JPH06304200A - パンツ型の使い捨ておむつ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 体液の吸収性、排泄物が漏れないフィット
性、活動に対する追従性、装着性、装脱容易性、特に着
用者に装着した際に、従来のパンツ型おむつの最大の欠
点である排泄物の防漏性及び装着性に優れているパンツ
型の使い捨ておむつを提供すること。 【構成】 液透過性の表面シート、液不透過性の裏面シ
ート及びこれら両シート間に介在する吸収体を有し、該
吸収体は腹側部、股下部及び背側部に区分され、該腹側
部と該背側部の相対する両側部を接合固定してなるウエ
スト開口及び一対のレッグ開口の周縁部に沿って弾性伸
縮部材が設置されたパンツ型の使い捨ておむつにおい
て、上記吸収体の股下部の幅が１００mm未満で、該股下
部の側縁からレッグ開口の周縁部に沿って設けられた弾
性伸縮部材までの距離が５０mm以上であることを特徴と
する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、乳幼児、失禁者及び大
人用のパンツ型の使い捨ておむつに関するものであり、
より詳細には、フォット性を高め、漏れ防止性能を向上
させることのできるパンツ型の使い捨ておむつに関す
る。

【０００２】

【従来の技術】従来のパンツ型の使い捨ておむつは、着
用者にフラットな本体をあてた後、サイド部（腰部側
面）に位置するテープファスナーで止めるいわゆるフラ
ット型の使い捨ておむつが殆どであった。これに対し
て、近年、テープファスナーを用いずに、予めサイド部
を接合固定した、いわゆるパンツ型の使い捨ておむつが
開発された。このようなパンツ型として、例えば、ウエ
スト部とレッグ部にギャザーを設けたものをはじめ種々
の技術が提案されている（特開昭５８−１１５１０６号
公報、特開昭５８−１１５１０７号公報、特開昭６１−
２０７６０５号公報、特開昭６２−２３１００５号公報
等）。これらのパンツ型おむつは、全て通常の下着と同
様に立位で着用し、幼児は勿論のこと高月齢児の「おむ
つばなれ」を促進するためのトイレットトレーニング用
として、あるいは失禁者用もしくは歩行可能な成人用と
して使用することを意図したものである。

【０００３】この種の使い捨ておむつは、いわゆるフラ
ット型のおむつに比較して、通常の下着と同様に着用者
が自分であるいは介護者が上げ下げして装脱着できると
いう点に特徴を有する。さらに、体液の吸収性、排泄物
が漏れないフィット性、活動に対する追従性、装着性と
いった機能が要求される。このような要求に対応するた
めに、特開平２−４３６４号公報には、本体の腹側部と
背側部とを接着するサイド部分に伸縮性のサイドパネル
（サイド部材）を設けて、かつ本体の腹側端部と背側端
部との弾性伸縮部材を配置した構成が開示されている。
また、特開平３−８２４６７号公報には、両足まわり弾
性伸縮部材を第１及び第２部材から構成し、その両部材
の中央部分に股下部のほぼ中央部に位置させて股下部の
フィット性を上げて漏れを防止した構成が開示されてい
る。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、これらの使い
捨ておむつは股下部の吸収体幅が比較的狭く着用者の脚
周りから漏れることが多い問題点があった。即ち、上記
特開平２−４３６４号公報に開示されるようなパンツ型
おむつでは、サイドパネルが一枚の部材で各部分の伸縮
物性が同一で、ずり落ち防止、フィット性向上のために
締め付け力を大きくするが、これは、却って着用者に無
用の圧迫間を与え装脱容易性及び装着性を損なう結果と
なる。また、サイドパネルは取り付けられる本体と別体
に形成されるため、部品点数が増加し製造工程が複雑と
なりコスト高になるという問題点がある。

【０００５】特開平３−８２４６７号公報に開示される
ようなパンツ型おむつのタイプでは、両足まわりの弾性
伸縮部材を第１及び第２部材から構成し、その両部材の
中央部分を股下部のほぼ中央部で交差させ上記弾性伸縮
部材が股下区域を持ち上げ、身体と密着することで股下
部からの漏れを防止することが述べられている。しか
し、実際には幼児の活動にともなう体位変化などでおむ
つがずり落ちておむつと身体の間のすきまから尿が漏れ
ることがあり、吸収体の幅との関係が充分に改善されて
いない。

【０００６】また、従来のパンツ型おむつのレッグ開口
の弾性伸縮部材は、通常、吸収体の比較的近傍に配置さ
れているため、吸収体の剛性及び嵩高性の影響を受けて
十分に伸縮しなかったり、着用者の脚周りにフィットで
きない不都合を生じ、この結果、着用者とおむつとの間
の隙間から排泄物が漏れたり、着用者の活動に対する追
従性に欠け、おむつがずり落ちるという問題があった。
更に、パンツ型おむつは、フィット性向上のため股下部
を狭く形成しているが、その場合、体液の吸収容量が低
下するので、弾性伸縮部材の弾性を強力にして漏れ防止
機能で補っている。しかし、股下部の排泄部周辺はおむ
つが肌に密着しているため排泄物が強く接触し、これが
皮膚の汚れやかぶれを誘因する。従って、本発明の目的
は、体液の吸収性、排泄物が漏れないフィット性、活動
に対する追従性、装脱容易性、特に着用者に装着した際
に、従来のパンツ型おむつの最大の欠点である排泄物の
防漏性及び装着性に優れているパンツ型の使い捨ておむ
つを提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明者らは、パンツ型
の使い捨ておむつの構造について種々検討した結果、吸
収体の股下部の幅を特定し、且つレッグ開口にある弾性
伸縮部材との位置関係を特定することにより上記目的を
達成し得ることを知見した。本発明は、上記知見に基づ
いてなされたもので、液透過性の表面シート、液不透過
性の裏面シート及びこれら両シート間に介在する吸収体
を有し、該吸収体は腹側部、股下部及び背側部に区分さ
れ、該腹側部と該背側部の相対する両側部を接合固定し
てなるウエスト開口及び一対のレッグ開口の周縁部に沿
って弾性伸縮部材が設置されたパンツ型の使い捨ておむ
つにおいて、上記吸収体の股下部の幅が１００mm未満
で、該股下部の側縁からレッグ開口の周縁部に沿って設
けられた弾性伸縮部材までの距離が５０mm以上であるこ
とを特徴とするパンツ型の使い捨ておむつを提供するも
のである。

【０００８】

【作用】本発明によるパンツ型おむつによれば、股下部
吸収体の幅が狭い一方、弾性伸縮部材が設けられるレッ
グ開口の周縁とその股下部の側縁との間隔が広い。この
ため、弾性伸縮部材により形成されるギャザーが股下部
吸収体の剛性の影響を受けずに有効に作用し、股下部に
おいて排泄物の漏れを有効に防止することができ、また
装着性、装脱容易性が向上する。排泄の速度が速い場
合、レッグ開口の周縁とその股下部の側縁の間の領域
に、吸収体が吸収しきれない排泄物を一時的に滞留させ
て漏れを防止する機能もある。更に、弾性伸縮部材を股
下部中央で横断させてギャザーを形成した場合、吸収体
の幅が狭いため、その剛性の影響は少なく、腹或いは背
側から股下にかけてのギャザーの伸縮作用により、股下
部での吸収体のフィット性がより向上する。

【０００９】

【実施例】以下、本発明に係るパンツ型の使い捨ておむ
つの好ましい一実施例を図面を参照しながら説明する。
尚、各図中、図１は、本実施例のパンツ型の使い捨てお
むつを示す斜視図、図２は、図１の使い捨ておむつをウ
エストサイド部で分離したときの内面図である。図３
は、別の実施例のパンツ型の使い捨ておむつをウエスト
サイド部で分離したときの内面図である。

【００１０】本実施例のパンツ型の使い捨ておむつ１
は、図１に示す如く、液透過性のトップシート（表面シ
ート）２、液不透過性のバックシート（裏面シート）３
及びこれら両シート間に介在する吸収体４を有し、吸収
体４は腹当接部４Ａ（腹側部）、股下部４Ｂ及び背当接
部４Ｃ（背側部）に区分され、腹当接部４Ａと背当接部
４Ｃの相対する両側部７１、７２を接合固定してなるウ
エスト開口１１及び一対のレッグ開口１２、１２の周縁
部に沿って弾性伸縮部材が設置された点は従来のパンツ
型の使い捨ておむつと同様である。しかして、本実施例
のパンツ型の使い捨ておむつ１は、吸収体４の股下部４
Ｂの幅が１００mm未満、吸収体４の股下部側縁４１から
レッグ開口１２の周縁部に沿って設けられた弾性伸縮部
材８までの距離が５０mm以上である。

【００１１】本実施例のパンツ型の使い捨ておむつ１を
更に説明すると、図１に示す如く、使い捨ておむつ１
は、着用者の肌に接する側を形成する液透過性のトップ
シート２と、トップシート２に対応し、下着に接する不
透過性のバックシート３と、これら両シート間に位置し
た状態で固定されて排泄物を吸収する吸収体４とから成
る。そして、トップシート２及びバックシート３は重畳
された状態で、吸収体４の腹当接部４Ａ及び背当接部４
Ｃから更にその長手方向に延在され、それらの延在部、
即ちウエストフラップ５には弾性伸縮部材６が設けられ
る。弾性伸縮部材６は、ウエスト開口１１のギャザーを
形成する。また、トップシート２及びバックシート３は
重畳された状態で、吸収体４の腹当接部４Ａ乃至背当接
部４Ｃから幅方向に更に延在され、それらの延在部、即
ちサイドフラップ７、７の股下部分には弾性伸縮部材
８、８が設けられる。弾性伸縮部材８、８は、レッグ開
口１２、１２のギャザーを形成する。

【００１２】図２に示す如く、パンツ型の使い捨ておむ
つ１の各サイドフラップ７、７の両側部７１、７２を分
離した状態では、使い捨ておむつ１は吸収体４の股下領
域が縊れた砂時計状に形成されている。また、トップシ
ート２及びバックシート３も吸収体４の形状に即して股
下領域が上述の如く湾曲形成され、上述のように各サイ
ドフラップ７のそれぞれの弾性伸縮部材８が略湾曲され
た周縁部に沿って上記シート２、３間に張設され、自由
状態で収縮して図１に示すレッグギャザーを形成して股
下領域にフィットし得るように構成されている。尚、両
側部７１、７２の接合には、接合後においてもその部分
の感触が柔軟であることが好ましく、例えば、ホットメ
ルト型の粘着剤、或いは超音波による接合が可能な素材
等を用いることができる。また、その長さは２〜１００
mmであることが好ましく、より好ましくは１５〜５０mm
である。

【００１３】本実施例において、上記レッグ開口１２の
弾性伸縮部材８は、図２に示す如くサイドフラップ７に
おいて内方に湾曲し、レッグ開口１２の略周縁部に沿
い、しかも吸収体４の股下部４Ｂの側縁４１からの距離
Ｈが最も大きい部位で５０mm以上になる様に設けられて
いる。距離Ｈは、特に６０〜１００mmであることが望ま
しく、本実施例では６０mmとなっている。距離Ｈが５０
mmを下回ると吸収体４の剛性等がギャザーに影響を与え
るおそれがあり、使い捨ておむつ自体のフィット性を悪
くする。また、股下部４Ｂでの幅Ｗは最も狭い部位で１
００mm未満であり、特に４０〜８０mmであることが望ま
しく、本実施例では６０mmとなっている。幅Ｗが１００
mm以上になると、吸収体４の剛性等がキャザーに影響を
与えるおそれがあり、使い捨ておむつ自体のフィット性
を悪くし、その使い捨ておむつの排泄物の防漏性を充分
発揮しないおそれがある。

【００１４】尚、上記トップシート２、バックシート３
及び吸収体４に使用される素材としては、使い捨ておむ
つ、その他の衛生用品に既に使用されている、それ自体
公知なものであっても良く特に使用に制限はない。しか
しながら、好ましいトップシート２の素材としては、排
泄物を吸収体４へ透過させる液透過性シートで肌着に近
い感触を有したものが好ましく、このようなう液透過性
シートとしては、例えば、織布、不織布、多孔性フィル
ム等がある。また、トップシート２に機能を持たせて、
その周縁にシリコン系油剤、パラフィンワックス等の疎
水性化合物を塗布する方法や、予めアルキルリン酸エス
テルのような親水性化合物を全体に塗布し、周縁を温水
で洗浄する方法により、撥水処理を施し、周縁における
尿等の滲みによる漏れを防止できるものを用いても良
い。また、好ましいバックシート３としては、熱可塑性
樹脂にフィラーを加えた延伸した、蒸気を透過させる透
湿性のある液不透過性シートが好ましく、肌着に近い感
触を有したものが好ましい。このような液不透過性シー
トとしては、例えば、フィルムと不織布の複合材等があ
る。

【００１５】好ましい吸収体４としては、解繊パルプを
主材とした高分子吸水ポリマーを併用したものが好まし
く、また熱可塑性樹脂、セルロース繊維、高分子吸水ポ
リマーの混合物に熱処理したものが好ましい。高分子吸
水ポリマーの存在位置は上層、中層、下層のいずれでも
よく、また、パルプと混合したものであってもよい。ま
た、該高分子吸水ポリマーは自重の２０倍以上の液体を
吸収して保持し得る保持性能を有し、ゲル化する性質を
有する粒子状のものが好ましく、このような高分子吸水
ポリマーとしては、例えば、デンプン−アクリル酸
（塩）グラフト共重合体、デンプン−アクリロニトリル
共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセル
ロースの架橋物、アクリル酸（塩）重合体などが好まし
い。

【００１６】また、使い捨ておむつ１に用いられる弾性
伸縮部材６、８は糸ゴム、平ゴム、フィルムタイプのゴ
ムあるいはフィルム状の発泡ポリウレタンが好ましく、
１５０％伸長時の応力が７０〜１００グラムであるもの
が好ましく、また、弾性伸縮部材８は伸縮性と通気性を
有する不織布タイプのものが好ましい。

【００１７】以上の如く構成される本実施例のパンツ型
の使い捨ておむつ１は、吸収体４の股下部４Ｂの幅Ｗが
狭く、しかもレッグ開口１２の弾性伸縮部材８は、吸収
体４の剛性の影響を全く受けない位置にあるため、股下
部での吸収体４にフィット性があり、体液の漏れを有効
に防止することができる。

【００１８】次に、本発明に係るパンツ型の使い捨てお
むつの別の実施例を図３に基づいて説明する。図３(a)
は別の実施例のパンツ型の使い捨ておむつをウエストサ
イド部で分離したときの内面図である。

【００１９】本実施例に係るパンツ型の使い捨ておむつ
１０は、図１に示す実施例とほぼ同様に構成されてお
り、図１に示す実施例における部材と同様な部材につい
ては図３において同一符号を付してその詳しい説明を省
略するが、図１の実施例と相違するところは、レッグ開
口１２の弾性伸縮部材８１、８２が、一方のレッグ開口
の周縁に沿い、且つ股下部中央で内方にそれて吸収体４
の股下部４Ｂを横断して再び他方のレッグ開口１２の周
縁に沿って張設固定されている。

【００２０】更に詳しく説明すると、弾性伸縮部材８１
は使い捨ておむつ１０の背当接部側に配され、股下部の
略中央の位置で、サイドフラップ７の周縁部からそれ、
吸収体の股下部４Ｂを横断して張設られている。また、
弾性伸縮部材８１は使い捨ておむつ１０の腹当接部側に
配され、股下部の略中央の位置で、サイドフラップ７の
周縁部からそれ、吸収体の股下部４Ｂを横断して張設ら
れている。このような構成のパンツ型の使い捨ておむつ
１０においても、図１に示す実施例と同様な作用効果を
奏する他に、吸収体４の剛性等の影響を殆ど受けること
なく、弾性伸縮部材８１、８２が吸収体４の股下部４Ｂ
の横断方向に作用してギャザーを形成し、着用者の股下
部でのフィット性を高め、幼児の活動にともなう体位変
化などがあってもおむつがずれ難い。

【００２１】

【発明の効果】本発明に係るパンツ型の使い捨ておむつ
によれば、体液の吸収性、排泄物が漏れないフィット
性、活動に対する追従性、装脱容易性、特に着用者に装
着した際に、従来のパンツ型おむつの最大の欠点である
排泄物の防漏性及び装着性に優れている。

【図面の簡単な説明】

【図１】本実施例のパンツ型の使い捨ておむつを示す斜
視図である。

【図２】図１の使い捨ておむつをウエストサイド部で分
離したときの内面図及びその股下部の断面図である。

【図３】別の実施例のパンツ型の使い捨ておむつをウエ
ストサイド部で分離したときの内面図及びその股下部の
断面図である。

【符合の説明】

１、１０ 使い捨ておむつ ２ トップシート ３ バックシート ４ 吸収体 ４Ｂ 吸収体の股下部 ５ ウエストフラップ ６、８ 弾性伸縮部材 ７ サイドフラップ １１ ウエスト開口 １２ レッグ開口 ８１、８２ 弾性伸縮部材

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 液透過性の表面シート、液不透過性の裏
   面シート及びこれら両シート間に介在する吸収体を有
   し、該吸収体は腹側部、股下部及び背側部に区分され、
   該腹側部と該背側部の相対する両側部を接合固定してな
   るウエスト開口及び一対のレッグ開口の周縁部に沿って
   弾性伸縮部材が設置されたパンツ型の使い捨ておむつに
   おいて、 上記吸収体の股下部の幅が１００mm未満で、該股下部の
   側縁からレッグ開口の周縁部に沿って設けられた弾性伸
   縮部材までの距離が５０mm以上であることを特徴とする
   パンツ型の使い捨ておむつ。
2. 【請求項２】 上記レッグ開口の弾性伸縮部材は、該一
   方のレッグ開口の周縁に沿い、且つ股下部中央で内方に
   それて吸収体の股下部を横断して再び他方のレッグ開口
   の周縁に沿って張設固定されていることを特徴とする請
   求項１記載のパンツ型の使い捨ておむつ。