JPH06302504A - アライメント装置 - Google Patents

アライメント装置

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JPH06302504A
JPH06302504A JP6020783A JP2078394A JPH06302504A JP H06302504 A JPH06302504 A JP H06302504A JP 6020783 A JP6020783 A JP 6020783A JP 2078394 A JP2078394 A JP 2078394A JP H06302504 A JPH06302504 A JP H06302504A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 アライメント光として単色光を用いた場合の
不都合を解消すると共に、比較的簡単な構成で投影光学
系の軸上色収差及び倍率色収差を補正する。 【構成】 アライメント光学系5Aから射出される波長
λA の2光束LaA 及びLbA を、レチクル2、投影光
学系3及び補正光学素子GaA 及びGbA を介してウエ
ハ4上のウエハマークWMX に照射し、アライメント光
学系5Aから射出される波長λB の2光束LaB 及びL
B を、レチクル2、投影光学系3及び補正光学素子G
B 及びGbB を介してウエハ4上のウエハマークWM
X に照射する。ウエハマークWMX から上方に回折され
る波長λA の光束LcA の色収差を補正光学素子GcA
で補正し、波長λB の光束LcB の色収差を補正光学素
子GcB で補正する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えばレチクル上に形
成されたパターンをウエハ上に転写する投影光学系を備
えた半導体露光装置のアライメント(位置合わせ)装置
に関し、特に、レチクルのパターンをウエハ上に転写す
るための露光光とは異なる波長のアライメント光によ
り、レチクルとウエハとの相対的な位置合わせを行うア
ライメント装置に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体素子等の製造に使用される投影露
光装置に於いては、原版となるパターンが形成されたフ
ォトマスク又はレチクル(以下、「レチクル」と総称す
る)と、感光材が塗布されたウエハとのアライメントの
精度を確保することは、最も重要な課題であり、従来よ
り投影光学系を介してアライメントを行う所謂TTL
(スルー・ザ・レンズ)方式が、原理的に最も高い精度
を期待できるものとして利用されている。
【0003】また一般に、TTL方式のアライメント装
置、即ち投影光学系を通してウエハ上のアライメントマ
ークを検出してレチクルとウエハとのアライメントを行
う装置、或いはTTL方式に含まれるものであるが、レ
チクル及び投影光学系の両方を介してウエハを参照する
TTR(スルー・ザ・レチクル)方式のアライメントを
行う装置では、露光光と異なる波長のアライメント光を
用いることにより、ウエハ上に塗布された感光材(レジ
スト等)が感光しないような配慮がなされている。
【0004】しかしながら、露光光とは異なる波長のア
ライメント光に基づいてアライメントを行う場合には、
投影光学系によりアライメント光に色収差及び倍率色収
差が発生する問題がある。そこで、特開平3−3224
号公報及び特公平1−40490号公報等において、こ
れら色収差及び倍率色収差を補正するようにしたアライ
メント装置が提案されている。それらの内、特開平3−
3224号公報で開示されたアライメント装置では、ア
ライメント光として単色光を用い、投影光学系の入射瞳
の中心に色収差補正用の補正レンズを配置し、この補正
レンズを露光光に対して悪影響を及ぼさない程度に小さ
く構成していた。
【0005】また、特公平1−40490号公報に開示
されたアライメント装置では、レチクルと投影光学系と
の間の露光光路外あるいは露光光路内に補正光学系を配
置することによって、原理的に投影光学系の軸上色収差
を補正することができるようになっていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記の如き従来の技術
において、アライメント精度を向上させるためには、ウ
エハ上のアライメントマーク(ウエハマーク)を構成す
る回折格子のピッチをより微細にする必要があるが、ウ
エハマークとしての回折格子のピッチを小さくすればす
る程、投影光学系の入射瞳では、その回折格子からの検
出光としての±1次光の間隔が広がるようになる。その
ため、特開平3−3224号公報で開示されたアライメ
ント装置においては、ウエハマークとしての回折格子の
ピッチを小さくすればする程、補正レンズを大きくする
必要があり、補正レンズが露光光に対して悪影響を及ぼ
す程に大きくなってしまう。その結果、より高精度にア
ライメントを行う用途には対応できないという不都合が
ある。
【0007】また、特公平1−40490号公報に開示
されたアライメント装置では、アライメント光は露光光
よりも波長が長いため、投影光学系を介してウエハマー
クの像を見ると、投影光学系の倍率色収差によって、レ
チクル上の露光領域内にウエハマークの像が入り込んで
しまう場合がある。この場合には、レチクルと投影光学
系との間で露光光路外に設けられた傾角可変な平行平面
板により、投影光学系の倍率色収差を補正してウエハマ
ークの像を露光領域外へシフトさせることが可能であ
る。ところが、この平行平面板が露光光の一部を遮光し
てしまうため、露光光に悪影響を及ぼさずに投影光学系
の倍率色収差を補正することができないという不都合が
ある。
【0008】更に、レチクル及び投影光学系を介してア
ライメントを行うTTR方式、あるいは投影光学系を介
してアライメントを行うTTL方式を採用する際には、
レチクルの上方あるいは下方に配置された反射鏡を介し
てウエハマークからの光を取り出している。しかしなが
ら、この際に投影光学系の倍率色収差によってレチクル
側の露光領域内側へウエハマークの像がシフトする傾向
がある場合には、上記の反射鏡等が露光光の一部を遮っ
てしまう虞があり、アライメント光学系の配置条件が厳
しくなる。
【0009】また、投影光学系は露光光の波長に対して
は十分に色収差(軸上色収差及び倍率色収差)が補正さ
れているものの、露光光とは別波長のアライメント光に
対する色収差(軸上色収差及び倍率色収差)まで補正す
ると、投影光学系の設計及び製造がより困難なものとな
る。特に、エキシマレーザ光源からのレーザビームを露
光光とするエキシマレーザ用の投影光学系では、使用で
きる硝材が石英・蛍石等の極限られた硝材に制限され
る。しかもエキシマレーザ光源の出力が高く、色収差補
正のために、石英・蛍石等の硝材を接合することが困難
であり、露光光とは異なる波長のアライメント光に対す
る色収差まで補正することが難しく、投影光学系の設計
及び製造をより困難なものとしていた。
【0010】また、アライメント光として単色光を使用
したアライメント装置では、ウエハマーク上のレジスト
層で、ウエハマークの凹部と凸部との間の段差やレジス
ト層の厚さ等の諸条件によってはアライメント光の回折
効率が変化して、検出光の強度が弱くなりアライメント
が困難になるという場合が有り得る。また、ウエハマー
クの非対称性に関しても、単色光ではその悪影響を受け
易いという不都合がある。
【0011】そこで、アライメント光を多色化すること
が考えられる。このアライメント光の多色化により、た
とえ或る波長の光では検出光強度が低下しても、その波
長と異なる波長の光を用いることにより、損なわれたア
ライメント情報を補うことが可能となり、ウエハマーク
の非対称性からくる悪影響も低減できる。しかしなが
ら、アライメント光を多色化する場合には、アライメン
ト光を構成する異なる波長の光間にそれぞれの波長に応
じた倍率色収差が発生するため、それらの色収差を如何
に簡単な機構で補正するかが問題となる。
【0012】本発明は斯かる点に鑑み、比較的簡単な構
成であるにもかかわらず、投影光学系の軸上色収差を補
正すると同時に倍率色収差を制御することにより、アラ
イメント光学系の配置を容易にしながら、投影光学系の
設計及び製造を容易にできる高性能なアライメント装置
を提供することを目的とする。更に、本発明はアライメ
ント光として単色光を用いた場合の不都合を解消できる
と共に、色収差の補正機構がそれ程複雑化しないアライ
メント装置を提供することをも目的とする。
【0013】なお、ここで云う倍率色収差とは横方向の
色収差のことであり、これは、投影光学系を通過するこ
とによってガウス像面上で結像する露光光と同じ波長の
軸外光と、投影光学系を通過することによって上記ガウ
ス像面又はこれの前後で結像する露光光とは別波長のア
ライメント光との双方の主光線が上記ガウス像面上で交
差する各交差位置間のずれを定義するものである。そし
て、倍率色収差量(横の色収差量)ΔTとは、投影光学
系を通過することによってガウス像面上で結像する露光
光と同じ波長の軸外光における主光線が上記ガウス像面
で交差する交差位置から、上記ガウス像面上での投影光
学系の光軸位置までの距離をδ1 、投影光学系を通過す
ることによって上記ガウス像面又はこれの前後で結像す
る露光光とは別波長のアライメント光における主光線が
上記ガウス像面で交差する交差位置から、上記ガウス像
面上での投影光学系の光軸位置までの距離をδ2 とする
とき、ΔT=|δ21|で定義されるものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明によるアライメン
ト装置は、例えば図2に示す如く、マスク(2)上に形
成された所定のパターンを露光光のもとで基板(4)上
に投影する投影光学系(3)を備えた露光装置に設けら
れ、マスク(2)と基板(4)との相対的な位置合わせ
を行うアライメント装置であって、その露光光とは異な
る波長域のアライメント光を投影光学系(3)を介して
基板(4)上に形成されたアライメントマーク(WM
X )に照射する光照射手段(5A)と、そのアライメン
トマークからの光を投影光学系(3)を介して検出する
検出手段(5A)とを有し、マスク(2)と基板(4)
との間に、そのアライメントマークに向かうアライメン
ト光よりなる照射光及びそのアライメントマークからの
アライメント光よりなる検出光に対して、それぞれ投影
光学系の軸上色収差及び倍率色収差とは反対方向の軸上
色収差及び倍率色収差を発生させる照射光用の補正光学
素子及び検出光用の補正光学素子を設けたアライメント
装置において、そのアライメント光として、その露光光
とは異なる波長域の互いに波長の異なる複数の光で多色
化された光を使用し、その照射光用の補正光学素子(G
A ,GaB ,GbA ,GbB )又はその検出光用の補
正光学素子(GcA ,GcB )を、そのアライメント光
を構成する波長の異なる複数の光に対応して複数個設け
たものである。
【0015】この場合、その照射光用の補正光学素子
を、そのアライメント光を構成する波長の異なる複数の
光に対する投影光学系(3)の倍率色収差を補正するよ
うに複数個設け、且つその検出光用の補正光学素子を、
そのアライメント光を構成する波長の異なる複数の光に
対して1個設けるようにしてもよい。また、その照射光
用の補正光学素子及びその検出光用の補正光学素子を投
影光学系(3)の瞳面内に配置することが望ましい。
【0016】
【作用】斯かる本発明によれば、露光光とは異なる波長
域の複数の波長の光よりなるアライメント光を、投影光
学系を介して基板上のアライメントマークに照射し、そ
のアライメントマークからの光を投影光学系を介して検
出する際に、投影光学系には複数の波長の光毎にそれぞ
れ異なる量の軸上色収差及び倍率色収差が発生する。
【0017】そこで本発明では、マスクと基板との間
に、アライメントマークに照射されるアライメント光で
ある照射光とアライメントマークからのアライメント光
である検出光との内、例えば照射光に対する軸上色収差
を補正しながら、倍率色収差を制御する照射光用の補正
光学素子と、検出光に対して必要に応じて軸上色収差を
補正しながら、倍率色収差を制御する検出光用の補正光
学素子とを独立に設けている。但し、逆に例えば検出光
に対する軸上色収差を補正しながら、倍率色収差を制御
する検出光用の補正光学素子と、照射光に対して必要に
応じて軸上色収差を補正しながら、倍率色収差を制御す
る照射光用の補正光学素子とを独立に設けても良い。ま
た、各補正光学素子はアライメント光を構成する各波長
の光にそれぞれ対応している。
【0018】これにより、アライメント光が多色化され
ている場合でも、補正光学素子を配置するという比較的
簡単な構成で、各波長の光に対する投影光学系の色収差
を補正することができる。また、照射光用の補正光学素
子を、アライメント光を構成する波長の異なる複数の光
に対する投影光学系の倍率色収差を補正するように複数
個設け、且つ検出光用の補正光学素子を、アライメント
光を構成する波長の異なる複数の光に対して1個設けた
場合とは、波長の異なる複数の光の検出光に対しては、
1個の検出用の補正光学素子で色収差の補正を行うこと
を意味する。これにより、構成が簡略化される。
【0019】そのアライメントマークとして回折格子マ
ークを用いた場合に、このように、波長の異なる複数の
光の検出光に対して、1個の検出用の補正光学素子で色
収差の補正を行うことができる条件は、その回折格子マ
ークの格子ピッチをP、その回折格子マークの幅をW、
アライメント光の中心波長をλ0 、アライメント光の波
長の幅をΔλとすると、次のようになる。 Δλ>(2P/W)・λ0
【0020】また、照射光用の補正光学素子及び検出光
用の補正光学素子を投影光学系の瞳面内に配置した場合
には、構成が簡略である。
【0021】
【実施例】以下、本発明によるアライメント装置の第1
実施例につき図面を参照して説明する。本例は投影露光
装置用のアライメント系に本発明を適用したものであ
る。また、本例は、アライメント光を露光光とは異なる
波長域の異なる2つの波長λ A 及びλB の光で多色化
し、且つそれら2つの波長の光に対して投影光学系で発
生する色収差の全部又は一部を、投影光学系の瞳面(フ
ーリエ変換面)に配置された透明部材(ガラス基板等)
上に形成された補正光学素子で補正するものである。
【0022】また、本例のアライメント系は2本のレー
ザービームをアライメントマークに所定の交差角で照射
するとともに、アライメントマークからほぼ同一方向に
発生する回折光同士の干渉光を光電検出するものであ
り、特に2本のレーザービームに所定の周波数差(例え
ば50kHz 程度)を与えるヘテロダイン法を採用したもの
である。
【0023】図1は、この第1実施例の投影光学系の瞳
面に設けられた透明部材上に形成された位相格子等より
なる補正光学素子の配置を示し、この図1において、2
4個の小さい円形のマークが照射光及び検出光に対して
収差補正を行う補正光学素子を示す。これら24個の補
正光学素子は、2つの波長λA 及びλB の光に対してそ
れぞれ12個の補正光学素子が割り当てられ、以下で
は、波長λA に対する12個の補正光学素子(これをA
群とする)に属する補正光学素子には添字Aを付し、区
別し、波長λB に対する12個の補正光学素子(これを
B群とする)に属する補正光学素子には添字Bを付して
両者を区別する。また、本例ではA群の補正光学素子で
発生する倍率色収差量と、B群の補正光学素子で発生す
る倍率色収差量とが異なっている。尚、以下では1組の
アライメント系で使用される6個の補正光学素子のみに
ついて説明する。
【0024】図1において、Y軸に対して対称に配列さ
れた補正光学素子GaA 及びGbAが、それぞれウエハ
上のアライメントマーク(ウエハマーク)に照射される
波長λA の2つのアライメント光の色収差補正を行い、
Y軸上の補正光学素子GcAがウエハマークからのアラ
イメント光(2つの回折光同士の干渉光)の色収差補正
を行う。また、Y軸に対して対称に且つ補正光学素子G
A 及びGbA の外側に配列された補正光学素子GaB
及びGbB が、それぞれウエハ上のアライメントマーク
(ウエハマーク)に照射される波長λB の2つのアライ
メント光の色収差補正を行い、Y軸上の補正光学素子G
B がウエハマークからのアライメント光の色収差補正
を行う。これら6個の補正光学素子により、ウエハ上の
1個のウエハマーク用のアライメント光に対する色収差
補正が行われる。
【0025】本例では24個の補正光学素子が設けられ
ているので、合計で4個のウエハマーク用のアライメン
ト光に対する色収差補正を同時に行うことができる。ま
た、同じ記号で示される3個の補正光学素子でそれぞれ
1組の補正光学素子が構成され、各組の補正光学素子が
それぞれ1つのウエハマークに対する1つの波長のアラ
イメント光に対する色収差の補正を行う。
【0026】先ず、それら24個の補正光学素子の機能
の説明を、1個のウエハマークの位置検出を行う場合を
例にとって説明する。図2は、本例の投影露光装置の要
部を簡略化して示し、この図2において、波長λA のア
ライメント光の光束を実線で示し、波長λB のアライメ
ント光の光束を点線で示す。図2において、レチクル2
のパターン領域2aのパターンが図示省略された照明光
学系からの露光光のもとで、投影光学系3を介してウエ
ハ4上に投影される。レチクル2のパターン領域2aの
4辺の近傍上にはそれぞれアライメント光学系5A〜5
Dが配置され、各アライメント光学系5A〜5Dがそれ
ぞれレチクル2上のアライメントマーク(レチクルマー
ク)の位置検出を行うと共に、レチクル2及び投影光学
系3を介してウエハ4上のアライメントマーク(ウエハ
マーク)の位置検出を行う。一例として、アライメント
光学系5Aが、ウエハ4上のX方向用のウエハマークW
X の位置検出を行う場合につき説明する。
【0027】また、投影光学系3の瞳面P上にガラス基
板等からなる透明部材3が配置され、この透明部材3上
に図1に示した24個の補正光学素子が形成されてい
る。ウエハマークWMX の位置検出用には、透明部材3
上で黒く塗りつぶされた楕円で表されている6個の補正
光学素子が使用される。そして、アライメント光学系5
Aから射出される波長λA の2光束のアライメント光
(照射光)LaA 及びLb A が、それぞれ補正光学素子
GaA 及びGbA により色収差が補正されてウエハマー
クWMX 上に照射され、ウエハマークWMX からほぼ同
一方向に発生する2光束の回折光(例えば±1次回折
光)同士のビート干渉光よりなる波長λA の検出光が、
補正光学素子GcA により色収差が補正されてアライメ
ント光学系5Aに戻る。同様に、アライメント光学系5
Aから射出される波長λB の2光束のアライメント光
(照射光)LaB 及びLbB が、それぞれ補正光学素子
GaB 及びGbB により色収差が補正されてウエハマー
クWMX 上に照射され、ウエハマークWMX から発生す
るビート干渉光よりなる波長λB の検出光が、補正光学
素子GcB により色収差が補正されてアライメント光学
系5Aに戻る。
【0028】次に、図2におけるアライメント光の傾斜
状態につき図3を参照して説明する。図3(a)では、
簡単のため、図2中の波長λA のアライメント光につい
ての光路のみを示している。図3(a)において、アラ
イメント光学系5Aの下方のレチクル2のパターン領域
2aの近傍の領域Cには、図3(d)に示すように、ウ
エハマークに向かう照射光LaA ,LbA 及びウエハマ
ークからの検出光Lc A を透過するための窓部WIと、
レチクル用のアライメントマーク(レチクルマーク)と
しての回折格子マークRMX が並列に形成されている。
但し、位置計測の方向は投影光学系3のサジタル方向で
あるとしている。同様に、他のアライメント光学系5B
〜5Dの下方のレチクル2上にもそれぞれ窓部及びレチ
クルマークが形成されている。
【0029】図3(b)は、図3(a)の矢視A方向か
ら見たアライメント光の傾斜状態を示し、この図3
(b)に示すように、アライメント光学系5Aから射出
されるアライメント光(照射光LaA ,LbA )及びア
ライメント光学系5Aに向かうアライメント光(検出光
LcA )は、投影光学系3のメリジオナル方向に角度θ
1Aで傾けられている。その角度θr1Aは、開口数単位
で、表示した投影光学系3の瞳面(フーリエ変換面)P
での座標(中心との距離、瞳座標と呼ばれる。)M A
と、投射光学系3の縮小倍率αとによって、次のように
表される。
【0030】θr1A=sin-1(MA /α) また、図3(c)は、図3(a)の矢視B方向から見た
アライメント光の傾斜状態を示し、この図3(c)に示
すように、アライメント光学系5Aから射出されるアラ
イメント光(照射光LaA ,LbA )は、投影光学系3
のサジタル方向に角度θr2Aで傾けられている。そのサ
ジタル方向の傾きθr2Aは、ウエハマークWMX の格子
ピッチp、アライメント光の波長λA により、次のよう
に表される。
【0031】θr2A×α=sin-1A /p) そして、開口数単位で表した2個の照射光用の補正光学
素子GaA ,GbA の瞳面上での距離をM′とすると、
次の関係がある。 M′/2=sin(θr2A×α) さて、図1における他の1組の12個の補正光学素子
(B群)もその役割は上記のA群の補正光学素子と同じ
であるが、B群用のアライメント光の波長はA群用のア
ライメント光の波長とは異なる為、B群用の補正光学素
子とA群用の補正光学素子とは格子ピッチを変えてあ
る。結果として、図1に示すように、A群の補正光学素
子(添字Aを付したもの)とB群の補正光学素子(添字
Bを付したもの)とは瞳面上の位置を異にする。
【0032】そのため、波長λB のアライメント光の光
束は波長λA のアライメント光の光束と異なるメリジオ
ナル方向の傾斜角θr2Bを持つ。また、波長がλB ,λ
A というように異なっているため、ウエハ上のアライメ
ントマークである回折格子マークにおける回折条件が異
なり、サジタル方向の傾きに関しても波長λB に対して
は角度θr2Bで傾く。波長λB 及び傾斜角θr2Bに関し
ても、上述のような関係が成立する。
【0033】次に、図4を参照して、本例のアライメン
ト光学系の構成につき詳細に説明する。図4は、本例の
投影露光装置の投影光学系及び1つのアライメント光学
系を含む光学系の構成を示し、この図4において、所定
の回路パターンが形成されたレチクル2とウエハ4と
は、露光光のもとで投影光学系3に関して共役に配置さ
れており、レチクル2及びウエハ4は、不図示の2次元
的に移動可能なステージに保持されている。不図示では
あるがレチクル2の上方には、照明光学系が設けられて
おり、この照明光学系からは露光光として、例えばエキ
シマレーザ光(波長が249nmのKrFレーザ光、又
は波長が193nmのArFレーザ光等)がレチクル2
上を均一照明し、レチクル2上の回路パターンが投影光
学系1によりウエハ4上に転写される。
【0034】ここで、投影光学系3はレチクル側とウエ
ハ側とでテレセントリックとなるように構成されている
と共に、露光光としてのエキシマレーザ光に対して良好
に色収差が補正されている。レチクル2及びウエハ4上
には、それぞれアライメント用の回折格子マークRMX
及びWMX がそれぞれ形成されている。さて、ウエハ4
はステップアンドリピート方式で2次元移動する不図示
のステージ上に吸着され、ウエハ4上の1つのショット
領域に対するレチクル2の転写露光が終了すると、ウエ
ハ4は次のショット位置までステッピングされる。不図
示のレチクルステージの一部には、レチクル2の水平面
内でのX方向、Y方向及び回転(θ)方向の位置を検出
するためのレーザ光波干渉式測長器(以下、「干渉計」
と言う)からのレーザビームを反射する移動鏡が固定さ
れている。この干渉計はX方向、Y方向、θ方向の位置
を独立に検出するために3本の測長用レーザビームを有
するが、ここでは説明を簡単にするため図示を省略して
ある。レチクルステージの移動ストロークは数mm以下
であり、干渉計の検出分解能は、例えば0.01μm程
度に定められている。
【0035】一方、不図示のウエハステージの一部にも
ウエハ4の水平面内でのX方向、Y方向の位置を検出す
るための干渉計からのレーザビームを反射する移動鏡が
固定されている。この干渉計もX方向、Y方向の位置を
独立に検出するために2本の測長用レーザビームを有す
るが、ここでは説明を簡単にするため図示を省略してあ
る。レチクルステージのX方向、Y方向、θ方向の駆動
は不図示の駆動モータで行われ、ウエハステージの2次
元移動もレチクルステージの駆動モータとは独立の駆動
モータで行われる。
【0036】また、本例の投影光学系3の瞳面Pには透
明基板1が配置され、この透明基板1上に図1に示した
24個の補正光学素子が形成されている。この図4では
説明の便宜上、その24個の補正光学素子中のウエハマ
ークWMX 検出用のアライメント光(波長λA,λB)に対
する6個の補正光学素子を、3組の補正光学素子GXA 1
〜GXA3 として図示している。例えば補正光学素子G
XA1 は、図1の2個の補正光学素子GaA 及びGaB
対応する。
【0037】次に、図4で示した露光装置のアライメン
ト系について説明する。アライメント用の照明光の光源
は、露光光とは異なる波長の光を発する複数のレーザ光
源10及び12からなる。これらレーザ光源10及び1
2は、例えば波長633nmの光を発生するHe−Ne
レーザ光源と、波長650〜780nmの光を発生する
レーザダイオード(LD)とから成り、レーザ光源10
及び12からの光束はダイクロイックミラー11により
合成された後、同一の光路を通りヘテロダインビーム発
生光学系HBGに入射する。
【0038】ヘテロダインビーム発生光学系HBGにお
いて、入射した2本のレーザビームはそれぞれ音響光学
変調素子(以下、「AOM」という)13aに入射す
る。このAOM13aでは、ラマン−ナス(Raman-Nat
h)回折により入射した2光束にそれぞれ回折及び周波
数変調が施され、AOM13aから射出された±1次回
折光よりなる2光束が空間フィルター50a及びリレー
レンズ51aを経てAOM13bに入射する。このAO
M13bは、前段のAOM13aとは逆方向に駆動さ
れ、AOM13bでは入射した来た2光束に音響ブラッ
グ回折及び逆方向に僅かに異なる周波数変調が施され
る。即ち、AOM13a,13b内の進行波の方向によ
り回折光の次数の符号を定めると、AOM13aでラマ
ン−ナス回折により射出された+1次回折光の内の、A
OM13bでの音響ブラッグ回折による−1次回折光が
空間フィルター50bに向かい、同様に、AOM13a
からの−1次回折光の内の、AOM13bでの+1次回
折光が空間フィルター50bに向かう。後段のAOM1
3bから射出された互いに周波数がΔfだけ異なる2光
束が、空間フィルター50b及びコリメータレンズ51
bを介して、平行な光束として射出される。
【0039】前段のAOM13aの駆動周波数をf1
後段のAOM13bの駆動周波数をf2 とすると、それ
ら2光束の周波数の差(ビート周波数)Δf(例えば50
kHz程度)は、Δf=2(f1-f2)で表される。ヘテロダ
インビーム発生光学系HBGのより詳細な構成について
は、例えば特願平4-187198号において開示されている。
また、ヘテロダインビーム発生光学系HBGから射出さ
れる2光束はそれぞれ波長λA 及びλB の光よりなる
が、それら2波長の光よりなる光束を光束LB1及びL
2 と呼ぶ。
【0040】ヘテロダインビーム発生光学系HBGから
射出されたビート周波数Δfの2光束LB1 ,LB2
は、反射鏡52で反射された後、半透過鏡14により各
々透過光と反射光とに分割され、半透過鏡14で反射さ
れた光束LB1 ,LB2 は集光レンズ15によって集光
される。この集光位置には、図4の紙面に平行な方向に
ピッチ方向を有する参照用の基準回折格子16上が配置
され、相対的な周波数差がΔfとなる2つの光束LB
1 ,LB2 によって、回折格子16上には流れる干渉縞
が形成される。そして、回折格子16を介した回折光が
光電検出器17にて光電検出される。この検出された参
照信号(基準信号)は、回折格子16上に形成された流
れる干渉縞の明暗変化の周期に応じた正弦波状の交流信
号(光ビート信号)となる。
【0041】一方、半透過鏡14を通過した2つの光束
LB1 ,LB2 は、アライメント用対物レンズ18及び
反射鏡19を介して、レチクル2の露光領域外に設けら
れたレチクルマークRMX 上に集光される。このとき、
レチクルマークRMX 上には光束LB1 ,LB2 との周
波数差Δfにより流れる干渉縞が形成される。レチクル
マークRMX は、図5に示す如く、レチクル2のパター
ン形成領域(露光領域)2aの外において、X方向(計
測方向)にピッチを有する回折格子で構成されている。
また、レチクルマークRMX と隣接した位置に透過窓W
I(以下、「レチクル窓」と称する。)が形成されてい
る。
【0042】従って、アライメント系の対物レンズ18
によってレチクル上に集光される光束(照射光)LB
1 ,LB2 は、レチクルマークRMX のみならず、レチ
クル窓WIも同時にカバーするように所定の交差角を持
った2方向から照明する。ところで、アライメント光の
波長が複数の場合、この交差角は波長に応じて異なる
が、その差は僅かである。そこで、簡単のため、図4及
び図6(後述)では単一波長の場合の光路で表してい
る。
【0043】ここで、先ずレチクルマークRMX を所定
の交差角で照明する光束LB1,LB 2 について図6を参
照しながら説明する。光束LB1 がレチクルマークRM
X を斜めに照射すると、光束LB2 の光路を逆に遡る方
向(正反射方向)に光束LB 1 の0次光DBR1(0)が
点線で示す如く発生し、また光束LB1 の光路を逆に遡
る方向に光束LB1 の1次光DBR1(+1)が点線で示
す如く発生する。
【0044】一方、光束LB2 がレチクルマークRMX
を斜めに照射すると、光束LB1 の光路を逆に遡る方向
(正反射方向)に光束LB2 の0次光LBR2(0)が一
点鎖線で示す如く発生し、また光束LB2 の光路を逆に
遡る方向に光束LB2 の−1次光LBR2(−1)が一点
鎖線で示す如く発生する。ここで、レチクルマークRM
X のピッチPR は、アライメント光の波長をλとし、照
射光LB1,LB2 の交差角2θR とするとき、sin 2θ
R =λ/PR の関係を満足するように設定されている。
従って、複数の波長では、それに対応して異なった交差
角2θR を持つ。
【0045】図7は、複数の波長の光束LaA ,LaB
及び光束LbA ,LbB がレチクル2上のレチクルマー
クRMX に照射される状態を示し、光束LaA と光束L
Aとの交差角は2θRaであり、光束LaB と光束LbB
との交差角は2θRbである。また、図4及び図6中で
は、0次光DBR2(0)と+1次光DBR1(+1)とを
検出光DBR1として示し、0次光DBR1(0)と−1次
光DBR2(−1)とを検出光DBR2として示している。
【0046】再び図4に戻って、光束LB1 の光路を逆
に遡る検出光DBR1(1次光LBR1(+1)及び0次光
LBR2(0))は、再び反射鏡19、対物レンズ18、
半透過鏡14を介した後、対物レンズ18の瞳と共役な
位置に設けられた光電検出器20aに達する。そして、
この光電検出器20aにてレチクルマークRMX からの
位置信号(光ビート信号)が検出される。これと同時
に、光束LB2 の光路を逆に辿る検出光DBR2(−1次
光DBR2(−1)と0次光DBR1(0))は、再び反射
鏡19、対物レンズ18、半透過鏡14を介した後、対
物レンズ18の瞳と共役な位置に設けられた光電検出器
20bに達する。そして、この光電検出器20bにてレ
チクルマークRMX からの位置信号(光ビート信号)が
検出される。
【0047】ここで、光電検出器20a,20bにて検
出されたレチクル2の位置信号は、レチクルマークRM
X 上に形成された流れる干渉縞の明暗変化の周期に応じ
た正弦波状の交流信号(光ビート信号)となる。次に、
レチクルマークRMX に隣接して設けられたレチクル窓
WIを所定の交差角を持った2方向から照明する光束L
1,LB2 について説明する。レチクル窓WIを所定の
交差角θR を持った2方向から照明する光束LB1,L
2 は、図4に示す如く、レチクル窓WIをそのまま通
過し投影光学系3に対し軸外から入射する。
【0048】ここで、投影光学系3は露光光に対して十
分に色収差補正されているものの、露光光と異なる波長
のアライメント光に対しては色収差補正されていない。
このため、投影光学系3の瞳(入射瞳)面P上には、3
組の補正光学素子GXA1 〜G XA3 が形成された透明基板
1が配置されている。図8は透明基板1上の3組、即ち
6個の補正光学素子の配置を示し、この図8に示す如
く、透明基板1上で投影光学系3の光軸の中心を通る計
測方向(X方向)に沿って、それぞれ互いに異なるピッ
チを有する3つの回折格子よりなる補正光学素子GaA
〜GcA 及びGaB 〜GcB が配置されている。ここで
添字A及びBはアライメント光の異なる波長λA 及びλ
B に対応している。以下では、各波長の光に共通な説明
を行う場合は、3組の補正光学素子GXA1 〜GXA3 を用
いて説明を行う。
【0049】図4において、補正光学素子GXA3 は投影
光学系3の光軸AX0を通り、X軸に対して補正光学素子
XA1 及びGXA2 と対称な線上に、補正光学素子GXA1
及びGXA2 は回折格子GXA3 (投影光学系3の光軸)に
関して左右対称にそれぞれ設けられている。そして、補
正光学素子GXA1 〜GXA3 は、GXA2 ,GXA3 ,GXA 1
の順に回折格子のピッチが密となるように計測方向(X
方向)に沿って配列されている。なお、本実施例におけ
る補正光学素子GXA1 〜GXA3 の具体的な構成及び機能
については後で詳述する。また波長λA 及びλB の光に
対して各補正光学素子が重ならないように、図8に示す
ように、補正光学素子GaA 〜GcA と補正光学素子G
B 〜GcB とをそれぞれX軸に関してずらして配置す
る。これは、非計測方向であるメリジオナル方向の投影
光学系3のテレセントリック性をずらすことを意味する
が、計測精度には影響が無い。
【0050】さて、図4において、投影光学系3に対し
て軸外から入射して、投影光学系3の瞳(入射瞳)に達
した照射光LB1 ,LB2 は、それぞれ照射光用の補正
光学素子GXA1 及びGXA2 により、各々の補正角θ1
θ2 だけ補正するように偏向(回折)されて、ウエハ4
上に形成されているウエハマークWMX を所定の交差角
を持った2方向から照射する。すると、ウエハマークW
X 上には流れる干渉縞が形成される。ここで、ウエハ
マークWMX は、図9に示す如く、1ショット領域4a
外のストリートラインSL上において、X方向(計測方
向)にピッチを有する回折格子で構成されている。
【0051】図10は、ウエハマークWMX 上に照射さ
れる照射光LB1 ,LB2 を示し、この図10に示す如
く、照射光LB1 ,LB2 がウエハマークWMX を所定
の交差角を持って照射することにより、照射光LB1
−1次光DBW1(−1)と照射光LB2 の+1次光DB
W2(+1)とが、ウエハ4の表面に対して法線方向(投
影光学系3の光軸と平行な方向)に発生する。
【0052】ここで、ウエハマークWMX のピッチPW
は、アライメント光の波長をλとし、照射光LB1 ,L
2 の交差角2θW とするとき、sin θW =λ/PW
関係を満足するように設定されている。なお、図4及び
図10中では、−1次光DB W1(−1)と+1次光DB
W2(+1)とを検出光DBW として示している。従っ
て、複数の波長では、それに対応して異なった交差角2
θW を持つ。
【0053】図11は、複数の波長の光束LaA ,La
B 及び光束LbA ,LbB がウエハ4上のウエハマーク
WMX に照射される状態を示し、光束LaA と光束Lb
A との交差角と、光束LaB と光束LbB との交差角と
が変えられた状態で、それら光束が照射されている。こ
れは、図8で補正光学素子GaA 及びGbB と補正光学
素子GaB 及びGbB とがX方向に異なった位置にある
ことに対応する。
【0054】図4に戻って、ウエハマークWMX の法線
方向に発生する検出光DBW(−1次光LBW1(−1)及
び+1次光LBW2(+1))は、投影光学系3の主光線
の光路上を進行し、投影光学系3の瞳面Pの中心(Y方
向から見て)に設けられた補正光学素子GXA3 により補
正角θ3 だけ偏向(回折)された後、再びレチクル窓W
I、反射鏡19、対物レンズ18、半透過鏡14を介し
て光電検出器21に達する。なお、光電検出器21は、
上述した光電検出器20a,20bと同様に対物レンズ
18(あるいは投影光学系3)の瞳共役な位置に設けら
れている。
【0055】以上の如く、本発明の第1実施例における
基本構成によって、光電検出器17にて得られた参照信
号、光電検出器20a,20bにて得られたレチクル2
の位置情報を含んだレチクル位置信号と、光電検出器2
1にて得られたウエハ4の位置情報を含んだウエハ位置
信号とがそれぞれ検出される。これら光電検出器は各波
長の情報を同時に検出することになる。
【0056】そこで、レチクル2とウエハ4との相対的
な位置合わせについて説明する。光電検出器17からの
光電信号(正弦波交流信号)を基本信号として、光電検
出器20a,20bにて得られるレチクルマークRMX
からの0.1次回折光同士の干渉光の光電信号(正弦波交
流信号)との位相差φr を不図示の位相検出系で検出す
る。同様にして、光電検出器21にて得られるウエハマ
ークWMX からの±1次回折光同士の干渉光の光電信号
と基本信号との位相差φW を位相検出系にて検出する。
そして、位相差φr とφW との差を求めれば、レチクル
2とウエハ4の方向のずれ量がわかる。この検出方式は
所謂光ヘテロダイン方式と呼ばれ、レチクル2とウエハ
4とが、レチクルマークの1ピッチ以内かつウエハマー
クの1/2ピッチ以内の位置誤差範囲内であれば、静止
状態であっても高分解能で位置ずれ検出できるため、レ
チクル2のパターンをウエハ4のレジストへ露光してい
る間に微小な位置ずれが生じないようにクローズド・ル
ープの位置サーボをかけるのに好都合である。この検出
方法では、φrW が零(又は所定値)になるようにレ
チクル2又はウエハ4を移動させてアライメントを完了
させた後、引き続きそのアライメント位置でレチクル2
とウエハ4とが相対移動しないようにサーボ・ロックを
かけることができる。
【0057】尚、本実施例ではステップアンドリピート
方式の露光時、ウエハ上の各ショット領域へのウエハス
テージの移動は、干渉計の計測値に基づいて行い、2つ
の光束LB1,LB2 の照射領域内にウエハマークWMX
が±1/2ピッチの精度で位置決めされたら、不図示の
位相検出系からの情報のみに基づいてレチクルステー
ジ、又はウエハステージを不図示のサーボ系でサーボ制
御することができる。このときレチクルステージやウエ
ハステージの駆動をDCモータで行い、位相差φ rW
に対応したアナログ電圧をD/Aコンバータ等で作り出
し、このアナログ電圧をDCモータのサーボ回路に偏差
電圧として直接印加することもできる。このサーボは、
そのショット領域の露光終了時まで行われる。
【0058】このようにすると、干渉計の計測値に応じ
たサーボではないので、干渉計のビーム光路の空気密度
のゆらぎ等によるステージの微小ゆらぎを低減させるこ
とが可能である。そのため、不図示の位相検出系からサ
ーボ制御が可能な位相差情報が得られた時点で、ウエハ
ステージ側の干渉計の計測値をウエハステージ側のサー
ボ系から切り離してウエハステージのモータへの印加電
圧を零にし、上述のアナログ電圧をレチクルステージ側
のサーボ系に印加する。
【0059】このようにすると露光動作中に、特にウエ
ハステージ側で発生する微小ゆらぎは押さえられ、ゆる
やかなドリフト的な微動にすることができ、レチクルス
テージを高速に追従移動させることで、レチクルとウエ
ハとの相対位置ずれをほぼ零に保つことが可能である。
このため露光されたパターンの線幅の太りや解像低下が
なく、極めて忠実な転写が達成される。
【0060】なお、光電検出器20a,20bにて得ら
れる干渉ビート信号の周波数の2つの交流信号は、信号
の性質上はどちらも同じものであり、これらの内、どち
らかを不図示の位相検出系へ送ってもよい。ただし、本
実施例でのレチクルからの光情報は、光束LB1,LB2
の0次回折光と1次回折光との干渉で作られることか
ら、1次光と0次光の光強度(光量)が大きく異なると
位相差計測時にオフセットが生じることも考えられる。
そこで、光電検出器20a,20bからの2つの信号の
和(又は差)を演算するアナログ回路を通した後に、光
電検出器17からの基準信号との間で位相差φr を計測
するとよい。もちろん、光電検出器20a,20bから
の2つの信号又は両者を合成した信号のうちのいずれか
1つを使うように切り換え式にしてもよい。
【0061】次に本発明の第1実施例の特徴的な構成で
ある補正光学素子GXA1 〜GXA3 の具体的な構成及び機
能について説明する。図4に示す如く、投影光学系3の
瞳位置には、回折格子よりなる補正光学素子GXA1 〜G
XA3 が計測方向(X方向)に沿って配列されているが、
今、回折格子GXA1 〜GXA3 が配列されていない場合に
ついて考える。
【0062】投影光学系3は、露光光に対する色収差補
正はなされているものの、露光光とは別波長のレーザ光
源10a,10bからのアライメント光に対する色収差
補正はなされていない。そこで、ウエハマークWMX
の位置Aを所定の交差角を持った2方向で照射する光束
LB1,LB2 の投影光学系3に対する結像関係について
説明する。
【0063】今、アライメント光のもとで投影光学系3
によりレチクル側に逆投影されるウエハマークWMX
位置Aの仮想的な像を考えると、照射光束LB1,LB2
の光路を逆方向に進行する光線、及び照射光束LB1,L
2 により得られる検出光(回折光)の光路DBW を進
行する光線は、点線で示す如く、投影光学系3による色
収差によってレチクル2の上方の位置B1 で交差し、こ
の交差位置にウエハマークWMX の位置Aの仮想的な像
が形成される。
【0064】一方、露光光のもとで投影光学系3により
レチクル側に逆投影されるウエハマークWMX の位置A
の像を考えると、このウエハマークWMX の像は位置B
0 に形成される。従って、露光光によるウエハマークW
X の像の結像位置B0 に対して、Z方向(投影光学系
3の光軸方向)には、投影光学系3の軸上色収差(以
下、単に「軸上色収差」と称する。)がΔLだけ発生し
ており、X方向(投影光学系3の光軸Ax0 に垂直な方
向)には、投影光学系3の倍率色収差(以下、単に「倍
率色収差」と称する。)が露光領域側へΔTだけ発生し
ている。
【0065】但し、倍率色収差量(横の色収差量)ΔT
は、図4に示す如く、投影光学系3を通過することによ
ってガウス像面(レチクル2)上で結像する露光光と同
じ波長の軸外光における主光線が上記ガウス像面(レチ
クル2)で交差する交差位置B0 から上記ガウス像面
(レチクル2)上での投影光学系3の光軸位置Oまでの
距離をδ1 、投影光学系3を通過することによって上記
ガウス像面(レチクル2)若しくはこれの前後で結像す
る露光光とは別波長のアライメント光における主光線が
上記ガウス像面(レチクル2)で交差する交差位置B1
から上記ガウス像面(レチクル2)上での投影光学系3
の光軸位置Oまでの距離をδ2 とするとき、ΔT=|δ
21|で定義されるものである。
【0066】従って、軸上色収差によりアライメント光
学系の振動や傾きが大きな検出誤差となり、高精度かつ
安定したアライメントを達成することができなくなるば
かりか、レチクルマークRMX に隣接して設けられたレ
チクル窓WIを大きくせざるを得なくなる。また、位置
1 は、倍率色収差によって位置B0 に対して左側(露
光領域側)にΔTだけシフトしているため、レチクル2
を真上から見た時には、交差位置B1 はレチクルの露光
領域内に入り込んでしまう。この結果、ウエハマークW
X からのアライメント光の取り出しが困難となる。
【0067】本実施例では以上の問題を克服するため
に、先ず照射光(LB1,LB2)に対する軸上色収差(Δ
L)と倍率色収差(ΔT)とを同時に補正する機能を有
する補正光学素子GXA1,GXA2 を投影光学系の瞳(入射
瞳)面の中心(光軸)に対称となる位置に設けている。
補正光学素子GXA1,GXA2 は、互いに異なるピッチを有
するように形成されている。従って、ウエハマークWM
X へ向かう照射光LB1は、補正光学素子GXA1 にて回
折されることにより補正角θ1 だけ偏向され、同じくウ
エハマークWMX に向かう照射光LB2 は、回折格子G
XA2 にて回折されることにより、補正角θ2 だけ偏向さ
れる。但し、各補正角の関係は、θ2 <θ 1 である。
【0068】この結果、照射光LB1 及び照射光LB2
の光路が補正されるため、照射光LB1,LB2 はレチク
ル窓WI上のみならずウエハマークWMX 上でも所定の
交差角が維持された状態で交差する。よって、露光光と
は別波長の照射光(LB1,LB2)に対しても投影光学系
3に関して見掛け上、レチクル2とウエハ4との共役関
係が維持される。
【0069】また、ウエハマークWMX から回折した検
出光DBW に対する倍率色収差(ΔT)を補正するよう
な補正光学素子GXA3 が投影光学系3の主光線の光路上
を進行してレチクル窓WIに向かうウエハマークWMX
からの検出光DBW は補正光学素子GXA3 にて回折され
ることによって補正角θ3 だけ偏向される。この結果、
検出光DBW の光路が補正されるため、検出光DBW
は、テレセントリック性が維持された状態でレチクル窓
WIに垂直に入射した後、レチクル窓WIでの照射光L
1,LB2 の交差位置を通過して、アライメント用対物
レンズ19の光軸上に沿って進行し、最終的に光電検出
器21に達する。なお、各補正角の関係は、θ2 <θ3
<θ1 となる。
【0070】以上にて説明した如く、回折格子よりなる
補正光学素子GXA1 〜GXA3 の回折作用によって、投影
光学系3の色収差(軸上色収差や倍率色収差)を良好に
補正するように各アライメント光の光路をそれぞれ所定
の角度(補正角)θ1 ,θ2,θ3 だけ偏向させてい
る。これにより、投影光学系3の倍率色収差によってレ
チクル2の露光領域内に入り込んでしまう問題や軸上色
収差による問題を解消できるため、投影光学系3の設計
及び製造を容易にしながらも、アライメント光学系の配
置の自由度の格段なる向上が達成できる高性能なアライ
メント装置が実現できる。ところで、これらの補正量は
アライメント光の波長により異なるので、各波長につい
て独立した値をとることになる。従って、以下に示す補
正素子の諸量は基本的に各波長に依存するものとなる。
【0071】ここで、回折格子よりなる補正光学素子G
XA1 〜GXA3 のピッチをそれぞれP XA1,PXA2,PXA3
し、アライメント光の波長をλとするとき、補正角と各
回折格子のピッチとには以下の関係が成立する。 PXA1 =mλ/sin θ1 ……(1) PXA2 =mλ/sin θ2 ……(2) PXA3 =mλ/sin θ3 ……(3) 但し、mは回折光の次数(整数)である。
【0072】従って、補正光学素子GXA1 〜GXA3 によ
る補正角θ123 は、図4から明らかな如く、θ2
<θ3 <θ1 の関係に成っており、上記(1)式〜
(3)式より、補正光学素子GXA1 〜GXA3 のピッチ
は、PXA2 >PXA3 >PXA1 の関係となっている。よっ
て本実施例では、図5に示す如く、補正光学素子GXA2,
XA 3,GXA1 の順で格子ピッチが密となるように構成さ
れている。
【0073】また、円板状の透明基板1上に形成される
補正光学素子GXA1 〜GXA3 は、石英ガラス等の材質の
基板をエッチング処理して、位相型回折格子となるよう
に構成されている。このとき、アライメント光路を偏向
させるm次回折光の回折効率を高くするには、位相形回
折格子の段差dは、アライメント光の波長をλとし、ア
ライメント波長の光に対する透明基板1の屈折率をn、
整数をmとすると、 d=(2m+1)λ/2(n−1)……(4) を満足するように構成することが望ましい。
【0074】この場合、回折格子は、露光光に対しても
回折作用を持つので、投影光学系3の結像機能に悪影響
を及ぼす虞がある。このため、回折格子としての補正光
学素子上には、露光光を反射させて、アライメント光を
透過させる波長弁別機能を有する薄膜(ダイクロイック
膜等)を蒸着等により形成することがより好ましい。ま
た、アライメント光に対する回折効率が若干低下するも
のの、露光光に対する回折効率をほぼ零にするには、位
相形回折格子の段差dは、露光光の波長をλ e とし、露
光光に対する基板の屈折率をne 、整数をmとすると、 d=λm/(ne−1)……(5) を満足するように構成することが望ましい。
【0075】このように、本発明による第1実施例で
は、ウエハマークWMX を2方向から照射する照射光L
1,LB2 に対し投影光学系3の軸上色収差と倍率色収
差とを補正する補正光学素子GXA1,GXA2 と、ウエハマ
ークWMX からの検出光DBWに対し投影光学系3の倍
率色収差を補正する補正光学素子GXA3 とを投影光学系
3の瞳位置あるいはその近傍の同一平面上に独立に配置
している。
【0076】このため、仮にウエハマークWMX の位置
を計測方向(X方向)に対して垂直方向(Y方向)にず
らしてウエハマークWMX を打ち変えるために、アライ
メント光学系をY方向に移動させた場合、あるいは異な
る露光領域サイズのレチクルを使用することによってレ
チクル上でのレチクルマークRMX 及びレチクル窓WI
の位置が計測方向(X方向)に移動する場合にも、常に
アライメントのための照射光LB1,LB2 とウエハマー
クWMX からの検出光DBW とが、投影光学系3の瞳
(入射瞳)位置を通過する位置を不変とすることが原理
的に可能である。よって、本実施例における補正光学素
子GXA1 〜GXA3 は、ウエハマークWMXを打ち変えた
場合又は異なるサイズのレチクルを使用した場合にも、
十分に対応することが可能となる。
【0077】また、補正光学素子GXA1 〜GXA3 は、照
射光LB1,LB2 と検出光DBW とが投影光学系の瞳位
置を通過する部分だけに形成すればよい。従って、補正
光学素子としての回折格子GXA1 〜GXA3 は、露光光に
対する影響を殆ど無視できる程、投影光学系の瞳面にお
いて占める割合を極めて小さくすることが原理的に可能
となる。
【0078】さらに、より高い精度のアライメントを行
うために、ウエハマークWMX(回折格子)のピッチを微
細にすると、レチクルマークRMX 及びウエハマークW
Xを2方向から照射する照射光LB1,LB2 の交差角
が大きくなるが、この場合、アライメント光学系中の対
物レンズ18とAOM13aとの間の照射光LB1 の光
路、及びアライメント光学系中の対物レンズ18とAO
M13bとの間の照射光LB2 の光路中に交差角可変手
段としての傾角可変な平行平面板を各々配置し、この平
行平面板の傾角を変化させれば、交差角を可変にするこ
とが可能となる。このとき、投影光学系3の瞳面Pを通
過する光束LB1,LB2 の位置が、図4においては計測
方向(X方向)において変化するため、これに対応でき
る補正光学素子を有する別の透明の円形基板と交換可能
に設けても良い。尚、露光光に対する影響にもよるが、
予め補正光学素子(回折格子)の形成領域を大きくして
おくだけでも良い。
【0079】なお、本実施例では説明を簡単にするた
め、X方向をアライメントする例を示しているが、レチ
クルマークRMX とレチクル窓WIとが設けられている
非露光領域と隣合った非露光領域にY方向にピッチを有
するレチクルマークとこれに隣接してレチクル窓とを設
け、これらの上方に第2のアライメント光学系を設けれ
ば、Y方向でのアライメントができることは言うまでも
ない。このとき、回折格子よりなる補正光学素子は、Y
方向に沿って上記補正光学素子GXA1 〜GXA3 と同様に
設ければ良い。
【0080】さらに、本実施例では、照射光LB1,LB
2 と検出光DBW とに対応する補正光学素子GXA1 〜G
XA3 を設けているが、各々の回折格子においてピッチ方
向に沿って次第にピッチを異ならしめて、個々の照射光
LB1,LB2 と検出光DBWとをレチクルと共役な位置
で各々集光させる構成を採用しても良い。この構成は、
以下に述べる各実施例でも採用することができる。
【0081】次に、本発明による第2実施例を図12及
び図13以下を参照して説明する。この図12及び図1
3において、図4に対応する部分には同一符号を付して
その詳細説明を省略する。図12及び図13でも、簡単
のため第1実施例と同様に複数の波長の光路を単一の光
路として図示してある。また、図12(a)は、X方向
(メリジオナル方向)と平行なXZ平面側から投影光学
系3を見たときの投影光学系3を介するアライメント光
の様子を示し、図12(b)は図12(a)中の半透過
鏡14の周辺の詳細な構成を示し、図13は、図12
(a)と垂直な方向、即ち計測方向(Y方向あるいはサ
ジタル方向)と平行なYZ平面側から投影光学系3を見
たときの投影光学系3を介するアライメント光の様子を
示したものである。
【0082】図14は、第2実施例におけるレチクル2
上の回折格子のウエハマークWMY及びこれに隣接した
レチクル窓WIを示し、図14に示すように、この第2
実施例のウエハマークWMY 及びレチクル窓WIは、第
1実施例のそれらと比べると同じく露光領域2a外に設
けられているものの、ウエハマークWMY の回折格子の
配列方向(ピッチ方向)は、第1実施例と直交したY方
向となっている。つまり、本実施例では、Y方向(投影
光学系3のメリジオナル方向)を計測方向としている例
を示している。
【0083】図12(a)において、不図示であるが、
レチクル2の上方には、レチクルマークRMY 及びウエ
ハマークWMY を照射及び検出するための第1実施例と
同様の構成のアライメント光学系が設けられている。ま
た、投影光学系3の瞳面Pには透明基板1が配置され、
この透明基板1上に多数の位相型の回折格子よりなる補
正光学素子が形成されている。なお、第2実施例でも第
1実施例と同様に、ヘテロダインビーム生成光学系HB
Gは、2個のAOM13a,13bを用いてラマン−ナ
ス回折と音響ブラッグ回折とを組み合わせて周波数の異
なる2光束を生成している。
【0084】図15は、図12(a)中の透明基板1上
に形成されている補正光学素子中のウエハマークWMY
に対する照射光及びウエハマークWMY からの検出光に
対する色収差の補正を行うための6個の補正光学素子の
配置を示す。この図15において、透明基板1上には、
回折格子よりなる補正光学素子GYA1A,GYA2A,GYA 3A
が波長λA の光に対して設けられ、補正光学素子
YA1B,GYA2B,GYA3Bが波長λB の光に対して設けら
れている。以下説明では、補正光学素子GYA1A,GYA 1B
を補正光学素子GYA1 で、補正光学素子GYA2A,GYA2B
を補正光学素子GYA2で、補正光学素子GYA3A,GYA3B
を補正光学素子GYA3 で表す。
【0085】この場合、照射光用の補正光学素子
YA1,GYA2は、計測方向(Y方向)に沿って、瞳中心
を挟んで互いに反対方向を向くように形成されており、
また検出光用の補正光学素子GYA3 は、非計測方向(X
方向)にピッチを有するように瞳中心に形成されてい
る。なお、レチクルマークRMY 及びウエハマークWM
Y へのアライメント光の照射、及びこれらからの回折光
による検出については、第1実施例と同様なので説明を
省略する。
【0086】さて、本実施例では、図13に示す如く、
アライメント光学系からの2つの照射光LB1,LB2
は、所定の交差角を持った2方向からレチクル窓WIに
照射されると、投影光学系3の瞳面P上の透明基板1に
形成された回折格子GYA1,GYA 2 による回折作用により
互いに反対方向へ補正角θ1 だけ偏向されて、ウエハマ
ークWMY 上を所定の2方向から照射することになる。
ここで、ウエハマークWMY は、図16に示す如く、ウ
エハ上の1ショット領域4aの外のストリートラインS
L上に形成されており、ウエハ4のY方向の位置を計測
するためにY方向にピッチを有している。
【0087】ウエハマークWMY に対して法線方向に発
生する回折光DBW は、投影光学系3の瞳面Pの中心に
設けられた補正光学素子GYA3 、レチクル窓WIを介し
て、不図示ではあるが図4に示す如きアライメント光学
系の検出系に達する。一方、図13と垂直な方向では、
図12(a)に示す如く、アライメント光学系からの2
つの照射光LB1,LB2 は、同一光路上を進行するよう
に投影光学系3に対し軸外から入射し、投影光学系3の
瞳面Pに達する。この位置の補正光学素子GYA1,GYA2,
YA3 は、計測方向(Y方向)に関して補正光学素子G
YA1,G YA2 と補正光学素子GYA3 とが対称にY座標をず
らした状態で配列されている。従って、図12(a)で
は、非計測方向に主光線に対して対称なように見える
が、照射光LB1,LB2 は、補正光学素子GYA1,GYA2
により補正角θ2 だけ偏向されて、軸外に設けられたウ
エハマークWMY を垂直に照射する。そして、ウエハマ
ークWMY から垂直方向に発生する検出用の回折光DB
W は、投影光学系3の瞳面の中心に設けられた補正光学
素子GYA3 により再び補正角θ2 だけ偏向されて、レチ
クル窓WIを介して、不図示のアライメント光学系の検
出系に達する。
【0088】このように、照射光用の補正光学素子G
YA1,GYA2 は、計測方向(Y方向)と平行なYZ平面側
から見たときには、照射光LB1,LB2 を補正角θ1
け偏向させ、これと同時にX方向と平行なXZ平面側か
ら見たときには、補正角θ2 だけ偏向させる機能を有し
ている。これを換言すれば、補正光学素子GYA1,GYA2
は、投影光学系3の軸上色収差量ΔLを補正するよう
に、Y方向(計測方向)側では照射光LB1,LB2 を補
正角θ1 だけ偏向させ、これと同時に投影レンズ3の倍
率色収差量ΔTを補正するように、X方向では照射光L
1,LB2 を補正角θ2 だけ偏向させている。
【0089】また、検出光用の補正光学素子GYA3 は、
投影光学系3の倍率色収差量ΔTを補正するように、X
方向において検出光DBW を補正角θ2 だけ偏向させて
いる。次に、本実施例における回折格子よりなる補正光
学素子GYA1,GYA2,GYA3 の配置について説明する。本
実施例の補正光学素子GYA1,GYA2,GYA3 が第1実施例
と異なる点は、先ず、これらが配列されている方向がY
方向であり、また照射光用の補正光学素子GYA1,GYA2
のピッチが等しく、両者の格子の配列方向が互いに反対
方向に傾いている点である。これは照射光LB1,LB2
を、Y方向(計測方向)側において互いに反対方向に補
正角θ1 だけ偏向させ、X方向側において補正角θ2
け偏向させるためである。
【0090】ここで、補正光学素子GYA1 〜GYA3 のピ
ッチをそれぞれPYA1,PYA2,PYA3とし、アライメント
光の波長をλA 、X方向に対する回折格子GYA1,GYA2
の傾きをθ4 とするとき、補正角と各回折格子のピッチ
との間には以下の関係が成立する。 tan θ4 =sin θ2 /sin θ1 ……(6) PYA1 =PYA2 =mλA cos θ4 /sin θ1 ……(7) PYA3 =mλA /sin θ2 ……(8) 但し、mは回折次数(整数)である。
【0091】本実施例における補正光学素子GYA1 〜G
YA3 も、第1実施例と同様に、投影光学系3の瞳(入射
瞳)面P上に配置されているため、瞳面Pの大きさに対
してこれらの大きさを極めて小さくすることが可能であ
るため、露光光に対する影響を無視することができる
が、これらの格子の段差が上述の条件(4)あるいは条
件(5)を満足することが望ましい。
【0092】以上の如く、第2実施例においても第1実
施例と同様に、投影光学系3の色収差(軸上色収差や倍
率色収差)を補正するように照射光及び検出光の光路を
独立に制御できるため、第1実施例と同様な効果を達成
することができる。なお、第2実施例では説明を簡単に
するために、Y方向をアライメントする例を示している
が、レチクルマークRMY とレチクル窓WIとが設けら
れている非露光領域と隣合った非露光領域にX方向にピ
ッチを有するレチクルマークとこれに隣接してレチクル
窓とを設け、これらの上方に第2のアライメント光学系
を設ければ、X方向でのアライメントができることは言
うまでもない。このとき、補回折格子よりなる補正光学
素子としては、X方向に沿って上記補正光学素子GYA 1
〜GYA3 と同様な回折格子を設ければ良い。
【0093】ここで投影光学系3の瞳面P上に形成され
た軸上色収差補正光学素子の配置とメリジオナル方向の
テレセントリック性の崩し具合(以下、「mテレ崩し」
という。)との関係について図21及び図22を用いて
説明する。今、図21に示すように、投影光学系の瞳面
Pの中央から補正光学素子までの距離をL、アライメン
ト光(プローブ光)の瞳面上での広がりの幅をdとす
る。この場合、投影光学系の開口数をNA、ウエハ上の
ウエハマークWMのパターン長(非計測方向)をh、投
影光学系3の後群3aの焦点距離をfとすると、次のよ
うになる。
【0094】NA=h/(2f) ここでアライメント光の波長をλとすると、アライメン
ト光の広がり量は直径で、1.22λ/NAであるから、次
の関係が成立する。 d>2λf/h またL>d/2でなければならないから、次式が成立す
る。
【0095】 L=λf/h (11) 次に、図22のようにmテレ崩し角をαとすると、ξ=
sinαとして、次式が成り立つ。なお、補正光学素子
は透明基板1上に形成されている。 L=ξf この関係を(11)式に代入すると、次式が成立する。
【0096】ξf>λf/h こうしてmテレ崩しに関して次の関係式が成り立つ。 ξ>λ/h (12) 以上は、一組の単色光について検討したものであるが、
本発明の第1実施例については、複数波長に対して送光
系、受光系それぞれに対応して補正素子を配置するの
で、上記の条件とともに、アライメント光が干渉しない
ようメリジオナル方向の角度とサジタル方向の角度とを
設定する必要がある。また、第2実施例については、受
光側は共通なので、サジタル方向角のみ考慮すればよ
い。更に、高次光を用いる場合にも煩雑にはなるが、同
様の議論が成り立つ。例えば0次光と2次光とを用いる
場合で、X方向とY方向とが干渉する場合には、mテレ
崩し量を増減して(12)式より大きくする方向で調整
する。
【0097】ところで、第1及び第2実施例において
は、1軸のアライメント光学系に関して6個の補正光学
素子が使用されているため、例えば4軸のアライメント
光学系に関して同時に色収差の補正を行うには、そのま
までは、瞳位置の透明基板1上に24個もの多数の補正
光学素子を配列する必要がある。そこで、以下では補正
光学素子を共通化して、全体の補正光学素子の個数を削
減する方法について説明する。
【0098】先ず、第1実施例及び第2実施例におい
て、図4の補正光学素子GXA3 (実際には2個の回折格
子よりなる)あるいは図12の補正光学素子GYA3 を共
通化する場合を考える。この場合、非計測方向に各波長
の色収差補正用の補正光学素子をずらさずに配置する必
要がある。そのためには、計測方向に図4の補正光学素
子GXA1 とGXA2 と、あるいは図12(a)の補正光学
素子GYA1 とGYA2 とが、各波長での位置がある程度離
れる必要がある。以下第2実施例の場合について説明す
る。
【0099】図17は第2の実施例の投影光学系3を示
し、図18は、図15において、補正光学素子GYA3B
びGYA3Aを共通化した場合を示す。図17に示す様に、
投影光学系3の瞳前のレンズ3aの焦点距離をfA とす
ると、図18に示す各波長λ A 及びλB に対応する補正
光学素子GYA1 あるいはGYA2 の光軸からのY方向の間
隔ya 及びyb はそれぞれ次のようになる。
【0100】 ya =fA ・λA /P,yb =fA ・λB /P また、アライメントマークの幅(=w)によって透明基
板1での各波長λA 及びλB の光束のそれぞれの広がり
φa 及びφb はそれぞれ次のようになる。 φa =2fA ・λA /w,φb =2fA ・λB /w これが分離されて、計測方向に補正光学素子GYA1A,G
YA1B及びGYA2A,GYA 2Bを配置するためには、次式が必
要である。
【0101】ya −yb <φa ,φb ……(9) この場合、(λA −λB )をΔλ、(φa +φb )/2
を2fA ・λ0 /wとおくと、波長λ0 は波長λA 及び
λB の平均波長となる。そして、(9)式より、その平
均波長λ0 に関して次の条件が必要となる。 Δλ>2P・λ0 /w ……(10) これにより各波長のアライメント光に対して補正光学素
子GYA3 を共通化することが可能で、且つ図18に示す
ように、補正光学素子GYA1 及びGYA2 内の2個の補正
光学素子を非計測方向(X方向)にずらして配置する必
要がなくなり、好都合である。尚、図18の如き補正光
学素子を用いるとき、波長λA の光と波長λB の光とで
投影光学系3のメリジオナル方向のテレセン崩し量(テ
レセントリック性の崩し量)は同じとなる。
【0102】図19は、そのように補正光学素子GYA3
を共通化した補正光学素子を4軸分透明基板1上に配列
した例を示し、この図19において、5個の補正光学素
子G YA1B,GYA1A,GYA2A,GYA2B,GYA3 により1個
のウエハマークWMY に関する2つの波長λA ,λB
アライメント光に対する色収差の補正が行われる。そし
て、同様に干渉しないように配置された他の15(=5
×3)個の補正光学素子により他の3軸分の色収差の補
正が行われる。従って、図19では合計で20個の補正
光学素子が必要であるが、これは図1の24個の補正光
学素子よりも少なくなっている。
【0103】なお、上述実施例では、ウエハマークから
のアライメント光(検出光)に対する複数の波長の光の
色収差補正を共通の補正光学素子で行っているが、同様
にウエハマークに向かうアライメント光(照射光)に対
する複数の波長の光の色収差補正を共通の補正光学素子
で行っても良い。
【0104】また、上述実施例では、ウエハマークから
の±1次回折光の干渉ビート光を用いてウエハマークの
位置検出を行っているが、ウエハマークからの0次回折
光と2次回折光との干渉ビート光をも用いて位置検出を
行う方法もある。これについて図3を参照して説明す
る。図3において、ウエハマークWMX には波長λA
光束LaA 及びLbA が照射されており、ウエハマーク
WMX からは、光束LaA の+1次回折光及び光束Lb
A の−1次回折光よりなる干渉ビート光LcA の他に、
光束LaA の0次回折光及び光束LbA の−2次回折光
よりなる干渉ビート光LdA と、光束LaAの+2次回
折光及び光束LbA の0次回折光よりなる干渉ビート光
LeA とが射出されている。これらの干渉ビート光Ld
A 及びLeA もそれぞれウエハマークWMX の位置情報
を有するので、それら干渉ビート光をも利用して位置検
出を行うことにより、より高精度に位置検出を行うこと
ができる。特に、ウエハマークWMX の形状等により、
±1次回折光よりなる干渉ビート光LcA の強度が弱い
場合でも、干渉ビート光LdA 及びLeA により正確に
ウエハマークWMX の位置検出を行うことができる。
【0105】この場合、図3の透明基板1上には、干渉
ビート光LdA 及びLeA に対する色収差補正を行うた
めの補正光学素子GdA 及びGeA を形成する。また、
波長λB のアライメント光に対しても同様な補正光学素
子を形成すると、補正光学素子の配列は図20(a)に
示すようになる。即ち、図20(a)において、補正光
学素子GdA 及びGeA は、それぞれ波長λA の0次回
折光と2次回折光とよりなる干渉ビート光LdA 及びL
A に対する色収差補正を行い、補正光学素子GdB
びGeB は、それぞれ波長λB の0次回折光と2次回折
光とよりなる干渉ビート光に対する色収差補正を行うも
のである。また、他の3軸についても、それぞれ図20
(a)の10個の補正光学素子と干渉しない位置に1軸
につき10個の補正光学素子が形成される。
【0106】次に、図18の例と同様に、図20(a)
の場合も一部の補正光学素子を共通化することができ
る。具体的に、図20(b)は、図20(a)の2個の
補正光学素子GcA 及びGcB を1個の補正光学素子G
cで置き換えた例を示す。そして、図20(b)におい
ては、異なる波長用の補正光学素子(例えばGaA 及び
GaB )は非計測方向であるY方向の位置が等しくなっ
ている。このような配列により補正光学素子の共通化を
行うことができる。
【0107】以上の第1、第2の実施例の装置(図4、
図12)では2つの光源10,12の各々から射出した
レーザビームをダイクロイックミラー11で同軸に合成
してAOM13aに入射させていた。しかしながら、例
えば特願平4-187198号に示されているように、ダイクロ
イックミラー11とAOM13aとの間の光路中に、回
折格子板,空間フィルター,及びレンズ系を配置するよ
うにしても良い。この場合、光源10からのレーザビー
ムが回折格子板に入射すると、この回折格子板からは種
々の次数の回折光が発生する。空間フィルターは回折格
子板から発生する光のうち、±1次回折光のみを透過
し、この±1次回折光はレンズ系を介してAOM13a
に入射することになる。光源12からのレーザビームも
同様にその±1次回折光がAOM13aに入射するが、
回折格子板での±1次回折光の回折角がわずかに異なっ
ている。
【0108】次に、上述の実施例では、投影光学系3の
瞳面上に形成された補正光学素子の配置に応じて、アラ
イメント光学系から投影光学系に入射する光束のメリジ
オナル方向のテレセントリック性を崩す場合がある。こ
れは特に、複数のアライメント光学系(例えば図2のア
ライメント光学系5A〜5D等)を設けた際に、各アラ
イメント光学系からのアライメント光にその瞳面上で異
なる位置を通過させる場合に必要である。この場合、ア
ライメント用の光束として複数波長の光束が使用されて
いるため、そのメリジオナル方向のテレセントリック性
の崩し具合い(mテレ崩し)は、波長毎に独立に調整す
る必要がある。そこで、以下では複数の波長の光束につ
いて独立に投影光学系3に入射する際のmテレ崩しを調
整するための手法の具体例につき説明する。
【0109】図23は、図12のアライメント光学系に
そのようなmテレ崩しの機構の一例を付加した例を示
し、図23(a)はメリジオナル方向(X方向)を含む
XZ平面上にアライメント光を投影した様子を示し、図
23(b)は図23(a)の右側面図、即ち計測方向
(Y方向又はサジタル方向)を含むYZ平面にアライメ
ント光を投影した様子を示す。
【0110】これら図23(a)及び(b)において、
レーザ光源10から射出された波長λA の光束LA をダ
イクロイックミラー11を透過させてヘテロダインビー
ム発生光学系HBG内のAOM13aに入射させ、レー
ザ光源12から射出された波長λB の光束LB をダイク
ロイックミラー11で反射させてAOM13aに入射さ
せる。この際に、AOM13a及び13bにおける回折
光の発生方向をZY平面(図23(b))として、図2
3(a)のZX平面内において、ヘテロダインビーム発
生光学系HBGの光軸に対する光束LA の傾斜角と光束
B の傾斜角とを変えておく。そして、光束LA と光束
B とを、AOM13a内のレチクル2のパターン形成
面及びウエハの露光面と共役な面上で交差させる。他の
構成は図12と同様である。
【0111】この場合、AOM13bから音響ブラッグ
回折により発生する1対の回折光からなる一方の光束L
1 は、波長λA の光束LaA 及び波長λB の光束La
B よりなる。そして、図23(a)に示すように、光束
A と光束LB とのヘテロダインビーム発生光学系HB
Gの光軸に対する傾斜角が異なることから、反射鏡5
2、半透過鏡14、対物レンズ18、及び反射鏡19を
介してレチクル2のレチクル窓に入射する光束LaA
び光束LaB の、投影光学系3の光軸に対するZX平面
内での傾斜角も異なっている。また、これら傾斜角は光
束LA と光束LBとのヘテロダインビーム発生光学系H
BGの光軸に対する傾斜角により、それぞれ所望の値に
設定できる。即ち、この例では、光束LA 及び光束LB
のダイクロイックミラー11に対する入射角を、ウエハ
及びレチクルと共役な点を一種のピボット(支点)とし
て調整することにより、互いに異なる波長の光束LaA
及び光束LaB のmテレ崩しを調整するものである。
【0112】次に、図24(a)は、図12のアライメ
ント光学系に他のmテレ崩しの機構を付加した例を示
し、図24(a)はメリジオナル方向(X方向)を含む
XZ平面上にアライメント光を投影した様子を示す。こ
の図24(a)に示すように、この例ではヘテロダイン
ビーム発生光学系HBGからの2波長からなる光束LB
1 を、半透過鏡14を介して投影光学系3の光軸に対し
てほぼ45°の角度で傾斜したダイクロイックミラー6
1に入射させる。また、ダイクロイックミラー61とし
ては、表面61aが波長λB の光のみを反射させるダイ
クロイックミラー面であり、裏面61bが完全な反射面
であるようなダイクロイックミラーを使用する。また、
この表面61aと裏面61bとは平行にしておく。この
とき、波長λB の光束LaB は、ダイクロイックミラー
61の表面61aで反射されて対物レンズ18に入射
し、波長λA の光束LaA は、そのダイクロイックミラ
ー61の表面61aを透過し裏面61bで反射された
後、表面61aを透過して光束LaB とほぼ平行に対物
レンズ18に入射する。そして、対物レンズ18を介し
た光束LaA 及びLaB が、レチクル2の窓部を経て投
影光学系3に入射する。他の構成は図12と同様であ
る。
【0113】この場合、光束LaA とLaB とは、ダイ
クロイックミラー61の厚さ及び屈折率に応じてX方向
(メリジオナル方向)で位置ずれして対物レンズ18に
入射するため、光束LaA とLaB とのmテレ崩しの量
が異なっている。従って、この例では、ダイクロイック
ミラー61の厚さ又は屈折率を変えることにより、互い
に異なる波長の光束LaA 及び光束LaB のmテレ崩し
を調整できる。なお、図24(a)のダイクロイックミ
ラー61を、図24(b)に示すように、ダイクロイッ
クミラー61Aとミラー61Bとに分けてもよい。この
場合、ダイクロイックミラー61Aとミラー61Bとの
間隔dを可変にすることにより、波長毎のmテレ崩し量
を可変にできる。
【0114】次に、図25は、図12のアライメント光
学系に更に別のmテレ崩しの機構を付加した例におい
て、メリジオナル方向(X方向)を含むXZ平面上にア
ライメント光を投影した様子を示す。図25において、
レーザ光源10から射出された波長λA の光束LA 、及
びレーザ光源12から射出された波長λB の光束L
B は、ダイクロイックミラー11を経てヘテロダインビ
ーム発生光学系HBGに入射する。この図25のヘテロ
ダインビーム発生光学系HBGは、図12のヘテロダイ
ンビーム発生光学系HBGのコリメータレンズ51bを
集光レンズ62で置き換えたものであり、集光レンズ6
2からは、波長λA 及びλB の2波長の光からなる光束
LB1 と、波長λA 及びλB の2波長の光からなり周波
数が光束LB1とΔfだけ異なる光束LB2 とが面63
上で集束するように射出される。但し、この例では、光
束LB1 のみの処理系を示し、他の光束LB2 は、ミラ
ー等(不図示)により光路を折り曲げて同様に処理する
ものとする。
【0115】その面63は、レチクル2のパターン形成
面、及びウエハの露光面と共役となっており、その面6
3上に分散作用のあるプリズム64の入射面を設置す
る。プリズム64としては、ほぼ同軸で入射する波長λ
A 及びλB の光束が異なる方向に射出されるものであれ
ばどのようなものでも使用でき、例えば直視プリズムや
ドーブ・プリズム等でも使用できる。この場合、プリズ
ム64から波長λA の光束LaA 、及び波長λB の光束
LaB が異なる方向に射出され、これらの光束LaA
及び光束LaB は、コリメータレンズ51bによりほぼ
平行な光束となった後、反射鏡52、半透過鏡14、対
物レンズ18、及び反射鏡19を介してレチクル2のレ
チクル窓に入射する。
【0116】この際に、レチクルとの共役面である面6
3に対する光束LaA 及び光束La B の射出角が異なっ
ているため、レチクル2のレチクル窓を通過して投影光
学系3に入射する際の光束LaA 及び光束LaB の、投
影光学系3の光軸に対するZX平面内での傾斜角も異な
っている。また、これら傾斜角の差はプリズム64にお
ける分散特性により、それぞれ所望の値に設定できる。
従ってこの例では、プリズム64における分散特性によ
り、互いに異なる波長の光束LaA 及び光束LaB のm
テレ崩しを調整する。また、図26(a)に示すよう
に、図25のプリズム64と同様の2枚(3枚以上も
可)のプリズム64A及び64Bを組み合わせて光束L
1 の光路Pに設置してもよい。この際、プリズム64
A及び64Bを互いに回転させ、全体としての分散量を
可変にする。これにより、mテレ崩し量を波長毎に可変
にできる。
【0117】なお、図25のプリズム64の代わりに、
図26(b)の回折格子65を使用しても、互いに異な
る波長の光束LaA 及び光束LaB のmテレ崩しを調整
できる。即ち、図26(b)において、図25のヘテロ
ダインビーム発生光学系HBGの集光レンズ62から射
出された一方の光束LB1 が、位相型の回折格子65に
入射する。その光束LB1 の入射点は、レチクル及びウ
エハと共役な面63上にあり、入射した光束LB1 中の
波長λA の光の回折格子65による+1次回折光からな
る光束LaA と、波長λB の光の回折格子65による+
1次回折光からなる光束LaB とは、互いに異なる方向
にコリメータレンズ51bに入射する。それ以降の構成
は図25と同様である。この図26(b)の例は、回折
格子65の分散作用により、互いに異なる波長の光束L
A 及び光束LaB のmテレ崩しを調整するものであ
る。この場合、回折格子65のピッチを選ぶことにより
その分散特性を変えることが可能で、例えば分散を大き
くしたい場合は細かい格子ピッチにすればよい。
【0118】なお、本発明は上述実施例に限定されず、
本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の構成を取り得る
ことは勿論である。
【0119】
【発明の効果】本発明によれば、アライメント光に対す
る投影光学系の軸上色収差を補正しながら倍率色収差の
制御が可能となるので、投影光学系ではアライメント光
に対する色収差の補正の必要性が原理的になくなり、投
影光学系の設計及び製造が格段に容易となる。しかも投
影光学系に倍率色収差が存在していてもアライメント光
路を露光光路外へ任意に偏向できるため、アライメント
光学系の配置の条件を緩和させることができる。
【0120】また、補正光学素子がアライメント光を構
成する各波長の光毎に設けられているため(共通化され
ている場合も含む)、多波長化されたアライメント光に
対する投影光学系の色収差を良好に補正して、基板上の
感光材による薄膜干渉等の影響を低減することができる
利点がある。また、複数波長の検出光に対する色収差補
正を1個の検出光用の補正光学素子で行うようにした場
合には、補正光学素子の面積を全体として小さくするこ
とができ、露光光に対する影響を小さくすることができ
る。
【0121】更に、補正光学素子を投影光学系の瞳面内
に配置した場合には、構成が簡略である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の透明基板上の補正光学素
子の配置を示す平面図である。
【図2】第1実施例の投影露光装置の概略構成を示す斜
視図である。
【図3】図2中の波長λA のアライメント光の光路、及
びこのアライメント光の傾斜状態を示す図である。
【図4】第1実施例の投影露光装置の詳細な構成を示す
構成図である。
【図5】第1実施例のレチクルマーク及びレチクル窓を
示す平面図である。
【図6】そのレチクルマークからの回折光を示す光路図
である。
【図7】第1実施例のレチクルマークに対して2波長の
アライメント光が入力する様子を示す光路図である。
【図8】第1実施例の透明基板上に形成された1軸分の
補正光学素子を示す平面図である。
【図9】第1実施例のウエハマークを示す要部の平面図
である。
【図10】そのウエハマークからの回折光を示す光路図
である。
【図11】第1実施例のウエハマークに対して2波長の
アライメント光が入力する様子を示す光路図である。
【図12】(a)は本発明の第2実施例の投影露光装置
をY方向に見た場合を示す構成図、(b)は図12
(a)の半透過鏡14の周辺の詳細な構成を示す図であ
る。
【図13】第2実施例の投影露光装置をX方向に見た場
合を示す構成図である。
【図14】第2実施例のレチクルマーク及びレチクル窓
を示す平面図である。
【図15】第2実施例の透明基板上に形成された1軸分
の補正光学素子を示す平面図である。
【図16】第2実施例のウエハマークを示す要部の平面
図である。
【図17】第2実施例の投影光学系を示す構成図であ
る。
【図18】図15の補正光学素子GYA3A,GYA3Bを共通
化した場合を示す平面図である。
【図19】補正光学素子を共通化した場合の4軸用の補
正光学素子の配列を示す平面図である。
【図20】(a)は±1次回折光よりなる干渉ビート光
の他に、0次光及び2次光よりなる干渉ビート光を使用
する場合の1軸用の補正光学素子の配列を示す平面図、
(b)は図20(a)において2つの波長で±1次回折
光よりなる干渉ビート光に対する補正光学素子を共通化
した例を示す平面図である。
【図21】テレセントリック性の崩し量の説明に供す
る、投影光学系の瞳面上の補正光学素子を示す図であ
る。
【図22】(a)はテレセントリック性の崩し量の説明
に供する、投影光学系の側面図、(b)は図22(a)
中のアライメントマークの平面図である。
【図23】(a)は図12の投影露光装置にmテレ崩し
の機構の一例を付加した場合を示すY方向に見た構成
図、(b)は図23(a)の右側面図である。
【図24】(a)は図12の投影露光装置に他のmテレ
崩しの機構を付加した場合の要部を示すY方向に見た構
成図、(b)はダイクロイックミラー61をダイクロイ
ックミラーとミラーとで置き換えた場合の要部を示す構
成図である。
【図25】図12の投影露光装置に更に他のmテレ崩し
の機構を付加した場合の要部を示すY方向に見た構成図
である。
【図26】(a)は図25のプリズム64を2個のプリ
ズムで置き換えた場合の要部を示す構成図、(b)は図
25のプリズム64を回折格子65で置き換えた場合の
要部を示す構成図である。
【符号の説明】
1 透明基板 2 レチクル 3 投影光学系 4 ウエハ 5A〜5D アライメント光学系 10,12 レーザ光源 13a,13b 音響光学変調素子(AOM) 17,20a,20b,21 光電検出器 RMX ,RMY レチクルマーク WMX ,WMY ウエハマーク WI レチクル窓 GaA ,GbA ,GcA ,GaB ,GbB ,GcB
正光学素子 GXA1 ,GXA2 ,GXA3 補正光学素子の対 LaA ,LbA ,LaB ,LbB 照射光 LcA ,LcB 検出光 61 ダイクロイックミラー 64 プリズム 65 回折格子

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マスク上に形成された所定のパターンを
    露光光のもとで基板上に投影する投影光学系を備えた露
    光装置に設けられ、前記マスクと前記感光基板との相対
    的な位置合わせを行うアライメント装置であって、 前記露光光とは異なる波長域のアライメント光を前記投
    影光学系を介して前記基板上に形成されたアライメント
    マークに照射する光照射手段と、該アライメントマーク
    からの光を前記投影光学系を介して検出する検出手段と
    を有し、 前記マスクと前記基板との間に、前記アライメントマー
    クに向かうアライメント光よりなる照射光及び前記アラ
    イメントマークからのアライメント光よりなる検出光に
    対して、それぞれ投影光学系の軸上色収差及び倍率色収
    差とは反対方向の軸上色収差及び倍率色収差を発生させ
    る照射光用の補正光学素子及び検出光用の補正光学素子
    を設けたアライメント装置において、 前記アライメント光として、前記露光光とは異なる波長
    域の互いに波長の異なる複数の光で多色化された光を使
    用し、 前記照射光用の補正光学素子又は前記検出光用の補正光
    学素子を、前記アライメント光を構成する前記波長の異
    なる複数の光に対応して複数個設けたことを特徴とする
    アライメント装置。
  2. 【請求項2】 前記照射光用の補正光学素子を、前記ア
    ライメント光を構成する前記波長の異なる複数の光に対
    する前記投影光学系の倍率色収差を補正するように複数
    個設け、且つ前記検出光用の補正光学素子を、前記アラ
    イメント光を構成する前記波長の異なる複数の光に対し
    て1個設けたことを特徴とする請求項1記載のアライメ
    ント装置。
  3. 【請求項3】 前記照射光用の補正光学素子及び前記検
    出光用の補正光学素子を前記投影光学系の瞳面内に配置
    したことを特徴とする請求項1又は2記載のアライメン
    ト装置。
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