JP3209365B2 - 使い捨ておむつ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、使い捨ておむつ、特
に、幼児用、成人用あるいは失禁者用として用いられる
使い捨ておむつに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の使い捨ておむつは、例えば、特公
昭５２−４０２６７号公報に開示されているように、液
透過性のトップシートと液不透過性のバックシートと、
これらの両シート間に位置する吸収体とからおむつ本体
を構成し、該おむつ本体の左右に延出するサイドフラッ
プに伸縮弾性部材を配設してギャザーを形成し、かつ該
サイドフラップにおける背側の両側端縁に止着具を配設
して調節可能とすることにより、フィット性、防漏性の
向上を意図したいわゆるフラット型のおむつが一般的で
ある。さらに、特開昭６２−２５０２０１号公報に開示
されているように、レッグ部のギャザーを立体化した
り、吸収体周囲のフラップ部を撥水性にして防漏効果を
高めたものが知られている。

【０００３】しかし、最近では、フィット性及び装着性
の向上を目的として、特開昭５７−７７３０４号公報に
開示されているように、左右一対のサイドフラップにお
ける腹側領域と背側領域を互いに接合固定して左右一対
のレッグ開口部及びウエスト開口部をそれぞれ形成し
た、いわゆるパンツ型の使い捨ておむつが提案されてい
る。該パンツ型の使い捨ておむつは、レッグ開口部及び
ウエスト開口部がそれぞれ伸縮自在に形成されて体型に
フィットするように構成されている。このようなパンツ
型の使い捨ておむつは、通常、着用者自らが、立位の状
態で着用することができ、幼児の「おむつ離れ」を促進
するためのトイレットトレーニング用として、または失
禁者もしくは歩行不可能な成人用として有用とされてい
る。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
従来のパンツ型の使い捨ておむつは、股下部を狭く形成
しなければならないので、伸縮弾性部材が吸収体から離
間して配置することができず、その結果、吸収体の剛性
の影響を受け、本来の伸縮物性を発揮することが困難で
あった。同時に両側縁部の接合部分は伸縮弾性部材によ
り、しわや隙間が生じ易く、排泄物が漏れる原因となっ
ていた。また、漏れ防止策として効果的なレッグギャザ
ーの立体化も、股下部が狭いこと、製造面において困難
があるという問題があった。

【０００５】排泄物、特に尿のにじみ漏れ防止策として
効果的な周囲撥水化技術も、パンツ型おむつにおいて
は、これも股下部が狭いことにより、親水部分と撥水部
分を明確に区別して形成することができないため、十分
な効果が発揮させることができなかった。また、従来の
使い捨ておむつは、排泄物を吸収し、保持するのは、排
尿ポイント付近だけであり、かかる部分のみが汚れ、他
の部分、例えば、ウエストの側部は実質的に汚れること
がないので、おむつ全体を捨てるのでは、無駄を生じる
とともに、不経済である。

【０００６】従って、本発明の目的は、排泄物の漏れを
有効に防止でき、しかも立体ギャザーの形成が容易な使
い捨ておむつを提供することにある。また、本発明の他
の目的は、排泄物による汚れ部分のみの取り替えが可能
な使い捨ておむつを提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、液透過性のト
ップシートと、これに相対する液不透過性且つ蒸気透過
性のバックシートと、これら両シート間に配置された吸
収体とを有する吸収性本体、及び該吸収性本体が接合さ
れ且つ着用時に着用者のウエストを囲んで該吸収性本体
を着用者にあてて保持する最外層シートを備え、上記最
外層シートの腹側部及び背側部それぞれの両側縁部を接
合固定してウエスト開口部と一対のレッグ開口部とを形
成した使い捨ておむつであって、上記吸収体の形状は長
手方向中央に凹部を有する砂時計型であり、上記吸収性
本体の幅方向両側に該吸収性本体の上記トップシート及
び上記バックシートが延出して形成されたサイドフラッ
プ部の両側縁部には、伸縮弾性部材が長手方向に亘って
張設されており、該伸縮弾性部材を有する上記サイドフ
ラップ部の両側部が上記トップシート側に折り返され
て、折り返されたサイドフラップ部の長手方向両端部が
上記吸収体の上方の上記トップシートの表面に接合固定
されていることを特徴とする使い捨ておむつを提供する
ことにより、上記目的を達成したものである。

【０００８】

【作用】請求項１に記載の使い捨ておむつは、最外層シ
ートに吸収性本体を接合し、該吸収性本体を着用者の股
下部に当て、通常の下着と同様にして着用する。着用中
においては、吸収性本体のサイドフラップ部はその両側
縁部に配置された伸縮弾性部材の伸縮力により該サイド
フラップ部が起立されて、排泄物を保持する袋状の立体
ギャザーが形成される。このような、袋状の立体ギャザ
ーは、サイドフラップ部の両側縁部に伸縮弾性部材を張
設し、それを折り畳んでその長手方向両端部を接合固定
するだけという簡単な構成で、容易に形成することがで
きる。

【０００９】請求項２に記載の発明によれば、最外層シ
ートに第２レッグギャザーを形成するものであるから、
排泄物の漏れを確実に防止できる。請求項３に記載の使
い捨ておむつによれば、吸収性本体を最外層シートに剥
離自在であるから、排泄後には他の吸収性本体と取り替
えることによって、最外層シートを再使用することが可
能である。

【００１０】

【実施例】以下に、添付の図面を参照し乍ら、本発明の
実施例を詳細に説明する。図１は本発明の実施例の使い
捨ておむつの斜視図であり、図２は図１に示す使い捨て
おむつを展開した状態の平面図であり、図３は図１に示
す吸収性本体の製造方法を示す平面図であり、図４は図
１に示す吸収性本体の平面図であり、図５は図４に示す
吸収性本体の使用状態であって、図４のIV−IV線に沿っ
て切断した部分を示す断面図であり、図６は図４に示す
吸収性本体の使用状態であって、図４のＶ−Ｖ線に沿っ
て切断した部分を示す断面図である。

【００１１】本発明の実施例による使い捨ておむつ１
は、いわゆるパンツ型の使い捨ておむつであり、図１及
び図２に示すように、液透過性のトップシート１５と、
これに相対する液不透過性且つ蒸気透過性のバックシー
ト１６と、これら両シート間に配置された吸収体１７と
を有する吸収性本体３、及び該吸収性本体３が接合され
且つ着用時に着用者のウエストを囲んで該吸収性本体３
を着用者にあてて保持する最外層シート２を備え、上記
最外層シート２の腹側部及び背側部それぞれの両側縁部
を接合固定してウエスト開口部１１と一対のレッグ開口
部７、７とを形成した使い捨ておむつであって、上記吸
収体１７の形状は長手方向中央に凹部を有する砂時計型
であり、上記吸収性本体３の幅方向両側に延出するサイ
ドフラップ部１８、１８の両側縁部には、伸縮弾性部材
（以下、第２伸縮弾性部材という）２６、２６が長手方
向に亘って張設されており、該伸縮弾性部材２６、２６
を有する上記サイドフラップ部１８、１８の両側部が上
記トップシート１５側に折り返されて、折り返されたサ
イドフラップ部１８、１８の長手方向両端部１８ａ、１
８ａが、上記吸収体１７の上方の上記トップシート１５
の表面に接合固定されている。

【００１２】また、上記最外層シート２の両側縁部に伸
縮弾性部材（以下、第１伸縮弾性部材という）２４が張
設されおり、該第１伸縮弾性部材２４により第１レッグ
ギャザー２４ａが形成されている。最外層シート２は、
吸収性本体３よりも実質的に大きな寸法の略四角形形状
に形成され、その長手方向略中央には、吸収性本体３が
接着材により剥離自在に固着されている。吸収性本体３
が接着されている両側部には凹欠部６が形成されてお
り、パンツ型を形成したときにレッグ開口部７、７を形
成するようになっている。凹欠部６の形成されているく
びれ部分の上方と下方とには、夫々、吸収性本体３の両
側から幅方向外方に左右一対のサイドフラップ８、８と
９、９とが延出されている。

【００１３】サイドフラップ８、８と９、９との夫々の
端縁は、上下のサイドフラップ８、９を接合部にて互い
に融着してパンツ型を形成するようになっている。ま
た、最外層シート２の長手方向における両端縁部には、
吸収性本体３の外方へ延出する一対のウエストフラップ
１０ａ、１０ｂが設けられ、パンツ型を形成した際に、
ウエスト開口部１１が形成されるようになっている。ウ
エストフラップ１０ａ、１０ｂには、夫々第３伸縮弾性
部材１２が、サイドフラップの凹欠部６には上述した第
１伸縮弾性部材２４が張設され、それぞれウエストフラ
ップのギャザー１２ａ、第１レッグギャザー２４ａを形
成し、着用時に着用者へのフィット性を高め、ずれ落ち
防止が図られている。また、着用時にウエスト開口部１
１とレッグ開口部７、７との間に、第４伸縮弾性部材１
４が張設されて、着用者の胴回りのフィット性を高める
ようになっている。

【００１４】吸収性本体３は、最外層シート２に接着さ
れた際に、凹欠部６に張設された第１伸縮弾性部材２４
の内側に位置するように配置され、第１レッグギャザー
２４ａと第２レッグギャザー２６ａとが順次重ならずに
形成されるようになっている。吸収性本体３は、着用者
の肌に接する側を形成する液透過性のトップシート１５
と、該トップシート１５の対応する液不透過性のバック
シート１６と、トップシート１５とバックシート１６と
の間に介在された吸収体１７とから構成されており、図
３に示すように、全体として、略四角形形状に形成され
ており、吸収体１７は長手方向中央に凹部を有する砂時
計型に形成されている。

【００１５】サイドフラップ部１８、１８は、図４及び
図５に示すように、吸収性本体３のトップシート１５及
びバックシート１６が延出して形成されたもので、その
両側縁部に第２伸縮弾性部材２６が長手方向の両端に亘
って張設されており、該第２伸縮弾性部材２６はサイド
フラップ部１８、１８の両側端縁からの距離Ｍが１mm〜
１０mm、好ましくは２mm〜５mmの位置に配置されてい
る。第２伸縮弾性部材２６を含む両側端縁部１８ａ、１
８ａは、図４及び図５に示すように、吸収体の長手方向
両側端縁部付近で、吸収体の上方で、トップシート１５
を互いに重ねるように、折り返されているが、該折り返
し部分の幅Ｎは、５mm〜５０mm、好ましくは１０mm〜３
０mmである。幅Ｎが、５mmより少ないと充分な袋状のギ
ャザーが立設できないからであり、５０mmより多いと袋
状のギャザーが潰れてしまうからである。

【００１６】サイドフラップ部１８の折り返し部は、そ
の長手方向における両縁端部１８ａ、１８ａが、それぞ
れ接着材Ａにより吸収性シートの上方でトップシート１
５同志が接着されている。接着部分の長さ（接着材Ａの
塗布長さ）Ｌは砂時計型の幅ひろ部分における長手方向
の長さと略等しい寸法を有しているが、該長さＬは１０
mm〜１００mm、好ましくは２０mm〜６０mmである。

【００１７】尚、このサイドフラップ部１８、１８は自
由部分となっており、吸収性本体３はその底面におい
て、バックシート１６の略中央部のみが最外層シート２
の中央部２０に接着されて、自由状態において、第２レ
ッグギャザー２６ａ、２６ａの形成を容易にしている。

【００１８】次に、本実施例の主な構成部分の材質につ
いて説明する。トップシート１５は、排泄物を吸収体１
７へ透過させる液透過性シートで肌着に近い感触を有し
たものが好ましく、このような液透過性シートとして
は、例えば、織布、不織布、多孔性フィルム等が好まし
い。また、トップシート１５の周縁部にシリコン系油
剤、パラフィンワックス等の疎水性化合物を塗布する方
法や、予めアルキルリン酸エステルのような親水性化合
物を塗布し、周縁を温水で洗浄する方法により撥水処理
を施し、周縁部における尿等の滲みによる漏れを防止す
ることができる。

【００１９】バックシート１６は、熱可塑性樹脂にフイ
ラーを加えて延伸した透湿性のある液不透過性シートや
肌着に近い感触を有したもの、例えば、フィルムと不織
布との複合材あるいはフィルムと織布の複合材等が用い
られる。吸収体１７は、解繊パルプを主材とし、高分子
吸水ポリマーを併用したものが好ましく、そのほか、熱
可塑性樹脂、セルロース繊維、高分子吸水ポリマーの混
合物を熱処理したものなどが好ましい。高分子吸水ポリ
マーの存在位置は上層、中層、下層のいずれであっても
よく、パルプと混合したものであってもよい。該高分子
吸水ポリマーは、自重の２０倍以上の液体を吸収して保
持し得る保持性能を有し、ゲル化する性質を有する粒子
状のものが好ましく、このような高分子吸水ポリマーと
しては、例えば、デンプン−アクリル酸（塩）グラフト
共重合体、デンプン−アクリロニトリル酸（塩）重合体
などが好ましい。

【００２０】第１、第２、第３、第４伸縮弾性部材２
４、２６、１２、１４は、一般に伸長した状態で吸収性
本体３及び最外層シート２に超音波溶着、熱溶着、接着
剤などの業界公知の手段を用いて接合される。材質とし
ては、糸ゴム、平ゴム、フィルムタイプのゴムあるいは
テープ状の発泡ポリウレタンなど、業界で公知のもので
あれば何でも使用することができ、１本あるいは複数本
であってもよい。かかる伸縮弾性部材は、１５０％伸長
時の応力が７０〜１００ｇであるものが特に好ましい。

【００２１】接着材Ａは、剥離自在な公知の接着材等が
用いられており、吸収性本体３の内側、好ましくは吸収
体１７の内側にて、点状または線状に接着される。接着
剤Ａの材料としては、ホットメルト接着剤、スチレン・
ブタジエン共重合体、アクリル酸エステル共重合体、酢
酸ビニル、エチレン・オレフィン共重合体、石油系樹
脂、コールドグルー等が使用される。

【００２２】次に、本実施例の作用について説明する。
図２に示す展開状態の最外層シート２のサイドフラップ
８、９の側縁を互いに接合して図１に示すような、ウエ
スト開口部１１と一対のレッグ開口部７、７を形成した
パンツ型のおむつを形成する。この最外層シート２に
は、その内側に吸収性本体３が接着剤Ａにより剥離自在
に接着されている。着用時には、ウエスト開口部１１に
両足を通して、パンツ型のおむつを引き上げて、各レッ
グ開口部７、７に脚を通して着用する。着用中において
は、最外層シート３のウエスト開口部１１にウエストフ
ラップのギャザー１２ａ及びレッグ開口部７、７に第１
レッグギャザー２４ａが形成されており、着用者へのフ
ィット性、追従性及び漏れ防止性が図られている。更
に、第４の伸縮弾性部材１４により胴回りにおける着用
者へのフィット性が向上されている。

【００２３】また、吸収性本体３はその中央部でのみ最
外層シートに接着されているから、第２伸縮弾性部材２
６によって、サイドフラップ部１８が容易に立設して袋
状の立体ギャザーを形成するので、該袋状部に排泄物を
確実に保持することができる。しかも、かかる立体ギャ
ザーの形成は、図３に示すように、伸縮弾性部材２６が
張設されたフラップ部分を折り畳んで接着するだけで、
簡単に製造することができる。

【００２４】着用中には、吸収性本体３において、第２
レッグギャザー２６ａが形成されており、排泄物等の吸
収性本体３から最外層シート２への漏れが防止される。
また、上記最外層シート２のレッグ開口部７の第１レッ
グギャザー２４ａと共に二重のギャザーが形成されてい
るので脚部からの確実な漏れ防止が図られているのであ
る。そして、排泄物の排泄後には、吸収性本体３を最外
層シート２から剥離して、新たな吸収性本体３を最外層
シート２に接着して交換する。このように、第１実施例
によれば、排泄物により汚れた吸収性本体のみの交換を
容易におこなうことができる。

【００２５】

【発明の効果】本発明の使い捨ておむつによれば、排泄
物の漏れを有効に防止でき、しかもむれがない。また、
本発明の使い捨ておむつによれば、排泄物による汚れ部
分のみの取り替えが可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例の使い捨ておむつの斜視図であ
る。

【図２】図１に示す使い捨ておむつを展開した状態の平
面図である。

【図３】図１に示す吸収性本体の製造方法を示す平面図
である。

【図４】図１に示す吸収性本体の平面図である。

【図５】図３に示す吸収性本体の自然状態であって、図
３のIV−IV線に沿って切断した部分を示す断面図であ
る。

【図６】図３に示す吸収性本体の自然状態であって、図
３のＶ−Ｖ線に沿って切断した部分を示す断面図であ
る。

【符号の説明】

１ 使い捨ておむつ ２ 最外層シート ３ 吸収性本体 ７ レッグ開口部 １１ウエスト開口部 １５ トップシート １６ バックシート １７ 吸収体 １８ サイドフラップ部 １８ａ サイドフラップ部の両側縁部 ２６ サイドフラップ部の両側縁部に張設された伸縮
弾性部材

フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) A61F 13/15 - 13/84

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 液透過性のトップシートと、これに相対
   する液不透過性且つ蒸気透過性のバックシートと、これ
   ら両シート間に配置された吸収体とを有する吸収性本
   体、及び該吸収性本体が接合され且つ着用時に着用者の
   ウエストを囲んで該吸収性本体を着用者にあてて保持す
   る最外層シートを備え、上記最外層シートの腹側部及び
   背側部それぞれの両側縁部を接合固定してウエスト開口
   部と一対のレッグ開口部とを形成した使い捨ておむつで
   あって、 上記吸収体の形状は長手方向中央に凹部を有する砂時計
   型であり、上記吸収性本体の幅方向両側に該吸収性本体
   の上記トップシート及び上記バックシートが延出して形
   成されたサイドフラップ部の両側縁部には、伸縮弾性部
   材が長手方向に亘って張設されており、該伸縮弾性部材
   を有する上記サイドフラップ部の両側部が上記トップシ
   ート側に折り返されて、折り返されたサイドフラップ部
   の長手方向両端部が上記吸収体の上方の上記トップシー
   トの表面に接合固定されていることを特徴とする使い捨
   ておむつ。
2. 【請求項２】 上記最外層シートの上記レッグ開口部
   に、伸縮弾性部材が設けられ、該伸縮弾性部材によりレ
   ッグギャザーが形成されていることを特徴とする請求項
   １記載の使い捨ておむつ。
3. 【請求項３】 上記吸収性本体は、上記最外層シートに
   剥離自在に接合されていることを特徴とする請求項１記
   載の使い捨ておむつ。