JPH06298583A - バックコーティングタイルの製造方法 - Google Patents

バックコーティングタイルの製造方法

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JPH06298583A
JPH06298583A JP8610893A JP8610893A JPH06298583A JP H06298583 A JPH06298583 A JP H06298583A JP 8610893 A JP8610893 A JP 8610893A JP 8610893 A JP8610893 A JP 8610893A JP H06298583 A JPH06298583 A JP H06298583A
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JP
Japan
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tile
coating liquid
coating
back surface
belt
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JP8610893A
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English (en)
Inventor
Shunichi Matsuhashi
俊一 松橋
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Taisei Corp
Original Assignee
Taisei Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 タイルの裏面に形成されたあり溝の形状を損
なうことなく、当該タイル裏面の所定位置に、前記被覆
液を連続して効率良く塗布・乾燥・硬化することが可能
なバックコーティングタイルの製造方法を提供する。 【構成】 タイル1を裏面を下向きにし、タイルの目地
モルタル埋設部の最上部に対応する位置より下部領域
を、被覆液槽20収容された被覆液21に浸漬し、タイ
ル1の裏面に被覆液21を過剰に塗布した後、タイル1
の裏面を下向きにした状態で、該タイル1の裏面に塗布
された不要な被覆液21を除去し、次に、このタイル1
の裏面を下向きにした状態で、タイル1の裏面に残留し
た被覆液21を乾燥・硬化する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、バックコーティングタ
イルの製造方法に係り、特に、構造物から剥落すること
を防止するための工夫がなされたタイルの製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来から、一般的に、内外装用タイルの
施工は、躯体コンクリートの外壁に、下地モルタル(省
略されることがある)、張り付けモルタルの順にモルタ
ルを施し、その上にタイルを張り付けて行われている。
このタイルをモルタルにより張り付ける方法のうち、タ
イル裏足の形状があり足形状でない場合には、タイルの
剥離・剥落事故の大半が、タイルと張り付けモルタルと
の界面で発生していた。このため、タイルの裏面にあり
溝(タイル裏足の形状をあり足形状とした際に溝となる
部分)を形成してモルタルへの食いつきを良くしたり、
張り付けタイル材にポリマーディスパージョンを混入し
たりしてタイルと張り付けモルタルとの付着性を向上し
ている。
【0003】一方、前記方法により、タイルと張り付け
モルタルとの付着性を向上しても、下地モルタルと張り
付けモルタルとの界面、躯体コンクリートと下地モルタ
ルとの界面、あるいは、下地モルタルが省略されたもの
の場合には、張り付けモルタルと躯体コンクリートとの
界面での剥離・剥落事故が発生していた。そして、この
場合には、多数のタイルがモルタルに付着した状態で剥
離・剥落し、且つ大面積に渡って剥離・剥落することが
多く、剥落に伴う危険性が大きかった。
【0004】これは、前記のように躯体コンクリートに
タイルをモルタルにより張り付けた場合は、躯体コンク
リートからモルタルを介してタイルまで互いに接着され
た層構造が形成されるが、各層の乾燥による収縮率や線
膨張係数に差があるうえに、各層の断面方向に温度分布
が生じることに起因している。また、吸水率が3%より
大きいタイルでは、長期にわたる水和膨張も関与する場
合もある。即ち、前記収縮率や線膨張係数の違い等か
ら、前記各層がそれぞれに異なる量だけ収縮・膨張する
際に、当該各層は互いに接着されていることから、この
収縮・膨張に伴う力が隣合う各層に作用しあい、各層に
剪断応力を生じさせる。そして、この剪断応力が、各層
または各層間における剪断強度を越えた時に、層内にお
ける凝集破断が発生したり、各層の界面での剥離が起こ
り、前記のような剥落事故が発生していた。
【0005】そこで、本出願人は、裏面にあり溝が形成
されたタイルを構造物に張り付けた際に、目地モルタル
の最上部となる位置に対応する位置より下部領域に、樹
脂またはゴムを主成分とする被覆材を配することで、前
記剪断応力の発生を軽減し、下地モルタルと張り付けモ
ルタルとの界面、躯体コンクリートと下地モルタルとの
界面、あるいは、張り付けモルタルと躯体コンクリート
との界面での剥離の発生を抑制することが可能な構造を
備えたタイルを先に出願した(実願平4−6371
号)。
【0006】この被覆材は、樹脂またはゴムを主成分と
する被覆液を、前記タイルの張り付けモルタル埋設部ま
たは目地モルタル埋設部に種々の方法により塗布した
後、これを乾燥することで、前記タイルの所定位置に配
設される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記タ
イルは、様々な形状を有し且つ同一銘柄のタイルでも形
状等にバラツキを有している。従って、タイルの所望位
置に連続的に被覆液を塗布することができず、生産性を
一層低下させるという問題があった。また、従来の方法
では、被覆液が塗布されたタイルは、該タイルの裏面が
下向きになるように平板上に載置し、当該被覆液を乾燥
させるか、あるいは、該タイルの裏面が上向きになるよ
うに平板上に載置し、当該被覆液を乾燥させる方法をと
っている。
【0008】ここで、前記タイルの裏面を下向きにし
て、前記被覆液を乾燥した場合は、図4に示すように、
あり溝3の内部であって、該あり溝3の開口部5と対向
した閉塞面(以下、『天井部』という)4に塗布されて
いた被覆液が、重力によりあり溝3の開口部5に向けて
流れ、この部分で硬化する。従って、被覆材2は、あり
溝3の開口部5の端部内側に向けて突出した状態で形成
される。この形状で被覆材2が形成されると、タイル1
を張り付ける際に、張り付けモルタル7があり溝3内に
十分に入り込み難くなり、タイル1の張り付け強度が低
下するという問題があった。また、前記張り付けモルタ
ル7があり溝3内に入り込んだとしても、種々の応力集
中が生じ易く、タイル1の張り付け強度が低下するとい
う問題があった。
【0009】一方、タイルの裏面を上向きにして被覆液
を乾燥した場合は、あり溝3の開口部5に塗布された被
覆液が重力によりあり溝3の天井部4に向けて流れ、あ
り溝3の天井部4のコーナー部分に被覆液が集まり、該
被覆液は、この状態で硬化する。従って、図5に示すよ
うに、あり溝形状が損なわれ、あり溝3本来の接着性を
強化する目的を低下させるという問題があった。また、
低粘度の被覆液を塗布した場合には、さらに被覆液があ
り溝3の天井部4に向けて流れ、ここで硬化する量が増
えるため、図6に示すように、あり溝形状が存在しなく
なるという問題があった。
【0010】本発明は、このような従来の問題点を解決
することを課題とするものであり、タイルの裏面に形成
されたあり溝の形状を損なうことなく、当該タイル裏面
の所定位置に、前記被覆液を連続して効率良く塗布・乾
燥・硬化することが可能なバックコーティングタイルの
製造方法を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、本発明は、裏足があり足形状であるタイルの目地モ
ルタル埋設部の最上部に対応する位置より下部領域に、
樹脂またはゴムを主成分とする被覆液を塗布するバック
コーティングタイルの製造方法において、前記被覆液が
収容された被覆液槽に、前記タイルを該タイルの裏面を
下向きにして装入し、当該被覆液に、当該タイルの目地
モルタル埋設部の最上部に対応する位置より下部領域を
浸漬して、当該タイルの裏面に該被覆液を過剰に塗布す
る工程と、前記タイルの裏面を下向きにした状態で、該
タイルの裏面に塗布された不要な被覆液を除去する工程
と、前記不要な被覆液を除去した後、タイルの裏面を下
向きにした状態で、タイルの裏面に残留した被覆液を乾
燥・硬化する工程と、を含むことを特徴とするバックコ
ーティングタイルの製造方法を提供するものである。
【0012】そして、前記タイルを、表面に複数の凹凸
が形成されたベルトまたは複数の細孔が貫通されたベル
トを備えたベルトコンベヤ、または、複数のロープから
なるベルトコンベヤを用いて搬送し、前記被覆液の塗布
及び不要な被覆液の除去及び乾燥・硬化を行うことを特
徴とするバックコーティングタイルの製造方法を提供す
るものである。
【0013】また、前記被覆液槽に収容した被覆液の液
面の高さを調整することを特徴とするバックコーティン
グタイルの製造方法を提供するものである。そして、前
記タイルの裏面が下向きの状態でタイルを傾斜させて該
タイルの裏面に塗布された不要な被覆液を除去した後、
当該タイルの裏面を水平な下向きにして不要な被覆液を
除去することを特徴とするバックコーティングタイルの
製造方法を提供するものである。
【0014】そしてまた、前記タイルの裏面に過剰に塗
布された被覆液を、刷毛を用いて除去することを特徴と
するバックコーティングタイルの製造方法を提供するも
のである。さらに、前記タイルに振動を与えながらタイ
ルの裏面に過剰に塗布された被覆液を除去することを特
徴とするバックコーティングタイルの製造方法を提供す
るものである。
【0015】さらにまた、前記ベルトに付着した被覆液
を吸引除去することを特徴とするバックコーティングタ
イルの製造方法を提供するものである。
【0016】
【作用】タイルの裏面を下向きにして、該タイルを構造
物に張り付けた際に、目地モルタル部の最上部となる位
置の対応する位置より下部領域を、被覆液槽に収容され
た被覆液に浸漬し、当該タイルの裏面に該被覆液を過剰
に塗布するため、前記被覆液を該タイルの所定領域にむ
らなく塗布することができる。ここで、タイルの所定領
域とは、タイルを構造物に張り付けた際に、目地モルタ
ル等により埋設されて、構造物の表面に露出しない部分
のうちの所望領域のことをいう。
【0017】次に、前記タイルの裏面を下向きにした状
態で不要な被覆液を除去するため、あり溝の開口部周辺
に不要な被覆液が残ることがない。従って、次に行う乾
燥・硬化工程において、タイルのあり溝の開口部の内側
に不要な被覆材が形成されることがない。このため、前
記タイルのあり溝の形状に支障を来すことなく該タイル
の所望位置に被覆材を形成することができる。
【0018】そして、前記タイルを、表面に複数の凹凸
が形成されたベルトまたは、複数の細孔が貫通されたベ
ルトを備えたベルトコンベヤまたは複数のロープからな
るベルトコンベヤを用いて搬送し、前記被覆液の塗布を
行うことで、被覆液が前記凹部や細孔、溝を通してタイ
ルの裏面に回り込み易くすることができ、前記被覆液を
さらに簡単にむらなく塗布することができる。また、こ
の時、前記被覆液を、前記ベルトコンベヤにより搬送さ
れるタイルとほぼ同等の速度となるように対流させるこ
とで、前記タイルの所望位置に、当該被覆液をさらに簡
単にむらなく塗布することができる。
【0019】そしてまた、表面に複数の凹凸が形成され
たベルトまたは複数の細孔が貫通されたベルトを備えた
ベルトコンベヤ、または複数のロープからなるベルトコ
ンベヤを用いてタイルを搬送し、不要な被覆液の除去を
行うため、複数の凹凸が形成されたベルトを使用した場
合には、タイルから落下した被覆液を前記凹部に移動す
ることができ、タイルに不要な被覆液が再び付着するこ
とを防止することができる。一方、複数の細孔が貫通さ
れたベルトを使用した場合には、タイルから落下した被
覆液を前記細孔から簡単に取り除くことができるため、
不要な被覆液が再びタイルに付着することを防止するこ
とができる。また、複数のロープからなるベルトコンベ
ヤを使用した場合には、タイルから落下した被覆液をそ
のまま落下させて取り除くことができる。
【0020】そして、前記被覆液槽に収容した被覆液の
液面の高さを調整することで、被覆液の液面が常にタイ
ルの所望位置にくるようにすることができる。従って、
常に必要な領域にのみ被覆材を配設することができる。
このため、タイルの種類等により、タイルの側面に位置
する被覆材の高さが異なっても、該高さに簡単に対応す
ることができる。
【0021】また、前記タイルの裏面が下向きの状態で
該タイルを傾斜させて該タイルの裏面に塗布された不要
な被覆液を除去することで、当該不要な被覆液をより効
果的に除去することができる。そして、その後、前記タ
イルの裏面を水平な下向きにし、さらに不要な被覆液を
除去することで、重力の作用によりタイルの下方側に集
まっていた不要な被覆液を効率よく除去することができ
る。
【0022】そしてまた、前記タイルの裏面に過剰に塗
布された被覆液を、刷毛を用いて除去することで、不要
な被覆液をより効率よく除去することができる。また、
タイルの裏面に巻き込んだ空気により発生した泡を取り
除くことができ、被覆液の塗布むらを無くすことができ
る。なお、前記刷毛として、例えば、回転ブラシを使用
する際は、当該回転ブラシをタイルの搬送方向と逆に回
転するか、回転ブラシの回転をタイルの搬送方向と同じ
方向にする場合は、タイルの搬送速度より速く回転ブラ
シを回転させることが前記作用を発揮させる上でより効
果的である。また、この時、タイルは、あり溝の方向、
即ち、あり溝の側面に対して平行な方向に搬送し、前記
回転ブラシは、そのサイズ(幅)を、あり溝の側面に刷
毛が当たらず、天井部に刷毛が当たり、あり溝の開口部
と天井部とを垂直に結んだ四角形の部分に塗布された被
覆液を除去されるようにすることで、理想的なあり溝形
状を得ることができる。
【0023】さらに、前記タイルに振動を与えながらタ
イルの裏面に過剰に塗布された被覆液を除去すること
で、不要な被覆材をより効率よく除去することができ
る。さらにまた、前記ベルトに付着した被覆液を吸引除
去することで、一旦ベルトに落下した不要な被覆材が、
再びタイルに付着することをより一層防止することがで
きる。
【0024】この後、被覆液中に含まれていた水(また
は溶剤)が経時的に蒸発したり、被覆液の温度が経時的
に低下して、当該被覆液の粘度が増加し、該被覆液の動
き(流動性)が減少しているため、タイルの裏面を下向
きにしたままでも、あり溝の開口部に被覆液が流れてく
ることはない。そして、タイルは、収縮または膨張した
際に、その長手方向端部により大きな応力がかかる。こ
のため、タイルの長手方向端部の少なくとも片面に配設
される被覆材の厚さが、それ以外の部分に配設される被
覆材の厚さより厚くなるように、前記被覆液を塗布する
ことで、前記長手方向端部に発生する応力を、前記被覆
材により効果的に吸収させることができる。
【0025】
【実施例】次に、本発明に係る実施例について、図面を
参照して説明する。図1は、本発明の実施例に係るバッ
クコーティングタイルの製造ラインを示す図、図2は、
図1に示す製造ラインで得たバックコーティングタイル
の断面図、図3は、図2の部分拡大図である。
【0026】図1に示すバックコーティングタイルの製
造ラインは、タイル1に、樹脂またはゴムを主成分とす
る被覆液21を塗布する浸漬塗布部12、浸漬塗布部1
2から搬送されたタイル1に付着している不要な被覆液
21を除去する余剰被覆液除去部13、余剰被覆液除去
部14から搬送されたタイル1に残留した被覆液21を
乾燥・硬化する乾燥部14を備えている。そして、前記
浸漬塗布部12の入側には、タイル1を浸漬塗布部12
に導入させる導入部11が、前記乾燥部14の出側に
は、乾燥部14から搬出されたタイル1を所定の保管場
所まで配送する搬出部15が設置されている。このバッ
クコーティングタイルの製造ラインを通過することで、
タイル1裏面の所望位置に、被覆材2が配設されたバッ
クコーティングタイル40が連続製造される。
【0027】前記導入部11は、ベルトコンベヤ18に
より構成されており、このベルトコンベヤ18のベルト
上に、タイル1を該タイル1の裏面を下向きにして載置
し、浸漬塗布部12の入口まで、当該タイル1を搬送す
る。なお、本実施例では、タイル1のあり溝の側面とタ
イル1の進行方向が直交するように、即ち、あり溝の連
続方向と進行方向とが平行となるように、ベルトコンベ
ヤ18上にタイル1を載置する。(刷毛を用いて被覆液
を除去する場合には、あり溝の連続方向と進行方向とが
平行になる)。
【0028】前記浸漬塗布部12は、被覆液21を収容
可能な被覆液槽20と、該被覆液槽20内に収容された
被覆液21とを備えている。前記被覆液槽20内の前半
部分(入口側の領域)には、前記ベルトコンベヤ18に
より搬送されたタイル1(被搬送物)を受け取り、被覆
液槽20の入口から出口方向に向けて搬送するベルトコ
ンベヤ19が設置されている。このベルトコンベヤ19
は、両側先端部が被覆液21の液面より上方に位置し、
それ以外の部分が被覆液21の液面下に配設されてい
る。従って、このベルトコンベヤ19は、被覆液槽20
の入口側から被覆液21に向けて斜めに下降し、被覆液
21内では水平であり、被覆液21から被覆液槽20の
出口側に向けて斜めに上昇したベルト構造を有してい
る。そして、このベルトコンベヤ19には、複数の細孔
が貫通された布製のベルト、または複数のロープ状ベル
トが配設されている。また、被覆液槽20の入口側側面
及び出口側側面の被覆液面下には、被覆液21を攪拌す
る攪拌機22が各々1基づつ、高さと向きを変えて配設
されている。
【0029】前記タイル1に被覆液21が塗布される領
域(被覆液21がタイル1の側面のどこまで塗布される
か)は、ベルトコンベヤ19の高さと、付着液21の液
面の高さによって決定される。このため、前記被覆液槽
20には、被覆液21の液面の高さを調整する液面高さ
調整装置34が設置されている。この液面高さ調整装置
34は、常に被覆液21の液面高さをモニタし、このデ
ータと予め設定しておいた液面の高さとの比較を行い、
設定位置より被覆液21の液面が低下した場合には、不
足した分の被覆液21が、図示しない被覆液21補充装
置から被覆液槽20内に補充されるようになっている。
一方、被覆液21の液面が上昇した場合には、過足した
分の被覆液21を図示しない被覆液21排出口から排出
するようになっている。
【0030】さらに、前記被覆液槽20には、被覆液2
1の粘度を調整する粘度調整装置35が設置されてい
る。この粘度調整装置35は、常に被覆液21の粘度を
モニタし、このデータと予め設定しておいた粘度との比
較を行い、設定粘度より被覆液21の粘度が増加した場
合には、不足分の希釈液が、図示しない希釈液補充装置
から被覆液槽20内に補充されるようになっている。一
方、被覆液21の粘度が低下した場合には、図示しない
被覆液原液供給装置から、必要量の原液(高粘度な被覆
液21)が供給されるようになっている。
【0031】また、前記被覆液槽20には、被覆液21
の温度を調整する温度調整装置36が設置されている。
この温度調整装置36は、常に被覆液21の温度をモニ
タし、このデータと予め設定しておいた温度との比較を
行い、被覆液槽20に設定された図示しないヒータのO
N/OFFを行うことにより、被覆液21が設定温度を
保持するようになっている。
【0032】前記余剰被覆液除去部13は、被覆液槽2
0の後半部分(出口側の領域)と、該被覆液槽20の出
口側外部に隣接された水洗槽25とを備えている。前記
被覆液槽20の後半部分には、前記ベルトコンベヤ19
により搬送されたタイル1を受け取り、該タイル1を被
覆液槽20の出口まで搬送するベルトコンベヤ33が連
設されている。このベルトコンベヤ33は、被覆液21
の液面より上方に設置され、複数の細孔が貫通された布
製のベルトが配設されている。そして、このベルトコン
ベヤ33は、被覆液槽20の出口側端部の高さが、ベル
トコンベヤ19側端部の高さより高くなるように設計さ
れている。即ち、このベルトコンベヤ33上を搬送され
るタイル1は、その進行方向先端の方が後端より常に高
い位置にある傾斜した状態で搬送される。このベルトコ
ンベヤ33の入側と前記ベルトコンベヤ19の出側との
間であって、両ベルトコンベヤ33及び19のタイル載
置面と近接した位置には、回転ブラシ23が配設されて
いる。
【0033】この回転ブラシ23は、前記ベルトコンベ
ヤ19からベルトコンベヤ33に搬送されるタイル1の
裏面と接触して、該タイル1の裏面に付着している被覆
液21を刷毛によりかき出し、除去するものであり、タ
イル1の搬送方向と逆に回転するように設計されてい
る。この回転ブラシ23は、タイル1のあり溝の側面に
刷毛が当たらず、天井部に刷毛が当たるサイズを有した
ブラシを、タイル1の搬送方向と垂直方向に連設した構
造を有しており、刷毛は、ぶた毛により構成されてい
る。
【0034】前記ベルトコンベヤ33のタイル1が載置
されるベルトの裏面側には、タイル1から除去され、当
該ベルト上に落下した不要な被覆液21を吸引して除去
する二台の吸引装置24が設置されている。前記ベルト
コンベヤ19及びベルトコンベヤ33の上部、すなわ
ち、被覆液槽20の上部には、両ベルトコンベヤ19及
び33上に載置したタイル1が通過することが可能な隙
間をもって、カバー32が配設されている。
【0035】前記水洗槽25内には、水(洗浄液)26
が収容されている。この水洗槽25内には、前記ベルト
コンベヤ33から回転ブラシ23を経て搬送されるタイ
ル1を受け取り、該タイル1を水洗槽25の出口まで搬
送するベルトコンベヤ27が設置されている。このベル
トコンベヤ27は、タイル1を載置して搬送する部分が
液面より上方に配設され、タイル1を載置していないベ
ルトの一部が、水26内を通過するように設計されてお
り、複数の細孔が貫通されたフェルトからなるベルトが
配設されている。前記水洗槽25には、前記水26内を
通過するベルトに付着した被覆液21を吸引除去する吸
引装置28aと、該水26から出たベルトがタイル1を
載置するまでの間で、ベルトに付着している水分を吸引
除去する吸引装置28bが配設されている。
【0036】前記乾燥部14は、前記水洗槽25から搬
出されたタイル1の搬入・搬出が可能な出入口を備えた
乾燥機29から構成されている。この乾燥機29には、
前記ベルトコンベヤ27から搬送されるタイル1を受け
取り、該タイル1を乾燥機29の出口まで搬送するベル
トコンベヤ38が設置されている。このベルトコンベヤ
38は、ガラスクロスにPTFE(テトラフルオロエチ
レン樹脂)をコーティングした耐熱性ベルトが配設され
ている。
【0037】このベルトコンベヤ38の下方には、ヒー
タ30が等間隔で配設されており、乾燥機29の後半部
分には、ベルトコンベヤ38上を搬送されるタイル1の
下方近傍に複数のヒータ30が増設されている。これに
より、前記乾燥機29の前半部分を、タイル1に付着し
た被覆液21をゆっくり加熱する予熱ゾーン16、後半
部分を、タイル1に付着した被覆液21を十分に乾燥・
硬化させる本加熱ゾーン17としている。この乾燥機2
9には、図示しない温度制御装置が接続されており、乾
燥機29内が常に最適な温度となるようにコントロール
されている。
【0038】前記搬出部15は、前記ベルトコンベヤ3
8から搬送されたタイル1を受け取り、該タイル1を所
定場所まで搬出するベルトコンベヤ31を備えている。
このベルトコンベヤ31は、複数の細孔が貫通された布
製のベルト、または複数のロープ状ベルトコンベヤが配
設されており、前記タイル1は、所定場所に到達する間
に徐冷乾燥される。
【0039】なお、前記製造ラインにおけるタイル1の
ライン速度は、タイル1のサイズや被覆液21の種類、
被覆液21の塗布膜厚や塗布領域等に応じて、任意にコ
ントロールすることができる。次に、本実施例に係るバ
ックコーティングタイルの製造ラインの具体的動作につ
いて、図1ないし図3を参照して説明する。
【0040】先ず、被覆液21として、シラノール基を
含むエマルジョン型の樹脂(ガラス転移点=40℃、粘
度=200cp(60rpm)、液温=30℃)を入
れ、タイル1に塗布する被覆液21の塗布領域に応じ
て、当該被覆液21の液面高さを設定し、この液面高さ
となるように被覆液21を被覆液槽20内に収容する。
なお、本実施例では、バックコーティングタイル40を
構造物に張り付けた際に、目地モルタル6が充填される
表面位置(最上端)まで、被覆材2を配設するように被
覆材21の液面高さを調整した。この時、被覆液21の
粘度及び温度は、タイル1の種類や被覆液21の塗布膜
厚(被覆材2の厚み)等により設定した。なお、本実施
例では、タイル1として、二丁掛タイル(60mm×2
27mm)を使用した。
【0041】次に、被覆材2を配設すべきタイル1を、
導入部11のベルトコンベヤ18上にタイル1のあり溝
3の側面とタイル1の搬送方向とが平行となるように、
タイル1の裏面を下向きにして載置した後、製造ライン
をONにする。なお、本実施例では、複数のタイル1に
連続処理を行う。次いで、導入部11から浸漬塗布部1
2に搬送されたタイル1は、ベルトコンベヤ19により
被覆液槽20内に搬送される。タイル1は、ここで所定
位置まで被覆液21内に浸漬されながら余剰被覆液除去
部13に向けて搬送される。この時、前記ベルトコンベ
ヤ19のベルトには、複数の細孔が貫通されているた
め、この細孔から被覆液21がベルトとタイル1の裏面
との間に入り込み、該タイル1の裏面に被覆液21がむ
らなく付着する。このようにして、タイル1は、余剰被
覆液除去部13に到達するまでに、裏面の所定位置に過
剰な被覆液21がむらなく塗布される。この時、被覆液
21は、攪拌機22により、タイル1の搬送速度と同程
度の速度で強制的に対流させる。また、被覆液21の液
面高さは、液面高さ調整装置34により常に一定の高さ
になるように制御され、被覆液21の粘度は粘度調整装
置35により、被覆液21の温度は温度調整装置36に
よりそれぞれ制御される。
【0042】次に、浸漬塗布部12から余剰被覆液除去
部13に搬送されたタイル1は、先ず、回転ブラシ23
によりタイル1裏面に付着している不要な被覆液21が
強制的に除去される。この時、タイル1は、進行方向先
端が後端に対して高い位置となる斜めの状態で回転ブラ
シ23上を通過し、回転ブラシ23の形状により、あり
溝3の開口部5と天井部4とを垂直に結んだ四角形の部
分に塗布された被覆液21が効果的に除去される。ま
た、前記被覆液21は、タイルの長手方向の側面に配設
される被覆材2の厚さが、他の部分の厚さに比べて、厚
く形成されるように、回転ブラシ23とタイル1の裏面
との距離を調節して不要な被覆液21の除去を行った。
このため、最終的に得られるバックコーティングタイル
40は、理想的なあり溝形状を備えたあり溝3を有し、
且つ長手方向側面には、他の部分より厚い膜厚を備えた
被覆材2が配設された。また、回転ブラシ23により、
タイル1の裏面に形成された巻き込み空気(泡)を同時
に除去することができるため、被覆液21の塗布むらの
発生をさらに抑制することができる。
【0043】前記回転ブラシ23を経たタイル1は、ベ
ルトコンベヤ33に搬送される。この時、ベルトコンベ
ヤ33を振動させ、タイル1に付着している不要な被覆
液21を一層効率良く除去してもよい。ここでは、タイ
ル1からベルト上に落下した不要な被覆液21を、吸引
装置24により即座に除去することで、該被覆液21が
再びタイル1に付着することを防止している。このよう
にすることで、タイル1のあり溝3の形状が不要な被覆
材2により損なわれることを防止している。
【0044】次に、前記ベルトコンベヤ33から搬送さ
れたタイル1は、ベルトコンベヤ27に搬送される。こ
こでは、タイル1から比較的ゆっくりたれてくる不要な
被覆液21の除去を行う。即ち、被覆液中に含まれてい
た水(または溶剤)が経時的に蒸発したり、被覆液の温
度が経時的に低下して、当該被覆液の粘度が増加し、該
被覆液の動き(流動性)が減少してくることを考慮して
行われる。
【0045】前記タイル1の搬送を終えたベルトは、水
洗槽25内に収容されている水26内に侵入し、当該タ
イル1の搬送の際に付着した被覆液21を洗浄・除去す
る。この時、吸引装置28aにより、ベルトに付着して
いる被覆液21を効率良く吸引除去し、次に、水26か
ら出たベルトに付着している水分を吸引装置28bによ
り効率よく吸引除去する。このため、タイル1は、常に
きれいな状態のベルト上に載置されるため、タイル1か
ら落下した不要な被覆液21が再びタイル1に付着する
ことをさらに防止することができる。
【0046】次いで、余剰被覆液除去部13から乾燥部
14に搬送されたタイル1は、予熱ゾーン16でゆっく
り加熱された後、本加熱ゾーン17で十分に乾燥・硬化
される。この時、乾燥基29内の温度は、温度制御装置
により常に最適な温度となるようにコントロールされて
いる。次に、乾燥部14から搬出部15に搬送されたタ
イル1は、ここで徐冷されながら所定の保管場所まで搬
送される。
【0047】このようにして、図2及び図3に示すよう
に、良好なあり溝3形状を備えたバックコーティングタ
イル40を連続して得た。また、前記製造ラインにタイ
ル1を一回通過させることで、所望の膜厚が得られない
場合は、このラインに当該タイル1を複数回通過させて
もよい。なお、本実施例では、特に図2に示すように、
被覆材2を、タイル1側面の、タイル1が構造物に張り
付けられた際に、目地モルタル6の最上部と面位置とな
る部分まで配設したが、これに限らず、被覆材2のタイ
ル1側面に対する配設位置は、目地モルタル6の最上部
に対応する位置より上部でも、所望により任意に決定し
てよい。この被覆材2の配設領域は、液面調整装置24
により被覆液21の液面高さを調整することで、簡単に
行うことができる。
【0048】なお、前記被覆液21は、以下に述べる理
由から、そのガラス転移点が−10℃以上且つ30℃以
下であることが望ましい。バックコーティングタイル
(一般のタイルも含む)は、通常、数十枚が一箱に梱包
されて保管・搬送されるが、バックコーティングタイル
が構造物に張り付けられるまでの過程において、温度や
湿度がコントロールされていない場所に放置されること
がある。この時の温冷の繰り返しや、乾湿の繰り返し等
により、タイル1に配設された被覆材2同志や、被覆材
2とタイル1、あるいは、被覆材2と梱包材料とが付着
しないようにする必要がある。このためには、被覆材2
が硬化した際には、該、被覆材2表面でのタックがな
く、また、水に膨潤しにくい性質の被覆材2を配設する
ことが好適である。ここで、樹脂やゴムの種類によっ
て、多少の差はあるものの、ガラス転移点が低いほど、
常温での伸び性能が大きくなり、タックが大きくなる。
一方、ガラス転移点が高いほど、硬く脆く、水に膨潤し
にくくなる。
【0049】次に、表1に示すガラス転移点を有する樹
脂を使用して、幅=10mm、長さ=100mm、膜厚
=0.1mmの遊離塗膜を形成し、表2に示す各条件の
雰囲気に放置した後、直ちに、各塗膜の表面タック及び
伸び率を調査した。また、20℃の水中に3日間放置し
た塗膜及び20℃の飽和消石灰水中に3日間放置した塗
膜については、塗膜の初期状態と比較した強度の変化に
ついても調査した。さらに、前記塗膜の伸び率と強度の
変化から塗膜の耐水性、耐アルカリ性を判断した。ま
た、塗膜を乾いた状態、濡れた状態で紙に強く押しつけ
て、該塗膜を紙から剥がした際の塗膜の状態に付いて調
査した。
【0050】なお、タックは、指触で判断し、伸び率
は、各塗膜を20℃で50mm/分の速度で破断まで引
っ張った際の変化率により判断した。また、強度の変化
は、初期と比較して50%以上の強度低下が有るか無い
か(強度低下の有無)により判断した。この結果を表2
に示す。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】 なお、表2において、サンプルNo.7’は、サンプル
No.7に、粘性調整剤として、『NSシックナー61
3(商品名);サンノプコ株式会社製』を0.1%添加
したものである。表2のサンプルNo.1〜No.3、
サンプルNo.5は、濡れた状態で紙に強く押しつけた
後、該紙から剥がすと、紙がサンプルに付いてきた。こ
のようなサンプルを構成する樹脂を被覆液として使用す
ると、バックコーティングタイルを保管している際の湿
気や水分等により、梱包材(紙)と被覆材が付着して不
都合を生じてしまう。
【0053】また、このバックコーティングタイルを構
造物に張り付けた場合、当該バックコーティングタイル
と張り付けモルタルや下地コンクリート等に作用するデ
ィファレンシャルムーブメント(気温の変化や日射に代
表される繰り返し的長さ変化や水和膨張、コンクリート
の乾燥収縮やクリープ等の一方向的長さ変化に起因する
各層間の異なる動き)を考慮すると、被覆液のガラス転
移点は、やや高めに設定することが好適であるが、ガラ
ス転移点が高くなり過ぎると、形成される膜が脆くなる
傾向があるため、最適なガラス転移点を有する被覆液を
使用することが望まれる。
【0054】そこで、地域の気象条件等を考慮して被覆
液の最適なガラス転移点を選択したところ、北海道等の
寒冷地域では、被覆液のガラス転移点は、−10〜10
℃程度が好ましく、東京や大阪等の本州中央部では、0
〜20℃程度が好ましく、九州や沖縄等の温暖地域で
は、5〜30℃程度が好ましい。なお、日間変動は、タ
イルに配設した被覆材(樹脂またはゴム)の弾性変形に
より吸収することが好ましく、モルタルやコンクリート
は多孔質体で、樹脂やゴムがクリープ変形するタイプで
あれば、強い力が継続的に作用した際に、前記モルタル
やコンクリートの気孔の中に樹脂やゴムが入り込むこと
ができ、さらに応力の緩和を行うことができる。
【0055】また、前記被覆液としては、以下に述べる
理由からアルコキシシラン基またはシラノール基を含む
樹脂またはゴムを使用することが望ましい。温度変化や
降雨、結露等によるタイルの寸法変化は、繰り返し的な
寸法変化であるのに対し、タイルの水和膨張、モルタル
及びコンクリートの乾燥収縮やクリープ変形等は、繰り
返さない一方向的な寸法変化である。これらの両寸法変
化に対応するためには、繰り返し的な寸法変化には、被
覆材の弾性変形で、一方的な寸法変化には、モルタルや
コンクリートの気孔の中に、被覆材の一部が入り込ませ
ることが好適である。このためには、樹脂が部分的に架
橋したゴム状の分子構造を有する被覆液を使用すること
が好ましく、この架橋も、ある程度の力が加わった際に
切れて、他の官能基と再び架橋することがさらに好適で
ある。
【0056】シリル基を有する高分子材料には、この性
質があるが、実用上の観点からは、溶剤型の樹脂やゴム
では、アルコキシシラン基を含む形になり、エマルジョ
ン型の樹脂やゴムでは、シラノール基を含む形となる。
例えば、アルコキシシラン基は、脱アルコール反応によ
って、シラノール基となり、そのシラノール基の間で脱
水反応が生じて架橋する。この脱水反応が完結するため
には、120℃程度の温度が必要で、この温度以下で
は、水分が介在した形となっており、長期の応力下で
は、架橋点がずれる性質を有している。ここで、タイル
が張られる部分では、このような高温(120℃)には
ならないため、バックコーティングタイルの製造時に、
120℃以上の温度にしなければ、ある程度の応力が加
わった際に、架橋点のずれが発生し、モルタルやコンク
リートの気孔の中に、入り込むことが可能となる。
【0057】また、前記被覆材は、以下に述べる理由か
ら、その形態がディスパージョンまたはエマルジョンで
あることが望ましい。被覆材は、溶剤型タイプの方が種
々の性能に優れる場合が多いが、耐防火対策等の溶剤対
策を備えた大がかりな塗布設備が必要となる。本発明に
係るバックコーティングタイルに使用される条件であれ
ば、被覆液として安全で、簡便な設備により塗布可能な
水系のものを使用しても、必要な耐久性を付与すること
が可能である。この被覆液の形態としては、均一で良好
な塗膜が得られるディスパージョンまたはエマルジョン
であることが望ましい。また、必要に応じて顔料や染料
等、他の添加材を添加してもよい。
【0058】さらに、前記被覆液の粘度は、以下に述べ
る理由により、20〜2000cpとすることが望まし
い。乾式法により形成したテーパーの比較的小さなあり
溝を有するタイルには、薄い膜厚を有する被覆材を配設
する必要がある。この場合には、タイルの所定位置に被
覆液を厚く塗布することができないため、20〜300
cp程度の低粘度で且つニュートン流動に近い性質を有
する被覆液を使用することが好ましい。小さなあり溝を
有するタイルは、比較的小型で薄いため、被覆材の厚さ
が薄くてもデファレンシャルムーブメントによる応力を
十分に緩和することができる。なお、このようなタイル
には、平均膜厚が5〜20μm程度の被覆材を配設する
ことが好ましい。
【0059】一方、湿式法により形成したテーパーの比
較的大きなあり溝を有するタイルには、比較的厚い膜厚
を有する被覆材を配設する必要がある。この場合には、
この場合には、200〜2000cp程度の高粘度で且
つ若干のチクソ性を有するような被覆液を使用すること
が好ましい。なお、このようなタイルには、平均膜厚が
10〜50μm程度の被覆材を配設することが好まし
い。
【0060】また、前記製造ラインで連続してバックコ
ーティングタイル40の製造を行う場合、先行したタイ
ル1から除去した被覆液21が回転ブラシ23の刷毛に
付着しているため、次のタイルに当該刷毛が最初に当た
る部分には、被覆液21が多く付着する傾向がある。こ
れは、被覆液21の粘度が2000cpを越えた場合に
顕著に現れるため、被覆液21の粘度は、2000cp
以下にすることが好ましい。
【0061】次に、前記表1に示すサンプルNo.6及
びNo.7について、その粘度と、ぶた毛の刷毛による
被覆液除去回数における付着量との関係を、表3に示す
条件で調査した。なお、刷毛とタイルの相対速度は、約
5cm/秒である。この結果を表3に示す。
【0062】
【表3】 なお、表3の添加物とその量において、記号S* は、粘
性調整剤『SNシックナー612(商品名);サンノプ
コ株式会社製』、記号R* は、粘性調整剤『SNレベラ
ーH−904(商品名);サンノプコ株式会社製』を示
し、タイルにおいて、記号Aは、磁器質タイル、記号B
は、せっ器質タイルを示している。
【0063】表3から、被覆液の粘度、タイルに塗布し
た不要な被覆液の除去方法を必要に応じて設定すること
で、タイルの所定位置に、所望の膜厚の被覆材を配設す
ることができることが判る。なお、本実施例では、ベル
トコンベヤ19及び33のベルトとして、複数の細孔が
貫通された布製のベルトを使用したが、これに限らず、
フェルト、メッシュ、ロープ等、あるいは、ガラスクロ
スにPTFEをコーティングした表面に凹凸が形成され
たもの等が使用できる。
【0064】また、本実施例では、回転ブラシ23を1
箇所に設置したが、これに限らず、タイル1の搬送方向
に垂直に複数の回転ブラシを設置してもよい。この場
合、最後にタイル1と接触する回転ブラシは、タイル1
の裏面に軽く当たる程度となるように設置し、刷毛があ
り溝3の内部に入り込まないようにすることが好適であ
る。このようにすることで、タイル1裏面の不要な被覆
液21のみを除去することができ、被覆液21の塗布膜
厚を制御し易くすることができる。また、後の乾燥が速
くなり、ベルトコンベヤ33及び27に落下する被覆液
の量を減少させることができるため、ライン稼動効率を
高めることができる。
【0065】また、回転ブラシ23の刷毛として、ぶた
毛を使用したが、これに限らず、長期間水に濡らした状
態でもこしがあって、タイルに当たった際には変形し、
タイルから外れた際には元の形状に戻る性質を備えた刷
毛であれば、他の種類の刷毛を使用してもよく、また、
刷毛の量も所望により任意に決定してよい。そして、本
実施例では、回転ブラシ23をタイル1の搬送方向と逆
に回転するようにしたが、これに限らず、回転ブラシ2
3は、タイルの搬送速度より速く回転ブラシを回転させ
れば、タイルの搬送方向と同じ方向に回転してもよい。
【0066】そしてまた、本実施例では、回転ブラシ2
3をベルトコンベヤ19とベルトコンベヤ33との間に
配設したが、これに限らず、回転ブラシ23は、余剰被
覆液除去部13であれば、所望により他の位置に配設し
てもよい。また、回転ブラシ23を固定した刷毛に変え
ても同様な除去効果を得ることができる。また、本実施
例では、回転ブラシ23によりタイル1に付着した不要
な被覆液を21除去したが、これに限らず、ベルトコン
ベヤ33に振動を加えて当該不要な被覆液21を除去し
たり、吸引装置によりタイル1に付着している不要な被
覆液21を直接吸引して除去する等、不要な被覆液21
を除去することが可能であれば、他の方法により除去し
てもよく、また、これらを併用してもよい。
【0067】そして、本実施例では、吸引装置24、2
8a及び28bを前述した位置に配設したが、これに限
らず、吸引装置24、28a及び28bは、余剰被覆液
除去部13であれば、所望により他の位置に配設しても
よい。また、本実施例では、水洗槽25内に水26を収
容したが、これに限らず、当該水26に洗浄成分を添加
してもよい。
【0068】さらにまた、本実施例では、水系の被覆液
21を使用したため、水洗槽25内に水26を収容した
が、溶剤系の被覆液を使用した場合には、水洗槽25内
には、溶剤系の被覆液を溶解することが可能な溶剤系洗
浄液を収容することになる。このように、本発明に係る
バックコーティングタイルの製造方法では、被覆液とし
て水系の他、溶剤系の被覆液を使用することもできる
が、この場合は、防火対策等、溶剤対策を行う必要があ
る。
【0069】また、本実施例では、乾燥部14におい
て、予熱ゾーン16及び本加熱ゾーン17を配設した
が、これに限らず、乾燥方法は、所望により決定してよ
い。そして、本実施例では、ベルトコンベヤ38のベル
トとして、ガラスクロスにPTFEをコーティングした
耐熱性ベルトを使用したが、これに限らず、乾燥温度に
耐えることが可能であって、バックコーティングタイル
の乾燥に支障を来すことがないベルトであれば、他のベ
ルトを使用してもよい。
【0070】また、本実施例では、ベルトコンベヤを使
用してタイル1の搬送を行ったが、これに限らず、被覆
液21の塗布・除去・乾燥・硬化に支障を来さない方法
であれば、他の搬送手段を使用してもよい。さらに、本
実施例では、タイル1として、二丁掛タイルを使用した
が、これに限らず、モザイクタイルや小口平タイル等、
他の種類のタイルを使用しても同様の効果を得ることが
できる。
【0071】そして、本実施例は、本発明に係るバック
コーティングタイルの製造方法の一例であり、これに限
るこのではない。
【0072】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係るバッ
クコーティングタイルの製造方法は、タイルの裏面を下
向きにして、該タイルの目地モルタル埋設部の最上部に
対応する位置より下部領域を被覆液に浸漬し、当該タイ
ルの裏面に該被覆液を過剰に塗布した後、前記タイルの
裏面を下向きにした状態で、該タイルの裏面に塗布され
た不要な被覆液を除去し、次いで、タイルの裏面を下向
きにした状態で、タイルの裏面に残留した被覆液を乾燥
・硬化するため、前記タイルのあり溝形状を損なうこと
なく、該タイルの所望領域に所望膜厚を有する被覆液を
むらなく簡単に塗布することができる。従って、タイル
の所望領域に所望膜厚を有する被覆材を連続して簡単に
配設することができ、製造ラインを自動化することがで
きる。この結果、バックコーティングタイルの生産性を
向上することができる。
【0073】そして、水系の被覆液を使用しても、タイ
ルの被覆材として必要な耐久性や応力吸収性等を十分に
付与することができる結果、有機溶剤の使用を無くすこ
とができる。この結果、ラインの設備を簡略化すること
ができると共に、材料コストの低下を図ることができ、
バックコーティングタイルの製造コストを低下すること
ができる。
【0074】また、前記タイルを、表面に複数の凹凸が
形成されたベルトまたは、複数の細孔が貫通されたベル
トを備えたベルトコンベヤ、または複数のロープからな
るベルトコンベヤを用いて搬送し、前記被覆液の塗布を
行うことで、前記効果に加え、タイルの裏面に被覆液を
一層回り込み易くすることができると共に、当該タイル
から落下した被覆液を簡単に取り除くことができ、不要
な被覆液が再びタイルに付着することを防止することが
できる。
【0075】そして、前記被覆液槽に収容した被覆液の
液面の高さを調整することで、被覆液の液面が常にタイ
ルの所望位置にくるようにすることができる結果、前記
効果に加え、タイルの種類等により、タイルの側面に位
置する被覆材の高さが異なっても、該高さに簡単に対応
することができる。また、前記タイルの裏面が下向きの
状態で該タイルを傾斜させて該タイルの裏面に塗布され
た不要な被覆液を除去することで、当該不要な被覆液を
より効果的に除去することができる。そして、その後、
前記タイルの裏面を水平な下向きにし、さらに不要な被
覆液を除去することで、重力の作用によりタイルの下方
側に集まっていた不要な被覆液を効率よく除去すること
ができる。
【0076】そしてまた、前記タイルの裏面に過剰に塗
布された被覆液を、刷毛を用いて除去することで、不要
な被覆液をより効率よく除去することができると共に、
タイルの裏面に巻き込んだ空気により発生した泡を取り
除くことができ、さらにむらのない塗布を行うことがで
きる。さらに、前記タイルに振動を与えながらタイルの
裏面に過剰に塗布された被覆液を除去することで、不要
な被覆材をより効率よく除去することができる。
【0077】さらにまた、前記ベルトに付着した被覆液
を吸引除去することで、一旦ベルトに落下した不要な被
覆材が、再びタイルに付着することをより一層防止する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係るバックコーティングタ
イルの製造ラインを示す図である。
【図2】図1に示す製造ラインで得たバックコーティン
グタイルの断面図である。
【図3】図2の部分拡大図である。
【図4】従来のバックコーティングタイルのあり溝付近
を示す拡大断面図である。
【図5】従来のバックコーティングタイルのあり溝付近
を示す拡大断面図である。
【図6】従来のバックコーティングタイルのあり溝付近
を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
1 タイル 2 被覆材 3 あり溝 4 天井部 5 開口部 6 目地モルタル 7 張り付けモルタル 11 導入部 12 浸漬塗布部 13 余剰被覆液除去部 14 乾燥部 15 搬出部 19 ベルトコンベヤ 20 被覆液槽 21 被覆液 23 回転ブラシ 24 吸引装置 25 水洗槽 26 水 27 ベルトコンベヤ 28a 吸引装置 28b 吸引装置 29 乾燥機 33 ベルトコンベヤ 40 バックコーティングタイル

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 裏足があり足形状であるタイルの目地モ
    ルタル埋設部の最上部に対応する位置より下部領域に、
    樹脂またはゴムを主成分とする被覆液を塗布するバック
    コーティングタイルの製造方法において、 前記被覆液が収容された被覆液槽に、前記タイルを該タ
    イルの裏面を下向きにして装入し、当該被覆液に、当該
    タイルの目地モルタル埋設部の最上部に対応する位置よ
    り下部領域を浸漬して当該タイルの裏面に該被覆液を過
    剰に塗布する工程と、前記タイルの裏面を下向きにした
    状態で、該タイルの裏面に塗布された不要な被覆液を除
    去する工程と、前記不要な被覆液を除去した後、タイル
    の裏面を下向きにした状態で、タイルの裏面に残留した
    被覆液を乾燥・硬化する工程と、を含むことを特徴とす
    るバックコーティングタイルの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記タイルを、表面に複数の凹凸が形成
    されたベルトまたは複数の細孔が貫通されたベルトまた
    は複数のロープを備えたベルトコンベヤを用いて搬送
    し、前記被覆液の塗布及び不要な被覆液の除去及び乾燥
    ・硬化を行うことを特徴とする請求項1記載のバックコ
    ーティングタイルの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記被覆液槽に収容した被覆液の液面の
    高さを調整することを特徴とする請求項1または請求項
    2に記載のバックコーティングタイルの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記タイルの裏面が下向きの状態で該タ
    イルを傾斜させてタイルの裏面に塗布された不要な被覆
    液を除去した後、当該タイルの裏面を水平な下向きにし
    て不要な被覆液を除去することを特徴とする請求項1な
    いし請求項3のいずれか一項に記載のバックコーティン
    グタイルの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記タイルの裏面に過剰に塗布された被
    覆液を、刷毛を用いて除去することを特徴とする請求項
    1ないし請求項4のいずれか一項に記載のバックコーテ
    ィングタイルの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記タイルに振動を与えながらタイルの
    裏面に過剰に塗布された被覆液を除去することを特徴と
    する請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載のバ
    ックコーティングタイルの製造方法。
  7. 【請求項7】 前記ベルトに付着した被覆液を吸引除去
    することを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれ
    か一項に記載のバックコーティングタイルの製造方法。
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