JPH0629192Y2 - 船舶の上部構造物動揺吸収制御装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は船舶の上部構造物動揺吸収制御装置に関する。

〔従来の技術〕

例えば、高速旅客艇の上部構造物動揺吸収制御装置とし
ては、従来、第６図側面図及び第７図正面図に示すよう
に、船体016の上甲板017中心線上に前後一対的に立設さ
れた案内柱018に球面軸受019を介して嵌合された上部構
造物020を船体016上にそれぞれ立設され上部構造物020
の自重を支える複数のラム型油圧シリンダー021，前後
左右一対のサーボ型油圧シリンダー022により支持する
ものが知られている。

このような装置では、上部構造物020の前後揺れ，左右
揺れは案内柱018及び球面軸受019により船体016に拘束
され、船体016の波浪023による上下揺れ，縦揺れ，横揺
れは、第４図系統図（但し鎖線部分に限る）に示すよう
に、船体動揺検出装置024により上下揺れ量Ｚ_Ｇ，縦揺
れ量θ，横揺れ量φを検出し、これ等を上下揺れ縦揺れ
横揺れ吸収演算装置025に入力し、その結果を油圧サー
ボ装置026に入力し、サーボ型油圧シリンダー022を制御
することにより上部構造物020が空間座標に対して上下
運動を生じないように保持している。

しかしながら、このような装置では、下記のような欠点
がある。

(1) 船体016の横揺れに伴う上部構造物020の左右揺れ
（第８図正面図参照）と上部構造物020の船首揺れが吸
収できないので、そこの乗心地が十分に良好とは言えな
い。

(2) 前後揺れやその加速度に対する拘束が剛なので、
上部構造物の乗心地が低下する。

〔考案が解決しようとする課題〕

本考案は、このような事情に鑑みて提案されたもので、
上部構造物の左右揺れ及び船首揺れを吸収できるとゝも
に、上部構造物の船体への拘束が柔らかく乗心地が十分
に良好となる高性能な船舶の上部構造物動揺吸収制御装
置を提供することを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

そのために本考案は、船体に上向きに取付けられた複数
の油圧シリンダーにより支持された上部構造物を上記船
体に付設された船体動揺検出装置により検出された上下
揺れ，縦揺れ量，横揺れ量を入力とする上下揺れ縦揺れ
横揺れ吸収演算装置の出力により油圧サーボ装置を介し
て作動させる船舶の上部構造物動揺吸収制御装置におい
て、上記上部構造物の前後の上記船体上にそれぞれ立設
された前後一対の支柱上にそれぞれ左右方向に取付けら
れた左右揺れ吸収用油圧シリンダーと、下端部が上記船
体に枢着され上端部が上記左右揺れ吸収用油圧シリンダ
ーに枢着された回動型案内竪棒と、一端が上記上部構造
物の前後端部にそれぞれ緩衝機構を介して取付けられ他
端部に上記回動型案内竪棒に縦方向及び横方向に圧接す
る弾性案内ローラーが付設された前後一対の竪棒嵌合部
材と、上記船体動揺検出装置により検出された横揺れ量
と上記上部構造物に付設された加速度計の左右方向加速
度量とを入力とする左右揺れ吸収演算装置の出力により
上記左右揺れ吸収用油圧シリンダーを駆動する油圧サー
ボ装置とを具えたことを特徴とする。

〔作用〕

上述の構成により、上部構造物の左右揺れ及び船首揺れ
を吸収できるとゝもに、上部構造物の船体への拘束が柔
らかく乗心地が十分に良好となる高性能な船舶の上部構
造物動揺吸収制御装置を得ることができる。

〔実施例〕

本考案を双胴船型の高速旅客艇に適用した一実施例を図
面について説明すると、第１図はその側面図、第２図は
第１図の正面図、第３図は第１図III部の部分拡大平面
図、第４図は第１図の全体系統図、第５図は第１図装置
の作用を示す模式的正面図である。

上図において、第６〜８図と同一の符番はそれぞれ同図
と同一の部材を示し、まず、第１〜２図において、１は
ラム型油圧シリンダー021に接続する大容量のアキュム
レーター、２は上部構造物020の前後の上甲板017上にそ
れぞれ船長方向を向いて立設された門型支柱、３は下端
部が水平船長方向ピン４を介して船体016に枢支され上
端部が門型支柱２の頂部に船巾方向に取付けられた左右
揺れ吸収用油圧シリンダー５のピストンロッドの先端部
に水平船長方向ピン６を介して枢支された回動型案内竪
棒である。

次に、第３図において、７は基端が上部構造物020の中
心線上前後部にそれぞれ船長方向に圧縮コイルばね８を
介して取付けられ、先端部に回動型案内竪棒３の左右面
を挟み込む左右一対の空気タイヤを使用したガイドロー
ラー９と回動型案内竪棒３の後端面又は前端面を押す空
気タイヤを使用したガイドローラー10とを枢着する前後
一対の竪棒嵌合部材である。

更に、第４図において、11は船体動揺検出装置024で検
出した横揺れ量φと上部構造物020内に置かれた客室加
速度計12による左右揺れ加速度量α_ｙとより上部構造物
020の左右揺れの吸収に必要な左右揺れ吸収用油圧シリ
ンダー５の変位を計算する左右揺れ吸収演算装置、13は
上下揺れ縦揺れ横揺れ吸収演算装置025と左右揺れ吸収
演算装置11とが協働して構成する制御演算装置、14は左
右揺れ吸収演算装置11の指令信号により左右揺れ吸収用
油圧シリンダー５を作動させる油圧サーボ装置である。

このような装置において、船体016の横揺れに伴う上部
構造物020の左右揺れを吸収するには、第４図に示すよ
うに、船体動揺検出装置024で検出した横揺れ量φと客
室加速度計12で検出した左右方向加速度量α_ｙとを左右
揺れ吸収演算装置11に入力し演算した結果の指令信号を
油圧サーボ装置14に入力し、左右揺れ吸収用油圧シリン
ダー５を船巾方向に伸縮させ、回動案内竪棒３を左回動
又は右回動し、竪棒嵌合部材７を船巾方向に移動させる
ことにより行う。

こゝで、左右揺れ吸収演算装置11に横揺れ量φを入力す
るのは、客室の船体016の横揺れ軸上方へのレベル差を
_Ｇとすると、客室レベルでの左右揺れ量はｙ_ｃ＝_Ｇ
φで計算できるからである。

また、左右揺れ吸収用油圧シリンダー５は船体016に前
後一対的に設けられているので、これ等を互いに連動さ
せることにより、上部構造物020の船首揺れを吸収させ
ることができる。

更に、回動型案内竪棒３と上部構造物020とは竪棒嵌合
部材７により空気タイヤを使用したガイドローラー10及
び圧縮コイルばね８を介して連結されているので、船体
016の前後揺れや加速度による上部構造物020への衝撃が
小さくなる。

このような装置によれば、下記効果が奏せられる。

(1) 前後一対的に設けられた左右揺れ吸収用油圧シリ
ンダーにより上部構造物の左右揺れ及び船首揺れが吸収
されるので、そこの乗心地が良くなる。

(2) 竪棒嵌合部材に空気タイヤのガイドローラー及び
圧縮コイルばねを使用するので、上部構造物の前後揺れ
が柔らげられ、そこの乗心地が向上する。

〔考案の効果〕

要するに本考案によれば、船体に上向きに取付けられた
複数の油圧シリンダーにより支持された上部構造物を上
記船体に付設された船体動揺検出装置により検出された
上下揺れ量，縦揺れ量，横揺れ量を入力とする上下揺れ
縦揺れ横揺れ吸収演算装置の出力により油圧サーボ装置
を介して作動させる船舶の上部構造物動揺吸収制御装置
において、上記上部構造物の前後の上記船体上にそれぞ
れ立設された前後一対の支柱上にそれぞれ左右方向に取
付けられた左右揺れ吸収用油圧シリンダーと、下端部が
上記船体に枢着され上端部が上記左右揺れ吸収用油圧シ
リンダーに枢着された回動型案内竪棒と、一端が上記上
部構造物の前後端部にそれぞれ緩衝機構を介して取付け
られ他端部に上記回動型案内竪棒に縦方向及び横方向に
圧接する弾性案内ローラーが付設された前後一対の竪棒
嵌合部材と、上記船体動揺検出装置により検出された横
揺れ量と上記上部構造物に付設された加速度計の左右方
向加速度量とを入力とする左右揺れ吸収演算装置の出力
により上記左右揺れ吸収用油圧シリンダーを駆動する油
圧サーボ装置とを具えたことにより、上部構造物の左右
揺れ及び船首揺れを吸収できるとゝもに、上部構造物の
船体への拘束が柔らかく乗心地が十分に良好となる高性
能な船舶の上部構造物動揺吸収制御装置を得るから、本
考案は産業上極めて有益なものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案を双胴船型の高速旅客艇に適用した一実
施例を示す側面図、第２図は第１図の正面図、第３図は
第１図III部の部分拡大平面図、第４図は第１図の全体
系統図、第５図は第１図装置の作用を示す模式的正面図
である。 第６図，第７図，第８図はそれぞれ公知の双胴船型の高
速旅客艇に適用された船舶の上部構造物動揺吸収制御装
置を示す側面図，正面図，上部構造物の左右揺れを示す
模式正面図である。 １……アキュムレーター、２……門型支柱、３……回動
型案内竪棒、４……ピン、５……左右揺れ吸収用油圧シ
リンダー、６……ピン、７……竪棒嵌合部材、８……圧
縮コイルばね、９，10……ガイドローラー、11……左右
揺れ吸収演算装置、12……客室加速度計、13……制御演
算装置、14……油圧サーボ装置、 016……船体、017……上甲板、020……上部構造物、021
……ラム型油圧シリンダー、022……サーボ型油圧シリ
ンダー、023……波浪、024……船体動揺検出装置、025
……上下揺れ縦揺れ横揺れ吸収演算装置、026……油圧
サーボ装置、_Ｇ ……レベル差、Ｚ_Ｇ……上下揺れ量、α_ｙ……左右
方向加速度量、θ……縦揺れ量、φ……横揺れ量

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】船体に上向きに取付けられた複数の油圧シ
   リンダーにより支持された上部構造物を上記船体に付設
   された船体動揺検出装置により検出された上下揺れ量，
   縦揺れ量，横揺れ量を入力とする上下揺れ縦揺れ横揺れ
   吸収演算装置の出力により油圧サーボ装置を介して作動
   させる船舶の上部構造物動揺吸収制御装置において、上
   記上部構造物の前後の上記船体上にそれぞれ立設された
   前後一対の支柱上にそれぞれ左右方向に取付けられた左
   右揺れ吸収用油圧シリンダーと、下端部が上記船体に枢
   着され上端部が上記左右揺れ吸収用油圧シリンダーに枢
   着された回動型案内竪棒と、一端が上記上部構造物の前
   後端部にそれぞれ緩衝機構を介して取付けられ他端部に
   上記回動型案内竪棒に縦方向及び横方向に圧接する弾性
   案内ローラーが付設された前後一対の竪棒嵌合部材と、
   上記船体動揺検出装置により検出された横揺れ量と上記
   上部構造物に付設された加速度計の左右方向加速度量と
   を入力とする左右揺れ吸収演算装置の出力により上記左
   右揺れ吸収用油圧シリンダーを駆動する油圧サーボ装置
   とを具えたことを特徴とする船舶の上部構造物動揺吸収
   制御装置。