JPH06298725A - 硫黄化合物の製造方法 - Google Patents

硫黄化合物の製造方法

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JPH06298725A
JPH06298725A JP5091556A JP9155693A JPH06298725A JP H06298725 A JPH06298725 A JP H06298725A JP 5091556 A JP5091556 A JP 5091556A JP 9155693 A JP9155693 A JP 9155693A JP H06298725 A JPH06298725 A JP H06298725A
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哲郎 林
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】 で表される不飽和エステルと硫化水素とを反応させて および/または で表される硫黄化合物を製造する方法において、触媒と
して酸化カルシウム、酸化ストロンチウムおよび酸化バ
リウムからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカ
リ土類金属酸化物を用いてなる硫黄化合物の製造方法。
(式中、Rは、水素原子または―COORを表し、
は、水素原子またはメチル基を表し、Rは、炭素
数1〜8の炭化水素基を表す) 【効果】 触媒と反応溶液との分離が容易となる。工業
的に有利となる硫化水素と不飽和エステルとのモル比
(H2 S/不飽和エステル)が小さい条件下で、不飽和
エステルから高選択的でかつ収率良く、硫黄化合物を長
期間にわたって安定的に製造できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、不飽和エステルと硫化
水素とを反応させて硫黄化合物を製造する方法に関する
ものである。
【0002】上記の硫黄化合物は、医薬品、農薬、各種
工業化学品の製造原料として広範囲に用いられる有用な
化合物である。
【0003】
【従来の技術】従来、例えば、不飽和エステルの一種で
あるアクリル酸エステルと硫化水素とを反応させて、硫
黄化合物の一種である3−メルカプトプロピオン酸エス
テルや3,3'−チオジプロピオン酸エステルを得る方法と
しては、以下に示すような種々の製造方法が知られてい
る。
【0004】即ち、特公昭40-15170号公報に、例えばト
リメチルベンジルアンモニウムヒドロキシドや水酸化ナ
トリウム等のアルカリ性触媒を上記反応系における触媒
として用いる方法が開示されている。しかしながら、こ
の方法においては、均一触媒であるアルカリ性触媒を再
使用することが困難であると共に、アルカリ性触媒を廃
棄物として処理しなければならず、反応後の処理工程が
煩雑となると共に、環境に悪影響を及ぼすという欠点が
ある。
【0005】一方、特開昭52-36623号公報に、有機アミ
ンを上記反応系における触媒として用いる方法が開示さ
れている。しかしながら、この方法においては、反応溶
液から均一触媒である有機アミンを分離する際に、例え
ば有機アミンの蒸留を行うと、有機アミンと反応系に過
剰に存在する硫化水素とが冷却器内等で反応して塩を生
成し、冷却器等が閉塞する虞れがあり、また、例えば酸
性溶液により有機アミンを中和し、塩にして除去する
と、大量に発生する廃液の処理方法が複雑となる。従っ
て、この方法においては、反応後の有機アミンの取り扱
いが困難であるという問題点を有している。
【0006】さらに、特公昭57-48155号公報に、反応液
に不溶の陰イオン交換樹脂を、上記反応系における触媒
として用いる方法が開示されている。この方法は、不溶
性の陰イオン交換樹脂を用いるため、反応溶液から陰イ
オン交換樹脂を分離することが容易となる。ところが、
上記の陰イオン交換樹脂は、物理的強度および化学的強
度に乏しいため、長期間にわたって使用すると樹脂の破
砕や活性の低下等を招く。このため、この方法は、工業
化に重要な長期安定性に乏しいという問題点を有してい
る。
【0007】また、特開昭62-63526号公報に、酸化マグ
ネシウムを上記反応系における触媒として用いる方法が
開示されている。この方法は、酸化マグネシウムが反応
溶液に難溶性であるため、反応溶液から酸化マグネシウ
ムを分離することが容易となる。そして、同公開特許公
報に記載されているように、例えば硫化水素とアクリル
酸メチル(以下、MAと略す)とのモル比(H2 S/M
A)が6程度の、硫化水素が大過剰の条件下では、3−
メルカプトプロピオン酸メチル(以下、MMPと略す)
への選択性が良好となっている。ところが、本願発明者
等の検討によれば、過剰の硫化水素が少ない条件下、即
ち、工業的に有利となるH2 S/MAが小さい条件下で
は、MMPへの選択性の低下が見られ、従って、工業的
な観点から満足の得られる方法ではないことが判明し
た。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、前述
した問題点を解決し、不飽和エステルから高選択的でか
つ収率良く、硫黄化合物を製造する新規な方法を提供す
ることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本願発明者等は、不飽和
エステルと硫化水素とを反応させて硫黄化合物を製造す
る方法について鋭意検討した結果、不飽和エステルと硫
化水素とを酸化カルシウム、酸化ストロンチウムおよび
酸化バリウムからなる群より選ばれる少なくとも一種の
アルカリ土類金属酸化物の存在下で反応させることによ
り、工業的に有利となる硫化水素と不飽和エステルとの
モル比(H2 S/不飽和エステル)が小さい条件下で、
硫黄化合物が高選択的、かつ高収率で得られることを見
出すと共に、触媒である、上記の如く特定されるアルカ
リ土類金属酸化物(以下、単にアルカリ土類金属酸化物
と称する)が反応溶液に難溶性であるため、反応溶液か
ら容易に分離可能であり、しかも耐久性に優れており、
長期間にわたって使用可能であることを確認して、本発
明を完成させるに至った。
【0010】即ち、本発明は、一般式(I)
【0011】
【化4】
【0012】で表される不飽和エステルと硫化水素とを
反応させて一般式(II)
【0013】
【化5】
【0014】および/または一般式(III)
【0015】
【化6】
【0016】で表される硫黄化合物を製造する方法にお
いて、触媒として酸化カルシウム、酸化ストロンチウム
および酸化バリウムからなる群より選ばれる少なくとも
一種のアルカリ土類金属酸化物を用いることを特徴とし
ている。
【0017】以下に本発明を詳しく説明する。本発明に
おいて原料として用いられる前記一般式(I) で表さ
れる不飽和エステルとしては、特に限定されるものでは
ないが、式中、R3 で示されるエステル部分が炭素数1
〜8の炭化水素基で構成されているものであり、炭化水
素基とは、メチル基、エチル基、ブチル基、2−エチル
ヘキシル基、シクロヘキシル基等の飽和脂肪族炭化水素
基、アリル基、メタリル基等の不飽和脂肪族炭化水素
基、フェニル基等の芳香族炭化水素基である。具体的に
例を挙げると、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸
エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘ
キシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸アリ
ル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタク
リル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸−2
−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタ
クリル酸メタリル、メタクリル酸フェニル、マレイン酸
ジメチル、マレイン酸ジブチル等が挙げられる。本発明
の方法によれば、これらの不飽和エステルから、それぞ
れ対応する前記一般式(II)および/または一般式(III)
で表される硫黄化合物が得られる。特に、不飽和エステ
ルとしてアクリル酸エステルを用いた場合に得られる3
−メルカプトプロピオン酸エステルおよび3,3'−チオジ
プロピオン酸エステルは、工業原料として重要である。
【0018】本発明で触媒として使用されるアルカリ土
類金属酸化物としては、例えば、酸化カルシウム、酸化
ストロンチウム、酸化バリウム、酸化カルシウムおよび
酸化ストロンチウムの混合物、酸化カルシウムおよび酸
化バリウムの混合物等が挙げられる。特に、酸化カルシ
ウムを含有するものが好ましい。尚、不飽和エステルに
対する触媒の使用量は、本発明を回分方式または半回分
方式を採用して反応させる場合において、 0.1重量%〜
40重量%、好ましくは 1重量%〜20重量%である。
【0019】上記の触媒の調製は、例えば、カルシウ
ム、ストロンチウムおよびバリウムの硝酸塩、シュウ酸
塩、酢酸塩、炭酸塩、あるいは水酸化物等を、例えば、
空気や窒素ガス等の不活性ガス雰囲気で焼成する方法が
用いられる。焼成温度は、 200℃〜1000℃、好ましくは
300℃〜 800℃であり、焼成時間は、焼成温度にもよる
が、通常、 1時間〜 100時間程度行えばよい。また、一
般に市販されている酸化カルシウム、酸化ストロンチウ
ム、酸化バリウムを用いることもできる。
【0020】そして、上記の触媒を使用するに際し、例
えば、空気や窒素ガス等の不活性ガス雰囲気で加熱する
ことにより、触媒の表面に吸着されている炭酸ガスや水
分等を除去して活性化させることが好ましい。加熱温度
は、 100℃〜1000℃、好ましくは 200℃〜 800℃であ
る。加熱温度が 100℃よりも低い場合は、吸着物質が充
分に除去されないために好ましくなく、また、加熱温度
が1000℃よりも高い場合は、加熱するためのコストが増
大するので好ましくない。また、加熱時間は、吸着物質
の量や加熱温度にもよるが、通常、1時間〜30時間程度
行えばよい。尚、触媒の活性化の方法は、上記の方法に
限定されるものではない。
【0021】また、本発明においてアルカリ土類金属酸
化物が、不飽和エステルから硫黄化合物を合成する反応
に、優れた触媒作用を示す詳細な理由は明らかではない
が、上記の反応においては、反応に関与するアルカリ土
類金属酸化物が触媒表面に存在していればよい。即ち、
上記の反応に不活性な担体にアルカリ土類金属酸化物を
担持したものを触媒として用いてもよい。担体は、その
表面にアルカリ土類金属酸化物を分散させることにより
その表面積を大きくしたり、あるいは、アルカリ土類金
属酸化物の機械的強度を高めたりするために用いられ
る。上記の担体は、反応を阻害しないもの、あるいは、
触媒の活性を低下させないものであれば、特に限定され
るものではなく、具体的には、例えばシリカ、アルミ
ナ、ジルコニア、チタニア、シリカアルミナ等の無機担
体や、カオリナイト、モンモリロナイト、タルク等の粘
土鉱物等を挙げることができる。
【0022】また、触媒の機械的強度を高めるために、
成型助剤を用いてもよい。上記の成型助剤は、反応を阻
害しないもの、あるいは、触媒の活性を低下させないも
のであれば、特に限定されるものではなく、具体的に
は、例えばシリカゾル、アルミナゾル、ジルコニアゾ
ル、ケイ酸ソーダ等の無機物や、有機ポリマー等の有機
物等を挙げることができる。尚、これら触媒の調製方法
は、特に限定されるものではない。
【0023】本発明において原料として使用される硫化
水素の使用量は、不飽和エステル1モルに対して、 0.4
モル〜 8モル(即ち、モル比:H2 S/不飽和エステル
= 0.4〜8 )、好ましくは0.45モル〜 6モル(モル比:
2 S/不飽和エステル=0.45〜6 )である。不飽和エ
ステルに対して硫化水素を過剰に使用すると、不飽和エ
ステルから前記一般式(II)で表される硫黄化合物への選
択性が高くなるが、不飽和エステル1モルに対して硫化
水素を8モル以上使用しても上記の選択性の向上は少な
く、反応後に回収する未反応の硫化水素量が多くなるた
め、好ましくない。逆に、不飽和エステル1モルに対し
て硫化水素を 0.4モル以下しか使用しない場合は、未反
応の不飽和エステルが多くなるため、不飽和エステルの
重合等の副反応が起こると共に、反応後に回収する未反
応の不飽和エステル量が多くなるため、好ましくない。
【0024】反応温度は任意に設定可能であるが、20℃
〜 150℃が好適である。反応温度が20℃以下の場合に
は、反応速度が遅くなり、反応に時間が掛かるため経済
的でなく、また、反応温度が 150℃以上の場合には、硫
黄化合物の分解等の副反応が起こり、硫黄化合物の収率
低下を招くため、好ましくない。
【0025】また、本発明は発熱反応であるため、反応
時に反応系から熱を除去する必要があり、除熱の効果を
高めるために、例えば、溶媒を希釈剤として用いること
も可能である。上記の溶媒としては、反応に対して不活
性なものであれば、特に限定されるものではなく、例え
ば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン等の飽和脂肪
族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族
炭化水素等を使用することができる。あるいは、本反応
の生成物の1つである前記一般式(III) で表される硫黄
化合物を溶媒として使用してもよい。これら溶媒は、単
独で使用してもよく、また、二種類以上を混合して使用
してもよい。
【0026】反応圧力は、反応系に存在する硫化水素の
量および反応温度にもよるが、大気圧〜80 atm、好まし
くは大気圧〜60 atm、さらに好ましくは、溶媒を用いな
い場合は20 atm〜60 atmであり、溶媒を用いる場合は大
気圧〜40 atmである。反応圧力は、高圧の方が硫化水素
の反応溶液への溶解量が多くなり、反応が進み易くなる
反面、反応装置の耐圧構造をより強固なものとしなけれ
ばならず、装置の大型化を招く等の不利を生じる。従っ
て、反応圧力は、上記両者のバランスを考慮にいれて設
定すればよい。尚、反応圧力を80 atm以上としても、反
応促進の効果は小さく、逆に装置の大型化を招くため、
好ましくない。
【0027】本発明は、回分方式、半回分方式、連続方
式の何れの方式を採用して行ってもよい。回分方式およ
び半回分方式を採用して反応させる場合には、不飽和エ
ステルおよび硫化水素を供給する供給方法は、特に限定
されるものではなく、種々の方法が可能であり、例え
ば、不飽和エステルと触媒とを予め混合した後、硫化水
素を供給してもよく、また、溶媒と触媒とを予め混合
し、硫化水素を溶媒に飽和溶解させた後、不飽和エステ
ルと硫化水素を同時に供給してもよい。
【0028】触媒を反応溶液中に懸濁させて反応し、反
応終了後、例えば濾過等の簡単な分離操作を行うことに
より、反応溶液から触媒を分離し、その後、反応溶液を
蒸留する等して目的物である前記一般式(II)および一般
式(III) で表される硫黄化合物を単離することができ
る。
【0029】また、連続方式のうち、槽型流通方式を採
用して反応させる場合には、例えば濾過等の簡単な分離
操作を行うことにより、反応溶液から触媒を分離するこ
とができる。さらに、連続方式のうち、充填方式を採用
して反応させる場合には、触媒と反応溶液との分離操作
が不要となるので、例えば触媒を充填した反応器の出口
から流出する反応溶液を、直接、蒸留する等して硫黄化
合物を単離することができる。
【0030】尚、上記の連続方式を採用する場合には、
反応温度等にもよるが、触媒を充填した反応器内を通過
させる反応溶液の液空間速度(LHSV)を 0.5hr-1
20hr-1、好ましくは 1hr-1〜10hr-1とすればよい。
【0031】
【作用】上記の方法によれば、アルカリ土類金属酸化物
が不均一無機固体触媒であるので、触媒と反応溶液との
分離が容易であり、従来の方法において均一触媒として
使用されているアンモニア、有機アミン等とは異なり、
触媒除去のための蒸留工程や中和工程等が不要となって
いる。即ち、従来の方法とは異なり、触媒と硫化水素と
が反応して塩を生成する虞れはなく、また、触媒を中和
等する必要もない。さらに、触媒は、耐久性に優れてお
り、長期間にわたって使用可能である。
【0032】以下、実施例および比較例により、本発明
をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより何
ら限定されるものではない。尚、前記一般式(I) で表さ
れる不飽和エステルの転化率、および、前記一般式(II)
で表される硫黄化合物の収率および選択率は、次の定義
に従うものとする。
【0033】不飽和エステルの転化率(%)=(消費さ
れた不飽和エステルのモル数/供給した不飽和エステル
のモル数)× 100 一般式(II)で表される硫黄化合物の収率(%)=(一般
式(II)で表される硫黄化合物に転化した不飽和エステル
のモル数/供給した不飽和エステルのモル数)× 100 一般式(II)で表される硫黄化合物の選択率(%)=(一
般式(II)で表される硫黄化合物に転化した不飽和エステ
ルのモル数/消費された不飽和エステルのモル数)× 1
00 また、前記一般式(III) で表される硫黄化合物の収率お
よび選択率も、上記と同様の定義に従うものとする。
【0034】
【実施例】
〔実施例1〕反応容器として 100mlオートクレーブを用
い、このオートクレーブにアクリル酸メチル(以下、M
Aと略す)を24.5g、および酸化カルシウムを 1.8g仕
込み、窒素置換した後密閉し、氷温下で撹拌しながら硫
化水素を29.0g(即ち、仕込みモル比:H2 S/MA=
3.0)供給した。上記の酸化カルシウムは、片山化学株
式会社製試薬の酸化カルシウムを 500℃、2時間焼成
し、X線回折法によりCaOであることを確認して用い
た。
【0035】硫化水素の供給後、反応系を速やかに60℃
まで昇温して反応を開始し、この温度で5時間反応させ
た後、放冷した。このとき、反応開始時のオートクレー
ブ内の圧力は30kg/cm2(ゲージ圧)であり、5時間後の
圧力は24kg/cm2(ゲージ圧)であった。この反応溶液を
濾過し、濾液をガスクロマトグラフィーにより分析した
結果、MAの転化率は 100%、3−メルカプトプロピオ
ン酸メチル(以下、MMPと略す)の収率は81.6%、選
択率は81.6%であった。また、反応条件および結果を表
1にも記載した。
【0036】〔実施例2〕実施例1における触媒として
の酸化カルシウム 1.8gに代えて、酸化ストロンチウム
を 2.6g用いた以外は実施例1と同様の反応、分析を行
った。上記の酸化ストロンチウムは、和光純薬工業株式
会社製試薬の水酸化ストロンチウムを 700℃、2時間焼
成し、X線回折法によりSrOであることを確認して用
いた。反応条件および得られた結果を表1に合わせて記
載した。この結果から明らかなように、実施例1と同様
に高い収率および選択率でMMPが得られた。
【0037】〔実施例3〕実施例1における触媒として
の酸化カルシウム 1.8gに代えて、酸化バリウムを 3.1
g用いた以外は実施例1と同様の反応、分析を行った。
上記の酸化バリウムは、和光純薬工業株式会社製試薬の
硝酸バリウムを 800℃、3時間焼成し、X線回折法によ
りBaOであることを確認して用いた。反応条件および
得られた結果を表1に合わせて記載した。この結果から
明らかなように、実施例1と同様に高い収率および選択
率でMMPが得られた。
【0038】〔実施例4〕実施例1における触媒として
の酸化カルシウム 1.8gに代えて、酸化カルシウム(片
山化学株式会社製試薬) 1.0gと酸化ストロンチウム
(片山化学株式会社製試薬) 0.9gとを混合し、 600
℃、2時間焼成した触媒を用いた以外は実施例1と同様
の反応、分析を行った。反応条件および得られた結果を
表1に合わせて記載した。
【0039】〔実施例5〕実施例1における触媒として
の酸化カルシウム 1.8gに代えて、酸化カルシウム(片
山化学株式会社製試薬) 1.1gと酸化バリウム(和光純
薬工業株式会社製試薬) 1.5gとを混合し、 600℃、4
時間焼成した触媒を用いた以外は実施例1と同様の反
応、分析を行った。反応条件および得られた結果を表1
に合わせて記載した。
【0040】実施例4および実施例5の結果から明らか
なように、酸化カルシウム、酸化ストロンチウムおよび
酸化バリウムからなる群より選ばれる二種類のアルカリ
土類金属酸化物を触媒として用いた場合においても、実
施例1と同様に高い収率および選択率でMMPが得られ
た。
【0041】〔実施例6〕実施例1における原料として
用いた硫化水素とMAとのモル比(H2 S/MA= 3.
0)に代えて、それらのモル比が 0.5となるように硫化
水素を 4.8g供給した以外は実施例1と同様の反応、分
析を行った。反応条件および得られた結果を表1に合わ
せて記載した。この結果から明らかなように、硫化水素
とMAとのモル比を小さくすると、MMPの代わりに、
3,3'−チオジプロピオン酸メチル(以下、DMTと略
す)が高い収率および選択率で得られた。
【0042】〔実施例7〕実施例1における反応温度を
30℃とし、反応速度が低下するため、反応時間を26時間
とした以外は実施例1と同様の反応、分析を行った。反
応条件および得られた結果を表1に合わせて記載した。
この結果から明らかなように、実施例1における反応時
間(5時間)よりは長くなるが、ほぼ室温に近い反応温
度においても、実施例1と同様に高い収率および選択率
でMMPが得られた。
【0043】〔実施例8〕実施例1における反応系に、
溶媒としてトルエン40gをさらに加えた以外は実施例1
と同様の反応、分析を行った。反応開始時のオートクレ
ーブ内の圧力は15kg/cm2(ゲージ圧)であり、反応終了
時の圧力は14kg/cm2(ゲージ圧)であった。反応条件お
よび得られた結果を表1に合わせて記載した。この結果
から明らかなように、溶媒を加えた場合においても、実
施例1と同様に高い収率および選択率でMMPが得られ
た。
【0044】〔実施例9〕実施例8における原料として
用いたMAに代えて、アクリル酸ブチル36.4gを用いた
以外は実施例8と同様の反応、分析を行った。反応条件
および得られた結果を表1に合わせて記載した。この結
果から明らかなように、アクリル酸ブチルを用いても、
実施例8と同様に、3−メルカプトプロピオン酸ブチル
が高い収率および選択率で得られた。
【0045】〔実施例10〕実施例8における原料とし
て用いたMAに代えて、アクリル酸−2−エチルヘキシ
ル52.3gを用いた以外は実施例8と同様の反応、分析を
行った。反応条件および得られた結果を表1に合わせて
記載した。この結果から明らかなように、アクリル酸−
2−エチルヘキシルを用いても、実施例8と同様に3−
メルカプトプロピオン酸−2−エチルヘキシルが高い収
率および選択率で得られた。
【0046】〔実施例11〕実施例1における原料とし
て用いたMAに代えて、メタクリル酸メチル28.5gを用
い、反応時間を26時間とした以外は実施例1と同様の反
応、分析を行った。反応条件および得られた結果を表1
に合わせて記載した。この結果から明らかなように、メ
タクリル酸メチルを用いても、実施例1と同様に、3−
メルカプト−2−メチルプロピオン酸メチルが高い収率
および選択率で得られた。
【0047】〔実施例12〕実施例1における原料とし
て用いたMAに代えて、マレイン酸ジメチル30.2gを用
い、硫化水素とマレイン酸ジメチルとのモル比(H2
/マレイン酸ジメチル)が 6.0となるように硫化水素を
42.6g供給した以外は実施例1と同様の反応、分析を行
った。分析の結果、マレイン酸ジメチルの転化率は99.9
%、メルカプトコハク酸ジメチルの収率は82.4%、選択
率は82.5%であった。また、反応条件および結果を表1
にも記載した。
【0048】〔実施例13〕反応容器として 300mlオー
トクレーブを用い、このオートクレーブに実施例1と同
様にして調製した酸化カルシウムを11g、および溶媒と
してDMTを 100g仕込み、窒素置換した後密閉し、撹
拌しながら速やかに60℃まで昇温した。次に、この温度
を保ちながら硫化水素をオートクレーブ内の圧力が40kg
/cm2(ゲージ圧)となるように供給し、続いて、MAお
よび硫化水素を同時に供給し、これら原料を1時間かけ
て供給した。そして、反応を2時間続けた後、放冷し
た。供給したMAの総量は80g、硫化水素の総量は95g
(即ち、モル比:H2 S/MA=3.0)であった。
【0049】過剰の硫化水素を放散させ、開圧した後、
この反応溶液を濾過し、濾液をガスクロマトグラフィー
により分析した結果、MAの転化率は 100%、MMPの
収率は80.1%、選択率は80.1%であった。また、反応条
件および結果を表1にも記載した。
【0050】〔実施例14〕反応容器として、入口部に
原料混合器、調圧弁、定量ポンプを備え、出口部に、フ
ィルターおよび調圧弁を備えた、内径 1.0cm、長さ約10
cmのステンレス製の固定床連続反応装置を用いた。ま
た、硝酸カルシウム(和光純薬工業株式会社製試薬)50
gとシリカゾル(日産化学工業株式会社製:商品名 ス
ノーテックスS) 2gと水 100gとを撹拌しながら80℃
に加熱し、水分を蒸発させて得られたスラリーを、磁製
皿に移し、 800℃、6時間焼成して調製した触媒を、12
〜32メッシュに粉砕し、上記の装置に 4g充填した。
【0051】そして、出口部の調圧弁により反応圧力を
40kg/cm2(ゲージ圧)に設定した後、硫化水素とMAと
のモル比(H2 S/MA)が 3.0となるように、MAを
4g/hr(LHSV: 1.0hr-1)、硫化水素を 5.2g/hr
(LHSV: 1.3hr-1)で供給し、さらに、溶媒として
DMTを 4g/hr(LHSV: 2.0hr-1)で供給し、60℃
で反応させ、反応開始5時間後および 500時間後の反応
溶液の分析を行った。反応条件および得られた結果を表
1に合わせて記載した。
【0052】この結果から明らかなように、本発明は、
工業化に重要な長期安定性に優れていることがわかる。
【0053】〔比較例1〕実施例1における本発明の触
媒としての酸化カルシウム 1.8gに代えて、従来の触媒
である酸化マグネシウムを 2.6g用いた以外は実施例1
と同様の反応、分析を行った。上記の酸化マグネシウム
は、片山化学株式会社製試薬の酸化マグネシウムを 500
℃、2時間焼成し、X線回折法によりMgOであること
を確認して用いた。
【0054】分析の結果、MAの転化率は 100%、MM
Pの収率は74.2%、選択率は74.2%であった。また、反
応条件および結果を表1にも記載した。この結果から明
らかなように、MMPは、実施例1よりも低い収率およ
び選択率でしか得られなかった。
【0055】〔比較例2〕実施例14における本発明の
触媒としての酸化カルシウム 4gに代えて、従来の触媒
である陰イオン交換樹脂(オルガノ株式会社製:商品名
アンバーライトIRA−93)を 4g用いた以外は実
施例14と同様に反応させ、反応開始5時間後および 5
00時間後の反応溶液の分析を行った。反応条件および得
られた結果を表1に合わせて記載した。
【0056】この結果から明らかなように、従来の触媒
である陰イオン交換樹脂は、工業化に重要な長期安定性
に劣っており、反応開始 500時間後でのMMPは、実施
例14よりも低い収率でしか得られなかった。
【0057】
【表1】
【0058】
【発明の効果】上記の方法によれば、触媒として酸化カ
ルシウム、酸化ストロンチウムおよび酸化バリウムから
なる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属
酸化物を用いることにより、反応後において、触媒と反
応溶液との分離が容易となり、過剰の硫化水素が少ない
条件下、即ち、工業的に有利となる硫化水素と不飽和エ
ステルとのモル比(H2 S/不飽和エステル)が小さい
条件下で、不飽和エステルから高選択的でかつ収率良
く、硫黄化合物を製造することができる。また、上記の
触媒は反応溶液に難溶性であるため、反応溶液から容易
に分離可能であり、しかも耐久性に優れており、長期間
にわたって使用可能である。従って、上記の方法は、硫
黄化合物の製造方法として好適に使用されるという効果
を奏する。
フロントページの続き (72)発明者 石川 ▲隆▼一 大阪府吹田市西御旅町5番8号 株式会社 日本触媒中央研究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(I) 【化1】 で表される不飽和エステルと硫化水素とを反応させて一
    般式(II) 【化2】 および/または一般式(III) 【化3】 で表される硫黄化合物を製造する方法において、 触媒として酸化カルシウム、酸化ストロンチウムおよび
    酸化バリウムからなる群より選ばれる少なくとも一種の
    アルカリ土類金属酸化物を用いることを特徴とする硫黄
    化合物の製造方法。
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