JPH06289396A - 液晶表示素子およびその配向膜の形成方法 - Google Patents

液晶表示素子およびその配向膜の形成方法

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JPH06289396A
JPH06289396A JP7264593A JP7264593A JPH06289396A JP H06289396 A JPH06289396 A JP H06289396A JP 7264593 A JP7264593 A JP 7264593A JP 7264593 A JP7264593 A JP 7264593A JP H06289396 A JPH06289396 A JP H06289396A
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liquid crystal
long
chain alkyl
film
polyamic acid
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JP7264593A
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Yasushi Nakajima
靖 中島
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Casio Computer Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】LB法によりポリイミドからなる水平配向膜を
形成した液晶表示素子として、液晶分子を所望のプレチ
ルト角をもたせて配向させた、液晶の初期配向不良や駆
動電圧印加時のリバースチルトディスクリネーション配
向不良等がない良好な表示品質の液晶表示素子を提供す
る。 【構成】LB法によりポリアミック酸と長鎖アルキルア
ミンとを反応させてなる化合物の単分子膜を積層しこの
積層膜をイミド化処理して形成するポリイミド膜からな
る水平配向膜8,9を、前記ポリアミック酸と長鎖アル
キルアミンとの混合比を制御して単位面積当たりに長鎖
アルキル基が所定の割合で残留するように形成し、液晶
分子Aを、前記水平配向膜8,9の単位面積当たりの長
鎖アルキル基残留割合に応じたプレチルト角φで配向さ
せた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液晶分子を水平方向に
配向させた液晶表示素子およびその水平配向膜の形成方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】液晶分子を水平方向に配向させた液晶表
示素子には、TN(ツイステッド・ネマティック)モー
ドのもの、STN(スーパー・ツイステッド・ネマティ
ック)モードのもの、ECB(電界制御型複屈折)モー
ドのうちの水平配向型のもの、強誘電性液晶または反強
誘電性液晶を用いたもの等がある。
【0003】これらの液晶表示素子は、液晶層をはさん
で対向する一対の透明基板の互いに対向する面に、透明
電極と、液晶分子を水平方向に配向させるための水平配
向膜とを形成した構成となっている。
【0004】これらの液晶素子の基板上に設けられる水
平配向膜は、従来、基板上にポリイミド等を塗布してそ
の膜面をラビング処理する方法、または基板上に酸化硅
素(Si O2 )等を斜方蒸着する方法によって形成され
ていたが、最近では、ラングミュア・ブロジェット(La
ngumuir-Blodgett)法によってポリイミド膜からなる水
平配向膜を形成する方法が採用されるようになってきて
いる。
【0005】上記ラングミュア・ブロジェット法(以
下、LB法と記す)は、静水面上に単分子膜を作り、あ
らかじめ水中に垂直に浸漬させておいた基板を一定速度
で引上げながら、水面上の単分子膜を基板上に被着させ
てゆく方法であり、このLB法によるポリイミド膜の形
成は、ポリアミック酸と長鎖アルキル基を有するアミン
(以下、長鎖アルキルアミンという)とをイオン結合反
応させてなるポリアミック酸誘導体化合物(ポリアミッ
ク酸塩)の単分子膜をLB法により基板上に被着させる
工程を複数回繰返して前記単分子膜を基板上に積層し、
この積層膜をイミド化処理してポリイミド膜とする方法
で行なわれている。
【0006】上記LB法によって基板上に被着されたポ
リアミック酸誘導体化合物の単分子膜は、分子長の長い
分子が基板の引上げ方向に沿って並んでいるため、この
単分子膜の積層膜をイミド化したポリイミド膜は、液晶
分子を一方向に均一に配向させる配向性をもっており、
したがって、その膜面をラビング処理することなく、こ
のポリイミド膜をそのまま水平配向膜とすることができ
る。
【0007】ところで、液晶表示素子においては、液晶
分子の配向状態が液晶表示素子の電気光学特性に大きく
影響するため、良好な表示を得るには、液晶分子の配向
の安定性を良くしてやる必要がある。
【0008】この液晶分子の配向の安定性を左右する重
要な要素は、配向膜によって与えられる液晶分子のプレ
チルト角(液晶分子の長軸が基板面に対してなす角度)
であり、このプレチルト角が大きいほど、液晶分子の配
向の安定性が良くなる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記L
B法により形成された水平配向膜は、液晶分子をプレチ
ルトしない(プレチルト角0°)状態で配向させる。
【0010】このため、従来の液晶表示素子は、液晶の
初期配向不良を生じたり、駆動電圧印加時にリバースチ
ルトディスクリネーション配向不良を発生したりすると
いう問題をもっていた。
【0011】本発明は、LB法によりポリイミドからな
る水平配向膜を形成した液晶表示素子として、液晶分子
を所望のプレチルト角をもたせて配向させた、液晶の初
期配向不良や駆動電圧印加時のリバースチルトディスク
リネーション配向不良等がない良好な表示品質の液晶表
示素子を提供するとともに、あわせて、その水平配向膜
の形成方法を提供することを目的としたものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の液晶表示素子
は、液晶層をはさんで対向する一対の透明基板の互いに
対向する面に、透明電極と、LB法によりポリアミック
酸と長鎖アルキル基を有するアミンとを反応させてなる
化合物の単分子膜を積層してこの積層膜をイミド化処理
したポリイミド膜からなる水平配向膜とを形成してな
り、かつ、前記水平配向膜は、前記ポリアミック酸と長
鎖アルキル基を有するアミンとの混合比を制御して単位
面積当たりに前記長鎖アルキル基が所定の割合で残留す
るように形成されており、液晶分子が、前記水平配向膜
の単位面積当たりの長鎖アルキル基残留割合に応じたプ
レチルト角をもって配向していることを特徴とするもの
である。
【0013】また、本発明の水平配向膜の形成方法は、
透明電極を形成した透明基板上に、LB法によりポリア
ミック酸と長鎖アルキル基を有するアミンとを反応させ
てなる化合物の単分子膜を所定数積層し、この積層膜を
所定に条件でイミド化処理してポリイミド膜からなる水
平配向膜を形成する方法であって、前記ポリアミック酸
と長鎖アルキル基を有するアミンとの混合比を制御し、
単位面積当たりに前記長鎖アルキル基を所定の割合で残
留させたポリイミド膜からなる水平配向膜を得ることを
特徴とするものである。
【0014】
【作用】すなわち、本発明の液晶表示素子は、LB法に
より形成するポリイミド膜からなる水平配向膜を、ポリ
アミック酸と長鎖アルキル基を有するアミンとの混合比
を制御して単位面積当たりに長鎖アルキル基が所定の割
合で残留するように形成したものであり、前記長鎖アル
キル基は疎水性をもっているため、水平配向膜の単位面
積当たりの長鎖アルキル基の残留割合を多くするほど、
配向膜の表面張力が小さくなり、液晶分子が、前記表面
張力に応じたプレチルト角をもって水平配向する。
【0015】このため、前記ポリアミック酸と長鎖アル
キル基を有するアミンとの混合比を制御して、上記水平
配向膜の単位面積当たりの長鎖アルキル基の残留割合を
制御すれば、液晶分子を所望のプレチルト角をもたせて
配向させて、液晶の初期配向不良や駆動電圧印加時のリ
バースチルトディスクリネーション配向不良等がない良
好な表示品質を得ることができる。
【0016】また、本発明の水平配向膜の形成方法は、
LB法によりポリアミック酸と長鎖アルキル基を有する
アミンとを反応させてなる化合物の単分子膜を積層し、
この単分子膜の積層膜をイミド化処理して長鎖アルキル
アミンが残留するポリイミド膜を形成するものであり、
前記ポリアミック酸と長鎖アルキル基を有するアミンと
の混合比を、あらかじめ設定した単分子膜の積層数とそ
のイミド化条件とに応じて制御することにより、それに
応じて前記ポリイミド膜の長鎖アルキル基残留割合が決
まるため、液晶分子を所望のプレチルト角をもたせて配
向させる水平配向膜を得ることができる。
【0017】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。
【0018】図1は液晶表示素子の断面図である。この
液晶表示素子は、ガラス等からなる一対の透明基板1,
2を枠状のシール材3を介して接合し、この両基板1,
2間のシール材3で囲まれた領域に液晶を封入したもの
で、両基板1,2の互いに対向する面にはそれぞれ、透
明電極4,5が形成されている。また、この両基板1,
2の電極形成面は、酸化硅素(Si O2 )等からなる透
明な絶縁膜6,7で覆われており、この絶縁膜6,7の
上に水平配向膜8,9が形成されている。
【0019】なお、この液晶表示素子は、TNモードま
たはSTNモードのものであり、両基板1,2間に封入
された液晶の分子Aは、両基板1,2側の配向膜8,9
の近傍の液晶分子Aの各配向方向を前記配向膜8,9で
規制され、両基板1,2間において所定のツイスト角で
ツイスト配向している。ただし、図1では、便宜上、液
晶分子Aをツイスト配向していない状態で示している。
【0020】上記水平配向膜8,9は、いずれも、ポリ
アミック酸と長鎖アルキル基を有するアミン(以下、長
鎖アルキルアミンという)とを反応させてなる化合物の
単分子膜を数層〜数十層に重ねて被着させた膜をイミド
化したポリイミド膜からなっている。
【0021】この水平配向膜8,9は、次のような方法
で形成する。なお、ここでは、一方の基板1に設ける水
平配向膜8の形成について説明するが、他方の基板2に
設ける水平配向膜9も同様にして形成する。
【0022】上記ポリアミック酸は、下記の[化3]の
構造式で表わされ、このポリアミック酸は、[化1]の
構造式で表わされるテトラカルボン酸二無水物と、[化
2]の構造式で表わされるジアミンとを合成して得られ
る。
【0023】
【化1】
【0024】
【化2】
【0025】
【化3】
【0026】また、上記長鎖アルキルアミンは、親水性
をもつポリアミック酸に疎水性を付与するためのもので
あり、この長鎖アルキルアミンは次の[化4]の構造式
で表わされる。
【0027】
【化4】
【0028】上記ポリアミック酸を溶媒に溶かした溶液
と、上記長鎖アルキルアミンを同じ溶媒に溶かした溶液
とを所定の割合で混合し、ポリアミック酸と長鎖アルキ
ルアミンとをイオン結合反応させて、下記の[化5]の
構造式で表わされるポリアミック酸誘導体化合物(ポリ
アミック酸塩)の溶液を作成する。なお、上記ポリアミ
ック酸および長鎖アルキルアミンの溶媒としては、NM
P(N−メチル−2−ピロリジノン)とベンゼンを1:
1の割合で混合した混合溶媒を用いる。
【0029】
【化5】
【0030】そして、上記水平配向膜8は、透明電極4
を形成しその上に絶縁膜6を形成した基板1上に、LB
法によって上記ポリアミック酸誘導体化合物の単分子膜
を所定層に積層し、この単分子膜の積層膜を熱処理する
ことにより形成される。図2は、基板1上にポリアミッ
ク酸誘導体化合物の単分子膜をLB法によって被着させ
る方法を示している。この単分子膜の被着は次のように
して行なう。まず、上記基板1の単分子膜被着面(絶縁
膜6面)に親水性処理を施し、この基板1を水槽10内
の水中に垂直に浸漬させる。
【0031】次に、水面高さに設けたバー状の移動バリ
ア11と基板1との間の水面上に上記ポリアミック酸誘
導体化合物の溶液を滴下して、その単分子膜aを水面上
に展開させる。
【0032】次に、移動バリア11を基板方向に移動さ
せて水面上の単分子を密集させ、単分子膜aの表面圧を
一定圧(25dyn/cm)に調整した後、移動バリア11を
基板方向に一定速度(2mm/min)で移動させて単分子膜
aを基板方向に押しながら、これに同調させて基板1を
引上げて、水面上の単分子膜aを基板1上に被着させ
る。
【0033】このとき、水面上の単分子は、親水性をも
つ部分が親水性処理を施してある基板1に付着して引上
げられるため、単分子膜aは、分子がほぼ一方向に並ん
だ状態で基板1上に被着する。以下は、上記単分子膜a
の被着工程を繰返して、基板1上に上記単分子膜aを所
定層に積層する。
【0034】このようにして基板1上にポリアミック酸
誘導体化合物の単分子膜aを積層した後は、200℃以
上で約1時間加熱する熱処理を行なう。この熱処理によ
り、基板1上の積層膜のイミド化が進み、アルキルアミ
ンが残留する水平配向膜8が形成される。
【0035】この場合、ポリアミック酸と長鎖アルキル
アミンとがイオン結合した化合物であるポリアミック酸
誘導体化合物の単分子積層膜は、そのアルキルアミンが
除去されるとともに脱水閉環され、次の[化6]のよう
な構造をもったポリイミドとなるようにイミド化される
が、そのイミド化が完結されずに、アルキルアミンが所
定の割合で残留する。このアルキルアミンの残留量は、
熱処理条件等を一定にした場合、ポリアミック酸と長鎖
アルキルアミンとの混合比によって変化する。したがっ
て、ポリアミック酸と長鎖アルキルアミンとの混合比を
適宜設定することによって長鎖アルキル基の残留割合を
制御することができる。
【0036】
【化6】
【0037】そして、上記液晶表示素子においては、そ
の両基板1,2のポリイミド膜からなる水平配向膜8,
9が、ポリアミック酸と長鎖アルキルアミンとの混合比
を適宜設定することにより、その単位面積当たりの上記
[化4]に示した長鎖アルキルアミンにおける長鎖アル
キル基R3 の残留割合を制御して形成され、この水平配
向膜8,9により液晶分子Aを所望のプレチルト角φを
もって配向させている。
【0038】図3および図4は、ポリアミック酸と長鎖
アルキルアミンとの混合比を制御してLB法により形成
したポリイミド膜からなる水平配向膜8,9の長鎖アル
キル基R3 の残留状態を模式的に示す図であり、図3は
ポリアミック酸と長鎖アルキルアミンの量(モル量)を
ほぼ同じにしたときの長鎖アルキル基残留状態、図4は
ポリアミック酸の量よりも長鎖アルキルアミンの量を多
くしたときの長鎖アルキル基残留状態を示している。
【0039】この図3および図4のように、上記LB法
により形成したポリイミド膜からなる水平配向膜8,9
の長鎖アルキル基R3 の残留割合は、ポリアミック酸と
長鎖アルキルアミンとの混合比によって変化し、また長
鎖アルキルアミンの量を多くするほど、長鎖アルキル基
3 の残留割合が増加するとともに、その分布も均一に
なる。
【0040】そして、上記液晶表示素子においては、L
B法により形成するポリイミド膜からなる水平配向膜
8,9を、その単位面積当たりに長鎖アルキル基R3
所定の割合で残留するようにポリアミック酸と長鎖アル
キルアミンとの混合比を制御して形成しているため、液
晶分子を所望のプレチルト角φをもたせて配向させるこ
とができる。
【0041】これは、上記長鎖アルキル基が疎水性をも
っているためであり、水平配向膜8,9の単位面積当た
りの長鎖アルキル基R3 の残留割合を多くするほど、配
向膜8,9の表面張力が小さくなり、液晶分子Aがプレ
チルト角φをもって配向する。
【0042】このため、上記ポリアミック酸と長鎖アル
キルアミンとの混合比を制御して、水平配向膜8,9の
単位面積当たりの長鎖アルキル基R3 の残留割合を制御
すれば、液晶分子Aを所望のプレチルト角をもたせて配
向させて、液晶の初期配向不良や駆動電圧印加時のリバ
ースチルトディスクリネーション配向不良等がない良好
な表示品質を得ることができる。
【0043】上記のような長鎖アルキル基残留割合の水
平配向膜8,9は、ポリアミック酸と長鎖アルキルアミ
ンとの混合比を、上述したLB法により積層する単分子
膜aの積層数とそのイミド化条件とに応じて制御して形
成する。
【0044】すなわち、この水平配向膜8,9の形成方
法は、LB法によりポリアミック酸と長鎖アルキルアミ
ンとを反応させてなる化合物の単分子膜aを積層する際
に、前記ポリアミック酸と長鎖アルキルアミンとの混合
比を制御することにより、前記単分子膜aの積層膜をイ
ミド化処理して形成するポリイミド膜における長鎖アル
キル基R3 の残留割合を制御するものであり、前記ポリ
アミック酸と長鎖アルキルアミンとの混合比を単分子膜
aの積層数とそのイミド化条件とに応じて制御すると、
それに応じて単位面積当たりの長鎖アルキル基残留割合
が決まるため、液晶分子Aを所望のプレチルト角φをも
たせて配向させる水平配向膜8,9を得ることができ
る。
【0045】図5は、上記ポリアミック酸と長鎖アルキ
ルアミンとの混合比と、上記単分子膜aの積層数と、イ
ミド化温度と、形成された配向膜の表面張力との関係を
示しており、ここでは、ポリアミック酸と長鎖アルキル
アミンとの混合比(モル比)を、ポリアミック酸:長鎖
アルキルアミン=1:3と、ポリアミック酸:長鎖アル
キルアミン=1:5との二通りに選び、それぞれをイミ
ド化温度200℃でイミド化処理した例を示している。
【0046】この図5のように、ポリアミック酸と長鎖
アルキルアミンとの混合比を1:3にして形成したポリ
イミド膜からなる配向膜は、単分子膜aの積層数が18
層程度以下の場合は表面張力が大きすぎて液晶分子Aを
ほとんどプレチルトさせず(プレチルト角φ=0)、そ
れよりも単分子膜aの積層数を多くした場合に、液晶分
子Aをある程度のプレチルト角φ(例えば積層数が23
層の場合でφ=3.2°)をもって配向させる表面張力
になる。なお、この表面張力は、単分子膜aの積層数を
多くするほど小さくなり、それにともなって液晶分子A
のプレチルト角φが大きくなる。
【0047】また、ポリアミック酸と長鎖アルキルアミ
ンとの混合比を1:5にして形成したポリイミド膜から
なる配向膜は、単分子膜aの積層数が10層程度以下の
場合は表面張力が大きすぎて液晶分子Aがほとんどプレ
チルトしないが、それよりも単分子膜aの積層数を多く
すると、液晶分子Aがプレチルト角φをもって配向する
表面張力になる。この場合のプレチルト角φは、例えば
積層数が約11層の場合でφ=0.4°、積層数が約1
7層以上の場合でφ=13°以上である。なお、この場
合も、配向膜の表面張力は単分子膜aの積層数を多くす
るほど小さくなり、それにともなって液晶分子Aのプレ
チルト角φが大きくなるが、積層数が約22層を越える
と、プレチルト角φが90°に近くなって、液晶分子A
が垂直配向してしまう。
【0048】なお、ポリアミック酸に対する長鎖アルキ
ルアミンの量が3倍(混合比1:3)以下であっても、
単分子膜aの積層数をさらに多くすることによって液晶
分子Aのプレチルト配向させることができるが、単分子
膜aの積層数を多くすると、配向膜8,9が厚くなっ
て、印加電圧が配向膜において大きく降下する。
【0049】したがって、上記ポリアミック酸と長鎖ア
ルキルアミンとの混合比は、ポリアミック酸:長鎖アル
キルアミン=1:3〜1:5の範囲とするのが望まし
く、この範囲であれば、単分子膜aの積層数をあまり多
くすることなく、液晶分子Aを所望のプレチルト角φを
もたせて配向させる水平配向膜8,9を得ることができ
る。
【0050】なお、上記実施例では、単分子膜aの積層
膜のイミド化処理を熱処理によって行なっているが、こ
のイミド化処理は、酸無水物等の溶液による化学処理に
よっても、また前記化学処理と上記熱処理との両方を併
用して行なってもよく、その場合も、ポリアミック酸と
長鎖アルキルアミンとの混合比を単分子膜aの積層数と
そのイミド化条件とに応じて制御すれば、液晶分子を所
望のプレチルト角をもたせて配向させる水平配向膜を得
ることができる。
【0051】また、上記実施例の液晶表示素子は、TN
モードまたはSTNモードのものであるが、本発明は、
ECB(電界制御型複屈折)モードのうちの水平配向型
の液晶表示素子や、強誘電性液晶または反強誘電性液晶
を用いた液晶表示素子等にも適用することができる。
【0052】
【発明の効果】本発明の液晶表示素子は、LB法により
形成するポリイミド膜からなる水平配向膜を、ポリアミ
ック酸と長鎖アルキルアミンとの混合比を制御して単位
面積当たりに長鎖アルキル基が所定の割合で残留するよ
うに形成したものであるから、液晶分子を所望のプレチ
ルト角をもたせて配向させて、液晶の初期配向不良や駆
動電圧印加時のリバースチルトディスクリネーション配
向不良等がない良好な表示品質を得ることができる。
【0053】また、本発明の水平配向膜の形成方法は、
LB法によりポリアミック酸と長鎖アルキルアミンとを
反応させてなる化合物の単分子膜を積層し、この積層膜
をイミド化して長鎖アルキル基が残留するポリイミド膜
を形成する方法で、前記ポリアミック酸と長鎖アルキル
アミンとの混合比をあらかじめ設定した単分子膜の積層
数とそのイミド化条件とに応じて制御することにより、
前記ポリイミド膜の長鎖アルキル基の残留割合を制御す
るものであるため、液晶分子を所望のプレチルト角をも
たせて配向させる水平配向膜を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す液晶表示素子の断面
図。
【図2】LB法による基板上への単分子膜の積層法を示
す図。
【図3】ポリアミック酸と長鎖アルキルアミンの量をほ
ぼ同じにして形成した水平配向膜の長鎖アルキル基R3
の残留状態を模式的に示す図。
【図4】ポリアミック酸の量よりも長鎖アルキルアミン
の量を多くして形成した水平配向膜の長鎖アルキル基R
3 の残留状態を模式的に示す図。
【図5】ポリアミック酸と長鎖アルキルアミンとの混合
比と、単分子膜の積層数と、イミド化温度と、形成され
た配向膜の表面張力との関係を示す図。
【符号の説明】
1,2…基板 4,5…電極 6,7…絶縁膜 8,9…LB法により形成したポリイミド膜からなる水
平配向膜 A…液晶分子

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】液晶層をはさんで対向する一対の透明基板
    の互いに対向する面に、透明電極と、ラングミュア・ブ
    ロジェット法によりポリアミック酸と長鎖アルキル基を
    有するアミンとを反応させてなる化合物の単分子膜を積
    層してこの積層膜をイミド化処理したポリイミド膜から
    なる水平配向膜とを形成した液晶表示素子であって、前
    記水平配向膜は、前記ポリアミック酸と長鎖アルキル基
    を有するアミンとの混合比を制御して単位面積当たりに
    前記長鎖アルキル基が所定の割合で残留するように形成
    されており、液晶分子が、前記水平配向膜の単位面積当
    たりの長鎖アルキル基残留割合に応じたプレチルト角を
    もって配向していることを特徴とする液晶表示素子。
  2. 【請求項2】透明電極を形成した透明基板上に、ラング
    ミュア・ブロジェット法によりポリアミック酸と長鎖ア
    ルキル基を有するアミンとを反応させてなる化合物の単
    分子膜を所定数積層し、この積層膜を所定の条件でイミ
    ド化処理してポリイミド膜からなる水平配向膜を形成す
    る方法であって、 前記ポリアミック酸と長鎖アルキル基を有するアミンと
    の混合比を制御し、単位面積当たりに前記長鎖アルキル
    基を所定の割合で残留させたポリイミド膜からなる水平
    配向膜を得ることを特徴とする配向膜の形成方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09185068A (ja) * 1995-12-28 1997-07-15 Nec Corp 液晶配向膜材料及び液晶表示パネルの製造方法
US7164455B2 (en) 2002-10-25 2007-01-16 Seiko Epson Corporation Device, manufacturing method thereof, and electronic instrument with the device
JP2011131185A (ja) * 2009-12-25 2011-07-07 Oji Paper Co Ltd ラングミュア・ブロジェット膜転写用基板ジグ、ラングミュア・ブロジェット膜転写装置およびラングミュア・ブロジェット膜転写方法

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