JPH0628920Y2 - アレスター内蔵形高圧カットアウト - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は襲雷地区の柱上用変圧器の１次側保護用として
使用するアレスター内蔵形高圧カットアウトの改良に関
する。

〔従来技術〕

従来、アレスター内蔵形高圧カットアウトとして、本体
碍子の貫通孔からなる収納部に電圧非直線性抵抗素子を
収納すると共にその下部に放電ギャップ装置を直列的に
収納し、他端に上部補助接続金具を直列的に収納し、こ
れらを、その収納部にシリコーン樹脂等を充填して保持
するようにしたものがある。

〔本考案が解決しようとする課題〕

前記従来のものにおいては、その組付時における前記収
納部内に収納された各部品の相互の接触状態が、各部品
の自重による自然な接触であり、この接触状態を充填さ
れたシリコーン樹脂等で保持するものであるため、各部
品相互間の接触不良が生じやすい問題がある。

そこで本考案は、前記各部品の相互の接触状態を良好に
するアレスター内蔵形高圧カットアウトを提案すること
を目的とするものである。

〔課題を解決するための手段〕

本考案は前記の課題を解決するために、本体碍子に貫通
孔からなる収納部を設け、該収納部内に、上下方向に貫
通する放出孔を形成した電圧非直線性抵抗素子を内蔵
し、該素子の下部には放電ギャップ装置を配置し、上部
にはアース側端子に電気的接続された上部接触補助金具
を配置して、これら相互間を接触させて電気的に接続し
たものにおいて、前記放電ギャップ装置の上端にねじ部
材を固設し、前記上部接触補助金具の上面に導電材料よ
りなる締付金具を当接配置し、前記電圧非直線性抵抗素
子内の放出孔に細径でかつ上下部にねじを刻設した連結
杆を貫通的に挿通して、その下部のねじ部を前記ねじ部
材に螺着し、上部のねじ部に前記締付金具を螺着して、
該締付金具の回転により前記放電ギャップ装置と上部接
触補助金具間を締めつけるようにしたことを特徴とする
アレスター内蔵形高圧カットアウトである。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例について第１図乃至第４図に基づ
き具体的に説明する。

１はアレスター内蔵形高圧カットアウトを示すもので、
普通磁器やアルミナ含有磁器からなる本体碍子２の上部
凹欠部2aには上部消弧装置３が固設され、また下部凹欠
部2bには下部消弧装置４が固設されている。上、下部消
弧装置３，４は細隙形の上、下部消弧室５，６とクリッ
プ形の上、下部固定接点７，８と、電線接続端子９，10
とを接続する上、下部導電金具11,12と、固定接点と一
体の上下部固定金具13,14とからなり、該消弧装置３，
４は上記固定金具13,14を本体碍子２の上部内面に形成
した取付穴2c,2dに没入し、接着材15でもって固定され
る。

なお、下部消弧室６は上記の場合、固定金具14だけでな
く消弧室の延長部6aを取付穴2nに没入し、接着材16によ
って固設される。2eは上部凹欠部2aと下部凹欠部2bとの
中間に位置して形成した貫通孔からなる中空状のアレス
ター収納部であり、同部は内段部2fによって上方に素子
収納部2gがまた、下方には放電ギャップ装置収納部2hが
それぞれ形成され、さらに素子収納部2gはその周壁の上
端部2jが本体碍子の上面2kからさちに上方に突出した状
態で形成されている。上記放電ギャップ装置収納部2hに
形成した内段部2fの下方側面には、挿入側（下方側）に
拡開するテーパ状の接合部2mが形成されている。

次に第２図において、17は放電ギャップ装置であり、同
装置は絶縁スペサー18と充電側放電電極19とアース側放
電電極20とからなる。上記絶縁スペサー18は普通磁器、
アルミナ磁器さらにはチタン磁器によって大略瓶形の筒
状に形成されており、外周面18aにはそのほぼ中央に位
置して、その挿入端側が挟小するテーパ状の接合部18b
が側方へ突出形成されている。また、充電側放電電極19
は放電部19aとキャップ部21とキャップに付設した金属
性の連通管22とからなり、その放電部19aはステンレ
ス、銅タン等で作られ、また、キャップ部21はコバール
等の封着金属で作られ、さらに連通管22はステンレスで
作られている。上記の放電部19aはそのネジ部23がキャ
ップ部21の外側に突出するようにキャップ部21の中央に
設けたネジ穴に対し内側からネジ込まれた後、一体（気
密的）にロウ付けされている。また、上記の連通管22は
上記キャップ部21に形成した小穴23に対し外側から差し
込まれた後同様にロウ付けされる。24は接続用のナット
を示す。

上記のアース側放電電極20は放電部20aとキャップ部25
とからなり、放電部20aはキャップ部25にネジ込まれた
後一体にロウ付けされている。

また、前記充電側放電電極19のキャップ部21は絶縁スペ
サー18の下端開口部18cを塞ぐようにして設けられてい
るもので、その側周面には内方への環状突起21aを設
け、しかも絶縁スペサーの側周面に沿って上方へ延長し
た先端部21bと絶縁スペサー18の側周面との間隙に低融
点ガラスフリット26を注入し、加熱処理して、気密的に
封着される。

また、アース側放電電極のキャップ部25は絶縁スペサー
18の上端開口部18dを塞ぐようにして設けられるもの
で、そのキャップ部25の環状突起25aを絶縁スペサー18
の側周面に一旦当接した後、その延長部25bと絶縁スペ
サー18の周面との間の間隙に低融点ガラスフリット27を
注入し、そして加熱処理され、気密的に封着される。

なお、上記において絶縁スペサー18の両端の開口部18c,
18dをそれぞれ塞ぐようにした上記両放電電極のキャッ
プ部21,25については、万が一放電ギャップＧに続流ア
ークが流れた場合に、そのアーク熱によってキャップ部
が破壊（溶損）しないように平面部の厚みを側周面の厚
みに比較して厚く形成している。上記封着に使用される
低融点ガラスフリット26,27は結晶質の封着ガラス（例
えば岩城ガラス製 品番名 7574 封着温度750℃）が
使用されるが、これとは別に熔融温度が1000℃程度の銀
ロウを使用して気密封着してもよい。ただし、この場合
には絶縁スペサー18の上、下部外周面にマンガン、モリ
ブデンの合金層にニッケルメッキを施したメタライズ部
を予め形成し、このメタライズ部に対し、両放電電極の
キャップ部21,25を夫々気密的に接合する。

このようにして絶縁スペサー18の両端の開口部を封着し
た充電側放電電極19とアース側放電電極20とはその両電
極のそれぞれの放電部19a,20aが絶縁スペサー18内にお
いて対向して所定の放電ギャップＧを形成している。

また封着に際し、上記の放電ギャップ装置は、同装置内
が常温において大気圧（１気圧）に保たれるべく、充電
側放電電極19のキャップ部21に付設した装置内外を連通
する連通管22を放電ギャップ装置17の最終組立段階にお
いて圧漬し、さらにTIG熔接によって封じるようにして
いる。つまり、上記封着条件によって、商用周波放電開
始電圧が13.9kv以上、さらに雷インパンス放電開始電圧
33kv以下に設定される。

28はボルトよりなる連結用のねじ部材で、前記キャップ
部25の中央上面に固着されている。29は環状の下部導電
管で、前記ねじ部材28の外周に位置して前記キャップ部
25の上面に載置されている。30は前記下部導電管29の上
面に載置した導電板よりなる下部接触補助金具で、その
中央には穴30aが形成されている。31はアレスター収納
部2gに収納したドーナツ形の電圧非直線性抵抗素子で酸
化亜鉛(Zn0)からなり、その中央には放出孔31aを貫通的
に形成している。32は前記素子32の外周面に一体に被着
したEPR、EPT等のゴム性の衝撃緩衝部材である。

33は前記素子31の上面に載置した状の導電材料よりな
る上部接触補助金具で、その底面中央部には穴33aが形
成されている。34は前記上部接触補助金具33内に収納し
た乾燥材である。35は細径の連結杆で、ガラス繊維入り
ポリアセタール樹脂、ガラス繊維入りエポキシ樹脂等の
機械的強度に優れたFRPから作られている。該連結杆35
は素子31の中央に形成した放出孔31aに貫通的に備えら
れており、その下端は、これに形成した雌ねじ35aによ
って前記ねじ部材28に螺合連結され、上端は、これに雄
ねじ35bを形成して前記上部接触補助金具33内に突出し
ている。36は締付金具で、その中央に雌ねじ36aが形成
され、これを介して前記連結杆35の雄ねじ35bに螺合連
結されている。該締付金具36の上面には導電材料よりな
る接触金具37が固着されており、該接触金具37の周縁が
前記上記接触補助金具33の上面に当接している。該接触
金具37の中央部には操作用窓孔37aが形成されている。
前記締付金具36の周壁内面には回動用の突起38が第３図
に示す如く、中心方向に突出形成されており、前記操作
用窓孔37aより工具を差し込んでその工具を突起38に係
合し、その工具の回転により締付金具36を回転できるよ
うになっている。39はキャップで、前記の締付金具36を
回転締付けした後に前記操作用窓孔37aを閉じて接着材
等で接触金具37に固着するものである。40は後述する充
填剤46が内部に入らないようにする管で、前記接触金具
37上に載置されている。41はアレスター収納部2gの上端
開口端にＯリング42を介して気密的に加締付けたキャッ
プ金具、43はキャップ金具の外面側の中央に固着したア
ース側端子、44,45は接触金具37とキャップ金具41との
間に介在したコイルバネと可撓導体である。46はアレス
ター収納部2gにおける前記各部材と本体碍子間の間隙に
密に注入したシリコーン樹脂等からなる充填材である。
47は放電ギャップ装置収納部2hの下端開口部2pの内周面
に形成した環状溝2qに対して嵌着したFRP、ポリアセタ
ール、ポリエチレン、ナイロン、ABS等の合成樹脂や硬
質ゴム等の絶縁部材からなる逆皿状の遮蔽体であり、放
電ギャップ装置17の外側（下側）を囲むようにして取付
けられるものである。同遮蔽体は第４図に示す如く、そ
の中央にだるま穴からなる小穴47aが形成されまた、周
壁部47bには同周壁部に弾力性を付与するためのスリ割
り47cが形成されている。48は前記ギャップ装置17なら
びに遮蔽体47の取付後にこれらの外面を完全に覆うよう
にして収納部内に密に注入される絶縁性を有するシリコ
ーン樹脂系の充填材を示す。

次に第１図において、49は本体碍子２に対しピン50によ
って開閉自在に軸着した蓋体碍子であり、その内面側に
は弾性部材の嵌合金具51及び係合片52によって取脱自在
に装着されたヒューズ筒53を備えている。上記ヒューズ
筒53はその上部に上方へ突出するブレード形の上部可動
接点54と、また下部に下部可動接点55とを備えたもの
で、さらにこれら両可動接点54,55間を電気的に接続す
るヒューズ56が備えられている。なお、上記の両可動接
点54,55は蓋体碍子49の閉蓋時、本体碍子２側のクリッ
プ形の固定接点７，８に対し、それぞれ挟入接触するよ
うになっていて、それにより両固定接点７，８をヒュー
ズ56により電気的に閉路するようになっている。57は本
体碍子２の上面2kに取付けられた支持金具であり、同金
具はアレスター収納部2eを挟んで上面2kの上下にセメン
ト等の接着材58によって固着された取付ボルト59にネジ
着されている。

次に組立方法について説明する。

まず、常温下でギャップ装置17内が大気圧（１気圧）に
保持され、さらに所定の放電ギャップ長に設定された放
電電極19,20を備えた放電ギャップ装置17を本体碍子に
形成した収納部のギャップ収納部2hの所定の位置にセッ
トし、その絶縁スペサー18のテーパ状の外周面18bとこ
れが接触する碍子２の接触部2m間に低融点ガラスフリッ
ト60を加熱熔融して一体に固着する。

次で、前記低融点ガラスフリット60の冷却後、アース側
放電電極20の上方に突設するねじ部材28のネジ部に対
し、絶縁性の連結杆35を、その一端に螺着して連結す
る。

次で、直立した連結杆35に対し、下部導電管29、下部接
触補助金具30の順で嵌めて落とし込む。

次で、中央に放出孔を形成したドーナツ形の電圧非直線
性抵抗素子31を同じく連結杆35に嵌めて落とし込み、素
子収納部2g内にセットする。なお、同抵抗素子31は２段
積みされ、さらにこれらの外周面をEPR（エチレン・ポ
リプロプレン・ラバー）等の絶縁部材32によって一体に
被着されたものを使用する。

次で、抵抗素子31をセットしたならば、同素子の上端面
から若干上方へ突出した状態の連結杆35に対して上部接
触補助金具33を嵌め、さらに同金具の上に環状の乾燥剤
34がセットされる。

次に締付金具36のねじ部36aを連結杆35の上端の雄ねじ
部35bに螺合して締付金具36を締め付ける。締め付け
は、同金具の内面に形成した突起38を利用して行なう。
この締付けにより、一体の接触金具36が上部接触補助金
具37を下方へ押圧する。すなわち、この締付けにより、
前記キャップ部25と接触金具37間に介在されている下部
導電管29、下部接触補助金具30、素子31及び上部接触補
助金具33が相互に押し付けられ、その接触状態が確実に
行なわれる。

次で、締め付けが終わったならば、上記締付金具36にキ
ャップ39を取り付けると共に、管40をセットする。

次に上記管40内にコイルバネ44と可撓導片45をセットす
る。このコイルバネ44と可撓導片45は後述の充填材46の
充填後であってもよい。

このようにして前記の各部材を本体碍子の収納部2h,2g
内にセットしたならば、同収納部の所定の隙間に対しシ
ール材と緩衝材と絶縁材とを兼用するシリコーン樹脂系
の充填材46,46aを注入する。

そしてＯリング42を介して、収納部の上部開口端にキャ
ップ金具41を加締付けて同端を水密的に閉鎖する。

なお、上記組付後、放電ギャップ装置の充電側放電電極
19は、接続導板61によってカットアウトの下部固定接点
８に接続され、また、逆皿状の遮蔽体47が下部開口端2p
の内面の環状溝2qに嵌着されて閉鎖され、さらに空間に
はシリコーン樹脂系の充填材48が密に注入されて、該ア
レスター部の組立ては終了する。

次に作用について説明する。

上記構成からなる高圧カットアウトは、平常時は放電ギ
ャップ装置の放電ギャップＧにおいて絶縁が確保されて
いるため、上部電線接続端子９−上部固定接点７−上部
可動接点54−ヒューズ56−下部可動接点55−下部固定接
点８−下部電線接続端子10−高圧引下線−柱上用変圧器
の一次側端子の経路で通電される。

次に雷サージが侵入すると同サージにより放電ギャップ
Ｇにおいて放電が発生するため、侵入したサージは上部
電線接続端子９−上部固定接点７−上部可動接点54−ヒ
ューズ56−下部可動接点55−下部固定接点８−接続板61
−充電側放電電極19−放電ギャップＧ−アース側放電電
極20−下部導電管29−電圧非直線性抵抗素子31−上部接
触補助金具33−接触金具37−コイルバネ44・可撓導体45
−キャップ金具41−アース側端子43−同端子に接続する
接続線を経て大地に至る放電経路に逃がされる。

〔考案の効果〕

以上のように本考案によれば、放電ギャップ装置と上部
接触補助金具間に介在される部材が締付金具の締め付け
によって相互に確実に締め上げられるため、これら相互
間が強力に押圧されて良好な接触状態となる。

また、電圧非直線性抵抗素子の放出孔内に貫通配置した
連結杆は、前記の締付けが可能な細径のものでよいた
め、仮に素子の内周面である放出孔を通じて閃絡し、ア
ークが発生しても放出孔にはまだ充分な放圧空間が確保
され、同アーク及び圧力を放出孔により速やかに本体外
へ放出することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す側断面図、第２図は要部
の拡大側断面図、第３図は締付金具の平面図、第４図は
遮蔽体の側断面図である。 ２……本体碍子、2g,2h……収納部、17……放電ギャッ
プ装置、28……ねじ部材、31……素子、31a……放出
孔、33……上部接触補助金具、35……連結杆、43……ア
ース側端子

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】本体碍子に貫通孔からなる収納部を設け、
   該収納部内に、上下方向に貫通する放出孔を形成した電
   圧非直線性抵抗素子を内蔵し、該素子の下部には放電ギ
   ャップ装置を配置し、上部にはアース側端子に電気的接
   続された上部接触補助金具を配置して、これら相互間を
   接触させて電気的に接続したものにおいて、前記放電ギ
   ャップ装置の上端にねじ部材を固設し、前記上部接触補
   助金具の上面に導電材料よりなる締付金具を当接配置
   し、前記電圧非直線性抵抗素子内の放出孔に細径でかつ
   上下部にねじを刻設した連結杆を貫通的に挿通して、そ
   の下部のねじ部を前記ねじ部材に螺着し、上部のねじ部
   に前記締付金具を螺着して、該締付金具の回転により前
   記放電ギャップ装置と上部接触補助金具間を締めつける
   ようにしたことを特徴とするアレスター内蔵形高圧カッ
   トアウト。