JPH06294372A - 内燃機関の加速制御装置 - Google Patents

内燃機関の加速制御装置

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JPH06294372A
JPH06294372A JP23042493A JP23042493A JPH06294372A JP H06294372 A JPH06294372 A JP H06294372A JP 23042493 A JP23042493 A JP 23042493A JP 23042493 A JP23042493 A JP 23042493A JP H06294372 A JPH06294372 A JP H06294372A
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JP
Japan
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internal combustion
combustion engine
acceleration
engine
hardness
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JP23042493A
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Makoto Fujita
眞 藤田
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Publication date
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  • Electrical Control Of Ignition Timing (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は弾性を有するエンジンマウンティン
グを介して固定される内燃機関の加速制御装置に関し、
エンジンマウンティングの硬度を基に、必要最小限の遅
角量で有効に加速衝撃を防止することを目的とする。 【構成】 内燃機関10はエンジンマウンティング11
〜13を介して車体に固定される。エンジンマウンティ
ング11〜13は車体に固定する本体11a〜13a,
弾性体製のインシュレータ11b〜13b,内燃機関1
0に固定する中心軸11c〜13cからなる。マウント
温センサ14はインシュレータ13bの温度を検出す
る。電子制御装置15はその検出温度からインシュレー
タ13bの硬度を推定し、その硬度に基づいて、加速時
における内燃機関10の揺動が加速衝撃とならない程度
の出力トルクを実現すべく点火時期の遅角制御を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は内燃機関の加速制御装置
に係り、特に弾性を有するエンジンマウンティングを介
して固定される車載用内燃機関の加速初期における出力
トルクを制御する内燃機関の加速制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に内燃機関を車両に搭載する場合、
その固定は弾性を有するエンジンマウンティングを介し
て行われる。内燃機関と車体とを剛に固定すると、内燃
機関の定常運転時に生じる振動が全て車体に伝播し、そ
の結果著しく乗り心地が悪化するからである。
【0003】ところが、弾性を有するエンジンマウンテ
ィングを介して内燃機関を車両に搭載する構成では、車
両に加速度が加わると、慣性の法則に従ってエンジンマ
ウンティングを支点として内燃機関の相対的な位置が変
動する。このため、車両が急加速したような場合には大
きな位置変動が発生して、車体にその衝撃が伝播される
場合が生じる。
【0004】このため、従来より加速初期において内燃
機関に発生する出力トルクを低減させることにより、加
速時における内燃機関の車体に対する相対的な位置変動
を抑制する制御装置が提案されている。ここで、従来の
装置においては内燃機関の出力トルクを低減させる方法
として、特公昭59−704が公知である。
【0005】つまり、この装置によれば、加速時におい
て内燃機関の出力トルクが急激に増加することが予測さ
れた場合、その後所定の間だけ点火時期が所定クランク
角だけ遅角制御される。この結果、加速初期において各
気筒内に発生する燃焼圧力、すなわち内燃機関の出力ト
ルクが低減し、内燃機関の位置変動による衝撃が抑制さ
れていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、エンジンマ
ウンティングを構成する部材は上記したように弾性材で
あることを要する。ここで、弾性体の硬度は一般に温度
特性を有し、高温では低く、また低温では高くなること
が知られている。従って、加速時における内燃機関の位
置変動を抑制して有効に加速衝撃を防止するために要求
される内燃機関の出力トルクの低減量は、エンジンマウ
ンティングの硬度により変動することになる。
【0007】一方、内燃機関の点火時期遅角制御は、意
識的に各気筒内における混合気の燃焼速度を遅らせて、
燃焼圧として外部に取り出されるエネルギを低減させる
制御である。言い換えれば、意識的に混合気を不完全燃
焼させるための制御であり、燃費及び排気エミッション
上の観点からは好ましくない制御である。
【0008】従って、点火時期遅角制御により加速初期
の出力トルクを抑制して加速衝撃を防止する装置におい
ては、必要最小限の遅角量で加速衝撃を適切に防止でき
る構成が要求される。
【0009】しかしながら従来の装置は、エンジンマウ
ンティングの硬度によらずに常に一定の規定に従って点
火時期の遅角量を演算する構成である。従って、上記従
来の装置においては、内燃機関の余熱によりエンジンマ
ウンティングが高温となると加速衝撃を有効に防止でき
なくなる場合が生じ、また環境温度の変化によりエンジ
ンマウンティングが低温である場合は加速衝撃の防止に
対して過剰な遅角制御が実行される場合が生じるという
問題があった。
【0010】本発明は、上述の点に鑑みてなされたもの
であり、エンジンマウンティングの硬度を推定し、その
硬度に基づいて点火時期の遅角量を設定することによ
り、必要最小限の遅角量で有効に加速衝撃を防止する内
燃機関の加速制御装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】図1は、上記の目的を達
成する内燃機関の加速制御装置の原理図を示す。内燃機
関1は、弾性を有するエンジンマウンティング2を介し
て車体に固定される。硬度推定手段3は前記エンジンマ
ウンティング2の硬度を推定して、その推定結果を低減
量算出手段4に供給する。
【0012】低減量算出手段4は、前記硬度推定手段3
から供給される前記エンジンマウンティング2の硬度に
基づいて、前記内燃機関1の加速初期における前記内燃
機関1の揺れを抑制して加速衝撃を防止するために必要
な出力トルクの低減量を算出する。また加速検出手段5
は、前記内燃機関1の運転状態を監視して、該内燃機関
1が加速状態となることを検出する。
【0013】そして、トルク低減手段6は、前記加速検
出手段5が前記内燃機関1の加速開始を検出した場合、
前記低減量算出手段4で算出した出力トルク低減量が実
現されるべく前記内燃機関1を制御する。
【0014】また、該トルク低減手段6が、点火時期を
制御することにより前記内燃機関1の出力トルクを制御
する構成は、簡易かつ高精度な制御の実現に有効であ
る。
【0015】更に、前記トルク低減手段6が、燃料噴射
量を制御することにより前記内燃機関の出力トルクを制
御する構成は、排気温の上昇を伴うことなく所望のトル
ク制御を実現するのに有効である。
【0016】
【作用】本発明に係る内燃機関の加速制御装置におい
て、前記低減量算出手段4は、前記エンジンマウンティ
ング2が高硬度である場合は出力トルクの低減量を小さ
く設定する。従って、前記エンジンマウンティング2が
高硬度であり、出力トルクを大きく低減することなく加
速衝撃を防止することができる場合に、過剰に出力トル
クが抑制されることにより燃費や排気エミッションを不
要に悪化させることがない。
【0017】また、前記エンジンマウンティング2が低
硬度である場合、前記低減量算出手段4においては出力
トルクの低減量が大きく設定される。従って、前記エン
ジンマウンティング2の硬度が低く、前記内燃機関1が
前記エンジンマウンティング2を支点として揺れ易い状
況にある場合には、加速初期において大幅な出力トルク
の低減が行われ、この場合においても加速衝撃が有効に
防止されることとなる。
【0018】ところで内燃機関の出力トルクは、点火時
期によって変動し、最適な点火時期から遅角されるに従
って燃焼効率の悪化により出力トルクが低下する。従っ
て、前記トルク低減手段6が前記内燃機関1の加速初期
において点火時期を遅角すると、その遅角量に応じて出
力トルクは確実に低下する。
【0019】ところが、かかる点火時期の遅角は爆発工
程における燃焼速度の低下を伴い、燃焼過程の高温ガス
が排気ガスとして排出される事態を招く。かかる状況
は、内燃機関の排気通路に設けられる排気ガス浄化装置
たる触媒コンバータにとっては、過熱の原因となり好ま
しくない。
【0020】これに対して前記トルク低減手段6が燃料
噴射量制御によって出力トルクを制御する場合は、排気
ガスが高温化することがなく、何らの弊害を伴うことな
く出力トルクの制御が実現される。
【0021】
【実施例】図2は、本発明に係る内燃機関の加速制御装
置の一実施例の基本構成の概念図を示す。同図(A)に
示すように本実施例の内燃機関10は、右エンジンマウ
ンティング11,リアエンジンマウンティング12及び
左エンジンマウンティング13により車体に固定されて
いる。
【0022】ここで、図2(B),(C),(D)は、
図2(A)中のB,C,D矢視図を示している。これら
各図に示すように、各エンジンマウンティング11〜1
3は、それぞれ本体11a〜13a、本体11a〜13
aの貫通口内に配設された弾性を有するインシュレータ
11b〜13b及び各インシュレータ11b〜13bの
中心付近に位置する中心軸11c〜13cにより構成さ
れる。
【0023】これらのエンジンマウンティング11〜1
3は、その本体11a〜13aを車体に固定し、中心軸
11c〜13cを内燃機関10に固定して用いられる。
従って、内燃機関10は各エンジンマウンティング11
〜13のインシュレータ11b〜13bを介して車体と
連結される構成となる。この結果、内燃機関10が定常
運転時において発生する高周波振動は各インシュレータ
11b〜13bで吸収され、車体への内燃機関10の振
動の伝播が防止されることとなる。
【0024】ところで、本実施例においては、図2
(A)に示すように、左エンジンマウンティング13に
マウント温センサ14が配設されている。このマウント
温センサ14は、インシュレータ13bの温度を検出す
るセンサである。ここで、インシュレータ13bの硬度
は温度特性を有しておりその温度が検出できれば硬度を
推定することができる。つまり、本実施例のマウント温
センサ14は、実質的に前記した硬度推定手段3に相当
している。
【0025】マウント温センサ14の出力端子は、電子
制御装置15に接続されている。電子制御公知15に
は、マウント温センサ14の出力信号と共に後述するよ
うに内燃機関10の制御に用いる各種センサ類からの信
号が供給される。そして、それらの信号を後述のプログ
ラムに沿って処理することにより、前記した低減量算出
手段4,加速検出手段5及びトルク低減手段6を実現す
る。
【0026】図3は、本実施例装置を備える内燃機関及
びその周辺装置の構成を表す断面構成図を示す。
【0027】内燃機関10の、シリンダヘッド21中央
部には点火プラグ22が配設されている。そして、内燃
機関10の燃焼室を構成するシリンダ23の外壁には冷
却水の温度を検出する水温センサ24が設けられてい
る。この水温センサ24は内燃機関冷却水に応じたアナ
ログ信号を出力し、その信号を電子制御装置15に供給
している。
【0028】また内燃機関10の排気孔には排気マニホ
ールド25が連通されている。そして、この排気マニホ
ールド25の下流には、内燃機関10から排出される排
気ガス中の未燃成分や酸化物を浄化して良好な排気エミ
ッションを確保するために設けられた触媒コンバータ2
6が連通している。
【0029】一方、内燃機関10の吸気孔には吸気マニ
ホールド27が連通している。この吸気マニホールド2
7には、内燃機関10に供給される吸入空気の温度を検
出する吸気温センサ28、アクセルペダル(図示せず)
と連動して吸入空気量を調整するスロットルバルブ2
9、スロットルバルブ29が全閉状態のとき、すなわち
内燃機関10がアイドリング状態のときにオン信号を出
力するアイドルスイッチ30、及び吸入空気の脈動を吸
収するサージタンク31が設けられている。ここで、吸
気温センサ28は吸気温に応じた信号を、アイドルスイ
ッチ30はそのオン・オフ信号をそれぞれ電子制御装置
15に出力している。
【0030】サージタンク31にはサージタンク31内
の圧力を測定するため吸気圧センサ32が連結されてい
る。この吸気圧センサ32は、サージタンク31内の圧
力、すなわち吸気マニホールド27中を流れる空気の圧
力に応じた電圧信号を電子制御装置15に供給する。
【0031】尚、サージタンク31内の圧力は吸入空気
量に対応した値を示す。つまり、スロットルバルブ29
の開度が小さく吸入空気量が少ない場合サージタンク3
1内の圧力は強い負圧となり、スロットルバルブ29が
開いて吸入空気量が増加するにつれてサージタンク31
内の圧力は大気圧に近づく。従って、吸気圧センサ32
から出力される電圧信号は、サージタンク31内の圧力
に応じた値であると共に、吸気マニホールド27内を流
れる空気量に対応した値となる。
【0032】符号33は燃料を吸気マニホールド27中
に供給するインジェクタを示す。このインジェクタ33
には周知の燃料系統(図示せず)から所定の圧力で燃料
が供給されている。そして、電子制御装置15から供給
される電気信号に応じて燃料噴射孔を開閉する。この
際、インジェクタ33の燃料噴射孔からは、開孔時間に
応じた燃料が間欠的に噴射され、燃料噴射孔の開閉デュ
ーティ比を変えることにより所定時間毎に噴射される燃
料の量を変更することができる。
【0033】また図3中符号34は、点火に必要な高電
圧を出力するイグナイタを示す。このイグナイタ34
は、電子制御装置15から点火信号が供給されると、そ
のタイミングでディストリビュータ35に高電圧を供給
する。ディストリビュータ35は図示されないクランク
シャフトに連動して、イグナイタ34から供給された高
電圧を各気筒の点火プラグ22に分配する。
【0034】尚、ディストリビュータ35には、クラン
クシャフトが2回転(内燃機関1サイクル)する間に所
定回数のパルス信号を出力し、電子制御装置15に対し
てクランクシャフトの回転角データを供給するクランク
角センサ36と、クランクシャフトが2回転する間に1
回のパルス信号を出力し、点火すべき気筒データを供給
するクランク角センサ37とが設けられている。
【0035】これらのクランク角センサ36,37で発
生するパルス信号は、電子制御装置15に供給される。
また、電子制御装置15には車速に応じたパルス信号を
発する車速センサ38も接続されている。そして、電子
制御装置15は上記した各センサの出力に基づいてイン
ジェクタ33に供給する燃料噴射信号及びイグナイタ3
4に供給する点火時期信号を演算する。
【0036】次に、電子制御装置15の構成を図4に示
す構成図に基づいて説明する。
【0037】図4において、符号41は固定データ及び
各種プログラムが格納されるリードオンリメモリ(RO
M)、符号42は各種データの読みだし及び書き込みを
行うランダムアクセスメモリ(RAM)、符号43はR
OM41に格納されているプログラムに基づいて各種の
演算処理を行う中央処理装置(CPU)を示す。
【0038】符号44,45は入出力ポート、符号4
6,47は出力ポート、符号48はマルチプレクサ49
により取り込まれたアナログ信号をディジタル化するA
/D変換器を、また、符号50はクランク角センサ3
0,31からのパルス状の信号を整形する整形回路、符
号51,52は出力ポート46,47から出力される信
号を所定のレベルまで増幅する駆動回路を示す。
【0039】符号53〜57はそれぞれ、マウント温セ
ンサ14,アイドルスイッチ30,水温センサ24,吸
気温センサ28,吸気圧センサ32の出力信号を増幅す
るバッファアンプを示す。また、上記した入出力ポート
44,45、出力ポート46,47、ROM41、RA
M42、CPU43はそれぞれ共通バス58を介して互
いに接続されており、それぞれこの共通バス58を介し
てデータ等が相互通信される。
【0040】マウント温センサ14,アイドルスイッチ
30,水温センサ24,吸気温センサ28,吸気圧セン
サ32で発生するアナログ信号は、バファアンプ53〜
57で増幅された後マルチプレクサ49を介して順次A
/D変換器48に送り込まれる。そして、各信号はA/
D変換器48においてディジタル信号化され、CPU4
3の指令に応じてRAM42に格納される。
【0041】クランク角センサ36,37及び車速セン
サ38で発生するパルス信号は、それぞれ整形回路50
で矩形波に整形されて入出力ポート45に供給される。
従って、入出力ポート45には、クランクシャフトの回
転速度に応じた周期の矩形信号(クランク角センサ3
7,38の信号)と、車速に応じた周期の矩形信号(車
速センサ38の信号)とが供給されることになる。
【0042】出力ポート46には、所望の燃料噴射量を
確保すべく演算されたデューティ比の2値化信号が供給
される。そして、その信号が駆動回路51において増幅
されて燃料噴射信号となり、各気筒に配設されているイ
ンジェクタ27に供給される。これにより各気筒のイン
ジェクタ33から各吸気マニホールド15内に燃料噴射
信号のパルス幅に応じた燃料が供給され、所望の空燃比
が実現される。
【0043】ここで、ROM41内には、メインルーチ
ンのプログラム、前記した硬度推定手段3,低減量算出
手段4及びトルク低減手段6等を実現するプログラム、
これらの演算に必要な種々のデータやマップが格納され
ている。以下、これらのプログラムに沿って本実施例装
置の動作について説明する。
【0044】図5は、本実施例のCPU43において実
行されるメインルーチンの一例のフローチャートを示
す。
【0045】このルーチンは、電子制御装置15に供給
される各種センサの検出信号に基づいて、内燃機関10
が加速する際の出力トルクを低減させて、加速時におけ
るエンジンマウンティング11〜13を支点とする内燃
機関10の揺れを抑制するためのルーチンである。
【0046】すなわち、このルーチンが起動すると、先
ずステップ100において加速時遅角制御条件(AAC
C条件)が成立しているか否かを判別する。後述のよう
にこの条件は、内燃機関10が所定条件で運転してお
り、何らの処置も講じない場合にはエンジンマウンティ
ング11〜13を支点とする内燃機関10の揺動が不快
な加速衝撃を発生させると予想される場合に成立する。
【0047】従って、条件が成立しない場合はなんら処
置を講じる必要がなく、そのまま今回の処理を終了すれ
ば足りる。一方、この条件が成立した場合は内燃機関1
0の揺動を抑制して加速衝撃を和らげるための処置を講
じる必要が生じ、ステップ200へ進み点火時期の遅角
量を算出する。
【0048】通常運転時においては、高い燃焼圧を発生
させるため点火時期もその観点から設定されており、点
火時期をこの時期より遅角すれば燃焼圧を低下させ、出
力トルクを低下させることができるからである。
【0049】そして、ステップ200において適切な遅
角量が計算できたら、その後ステップ300へ進み、計
算した遅角量を実現すべくイグナイタ34に所定の点火
時期信号を供給して今回の処理を終了する。以下、図6
〜図10を参照して上記ステップ100、200の処理
について詳細に説明する。
【0050】図6は、上記ステップ100の加速時遅角
制御条件判定を行うサブルーチンの一例のフローチャー
トを示す。
【0051】ここで、本実施例においては、スロットル
バルブ29が全閉の状態から急激な加速がされた直後に
だけ加速時遅角制御を行う構成を採用している。加速時
遅角制御は、運転者のアクセル操作に対する出力トルク
のレスポンス低下を伴うため、加速中または定常走行中
から更に加速が要求されたような場合には実行すべきで
ないからである。
【0052】このため、図6に示すようにこの処理が起
動すると先ずステップ110を実行し、アイドルスイッ
チ30の出力信号がオフ(IDL=OFF)であるか否
かを判別する。IDL≠OFFである場合は、スロット
ルバルブ29が全閉であり、加速衝撃が生ずることがな
いため条件は不成立とされる。
【0053】IDL=OFFであると判別された場合は
ステップ120へ進みIDL=OFFとなってからの時
間が500ms以内であるかが判別される。そして、ID
L=OFFとなってからの時間が500msを越えている
場合はもはやスロットル29全閉からの加速であるとは
いえず、条件は不成立とされる。
【0054】一方、IDL=OFFとなってからの時間
が500ms以内であると判別された場合はステップ13
0へ進み、クランク角センサ36の出力信号を基に機関
回転数NEを算出し、950rpm ≦NE≦4000rpm
が成立するか否かの判別を行い、成立しない場合は条件
不成立とする。
【0055】NE<950rpm の領域では、内燃機関1
0の発生する出力トルクが小さく、急加速の操作が行わ
れたとしても不快な加速衝撃を伴うほど大きなトルクが
出力されず、加速時遅角量制御を行う必要がない。ま
た、スロットルバルブ29が閉から開となった直後にお
いてNE>4500rpm が成立するということは、内燃
機関10に高出力・高レスポンスが要求されていること
を意味し、加速時遅角量制御を実行すべきでないからで
ある。
【0056】機関回転数NEが上記の領域である場合
は、次にステップ140へ進み水温センサ24の出力信
号に基づいて冷却水温THW≧50℃が成立しているか
否かを判別する。ここで、THW<50℃の場合、すな
わち内燃機関10が未だ暖機過程である場合は、運転が
不安定であるため点火時期の遅角制御を行うべきではな
いからである。
【0057】THW≧50℃が成立する場合はステップ
150へ進んで、車速センサ38の出力信号に基づいて
車速(SPD>45km/h)が成立するか否かを判別す
る。機関回転数NEの場合と同様に、SPD≦45km/h
の領域においては不快な加速衝撃が発生するほど大きな
出力トルクが、加速初期に発生することはないからであ
る。
【0058】以上のステップ110〜150が成立した
場合は、内燃機関10に発生する加速が加速時遅角制御
の実行を要する程度に大きい加速であるか否かの判別を
行う。すなわち、ステップ160で先ず吸気圧センサ3
2の出力信号PMADが350mmHg以上であるかを判別
する。
【0059】ここで、PMAD<350mmHgが成立する
のはスロットルバルブ29の開度がさほど大きくない場
合、すなわち大きな加速が生じない場合である。従っ
て、PMAD<350mmHgが成立する場合は加速時遅角
制御条件不成立とし、PMAD≧350mmHgが成立する
場合にだけステップ170へ進む。
【0060】ステップ170では、吸気負圧PMAD
と、過去8回に渡って計測したPMADの平均値PM
(1)との差が所定の判定値LVLTRN以上であるか
否かの判別を行う。ここでPMAD−PM(1)<LV
LTRNである場合は、今回計測した吸気負圧PMAD
も以前の処理時において計測したPMADとさほど違い
がないと判断できる。
【0061】一方、PMAD−PM(1)≧LVLTR
Nが成立するとは、今回の処理時において吸気負圧PM
ADが急増したことを意味し、不快な加速衝撃が発生す
るに足りる大きな加速が内燃機関10において生じると
判断することができる。従って、この場合はステップ1
80へ進み次の条件判定を行う。
【0062】ところで、内燃機関10が定常運転してい
る際の燃料噴射量は、吸気圧センサ32や吸気温センサ
28及び水温センサ24やクランク角センサ36等の出
力信号を基に、各燃焼室に供給される吸入空気量に対し
て理論空燃比を達成し得る量として演算される。そし
て、各気筒が吸入工程となるタイミングに同期してイン
ジェクタ33から噴射される。
【0063】これに対して、内燃機関10を加速させる
必要が生じた場合は、理論空燃比を実現すべく同期噴射
する燃料噴射量に加えて、各気筒の工程とは非同期に所
定量の燃料の噴射を行う。混合気を燃料リッチとして出
力トルクを上昇させ、定常状態における走行抵抗を越え
るトルクを内燃機関10で発生させるためである。
【0064】この場合、加速時において非同期噴射され
る燃料が多量であるほど大きな加速が発生することにな
る。言い換えれば、この非同期噴射量がさほど大きくな
い場合は加速に伴う内燃機関10の揺動が問題となるこ
とはなく、出力トルクを低減させる必要がない。そこ
で、本実施例においては、インジェクタ33における非
同期噴射時間TAUASYが所定値に達しない場合は点
火時期の遅角制御を実行しないこととし、その判定のた
めステップ180を設けた。
【0065】ここで、ステップ180は、非同期噴射時
間TAUASYの演算を吸気管負圧の変化量PMASY
に基づいて演算する手法を採用した場合を想定したもの
であり、PMASY≧200mmHgが成立するか否かで点
火時期遅角制御の実行条件の成立性を判断するステップ
である。尚、本実施例においては、PMASY=200
mmHgの場合、非同期噴射時間TAUASYは約3.3ms
ecとなる。
【0066】上記の観点より、PMASY≧200mmHg
が成立した場合はステップ190へ進み、カウンタCA
ACC1をインクリメントする。そして、カウンタCA
ACC1が後述する所定時間KTAACC1に達するま
での間は条件成立とする。以後、上記のステップ110
〜180の成立条件が維持された場合は、CAACC1
≧KTAACC1となるまで加速時遅角制御条件成立と
される。
【0067】すなわち、本実施例における内燃機関10
の点火時期は、PMASY≧200mmHgの成立後、図7
に示すように、上記ステップ200において演算される
所定の遅角量に設定される。そして、所定時間KTAA
CC1が経過するまでその遅角量を保持した後、予め設
定された減衰ステップに従って遅角量0°クランクアン
グル(CA)まで減衰する。
【0068】尚、点火時期遅角制御を実行した後徐々に
遅角量を減衰させるのは、急激な進角が行われることに
よる失火を防止するためであり、本実施例においては例
えば4ms毎に1°CAの割合で減衰させることにより、
良好な運転状態を維持したまま遅角量を減衰させること
ができる。
【0069】ところで、上記したように点火時期遅角制
御は燃費や排気エミッションの観点からは好ましい制御
ではない。このため、加速時遅角制御を実行する時間K
TAACC1は、加速初期における内燃機関10の揺動
を緩和して加速衝撃を抑制するのに要する最小限の時間
に設定することが望ましい。
【0070】一方、加速初期に発生する衝撃は、内燃機
関10で発生するトルクの増加分と共に加速の際のギヤ
比によっても大きく変動する。そこで、本実施例におい
ては機関回転数Nと車速Vとの比(レシオ)を表すNV
Rと、遅角制御を行うべき時間KTAACC1との関係
を表すマップを予め下記表1、表2の如く設定してお
き、上記ステップ190実行毎にそのマップを参照する
こととしている。尚、下記表1は5段変速マニュアルト
ランスミッション(M/T)車の場合、表2はオートマ
チックトランスミッション(A/T)車の場合を表して
いる。
【0071】
【表1】
【0072】
【表2】
【0073】次に、上記ステップ200における遅角量
の計算手順について、図8に示すフローチャートに沿っ
て詳細に説明する。
【0074】図8に示すルーチンが起動すると先ずステ
ップ210において、クランク各センサ36の出力信号
を基に機関回転数NEの読み込みが行われる。NEの読
み込みが終了したら、続いてステップ220へ進み、吸
気圧センサ32から出力される吸気管内圧力PMを読み
込む。
【0075】このようにして機関回転数NE及び吸気管
内圧力PMを読み込んだらステップ230へ進み、これ
らの値に基づいて基準となる点火時期、すなわち定常運
転時における要求点火角度ACALを算出する。加速時
遅角制御中における点火時期は、定常運転時における基
準点火時期を基にして決定されるべきだからである。
尚、この要求進角量ACALは、機関回転数NE及び吸
気管内圧力PMの関数として求まる値であり、基準点火
時期の設定に用いる公知のマップを参照して算出する。
【0076】そして、要求点火角度ACALが算出され
たら、ステップ240へ進み、図9に示すマップを参照
して遅角制御時における基準点火時期tAACC1を読
みだす。尚、図9に示すマップは、良好に加速衝撃を緩
和し得る点火時期として実験的に求めた関係を表してお
り、例えばACALが上死点前(BTDC)10°CA
であればtAACC1はBTDC−5°CA、すなわち
上死点後(ATDC)5°CAに遅角され、ACAL=
BTDC40°CAであればtAACC1=BTDC3
0°CAに遅角されることになる。
【0077】次にステップ250においては、エンジン
マウンティング13の温度を測定するマウント温センサ
14の出力信号に基づいて、エンジンマウンティング1
3の硬度に対する補正値tKATHMを求める。この補
正値tKATHMは、エンジンマウンティング11〜1
3のインシュレータ11b〜13bの硬度が変動する
と、加速時における内燃機関10の揺動度合いに差異が
生ずることに着目して設定された補正値である。
【0078】つまり、エンジンマウンティング11〜1
3が高硬度である場合は、衝撃に対する内燃機関10の
揺動が小さく抑制されるため出力トルクをさほど低減さ
せなくても加速衝撃は防止できる。これに対して、その
硬度が低い場合は出力トルクを大きく低減させなければ
加速衝撃を十分に防止することができない。そこで、補
正値tKATHMなる概念を導入して、より効率よく加
速衝撃を抑制しようとするものである。
【0079】ここで、エンジンマウンティング11〜1
3のインシュレータ11b〜13bの硬度は、一般的な
弾性体の特性である温度特性により、高温となるほど低
下する。そこで、本実施例においては、3つのエンジン
マウンティング11〜13の代表としてエンジンマウン
ティング13にマウント温センサ14を設置し、インシ
ュレータ13bの温度を基に補正値tKATHMを求め
る構成とした。
【0080】尚、補正値tKATHMは、図10のマッ
プに示すようにマウント温センサ14により検出される
インシュレータ13bの温度THMの関数として設定す
ることができ、例えばTHMが−20℃であるとき−2
°CA、THMが120℃であとき8°CAとなる。
【0081】このようにして、遅角制御時における基準
点火時期tAACC1と補正値tKATHMとが求まっ
たら、ステップ260において加速時遅角制御実行時に
おける点火時期AACC=tAACC1−tKATHM
を算出して本ルーチンの処理を終了する。そして、図5
に示すルーチン中ステップ300へ進み点火時期遅角制
御を実行する。
【0082】つまり、マウント温センサ14の検出値T
HMが高温であるほど遅角量が大きくなり、内燃機関1
0で発生するトルクが小さくなる。このため、内燃機関
10の揺動が抑制され、確実に加速衝撃が防止される。
また、マウント温センサ14で検出されるTHMが低
く、エンジンマウンティング11〜13が硬いほど、遅
角量が小さくなって燃費や排気エミション上有利とな
る。
【0083】このように、本実施例の内燃機関の加速制
御装置においては、エンジンマウンティング11〜13
の温度、すなわち硬度に基づいて加速時における遅角量
を算出するため、常に必要最小限の遅角量制御により適
切に加速衝撃を抑制することができる。
【0084】図11は、本発明に係る内燃機関の加速制
御装置の他の実施例の基本構成の概念図を示す。同図
(A)に示すように本実施例の内燃機関60は、右エン
ジンマウンティング61,リアエンジンマウンティング
62,左エンジンマウンティング63及びフロントエン
ジンマウンティング64の4点で車体に固定されてい
る。
【0085】ここで、図11(B),(C),(D)
は、図11(A)中のB,C,D矢視図を表し、各エン
ジンマウンティング61〜64は、それぞれ本体61a
〜64a、本体61a〜64aの貫通口内に配設された
弾性を有するインシュレータ61b〜64b及び各イン
シュレータ61b〜64bの中心付近に位置する中心軸
61c〜64cにより構成される。
【0086】これらのエンジンマウンティング61〜6
4は、その本体61a〜64aを車体に固定し、中心軸
61c〜64cを内燃機関60に固定して用いられる。
従って、内燃機関60は上記図2に示す内燃機関10と
同様に、各エンジンマウンティング61〜64のインシ
ュレータ61b〜64bを介して車体と連結される構成
となる。
【0087】ところで、本実施例は内燃機関60に供給
される吸入空気の温度THA及び内燃機関60の冷却水
の温度THWに基づいてエンジンマウンティング61〜
64の硬度を推定する点に特徴を有している。従って、
上記図2に示す実施例の場合と異なりエンジンマウンテ
ィングにマウント温センサ14を設置していない。
【0088】つまり本実施例の電子制御装置65は、水
温センサ24及び吸気温センサ28の出力信号に基づい
て、エンジンマウンティング61〜64の硬度に伴う補
正値を算出する構成である。尚、電子制御装置65周辺
の構成は、マウント温センサ14が接続されていないこ
とを除いて上記図4に示す構成と同一である。
【0089】本実施例においては、上記図2に示す実施
例の場合と同様に図5に示すメインルーチンが実行され
る。ここで、ステップ100及び300については上記
実施例の場合と全く同一であり、本実施例においても上
記図6に示すサブルーチンにより加速時遅角制御条件の
成立不成立が判別される。そして加速時遅角制御条件が
成立している場合は、遅角量計算を行うステップ200
に相当するサブルーチンとして図12に示すルーチンが
実行される。
【0090】ここで、図12に示すルーチン中、ステッ
プ410〜440は上記図8に示すルーチンにおけるス
テップ210〜240に相当する。すなわち機関回転数
NE及び吸気管内圧力PMを読み込み、それらに基づい
て定常運転時における基準点火時期ACALを読みだ
し、そのACALで図9のマップを参照して遅角制御時
における基準点火時期tAACC1を算出する。
【0091】このようにしてtAACC1を算出した
ら、続いてステップ450へ進み、吸気温センサ28で
検出された吸入空気温度THAを基に、エンジンマウン
ティング61〜64の硬度に対する補正値tKATHA
を求める。内燃機関60全体が昇温していなければ吸入
空気温度THAもエンジンマウンティング61〜64の
温度も昇温しないこと、外気温は吸入空気温度THA及
びエンジンマウンティング61〜64の冷却性に影響を
与えること等吸入空気温度THAは、エンジンマウンテ
ィング61〜64の温度と密接な関係を有していること
に着目したものである。
【0092】ここで、本実施例における補正値tKAT
HAは、図13に示すように吸入空気温度THAの関数
として予め実験的に設定した値を用いる構成としてお
り、例えば、THAが−20℃の場合tKATHAは−
2°CAとなり、またTHAが80℃以上となる場合、
tKATHAは8°CAとなる。
【0093】一方、エンジンマウンティング61〜64
は、内燃機関60で発生する熱が内燃機関本体を介して
伝播されることにより加熱される。このため、内燃機関
60の暖機が完了して吸入空気温度THAが飽和状態と
なった後も、エンジンマウンティング61〜64の温度
は徐々に昇温することになる。
【0094】そこで、本実施例においては、上記ステッ
プ450において補正値tKATHAの算出を行った
ら、続くステップ460において、冷却水の温度THW
が80℃を越えた後の累積時間に応じた補正値tKHT
HWを求め、更に遅角制御時における点火時期を遅角す
る構成としている。
【0095】この補正値tKHTHWは、図14に示す
マップを冷却水温THWが80℃を越えた後の累積時間
で参照することにより求めることができ、本実施例にお
いては0.9〜1.15の間を変動し、累積時間70mi
n で最大値に飽和する値として設定している。
【0096】このようにして、基準点火時期tAACC
1,補正値tKATHA及びtKHTHWを求めたら、
これらの値を基に、ステップ470において加速時遅角
制御を実行する際の点火時期AACC1=tAACC1
−tKATHA*tKHTHWを算出する。
【0097】すなわち、本実施例においては、エンジン
マウンティング61〜64の硬度変動を補正する値とし
てtKATHA*tKHTHWを用いている。従って、
吸入空気温度THAが高温であるほど、また冷却水の温
度THWが80℃を越える時間が長いほど、点火時期は
大きく遅角されることとなる。
【0098】このように本実施例に示す内燃機関の加速
制御装置によれば、マウント温センサ14を設けること
なくエンジンマウンティング61〜64の硬度に合わせ
た適切な遅角量を設定することができる。従って、上記
した実施例と同様に、加速時における出力トルクを必要
最小限の範囲で低減させ、加速衝撃を効果的に抑制する
ことができる。
【0099】ところで、上記実施例に示す如く電子制御
装置15が点火時期を遅角制御して加速ショックの低減
を図る場合、排気マニホールド25に燃焼中の高温ガス
が排出される場合のあることは前記した通りである。従
って、この場合触媒コンバータ26には高温の排気ガス
が流通することになり、頻繁に繰り返されると過熱状態
となる可能性がある。
【0100】図15は、内燃機関10の出力トルク制御
を点火時期制御によって実現する場合のかかる弊害を除
去すべく、出力トルク制御を燃料噴射量制御によって実
現すべく電子制御装置15が実行するルーチンのフロー
チャートを示す。
【0101】ここで、上記したように内燃機関10を加
速させる場合、各気筒の工程に同期して噴射する燃料の
他、空燃比をリッチ化させるため各気筒の工程とは非同
期に所定量の燃料を噴射する。そして、非同期に噴射さ
れた燃料が多量であるほど大きな加速度、すなわちトル
ク上昇が実現されることになる。
【0102】言い換えれば、加速時に生ずる出力トルク
の変動は、加速時に非同期噴射される燃料の量によって
その激しさが決まり、燃料の非同期噴射量を適切に補正
すれば、点火時期制御を行うまでもなく加速に伴う内燃
機関10の揺動を適切に抑制することが可能である。
【0103】図15に示すフローチャートは、かかる点
に着目したものであり、燃料の非同期噴射量をエンジン
マウンティング13の硬度に応じて補正することによ
り、上記点火時期制御による出力トルクの低減と同様の
効果を確保しようとするものである。
【0104】すなわち、図15に示すルーチンが起動す
ると、先ずステップ500において非同期噴射実行条件
がオンであるかを判別する。尚、上記したように燃料の
非同期噴射は内燃機関10の加速時において実行される
ものであるから、例えばアイドルスイッチ30がオンか
らオフに切り替わった場合、吸気負圧が急激に大気圧側
へ移行した場合等に条件が成立するものとする。そし
て、非同期噴射実行条件が成立していないと判別された
場合は、そのまま今回の処理を終了し、また条件が成立
すると判別された場合は、ステップ600へ進んで非同
期噴射量の計算を行い、その後ステップ700において
非同期噴射を実行すべくインジェクタ33に信号を供給
して今回の処理を終了する。
【0105】ところで、燃料の噴射装置としてインジェ
クタ33を用いる場合、非同期噴射量は非同期噴射時間
TAUASYとして演算すれば足り、一般にその値は吸
気管負圧の変化量PMASY等に基づいて演算できるこ
とは前記した通りである。本実施例はそのようにして演
算された値をエンジンマウンティング13の硬度に基づ
いて補正してTAUASYとする点に特徴を有するもの
である。
【0106】以下、アイドルスイッチ30がオンからオ
フに切り替わった場合に行う処理を例に採ってTAUA
SYの演算方法を説明する。
【0107】尚、本実施例においては、アイドルスイッ
チ30がオンからオフに切り替わった際、すなわち内燃
機関10がアイドリング状態から非アイドリング状態へ
と移行した際には、機関回転数NEに応じて非同期噴射
時間TAUASYを設定することとしており、TAUA
SYの基準値TAUIDLを図16の如く設定してい
る。従って、非同期噴射時間TAUASYは、TAUI
DLをエンジンマウンティング13の硬度に基づいて補
正して求めることになる。
【0108】図17は、TAUASYを演算すべく電子
制御装置15が実行するルーチンの一例のフローチャー
トを示す。同図に示すルーチンにおいては、先ず機関回
転数NEを読み込み(ステップ602)、その値を基に
上記図16のマップを参照してTAUIDLを求める
(ステップ604)。
【0109】そして、このようにしてTAUASYの基
準値であるTAUIDLを求めたら、次にマウント温セ
ンサ14の出力信号に基づいて演算したエンジンマウン
ティング13の温度THMを読み込む(ステップ60
4)。上記したようにエンジンマウンティング13の硬
度がその温度THMの関数であることに鑑み、その硬度
を推定するためである。
【0110】すなわちTHMが高温の場合は、エンジン
マウンティング13の硬度が低いことが予想され、加速
時における内燃機関10の揺動を抑制するためには非同
期噴射時間TAUASYを基準値より短く設定する必要
がある。一方、THMが低温となるのは暖機が不十分な
場合であると共に内燃機関10が揺動し難い状況にある
ため、TAUASYを基準値より長く設定するべきであ
る。
【0111】このため、本実施例においては、図18に
示すようにTHMが高温となるに従って小さな値となる
ように補正係数tKFTHMのマップを設定し、上記ス
テップ606で読み込んだTHMによりこのマップを参
照してtKFTHMを求め(ステップ608)、これを
TAUIDLに乗算してTAUASYとすることとした
(ステップ610)。
【0112】この結果、内燃機関10がアイドリング状
態から非アイドリング状態となった際に行われる非同期
噴射は、内燃機関10が揺動し易い状況にある場合には
比較的短く、揺動し難い状況にある場合には比較的長く
行われることとなり、点火時期制御により内燃機関10
の加速時出力トルクを制御する上記実施例の場合と同様
に、良好な加速性と快適な乗り心地とを両立させること
が可能となる。
【0113】そして、このように非同期噴射時間TAU
ASYを補正して出力トルクを適正値に制御する手法
は、点火時期を遅角制御する場合のように燃焼効率の悪
化や排気温の上昇等の弊害を伴うことがなく、良好な燃
費特性や触媒コンバータ26の耐久性を確保するうえで
有利であるという特長をも有している。
【0114】尚、上記図17に示すフローチャートは、
エンジンマウンティングの温度THMをマウント温セン
サによって直接測定することを前提としているが、上記
図11に示す加速制御装置において説明したように、エ
ンジンマウンティングの硬度は、吸入空気の温度TH
A、及び冷却水温THWより推定可能であり必ずしもマ
ウント温センサを設けることは必要ではない。
【0115】図19は、かかる要求を満たすべく上記図
11に示す電子制御装置65が実行するルーチンの一例
のフローチャートを示す。すなわち、図19に示すルー
チンにおいては、上記図16に示すマップを機関回転数
NEで検索して非同期噴射時間TAUASYの基準値で
あるTAUIDLを求めたら(ステップ612,61
4)、次に吸気温センサ32が検出した吸入空気温度T
HAを読み込む(ステップ616)。
【0116】そして、このTHAを基に、エンジンマウ
ンティング61〜64の硬度に対する補正値tKFTH
Aを、図20に示すマップより求める(ステップ61
8)。尚、図20に示すマップは、吸入空気温度THA
とエンジンマウンティング61〜64の温度との間に相
関が認められることに着目して実験的に設定したもので
ある。
【0117】ところで、エンジンマウンティング61〜
64は、内燃機関60から熱が伝播されることにより昇
温し、冷却水の温度THWが80℃を越えた後の累積時
間とエンジンマウンティング61〜64の硬度との間に
も相関が認められることは前記した通りである。
【0118】このため、本ルーチンにおいては、THA
に対する補正値tKFTHAとは別に図21に示す如く
冷却水温THWが80℃を越えた後の累積時間に対する
補正係数tKHTHWを設定し、これらtKFTHAと
tKHTHWとを合わせ考慮して非同期噴射時間TAU
ASYを演算することとした。
【0119】このため、上記ステップ618においてt
KFTHAの読みだしを終えたら、他のサブルーチンに
よって演算されたtKHTHWを読みだし(ステップ6
20)、次いでTAUASY=TAUIDL−tKFT
HA*tKHTHWなる演算式に従って非同期噴射時間
TAUASYを算出する(ステップ622)。
【0120】すなわち、本実施例においては、エンジン
マウンティング61〜64の硬度変動を補正する値とし
てtKFTHA*tKHTHWなる値を用いたものであ
る。ここで、図20に示すようにtKFTHAは極低温
時には負の値を示し、その後THAが上昇するにつれて
大きな値となる。また、図21に示すようにtKHTH
Wは、THWが80℃を越えた後の累積時間が長くなる
に従って、所定の最大値へ向けて増加する。
【0121】従って、非同期噴射時間TAUASYは、
吸入空気温度THAが高温であるほど、また冷却水温T
HWが80℃を越えた後長い時間が経過するほど短く補
正されることになる。
【0122】この結果、内燃機関60が加速状態となっ
た場合の出力トルク変動は、エンジンマウンティング6
1〜64の硬度が高い場合には大きく、その硬度が低下
した場合に小さく補正されることになり、マウント温セ
ンサ14を用いることなく上記図17に示すルーチンを
実行する場合と同様の効果を確保することができる。
【0123】尚、上記図17,19に示すルーチンは、
上記図15中ステップ600の処理に相当するものであ
り、これらのルーチンにより非同期噴射時間TAUAS
Yを演算したら、演算したTAUASYにより非同期噴
射を行って(ステップ700)図15に示す処理を終了
する。
【0124】
【発明の効果】上述の如く請求項1記載の発明によれ
ば、内燃機関と車体とを連結するエンジンマウンティン
グの硬度を推定して、その硬度に応じて出力トルクの低
減量が設定される。このため、かかる機能を備えていな
い従来の装置と異なり、エンジンマウンティングが比較
的硬い場合に出力トルクの低減量が過剰となることがな
く、またエンジンマウンティングが比較的柔らかい場合
に、出力トルクの低減量不足により加速衝撃が防止でき
ない事態が生ずることがない。
【0125】このように、本発明に係る内燃機関の加速
制御装置によれば、加速時には常に必要最小限の範囲で
出力トルクの低減が図られ、加速衝撃を確実に抑制でき
ると共に、良好なドライバビリティと快適な乗り心地と
を確保することができるという特長を有している。
【0126】また、請求項2記載の発明によれば、出力
トルクの低減を図る機構としては何らハードウェア上の
追加を必要としないことから容易に実現可能であると共
に、精度よく出力トルク制御を実行することができる。
【0127】更に、請求項3記載の発明によれば、請求
項2記載の内燃機関の加速制御装置と異なり、出力トル
クの低減を図るに際して燃焼効率の悪化や排気温の上昇
を伴うことがなく、内燃機関の燃費特性上有利であると
共に触媒コンバータを過熱状態とすることがないという
特長を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る内燃機関の加速制御装置の原理図
である。
【図2】本発明に係る内燃機関の加速制御装置の一実施
例の基本構成を表す概念図である。
【図3】本実施例装置を備える内燃機関及びその周辺装
置の構成を表す断面構成図である。
【図4】本実施例装置に用いる電子制御装置の構成図で
ある。
【図5】本実施例の電子制御装置が実行する加速時遅角
制御ルーチンの一例のフローチャートである。
【図6】本実施例の電子制御装置が実行する加速時遅角
制御条件判定ルーチンの一例のフローチャートである。
【図7】本実施例装置の動作を説明するための図であ
る。
【図8】本実施例の電子制御装置が実行する遅角量演算
ルーチンの一例のフローチャートである。
【図9】遅角量演算ルーチンにおいて基準点火時期tA
ACC1の算出に用いるマップである。
【図10】遅角量演算ルーチンにおいてエンジンマウン
ティングの温度に基づく補正値tKATHMの算出に用
いるマップである。
【図11】本発明に係る内燃機関の加速制御装置の他の
実施例の基本構成を表す概念図である。
【図12】他の実施例の電子制御装置が実行する遅角量
演算ルーチンの一例のフローチャートである。
【図13】他の実施例における遅角量計算サブルーチン
において吸入空気温度に基づく補正値tKATHAの算
出に用いるマップである。
【図14】他の実施例における遅角量計算サブルーチン
において冷却水温度が80℃越となる累積時間に基づく
補正値tKHTHWの算出に用いるマップである。
【図15】本実施例の電子制御装置が実行する非同期噴
射制御ルーチンの一例のフローチャートである。
【図16】本実施例の非同期噴射制御ルーチンにおける
非同期噴射時間の基準値TAUIDLの算出に用いるマ
ップである。
【図17】本実施例の電子制御装置が実行する非同期噴
射時間演算ルーチンの一例のフローチャートである。
【図18】本実施例における非同期噴射時間演算ルーチ
ンにおいてエンジンマウンティングの温度に基づく補正
値tKFTHMの算出に用いるマップである。
【図19】本実施例の電子制御装置が実行する非同期噴
射時間演算ルーチンの他の例のフローチャートである。
【図20】非同期噴射時間演算ルーチンにおいて吸入空
気温度に基づく補正値tKFTHAの算出に用いるマッ
プである。
【図21】非同期噴射時間演算ルーチンにおいて冷却水
温度が80℃越となる累積時間に基づく補正値tKHT
HWの算出に用いるマップである。
【符号の説明】
1,10,60 内燃機関 2,11〜13,61〜64 エンジンマウンティング 3 硬度推定手段 4 低減量算出手段 5 加速検出手段 6 トルク低減手段 11b〜11c,61c〜64c インシュレータ 14 マウント温センサ 15 電子制御装置 24 水温センサ 28 吸気温センサ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 弾性を有するエンジンマウンティングを
    介して車体に固定された内燃機関の出力トルクを制御す
    る装置であって、前記内燃機関が加速状態となることを
    検出する加速検出手段と、前記内燃機関の出力トルクを
    低減させるトルク低減手段とを備え、該内燃機関の加速
    初期における出力トルクを低減させて加速時の衝撃を緩
    和する内燃機関の加速制御装置において、 前記エンジンマウンティングの硬度を推定する硬度推定
    手段と、 該硬度推定手段において推定された前記エンジンマウン
    ティングの硬度に基づいて、前記内燃機関の加速初期に
    おいて前記トルク低減手段により低減すべきトルク低減
    量を算出する低減量算出手段とを有することを特徴とす
    る内燃機関の加速制御装置。
  2. 【請求項2】 前記トルク低減手段は、点火時期を制御
    することにより前記内燃機関の出力トルクを制御するこ
    とを特徴とする請求項1記載の内燃機関の加速制御装
    置。
  3. 【請求項3】 前記トルク低減手段は、燃料噴射量を制
    御することにより前記内燃機関の出力トルクを制御する
    ことを特徴とする請求項1記載の内燃機関の加速制御装
    置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009216034A (ja) * 2008-03-12 2009-09-24 Toyota Motor Corp 内燃機関の制御装置
US8352161B2 (en) 2007-11-13 2013-01-08 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Control device for internal combustion engine

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