JPH06300734A - 電池セルを用いた電気分析方法 - Google Patents

電池セルを用いた電気分析方法

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JPH06300734A
JPH06300734A JP5222527A JP22252793A JPH06300734A JP H06300734 A JPH06300734 A JP H06300734A JP 5222527 A JP5222527 A JP 5222527A JP 22252793 A JP22252793 A JP 22252793A JP H06300734 A JPH06300734 A JP H06300734A
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俊一 内山
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猛 佐藤
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裕文 赤野
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 電池セルを用いた迅速電気分析方法の提供。 【構成】 試料物質を含有する作用極および電池活物質
を含有する対極並びに、両電極の隣接部位にイオン流通
可能な物質を含んでなる電池セルを使用して、両電極間
に外部から電圧を印加することなく両電極間に発生する
電圧、電流または電気量の中の少なくとも1種以上を測
定し、試料物質を定量することを特徴とする試料物質の
電気分析方法。 【効果】 外部より電気エネルギーを加えることなく、
迅速かつ安定して試料物質の定量ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電気分析方法に係わり、
電池セルを用いて電圧、電流、または、電気量の変化を
測定することで、目的の試料物質(化学種)の量を定量
する電気分析方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電気分析方法を使用した測定において
は、定電圧または定電流下で試料物質に酸化還元などの
反応が起こる際の電気的な変化を測定することで、もと
の試料質量を定量する電気分解による方法が一般に知ら
れており、近年では導電性多孔質電極などを用いる測定
方法に応用されている。
【0003】イオン電極では、試料中に検出部である電
極を浸漬させ隔膜中を通過したイオンや電極膜と試料物
質から生成するイオンの間の平衡電位を電気的に測定す
る方法が一般に広く用いられている。導電性多孔質電極
を用いた方法では導電性の多孔質体に電解液を含浸させ
た検出室内で試料を直接電気分解して測定する方法 (特
開平1-195358号公報) などが知られている。しかし、特
開平1-195358号発明の方法では外部から電気エネルギー
を加えなければならないことや、測定装置の安定化のた
めに長時間が必要である。
【0004】また、一般にメディエーターを介した反応
としては、脱水素酵素を用いた酵素反応系においてニコ
チンアミドアデニンジヌクレオチド (NAD) からニコ
チンアミドアデニンジヌクレオチド還元型 (NADH)
を生成する反応等にも利用されており、例えばグルタミ
ン酸脱水素酵素を用いて、グルタミン酸を定量するため
の比色法によるグルタミン酸測定キット (BMY社製)
などが市販されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記イオン電
極においては、隔膜中のイオン移動速度や、平衡に達す
るまでの応答速度が遅く測定に長時間を要すことや、測
定のたびに洗浄が必要であること等の問題があった。ま
た、電気分解を用いた電気分析法による測定に際して
は、目的とする試料物質の電気分解を行う為に、電極に
対して外部より一定の電圧を印加しておくか、または一
定の電流を通電しておく必要があるが、電圧印加時に、
両電極間が非平衡状態となり、いわゆる容量性電流が生
じる。したがって、目的とする試料物質を電気分解して
測定できるようになるまでには電圧を印加するたびごと
に長時間の安定化時間を要するといった大きな問題点が
ある。また定電圧発生装置や定電流発生装置が必要にな
るなど、装置自体が複雑になる問題点もある。
【0006】さらに、メディエーターを介した酵素反応
を利用して測定する方法においては、通常、酵素反応で
生成したNADHをさらにジアホラーゼ等で反応させ、
その後に吸光度を測定するといった煩雑な操作が必要で
あった。またこれら酵素を使用する場合、使用する酵素
などの保存性が悪く、冷蔵保存が必要であり、日常、常
温で使用する目的のセンサーなどには適用できず、実用
性に問題があった。更に、吸光度を測定する際、試料中
に着色物質が存在する時に正確な測定値が得られない等
の問題もある。
【0007】本発明は、前記の従来技術におけるこれら
問題点を解消し、外部からの電圧や電流等の電気エネル
ギーを必要とせず、しかも、簡便迅速に、測定すべき試
料物質の定量を行うことのできる電気分析方法を提供す
ることを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、分析用電極
の作用極の構成成分と定量すべき試料物質との酸化還元
反応によって作用極と対極との間に電極化学ポテンシャ
ルの差に基づく電位差が生じ、その電位差によって発生
する電気量が試料物質の定量と密接に関連することを知
見し、また、両電極の構成成分を選択することで電極反
応が自発的にかつ迅速に進行することを見出し、本発明
を完成するに至った。
【0009】即ち、本発明は、試料物質を含有する作用
極および電池活物質を含有する対極並びに両電極の隣接
部位にイオン流通可能な物質を含んでなる電池セルを使
用して、両電極間に外部から電圧を印加することなく両
電極間に発生する電圧、電流または電気量の少なくとも
1種以上を測定し、試料物質を定量することを特徴とす
る試料物質の電気分析方法である。
【0010】更に、本発明は上記電池セルを用いて、N
ADHまたはその誘導体を指標としてグルタミン酸を測
定するグルタミン酸の電気分析方法である。更に、本発
明は上記電池セルにおいて、作用極に電解質を含ませ、
かつ対極の電池活物質にヘキサシアノ鉄(II)酸イオン
を使用した上記電池セルを用いて、過マンガン酸カリウ
ムを指標として化学的酸素要求量(COD)を測定する
CODの電気分析方法である。
【0011】更に、本発明は、作用極に電解質を含ま
せ、かつ対極の電池活物質にヘキサシアノ鉄(II)酸イ
オンおよびヘキサシアノ鉄(III)酸イオンを使用した上
記電池セルを用いて、過マンガン酸カリウムを指標とし
てCODを測定するCODの電気分析方法である。更
に、本発明は上記電池セルにおいて、作用極に電解質お
よび/または3,7ビス(ジメチルアミノ)フェノチア
ジン−5−イウムクロライドを含ませ、かつ対極の電池
活物質にヘキサシアノ鉄(III)酸イオンを使用した上
記電池セルを用いて、アスコルビン酸を測定するアスコ
ルビン酸の電気分析方法である。
【0012】試料物質は、電池活物質またはメディエー
ターと反応して電池活物質を生成する物質(化学種)で
あり、該試料物質が電池反応により、短時間に放電する
際に発生する電気エネルギーを測定し、その量を定量す
ることを要旨とする電気分析方法である。従って、従来
の外部から電気エネルギーを加えることで試料を電気分
解して定量する方法とは全く異なった原理に基づくもの
である。
【0013】本発明において使用する作用極とは上記試
料物質を含有する電極であり、作用極中に電極液および
/またはメディエーターを含有することができる。電極
液は電解質溶液であればいずれでも良いが、例えば塩
酸、硫酸、塩化カリウム溶液またはリン酸緩衝液などが
用いられる。また、メディエーターとしては5−メチル
フェナジニウムメチルサルフェート(フェナジンメトサ
ルフェート)、1−メトキシ−5−メチルフェナジニウ
ムメチルサルフェート(メトキシフェナジンメトサルフ
ェート)、8−ジメチルアミノ−2,3−ベンゾフェノ
キサジン(メルドラブルー)または3,7ビス(ジメチ
ルアミノ)フェノチアジン−5−イウムクロライド(メ
チレンブルー)及びそれらの塩類などが使用できる。
【0014】対極とはヘキサシアノ鉄(III)酸イオン
および/またはヘキサシアノ鉄(II)酸イオンなどの電
池活物質を含有する電極である。また、前記イオンとし
ては、ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウムおよび/また
はヘキサシアノ鉄(II)酸カリウムなどの塩類を電極液
に溶解して解離したイオンを使用することができる。両
電極間の隣接部位のイオン流通可能な物質としては、両
極内に含有する物質が直接混合せずにイオンが通過でき
る材質であればいずれも使用することができるが、例え
ば、隔膜として使用するイオン交換膜や、塩橋として用
いる電解質を含む寒天ゲルなどが利用できる。
【0015】本発明に使用する装置は、電極間に外部か
ら電圧を印加するなどの電圧発生装置等は不要であり、
検出器として、電圧計、電流計または電流積算計の中の
少なくとも1種以上があれば良く特に限定されるもので
はない。また、両電極には電気量などの測定の際に、電
池反応を迅速に遂行するためにカーボンや金属などの集
電効果の高い導電体を挿入して用いることもできる。例
えば、カーボンとしては通常市販されているものならい
ずれでもよくカーボンフェルトなどが使用できる。金属
としては導電性の高いものならいずれでも良く、例えば
金、白金、銀、鉛などが使用できる。
【0016】
【作用】本発明の構成と作用を説明する。溶液に溶存し
ている電気化学的に活性な物質(電気化学的活性種)は
それぞれ固有の電極電位を示す。そしてこれらの物質は
電極との間に電位差を生じ、外部から十分な電圧を印加
すれば電気分解することができる。この場合、片方の電
極では酸化反応が、他方の電極では還元反応が起こる。
これは電気分解の原理であり、電気エネルギーの化学エ
ネルギーへの変換と考えることができる。
【0017】ところで、一般に電極酸化の起こる電位は
電極還元の起こる電位よりも貴な電位であることが多
く、この場合は外部から電圧を印加するなど、電気エネ
ルギーを与えなければ、電気分解が起こらず、従ってこ
のままの状態では電気分析を行うことは出来ない。しか
し、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、例えば対極に
電池活物質としてヘキサシアノ鉄(III)酸イオンおよ
び/または過マンガン酸イオンなどのように極めて貴な
電位で電極還元する物質と、作用極に還元型5−メチル
フェナジニウムメチルサルフェート、還元型1−メトキ
シ−5−メチルフェナジニウムメチルサルフェート、還
元型8−ジメチルアミノ−2,3−ベンゾフェノキサジ
ン、還元型3,7ビス(ジメチルアミノ)フェノチアジ
ン−5−イウムクロライド、ヘキサシアノ鉄(II)酸イ
オンまたはアスコルビン酸など、極めて卑な電位で電極
酸化される物質を電池活物質として用い、両電極間をイ
オンが通過できる構造を有する電池セルとすることで、
外部から電気エネルギーを加えること無く、化学エネル
ギーが電気エネルギーに自発的かつ迅速に変換されるこ
とを見いだした。即ち、試料物質の持つ化学エネルギー
を電池反応により発生する電気エネルギーとして測定す
ることで試料物質を定量することのできる電気分析方法
を発明するに至った。
【0018】例えば、作用極にフェナジンメトサルフェ
ート溶液、対極にヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム溶
液を用いると、両極中の溶液に含まれるメディエーター
と電気化学的活性種のいずれも酸化型であるためそのま
までは反応は起こらない。しかし、ここで作用極にフェ
ナジンメトサルフェートを還元する物質、例えばNAD
Hやその誘導体を加えて還元を行うと、生成した還元型
フェナジンメトサルフェートの酸化は、対極のヘキサシ
アノ鉄(III)酸イオンの還元より卑な電位で起こるた
め、従って、両電極 (作用極と対極) 間に電気化学ポテ
ンシャルに基づく電位差が生じることになり、その結果
電池反応が起こり、対極の溶液が十分存在すれば、還元
型フェナジンメトサルフェートが全て酸化型になるまで
続く。そしてこの電池反応によって流れた電流を測定す
れば、フェナジンメトサルフェートを還元した還元剤の
量を定量することができる。即ち、NADH及びその誘
導体の定量をすることができる。
【0019】図1に示すのは本発明に使用される装置概
略図の例である。電池セル1は作用極2と対極3及び、
隔膜4として用いるイオン交換膜 (旭硝子製陽イオン交
換膜CMV) より構成され、白金線5を通して電流積算
計6 (日厚計測製NDCM−1) に接続されている。作
用極2、対極3に所定の電極液を入れ、被測定試料物質
を含む溶液をシリンジなどで一定量を作用極2に添加
し、前記原理に基づく電池反応を起こさせてその際流れ
る電気量を計測することにより試料中の被測定試料物質
を定量できる。
【0020】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
る。但し、本発明はこれら実施例によりその技術的範囲
が限定されるものではない。 (実施例1) メディエーターの選択 図1の装置を用い、NADHを測定する際に使用するメ
ディエーターの違いによる測定時間の差を計測した。
【0021】作用極にメディエーターとして、ヘキサシ
アノ鉄(III) 酸カリウム、ビタミンK3、メチレンブル
ー、フェナジシメトサルフェート (以上和光純薬工業
製)、メトキシフェナジンメトサルフェート (同仁化学
研究所製) 、メルドラブルー(ナカライテスク製) を使
用した。各メディエーター0.1Mを、それぞれ0.1Mリ
ン酸緩衝溶液pH7.0に溶解して3mlとし、それぞれの溶
液を電極液に使用した。対極には0.1Mヘキサシアノ鉄
(III)酸カリウム溶液 (0.1Mリン酸緩衝液pH7.0の3
mlに溶解) を電極液として用いて、NADH (10-3M)
を試料物質とし、両電極間に外部より電圧を印加するこ
となく測定した。
【0022】測定結果を表1に示すが、フェナジンメト
サルフェート、メトキシフェナジンメトサルフェート、
メルドラブルーをメディエーターに用いた場合の測定時
間は約30秒と非常に短時間であった。
【0023】
【表1】
【0024】(実施例2) NADHの測定 図1の装置を用い、作用極に0.1Mフェナジンメトサル
フェート溶液、対極に0.1Mヘキサシアノ鉄(III)酸
カリウム溶液(各0.1Mリン酸緩衝液pH7.0に溶解) 各
3mlづつを入れ、各種濃度のNADH溶液 (40mMリン酸
緩衝液pH7.0に溶解) の測定を行った。各10μL の試料
に対しての測定結果を図2に示したが、NADHの濃度
と電流積算計の測定値との間には良好な直線関係が得ら
れた。また、繰り返し再現性については、いずれの試料
の場合も、10回繰り返した時の変動係数(以下、CV値
とする)は2%以内であり優れた再現性を示した。ま
た、作用極と対極にカーボンフェルト(日本カーボン製
GF-20-5F)を挿入して同様に測定した結果、NADHの
濃度と電流積算計の測定値との間には良好な直線関係が
得られた。さらに、5×10-4M NADH溶液10μL を繰
り返し測定した結果、200 回以上安定して測定できた。
そのときのCV値は2%以内であった。
【0025】(実施例3) グルタミン酸脱水素酵素で
生成するNADHの定量によるグルタミン酸量測定 本発明者らが見いだした基質特異性と安定性に優れたグ
ルタミン酸脱水素酵素(特願平4-194245号発明) を用い
て本発明によるグルタミン酸の定量を行った。本酵素の
反応は以下の通りである。
【0026】
【化1】
【0027】即ち、特願平4-194245号発明の実施例1記
載のグルタミン酸脱水素酵素含有溶液 (4U/ml 20mMリ
ン酸緩衝液pH7.0溶液) 10μL と、基質としてNAD+
を含む各種濃度のグルタミン酸ナトリウム溶液 (20mMリ
ン酸緩衝液pH7.0溶液、NAD+は20mg/ml含有)990μ
Lを30℃で3分間混合した溶液10μL を実施例2と同様
の条件で測定した。
【0028】図3に結果を示すが、NADHを指標とし
た測定値とグルタミン酸濃度の間には良好な直線関係が
得られた。同様にして市販醤油中のグルタミン酸含量を
測定し、アミノ酸分析計の測定値と比較した結果、アミ
ノ酸分析計 (日本電子製JLC−300) による測定値
は11.3g/L 、本発明による測定値は11.2g/L とよく
一致した。また、同じ試料についてグルタミン酸測定キ
ット (BMY社製) を用いて測定した結果は11.0g/L
であった。尚、測定時間はアミノ酸分析計が1試料に約
1.5時間、グルタミン酸測定キットが20分を要したのに
対し、本発明によれば約50秒(酵素反応時間を入れると
約4分)で測定でき、迅速測定が可能であった。
【0029】さらに、本実施例において、使用する酵素
は通常用いられる固定化法により作用電極中に固定化し
て使用することも可能であった。 (実施例4) グルタミン酸脱水素酵素で生成するNA
DH誘導体の定量によるグルタミン酸量測定 グルタミン酸脱水素酵素反応の補酵素として3−アセチ
ルピリジンNAD(シグマ社製)を用い、酵素反応を50
℃で20分間行った以外は実施例3と同じ条件で測定を行
ったところ、酵素反応で生成する3−アセチルピリジン
NADHを指標とした本発明による測定値とグルタミン
酸濃度の間には良好な直線関係が得られた。また測定時
間は約30秒と非常に短時間で測定可能であった。
【0030】(実施例5) 化学的酸素要求量(CO
D)の測定(1) 図1の装置を用い、作用極に0.1M塩化カルシウムを含
有する1N塩酸溶液3mlを電極液として使用し、対極に
電池活物質となる0.01Mヘキサシアノ鉄(II)酸カリウ
ムと0.1 M塩化カリウムを含有する1N塩酸溶液3mlを
電極液として入れ、各種試料のCODを測定した。
【0031】試料としては、愛知県半田市の工場排水2
種類(A,B)、同下水処理水2種類(C,D)および
グルコース標準液(JISK8824記載)1mgO /L 、10mgO
/Lを用いた。測定は次の通り行った。ねじ付き試験管
(内容量10ml)に各試料2ml、47%硫酸0.4 ml、N/40
過マンガン酸カリウム0.2 mlをこの順に入れ混合し、密
栓した。5分間加熱したのち、室温まで冷却しこの混合
溶液の10μL を上記装置の作用極にシリンジで添加し測
定した。
【0032】その結果を、同じ試料についてJISK0102記
載の方法で測定した値と比較した結果を表2に示すが、
両者の測定値は良く一致した。測定に要した時間は約30
秒と短時間で、試料も微量で測定ができた。また、本実
施例の作用極と対極にカーボンフェルト(日本カーボン
製GF-20-5F)を挿入して同条件で測定したところ、前記
と同様な測定ができた。
【0033】
【表2】
【0034】(実施例6) 化学的酸素要求量(CO
D)の測定(2) 図1の装置を用い、作用極に1.5N硫酸溶液3mlを電極
液として使用し、対極に電池活物質となる0.02Mヘキサ
シアノ鉄(II)酸カリウムおよび0.02Mヘキサシアノ鉄(I
II)酸カリウムを含有する1.2N硫酸溶液3mlを電極液と
して入れ、各種試料のCODを測定した。試料として
は、埼玉県浦和市の浄化槽排水2種類(A,B)、同事
務所排水2種類(C,D)およびグルコース標準液(JI
SK8824記載)1mgO/L, 10mgO/Lを用いた。
【0035】測定は、次の通り行った。ネジ付き試験管
(内容量10ml) に各種試料2ml、47%硫酸0.4ml、1M
硝酸銀溶液0.2ml、N/40過マンガン酸カリウム0.2mlを
この順に入れ混合し、密栓した。5分間加熱した後、水
で冷却しこの混合溶液の10μLを上記装置の作用極にシ
リンジで添加し測定した。
【0036】同じ試料についてJISK0102記載の方法で測
定した値と比較した結果を表3に示すが、両者の測定値
は良く一致した。測定に要した時間は約30秒と短時間
で、試料も微量で測定できた。また、本実施例の作用極
と対極にカーボンフェルト(日本カーボン製GF-20-5F)
を挿入して同条件で測定したところ、前記と同様な測定
ができた。
【0037】
【表3】
【0038】(実施例7) アスコルビン酸の測定 図1の装置を用い、作用極に10mMメチレンブルー溶液
(0.4Mリン酸緩衝液pH 5.0に溶解)3ml、対極に0.4Mヘ
キサシアノ鉄(III)酸カリウム溶液(0.4Mリン酸緩衝
液pH 7.3)3mlを電極液として入れ、1〜200 mg/100
mlの各種濃度のアスコルビン酸溶液の測定を行った結
果、アスコルビン酸溶液の各濃度と本発明による電気量
測定値の間には良好な直線関係が得られた。なお、その
際の試料物質量は5μLと微量であり、測定時間は約40
秒と迅速であり、同じ試料を繰り返し測定したときのC
V値は2%以下ときわめて安定したものであった。
【0039】また、作用極の電極液にpH 5.0の0.4Mリ
ン酸緩衝液を使用しても同様に測定できた。更に、作用
極と対極中にカーボンフェルト(日本カーボン製GF-20-
5F)を挿入した電極を用いても同様な測定結果が得られ
た。 (実施例8) 各種市販食品中のアスコルビン酸の測定 図1の装置を用い、作用極にpH 5.0の0.4Mリン酸緩衝
液3mlを電極液として使用し、対極に0.1Mヘキサシアノ
鉄(III)酸カリウム溶液3ml(O.4Mリン酸緩衝液pH
7.3)を電極液として入れ、各種市販食品中のアスコル
ビン酸の測定を行った。また、同じ試料についてインド
フェノール滴定法およびHPLC法(高速液体クロマト
グラフ法)(社団法人日本食品衛生協会発行、食品衛生
検査指針1989年版361〜363頁)による測定を行い各々を
比較した結果、表4に示すように良く一致した測定結果
が得られた。
【0040】
【表4】
【0041】
【発明の効果】本発明は、外部より電圧等の電気エネル
ギーを加えることなく迅速に試料物質を定量する電気分
析方法を提供し、グルタミン酸やアスコルビン酸などの
食品成分分析や、CODなどの水質分析など、産業上極
めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法の実施に使用する装置を示す図であ
る。
【図2】NADH濃度と測定値との関係を示すグラフで
ある。
【図3】グルタミン酸濃度と測定値との関係を示すグラ
フである。
【符号の説明】
1 電池セル 2 作用極 3 対極 4 隔膜 5 白金線 6 電流積算計
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年12月8日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正内容】
【0013】本発明において使用する作用極とは上記試
料物質を含有する電極であり、作用極中に電極液および
/またはメディエーターを含有することができる。電極
液は電解質溶液であればいずれでも良いが、例えば塩
酸、硫酸、塩化カリウム溶液またはリン酸緩衝液などが
用いられる。また、メディエーターとしては5−メチル
フェナジニウムメチルサルフェート(フェナジンメトサ
ルフェート)、1−メトキシ−5−メチルフェナジニウ
ムメチルサルフェート(メトキシフェナジンメトサルフ
ェート)、9−ジメチルアミノベンゾ〔α〕フェノキサ
ジン−7−イウムクロライド(メルドラブルー)または
3,7ビス(ジメチルアミノ)フェノチアジン−5−イ
ウムクロライド(メチレンブルー)及びそれらの塩類な
どが使用できる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正内容】
【0017】ところで、一般に電極酸化の起こる電位は
電極還元の起こる電位よりも貴な電位であることが多
く、この場合は外部から電圧を印加するなど、電気エネ
ルギーを与えなければ、電気分解が起こらず、従ってこ
のままの状態では電気分析を行うことは出来ない。しか
し、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、例えば対極に
電池活物質としてヘキサシアノ鉄(III)酸イオンおよ
び/または過マンガン酸イオンなどのように極めて貴な
電位で電極還元する物質と、作用極に還元型5−メチル
フェナジニウムメチルサルフェート、還元型1−メトキ
シ−5−メチルフェナジニウムメチルサルフェート、還
元型9−ジメチルアミノベンゾ〔α〕フェノキサジン−
7−イウムクロライド、還元型3,7ビス(ジメチルア
ミノ)フェノチアジン−5−イウムクロライド、ヘキサ
シアノ鉄(II)酸イオンまたはアスコルビン酸など、極
めて卑な電位で電極酸化される物質を電池活物質として
用い、両電極間をイオンが通過できる構造を有する電池
セルとすることで、外部から電気エネルギーを加えるこ
と無く、化学エネルギーが電気エネルギーに自発的かつ
迅速に変換されることを見いだした。即ち、試料物質の
持つ化学エネルギーを電池反応により発生する電気エネ
ルギーとして測定することで試料物質を定量することの
できる電気分析方法を発明するに至った。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料物質を含有する作用極および電池活
    物質を含有する対極並びに、両電極の隣接部位にイオン
    流通可能な物質を含んでなる電池セルを使用して、両電
    極間に外部から電圧を印加することなく両電極間に発生
    する電圧、電流または電気量の中の少なくとも1種以上
    を測定し、試料物質を定量することを特徴とする試料物
    質の電気分析方法。
  2. 【請求項2】 対極に含有される電池活物質がヘキサシ
    アノ鉄(III)酸イオンおよび/またはヘキサシアノ鉄
    (II)酸イオンであることを特徴とする請求項1記載の
    電気分析方法。
  3. 【請求項3】 作用極が電極液および/またはメディエ
    ーターを含有することを特徴とする請求項1記載の電気
    分析方法。
  4. 【請求項4】 メディエーターが5−メチルフェナジニ
    ウムメチルサルフェート、1−メトキシ−5−メチル−
    フェナジニウムメチルサルフェート、8−ジメチルアミ
    ノ−2,3−ベンゾフェノキサジン、3,7ビス(ジメ
    チルアミノ)フェノチアジン−5−イウムクロライド、
    およびこれらの塩類の少なくとも1種以上からなること
    を特徴とする請求項3記載の電気分析方法。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の電池セルを用いて、ニコ
    チンアミドアデニンジヌクレオチド、またはその誘導体
    を指標としてグルタミン酸を測定することを特徴とする
    グルタミン酸の電気分析方法。
  6. 【請求項6】 作用極に電解質を含ませ、かつ対極の電
    池活物質にヘキサシアノ鉄(II)酸イオンを使用した請
    求項1記載の電池セルを用いて、過マンガン酸カリウム
    を指標として化学的酸素要求量を測定する化学的酸素要
    求量の電気分析方法。
  7. 【請求項7】 電解質が塩酸および塩化カリウムからな
    るものまたは硫酸であることを特徴とする請求項6記載
    の化学的酸素要求量の電気分析方法。
  8. 【請求項8】 作用極に電解質および/または3,7ビ
    ス(ジメチルアミノ)フェノチアジン−5−イウムクロ
    ライドを含ませ、かつ対極の電池活物質にヘキサシアノ
    鉄(III)酸イオンを使用した請求項1記載の電池セル
    を用いてアスコルビン酸を測定することを特徴とするア
    スコルビン酸の電気分析方法。
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