JPH06292569A - ヒトグルタミン酸脱炭酸酵素を産生する形質転換された動物細胞株 - Google Patents

ヒトグルタミン酸脱炭酸酵素を産生する形質転換された動物細胞株

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JPH06292569A
JPH06292569A JP5081956A JP8195693A JPH06292569A JP H06292569 A JPH06292569 A JP H06292569A JP 5081956 A JP5081956 A JP 5081956A JP 8195693 A JP8195693 A JP 8195693A JP H06292569 A JPH06292569 A JP H06292569A
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gad
human
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Shigenobu Nagataki
重信 長瀧
Eiji Kawasaki
英二 川崎
Ryozo Moriuchi
良三 森内
Mayumi Yano
まゆみ 矢野
Motoo Watabe
素生 渡部
Kazuko Saito
和子 斎藤
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Mitsubishi Petrochemical Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Petrochemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 ヒトグルタミン酸脱炭酸酵素の発現が可能な
ベクターにより形質転換されたヒトグルタミン酸脱炭酸
酵素発現動物細胞株。 【効果】 本発明の形質転換動物細胞株によれば、イン
スリン依存型糖尿病の診断のための従来法において必要
とされた、新鮮ヒトまたはラット膵島抽出物の用時調製
および放射性同位元素の使用が不要となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ヒトグルタミン酸脱炭
酸酵素を産生する形質転換された細胞株とそれを用いる
ヒトグルタミン酸脱炭酸酵素に対する抗体の検出法に関
する。本発明を用いることによりインスリン依存型糖尿
病(I型糖尿病ともいう;以下、これを「IDDM」と
略記することがある)の発症を診断することができる。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】イン
スリン依存型糖尿病は、膵ランゲルハンス氏島(以下、
これを「膵島」または「膵ラ氏島」と略記することがあ
る)のインスリン分泌細胞が、自己の免疫系によって破
壊されることによって発症する自己免疫疾患と考えられ
ている。インスリン依存型糖尿病患者血清中には、その
発症前から種々の自己抗体が出現することが知られてお
り、それらの自己抗体がインスリン依存型糖尿病発症の
予知マーカーとして診断上極めて有用であることが確認
されている(L. Castano, G.S. Eisenbarth, Annual Re
view of Immunology, vol. 8, p.647-679, 1990)。
【0003】膵ランゲルハンス氏島の分子量64,00
0ダルトン(64KD)のタンパクに対する抗体(以
下、これを「抗64KD抗体」と略記することがある)
もそれらの一つであり、I型糖尿病発症前および発症早
期の患者血清中の70〜80%に検出される(S. Baekk
eskov, et al., J. Clin. Invest. vol. 79, p.926-93
4, 1987)。
【0004】抗64KD抗体を検出する現行法として
は、ラット単離膵島もしくはヒト単離膵島を、無菌下に
て放射性メチオニンを含む培地中で4〜6時間培養後可
溶化し、これをIDDM患者血清と混合して膵島中の6
4KDタンパクと患者血清中の抗64KD抗体とを反応
させ、反応物をプロテインAセファロース等にて免疫沈
降させ、沈降物を電気泳動後オートラジオグラフィ法で
解析するといった手法がとられている(M.R. Christie
et al., J.B.C., vol. 265, no. 1, p.376-381,1990)
【0005】前記現行法は、 1.検出の都度新鮮な膵島材料を必要とすること、 2.手法が煩雑であり、かつ熟練を要すること、 3.放射性物質を必要とすること、 4.結果が得られるまで一週間近くかかること、 など多くの問題点を含んでいる。したがって、I型糖尿
病の発症前および発症早期の診断が臨床上極めて重要で
あり、その目的のために抗64KD抗体検出が有用であ
ることが明らかになっている現在、簡便迅速な抗64K
D抗体検出法の出現が強く望まれている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記問題点を
包含する従来の抗64KD抗体検出法を改良するため提
供するものである。すなわち、従来法を用いる場合には
その都度必要となる、ラットまたはヒト単離膵島材料か
らの64KDタンパクの調製および放射性同位元素の使
用を必要とせずに、抗64KD抗体を検出する方法を提
供することを目的とする。
【0007】近年、この64KDタンパクが、γ−アミ
ノ酪酸(以下、これを「GABA」と略記することがあ
る)合成酵素であるグルタミン酸脱炭酸酵素(以下、こ
れを「GAD」と略記することがある)であるとの報告
がなされた(Nature, vol. 347, p.151-156, 1990)。し
たがって、抗64KD抗体検出において常に必要とされ
た新鮮膵島材料からの64KDタンパクの調製を、膵島
起源のGADの調製に置き換えることにより、検出手法
を簡略化できることになる。そこで本発明者らは、ヒト
膵島起源のGADを安定的に確保するための手段として
遺伝子組み換え技術を応用することに着目し、鋭意努力
を重ねた結果、ほ乳動物細胞にヒト膵島起源GAD遺伝
子を導入した形質転換細胞株の樹立に成功し、本発明を
完成するに至った。
【0008】本発明の形質転換細胞株は、ヒト膵島起源
GAD遺伝子を動物細胞用発現ベクターに組み込み、こ
れをチャイニーズハムスター卵母細胞(以下、これを
「CHO細胞」と略記することがある)に導入して得ら
れるものである。本細胞株は、ヒトグルタミン酸脱炭酸
酵素産生能を有し、培養した本細胞株の可溶化分画はI
型糖尿病患者血清と反応するGADを含んでいるので、
これを用いて抗64KD抗体を検出することができる。
以下、本発明をさらに具体的に説明する。
【0009】(形質転換細胞株の樹立)ヒト膵島起源G
ADを発現する形質転換細胞株は、以下に述べる方法に
よって樹立することができる。
【0010】(1)ヒト膵ラ氏島由来GAD遺伝子の取
得 ヒト膵ラ氏島よりRNA分画を抽出精製し、逆転写酵素
によりcDNAを作製する。このcDNAを鋳型とし、
ヒトGAD遺伝子配列に対して特異的なプライマーを用
い、ポリメラーゼチェイン反応(以下、これを「PC
R」と略記することがある)法にてヒトGAD遺伝子を
増幅し、これを大腸菌等で増殖可能なプラスミドベクタ
ー、例えば、ブルースクリプトII〔ストラタジーン(ST
RATAGENE)社製〕、pUC18/pUC19(ファルマ
シアLKBバイオテクノロジー社より入手可能)、pG
EM−3/pGEM−4(プロメガ社より入手可能)等
に組み込む。これを通常の形質導入法により大腸菌に導
入し、培養後、該菌体から常法によりヒト膵ラ氏島由来
GAD遺伝子を含むプラスミドDNAを得ることができ
る。
【0011】また、前記方法にて作製したcDNAをフ
ァージベクター、例えばλgt 11 (ストラタジーン社
製)にパッケージしたライブラリーを作製し、GAD遺
伝子の一部をプローブとしてライブラリーをスクリーニ
ングすること等によっても、ヒト膵ラ氏島由来GAD遺
伝子を含むベクターを取得することができる。
【0012】(2)動物細胞用発現ベクターへのヒトG
AD遺伝子の導入 前記の方法により得られたヒトGAD遺伝子は、適当な
制限酵素によりベクターから切り出し、制限酵素サイト
を含むリンカーDNA、および連結酵素、制限酵素、そ
の他分子生物学で一般に用いられている各種酵素を組み
合わせて用いることにより、各種動物細胞用発現ベクタ
ーに導入することができる。
【0013】例えば、ブルースクリプトIIに組み込んだ
ヒト膵ラ氏島由来のGAD遺伝子を、制限酵素BamH
IおよびSalIでベクターDNAから切り出し、あら
かじめ同じ制限酵素BamHIおよびSalIで処理し
た動物細胞用の発現ベクター、pDOL(大腸菌内でも
プラスミドとして増殖可能ないわゆるシャトルベクタ
ー;A.J. Korman, J.D. Franz, J.L. Strominger and
R.C. Mulligan, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, vol. 8
4, p.2150-2154, 1987; Massachusetts Institutesof T
echnology, Dr. R.C. Mulligan より入手)に連結する
ことにより、ヒトGAD遺伝子を動物細胞用発現ベクタ
ーに導入できる。更に、例えば、ブルースクリプトIIに
組み込んだヒト膵ラ氏島由来のGAD遺伝子を、制限酵
素NotIおよびApaIでベクターDNAから切り出
し、あらかじめ同じ制限酵素NotIおよびApaIで
処理した動物細胞用の発現ベクター、pRC/CMV
(シャトルベクター、インビトロジェン社より入手可
能)に連結することによっても、ヒトGAD遺伝子を動
物細胞用発現ベクターに導入できる。
【0014】(3)形質転換細胞の取得 ヒト膵ラ氏島由来GADを組み込んだ動物細胞用発現ベ
クターDNAの調製は、このベクター(大腸菌内でもプ
ラスミドとして増殖可能)を大腸菌に導入し、培養後、
該菌体よりGAD遺伝子を組み込んだベクターDNAを
回収することにより行うことができる。例えば、前記の
ヒト膵ラ氏島由来GADを組み込んだpDOLベクター
DNA(以下、これを「pDOL−HIGAD」と略記
することがある)をコンピテント大腸菌XL−1 Blue
(ストラタジーン社製)に導入し、この大腸菌を培養
後、該菌体よりジェイ・サンブルックらの文献(J. Sam
brook,E.F. Fritsch, T. Maniatis, "Molecular Clonin
g: A LABORATRY MANUAL, SECOND EDITION", Cold Sprin
g Harbor Laboratory Press, 1989; 以下、この文献を
「モレキュラー・クローニング」と記す)第1章記載の
アルカリ溶解法等により、pDOL−HIGADを取得
することができる。
【0015】次に、GADを組み込んだ動物細胞用発現
ベクターDNAを、それ自体既知の通常用いられる形質
導入法、例えば、リン酸カルシウム法、電気穿孔法、リ
ポソームを用いる方法等により種々の動物細胞に導入す
ることができる(「モレキュラー・クローニング」第1
6章参照)。用い得る動物細胞としては、例えばCHO
細胞(理化学研究所細胞バンクより入手可能)、BHK
−21細胞〔シリアン・ハムスター腎細胞;アメリカン
・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)より
入手可能〕、COS−7細胞(アフリカン・グリーンモ
ンキー腎細胞;理化学研究所ジーンバンクより入手可
能)等を挙げることができる。
【0016】前記ヒト膵ラ氏島由来のGADを組み込ん
だpDOLベクターDNA(pDOL−HIGAD)の
CHO細胞への形質導入は、ウシ胎児胸腺DNAをpD
OL−HIGADのキャリアーDNA(形質転換効率を
上げるために用いる;「モレキュラー・クローニング」
第16章参照)として用い、リン酸カルシウム法により
行うことができる。形質導入した後は、適当な選択マー
カーを用いて目的の遺伝子を取り込んだ細胞のみを選択
的に増殖させることにより、目的とする形質転換動物細
胞株を得ることができる。例えば、pDOL−HIGA
Dを導入したCHO細胞は、抗生物質G418(シグマ
社より入手可能)により選択的に増殖する。pDOL−
HIGADを導入したCHO細胞の場合、形質導入2日
後より400μg/mlのG418で選択を開始し、2〜3
週間後コロニーを分離することができる。
【0017】(形質転換細胞株におけるGAD発現の確
認)得られた形質転換細胞株がヒトGADタンパクを発
現していることは、以下の方法(ウエスタン・ブロッテ
ィング法)によって確認できる。すなわち、よく生育し
た上記形質転換細胞を、界面活性剤、例えば1%のトリ
トン(Triton)X−114を含む緩衝液に可溶化し、こ
れをドデシル硫酸ナトリウム(SDS)−ポリアクリル
アミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)法にて電気泳
動後、メンブレンに転写する。このメンブレンを、GA
Dに特異的な抗体、例えばK−2(ケミコン社製)、G
AD6(デベロップメント・スタディーズ・ハイブリド
ーマ・バンク、デパートメント・オブ・バイオロジー、
ユニバーシティ・オブ・アイオワより入手可能)等を用
いて染色し、該当する分子量の位置にGAD特異的バン
ドを見いだすことにより、得られた形質転換細胞株がG
ADタンパクを発現していることが確認できる。
【0018】(ヒト血清中の抗GAD抗体検出)ヒト血
清中の抗GAD抗体を、前記方法にて得られた形質転換
細胞株を用い、以下の方法によって検出することができ
る。すなわち、界面活性剤、例えば、トリトンX−11
4を含む緩衝液でヒトGADを発現する形質転換細胞を
可溶化し、該可溶化液にヒト血清を加え、一定時間イン
キュベーションする。血清中に抗GAD抗体が存在すれ
ば、形質転換細胞中で発現されたGADとヒト血清中の
抗GAD抗体とが結合するので、この結合物を、例えば
プロテインAセファロース等で沈降させ、SDS−PA
GE用サンプル緩衝液等に可溶化し、遠心後、その上清
をSDS−PAGEにかける。これを前記の方法と同様
の手法によりメンブレンに転写し、GADと特異的に反
応する抗体、例えばGAD6で処理する。その後種々の
方法を用いて、このGAD6抗体を検出することによ
り、ヒト血清中の抗GAD抗体の存在を確認することが
できる。GAD6抗体を検出する際、例えばアマシャム
(Amersham) 社製ECLウエスタン・ブロッティング検
出システム(ECL Western blotting detection system)
を用いれば、放射性同位元素を用いることなく抗GAD
抗体、すなわち抗64KD抗体の存在を知ることができ
る。
【0019】更に、より直接的には、一般的に用いられ
ている免疫組織化学的検出方法を用い得る〔「染色法の
すべて」p155−p165(免疫組織化学)、医歯薬
出版1988年〕。すなわち、前記方法で得られた形質
転換細胞を培養し、これをスライドグラス上に塗沫す
る。これを固定剤、例えばパラホルムアルデヒドや冷ア
セトンにて処理する。固定された細胞上に1次抗体とし
てヒト血清を重層し、一定時間インキュベーションす
る。次に、緩衝液にて洗浄後、2次抗体として、標識し
た抗ヒトイムノグロブリン抗体、例えばペルオキシダー
ゼ標識抗ヒトイムノグロブリン抗体や蛍光標識抗ヒトイ
ムノグロブリン抗体と一定時間インキュベーションす
る。インキュベーション後、緩衝液、例えばPBSにて
洗浄後、ペルオキシダーゼ標識抗ヒトイムノグロブリン
抗体を用いた場合は、発色剤、例えばジアミノベンチヂ
ンを用い染色する。また、蛍光標識抗ヒトイムノグロブ
リン抗体を用いた場合は、蛍光顕微鏡下で観察する。こ
れらの染色像により、抗GAD抗体、すなわち抗64K
D抗体の存在を知ることができる。
【0020】
【実施例】以下に、実施例を用いて本発明をさらに具体
的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものでは
ない。
【0021】(実施例1) 1)ヒトGAD発現形質転換細胞株の作製 Chirgwin等の方法(Biochemistry, vol. 18, No. 24,
p.5294-5299, 1979) に従い、ヒト膵ラ氏島細胞より全
RNA画分を抽出した。得られた全RNAを鋳型とし、
モロニーマウス白血病ウイルス逆転写酵素(Bethesda R
esearch Laboratories社製)により一本鎖cDNAを合
成した。得られたcDNAを鋳型として、Karlsen 等の
発表(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, vol.88, p.8337-8
341, 1991)したヒトGAD65型遺伝子配列をもとに設
定したプライマーを用い、Innis 等の方法("PCR Proto
cols", Academic Press, Inc., 1990)に従ってPCR法
を行い、ヒト膵ラ氏島由来GAD65型cDNA(HI
GAD65 cDNA)を得た。これをプラスミドベク
ター、ブルースクリプトIISK+ (ストラタジーン社
製)に組み込んだ(操作の詳細については図1参照)。
【0022】このHIGADが組込まれたプラスミドベ
クター、ブルースクリプトIISK+(以下、これを「pBl
uescript −HIGAD」と略記することがある)DN
Aを用いて大腸菌XL−1 Blue ( ストラタジーン社
製)を形質転換し、アンピシリンで選択培養して、培養
物からアルカリ溶解法によりプラスミド(pBluescript
−HIGAD)DNAを得た。このプラスミド(pBlues
cript −HIGAD)DNAを、制限酵素BamHIお
よびSalIで消化することによりHIGAD65 c
DNAを切り出し、これを動物細胞用発現ベクター、プ
ラスミドpDOLと連結した(操作の詳細については図
2参照)。
【0023】HIGAD65 cDNAを組み込んだプ
ラスミドpDOL(pDOL−HIGAD) DNAを
用いて大腸菌XL−1 Blue(ストラタジーン社製)を形
質転換し、カナマイシンで選択培養し、培養物からのア
ルカリ溶解法によるプラスミドDNAの少量調製および
HIGAD65 cDNAの確認を行った。更にトリト
ンX−100溶解法により、約2.5mgのリコンビナン
ト・プラスミドpDOL−HIGAD DNAを調製し
た。
【0024】上記リコンビナント・プラスミドpDOL
−HIGAD DNA0.2μg 、2.0μg または2
0μg をウシ胎児胸腺DNA(40μg )と共にリン酸
カルシウム法にてCHO細胞(2×105 細胞/10cmデ
ィッシュ)へ形質導入した。
【0025】形質導入の6時間後、培地〔1L中に10
0mg ストレプトマイシン、5万単位 ペニシリンG、
2g 重炭酸ナトリウム、10%非働化ウシ胎児血清を
含むダルベッコのMEM培地(ギブコ社製)〕を交換
し、2日後より400μg/mlのG418で選択を開始
し、2週間後にクローニングシリンダーを用いて独立し
たコロニーを分離した。かくして得られた各コロニーに
ついて、以下に述べる方法でGADタンパクの発現を確
認しつつ、更に2回クローニングを繰り返し、2株のヒ
トGAD産生形質転換CHO細胞株を得た。
【0026】各コロニーにおけるGADタンパクの発現
は、GAD65を特異的に認識するモノクローナル抗体
GAD6を用いて試験した。すなわち、上記で得られた
形質転換CHO細胞を35mmディッシュにコンフルエン
トになるまで培養後、培地を除去し、1.5mlの冷PB
S(150mM NaCl を含む10mMリン酸緩衝液、pH7.
0)で細胞を2回洗浄した。洗浄後、0.05%のトリ
プシン、0.05%のEDTA(エチレンジアミン4酢
酸)を含むPBS300μl にて細胞をディッシュより
剥離し、1.5mlの培地(G418を含む)を加え、遠
心後、細胞を回収した。
【0027】回収した細胞ペレットに80μl のライジ
ング緩衝液〔20mM Tris-HCl ( pH7.4) 、150mM
NaCl 、0.5mMメチオニン、10mMベンズアミジン、
1%トラジロール、5mM EDTA 、0.1mM p−クロルメ
ルクリベンゼンスルホン酸、1%トリトンX−114〕
を加えて細胞を溶解し、氷上にて2時間インキュベート
した。次に、これを4℃、15,000rpm にて30分
遠心し、遠心上清1容量に対し2×レムリー緩衝液〔1
25mM Tris-HCl ( pH6.8) 、4%SDS、20%グ
リセロール、10%2−メルカプトエタノール、0.0
02%ブロモフェノールブルー〕1容量を加え、室温で
1時間インキュベートした後、ドデシル硫酸ナトリウム
(SDS)を含む10%ポリアクリルアミドゲル上で電
気泳動を行った。電気泳動後ゲルをメンブレンに転写
し、GAD特異的マウスモノクローナル抗体を用いて、
ウエスタン・ブロッティングを行った。
【0028】上記SDSを含むポリアクリルアミドゲル
電気泳動は、「モレキュラー・クローニング」第18章
に記載の方法に準じて行い、ウエスタン・ブロッティン
グについては、アマシャム社製「ECLウエスタン・ブ
ロッティング検出システム」キット(製品番号210
6)を用い、同プロトコールブックに従って行った。な
お、1次抗体はGAD6マウスモノクローナル抗体(マ
ウス腹水)を1,000倍希釈にて用い、2次抗体はア
マシャム社製のヤギ抗マウスイムノグロブリン抗体(ペ
ルオキシダーゼ標識)を10,000倍希釈にて用い
た。
【0029】かくして得られた2株のヒトGAD発現形
質転換CHO細胞株を、それぞれHIGAD65CHO−
1およびHIGAD65CHO−2と命名した。これら細
胞株のGADタンパク発現をウエスタン・ブロッティン
グにより検出した結果を図3に示す。なお、上記ヒトG
AD発現形質転換CHO細胞株HIGAD65CHO−1
およびHIGAD65CHO−2は、平成5年3月11日
付で工業技術院生命工学工業技術研究所に、それぞれ受
託番号:FERM P−13524およびFERMP−
13525として寄託されている。
【0030】(実施例2) ヒト血清中の抗GAD65型抗体の検出 実施例1で得たHIGAD65CHO−2を実施例1に記
載の方法に従って培養し、細胞を回収した。回収した細
胞を、1.8×106 /ml になるようライジング緩衝液
に溶解し、氷上にて2時間インキュベートした。インキ
ュベーション後、4℃、15,000rpm にて30分遠
心し、上清を採取した。
【0031】この上清190μl に5μl のヒト血清を
加え、氷上にて一晩インキュベートした。これに100
μl の20%プロテインAセファロース4Bを加え、ロ
ーテーターにて回転下、4℃にて1時間反応させた。反
応後、4℃、15,000rpm にて90秒遠心し、上清
を吸引除去した。この沈殿に800μl の洗浄緩衝液
〔20mM Tris-HCl ( pH7.4) 、150mM NaCl 、1
0mM ベンズアミジン、0.5%トリトンX−114〕
を加えてよく攪拌し、4℃、15,000rpm にて90
秒遠心して洗浄した。この洗浄操作を更に2回繰り返
し、最後に沈殿に500μl の冷蒸留水を加えてよく攪
拌し、4℃、15,000rpm にて90秒遠心した。
【0032】上清を吸引除去し、沈殿に30μl のサン
プル緩衝液〔80mM Tris-HCl ( pH6.8) 、3% S
DS、15% グリセロール、5% 2−メルカプトエ
タノー、0.006% ブロモフェノールブルー〕を加
えてよく攪拌し、室温にて1時間インキュベートした。
インキュベート後、室温にて15,000rpm で90秒
遠心し、実施例1の方法に従って上清をSDSポリアク
リルアミド電気泳動した。
【0033】電気泳動後、実施例1の方法に従ってウエ
スタン・ブロッティングを行い、ヒト血清中の抗GAD
抗体を検出した。その結果、11例のIDDM患者中9
例が陽性(陽性率81.8%)を示し、また、インスリ
ン非依存型糖尿病(NIDDM)患者4例および健常者
5例は陰性を示し、本方法の有用性が示された。図4に
検出結果の代表例を示す。
【0034】
【発明の効果】本発明のヒトGAD発現形質転換細胞に
より、インスリン依存型糖尿病の診断のための従来の抗
64KD抗体検出において必要とされた、新鮮ヒトまた
はラット膵島抽出物の用時調製および放射性同位元素の
使用が不要となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】ヒト膵ラ氏島由来GAD遺伝子の取得操作図。
【図2】ヒト膵ラ氏島由来GAD遺伝子のベクタープラ
スミドpDOLへの導入操作図。
【図3】ウエスタン・ブロッティングによる本発明の細
胞株のヒトGADタンパク発現の検出例。
【図4】ウエスタン・ブロッティングによるヒト血清中
の抗GAD抗体(抗64KD抗体)の検出例。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:91) (C12N 9/88 C12R 1:91) (72)発明者 渡部 素生 茨城県稲敷郡阿見町中央8丁目3番1号 三菱油化株式会社筑波総合研究所内 (72)発明者 斎藤 和子 茨城県稲敷郡阿見町中央8丁目3番1号 三菱油化株式会社筑波総合研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒトグルタミン酸脱炭酸酵素の発現が可
    能なベクターにより形質転換されたヒトグルタミン酸脱
    炭酸酵素発現動物細胞株。
  2. 【請求項2】 該形質転換された動物細胞株が、チャイ
    ニーズハムスター卵母細胞株である請求項1記載の動物
    細胞株。
  3. 【請求項3】 請求項1または2のいずれかに記載の動
    物細胞株を用いるヒトグルタミン酸脱炭酸酵素に対する
    抗体の検出法。
JP5081956A 1993-04-08 1993-04-08 ヒトグルタミン酸脱炭酸酵素を産生する形質転換された動物細胞株 Pending JPH06292569A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5081956A JPH06292569A (ja) 1993-04-08 1993-04-08 ヒトグルタミン酸脱炭酸酵素を産生する形質転換された動物細胞株

Applications Claiming Priority (1)

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JP5081956A JPH06292569A (ja) 1993-04-08 1993-04-08 ヒトグルタミン酸脱炭酸酵素を産生する形質転換された動物細胞株

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US7531167B2 (en) 2004-10-28 2009-05-12 University Of Pittsburgh - Of The Commonwealth System Of Higher Education Herpes simplex virus vector
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