される。したがって、こ
の潤滑剤層を形成する材料として、潤滑性の優れた有機
化合物の開発が重要な課題となっている。
【0003】金属薄膜型磁気記録媒体用の潤滑剤として
は、(化2)で示されるフロロアルキルポリエーテル基
付モノカルボン酸が金属薄膜との適合性に優れているた
め、多数の提案がなされている(例えば、特開昭58−
41438号公報、特開昭59−127230号公報、
特開昭62−58414号公報)。
【0004】
【化2】 ここでR4はフロロアルキルポリエーテル基である。
【0005】また、最近の従来例としては(化3)で示
されるモノカルボン酸のパーフルオロポリエーテルエス
テルがある(特開平2−49218号公報)。
【0006】
【化3】
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の(化
2)で示されるフロロアルキルポリエーテル基付モノカ
ルボン酸の潤滑剤は高湿度の環境下で潤滑性が低下し、
(化3)で示されるモノカルボン酸のパーフルオロポリ
エーテルエステルの潤滑剤は低湿度の環境下で潤滑性が
低下するという問題があった。
【0008】本発明は上記の従来の問題を解決するもの
で、低湿度から高湿度の環境下においても潤滑性の低下
しない物質の提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明の物質は一般式が(化4)で示される含フッ
素アルキルコハク酸ジエステルである。
【0010】
【化4】 ここでR1は脂肪族アルキル基または脂肪族アルケニル
基であり、R2およびR3の少なくとも一方はフッ素と結
合した炭素数が5〜50の次式 F(C 3 6 O) p 2 4 CH 2 CF 3 O(C 2 4 O) p (CF 2 O) q CF 2 CH 2 CClF 2 O(CF 2 CF(CF 3 )O) p (CF 2 O) q CF 2 CH 2 F(CF(CF 3 )CF 2 O) p CF(CF 3 )CH 2 F(CF(CF 3 )CF 2 O) p CF(CF 3 )CON(CH 3 )C 2 4 で表わされる フロロアルキルポリエーテル基であり、他
方はフロロアルキル基、フロロアルケニル基、フロロフ
ェニル基、脂肪族アルキル基、脂肪族アルケニル基のい
ずれかである。
【0011】脂肪族アルキル基または脂肪族アルケニル
基(R1)としては炭素数が6〜30、好ましくは10
〜24が適しており、炭素数が6未満または30を超え
ると潤滑性が低下する。フロロアルキルポリエーテル基
(R2またはR3)としてはフッ素と結合した炭素数が5
〜50、好ましくは8〜30が適しており、炭素数が5
未満または50を超えると潤滑性が低下する。フロロア
ルキル基、フロロアルケニル基、フロロフェニル基、脂
肪族アルキル基、脂肪族アルケニル基(R2またはR3
としては炭素数が30以下、好ましくは20以下が適し
ており、炭素数が30を超えると潤滑性が低下する。
【0012】本発明の磁気記録媒体は非磁性支持体の上
に強磁性膜を設け、その強磁性膜の上に直接または保護
膜を介して一般式が(化4)で示される含フッ素アルキ
ルコハク酸ジエステルを1種類以上含有する潤滑剤層を
設けたものである。
【0013】この潤滑剤層は一般式が(化4)で示され
る含フッ素アルキルコハク酸ジエステルを単独もしくは
他の潤滑剤、防錆剤などを添加して薄層状に存在させ
る。その存在量は表面1m2当り0.05〜100mg、好
ましくは0.1〜50mgの範囲が適している。また、前
記他の潤滑剤、防錆剤としては含フッ素化合物が好まし
く、液体系の含フッ素化合物がさらに好ましい。その添
加量としては0〜80%、好ましくは0〜70%の範囲
が適している。一般式が(化4)で示される含フッ素ア
ルキルコハク酸ジエステルが20%未満であると本発明
の効果が得られ難い。
【0014】保護膜としてはスパッタリング、プラズマ
CVDなどの方法で得られるアモルファス状、グラファ
イト状、ダイヤモンド状あるいはそれらの混合状態、積
層状態のカーボン薄膜が適用でき、その厚さとしては5
0〜500Åが好ましい。
【0015】
【作用】本発明の含フッ素アルキルコハク酸ジエステル
は同一分子内に1個のフロロアルキルポリエーテル末端
基と2個の脂肪族炭化水素末端基、すなわち脂肪族アル
キル末端基または脂肪族アルケニル末端基を有する構造
または同一分子内に1個のフロロアルキルポリエーテル
末端基と1個のフロロカーボン末端基、すなわちフロロ
アルキル末端基またはフロロアルケニル末端基またはフ
ロロフェニル末端基と1個の脂肪族炭化水素末端基を有
する構造である。ここで、フロロアルキルポリエーテル
基とフロロカーボン基は金属薄膜の表面または保護膜の
表面や磁気ヘッドの表面に露出してその表面の低エネル
ギー化に寄与し、非粘着面を形成する。これにより、フ
ロロアルキルポリエーテル基とフロロカーボン基は低湿
度環境下において金属薄膜の表面や磁気ヘッドの表面の
保護作用を発現するが、この作用はフロロアルキルポリ
エーテル基の方がフロロカーボン基よりも強い。しか
し、フロロアルキルポリエーテル基は親水性のエーテル
結合をその分子内に多数保有するために、高湿度環境下
において吸水する性質を有している。一方、フロロカー
ボン基および脂肪族炭化水素基は疎水性であるため、こ
れらをフロロアルキルポリエーテル基と同一分子内に存
在させることによりフロロアルキルポリエーテル基の親
水性をマスキングすることができる。このマスキング作
用を効果的にするためにはフロロカーボン基および脂肪
族炭化水素基は分子の末端に存在させ、フロロアルキル
ポリエーテル基を両側から包み込むような分子構造にす
る必要がある。ところで、脂肪族炭化水素基は柔軟な炭
素−炭素結合鎖であり、かつ、隣接する他の分子の炭化
水素鎖との適度な分子間相互作用で配向するために良好
な潤滑性を示す。
【0016】したがって、これらの各末端基をバランス
良く存在させることにより、これらの相乗効果により低
湿度環境から高湿度環境に至る全環境において優れた潤
滑性を発現する。
【0017】
【実施例】
(実施例1)以下、本発明の第1の実施例について具体
的に説明する。
【0018】本実施例の物質の化学式は(化5)で示さ
れるものである。
【0019】
【化5】
【0020】上記の物質を(化4)の一般式と比較しな
がら説明すると、脂肪族アルキル基R1としてC1837
(オクタデシル)を有し、R2としてフッ素と結合した
炭素を6個有するフロロアルケニル基を有し、R3とし
てフッ素と結合した炭素を20個有するフロロアルキル
ポリエーテル基を有するものである。
【0021】つぎに、(化5)で示される物質の製造方
法を説明する。出発原料は(化6)で示されるオクタデ
シル無水コハク酸35.3g(0.10モル)と(化7)
で示されるフロロアルキルポリエーテル基付アルコール
114.6g(0.10モル)である。
【0022】
【化6】
【0023】
【化7】
【0024】上記の原料と酸触媒のパラトルエンスルホ
ン酸(以下PTSと略す)4.5g(原料の重量に対して
3%)とノルマルヘプタン500mlとを撹拌翼を備えた
1lit.のフラスコに採取し、還流下で24時間反応を行
なった。反応終了後、反応溶液を蒸留水でpHが7にな
るまで繰り返し洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥
させた。つぎに、ノルマルヘプタンを留去し、反応混合
物をベンゼンに溶解し、−10℃に冷却して未反応のオ
クタデシル無水コハク酸を除去した。さらに、反応混合
物をメタノール溶液として同様の処理により、未反応の
フロロアルキルポリエーテル基付アルコールを除去して
(化8)のモノエステル102gを得た。
【0025】
【化8】
【0026】つぎに、このモノエステル75.0g(0.
05モル)とPTS1.4g(原料の重量に対して1.5
%)とベンゼン300mlと(化9)で示されるフロロア
ルケニル基付アルコール20.9g(0.05モル)とを
水分離器と撹拌翼を備えた1lit.のフラスコに採取し、
還流下で24時間反応を行なった。
【0027】
【化9】
【0028】反応終了後、反応溶液を蒸留水でpHが7
になるまで繰り返し洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで
乾燥させた。つぎに、ベンゼンを留去し、反応混合物を
メタノールに溶解し、−10℃に冷却して未反応のモノ
エステルを除去した。さらに、反応混合物をイソプロピ
ルアルコール(IPA)溶液として同様の処理により、
未反応のフロロアルキルポリエーテル基付アルコールを
除去して無色透明の液体68gを得た。この無色透明の
液体は赤外分光分析(IR)、ゲルパーミエーションク
ロマトグラフィ(GPC)および有機質量分析(FD−
MS)により、反応原料および副生成物を含まない(化
5)の式で表わされる物質であることが判明した。
【0029】IR;酸無水物の1,775cm-1の吸収ピ
ークおよびアルコールの3,330cm-1の吸収ピーク消
滅、エステルの1,760cm-1の吸収ピーク出現。
【0030】GPC;フロロアルキルポリエーテル基付
アルコール、フロロアルケニル基付アルコール、オクタ
デシル無水コハク酸およびモノエステル検出されず。
【0031】FD−MS;m/e1,899に主ピーク
有り。 本実施例においては脂肪族アルキル無水コハク酸として
オクタデシル無水コハク酸を用いたが、これに代えて脂
肪族アルケニル無水コハク酸を用いても同様に製造でき
る。また、モノエステルに反応させる物質としてはフロ
ロアルケニル基付アルコールに代えてフロロアルキル基
付アルコール、フロロフェニル基付アルコール、脂肪族
アルキルアルコール、脂肪族アルケニルアルコールを用
いても同様に製造できる。
【0032】また、本実施例においては反応溶媒として
モノエステル化にノルマルヘプタン、ジエステル化にベ
ンゼンを用いたが、反応原料とモノエステルを溶解し、
反応温度を40〜150℃、好ましくは60〜120℃
に設定できる疎水性溶媒で、アルコール類、エステル系
以外のものであれば良い。酸触媒としては通常のエステ
ル化に用いられるもの、たとえば硫酸、塩酸などの鉱
酸、芳香族スルホン酸などの有機酸あるいはフッ化ホウ
素エーテラートなどのLewis酸が適用できる。
【0033】このことは他の実施例においても同じであ
る。 (実施例2)つぎに、本発明の第2の実施例について具
体的に説明する。
【0034】本実施例の物質は(実施例1)と同じ(化
5)に示すものであるが、その製造方法が相違する。本
実施例の出発原料は(化6)で示されるオクタデシル無
水コハク酸35.3g(0.10モル)と(化9)で示さ
れるフロロアルケニル基付アルコール41.8g(0.1
0モル)である。上記の原料とベンゼン300mlとを撹
拌翼を備えた1lit.のフラスコに採取し、還流下で24
時間反応を行なった。反応終了後、反応溶液からベンゼ
ンを留去し、反応混合物をイソプロピルエーテル(IP
E)に溶解し、−10℃に冷却して未反応のオクタデシ
ル無水コハク酸を除去した。さらに、反応混合物をメタ
ノール溶液として同様の処理により、未反応のフロロア
ルケニル基付アルコールを除去して(化10)のモノエ
ステル54gを得た。
【0035】
【化10】
【0036】つぎに、このモノエステル38.5g(0.
05モル)とPTS2.9g(原料の重量に対して3.0
%)とノルマルヘプタンの300mlと(化7)で示され
るフロロアルキルポリエーテル基付アルコール57.3g
(0.05モル)とを水分離器と撹拌翼を備えた1lit.
のフラスコに採取し、還流下で24時間反応を行なっ
た。反応終了後、反応溶液を蒸留水でpHが7になるま
で繰り返し洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ
た。つぎに、ノルマルヘプタンを留去し、反応混合物を
メタノールに溶解し、−10℃に冷却して未反応のモノ
エステルを除去した。さらに、反応混合物をイソプロピ
ルアルコール(IPA)溶液として同様の処理により、
未反応のフロロアルキルポリエーテル基付アルコールを
除去して無色透明の液体65gを得た。この無色透明の
液体は(実施例1)と同じ(化5)の式で表わされる物
質であった。
【0037】(実施例3)つぎに、本発明の第3の実施
例について具体的に説明する。
【0038】本実施例の物質は(実施例1)と同じ(化
5)に示すものであるが、その製造方法が相違する。本
実施例の出発原料は(化6)で示されるオクタデシル無
水コハク酸35.3g(0.10モル)と(化7)で示さ
れるフロロアルキルポリエーテル基付アルコール11
4.6g(0.10モル)である。上記の原料と酸触媒の
PTS4.5g(原料の重量に対して3%)とノルマルヘ
プタンの500mlとを撹拌翼を備えた1lit.のフラスコ
に採取し、還流下で24時間反応を行なった。反応終了
後、(実施例1)と同様な精製処理を行なって(化8)
のモノエステル102gを得た。このモノエステル75.
0g(0.05モル)と塩化チオニル60gを撹拌翼を備
えた1lit.のフラスコに採取し、還流下で3時間反応を
行なった。反応終了後、反応溶液から過剰の塩化チオニ
ルを減圧蒸留により除去した後、これに氷冷下で(化
9)で示されるフロロアルケニル基付アルコール20.
9g(0.05モル)を溶解したピリジン20mlとIPE
の300mlの混合溶液を2時間で滴下した。滴下終了
後、室温で4時間撹拌を続けて反応を完結させた。反応
終了後、反応溶液を5%塩酸水溶液300mlで洗浄し、
過剰のピリジンを反応溶液から除去した。さらに、この
溶液を蒸留水でpHが7になるまで繰り返し洗浄した
後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。つぎに、IPE
を留去し、反応混合物をメタノールに溶解し、−10℃
に冷却して未反応のモノエステルを除去した。さらに、
反応混合物をIPA溶液として同様の処理により、未反
応のフロロアルキルポリエーテル基付アルコールを除去
して無色透明の液体72gを得た。この無色透明の液体
は(実施例1)と同じ(化5)の式で表わされる物質で
あった。
【0039】本実施例の製造方法はモノエステルの製造
後にそれを塩素化して塩素化カルボン酸とし、その後塩
基触媒の存在下でジエステルを製造する点に特徴があ
り、この方法によればモノエステルからジエステルを製
造する時の収率が90%以上となる。これに対して(実
施例1)および2の直接製造する方法では約70%であ
る。
【0040】塩素化剤としては塩化ホスホリル、塩化チ
オニル、五塩化リン、三塩化リンなどの無機ハロゲン化
合物が適用できる。また、塩基触媒としてはピリジン、
トリエチルアミン、塩化亜鉛、ヨウ素などが適用でき
る。
【0041】なお、本実施例では脂肪族アルキルコハク
酸をモノエステル化する時にフロロアルキルポリエーテ
ル基付アルコールを用い、ジエステル化する時にフロロ
アルケニル基付アルコールを用いたが、この順序を逆に
しても同じものが得られる。
【0042】(実施例4)つぎに、本発明の磁気記録媒
体の実施例について具体的に説明する。
【0043】本実施例の磁気記録媒体の非磁性支持体
は、ポリエステルフィルム内に添加されたシリカ微粒子
による勾配のゆるやかな粒状突起(平均高さ70Å、直
径1μm)が表面100μm2当り数個存在し、しかも
重合触媒残さに起因する微粒子による比較的大きな突起
を極力低減させたポリエステルフィルムの表面に、直径
150Åのシリカコロイド粒子を核とし、紫外線硬化エ
ポキシ樹脂を結合剤とする急峻な山状突起を1mm2当り
1×107個となるように形成させたものを用いた。そ
して、その非磁性支持体の上に連続真空斜め蒸着法によ
りCo−Niの強磁性膜(Ni含有量20%、膜厚10
00Å)を微量の酸素の存在下で設けた。強磁性膜中の
酸素含有量は原子分率で5%であった。
【0044】つぎに、上記の強磁性膜の上に(化5)の
含フッ素アルキルコハク酸ジエステルを1m2当り10mg
の存在量になるように塗布して潤滑剤層を形成させた
後、所定幅に裁断して磁気テープを作製した。その磁気
テープを23℃、10%RHと40℃、80%RHの環
境下で市販のビデオデッキに掛けて繰り返し走行時の出
力特性を測定し、RF出力が初期値に対し3dB低下す
るかまたは出力変動の発生し始めるまでの走行回数を求
めた。
【0045】(実施例5)(実施例4)の磁気テープに
おいて、(化5)に代えて(化11)を用いた磁気テー
プを作製して同様の試験を行った。
【0046】
【化11】
【0047】(実施例6)(実施例4)の磁気テープに
おいて、(化5)に代えて(化5)と公知の潤滑剤C7
1524NHC1429を重量比で2:1の混合物を用
いた磁気テープを作製して同様の試験を行った。
【0048】(実施例7)(実施例4)の磁気テープに
おいて、(化5)に代えて(化11)と公知の潤滑剤C
1735COOC24817を重量比で1:1の混合物
を用いた磁気テープを作製して同様の試験を行った。
【0049】以上の実施例の試験結果を(表1)に示
す。表中の(従来例1)、(従来例2)および(従来例
3)の潤滑剤はそれぞれ(化12)、(化13)および
(化14)に示すものである。
【0050】
【化12】
【0051】
【化13】
【0052】
【化14】
【0053】
【表1】
【0054】(表1)より、本発明の含フッ素アルキル
コハク酸ジエステルを1種以上含有する潤滑剤層を設け
た磁気テープ試料はすべて低湿度中および高湿度中にお
ける繰り返し走行回数が優れていることが明かである。
一方、従来の潤滑剤のみから成る潤滑剤層を設けた磁気
テープは低湿度中または高湿度中で走行の耐久性が劣る
ことが明かである。
【0055】(実施例8)つぎに、本発明の他の磁気記
録媒体の実施例について具体的に説明する。
【0056】本実施例の磁気記録媒体の非磁性支持体
は、直径95mm、厚さ1.2mmのAl合金板の表面に厚
さ25μmの非磁性Ni−P合金メッキを施し、テクス
チャ加工により平均粗さ50Å、最大高さ300Åの突
起を形成したものを用いた。非磁性Ni−P合金メッキ
の上にスパッタリング法によって厚さ1300ÅのCr
下地と厚さ600ÅのCo−Niの強磁性膜を形成し、
さらにその強磁性膜の上にスパッタリング法によって厚
さ200Åのグラファイトの保護膜を形成させたものを
試料Aとする。グラファイト保護膜の代わりにプラズマ
CVD法によって厚さ50Åのダイヤモンドライクカー
ボンの保護膜を形成させたものを試料Bとする。つぎ
に、これらの試料の保護膜の上に(化5)の含フッ素ア
ルキルコハク酸ジエステルを1m2当り10mgの存在量と
なるように塗布して潤滑剤層を設けて磁気ディスクを作
製した。その磁気ディスクに23℃、10%RHと40
℃、80%RHの環境下でCSS(コンタクト・スター
ト・ストップ)試験を実施し、摩擦係数が1.0を超え
た時点のCSS回数またはヘッドクラッシュ発生時のC
SS回数で耐久性の判定を行なった。
【0057】(実施例9)(実施例8)の磁気ディスク
において、(化5)に代えて(化11)を用いた磁気デ
ィスクを作製して同様の試験を行った。
【0058】(実施例10)(実施例8)の磁気ディス
クにおいて、(化5)に代えて(実施例6)と同じ潤滑
剤を用いた磁気ディスクを作製して同様の試験を行っ
た。
【0059】(実施例11)(実施例8)の磁気ディス
クにおいて、(化5)に代えて(実施例7)と同じ潤滑
剤を用いた磁気ディスクを作製して同様の試験を行っ
た。
【0060】以上の実施例の試験結果を(表2)に示
す。表中の(従来例4)、(従来例5)および(従来例
6)の潤滑剤はそれぞれ(化12)、(化13)および
(化14)に示すものである。
【0061】
【表2】
【0062】(表2)より、本発明の含フッ素アルキル
コハク酸ジエステルを1種以上含有する潤滑剤層を設け
た磁気ディスクはすべて低湿度中および高湿度中におけ
るCSSの耐久性に優れていることが明かである。一
方、従来の潤滑剤のみから成る潤滑剤層を設けた磁気デ
ィスクは低湿度中または高湿度中でCSSの耐久性が劣
ることが明かである。
【0063】なお、実施例では(化5)および(化1
1)の物質について説明したが、(化15)、(化1
6)、(化17)、(化18)および(化19)の物質
についても同様の効果が得られる。
【0064】
【化15】
【0065】
【化16】
【0066】
【化17】
【0067】
【化18】
【0068】
【化19】
【0069】
【発明の効果】以上の説明から明かなように、本発明の
含フッ素アルキルコハク酸ジエステルは、同一分子内に
1個のフロロアルキルポリエーテル末端基と2個の脂肪
族炭化水素末端基、すなわち脂肪族アルキル末端基また
は脂肪族アルケニル末端基を有する構造または同一分子
内に1個のフロロアルキルポリエーテル末端基と1個の
フロロカーボン末端基、すなわちフロロアルキル末端基
またはフロロアルケニル末端基またはフロロフェニル末
端基と1個の脂肪族炭化水素末端基を有する構造である
ために低湿度から高湿度の環境下においても潤滑性が低
下しないという優れた効果を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08G 65/08 NQD C08G 65/08 NQD C10M 105/54 C10M 105/54 G11B 5/71 G11B 5/71 // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300 C10N 30:00 40:18

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式が 【化1】 で示される含フッ素アルキルコハク酸ジエステル。[こ
    こでR1は脂肪族アルキル基または脂肪族アルケニル基
    であり、R2およびR3の少なくとも一方はフッ素と結合
    した炭素数が5〜50の次式 F(C 3 6 O) p 2 4 CH 2 CF 3 O(C 2 4 O) p (CF 2 O) q CF 2 CH 2 CClF 2 O(CF 2 CF(CF 3 )O) p (CF 2 O) q CF 2 CH 2 F(CF(CF 3 )CF 2 O) p CF(CF 3 )CH 2 F(CF(CF 3 )CF 2 O) p CF(CF 3 )CON(CH 3 )C 2 4 で表わされる フロロアルキルポリエーテル基であり、他
    方はフロロアルキル基、フロロアルケニル基、フロロフ
    ェニル基、脂肪族アルキル基、脂肪族アルケニル基のい
    ずれかである。]
  2. 【請求項2】 非磁性支持体の上に強磁性膜を設け、そ
    の強磁性膜の上に直接または保護膜を介して請求項1記
    載の含フッ素アルキルコハク酸ジエステルを1種類以上
    含有する潤滑剤層を設けた磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 脂肪族アルキル無水コハク酸または脂肪
    族アルケニル無水コハク酸とフロロアルキルポリエーテ
    ル基付アルコールとを酸触媒の存在下で付加反応させて
    モノエステルとし、そのモノエステルとフロロアルキル
    基付アルコール、フロロアルケニル基付アルコール、フ
    ロロフェニル基付アルコール、脂肪族アルキルアルコー
    ル、脂肪族アルケニルアルコール、上記フロロアルキル
    ポリエーテル基付アルコールと組成の異なるフロロアル
    キルポリエーテル基付アルコールのいずれかとを酸触媒
    の存在下でエステル化反応させてジエステルとする請求
    項1記載の含フッ素アルキルコハク酸ジエステルの製造
    方法。
  4. 【請求項4】 脂肪族アルキル無水コハク酸または脂肪
    族アルケニル無水コハク酸とフロロアルキル基付アルコ
    ール、フロロアルケニル基付アルコール、フロロフェニ
    ル基付アルコール、脂肪族アルキルアルコール、脂肪族
    アルケニルアルコールのいずれかとを付加反応させてモ
    ノエステルとし、そのモノエステルとフロロアルキルポ
    リエーテル基付アルコールとを酸触媒の存在下でエステ
    ル化反応させてジエステルとする請求項1記載の含フッ
    素アルキルコハク酸ジエステルの製造方法。
  5. 【請求項5】 脂肪族アルキル無水コハク酸または脂肪
    族アルケニル無水コハク酸とフロロアルキルポリエーテ
    ル基付アルコールとを酸触媒の存在下でエステル化反応
    させてジエステルとする請求項1記載の含フッ素アルキ
    ルコハク酸ジエステルの製造方法。
  6. 【請求項6】 脂肪族アルキルコハク酸または脂肪族ア
    ルケニルコハク酸とフロロアルキルポリエーテル基付ア
    ルコールとを酸触媒の存在下でエステル化反応させてジ
    エステルとする請求項1記載の含フッ素アルキルコハク
    酸ジエステルの製造方法。
  7. 【請求項7】 脂肪族アルキル無水コハク酸または脂肪
    族アルケニル無水コハク酸とフロロアルキルポリエーテ
    ル基付アルコールとを酸触媒の存在下で付加反応させて
    モノエステルとし、そのモノエステルを塩素化して塩素
    化カルボン酸とし、その塩素化カルボン酸とフロロアル
    キル基付アルコール、フロロアルケニル基付アルコー
    ル、フロロフェニル基付アルコール、脂肪族アルキルア
    ルコール、脂肪族アルケニルアルコール、上記フロロア
    ルキルポリエーテル基付アルコールと組成の異なるフロ
    ロアルキルポリエーテル基付アルコールのいずれかとを
    塩基触媒の存在下で反応させてジエステルとする請求項
    1記載の含フッ素アルキルコハク酸ジエステルの製造方
    法。
  8. 【請求項8】 脂肪族アルキル無水コハク酸または脂肪
    族アルケニル無水コハク酸とフロロアルキル基付アルコ
    ール、フロロアルケニル基付アルコール、フロロフェニ
    ル基付アルコール、脂肪族アルキルアルコール、脂肪族
    アルケニルアルコールのいずれかとを付加反応させてモ
    ノエステルとし、そのモノエステルを塩素化して塩素化
    カルボン酸とし、その塩素化カルボン酸とフロロアルキ
    ルポリエーテル基付アルコールとを塩基触媒の存在下で
    反応させてジエステルとする請求項1記載の含フッ素ア
    ルキルコハク酸ジエステルの製造方法。
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