JPH06305212A - 記録装置 - Google Patents

記録装置

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JPH06305212A
JPH06305212A JP12200593A JP12200593A JPH06305212A JP H06305212 A JPH06305212 A JP H06305212A JP 12200593 A JP12200593 A JP 12200593A JP 12200593 A JP12200593 A JP 12200593A JP H06305212 A JPH06305212 A JP H06305212A
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JP
Japan
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recording
carriage
lead screw
recording apparatus
guide shaft
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Application number
JP12200593A
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English (en)
Inventor
Masaaki Kakizaki
正明 柿崎
Yoji Ara
洋治 荒
Makoto Kashimura
誠 鹿志村
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Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】転造加工したリードスクリューに切削加工で形
成される軸の真円度を向上させて回転時の軸振れを無く
し、記録ヘッド送り精度および記録品位を向上させる。 【構成】キャリッジ10の往復移動を駆動するためのリ
ードスクリュー1であって、転造加工によりリード溝2
を形成した後、両端部に軸3、4を切削加工で形成し、
そして、該軸3、4をバニッシング加工する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、案内手段に沿って移動
するキャリッジに搭載した記録手段により被記録材に記
録するシリアルタイプの記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】プリンター、複写機、ファクシミリ等の
機能を有する記録装置、あるいはコンピューターやワー
ドプロセッサ等を含む複合機やワークステーションの出
力機器として用いられる記録装置は、画像情報に基づい
て用紙やプラスチック薄板(OHP用シートなど)等の
被記録材(記録媒体)に画像(文字や記号なども含む)
を記録していくように構成されている。前記記録装置
は、使用する記録手段の記録方式により、インクジェッ
ト式、ワイヤドット式、感熱式、熱転写式、レーザービ
ーム式等に分けることができる。
【0003】被記録材の搬送方向(副走査方向)と交叉
する方向に主走査する記録方式を採るシリアルタイプの
記録装置においては、被記録材を所定の記録位置にセッ
トした後、被記録材に沿って移動(主走査)するキャリ
ッジ上に搭載した記録手段(記録ヘッド)によって画像
(文字や記号等を含む)を記録し、1行分の記録を終了
した後に所定量の紙送り(副走査)を行ない、その後に
次の行の画像を記録(主走査)するという動作を繰り返
すことにより、被記録材の所望範囲に画像が記録され
る。一方、被記録材を搬送方向に送る副走査のみで記録
するラインタイプの記録装置においては、被記録材を所
定の記録位置にセットし、一括して1行分の記録を連続
的に行ないながら所定量の紙送り(ピッチ送り)を行な
い、被記録材の全体に画像が記録される。
【0004】そのうち、インクジェット式(インクジェ
ット記録装置)は、記録手段(記録ヘッド)から被記録
材にインクを吐出して記録を行なうものであり、記録手
段のコンパクト化が容易であり、高精細な画像を高速で
記録することができ、普通紙に特別の処理を必要とせず
に記録することができ、ランニングコストが安く、ノン
インパクト方式であるため騒音が少なく、しかも、多色
のインクを使用してカラー画像を記録するのが容易であ
るなどの利点を有している。
【0005】特に、熱エネルギーを利用してインクを吐
出するインクジェット式の記録手段(記録ヘッド)は、
エッチング、蒸着、スパッタリング等の半導体製造プロ
セスを経て、基板上に製膜された電気熱変換体、電極、
液路壁、天板などを形成することにより、高密度の液路
配置(吐出口配置)を有するものを容易に製造すること
ができ、一層のコンパクト化を図ることができる。ま
た、IC技術やマイクロ加工技術の長所を活用すること
により、記録手段の長尺化や面状化(2次元化)が容易
であり、記録手段のフルマルチ化および高密度実装化も
容易である。
【0006】上記記録装置においては、近年、ワードプ
ロセッサやパソコン等の普及に伴い、出力結果としての
記録画像に高い品位が求められており、記録ヘッドの高
精細化が図られ、それに伴って記録ヘッドの送り精度の
向上も強く望まれている。また、ラップトップ型パソコ
ン、ノート型パソコンなどのパーソナルコンピュータは
急激に小型化されてきており、従来のディスクトップ型
パソコンとは異なり、持ち運びできるパソコンが普及し
てきている。それに伴って、パソコンの出力装置である
記録装置に対しても、パソコンと一緒に持ち運びできる
ような小型軽量化が強く望まれている。
【0007】先ず、以上のような背景のもとに、記録ヘ
ッドの送り機構としてリードスクリューが使用すること
により、記録ヘッドの送り精度向上および記録装置全体
の小型軽量化を図ることが提案されている。このリード
スクリューのリード溝は所定のピッチで精度良く形成さ
れ、また、キャリッジは該リードスクリューに嵌合して
案内されるので、他にガイド部材を設けなくてもキャリ
ッジを精度良く送ることができ、記録装置の小型軽量化
を図ることもできる。
【0008】次に、キャリッジに搭載した記録ヘッドで
記録を行う記録装置においては、紙送りローラの軸方向
と平行なガイド軸を設け、該ガイド軸によってキャリッ
ジを一定の姿勢で平行移動させる案内機構が使用されて
いる。そして、記録装置としての耐久性を向上させるた
め、前記ガイド軸にはメッキした鋼材を使用し、前記キ
ャリッジにはモールド品を使用することが行なわれてい
る。さらに、摺動抵抗の低減およびキャリッジ走行音の
低減のために、摺動面にグリースを塗布することが行な
われている。
【0009】三番目として、コンピュータの周辺機器で
ある記録装置から発生する騒音は記録方式によって程度
の差異はあるが、従来の記録装置では極めて大きな騒音
が発生していた。この騒音の発生源は大きく三つに分類
される。第1は、記録方式あるいは記録原理によって発
生する音である。すなわち、例えば記録方式がワイヤド
ット式の場合には、ワイヤが紙面に衝突する時の打撃音
あるいはワイヤが初期位置に戻った時のストッパに当た
った時の衝撃音などがある。第2は、記録紙等の被記録
材の共鳴音である。すなわち、例えばワイヤドット方式
の場合にワイヤが被記録材を打撃した時に生じる被記録
材の共振、あるいは紙送り時における被記録材のモータ
との共振などである。第3は、可動部での摺動音であ
る。これは、例えば、記録ヘッドが左右に移動して記録
を行うシリアル記録装置では、記録ヘッドを搭載してい
る可動部であるキャリッジの摺動音である。
【0010】上記第1の記録方式による騒音の場合は、
最近、インクジェット記録装置のような被記録材に接触
せずに記録する非接触記録を採用することにより、低騒
音化が図られている。第2の被記録材の共振の場合は、
被記録材をできるだけ浮かないように保持することによ
り記録装置の低騒音化が図られている。このような事情
から、上記第3の可動部の摺動音による騒音が目立つよ
うになってきた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】先ず、前述したリード
スクリューの製造工程としては、切削加工、転造加工、
塑性加工などが考えられるが、量産性、精度、コスト、
強度などの面から、転造加工(一種の塑性加工)が最も
適している。しかしながら、リードスクリューを転造加
工で製造した場合には、リード溝部において図10に示
すような鍛流線が走り、鍛流線の密な部分と粗の部分が
生じる。この鍛流線が密な部分(図10中のDの部分)
は、塑性加工により加工硬化した部分であり、鍛流線が
粗の部分よりも硬度が高い部分(硬い部分)である。
【0012】図11は切削加工によってリードスクリュ
ーを製造した場合の鍛流線の分布を示す図であり、場所
による鍛流線の粗密の差が殆ど無く、したがって硬度は
ほぼ均一である。また、転造加工でリードスクリューを
製造する場合は、製造上、加工時のバランスを取るた
め、リード溝は1条だけでなく、複数のリード溝を同時
に形成するの場合が殆どである。特に、記録装置の記録
ヘッド送り機構などに使用する場合には、リード角が小
さくなるため、6条程度のリード溝を同時に形成する場
合が多い。
【0013】上記のように転造加工で製造されたリード
スクリューの両端部に、該リードスクリューを軸支する
ための軸部を切削加工で加工した場合、転造加工で加工
硬化している部分では切削バイトが逃げてしまい、両端
軸部の真円度が得られないという技術的課題があった。
図12は転造加工によって製造したリードスクリューの
両端部を切削加工で軸加工した場合を示す模式図であ
る。図12において、リードスクリュー101のリード
溝102は転造加工によって形成されており、鍛流線は
図10の場合と同様に分布している。また、前述の理由
によりリード溝は複数条(N条)あり、リードピッチを
Lとすると、各リードのピッチはL/Nとなっている。
【0014】このようなリードスクリュー101の両端
部に軸部103、104を切削加工で形成すると、前述
したような硬化部分から切削バイトが逃げてしまい、両
端軸部103、104のリード溝102に対応する部分
に帯状の凸部105、106が残ってしまう。この部分
Eの鍛流線の分布は、図13に示すように、鍛流線が密
な部分すなわち加工硬化した部分(図10中の部分D)
に対応した部分となる。また、前記帯状の凸部105、
106のピッチは、各リードのピッチL/Nと同じよう
にL/Nとなっている。
【0015】以上説明したようなリードスクリューを記
録装置の記録ヘッド送り機構に用いた場合、リードスク
リューが回転するに従って図14および図15に示すよ
うな状態が発生する。すなわち、図14および図15に
おいて、リードスクリュー軸受107の長さFと帯状の
凸部105(106)のピッチL/Nとの関係がF<L
/Nとなっていると、図14に示すように帯状の凸部1
05(106)がFの範囲内にある場合と、図15に示
すように帯状の凸部105(106)がFの範囲外にあ
る場合とでは、リードスクリュー101の両端軸部10
3(104)の軸心と直角な方向(y方向)の軸支位置
に距離mだけの変化が生じることになる。すなわち、リ
ードスクリュー101が1回転する間に距離mの振動が
N回発生することになる。
【0016】記録ヘッドはキャリッジに搭載されてお
り、キャリッジはリードスクリュー101に案内されて
いるため、該リードスクリュー101に前述のような振
動が発生すると記録ヘッドが振動することになり、記録
ヘッドの送り精度が低下するとともに、該記録ヘッドに
よる記録が振動のために波打ってしまい、記録品位が劣
化してしまう場合があった。第1の本発明はこのような
技術的課題を解決しようとするものである。
【0017】次いで、鋼製品にメッキを施したガイド軸
に沿ってモールド品のキャリッジを摺動させる構造と
し、必要に応じてキャリッジ走行音低減のために摺動面
にグリースを塗布するという従来の記録装置にあって
は、ガイド軸の面粗度は約6.3S程度までしか平滑に
することができず、次のような技術的課題があった。
【0018】すなわち、第1に、キャリッジとガイド軸
との摺動音はある程度までしか抑えきれない。第2に、
前記摺動音を抑えるために多量のグリースを塗布するこ
とが考えられるが、これは、塗布の初期では効果がある
が、経時変化によって効果が薄れていく。第3に、グリ
ース量を多くすることによって、グリース代が余分にか
かったり、塗布作業により組立作業性が低下したりする
など、コストアップの要因となる。第4に、摺動によっ
てガイド軸とキャリッジとの接触部に磨耗が発生し、製
品の安定した記録品位を保証し難い。第2の本発明は、
このような技術的課題を解決しようとするものである。
【0019】三番目に、前述したように、記録装置の騒
音低減化に関してはその発生原因に応じて種々の対策が
なされているが、可動部の摺動音に起因する騒音に関し
ては未だ何らの対策もなされておらず、本当の意味での
環境に優しい静粛な記録装置を実現することはできなか
った。第3の本発明は、このような技術的課題を解決し
ようとするものである。
【0020】
【課題解決のための手段】請求項1の発明(第1の本発
明)は、被記録材に沿って移動するキャリッジに搭載し
た記録手段により記録を行う記録装置において、前記キ
ャリッジを移動させるためのリードスクリューを設け、
該リードスクリューのリード溝を塑性加工した後、該リ
ードスクリューの軸受部をバニッシング加工等で塑性加
工することにより、リードスクリュー両端部の軸の真円
度を向上させ、安価な構成で前記リードスクリューの軸
振れを無くすことができ、それによって、記録ヘッドの
送り精度を向上させて記録品位の向上を図ることが可能
な記録装置を提供するものである。
【0021】すなわち、上記請求項1の発明によれば、
転造加工(塑性加工)によってリード溝部が加工された
リードスクリューの両端部に、該リードスクリューを軸
支するための軸を切削加工で形成した場合、前記転造加
工による加工硬化のために軸表面に残ったピッチL/N
の帯状の凸部を更なる塑性加工(バニッシング加工)に
よって除去することにより、リードスクリュー両端部の
軸の真円度を向上させ、安価な構成で前記リードスクリ
ューの回転時の振動を無くすことができ、もって、記録
ヘッドの送り精度を向上させて記録品位の向上を図るこ
とが可能な記録装置を提供することができる。
【0022】請求項3の発明(第2の本発明)は、被記
録材に沿って移動するキャリッジに搭載した記録手段に
より記録を行う記録装置において、前記キャリッジの移
動を案内するガイド軸を設け、該ガイド軸と該キャリッ
ジとの摺動接触部の面粗度を細かくする構成を採ること
により、グリース塗布の場合のような経時変化や塗布作
業による組立性の低下を生じることなく、キャリッジと
ガイド軸との摺動音および摺動抵抗を低減させるととも
に、摺動接触部の磨耗を低減させることができ、製品の
寿命向上および記録品位の低下防止を図ることが可能な
記録装置を提供するものである。この場合、上記摺動接
触部の面粗度を細かくするために、例えば、ガイド軸に
複数回のメッキを行うこと、キャリッジのガイド軸との
摺動部にフッ素入り材質を使用すること、あるいは、ガ
イド軸にフッ素によるコーティングを施すことが採用さ
れる。
【0023】請求項7の発明(第3の本発明)は、被記
録材に沿って移動するキャリッジに搭載した記録手段に
より記録を行う記録装置において、前記キャリッジまた
は該キャリッジに保持された部材と摺動する摺動部材、
あるいは該摺動部材と摺動する部材を制振材とすること
により、キャリッジ移動時における摺動音を低減するこ
とができ、環境に優しい静粛な記録装置を提供するもの
である。
【0024】請求項8〜請求項10の発明は、上記構成
に加えて、前記キャリッジを移動させるためにリードス
クリューを使用し、該リードスクリューを制振部材で形
成する構成、前記キャリッジを移動させるためにリード
スクリューを使用し、該リードスクリューのリード溝に
係合するピン部材の材質を制振材とする構成、あるいは
前記キャリッジの回転を防止するためのガイド軸を制振
材で形成する構成とすることにより、一層効率よく、キ
ャリッジ移動時の摺動音を低減することができ、環境に
優しい静粛な記録装置を提供するものである。
【0025】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を説明
する。図1は本発明を適用した記録装置の一実施例を示
す模式的斜視図である。図1は記録装置がインクジェッ
ト記録装置である場合を示す。図1において、リードス
クリュー1の周面には記録範囲にわたって所定ピッチの
リード溝2が形成されており、該リードスクリュー1の
両端部には軸3、4が形成されており、該リードスクリ
ュー1は、リードアーム5の軸受部6と右側板7の軸受
部8で前記軸3、4を軸支することにより、回転自在に
保持されている。
【0026】記録手段(記録ヘッド)9はキャリッジ1
0に搭載されており、該キャリッジ10はリードスクリ
ュー1に摺動自在に取り付けられている。キャリッジ1
0に形成されたガイド孔(不図示)にはリードピン11
が案内保持されており、該リードピン11は、キャリッ
ジ10に一端を固着されたリードピンばね12により、
前記リード溝2内に押圧係合されている。
【0027】図1において、右側板7と左側板13の前
部には前記リードスクリュー1と平行なガイド軸14が
取り付けられており、前記キャリッジ10には該ガイド
軸14と摺動可能に嵌合するガイド溝15が形成されて
いる。前記キャリッジ10は、前記リードスクリュー1
と前記ガイド軸14に摺動自在に嵌合することにより、
回転することなく一定の姿勢で平行移動するように案内
支持されている。なお、前記右側板7および前記左側板
13は、記録装置のシャーシ16に固定(または一体成
形)され、その一部を構成している。
【0028】駆動モータ17の下部には、前面および後
面の同位置から突出する回動ピン18が固定されてい
る。この回動ピン18はシャーシ16のモータ取付孔
(不図示)に回動自在に嵌合され、前記駆動モータ17
は前記回動ピン18を中心にして回動可能に取り付けら
れている。駆動モータ17にはモータ軸と平行なばね受
け19が一体的に形成されている。このばね受け19は
後述するモータばねを受けるためのものであり、そのば
ね受け部には円形の凸部(不図示)が形成されている。
【0029】図1において、駆動モータ17のモータ軸
にはモータプーリー20が固着されている。リードスク
リュー1にはリードプーリー21が固着されている。前
記モータプーリー20と前記リードプーリー21との間
にはタイミングベルト22が張架されている。前記リー
ドアーム5の一端と前記駆動モータ17のばね受け19
との間には、圧縮ばねから成るモータばね23が配設さ
れている。このモータばね23により駆動モータ17を
回動ピン18を中心として矢印A方向に付勢することに
より、前記タイミングベルト22に所定の張力が付与さ
れている。
【0030】記録動作時には、駆動モータ17の回動に
よりタイミングベルト22を経由してリードスクリュー
1を回動させ、リード溝2に係合したリードピン11に
よりキャリッジ10が主走査方向に移動させられ、この
キャリッジ移動に同期して記録ヘッド9を記録情報に基
づいて駆動することにより、記録紙等の被記録材24に
画像が記録される。なお、図1の記録装置の記録ヘッド
9としては、記録ヘッド部(インク吐出部)とインクタ
ンクとを一体化したヘッドカートリッジが使用されてお
り、該ヘッドカートリッジ9はキャリッジ10に対して
交換可能に装着されている。
【0031】前記記録ヘッド(記録手段=ヘッドカート
リッジ)9は、熱エネルギーを利用してインクを吐出す
るインクジェット記録手段であって、熱エネルギーを発
生するための電気熱変換体を備えたものである。また、
前記記録ヘッド9は、前記電気熱変換体によって印加さ
れる熱エネルギーにより生じる膜沸騰により気泡の成
長、収縮によって生じる圧力変化を利用して、吐出口よ
りインクを吐出させ、記録を行なうものである。
【0032】図2は前記記録ヘッド9のインク吐出部の
構造を模式的に示す部分斜視図である。図2において、
被記録材24と所定の隙間(例えば、約0.5〜2.0
ミリ程度) をおいて対面する吐出口面81には、所定の
ピッチで複数の吐出口82が形成され、共通液室83と
各吐出口82とを連通する各液路84の壁面に沿ってイ
ンク吐出用のエネルギーを発生するための電気熱変換体
(発熱抵抗体など)85が配設されている。本例におい
ては、ヘッドカートリッジ9は、前記吐出口82がキャ
リッジ10の走査方向と交叉する方向に並ぶような位置
関係で、該キャリッジ10に搭載されている。こうし
て、画像信号または吐出信号に基づいて対応する電気熱
変換体85を駆動(通電)して、液路84内のインクを
膜沸騰させ、その時に発生する圧力によって吐出口82
からインクを吐出させる記録ヘッド(記録手段)9が構
成されている。
【0033】図1において、前記リードスクリュー1
は、リード溝2を転造加工(塑性加工)で形成し、次い
でその両端部に切削加工で軸3、4を形成した後、これ
らの軸3、4を塑性加工(バニッシング加工)で仕上げ
加工を施したものである。駆動モータ17の回動により
リードスクリュー1を回動させて記録ヘッド9を移動さ
せながら、該記録ヘッド9により被記録材24に画像を
形成するという記録動作に際しては、リードスクリュー
1の両端部の軸3、4は切削加工後に塑性加工(バニッ
シング加工)が行なわれているので、表面状態が滑らか
で精度が良く、真円度も例えば約3ミクロン程度以下と
なっており、リードスクリュー1が回転する時の振動発
生が防止されている。
【0034】図3は本発明に係わるリードスクリューの
両端部の軸を塑性加工(バニッシング加工)する状態を
示す模式図であり、図4はリードスクリューの両端部を
切削加工して軸を形成した状態であって該軸を塑性加工
する前の状態を示す模式図であり、図5は図4の軸を塑
性加工した後の状態を示す模式図である。
【0035】図3〜図5において、リードスクリュー1
のリード溝2を転造加工(塑性加工)によって形成し、
該リードスクリュー1の両端部(片側の軸3側のみを示
す)の軸3、4を切削加工で形成した場合、加工硬化に
よる硬度の差により切削バイトが逃げてしまい、図4に
示すように、前記リード溝2に対応した位置に帯状の凸
部25、26(左側の25のみ図示)が残ってしまう。
以下の説明では、片側の軸3および凸部25に関して説
明するが、他側の軸4および凸部26に関しても同様で
ある。
【0036】前記帯状の凸部25のピッチは、リード溝
2のピッチに対応しており、リードスクリュー1のリー
ドピッチをLとし、リードスクリューの条数をNとした
場合、L/Nとなっている。また、帯状の凸部25の高
さmは10〜20ミクロン程度あり、大きい場合には目
視でも確認できる。図3は前記帯状の凸部25を塑性加
工(バニッシング加工)によって除去する状態を示して
おり、図3において、27および28はそれぞれロール
ダイスを示す。これらのロールダイス27、28は、円
筒形状をしており、焼入れが行なわれている。ロールダ
イス27は、不図示の駆動モータにより、軸29を中心
として矢印K方向に駆動される。一方、ロールダイス2
8は軸30を中心として回転自在になっている。
【0037】前記ロールダイス28を矢印P方向に押圧
することにより、リードスクリュー1の軸3は他方のロ
ールダイス27に圧接される。符号31は、リードスク
リュー1の軸3を支持する支え台である。リードスクリ
ュー1の軸3は、ロールダイス28が矢印P方向に押圧
されることによりロールダイス27の表面に圧接され、
ロールダイス27の矢印K方向の回転に従って、支え台
31に支持された状態で矢印M方向に回転する。ロール
ダイス28は、軸30を中心として、リードスクリュー
1の軸3の矢印M方向の回転に従って矢印O方向に回転
し、不図示の駆動モータにかかる負荷を軽減している。
【0038】図3〜図5において、リードスクリュー1
の軸3の帯状の凸部25は、ロールダイス27、28の
回転と押圧力Pとによって塑性加工(バニッシング加
工)され、図4中の寸法mが3ミクロン以下になり、軸
3の表面は滑らかで精度の良い状態に加工される。図5
はこの加工後の状態を示し、図5中の軸3は塑性加工
(バニッシング加工)後の軸を示す。以上図3〜図5を
参照してリードスクリュー1の片側(左側)の軸3およ
び帯状の凸部25を除去する仕上げ加工(バニッシング
加工)について説明したが、これらの説明は、リードス
クリュー1の反対側(右側)の軸4および帯状の凸部2
6を除去する仕上げ加工(バニッシング加工)について
も同じである。
【0039】以上図1〜図5について説明した実施例に
よれば、リードスクリュー1を回転自在に軸支するため
に両端部に形成される軸3、4を、切削加工の後に塑性
加工(バニッシング加工)するので、軸3、4の表面状
態を滑らかにし、精度が向上し、真円度も3ミクロン以
下と高精度となり、リードスクリュー1の回転に伴う振
動を大幅に軽減することができる。このようなリードス
クリュー1を記録装置の記録ヘッド9の送り機構(主走
査機構)に用いることにより、安価で送り精度が高く、
高品位の画像(文字等を含む)を記録することが可能な
記録装置が提供される。
【0040】なお、以上説明したリードスクリュー1
は、ワイヤドット方式、感熱方式、熱転写方式、インク
ジェット方式、レーザービーム方式など、どのような記
録方式の記録装置に対しても適用可能であるが、特に、
被記録材24と記録ヘッド9が非接触であり、記録ヘッ
ド9の送り機構の負荷が小さいインクジェット記録装置
がコストおよび精度の面から最も適している。また、前
述の実施例ではリードスクリュー1とは別にガイド軸1
4を設けたが、本発明によるリードスクリューは、キャ
リッジ10のガイド軸をリードスクリューで兼用する構
成の記録装置においても、同様に適用することができ、
同様の効果が得られるものである。さらに、前述の実施
例では、被記録材24に記録を行う場合について説明し
たが、本発明によるリードスクリューは、フロッピーデ
ィスクの記録/再生装置、コンパクトディスクの再生装
置などの記録/再生装置のヘッドの送り機構や工作機械
などのテーブル送り機構などに用いても、振動か少なく
精度の高い直線送り機構を実現することができる。
【0041】次いで、図1において、キャリッジ10の
移動を案内するガイド軸14を設け、該ガイド軸14と
キャリッジ10との摺動接触部の面粗度を細かくするこ
とにより、安価な構成で、キャリッジ10を移動させる
時の摺動音および摺動抵抗を低減させ得る記録装置の実
施例について説明する。図6は本実施例に係わる記録装
置の要部構成を示す縦断面図である。
【0042】図1および図6において、前記シャーシ1
6には、前記リードスクリュー1と平行な搬送ローラ
(紙送りローラ)32が軸支されている。図示の例で
は、前記搬送ローラ32はプラテンを兼ねたプラテンロ
ーラで構成されており、該搬送ローラ32の周面の記録
部直前の位置には、被記録材24を搬送ローラ32の周
面に密着させるための紙押え板33が圧接されている。
図1中の34は前記搬送ローラ32を駆動するための搬
送モータである。
【0043】図6において、前記搬送ローラ(紙送りロ
ーラ)32によって被記録材24を搬送し、所定の記録
位置に保持された被記録材24に対して記録手段(ヘッ
ドカートリッジ)9による記録が行われる。被記録材2
4を搬送するための搬送手段は、挿入口35から普通紙
やプラスチック薄板等の被記録材24を挿入し、前記搬
送モータ34(図1)を駆動して紙送りローラ32を回
転させ、被記録材24を紙押え板33でガイドしながら
記録位置へUターン搬送するように構成されている。
【0044】図1および図6において、記録手段として
のヘッドカートリッジ9はキャリッジ10上に搭載さ
れ、該キャリッジ10は駆動モータ17で回転するリー
ドスクリュー1により前記リードピン11(図1)を介
して往復移動させられる。また、キャリッジ10は、前
記ガイド溝15(図1)を介して、前記リードスクリュ
ー1と平行に設置されたガイド軸14と摺動可能に嵌合
している。そして、前記キャリッジ10の往復移動に同
期して記録ヘッド9を画像情報に応じて駆動し、該記録
ヘッド9のインク吐出部(吐出口面81に形成された吐
出口82)から被記録材24へインクを吐出することに
より、所定の記録が行われる。
【0045】なお、記録ヘッド9と記録装置本体の制御
回路との間はフレキシブルケーブル(不図示)で接続さ
れ、該フレキシブルケーブルを介して信号の伝達が行わ
れる。このフレキシブルケーブルは、キャリッジ10の
往復移動を阻害しないように、所定の部分を押さえ部材
(不図示)によってシャーシ16に固定するようにして
配設されている。
【0046】ここで、前記キャリッジ10と前記ガイド
軸14について詳細に説明する。図6において、本実施
例のガイド軸14としては、表面に複数回(例えば2
回)のニッケルメッキを施し、その面粗度が約1S程度
に仕上げられた鋼材(例えばSUM材)が使用されてい
る。前記ニッケルメッキは、表面の凹部につきやすく、
仕上がり面の面粗度を細かくするのに適したものであ
る。そして、ニッキルメッキを2回(複数回)施すこと
により、1回のニッケルメッキでは得られないような面
粗度の細かい表面(例えば面粗度が1S)を得ることが
できる。このガイド軸14に嵌合して摺動するキャリッ
ジ10(そのガイド溝15を含め)は、樹脂の成形品で
作られている。そのため、キャリッジ10のガイド軸1
4との摺動接触部36(図6)においても、面粗度は
6.3S以上の仕上がりとなっている。したがって、キ
ャリッジ10が往復移動する時のガイド軸14との接触
面36における摺動抵抗は小さく抑えることができ、そ
の時の摺動音も効果的に低減することができる。
【0047】以上の実施例では、ガイド軸14に複数回
(例えば2回)のメッキ(例えばニッケルメッキ)を施
して面粗度を細かくしたが、これに代えて、キャリッジ
10のガイド軸14との摺動部36にフッ素入り材質を
使用したり、あるいは前記ガイド軸14にフッ素による
コーティングを施したりすることにより、前記摺動接触
部36の面粗度を細かくしてもよく、このような手段に
よっても、同様の作用効果を得ることができる。
【0048】以上図1および図6で説明した実施例によ
れば、紙送りローラ32の軸方向と平行なガイド軸14
に沿って摺動する記録ヘッド9を搭載したキャリッジ1
0を用いて記録する記録装置において、ガイド軸14の
キャリッジ10との摺動接触部36に複数回(例えば2
回)のメッキを施したり、キャリッジ10側の前記摺動
接触部36にフッ素入りの材質を使用したり、あるいは
前記ガイド軸14にフッ素によるコーティングを施した
りすることにより、前記摺動接触部36の面粗度を細か
くするので、次のような効果が得られる。
【0049】すなわち、キャリッジ10とガイド軸14
との摺動音を低減することができ、しかも、グリースの
塗布量を多くして摺動音対策を行う場合のような経時変
化を無くすことができる。また、塗布作業による組立作
業性の低下を防止することができ、コストアップを防止
することもできる。さらには、キャリッジ10とガイド
軸14との摺動抵抗を軽減することができ、キャリッジ
10とガイド軸14との摺動接触部36の磨耗を低減す
ることができる。そのため、製品の寿命向上および記録
品位の低下防止を図ることができる。
【0050】三番目に、図1の記録装置において、キャ
リッジ10または該キャリッジ10に保持された部材と
摺動する摺動部材、あるいは該摺動部材と摺動する部材
を制振材とすることにより、記録時におけるキャリッジ
10の摺動音を低減することができ、環境に優しい静粛
な記録装置を提供し得る実施例について説明する。この
場合、キャリッジ10またはキャリッジ10に保持され
た部材(例えばリードピン11)と摺動する摺動部材に
はリードスクリュー1およびガイド軸14などがあり、
前記摺動部材1、14などと摺動する部材にはリードピ
ン11などがある。図7はこのような実施例に係わる記
録装置の要部構成を示す模式的斜視図である。
【0051】図7において、紙送りローラ(搬送ロー
ラ)32の端部に紙送りローラギヤ37が一体に設けら
れており、紙送りモータ(搬送モータ)34のモータ軸
に固定された紙送りモータギヤ38が前記紙送りローラ
ギヤ37に噛み合っており、前記搬送モータ34で前記
搬送ローラ32を回転させることにより被記録材24の
紙送り(搬送)が行われる。キャリッジ10の駆動に使
用される駆動モータ(キャリッジモータ)17のモータ
軸にはキャリッジモータギヤ39が固定されており、リ
ードスクリュー1の端部にはリードスクリューギヤ40
が一体的に設けられており、前記キャリッジモータギヤ
39と前記リードスクリューギヤ40は噛み合ってお
り、したがって、駆動モータ17の正逆回転によりリー
ドスクリュー1が正逆回転する。
【0052】前記リードスクリュー1には、ヘッドカー
トリッジ(記録ヘッド)9を搭載したキャリッジ10が
嵌挿されている。リードスクリュー1にはリード溝2が
形成され、キャリッジ10に保持されたリードピン11
が前記リード溝2に係合している。ここで、前記リード
ピン11は、キャリッジ10に装着されたリードピンば
ね12により、適度の押圧力で前記リード溝2内に圧接
されている。そのため、リードスクリュー1が正逆回転
することにより、キャリッジ10は該リードスクリュー
1に沿って往復移動する。
【0053】図7において、前記リードスクリュー1と
平行にガイド軸14が設置されており、キャリッジ10
の後部に形成されたU字形のガイド溝15が前記ガイド
軸14に摺動可能に嵌合している。なお、前記リードピ
ン11によりキャリッジ10が移動する時、該キャリッ
ジ10はリードスクリュー1を中心に回転しようとする
が、この回転方向の変位は前記ガイド軸14により防止
されている。なお、41は記録ヘッド9に電力を供給す
るためのフレキシブルケーブルである。
【0054】図7のような構成を有する従来の記録装置
では、通常、リードピン11の材質としてはステンレス
が使用され、リードスクリュー1の材質としては快削鋼
が使用されていたので、キャリッジ移動時に金属同士が
接触した摺動が生じることになり、著しい擦れ音が発生
し、使用者に不快感を与えていた。これに対し、本実施
例では、前記リードピン11の材質として制振材が使用
されている。前記制振材としては例えばアルミニウムと
亜鉛の合金が使用される。このように、キャリッジ移動
時にリードスクリュー1と摺動するリードピン11を制
振材としたので、従来キャリッジ移動時に発生していた
擦れ音をこの制振材によって効果的に吸収することがで
き、キャリッジ移動に起因する騒音がほとんど発生しな
くなり、低騒音で静粛な環境に優しい記録装置が得られ
た。
【0055】図8は上記制振材としてのアルミニウムと
亜鉛の合金の一例の状態図を示す。制振性に優れたアル
ミニウムと亜鉛の混合比は、重量比で、アルミニウムが
約22%、亜鉛が約78%である。この状態では、合金
は0.5ミクロン〜5ミクロンの微細結晶となってお
り、この結晶の界面摩擦によって振動エネルギーが熱エ
ネルギーとなって吸収され、いわゆる自解作用により制
振性が生じる。図9は、本実施例で用いたアルミニウム
と亜鉛の合金の振動の減衰曲線を例示するグラフであ
る。
【0056】上記実施例ではリードピン11を上記制振
材で形成したが、これに代えて、キャリッジ10と摺動
する摺動部材であるリードスクリュー1(図1または図
7)を上記制振材で形成することによっても、前述の実
施例の場合と同様、従来キャリッジ移動時に発生してい
た擦れ音を効果的に吸収することができ、摺動に起因す
る騒音がほとんど発生しなくなり、低騒音で静粛な記録
装置を得ることができる。
【0057】さらに、キャリッジ10と摺動するもう一
つの摺動部材であるガイド軸14(図1または図7)を
上記制振材で形成することによっても、前述の各実施例
の場合と同様、従来キャリッジ移動時に発生していた擦
れ音を効果的に吸収することができ、摺動に起因する騒
音がほとんど発生しなくなり、低騒音で静粛な記録装置
を得ることができる。
【0058】また、図1および図7中のリードスクリュ
ー1、リードピン11およびガイド軸14の可能な全て
の組み合わせにおいて上記制振材を用いてもよく、これ
らの各実施例においても前述の実施例の場合と同様、従
来キャリッジ移動時に発生していた擦れ音をこの制振材
によって効果的に吸収することができ、キャリッジ移動
に起因する騒音がほとんど発生しなくなり、低騒音で静
粛な環境に優しい記録装置を得ることができる。そし
て、この場合は、制振材で形成する部材の数が多いほ
ど、著しい騒音低減効果を発揮することができる。な
お、以上の各実施例では、制振材としてアルミニウムと
亜鉛の合金を用いたが、本発明は、同様の制振性が得ら
れる材料であれば、他の制振材を用いて実施してもよい
ことは勿論である。
【0059】なお、前述の各実施例では、本発明をイン
クジェット記録装置に適用する場合を例に挙げて説明し
たが、本発明は、ワイヤドット記録装置、レーザービー
ム記録装置、熱転写記録装置、感熱式記録装置など、記
録手段(記録ヘッド)の記録方式に関係なく、種々の記
録装置に対して適用可能なものであり、同様の作用効果
を達成し得るものである。
【0060】また、前述の各実施例では、1個の記録ヘ
ッドを用いる記録装置を例に挙げて説明したが、本発明
は、異なる色で記録する複数の記録ヘッドを用いるカラ
ー記録装置、あるいは同一色彩で濃度の異なる複数の記
録ヘッドを用いる階調記録用の記録装置など、記録ヘッ
ドの数や記録色に関係なく広く適用することができ、同
様の作用効果を達成し得るものである。さらに、記録手
段としては、記録ヘッド部とインクタンクを一体化した
交換可能なヘッドカートリッジの他、記録ヘッド部とイ
ンクタンクを別体としこれらをインク供給チューブで接
続する構成のものなど、記録手段およびインクタンクの
構成がどのようなものであっても、同様に適用すること
ができ、同様の効果を達成し得るものである。
【0061】なお、本発明は、インクジェット記録装置
に適用する場合には、例えば、ピエゾ素子等の電気機械
変換体等を用いる記録手段(記録ヘッド)を使用するも
のに適用できるが、中でも、熱エネルギーを利用してイ
ンクを吐出する方式の記録手段を使用するインクジェッ
ト記録装置において優れた効果をもたらすものである。
かかる方式によれば、記録の高密度化、高精細化が達成
できるからである。
【0062】その代表的な構成や原理については、例え
ば、米国特許第4723129号明細書、同第4740
796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて
行なうのが好ましい。この方式は、所謂オンデマンド
型、コンティニュアス型のいずれにも適用可能である
が、特に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)
が保持されているシートや液路に対応して配置されてい
る電気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越
える急速な温度上昇を与える少なくとも一つの駆動信号
を印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギー
を発生せしめ、記録手段(記録ヘッド)の熱作用面に膜
沸騰させて、結果的にこの駆動信号に一対一に対応し液
体(インク)内の気泡を形成出来るので有効である。
【0063】この気泡の成長、収縮により吐出用開口を
介して液体(インク)を吐出させて、少なくとも一つの
滴を形成する。この駆動信号をパルス形状とすると、即
時適切に気泡の成長収縮が行なわれるので、特に応答性
に優れた液体(インク)の吐出が達成でき、より好まし
い。このパルス形状の駆動信号としては、米国特許第4
463359号明細書、同第4345262号明細書に
記載されているようなものが適している。尚、上記熱作
用面の温度上昇率に関する発明の米国特許第43131
24号明細書に記載されている条件を採用すると、更に
優れた記録を行なうことができる。
【0064】記録ヘッドの構成としては、上述の各明細
書に開示されているような吐出口、液路、電気熱変換体
の組み合わせ構成(直線状液流路又は直角液流路)の他
に熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開示
する米国特許第4558333号明細書、米国特許第4
459600号明細書を用いた構成も本発明に含まれる
ものである。加えて、複数の電気熱変換体に対して、共
通するスリットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開
示する特開昭59年第123670号公報や熱エネルギ
ーの圧力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を
開示する特開昭59年第138461号公報に基づいた
構成としても本発明は有効である。すなわち、記録ヘッ
ドの形態がどのようなものであっても、本発明によれ
ば、記録を確実に効率よく行なうことができるようにな
るからである。
【0065】また、本発明に記録装置の構成として設け
られる記録ヘッドに対しての回復手段や予備的な補助手
段等を付加することは、本発明の効果を一層安定できる
ので好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、
記録ヘッドに対しての、キャッピング手段、クリーニン
グ手段、加圧或は吸引手段、電気熱変換体或はこれとは
別の加熱素子或はこれらの組み合わせによる予備加熱手
段、記録とは別の吐出を行なう予備吐出モードを行なう
ことも安定した記録を行なうために有効である。
【0066】また、搭載される記録ヘッドの種類ないし
個数についても、例えば、単色のインクに対応して1個
のみが設けられたものの他、記録色や濃度を異にする複
数のインクに対応して複数個数設けられるものであって
もよい。すなわち、例えば、記録装置の記録モードとし
ては、黒色等の主流色のみの記録モードだけではなく、
記録ヘッドを一体的に構成するか複数個の組み合わせに
よるか、いずれでもよいが、異なる色の複色カラー又
は、混色によるフルカラーの少なくとも一つを備えた装
置にも本発明は極めて有効である。
【0067】さらに加えて、以上説明した本発明実施例
においては、インクを液体として説明しているが、室温
やそれ以下で固化するインクであって、室温で軟化もし
くは液化するもの、あるいは、インクジェット方式で
は、インク自体を30℃以上70℃以下の範囲内で温度
調整を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあるように
温度制御するものが一般的であるから、使用記録信号付
与時にインクが液状をなすものであればよい。加えて、
積極的に熱エネルギーによる昇温をインクの固形状態か
ら液体状態への状態変化のエネルギーとして使用せしめ
ることで防止するか、または、インクの蒸発防止を目的
として放置状態で固化するインクを用いるかして、いず
れにしても、熱エネルギーの記録信号に応じた付与によ
ってインクが液化し、液状インクが吐出されるものや、
記録媒体に到達する時点ではすでに固化し始めるもの等
のような、熱エネルギーによって初めて液化する性質の
インクを使用する場合も本発明は適用可能である。
【0068】このような場合のインクは、特開昭54−
56847号公報あるいは特開昭60−71260号公
報に記載されるような、多孔質シート凹部または貫通孔
に液状または固形物として保持された状態で、電気熱変
換体に対して対向するような形態としてもよい。本発明
においては、上述した各インクに対して最も有効なもの
は、上述した膜沸騰方式を実行するものである。
【0069】さらに加えて、本発明によるインクジェッ
ト記録装置の形態としては、コンピュータ等の情報処理
機器の画像出力端末として用いられるものの他、リーダ
等と組み合わせた複写装置、さらには送受信機能を有す
るファクシミリ装置の形態を採るもの等であってもよ
い。
【0070】
【発明の効果】以上の説明から明らかなごとく、請求項
1の発明によれば、被記録材に沿って移動するキャリッ
ジに搭載した記録手段により記録を行う記録装置におい
て、前記キャリッジを移動させるためのリードスクリュ
ーを設け、該リードスクリューのリード溝を塑性加工し
た後、該リードスクリューの軸受部を塑性加工する構成
としたので、リードスクリュー両端部の軸の真円度を向
上させ、安価な構成で前記リードスクリューの軸振れを
無くすことができ、それによって、記録ヘッドの送り精
度を向上させて記録品位の向上を図ることが可能な記録
装置が提供される。請求項2の発明によれば、上記構成
に加えて、前記軸受部の塑性加工にバニッシング加工を
使用する構成とするので、一層効率よく、リードスクリ
ュー両端部の軸の真円度を向上させ、安価な構成で前記
リードスクリューの軸振れを無くすことができ、それに
よって、記録ヘッドの送り精度を向上させて記録品位の
向上を図ることが可能な記録装置が提供される。
【0071】請求項3の発明によれば、被記録材に沿っ
て移動するキャリッジに搭載した記録手段により記録を
行う記録装置において、前記キャリッジの移動を案内す
るガイド軸を設け、該ガイド軸と該キャリッジとの摺動
接触部の面粗度を細かくする構成としたので、グリース
塗布の場合のような経時変化や塗布作業による組立性の
低下を生じることなく、キャリッジとガイド軸との摺動
音を低減させるとともに、キャリッジとガイド軸との摺
動抵抗も低減させることができ、摺動接触部の磨耗を低
減させることにより、製品の寿命向上および記録品位の
低下防止を図ることが可能な記録装置が提供される。
【0072】請求項4〜請求項6の発明によれば、上記
請求項3の構成に加えて、前記ガイド軸に複数回のメッ
キを行うことにより前記摺動接触部の面粗度を細かくす
る構成、前記キャリッジの前記ガイド軸との摺動部にフ
ッ素入り材質を使用することにより前記摺動接触部の面
粗度を細かくする構成、あるいは前記ガイド軸にフッ素
によるコーティングを施すことにより前記摺動接触部の
面粗度を細かくする構成としたので、一層効率よく、上
記効果を達成し得る記録装置が提供される。
【0073】請求項7の発明によれば、被記録材に沿っ
て移動するキャリッジに搭載した記録手段により記録を
行う記録装置において、前記キャリッジまたは該キャリ
ッジに保持された部材と摺動する摺動部材、あるいは該
摺動部材と摺動する部材を制振材とする構成としたの
で、キャリッジ移動時の摺動音を低減することができ、
環境に優しい静粛な記録装置が提供される。
【0074】請求項8〜請求項10の発明によれば、上
記請求項7の構成に加えて、前記キャリッジを移動させ
るためにリードスクリューを使用し、該リードスクリュ
ーを制振部材で形成する構成、前記キャリッジを移動さ
せるためにリードスクリューを使用し、該リードスクリ
ューのリード溝に係合するピン部材の材質を制振材とす
る構成、あるいは前記キャリッジの回転を防止するため
のガイド軸を制振材で形成する構成としたので、一層効
率よく、キャリッジ移動時の摺動音を低減することがで
き、環境に優しい静粛な記録装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した記録装置の一実施例を示す模
式的斜視図である。
【図2】図1中の記録手段のインク吐出部の構造を模式
的に示す部分斜視図である。
【図3】リードスクリューの軸をバニッシング加工して
いる状態を示す模式的断面図である。
【図4】転造加工したリードスクリューに切削加工で軸
を形成したまま状態を示す模式的部分側面図である。
【図5】図4の軸を塑性加工した後の状態を示す模式的
部分側面図である。
【図6】記録手段を搭載したキャリッジがリードスクリ
ューとガイド軸に摺動自在に嵌合した状態を示す模式的
縦断面図である。
【図7】キャリッジをリードスクリューおよびガイド軸
に沿って往復移動させる主走査機構を模式的に示す部分
斜視図である。
【図8】制振材としてのアルミニウムと亜鉛の合金の状
態図である。
【図9】図8の制振材の振動減衰曲線を示すグラフであ
る。
【図10】転造加工したリードスクリューのリード溝部
の鍛流線を示す模式図である。
【図11】切削加工したリードスクリューの鍛流線を示
す模式図である。
【図12】転造加工した後両端部に切削加工で軸を形成
した時のリードスクリューを示す模式的側面図である。
【図13】図12中の軸に発生する帯状の凸部およびそ
の内部の鍛流線を示す模式的部分断面図である。
【図14】リードスクリューの軸に生じた帯状凸部が軸
受範囲にある時の支持状態を示す模式的部分断面図であ
る。
【図15】リードスクリューの軸に生じた帯状凸部が軸
受範囲外にある時の支持状態を示す模式的部分断面図で
ある。
【符号の説明】
1 リードスクリュー 2 リード溝 3 軸 4 軸 6 軸受部 8 軸受部 9 記録手段(記録ヘッド) 10 キャリッジ 11 リードピン 12 リードピンばね 14 ガイド軸 15 ガイド溝 16 シャーシ 17 駆動モータ 24 被記録材 25 凸部 26 凸部 27 ロールダイス 28 ロールダイス 29 軸 30 軸 31 支え台 32 搬送ローラ(紙送りローラ) 34 搬送モータ 36 摺動接触部 37 紙送りローラギヤ 38 紙送りモータギヤ 39 キャリッジモータギヤ 40 リードスクリューギヤ

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被記録材に沿って移動するキャリッジ
    に搭載した記録手段により記録を行う記録装置におい
    て、前記キャリッジを移動させるためのリードスクリュ
    ーを設け、該リードスクリューのリード溝を塑性加工し
    た後、該リードスクリューの軸受部を塑性加工すること
    を特徴とする記録装置。
  2. 【請求項2】 前記軸受部の塑性加工にバニッシング
    加工を使用することを特徴とする請求項1の記録装置。
  3. 【請求項3】 被記録材に沿って移動するキャリッジ
    に搭載した記録手段により記録を行う記録装置におい
    て、前記キャリッジの移動を案内するガイド軸を設け、
    該ガイド軸と該キャリッジとの摺動接触部の面粗度を細
    かくすることを特徴とする記録装置。
  4. 【請求項4】 前記ガイド軸に複数回のメッキを行う
    ことにより、前記摺動接触部の面粗度を細かくすること
    を特徴とする請求項3の記録装置。
  5. 【請求項5】 前記キャリッジの前記ガイド軸との摺
    動部にフッ素入り材質を使用することにより、前記摺動
    接触部の面粗度を細かくすることを特徴とする請求項3
    の記録装置。
  6. 【請求項6】 前記ガイド軸にフッ素によるコーティ
    ングを施すことにより、前記摺動接触部の面粗度を細か
    くすることを特徴とする請求項3の記録装置。
  7. 【請求項7】 被記録材に沿って移動するキャリッジ
    に搭載した記録手段により記録を行う記録装置におい
    て、前記キャリッジまたは該キャリッジに保持された部
    材と摺動する摺動部材、あるいは該摺動部材と摺動する
    部材を制振材とすることを特徴とする記録装置。
  8. 【請求項8】 前記キャリッジを移動させるためにリ
    ードスクリューを使用し、該リードスクリューを制振部
    材で形成することを特徴とする請求項7の記録装置。
  9. 【請求項9】 前記キャリッジを移動させるためにリ
    ードスクリューを使用し、該リードスクリューのリード
    溝に係合するピン部材の材質を制振材とすることを特徴
    とする請求項7の記録装置。
  10. 【請求項10】 前記キャリッジの回転を防止するた
    めのガイド軸を制振材で形成することを特徴とする請求
    項7の記録装置。
  11. 【請求項11】 前記記録手段が、インクを吐出して
    記録を行うインクジェット記録手段であることを特徴と
    する請求項1の記録装置。
  12. 【請求項12】 前記記録手段が、インクを吐出する
    ために利用される熱エネルギーを発生する電気熱変換体
    を備えているインクジェット記録手段であることを特徴
    とする請求項11の記録装置。
  13. 【請求項13】 前記記録手段が、前記電気熱変換体
    が発生する熱エネルギーによりインクに生じる膜沸騰を
    利用して、吐出口よりインクを吐出させることを特徴と
    する請求項12の記録装置。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO1999035419A1 (fr) * 1998-01-07 1999-07-15 Smc Kabushiki Kaisha Vis-mere et procede de fabrication correspondant

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