JPH06299248A - 加工性及び衝撃特性に優れた超高強度冷延鋼板の製造法 - Google Patents

加工性及び衝撃特性に優れた超高強度冷延鋼板の製造法

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JPH06299248A
JPH06299248A JP41847890A JP41847890A JPH06299248A JP H06299248 A JPH06299248 A JP H06299248A JP 41847890 A JP41847890 A JP 41847890A JP 41847890 A JP41847890 A JP 41847890A JP H06299248 A JPH06299248 A JP H06299248A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 引張強度が150〜200kgf/mm2 で、微細
なマルテンサイト単相組織を有し、加工性及び衝撃特性
に優れた超高強度冷延鋼板を製造する方法を提供しよう
とするものである。 【構成】 C,Mn, sol. Al を特定範囲内で含有し、S
i, P,Sを特定値以下とすると共にNb, V,Tiの1種
または2種以上をその各個および合計で夫々特定範囲内
に含有した鋼を熱延し、500〜650℃で捲取った後
冷延し、連続焼鈍でAc3〜〔Ac3+70℃〕に加熱均熱
した後急冷し、120〜300℃で1〜15分間過時効
処理する。 【効果】 引張強度が150〜200kgf/mm2 で微細な
マルテンサイト単相組織を有し、加工性及び衝撃特性に
優れた超高強度冷延鋼板が的確に製造される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、引張強度が150〜2
00kgf /mm2 であって、微細なマルテンサイト単相組
織を有する加工性及び衝撃特性に優れた超高強度冷延鋼
板の製造法を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車の安全性に対する要求が強
まっており、引張強度が150kgf /mm2 を超える超高
強度冷延鋼板を利用し、軽量でかつ十分な衝撃吸収能を
有する、バンパーリインホースメント、ドアインパクト
バーに代表される補強部材を積極的に設置しようとする
動きがある。このような用途に用いられる超高強度冷延
鋼板では、加工性においては特に曲げ加工性が重要で、
また、同時に良好な衝撃特性を有することが必要であ
る。
【0003】超高強度冷延鋼板の製造では、マルテンサ
イトに代表される硬質な低温変態組織を利用した組織強
化が用いられる。このような超高強度冷延鋼板を効率的
かつ低廉に製造するには、水焼入れタイプの連続焼鈍設
備を用いるのが有利であり、通常、Ac1 点以上の再結
晶加熱温度に短時間加熱保持した後、強制空冷により所
定の温度まで冷却し、この温度から水焼入れを行い、続
いて過時効処理が施される。
【0004】このような水焼入れタイプの連続焼鈍設備
を用いた超高強度冷延鋼板の製造法に関しては、従来、
例えば特開昭53−28515号公報、特開昭58−2
2327号公報、特開昭61−3843号公報に見られ
るように数多くの方法が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらの従来
の発明は、いずれも引張強度で高々150kgf /mm2
でのもので、150kgf /mm2 を超える超高強度冷延鋼
板については、例えば特開昭53−28515号公報、
特開昭61−3843号公報の実施例にわずかに見られ
るだけである。しかも、これらのものにおいても、曲げ
加工性、衝撃特性について十分な検討がなされているも
のではない。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、引張強度
が150kgf /mm2 を超える超高強度冷延鋼板につい
て、組織と曲げ性、衝撃特性について検討を重ねた結
果、特定成分の鋼を熱延板において組織を均一微細化
し、続く連続焼鈍で微細なマルテンサイト単相組織とす
ることにより、曲げ加工性、衝撃特性の優れた超高強度
冷延鋼板を製造できることを見いだした。
【0007】すなわち本発明は、重量%で、C:0.1
5〜0.27%、Si:1.2%以下、Mn:1〜2.
5%、P:0.020%以下、S :0.003%以下、
sol・Al:0.01〜0.10%を含有し、これにさら
に、Nb:0.005〜0.030%、V:0.01〜
0.10%、Ti:0.01〜0.10%の1種または
2種以上を合計で0.005〜0.10%の範囲で含有
し、残部がFeおよび不可避不純物よりなる鋼を、仕上
げ温度Ar3 点以上で熱延し、500〜650℃で巻き
取った後、酸洗・冷間圧延し続く連続焼鈍でAc3
〔Ac3 +70℃〕に加熱し30秒以上均熱し、その後
噴流水中で室温まで急冷し、120〜300℃の温度で
1〜15分間過時効処理を施し、微細なマルテンサイト
単相組織を有する鋼板を得ることを特徴とする引張強度
が150〜200kgf /mm2 の加工性及び衝撃特性に優
れた超高強度冷延鋼板の製造法である。
【0008】
【作用】本発明において用いる鋼の成分組成限定理由を
wt%(以下単に%という)により説明すると、以下の如
くである。
【0009】C:0.15〜0.27%。 Cは、マルテンサイトの強度を得る上において有効な成
分であり、下限の0.15%は所望の強度が得られる最
低限量として決定した。又上限の0.27%は、これ以
上添加すると衝撃特性が著しく低下するため決定した。
【0010】Si:1.2%以下、 Siは、鋼板の機械特性のうち、延性に最も寄与し、こ
の添加量の増加は延性を向上させる。しかし、1.2%
以上の添加は衝撃特性を著しく劣化させるので、これを
上限とした。
【0011】Mn:1〜2.6%。 Mnは、変態点を下げ、またオーステナイトの焼入れ性
を向上させる元素であり、マルテンサイトの体積率をコ
ントロールし、所定の強度を得る上で重要な役割りをす
る。即ち、下限はマルテンサイトを安定して得るための
限界であり、また上限は冷却速度の非常に速い水焼入れ
タイプ連続焼鈍設備を利用するため、これ以上添加しし
ても効果が飽和すること、および鋳造時の偏析に伴うバ
ンド組織の発達が著しくなり、曲げ加工性に悪影響を及
ぼすことから決定した。
【0012】 P:0.020%以下、S:0.003%以下。 P、Sは、鋼板の加工性を考慮した場合、低い方が好ま
しく、このためPは0.020%以下とし、また特にS
はその含有量が高いと介在物(MnS)が増加し、鋼板
の加工性のみならず衝撃特性に対しても著しい悪影響を
及ぼすため0.0030%以下とする。
【0013】sol .Al:0.01〜0.10%。 Alは、鋼の脱酸のために使用されるが、sol .Alで
0.01%未満ではシリケート介在物が残り、鋼の加工
性が劣化するため0.01%以上とする必要がある。ま
た0.10%を超えるsol .Alの残留は表面疵の増加を
招き、好ましくないためその上限を0.01%とした。
【0014】Nb:0.005〜0.030%、V:
0.01〜0.10%、Ti:0.01〜0.10%。 本発明では更に、Nb、V、Tiの何れか1種または2
種以上を上記範囲内で、合計0.005〜0.10%含
有させるが、これらの元素の添加は組織の微細化を目的
としたもので、下限は組織微細化に必要な最低限量であ
り、上限はこれ以上添加すると析出物が増加し、加工性
を著しく劣化させるため決定した。
【0015】本発明における製造上の限定理由は以下の
如くである。まず、上記組成の鋼は、仕上温度Ar3
以上で熱延されるが、これはこの温度以下では熱延板組
織が不均一となるため決定した。また巻取り温度は50
0〜650℃に限定されるが、これは上限を超えると熱
延板がバンド組織を呈し最終鋼板の加工性および衝撃特
性を劣化させるからであり、又下限を外れると熱延板が
硬質となり操業上問題となるため決定した。上記熱延板
は酸洗後、冷間圧延を施される。
【0016】次いで行われる連続焼鈍の熱サイクルにつ
いて説明すると、まずオーステナイト単相組織を得るた
めに、Ac3 〜〔Ac3 +70℃〕に加熱し、30秒以
上均熱するが、加熱温度上限の〔Ac3 +70℃〕は、
これ以上加熱温度を上昇させるとオーステナイト粒が粗
大化し、加工性および衝撃特性に悪影響を及ぼすため決
定した。また均熱時間の下限30秒は、これ以下では所
定の効果が得られないため決定した。なお、ここでいう
均熱時間とは、均熱での最高板温から−20℃以上の温
度となっている時間と定義する。
【0017】上記均熱後、噴流水中で室温まで急冷され
るが、このままでは固溶Cが多く熱的に不安定であるた
め続いて120〜300℃の温度で1〜5分間の過時効
処理を行う。120℃以下では所定の効果が得られず、
300℃を超えるとマルテンサイトが軟化し、強度が急
激に低下するので、この300℃が過時効処理温度の上
限となる。また、過時効処理時間1〜15分間は、これ
以下では所定の効果が得られず、これ以上では効果が飽
和するだけでなく操業性を劣化させるため決定した。
【0018】上述したような成分組成の鋼を、このよう
な各範囲に限定して操業することにより、引張強度が1
50〜200kgf /mm2 で、加工性および衝撃特性に優
れた超高強度冷延鋼板が製造される。
【0019】
【実施例】上記したような本発明によるものの具体的実
施例の若干について説明すると以下の如くである。
【0020】実施例1 表1に示すような成分組成を有する本発明成分鋼A〜J
および比較鋼K〜Tを転炉で出鋼した後、連続鋳造によ
りスラブとなし、これを表2に示すような本発明範囲に
おける熱延条件で厚さ2.8mmの熱延板とし、酸洗後、
厚さ1.2mmに冷間圧延した。次いで、水焼入れタイプ
の連続焼鈍設備において、表2に示す本発明範囲におけ
る種々の条件にて、均熱時間3分間の連続焼鈍および5
分間の過時効処理を施した。このようにして得られた鋼
板の機械特性を表2に併せて示す。この表2において、
鋼A〜Tは、熱延条件、連続焼鈍条件いずれも本発明範
囲内であるにもかかわらず、本発明成分鋼であるA〜J
で得られた機械特性に比較し、成分が本発明範囲からは
ずれている比較鋼K〜Tでは、曲げ加工性及び衝撃特性
が劣っているのがわかる。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】代表的に、前記表1の鋼Aについて、加熱
温度の機械的特性に及ぼす影響を検討した結果を要約し
て示しているのが図1であって、上述したAc3 〜〔A
3+70℃〕とすることにより各特性が安定且つ有効
に得られている。
【0024】実施例2 前記、表1に示した本発明成分鋼A、F、Iを転炉で出
鋼した後、連続鋳造によりスラブとなし、これを次の表
3に示すような種々の熱延条件で厚さ2.8mmの熱延板
とし、酸洗後、厚さ1.2mmに冷間圧延した後、水焼入
れタイプの連続焼鈍設備において、表3に示す種々の条
件にて、連続焼鈍および過時効処理を施した。このよう
にして得られた鋼板の機械特性を表3に併せて示す。同
表において、鋼A、F、Iは、いずれも成分が本発明範
囲内であるにもかかわらず、熱延条件、連続焼鈍条件い
ずれも本発明範囲内である鋼番4,5,6,9,11で
得られた機械特性に比較し、熱延条件、連続焼鈍条件が
本発明範囲からはずれている鋼番1,2,3,7,8,
10,12では、曲げ加工性及び衝撃特性が劣っている
のがわかる。
【0025】
【表3】
【0026】以上のように、本発明によれば、引張強度
が150〜200kgf /mm2 の加工性及び衝撃特性に優
れた超高強度冷延鋼板が適切に製造できることがわか
る。
【0027】
【発明の効果】以上説明したような本発明によるとき
は、引張強度が150〜200kgf /mm2 を有し、しか
も加工性および衝撃特性に優れた超高強度冷延鋼板を的
確に製造せしめ、走行車輌その他において軽量かつ耐衝
撃性に卓越した部材を提供し得るものであるから工業的
にその効果の大きい発明である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例における鋼Aの連続焼鈍におけ
る加熱温度の機械特性に及ぼす影響を要約して示したグ
ラフである。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成3年4月12日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】段落番号「0011」
【補正方法】変更
【補正内容】
【0011】Mn:1〜2.%。 Mnは、変態点を下げ、またオーステナイトの焼入れ性
を向上させる元素であり、マルテンサイトの体積率をコ
ントロールし、所定の強度を得る上で重要な役割りをす
る。即ち、下限はマルテンサイトを安定して得るための
限界であり、また上限は冷却速度の非常に速い水焼入れ
タイプ連続焼鈍設備を利用するため、これ以上添加しし
ても効果が飽和すること、および鋳造時の偏析に伴うバ
ンド組織の発達が著しくなり、曲げ加工性に悪影響を及
ぼすことから決定した。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】段落番号「0013」
【補正方法】変更
【補正内容】
【0013】sol .Al:0.01〜0.10%。 Alは、鋼の脱酸のために使用されるが、sol .Alで
0.01%未満ではシリケート介在物が残り、鋼の加工
性が劣化するため0.01%以上とする必要がある。ま
た0.10%を超えるsol .Alの残留は表面疵の増加を
招き、好ましくないためその上限を0.10%とした。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】段落番号「0017」
【補正方法】変更
【補正内容】
【0017】上記均熱後、噴流水中で室温まで急冷され
るが、このままでは固溶Cが多く熱的に不安定であるた
め続いて120〜300℃の温度で1〜15分間の過時効
処理を行う。120℃以下では所定の効果が得られず、
300℃を超えるとマルテンサイトが軟化し、強度が急
激に低下するので、この300℃が過時効処理温度の上
限となる。また、過時効処理時間1〜15分間は、これ
以下では所定の効果が得られず、これ以上では効果が飽
和するだけでなく操業性を劣化させるため決定した。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】段落番号「0021」
【補正方法】変更
【補正内容】
【表1】

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C:0.15〜0.27wt%、Si:
    1.2wt%以下、Mn:1〜2.5wt%、P:0.02
    0wt%以下、S:0.003wt%以下、 sol.Al:0.0
    1〜0.10wt%を含有し、これに更に、Nb:0.0
    05〜0.030wt%、V:0.01〜0.10wt%、
    Ti:0.01〜0.10wt%の1種または2種以上を
    合計で0.005〜0.10wt%の範囲で含有し、残部
    がFeおよび不可避不純物よりなる鋼を、仕上げ温度A
    3 点以上で熱延し、500〜650℃で捲取った後、
    酸洗、冷間圧延し続く連続焼鈍でAc3 〜〔Ac3 +7
    0℃〕に加熱し30秒以上均熱した後噴流水中で室温ま
    で急冷し、120〜300℃の温度で1〜15分間過時
    効処理を施し、微細なマルテンサイド単相組織を有する
    鋼板を得ることを特徴とする引張強度が150〜200
    kgf /mm2 の加工性及び衝撃特性に優れた超高強度冷延
    鋼板の製造法。
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