JPH0629367U - 小型電動機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 動圧軸受を有する小型電動機を偏平化し、か
つ回転体の円錐運動を減少させることにある。 【構成】 固定軸２を取り囲む円筒状回転体４の外周面
と、軸受３の内周面とで動圧軸受を形成する。回転体４
のフランジ部４ａにスラスト軸受板を兼ねたポリゴンミ
ラー７を取り付け、ポリゴンミラー７の裏面に動圧発生
用溝を形成し、軸受３の支持面とで動圧軸受を形成す
る。固定軸２の先端部に鉄心１６、コイル１７、ヨーク
１８，１８’からなる電磁石を設け、回転体のフランジ
部４ａの内周面に前記電磁石が作用する強磁性体１５を
設け、ヨーク１８，１８’の外周は強磁性体１５と近接
し、かつ軸方向に若干ずれをもたせる。 【効果】 起動前に電磁石へ通電すると、回転体ポリゴ
ンミラーを伴って浮き上がり、軸受と非接触となり、そ
の後に起動すれば、円滑に起動する。起動後はコイルの
電流を断てば、動圧効果により軸受は非接触でポリゴン
ミラーを支承する。この構成で偏平化が可能となり、回
転体の円錐運動が減少する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、小型電動機に係るもので、特に動圧を発生する動圧軸受を有する小 型電動機の改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、動圧軸受を有する小型電動機として、図３および図４に示した電動機が 知られている。 同図において、１はベース（基台）、２はベースに立設する固定軸、３はベー ス側に固定された円筒状軸受、４は円筒状回転体、５は固定軸側に設けた駆動用 コイル、６は回転体側に設けた駆動用マグネット、７は回転体に固定したポリゴ ンミラー（回転多面鏡）、８は押え板、９は固定軸先端に設けたマグネット、１ ０は回転体に設けたマグネット、１１は回転体の外周面に形成した動圧発生用溝 である。

【０００３】 上記構成の小型電動機にあっては、一定回転以上になると回転体４に形成され た溝１１により動圧効果を発生し、回転体４と軸受３とは非接触状態で運転され る。また、回転体４の軸方向はマグネット９，１０の吸引作用を利用して非接触 状態で支承される。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

上記動圧軸受を有する小型電動機の軸受および回転体の軸長を短くして偏平化 し、なおかつ回転体の円錐運動を少なくするには、図５および図６に示すように 、軸受３の上端面と対接するスラスト軸受板１２を配設し、これをポリゴンミラ ー７側に固定すると共に、軸受面と対接する面にスパイラル状動圧発生用溝１３ を設けて動圧軸受とし、このスラスト軸受板１２により支承するようにすればよ い。この場合、動圧発生用溝を、軸受３の対接面に設けても同じ効果が得られる 。

【０００５】 しかしながら、前記構造の電動機においては、前記スラスト軸受板１２の直径 が大きすぎて、起動時の摩擦が大きく、起動が困難なため、上記のような手段を 採ることができない。

【０００６】

【考案の目的】

本考案は、前記スラスト軸受板を用いた長所を生かし、かつ起動および停止を 円滑に行なわれるようにした小型電動機を提供することを主たる目的としている 。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

本考案は、基台に取り付けられた固定軸と、前記固定軸の外周を取り囲むよう に配置されていて、スラスト軸受板がフランジ部分に取り付けられた円筒状回転 体と、前記回転体の外周面を回転自在に支承すると共に前記スラスト軸受板の板 面を支持する軸受部材とを有し、前記スラスト軸受板の板面と、これに対向する 前記軸受部材の支持面とで動圧軸受を形成した小型電動機において、前記固定軸 に設けた電磁石と、この電磁石が作用する位置で、かつ前記回転体の円周面に固 着された強磁性体とを備え、前記電磁石に通電することにより、前記軸受部材と 前記スラスト軸受板とが非接触になる位置に前記回転体を移動せしめることを特 徴としている。

【０００８】

【作用】

上記構成においては、回転起動の前に、電磁石に通電すると、その磁力の吸引 力により強磁性体を上方に引き付けることで、回転体全体が浮き上がり、スラス ト軸受板と軸受部材との対接面は非接触となるから、その後に回動起動すれば、 円滑に起動する。起動後は電磁石への通電を断てば、動圧効果により軸受部材は スラスト軸受板を非接触で支承する。

【０００９】

【実施例】 図１および図２に本考案の一実施例を示す。なお、図３〜図４と同一または類 似する部材には同じ符号が付されている。 すなわち、１は基台、２は固定軸、３は円筒状軸受、４は円筒状回転体、５は 固定軸側に設けた駆動用コイル、６は回転体側に設けた駆動用マグネットである 。

【００１０】 円筒状回転体４のフランジ部４ａに取り付けたポリゴンミラー７には、円筒状 軸受３と対接する板面に、動圧発生用溝１４が設けられ、ポリゴンミラー７の板 面と、これに対向する軸受３の支持面とで動圧軸受が形成されている。これは、 ポリゴンミラー７をスラスト軸受板に兼用した例であるが、スラスト軸受板は別 部材として組付けてもよい。また、軸受の支持面に動圧発生用溝を設けてもよい 。

【００１１】 円筒状回転体４のフランジ部４ａの内周面に、軟鋼等の材料からなる円環状強 磁性体１５が設けられている。一方、固定軸２の上部には、前記円環状強磁性体 １５の内部に位置して、鉄心１６とコイル１７と円板状の強磁性体ヨーク１８， １８’とから電磁石が構成されている。ヨーク１８，１８’の外周縁は前記回転 体側の強磁性体１５と近接し、かつ軸方向に若干ずれが生じた状態で取り付けら れる。

【００１２】 上記構成によれば、回転起動の寸前にコイル１７へ直流を通電して電磁石とな し、その吸引力によって強磁性体１５を上方に引き付けることにより、回転体４ が浮き上がり、これに支持されているスラスト軸受板兼用のポリゴンミラー７と 軸受３との対接面が非接触となるから、その後に回転起動すれば、円滑に起動す る。起動後はコイル１７の電流を遮断すれば、動圧効果により、軸受３は非接触 でポリゴンミラー７を支承する。停止時も同様に、その前後に電磁石のスイッチ のオン・オフを行ない、非接触で停止させる。

【００１３】

【考案の効果】 以上に述べたように、本考案によれば、マグネットの吸引力により軸方向を支 承していた従来構造に対し、そのマグネット取り付け空間を利用して、そのかわ りに電磁石を配置し、軸方向の支承に対して動圧軸受を使用できるようにしたの で、電動機の偏平化が可能となり、かつ回転体の円錐運動が減少する等、顕著な 効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示す小型電動機の断面図で
ある。

【図２】スラスト軸受板を兼用するポリゴンミラーの裏
面図である。

【図３】従来の小型電動機の断面図である。

【図４】回転体の側面図である。

【図５】従来の別の小型電動機の断面図である。

【図６】スラスト軸受の裏面図である。

【符号の説明】

１ 基台 ２ 固定軸 ３ 円筒状軸受 ４ 円筒状回転体 ５ 駆動用コイル ６ 駆動用マグネット ７ ポリゴンミラー ８ 押え板 ９ マグネット １０ マグネット １１ 動圧発生用溝 １２ スラスト軸受板 １３ 動圧発生用溝 １４ 動圧発生用溝 １５ 強磁性体 １６ 鉄心 １７ コイル １８，１８’ ヨーク

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 基台に取り付けられた固定軸と、前記固
   定軸の外周を取り囲むように配置されていて、スラスト
   軸受板がフランジ部分に取り付けられた円筒状回転体
   と、前記回転体の外周面を回転自在に支承すると共に前
   記スラスト軸受板の板面を支持する軸受部材とを有し、
   前記スラスト軸受板の板面と、これに対向する前記軸受
   部材の支持面とで動圧軸受を形成した小型電動機におい
   て、前記固定軸に設けた電磁石と、この電磁石が作用す
   る位置で、かつ前記回転体の円周面に固着された強磁性
   体とを備え、前記電磁石に通電することにより、前記軸
   受部材と前記スラスト軸受板とが非接触になる位置に前
   記回転体を移動せしめることを特徴とする小型電動機。
2. 【請求項２】 前記スラスト軸受板が回転多面鏡である
   請求項１に記載の小型電動機。