JPH06297187A - 高耐食ステンレス鋼溶接用フラックス入りワイヤ - Google Patents
高耐食ステンレス鋼溶接用フラックス入りワイヤInfo
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- JPH06297187A JPH06297187A JP10881093A JP10881093A JPH06297187A JP H06297187 A JPH06297187 A JP H06297187A JP 10881093 A JP10881093 A JP 10881093A JP 10881093 A JP10881093 A JP 10881093A JP H06297187 A JPH06297187 A JP H06297187A
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- welding
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 Ｍｏ，Ｃｕ，Ｎ等を添加したオーステナイト
系高耐食ステンレス鋼の溶接において、高濃度の硫酸環
境下でも優れた耐食性を有する高品質の溶接部を高能率
に得るフラックス入りワイヤを提供する。 【構成】 ステンレス鋼製外皮にフラックスを充填して
なるフラックス入りワイヤにおいて、Ｃを０．０２５％
以下とし、Ｃｒ，Ｎｉ，Ｍｏ，Ｃｕ，Ｎをそれぞれ規定
量含有し、かつＮｉ，Ｍｏ，Ｃｕ，Ｃｒをこれら元素の
重量％による含有量としたとき、３．９０×Ｎｉ＋５．
０６×Ｍｏ＋１３．０４×Ｃｕ−１．０１×Ｃｒを７０
以上に調整する。
系高耐食ステンレス鋼の溶接において、高濃度の硫酸環
境下でも優れた耐食性を有する高品質の溶接部を高能率
に得るフラックス入りワイヤを提供する。 【構成】 ステンレス鋼製外皮にフラックスを充填して
なるフラックス入りワイヤにおいて、Ｃを０．０２５％
以下とし、Ｃｒ，Ｎｉ，Ｍｏ，Ｃｕ，Ｎをそれぞれ規定
量含有し、かつＮｉ，Ｍｏ，Ｃｕ，Ｃｒをこれら元素の
重量％による含有量としたとき、３．９０×Ｎｉ＋５．
０６×Ｍｏ＋１３．０４×Ｃｕ−１．０１×Ｃｒを７０
以上に調整する。
Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、オーステナイト系ステ
ンレス鋼をベースにＭｏ，Ｃｕ，Ｎ等を添加した高耐食
ステンレス鋼を溶接するに当たり、母材と同等に耐食性
の優れた溶接金属を得ることのできる、高耐食ステンレ
ス鋼溶接用フラックス入りワイヤに関するものである。
ンレス鋼をベースにＭｏ，Ｃｕ，Ｎ等を添加した高耐食
ステンレス鋼を溶接するに当たり、母材と同等に耐食性
の優れた溶接金属を得ることのできる、高耐食ステンレ
ス鋼溶接用フラックス入りワイヤに関するものである。
【０００２】
【従来の技術】従来、耐食性の要求される環境で使用す
るオーステナイト系ステンレス鋼は、ＪＩＳに規定され
ているＳＵＳ３０４が一般的であるが、更に非酸化性酸
に対する耐食性の向上を目的にＮｉを増量し、Ｍｏを添
加したＳＵＳ３１６，ＳＵＳ３１７、耐粒界腐食に対し
てはＣを減少したＳＵＳ３０４Ｌ，ＳＵＳ３１６Ｌ，Ｓ
ＵＳ３１７Ｌ、又、Ｔｉ又はＮｂを添加したＳＵＳ３２
１，ＳＵＳ３４７等があり使用環境に応じて選択されて
いる。
るオーステナイト系ステンレス鋼は、ＪＩＳに規定され
ているＳＵＳ３０４が一般的であるが、更に非酸化性酸
に対する耐食性の向上を目的にＮｉを増量し、Ｍｏを添
加したＳＵＳ３１６，ＳＵＳ３１７、耐粒界腐食に対し
てはＣを減少したＳＵＳ３０４Ｌ，ＳＵＳ３１６Ｌ，Ｓ
ＵＳ３１７Ｌ、又、Ｔｉ又はＮｂを添加したＳＵＳ３２
１，ＳＵＳ３４７等があり使用環境に応じて選択されて
いる。
【０００３】これらステンレス鋼種のフラックス入りワ
イヤによる溶接には、特開昭５８−２０５６９６号公
報、特開昭６２−６８６９６号公報に開示されている様
な３０８，３１６，３０８Ｌ，３１６Ｌ系のオーステナ
イト系ステンレス鋼用フラックス入りワイヤが用いられ
ている。
イヤによる溶接には、特開昭５８−２０５６９６号公
報、特開昭６２−６８６９６号公報に開示されている様
な３０８，３１６，３０８Ｌ，３１６Ｌ系のオーステナ
イト系ステンレス鋼用フラックス入りワイヤが用いられ
ている。
【０００４】ところで近年、Ｎ添加などの製鋼技術と圧
延技術の進歩により、高Ｍｏ化し耐孔食性、耐隙間腐食
性に優れ、更に硫酸環境下の耐食性向上のためＣｕを添
加した高耐食ステンレス鋼が開発されてきている。この
様な成分系のステンレス鋼種の溶接材料として、特開平
１−９５８９５号公報のティグ及びプラズマ溶接用線
材、特開平３−８６３９２号公報のフラックス入りワイ
ヤが提案されているが、硫酸濃度の高い環境下では不十
分であった。そこで、溶接作業能率が高く高濃度の硫酸
環境下でも母材と同等の耐食性を確保できる高耐食ステ
ンレス鋼溶接用フラックス入りワイヤが強く要望されて
いた。
延技術の進歩により、高Ｍｏ化し耐孔食性、耐隙間腐食
性に優れ、更に硫酸環境下の耐食性向上のためＣｕを添
加した高耐食ステンレス鋼が開発されてきている。この
様な成分系のステンレス鋼種の溶接材料として、特開平
１−９５８９５号公報のティグ及びプラズマ溶接用線
材、特開平３−８６３９２号公報のフラックス入りワイ
ヤが提案されているが、硫酸濃度の高い環境下では不十
分であった。そこで、溶接作業能率が高く高濃度の硫酸
環境下でも母材と同等の耐食性を確保できる高耐食ステ
ンレス鋼溶接用フラックス入りワイヤが強く要望されて
いた。
【０００５】
【発明が解決しようとする手段】本発明は以上の様な問
題点を解決すべくなされたものであって、その目的とす
るところは、オーステナイト系ステンレス鋼をベースに
Ｍｏ，Ｃｕ，Ｎ等を添加した高耐食ステンレス鋼の溶接
において、高濃度の硫酸環境下でも優れた耐食性を有す
る高品質の溶接部を高能率に得ることを可能とする高耐
食ステンレス鋼溶接用フラックス入りワイヤの提供にあ
る。
題点を解決すべくなされたものであって、その目的とす
るところは、オーステナイト系ステンレス鋼をベースに
Ｍｏ，Ｃｕ，Ｎ等を添加した高耐食ステンレス鋼の溶接
において、高濃度の硫酸環境下でも優れた耐食性を有す
る高品質の溶接部を高能率に得ることを可能とする高耐
食ステンレス鋼溶接用フラックス入りワイヤの提供にあ
る。
【０００６】
【課題を解決するための手段】本発明は前記課題を解決
するものであって、ステンレス鋼製外皮にフラックスを
充填してなるフラックス入りワイヤにおいて、重量％
で、Ｃ ：０．０２５％以下、Ｃｒ：１８．６〜２８．
９％、Ｎｉ：１２．７〜２７．３％、Ｍｏ：２．４〜
６．７％、Ｃｕ：０．８〜２．４％、Ｎ：０．０５〜
０．３０％を含有し、残部がステンレス鋼に通常含有す
る他の成分とフラックス中に通常含有する他の成分から
なり、かつＮｉ，Ｍｏ，Ｃｕ，Ｃｒをこれら元素の重量
％による含有量としたとき、３．９０×Ｎｉ＋５．０６
×Ｍｏ＋１３．０４×Ｃｕ−１．０１×Ｃｒが７０以上
に調整されたことを特徴とする高耐食ステンレス鋼溶接
用フラックス入りワイヤである。
するものであって、ステンレス鋼製外皮にフラックスを
充填してなるフラックス入りワイヤにおいて、重量％
で、Ｃ ：０．０２５％以下、Ｃｒ：１８．６〜２８．
９％、Ｎｉ：１２．７〜２７．３％、Ｍｏ：２．４〜
６．７％、Ｃｕ：０．８〜２．４％、Ｎ：０．０５〜
０．３０％を含有し、残部がステンレス鋼に通常含有す
る他の成分とフラックス中に通常含有する他の成分から
なり、かつＮｉ，Ｍｏ，Ｃｕ，Ｃｒをこれら元素の重量
％による含有量としたとき、３．９０×Ｎｉ＋５．０６
×Ｍｏ＋１３．０４×Ｃｕ−１．０１×Ｃｒが７０以上
に調整されたことを特徴とする高耐食ステンレス鋼溶接
用フラックス入りワイヤである。
【０００７】
【作用】本発明者等は、オーステナイト系ステンレス鋼
をベースにＭｏ，Ｃｕ，Ｎ等を添加した高耐食ステンレ
ス鋼を溶接するにあたって、高濃度の硫酸環境下でも母
材と同等の耐食性を有する溶接部が得られ且つ高能率な
溶接方法を見いだすことを目的として鋭意検討した。そ
の結果、Ｃ含有量を低く抑え、Ｃｒ，Ｎｉ，Ｍｏ，Ｃｕ
及びＮ含有量をそれぞれ適量範囲に制御し、かつＣｒ，
Ｎｉ，Ｍｏ及びＣｕ含有量を適量範囲に組み合わせるこ
とによって母材と同等の耐食性を得られることが明らか
となった。
をベースにＭｏ，Ｃｕ，Ｎ等を添加した高耐食ステンレ
ス鋼を溶接するにあたって、高濃度の硫酸環境下でも母
材と同等の耐食性を有する溶接部が得られ且つ高能率な
溶接方法を見いだすことを目的として鋭意検討した。そ
の結果、Ｃ含有量を低く抑え、Ｃｒ，Ｎｉ，Ｍｏ，Ｃｕ
及びＮ含有量をそれぞれ適量範囲に制御し、かつＣｒ，
Ｎｉ，Ｍｏ及びＣｕ含有量を適量範囲に組み合わせるこ
とによって母材と同等の耐食性を得られることが明らか
となった。
【０００８】すなわち本発明においては、重量％でＣ：
０．０２５％以下、Ｃｒ：１８．６〜２８．９％，Ｎ
ｉ：１２．７〜２７．３％，Ｍｏ：２．４〜６．７％，
Ｃｕ：０．８〜２．４％，Ｎ：０．０５〜０．３０％を
含有し、残部がステンレス鋼に通常含有するその他成分
とフラックス中に通常含有するその他成分からなり、か
つＮｉ，Ｍｏ，Ｃｕ，Ｃｒをこれら元素の重量％による
含有量としたとき、３．９０×Ｎｉ＋５．０６×Ｍｏ＋
１３．０４×Ｃｕ−１．０１×Ｃｒを７０以上とする。
ここでワイヤ外皮金属中の各成分の重量％をＭｃ、充填
フラックス中の各成分の重量％をＭｆ、ワイヤ中の充填
フラックスの割合（重量比）をＲとした場合、次式より
算出した組成が上記成分範囲（Ｍｗ）にあることを意味
している。 Ｍｗ＝（１−Ｒ）×Ｍｃ＋Ｒ×Ｍｆ
０．０２５％以下、Ｃｒ：１８．６〜２８．９％，Ｎ
ｉ：１２．７〜２７．３％，Ｍｏ：２．４〜６．７％，
Ｃｕ：０．８〜２．４％，Ｎ：０．０５〜０．３０％を
含有し、残部がステンレス鋼に通常含有するその他成分
とフラックス中に通常含有するその他成分からなり、か
つＮｉ，Ｍｏ，Ｃｕ，Ｃｒをこれら元素の重量％による
含有量としたとき、３．９０×Ｎｉ＋５．０６×Ｍｏ＋
１３．０４×Ｃｕ−１．０１×Ｃｒを７０以上とする。
ここでワイヤ外皮金属中の各成分の重量％をＭｃ、充填
フラックス中の各成分の重量％をＭｆ、ワイヤ中の充填
フラックスの割合（重量比）をＲとした場合、次式より
算出した組成が上記成分範囲（Ｍｗ）にあることを意味
している。 Ｍｗ＝（１−Ｒ）×Ｍｃ＋Ｒ×Ｍｆ
【０００９】この場合、好ましくはワイヤ外皮金属は重
量％で、Ｃ：０．０２％以下、Ｃｒ：１６．０〜２２．
０％，Ｎｉ：１２．０〜２２．０％，Ｍｏ：２．０〜
８．０％，Ｃｕ：０．１〜３．０％，Ｎ：０．０１〜
０．０３％残部がその他、ステンレス鋼に通常含有する
成分を含有するものであり、ワイヤ中の充填フラックス
の割合（重量比）は０．１５〜０．３０であり、充填フ
ラックス中にはＳｉＯ2 ，ＴｉＯ2 ，ＺｒＯ2 ，Ａｌ2
Ｏ3 ，ＭｇＯ等の酸化物によって主成分が構成されるス
ラグ剤をワイヤ全重量に対し４．５〜９．５％含有する
ことが好ましく、残部がその他通常的に含有する成分を
含有している。
量％で、Ｃ：０．０２％以下、Ｃｒ：１６．０〜２２．
０％，Ｎｉ：１２．０〜２２．０％，Ｍｏ：２．０〜
８．０％，Ｃｕ：０．１〜３．０％，Ｎ：０．０１〜
０．０３％残部がその他、ステンレス鋼に通常含有する
成分を含有するものであり、ワイヤ中の充填フラックス
の割合（重量比）は０．１５〜０．３０であり、充填フ
ラックス中にはＳｉＯ2 ，ＴｉＯ2 ，ＺｒＯ2 ，Ａｌ2
Ｏ3 ，ＭｇＯ等の酸化物によって主成分が構成されるス
ラグ剤をワイヤ全重量に対し４．５〜９．５％含有する
ことが好ましく、残部がその他通常的に含有する成分を
含有している。
【００１０】ところで本発明の高耐食ステンレス鋼溶接
用フラックス入りワイヤとは図１（ａ）〜（ｄ）にその
例を示すような断面形状のワイヤで、パイプあるいは帯
鋼から成る外皮１によって充填フラックス２を被包した
ものであり同図（ｂ）〜（ｄ）の如く継目３を有するも
の、あるいは同図（ａ）に示すような継目のないもので
もよい。
用フラックス入りワイヤとは図１（ａ）〜（ｄ）にその
例を示すような断面形状のワイヤで、パイプあるいは帯
鋼から成る外皮１によって充填フラックス２を被包した
ものであり同図（ｂ）〜（ｄ）の如く継目３を有するも
の、あるいは同図（ａ）に示すような継目のないもので
もよい。
【００１１】次に本発明の根幹とも言える各成分につい
て説明するならば、ＣはＣｒ炭化物として析出すると粒
界腐食、孔食感受性が急激に増大するため、低く抑制す
る必要がある。
て説明するならば、ＣはＣｒ炭化物として析出すると粒
界腐食、孔食感受性が急激に増大するため、低く抑制す
る必要がある。
【００１２】Ｃｒは不働態を形成し、酸化性酸に対して
有効である。
有効である。
【００１３】Ｎｉはオーステナイト相を安定化し、中性
塩化物溶液や非酸化性酸による腐食に対して顕著な抵抗
性を与え、かつ不働態をさらに強化する。
塩化物溶液や非酸化性酸による腐食に対して顕著な抵抗
性を与え、かつ不働態をさらに強化する。
【００１４】Ｍｏは不働態を非常に安定化して耐食性を
向上させ、塩化物溶液中における耐孔食性を改善する。
向上させ、塩化物溶液中における耐孔食性を改善する。
【００１５】Ｃｕは非酸化性酸に対する耐食性を増し、
孔食感受性も減少させる。
孔食感受性も減少させる。
【００１６】Ｎは強力なオーステナイト生成元素であ
り、耐孔食性を向上させる。
り、耐孔食性を向上させる。
【００１７】以下に本発明の成分限定理由について述べ
る。Ｃは溶接部の耐食性に有害であり低く抑制する必要
があり、０．０２５％を超えると耐食性を大幅に劣化さ
せるため、０．０２５％以下とした。
る。Ｃは溶接部の耐食性に有害であり低く抑制する必要
があり、０．０２５％を超えると耐食性を大幅に劣化さ
せるため、０．０２５％以下とした。
【００１８】Ｃｒは硫酸を含む環境など高い耐食性の要
求される環境ではＮｉ，Ｍｏ，Ｃｕ，Ｎと共存の形でも
１８．６％以上必要であり、多いほど耐食性、耐酸化性
は向上するが２８．９％を超えるとその耐食性は飽和
し、かつ経済的にも高価になるため１８．６〜２８．９
％とした。
求される環境ではＮｉ，Ｍｏ，Ｃｕ，Ｎと共存の形でも
１８．６％以上必要であり、多いほど耐食性、耐酸化性
は向上するが２８．９％を超えるとその耐食性は飽和
し、かつ経済的にも高価になるため１８．６〜２８．９
％とした。
【００１９】ＮｉはＣｒ，Ｍｏ，Ｃｕ，Ｎと共存して用
いられ、耐食性、耐酸化性を向上させ、かつオーステナ
イト相を安定化するために１２．７％以上必要である
が、２７．３％を超えると耐食性は飽和し経済的にも高
価となるため１２．７〜２７．３％とした。
いられ、耐食性、耐酸化性を向上させ、かつオーステナ
イト相を安定化するために１２．７％以上必要である
が、２７．３％を超えると耐食性は飽和し経済的にも高
価となるため１２．７〜２７．３％とした。
【００２０】ＭｏはＣｒ，Ｎｉ，Ｃｕ，Ｎと共存の形で
高い耐食性を得るために極めて効果的であり、２．４％
未満では耐食性が不十分となるが、６．７％を超えると
有害なб相などの脆化相析出をひきおこし、かつ高価と
なるため２．４〜６．７％とした。
高い耐食性を得るために極めて効果的であり、２．４％
未満では耐食性が不十分となるが、６．７％を超えると
有害なб相などの脆化相析出をひきおこし、かつ高価と
なるため２．４〜６．７％とした。
【００２１】ＣｕはＣｒ，Ｎｉ，Ｍｏ，Ｎと共存の形で
高い耐食性が得られ、特に耐硫酸性の観点から０．８％
以上での共存効果が著しいが、２．４％を超えると耐食
性は飽和するため、０．８〜２．４％とした。
高い耐食性が得られ、特に耐硫酸性の観点から０．８％
以上での共存効果が著しいが、２．４％を超えると耐食
性は飽和するため、０．８〜２．４％とした。
【００２２】ＮはＣｒ，Ｎｉ，Ｍｏ，Ｃｕと共存の形で
高い耐食性を得るために効果的であり、０．０５％以上
で耐隙間腐食性及び強度を向上させ、多いほど耐隙間腐
食性を向上させるが、０．３０％を超えるとその効果が
ほぼ飽和するため、０．０５〜０．３０％とした。
高い耐食性を得るために効果的であり、０．０５％以上
で耐隙間腐食性及び強度を向上させ、多いほど耐隙間腐
食性を向上させるが、０．３０％を超えるとその効果が
ほぼ飽和するため、０．０５〜０．３０％とした。
【００２３】さらに、高濃度の硫酸環境下において上述
のＣｒ，Ｎｉ，Ｍｏ及びＣｕの効果を得、優れた耐食性
を確保するには３．９０×Ｎｉ＋５．０６×Ｍｏ＋１
３．０４×Ｃｕ−１．０１×Ｃｒの組み合わせで７０未
満ではその効果が得られないため、７０以上とした。
のＣｒ，Ｎｉ，Ｍｏ及びＣｕの効果を得、優れた耐食性
を確保するには３．９０×Ｎｉ＋５．０６×Ｍｏ＋１
３．０４×Ｃｕ−１．０１×Ｃｒの組み合わせで７０未
満ではその効果が得られないため、７０以上とした。
【００２４】ここで本発明のステンレス鋼溶接用フラッ
クス入りワイヤの製造手段について言及すると、たとえ
ば外皮を帯鋼より管状に成形する場合には、配合、攪拌
した充填フラックスをＵ形に成形した溝に満した後丸形
に成形し、所定のワイヤ径まで伸線し、必要に応じて１
００〜５００℃で３０分以上乾燥するものである。
クス入りワイヤの製造手段について言及すると、たとえ
ば外皮を帯鋼より管状に成形する場合には、配合、攪拌
した充填フラックスをＵ形に成形した溝に満した後丸形
に成形し、所定のワイヤ径まで伸線し、必要に応じて１
００〜５００℃で３０分以上乾燥するものである。
【００２５】また外皮がパイプの場合は、フラックスの
充填は充填フラックス及びパイプを振動させて充填する
が、充填フラックスを混合、攪拌したままの粉末で充填
すると、充填がスムーズに行われず、不均一になった
り、途中でつまって充填不可能になり、均一な充填がむ
ずかしいが、充填フラックスを珪酸ソーダや珪酸カリの
水ガラスで湿式混合し、粒状にすることによって充填フ
ラックスの流動性が良くなり、充填がスムーズに行われ
均一な充填ができる。珪酸ソーダや珪酸カリの水ガラス
の添加量は、本発明のフラックス組成の場合フラックス
１００ｋｇに対して３〜１５リットル程度で十分であ
る。充填を行った後所定のワイヤ径まで伸線する。
充填は充填フラックス及びパイプを振動させて充填する
が、充填フラックスを混合、攪拌したままの粉末で充填
すると、充填がスムーズに行われず、不均一になった
り、途中でつまって充填不可能になり、均一な充填がむ
ずかしいが、充填フラックスを珪酸ソーダや珪酸カリの
水ガラスで湿式混合し、粒状にすることによって充填フ
ラックスの流動性が良くなり、充填がスムーズに行われ
均一な充填ができる。珪酸ソーダや珪酸カリの水ガラス
の添加量は、本発明のフラックス組成の場合フラックス
１００ｋｇに対して３〜１５リットル程度で十分であ
る。充填を行った後所定のワイヤ径まで伸線する。
【００２６】
【実施例】以下に実施例により本発明の効果を具体的に
説明する。表１に示した高耐食ステンレス鋼（特定成分
のみ記載）を供試材とした。これらの高耐食ステンレス
鋼はいずれも、厚さ９ｍｍである。
説明する。表１に示した高耐食ステンレス鋼（特定成分
のみ記載）を供試材とした。これらの高耐食ステンレス
鋼はいずれも、厚さ９ｍｍである。
【００２７】
【表１】
【００２８】
【表２】
【００２９】表２に供試したフラックス入りワイヤの組
成（特定成分のみ記載）を示す。これらの内記号ｍはＣ
が０．０２５％を超え、Ｃｒが１８．６％未満で本発明
外のものである。また記号ｎはＭｏが２．４％未満で本
発明外のものである。また記号ｏはＮｉが１２．７％未
満で本発明外のものである。また記号ｐはＣｒが１８．
６％未満で本発明外のものである。また記号ｑはＣｕが
０．８％未満で本発明外のものである。また記号ｒは
３．９０×Ｎｉ＋５．０６×Ｍｏ＋１３．０４×Ｃｕ−
１．０１×Ｃｒが７０未満で本発明外のものである。ま
たｓはＮが０．０５％未満で本発明外のものである。
成（特定成分のみ記載）を示す。これらの内記号ｍはＣ
が０．０２５％を超え、Ｃｒが１８．６％未満で本発明
外のものである。また記号ｎはＭｏが２．４％未満で本
発明外のものである。また記号ｏはＮｉが１２．７％未
満で本発明外のものである。また記号ｐはＣｒが１８．
６％未満で本発明外のものである。また記号ｑはＣｕが
０．８％未満で本発明外のものである。また記号ｒは
３．９０×Ｎｉ＋５．０６×Ｍｏ＋１３．０４×Ｃｕ−
１．０１×Ｃｒが７０未満で本発明外のものである。ま
たｓはＮが０．０５％未満で本発明外のものである。
【００３０】また記号ｔはＣｒが１８．６％未満、Ｎｉ
が１２．７％未満で本発明外のものである。また記号ｕ
はＭｏが２．４％未満、Ｃｕが０．８％未満で本発明外
のものである。また記号ｖ及びｘはＣｒが１８．６％未
満、Ｎｉが１２．７％未満、Ｍｏが２．４％未満、Ｃｕ
が０．８％未満、Ｎが０．０５％未満で、且つ３．９０
×Ｎｉ＋５．０６×Ｍｏ＋１３．０４×Ｃｕ−１．０１
×Ｃｒが７０未満で本発明外のものである。また記号ｗ
はＣｕが０．８％未満で、且つ３．９０×Ｎｉ＋５．０
６×Ｍｏ＋１３．０４×Ｃｕ−１．０１×Ｃｒが７０未
満で本発明外のものである。
が１２．７％未満で本発明外のものである。また記号ｕ
はＭｏが２．４％未満、Ｃｕが０．８％未満で本発明外
のものである。また記号ｖ及びｘはＣｒが１８．６％未
満、Ｎｉが１２．７％未満、Ｍｏが２．４％未満、Ｃｕ
が０．８％未満、Ｎが０．０５％未満で、且つ３．９０
×Ｎｉ＋５．０６×Ｍｏ＋１３．０４×Ｃｕ−１．０１
×Ｃｒが７０未満で本発明外のものである。また記号ｗ
はＣｕが０．８％未満で、且つ３．９０×Ｎｉ＋５．０
６×Ｍｏ＋１３．０４×Ｃｕ−１．０１×Ｃｒが７０未
満で本発明外のものである。
【００３１】
【表３】
【００３２】表３にこれら供試材と溶接材料との組み合
わせによる溶接試験結果を示す。ワイヤ径１．２ｍｍの
フラックス入りワイヤにより溶接電流１５０〜２００
Ａ、溶接電圧２３〜３１Ｖ、溶接速度３０〜４０ｃｍ／
ｍｉｎ，ＣＯ2 シールドガス流量２０リットル／ｍｉ
ｎ、下向姿勢で図２に示す開先形状の試験板に３層（６
パス）積層溶接した。図２において、板厚Ｔ＝９ｍｍ、
裏当金の板厚ｔ＝６ｍｍ、開先角度θ＝４５°、ルート
ギャップｇ＝１２ｍｍとした。
わせによる溶接試験結果を示す。ワイヤ径１．２ｍｍの
フラックス入りワイヤにより溶接電流１５０〜２００
Ａ、溶接電圧２３〜３１Ｖ、溶接速度３０〜４０ｃｍ／
ｍｉｎ，ＣＯ2 シールドガス流量２０リットル／ｍｉ
ｎ、下向姿勢で図２に示す開先形状の試験板に３層（６
パス）積層溶接した。図２において、板厚Ｔ＝９ｍｍ、
裏当金の板厚ｔ＝６ｍｍ、開先角度θ＝４５°、ルート
ギャップｇ＝１２ｍｍとした。
【００３３】腐食試験片は図３の要領で、母材表面から
試験片厚さ中央の距離Ｓ＝２．５ｍｍで、厚さ５ｍｍ、
幅１０ｍｍ、長さ３０ｍｍのものを採取し、５０％Ｈ2
ＳＯ4 ＋０．１％Ｃ１- ＋０．１％Ｆｅ3+、８０℃中で
６時間の腐食試験を行い耐食性を評価した。
試験片厚さ中央の距離Ｓ＝２．５ｍｍで、厚さ５ｍｍ、
幅１０ｍｍ、長さ３０ｍｍのものを採取し、５０％Ｈ2
ＳＯ4 ＋０．１％Ｃ１- ＋０．１％Ｆｅ3+、８０℃中で
６時間の腐食試験を行い耐食性を評価した。
【００３４】その結果、試験Ｎｏ．１４，１５，１６，
１７，１８，１９，２０，２１，２２，２３，２４及び
２５で耐食性の劣化が認められた。これに対し本発明の
試験Ｎｏ．２，３，４，５，６，７，８，９，１０，１
１，１２及び１３は、試験Ｎｏ．１に示す母材例と同等
に良好な耐食性を示した。
１７，１８，１９，２０，２１，２２，２３，２４及び
２５で耐食性の劣化が認められた。これに対し本発明の
試験Ｎｏ．２，３，４，５，６，７，８，９，１０，１
１，１２及び１３は、試験Ｎｏ．１に示す母材例と同等
に良好な耐食性を示した。
【００３５】
【発明の効果】以上のように本発明フラックス入りワイ
ヤは、オーステナイト系ステンレス鋼をベースにＭｏ，
Ｃｕ，Ｎ等を添加した高耐食ステンレス鋼の溶接におい
て、母材と同等に耐食性の優れた溶接金属を、経済的且
つ高能率に得ることを可能にしたもので、排煙脱硫装置
や廃液処理装置など優れた耐硫酸性が要求される構造物
の健全性と経済性を大きく向上させるものである。
ヤは、オーステナイト系ステンレス鋼をベースにＭｏ，
Ｃｕ，Ｎ等を添加した高耐食ステンレス鋼の溶接におい
て、母材と同等に耐食性の優れた溶接金属を、経済的且
つ高能率に得ることを可能にしたもので、排煙脱硫装置
や廃液処理装置など優れた耐硫酸性が要求される構造物
の健全性と経済性を大きく向上させるものである。
【図面の簡単な説明】
【図１】（ａ），（ｂ），（ｃ），（ｄ）は各種フラッ
クス入りワイヤの断面形状を示す模式図
クス入りワイヤの断面形状を示す模式図
【図２】溶接部の腐食試験用試験板の開先形状を示す断
面図
面図
【図３】溶接部の腐食試験片採取要領を示す断面図
１ 外皮 ２ 充填フラックス ３ 継目 θ 開先角度 Ｔ 板厚 ｔ 裏当金の板厚 ｇ ルートギャップ Ｓ 母材表面から腐食試験片までの距離
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石坪 紀久雄 千葉県富津市新富20−１ 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内
Claims (1)
- 【請求項１】 ステンレス鋼製外皮にフラックスを充填
してなるフラックス入りワイヤにおいて、重量％で、 Ｃ ：０．０２５％以下 Ｃｒ：１８．６〜２８．９％ Ｎｉ：１２．７〜２７．３％ Ｍｏ：２．４〜６．７％ Ｃｕ：０．８〜２．４％ Ｎ ：０．０５〜０．３０％ を含有し、残部がステンレス鋼に通常含有する他の成分
とフラックス中に通常含有する他の成分からなり、かつ
Ｎｉ，Ｍｏ，Ｃｕ，Ｃｒをこれら元素の重量％による含
有量としたとき、 ３．９０×Ｎｉ＋５．０６×Ｍｏ＋１３．０４×Ｃｕ−
１．０１×Ｃｒ が７０以上に調整されたことを特徴とする高耐食ステン
レス鋼溶接用フラックス入りワイヤ。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP10881093A JPH06297187A (ja) | 1993-04-13 | 1993-04-13 | 高耐食ステンレス鋼溶接用フラックス入りワイヤ |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP10881093A JPH06297187A (ja) | 1993-04-13 | 1993-04-13 | 高耐食ステンレス鋼溶接用フラックス入りワイヤ |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH06297187A true JPH06297187A (ja) | 1994-10-25 |
Family
ID=14494073
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP10881093A Pending JPH06297187A (ja) | 1993-04-13 | 1993-04-13 | 高耐食ステンレス鋼溶接用フラックス入りワイヤ |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH06297187A (ja) |
Cited By (5)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO1998010888A1 (fr) * | 1996-09-13 | 1998-03-19 | Sumitomo Metal Industries, Ltd. | Materiau d'apport pour la soudure d'aciers inoxydables |
| US6042782A (en) * | 1996-09-13 | 2000-03-28 | Sumikin Welding Industries Ltd. | Welding material for stainless steels |
| JP2017131900A (ja) * | 2016-01-25 | 2017-08-03 | 株式会社神戸製鋼所 | ステンレス鋼フラックス入りワイヤ |
| CN110524136A (zh) * | 2019-09-05 | 2019-12-03 | 昆山京群焊材科技有限公司 | 一种可热处理的超低温抗裂超高韧性奥氏体不锈钢焊条 |
| CN111136403A (zh) * | 2020-01-03 | 2020-05-12 | 北京工业大学 | 一种高韧性17-4ph沉淀硬化不锈钢金属芯焊丝 |
-
1993
- 1993-04-13 JP JP10881093A patent/JPH06297187A/ja active Pending
Cited By (7)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO1998010888A1 (fr) * | 1996-09-13 | 1998-03-19 | Sumitomo Metal Industries, Ltd. | Materiau d'apport pour la soudure d'aciers inoxydables |
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| CN110524136B (zh) * | 2019-09-05 | 2021-08-06 | 昆山京群焊材科技有限公司 | 一种可热处理的超低温抗裂超高韧性奥氏体不锈钢焊条 |
| CN111136403A (zh) * | 2020-01-03 | 2020-05-12 | 北京工业大学 | 一种高韧性17-4ph沉淀硬化不锈钢金属芯焊丝 |
| CN111136403B (zh) * | 2020-01-03 | 2021-09-24 | 北京工业大学 | 一种高韧性17-4ph沉淀硬化不锈钢金属芯焊丝 |
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