JPH0630245Y2 - 汚泥の脱水装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この考案は、下水等の汚水中から分離したスラリー状の
汚泥の脱水装置に関するものである。

［従来の技術］ 下水等の汚水の処理に当り、沈殿池内に沈殿したスラリ
ー状の汚泥は、凝集剤を添加して凝集させた後、これを
脱水装置において脱水し、脱水されたケーキ状汚泥を焼
却することにより処理される。

第４図は、従来の脱水装置の一例を示す概略垂直断面図
である。第４図において、１は、スラリー状汚泥を凝集
しそして濃縮するための、円筒状の竪型攪拌槽である。
攪拌槽１の下部にはスラリー状汚泥の供給口２が、そし
て、その上部には排出口３が設けられている。攪拌槽１
内には、その軸線に沿って、モータ４により回転する回
転軸4aが設けられており、回転軸4aには、攪拌翼５が取
付けられている。

攪拌槽１に近接して、無端移動布式脱水機６が設けら
れている。無端移動布式脱水機６は、攪拌槽１にその
一方の側壁7aが近接して配置された水槽７と、水槽７の
一方の側壁7aの底部に一端8aが近接し、水槽７の他方の
側壁7aより外側の上方に他端8bが位置する、一端8aから
他端8bに向けて上方に傾斜し、一端8a側が水槽７内に、
他端8b側が水槽７外に位置する無端移動布８とからな
っている。攪拌槽１の上部に設けられた排出口３には、
水槽７の側壁7aを貫通し、その下端が布８の一端8aに
近接する供給管１０が接続されている。

水槽７の他方の側壁7bには、液の排出管１１が接続さ
れている。１２，１２は、布８の一端8aおよび他端8b
に設けられたプーリ、１３は、布８のリターン側に設
けられた、布８の洗浄用スプレー、１４は、布８の
他端8bに設けられたスクレーパである。

沈殿池から抜き出したスラリー状汚泥１５に、凝集剤１
６を添加する。凝集剤１６の添加されたスラリー状汚泥
１５を、供給口２を通して竪型攪拌槽１内に連続的に供
給する。攪拌槽１内の攪拌翼５を、モータ４により回転
させる。攪拌槽１内に供給されたスラリー状汚泥１５
は、攪拌翼５によって攪拌されながら攪拌槽１内を上昇
し、その間に凝集して塊状凝集体１５′となり、上部の
排出口３から、供給管１０を介して、無端移動布式脱
水機６の水槽７内における無端移動布８上に連続的に
供給される。

このようにして、無端移動布８の一端8a上に供給され
た汚泥の塊状凝集体１５′は、布８の移動によってそ
の他端8bに至り、この間に脱水されてケーキ状となる。
このケーキ状汚泥は、スクレーパ１４でかき取られ、水
槽７外に排出される。

第５図は、従来の脱水装置の他の例を示す概略垂直断面
図である。第５図において、２１は、水平に設置された
無端移動布式脱水機であって、無端移動布式脱水機
２１は、プーリ２２，２２によって無端移動する布２
３と、布２３の上部側下方に、その長さおよび幅方向
にわたって設けられた液受け２４とからなっている。
２５は液受け２４に設けられた液排出口、２６は
布２３のリターン側に設けられた、布２３の洗浄用ス
プレー、２７は布２３の上流側端部上方に設けられた
凝集汚泥の供給機構である。

前述したように、攪拌槽によって凝集された汚泥の塊状
凝集体１５′は、上澄水と共に供給機構２７より無端移
動布式脱水機２１の布２３の一端２３ａ上に連続的
に供給される。このようにして、布２３の一端２３ａ
上に供給された汚泥の塊状凝集該１５′は、布２３の
移動によってその他端２３ｂに至り、この間に脱水され
てケーキ状となり、他端２３ｂから排出される。

［考案が解決しようとする課題］ 上述した第４図に示す水槽７内に傾斜して設置された無
端移動布式脱水機６には、次のような問題がある。即
ち、脱水機６の傾斜角度（仰角）αは最大１０〜１５度
位までであって、これ以上傾斜角度を大きくすると、
布８上に供給された汚泥の塊状凝集体１５′が滑り落ち
る。このように、脱水機６の傾斜角度に限度があるた
め、脱水機６の機長が長くなり、設備面積が大になる結
果、建設費が高騰する。

上述した脱水機６の傾斜角度を大にするためには、布
の上面の幅方向に、塊状凝集体１５′の滑り止め用の仕
切り板等を所定間隔をあけて設けるか、または、無端移
動布の代りに、水槽７内の塊状凝集体１５′を、スク
リュー等で掻き上げるようにすればよいが、前者の場合
には、塊状凝集体１５′が仕切り板等に付着してその剥
離が困難になり、後者の場合には、塊状凝集体１５′が
破壊して、布８上での過効率が低下する。

一方、上述した第５図に示す水平に配置された無端移動
布式脱水機２１には、次のような問題がある。即ち、
汚泥の塊状凝集体１５′を、無端移動布式脱水機２１
の布２３上に供給する際、塊状凝集体１５′は、供給
機構２７から布２３上に落下し、濾布２３と衝突して
大きな衝撃力を受ける。このため、折角凝集し造粒され
た凝集体１５′が破壊し、濾布２３の近傍に堆積する結
果、布２３上での過効率、および、その後の圧搾脱
水の際の脱水効率が低下し、ケーキ状汚泥の含水率が高
くなる。塊状凝集体１５′の落下時の破壊を防止するた
めに、スラリー状汚泥に対する凝集剤の添加量を高める
とランニングコストが高騰する。また、塊状凝集体１
５′を、布２３の幅方向に均一に供給するために供給
機構２７が必要であり、このために設備費が高騰する。

従って、この考案の目的は、水処理系から排出されたス
ラリー状汚泥に、凝集剤を加えて凝集し、生成した凝集
体を破壊することなく経済的に且つ高い効率で脱水する
ことができる汚泥の脱水装置を提供することにある。

［課題を解決するための手段］ この考案は、スラリー状汚泥を収容し、これに凝集剤を
添加して塊状凝集体とするための攪拌槽に近接して設け
られた、水槽と、前記水槽内に配置された一端から他端
に向けて上方に傾斜し、前記他端側が前記水槽外に位置
する無端移動布式脱水機とからなり、前記水槽の前記
攪拌槽側の側壁に、前記攪拌槽の上部に設けられた供給
管が貫通して取り付けられている汚泥の脱水装置におい
て、 前記水槽内に、前記水槽の前記攪拌槽側の側壁に近接す
る端部側壁と、前記脱水機の前記水槽の水面から露出す
る部分までの両側を囲む側壁とからなる内枠を、前記無
端移動布式脱水機の前記水槽内に位置する部分を囲む
ように、その下端を前記脱水機の布に接触させて設
け、前記供給管の開口端が、前記内枠の前記端部側壁を
貫通し、前記内枠内に位置させるようにしたことに特徴
を有するものである。

次に、この考案を、図面を参照しながら説明する。第１
図はこの考案の装置の一実施態様を示す概略垂直断面
図、第２図は第１図の平面図である。この考案は、第４
図に示した脱水装置の改良である。従って、第４図に示
した脱水装置と同一部分は同一符号を付し、その説明は
省略する。

この考案の装置においては、攪拌槽１に近接して設けら
れた水槽７内に配置されている無端移動布式脱水機６
の布８の、水槽７内に位置する部分を囲むように、水
槽７内に内枠９が配設されている。

内枠９は、水槽７の、攪拌槽１側の側壁7aに近接する、
布８よりも小さい幅で水槽７とほぼ同じ高さの端部側
壁9aと、布８の水槽７の水面から露出する部分までの
両側を囲む、水槽７とほぼ同じ高さの左右の側壁9b，9c
とからなる平面コ字状であり、その下端は、布８の表
面上に接触している。

攪拌槽１の上部の排出口３に取付けられている供給管１
０は、水槽７の側壁7aおよび内枠９の端部側壁9aを貫通
し、その開口端を内枠９内の布８の一端8aに近接させ
て配置されている。

水槽７内に配置されている無端移動布式脱水機６の傾
斜角度（仰角）αは、２０〜４０度が適当である。

［作用］ 次に、この考案の装置の作用について説明する。沈殿池
から抜き出したスラリー状汚泥１５に凝集剤１６を添加
し、凝集剤１６の添加されたスラリー状汚泥１５を、供
給口２を通して攪拌槽１内に連続的に供給する。攪拌槽
１内に供給されたスラリー状汚泥１５は、攪拌翼５によ
って攪拌されながら攪拌槽１内を上昇し、この間に凝集
して塊状凝集体１５′となる。塊状凝集体１５′は、上
澄水と共に、供給管１０を通って、水槽７の内枠９内に
おける無端移動布式脱水機６の布８の一端8a上に供
給される。

上述した塊状凝集体１５′の布８への供給は、攪拌槽
１と水槽７とのわずかな液面差により行なわれるので、
布８上に落下する塊状凝集体１５′に、速い流速や渦
による攪乱、および、落下による衝撃が生ずることは殆
んどない。従って、塊状凝集体１５′は破壊することな
く、布８上に、あたかも雪が積もる如く静かに沈降
し、第３図に示すように、水分の透過性が良好な状態で
堆積する。

このように、布８上に堆積した塊状凝集体１５′は、
布８の移動に従って、水槽７から掻き上げられる。こ
のとき、布８の、水槽７内に位置する部分は、内枠９
によって囲まれているので、布８上の塊状凝集体１
５′は、微小な差圧力で、布８の表面上に押し付けら
れる。従って、無端移動布式脱水機６の傾斜角度を、
従来よりも大きい２０〜４０度となしても、塊状凝集体
１５′が布８から滑り落ちることはない。

そして、布８の移動に従って、布８上の塊状凝集体
１５′が水槽７から掻き上げられる間に、水槽７内にお
いて、塊凝集体１５′の各粒子の間隙から、炉液が布
８を通して速やかに布８の下方に排出されて塊状凝集
体１５′は濃縮され、次いで、布８を通して重力によ
り効果的に脱水が行なわれる。

次に、この考案を、実施例により説明する。

［実施例］ 沈殿池から抜き出した、濃度が1,500〜10,000ppmのスラ
リー状汚泥に対し、強力カチオン系高分子凝集剤を、ス
ラリー状汚泥中の固形物重量比で０．５％添加した上、
攪拌槽１内に供給した。攪拌槽１内において凝集された
塊状凝集体１５′を、上澄水と共に、供給管１０を通っ
て、水槽７の内枠９内における無端移動布式脱水機６
の、０．２〜０．６ｍ／分の速度で移動する布８上に
供給し、脱水した。なお、布８は、そのリターン側に
設けられたスプレー８により、０．５m³／Ｈ（２kg／cm
²）の水量で５〜６時間毎に、約１０分間洗浄した。

このようにして、布８上において脱水され、布８の
他端8bから排出されたケーキ状汚泥は、約５mmの厚さ
で、９０〜９３％の含水率であった。そして、脱水機６
からの液は、水槽７の他方の側壁7bに取り付けられた
排出管１１を通して排出された。なお、液のＳＳ（
液１中の固形物の量）は約３ppmであり、その回収率
は９９．９％であった。

［考案の効果］ 以上述べたように、この考案によれば、次にような優れ
た効果がもたらされる。

(1)固液分離性に優れており、脱水装置から排出された
汚泥の濃度は、原スラリー状汚泥の濃度に比較して、１
０〜５０倍である。

(2)脱水機の傾斜角度（仰角）を２０〜４０度にするこ
とができるので、第４図に示した従来の装置に比べ設備
面積を小にすることができ、建設費が安価になる。

(3)第５図に示した従来の装置のように、布上に供給
された汚泥の塊状凝集体が破壊することはないので、
布上での脱水効果が高く、含水率が９０〜９３％のケー
キ状汚泥を安定して得ることができる。また、走行布
から排出されるケーキを従来の圧搾脱水機で更に脱水す
ることが容易である。更に、スラリー状汚泥に対する凝
集剤の添加率を従来の０．７〜１．０％から、０．３〜
０．５％に減少させることができ、従って、ランニング
コストが低減される。

(4)従来の装置では、５０００ppm以下の希薄な濃度のス
ラリー状汚泥の脱水は困難であったが、この考案によれ
ば、１０００ppm以下の希薄な濃度のスラリー状汚泥の
脱水も容易に行なうことができる。

(5)第５図に示した従来の装置のように、特別な汚泥供
給機構は不要であるから、設備費を低減することができ
る。

(6)液のＳＳ（液１中の固形物の量）は低く且つ
その回収率は９９％以上である。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の装置の一実施態様を示す概略垂直断
面図、第２図は第１図の平面図、第３図はこの考案の装
置による布上の汚泥の堆積状態を示す説明図、第４図
は従来の装置の一例を示す概略垂直断面図、第５図は従
来の装置の他の例を示す概略垂直断面図である。図面に
おいて、 １…攪拌槽、２…供給口、 ３…排出口、４…モータ、 ５…攪拌翼、６…無端移動布式脱水機、 ７…水槽、８…布、 ９…内枠、10…供給管、 11…排出管、12…プーリ、 13…スプレー、14…スクレーパ、 15…スラリー状汚泥、15′…塊状凝集体、 16…凝集剤、21…無端移動布式脱水機、 22…プーリ、23…布、 24…液受け、25…排出口、 26…スプレー、27…供給機構。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】スラリー状汚泥を収容し、これに凝集剤を
   添加して塊状凝集体とするための攪拌槽に近接して設け
   られた、水槽と、前記水槽内に配置された一端から他端
   に向けて上方に傾斜し、前記他端側が前記水槽外に位置
   する無端移動布式脱水機とからなり、前記水槽の前記
   攪拌槽側の側壁に、前記攪拌槽の上部に設けられた供給
   管が貫通して取り付けられている汚泥の脱水装置におい
   て、 前記水槽内に、前記水槽の前記攪拌槽側の側壁に近接す
   る端部側壁と、前記脱水機の前記水槽の水面から露出す
   る部分までの両側を囲む側壁とからなる内枠を、前記無
   端移動布式脱水機の前記水槽内に位置する部分を囲む
   ように、その下端を前記脱水機の布に接触させて設
   け、前記供給管の開口端が、前記内枠の前記端部側壁を
   貫通し、前記内枠内に位置していることを特徴とする、
   汚泥の脱水装置。