JPH06288362A - スクロール形圧縮機 - Google Patents

スクロール形圧縮機

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Publication number
JPH06288362A
JPH06288362A JP8173893A JP8173893A JPH06288362A JP H06288362 A JPH06288362 A JP H06288362A JP 8173893 A JP8173893 A JP 8173893A JP 8173893 A JP8173893 A JP 8173893A JP H06288362 A JPH06288362 A JP H06288362A
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JP
Japan
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spherical
scroll
compressor
scroll member
plate
Prior art date
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Pending
Application number
JP8173893A
Other languages
English (en)
Inventor
Shiyunichi Mitsuya
俊一 三津谷
Shigeru Machida
茂 町田
Isao Hayase
功 早瀬
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】従来のクランクシャフトに代えて、てこ部材に
円錐形状の軌跡を描く運動をさせる事により旋回スクロ
ール部材2に公転運動を与え、てこの原理を利用してラ
ジアル方向荷重が作用する摺動部の摺動荷重および摺動
速度を低減した構造とする。また、固定スクロール部材
1のスクロールラップ部1bの歯底面と旋回スクロール
部材2のスクロールラップ部1bの歯先面との間に板状
体を配設し、これに隣接するアクチュエータと、圧縮機
の運転状態を検出するための温度センサあるいは圧力セ
ンサと、該温度センサあるいは圧力センサからの入力信
号によりアクチュエータを駆動するための駆動回路を備
える。 【効果】高効率で耐久性の高いスクロール型圧縮機を提
供することができる。また、作動流体の漏れを低減し、
なおかつ摺動摩擦損失の少ないスクロール形圧縮機を提
供できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、作動流体の圧縮,膨
張,搬送あるいは作動流体による駆動等を行うスクロー
ル形流体機械に係り、特に、冷凍機や空気調和機の冷凍
サイクル用圧縮機として用いるのに好適なスクロール形
圧縮機に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のスクロール型圧縮機は、例えば、
特開平2−264181 号公報に記載されている様に、旋回ス
クロール部材を旋回(公転)運動させる為にモータで直
接駆動されるクランクシャフトを用いており、そのクラ
ンクシャフトのクランクピン部と旋回スクロール部材と
の回転摺動部及びモータ軸受けの回転摺動部に、旋回ス
クロール部材のスクロールラップ部に作用する圧縮気体
の圧力によるラジアル荷重が作用する構造であった。ま
た、旋回スクロール部材は固定スクロール部材と固定プ
レート部材とに挟まれてその軸方向位置を規制される構
造であり、旋回スクロール部材の鏡板部の前後の鏡板面
に作用する気体の圧力差によるスラスト荷重が、旋回ス
クロール部材と固定スクロール部材との間の公転摺動部
または旋回スクロール部材と固定プレート部材との間の
公転摺動部に作用する構造であった。
【0003】また、特開昭55−46046 号公報に記載され
ているようにスクロール端版の背面部に圧力を作用させ
て、お互いのスクロールラップで画成される圧縮作動室
内の流体圧力により両スクロール部材が離反しようとす
る力を打ち消し、一方のスクロールラップの歯先面と他
方のスクロールラップの歯底面との隙間を狭小にするこ
とが提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の技術では、
まず、クランクピン部や軸受部の様に摺動速度の大きい
回転摺動部に比較的大きなラジアル荷重が加わるので機
械摩擦損失が大きく圧縮機の効率を低下させる原因とな
り、また過酷な運転状態では摺動条件が厳しくなり、摩
耗,焼き付きが発生して圧縮機の信頼性も低下させると
いう問題があった。更に、旋回スクロール部材と固定ス
クロール部材との間の公転摺動部または旋回スクロール
部材と固定プレート部材との間の公転摺動部の摺動速度
は比較的小さいものの、そこに作用するスラスト荷重が
上記ラジアル荷重に比べて大きくなるのがスクロール形
圧縮機では一般的であるので、上記従来の技術ではスラ
スト荷重による機械摩擦損失もやはり圧縮機の効率を低
下させる原因となるという問題があった。また、上記他
の従来技術では、圧縮動作過程で生じる作動流体の圧縮
熱によるスクロール部材の不均一な熱変形や圧力による
スクロール部材の不均一な熱変形については十分な考慮
がなされていない。そのため、不均一な局部的変形によ
り両スクロールラップの摺動面間で局部的に強い接触が
起きたり、場合によってはスクロールラップ間の軸方向
隙間が大きくなったり不均一になったりする。
【0005】また、上記他の従来の技術では、スクロー
ルラップ面同士に強い接触が起きると摺動摩擦によって
その部分に熱が発生するため更に熱変形が大きくなり、
ますます摺動摩擦損失が増大し悪循環となる。そして、
最悪な場合には焼き付きを起こし運転不能となることが
あった。
【0006】本発明の目的は、スクロール形圧縮機にお
いて、旋回スクロール部材に公転運動を与える為の駆動
機構各部でラジアル荷重およびスラスト荷重により発生
する機械摩擦損失を低減して圧縮機の効率を向上させる
と共に圧縮機の運転状態に応じてスクロールラップの軸
方向隙間を常に適正な状態に維持し、高信頼性,高効率
なスクロール形圧縮機を提供することにある。また、圧
縮機の運転状態に応じて圧縮機の吐出圧力を最適に制御
し、高効率なスクロール形圧縮機を提供することにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は、旋回スクロール部材に旋回(公転)運動を
与える駆動機構として従来のクランクシャフトに代え、
その一部が圧縮機駆動用モータ内部に挿入されている構
造のてこ部材を固定部材により前記固定部材上の一点を
中心として球面対偶で支持し、旋回スクロール部材を前
記てこ部材により前記固定部材との球面対偶中心とは別
の点を中心として球面対偶で支持し、更に前記固定スク
ロール部材の鏡板部に垂直で前記てこ部材と固定部材と
の球面対偶中心を通る軸線を回転軸とする回転部材によ
りその回転軸から偏位した位置において前記てこ部材を
前記二つの球面対偶中心を結んだ軸線を相対的な回転軸
として回転支持して構成される駆動機構を採用し、更
に、前記てこ部材の前記固定部材から前記旋回スクロー
ル部材の球面対偶支持中心までの距離が前記てこ部材の
前記固定部材から前記回転部材の球面対偶支持中心まで
の距離より大きくすることにより達成される。
【0008】また、一方のスクロールラップの歯底面と
他方のスクロールラップの歯先面との間に空間を設け、
この空間にスクロールラップの溝にうまく適合させた板
状体を配設し、さらにその板状体に隣接する複数個のア
クチュエータと、圧縮機の運転状態を検出するための温
度センサあるいは圧力センサと、該温度センサからの入
力信号により該複数個のアクチュエータを駆動するため
の駆動手段を備えることにより達成される。更に、該て
こ部材の球面支持部周辺に温度センサ,スラスト軸受部
にアクチュエータを当設することにより達成される。
【0009】
【作用】まず、上記の課題を解決するための手段の構造
により、てこ部材は固定部材との球面対偶中心が固定部
材上の一転に拘束され回転部材による回転支持部が固定
スクロール部材の鏡板部に垂直で前記てこ部材と固定部
材との球面対偶中心を通る軸線を回転軸として公転運動
する。したがって、てこ部材と旋回スクロール部材との
球面対偶中心も固定スクロール部材の鏡板部に垂直で前
記てこ部材と固定部材との球面対偶中心を通る軸線を回
転軸として公転運動を行う。一方で旋回スクロール部材
は自転防止機構により自転を阻止されているため旋回ス
クロール部材はその結果として旋回運動する。
【0010】てこ部材には旋回スクロール部材から圧縮
気体の圧力による比較的大きな荷重が旋回スクロール部
材との球面対偶部に作用するが、てこ部材は一方で固定
部材との球面対偶部と回転部材との回転対偶部とにより
支持される。今、てこ部材の旋回スクロール部材との球
面対偶部を荷重点,固定部材との球面対偶部を支点,回
転部材との回転対偶部を力点とすると、支点から荷重点
までの距離に対して支点から力点までの距離を大きくし
てあるので、てこの原理により力点である回転部材との
回転対偶部に加わる荷重の大きさは荷重点である旋回ス
クロール部材との球面対偶部に加わる荷重の大きさに対
して小さくなる。また、これにより、回転部材の回転を
支持する軸受部に加わる荷重の大きさも小さくなる。
【0011】てこ部材との間で荷重を及ぼし合う部材で
ある旋回スクロール部材,固定部材,回転部材のうち
で、固定部材は当然自転運動を行わず旋回スクロール部
材もオルダムリング機構等の自転防止機構により自転運
動を行わないが、回転部材のみは固定スクロール部材の
鏡板部に垂直で前記てこ部材と固定部材との球面対偶中
心を通る軸線を回転軸として回転するので自転運動を行
う。ところで、自転運動を行わない固定部材と旋回スク
ロール部材のそれぞれとてこ部材との間に作用する荷重
の和は、自転運動を行う回転部材とてこ部材との間に作
用する荷重に比べて十分大きくなるので、摩擦力により
てこ部材を自転させまいとする回転抵抗トルクが、摩擦
力により自転させようとする回転駆動トルクより大きく
なり、結局、てこ部材は自転運動を行わない。従って、
てこ部材は、固定部材と旋回スクロール部材に対してほ
ぼ固定スクロール部材の鏡板部に垂直な軸線に対するて
こ部材中心軸の傾斜角を片振幅とする揺動摺動を行い、
回転部材に対してのみ相対的な回転摺動を行う。
【0012】以上の結果、旋回スクロール部材に公転運
動を与える駆動機構において、てこ部材と回転部材との
間の摺動部及び回転部材の軸受部では回転摺動であるた
め摺動速度は大きいが摺動荷重が低減され、てこ部材と
固定部材との間の摺動部及びてこ部材と旋回スクロール
部材との間の摺動部では摺動荷重は大きいが揺動摺動と
なることにより摺動速度が低減されるので、それらの摺
動部におけるラジアル荷重による機械摩擦損失の総和が
小さくなり摺動条件が特に厳しい摺動部分も無くなるこ
とにより、圧縮機の効率と信頼性の向上が図れる。
【0013】また、上記の課題を解決するための他の手
段の構造により、圧縮機の運転状態を検出する温度セン
サの入力信号により駆動手段がアクチュエータの駆動を
行うと同時に、これに隣接する板状体が圧縮作動室内の
作動圧力に打ち勝ち前記複数個のアクチュエータによっ
て軸方向に移動する。これにより、前記板状体とスクロ
ールの歯先面との隙間を圧縮機の運転状態に応じて常に
適正な値に積極的に補償するものである。また、両スク
ロールラップ同士がお互いに強く接触しなくなり摺動摩
擦損失も大幅に低減できるので、圧縮機の効率を向上さ
せることができると共に作動流体の漏れを最小限にする
ことができ、圧縮機の効率向上が図れる。また、板状体
の板厚を変えることにより、ラップの不均一な熱膨張や
変形に対応しやすいので、シール効果向上や焼付防止が
図れる。また、前記板状体を両スクロールラップの歯先
面と歯底面に配設することにより、より一層の効果が得
られる。また、前記複数個のアクチュエータを圧電素子
で形成することにより、微少なラップ間の隙間管理が可
能となる。また、前記複数個のアクチュエータに異なる
変位量を与えることにより、スクロール部材の温度分布
に応じた適正なラップ間の隙間を補償することが可能と
なる。また、前記駆動手段は、圧縮機起動後から一定時
間内は、前記センサからの信号によらず前記板状体を前
記旋回スクロールのラップの歯先面に強制的に押しつけ
るような制御ロジックが組まれている。これにより、ス
クロール部材の温度上昇までの時間のラップ間の隙間を
適正に保つことができる。また、前記駆動手段は、圧縮
機停止後から一定時間内は、その動作が補償されてい
る。これにより、前記スクロール部材が冷却されるまで
の間は、アクチュエータが駆動しているので、前記板状
体と前記旋回スクロールのラップ間の隙間が保たれる。
また、前記てこ部材の各球面支持部の温度センサを検出
し、その入力信号により前記板状体に当設する複数個の
アクチュエータおよびスラスト軸受部に当設するアクチ
ュエータを前記駆動手段により駆動することにより、圧
縮機の運転状態に応じた適正なスクロールラップ部の径
方向の隙間が補償されると共に前記てこ部材の球面支持
部の摺動条件を緩和することが可能となる。更には、前
記スクロール部材に圧力センサを設け上記手段と組み合
わせることにより、圧縮機の運転状態に応じた最適な吐
出圧力の制御ができると共に圧縮機の信頼性,効率を向
上させることが可能となる。
【0014】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図1により説明す
る。同図は、本実施例のスクロール形圧縮機の断面図を
示したものである。
【0015】固定スクロール部材1は鏡板部1aとスク
ロールラップ部1bとから構成されている。旋回スクロ
ール部材2も鏡板部2aとスクロールラップ部2bとか
ら構成されており、スクロールラップ部2bとスクロー
ルラップ部1bとが噛み合うように、固定スクロール部
材1に対向して配置されている。固定スクロール部材1
の外周部には第1プレート部材3がボルト4により旋回
スクロール部材2を囲むように固定されており、更に、
旋回スクロール部材2と第1プレート部材3との間には
オルダムリング5が組み込まれている。オルダムリング
5の旋回スクロール部材2側に一直線上に配置された一
対のキー部5aが形成され、旋回スクロール部材に形成
された一対のキー溝部2cに挿入されており、オルダム
リング5の第1プレート部材3側には一対のキー部5a
と直角方向に一直線上に配置された一対のキー部(図示
せず)が形成されており、第1プレート部材3の一対の
キー溝部(図示せず)に挿入されている。第1プレート
部材3の外周はチャンバ6に固定されており、チャンバ
6には、圧縮機駆動用モータのステータ部7および第2
プレート部材8が固定されている。圧縮機駆動用モータ
は、外部電源からハーメ端子57を介して給電され駆動
を行う。第1プレート部材3と第2プレート部材8に
は、それぞれ中央部にボス部3a,8aおよび円筒状の
穴部3b,8bが形成されており、それらの穴部3b,
8bは互いに同軸となるように配置されている。また、
穴部8bには外周円筒面部と内周球面部を持つ球面支持
部材9が挿入されており、球面支持部材9により外周球
面部と内周円筒面部を持つ球面ブッシュ10が支持され
て、いわゆる球面軸受を構成している。
【0016】主ロータ部材11には、図1における左方
向の端部にシャフト部11aが形成されており、また、
外周部に永久磁石12が固定されている。主ロータ部材
11には、更に、シャフト部11aの端面から図1にお
ける右方向の端面まで貫通した空洞13が形成されてい
る。副ロータ部材14には、図1における右方向の端部
にシャフト部14aが形成されており、また、図1にお
ける左方向の端面に開口する穴部14bがシャフト部1
4aの中心軸から半径方向に偏位して形成されている。
穴部14bには、外周円筒面部と内周球面部を持つ球面
支持部材15が挿入されており、球面支持部材15によ
り外周球面部と内周円筒面部を持つ球面ブッシュ16が
支持されて、いわゆる球面軸受を構成している。主ロー
タ部材11と副ロータ部材14とは、それらのシャフト
部11a,14aが互いに同軸となる様に、ボルト17
により一体に結合されて圧縮機駆動用モータのロータ部
18を形成している。ロータ部18は、その二つのシャ
フト部11a,14aがそれぞれ第1プレート部材の穴
部3bと第2プレート部材の穴部8bに球面支持部材9
を介して支持された球面ブッシュ10とに回転自在に嵌
入されて両持ちの状態で軸受支持されている。なお、副
ロータ部材14のシャフト部14aの先端部にはスラス
トプレート19が組み込まれており、キー20によりロ
ータ部18と一緒に回転してスラスト軸受21と当接し
て回転摺動を行うが、副ロータ部材のシャフト部14a
とスラストプレート19とは球22を介して当接してお
り、スラストプレート19とスラスト軸受21とが片当
たりせず常に均等に接触する様になっている。圧縮機駆
動用モータのステータ部7,ロータ部18のそれぞれの
マグネットセンタ23,24を互いに軸方向に偏位させ
てロータ部18に常にスラストプレート21とスラスト
軸受22が当接する方向の磁気力が作用する構造となっ
ているので、ロータ部18の軸方向位置はスラスト軸受
22の軸方向位置により決定される。スラスト軸受21
はその外周にねじが形成してあり第2プレート部材8に
対してねじ込まれてその軸方向位置を調節しロックナッ
ト25により最終的に固定される。すなわち、ロータ部
18の軸方向位置を調整することが可能である。
【0017】てこ部材26には、一端に球面部26a,
他端に円筒面部26b、更に、それらの中間にもう一つ
の球面部26cが形成されており、球面部26aの球心
と球面部26cの球心とを結んだ軸線が円筒面部26b
の中心軸となっている。てこ部材26は、円筒面部26
bが前記球面ブッシュ16の内周円筒面部に回転自在に
嵌入されて軸受支持され、球面部26cが外周円筒面部
と内周球面部を持ち第1プレート部材の穴部3bに挿入
固定された球面支持部材27により球面対偶で支持され
ている。てこ部材の球面部26aには旋回スクロール部
材のスクロールラップ部2bと反対側に鏡板部2aの中
央部から立設させたボス部2dが、外周円筒面部と内周
球面部を持ち該ボス部2dの内周円筒面に挿入された球
面支持部材28を介して球面対偶で支持されている。ま
た、てこ部材26は、球面部26cの中心と円筒面部26
bとの距離が、球面部26cの中心と球面部26aの中
心との距離に比べて十分大きくなる様に形成されてい
る。なお、球面支持部材9,15,27,28はいずれ
も半径方向(図示せず)に分割できる構造となってい
る。
【0018】また、固定スクロール部材1のラップ1b
の歯底面と旋回スクロール部材2のラップ2bの歯先面
の隙間には、板状体37とこれに隣接するアクチュエー
タすなわち圧電素子38と、圧縮機の運転時の各スクロ
ール部材内部の温度変化を検出するための温度センサ3
9と、前記温度センサ39からの入力信号により圧電素
子38を駆動するための駆動回路40が信号線41,4
2を介して設けてある。
【0019】チャンバ6の両端開口部には第1サイドチ
ャンバ29と第2サイドチャンバ30とが溶接されて、
全体として密閉容器を形成している。作動流体は吸入口
31より圧縮機内に流入し、固定スクロール部材1に向
かう吸入通路を形成する吸入管32の内部を通過した
後、外周部から圧縮作動室44に吸入されその容積の減
少により中央部へ移動しながら圧縮され、固定スクロー
ル部材の鏡板部1aの中央部に形成された吐出ポート1
cから吐出弁33,吐出弁押さえ34を通過して吐き出
される。その後、固定スクロール部材1あるいは第1プ
レート部材3とチャンバ6との間の隙間部を通過してモ
ータ室に流入した後、第2サイドチャンバ30に設けら
れた吐出口35から圧縮機外に流出する。
【0020】以上の構成とすることにより、圧縮機駆動
用モータのロータ部18が回転すると、円筒面部26b
がロータ部18の回転軸から偏位した位置に支持され球
面部26cが回転軸上の点を中心として球面対偶支持さ
れているてこ部材26の中心軸は、ロータ部18の回転
軸に対して一定の傾斜角を保ちながら、球面対偶中心を
頂点とする二つの円錐状の軌跡を描く。従って、てこ部
材の球面部26aの中心は円運動を行い、球面部26a
により球面対偶支持された旋回スクロール部材2に公転
運動が与えられる。つまり、第1プレート部材3の中央
部のボス部3aに形成された共通の穴部3bにより、て
こ部材26のてこ支点である球面部26cの球面対偶支持
と力点である円筒面部26bを公転運動させるロータ1
8の回転支持を行っているので、ロータ18の回転軸上
にてこ部材の球面部26cの球面対偶中心を正確に位置
させることができ、てこ部材先端の球面部26aに連結
された旋回スクロール部材2の公転運動を正確な円運動
にすることが容易になる。なお、ロータ部18はその軸
方向位置を調節することが可能であるので、ロータ部1
8に装着されててこ部材の円筒面部26bを支持する球
面ブッシュ16の軸方向位置も調節することが可能であ
り、てこ部材26の中心軸のロータ部18の回転軸に対
する傾斜角を調節する事が可能となり旋回スクロール部
材2の公転半径を調節することができる。すなわち、旋
回スクロール部材のスクロールラップ部2bと固定スク
ロール部材のスクロールラップ部1bとの半径方向の隙
間量を調節できる構造となっている。また、てこ部材2
6の一部を圧縮機駆動用モータのロータ部18の内部に
組み込む構造としているので、てこの効果を活用するた
めにてこ部材26の軸長が長くなっても圧縮機全体の軸
方向長さを増大さる必要がなく、圧縮機のコンパクト性
を犠牲にすることがない。また、てこ部材26の傾斜角
を変化させて旋回スクロール部材2の公転半径を変え、
旋回スクロール部材のスクロールラップ部2bと固定ス
クロール部材のスクロールラップ部1bとの半径方向の
隙間量を調節できる構造であるので、作動気体のシール
性の向上により圧縮機の性能が向上する。更には、てこ
部材26の傾斜角を変化させてもロータ部18が球面ブ
ッシュ16を介してこ部材の円筒面部26bを回転支持
しているので、その摺動部の片当たりの発生を防止でき
る。
【0021】また、旋回スクロール部材のスクロールラ
ップ部2bに作用する圧縮流体の圧力により、てこ部材
26の球面部26aに半径方向に作用する荷重は、てこ
部材26が球面部26cと円筒面部26bとにおいて他
の部品により拘束されることにより支持されるが、球面
部26aの中心を荷重点、球面部26cの中心を支点、
円筒面部26bを支持する球面ブッシュ16の中心を力
点と考えれば、本実施例では支点と荷重点との距離に比
べて支点と力点との距離が十分大きいため、てこの原理
により、力点に作用する荷重の大きさは荷重点に作用す
る荷重の大きさに比べて大幅に低減される。球面ブッシ
ュ16と球面支持部材15とを介して、てこ部材26の
円筒面部26bとの間で荷重を及ぼしあうロータ部18
が自転運動をするため摩擦力によりてこ部材26に自転
させようとする回転駆動トルクが作用するが、上の理由
で摩擦力を発生させる荷重が大幅に小さいためその回転
駆動トルクは小さい。一方、球面支持部材28を介して
球面部26aとの間で荷重を及ぼしあう旋回スクロール
部材2はオルダムリング5により自転を防止されてお
り、球面支持部材27を介して球面部26cとの間で荷
重を及ぼしあう第1プレート部材3も自転運動を行わな
いため、それらの部分における摩擦力によりてこ部材2
6に自転させまいとする回転抵抗トルクが作用するが、
摩擦力を発生させる荷重が比較的大きいためその回転抵
抗トルクは大きい。従って、てこ部材26は自転させま
いとする回転抵抗トルクの方が大きくなるため自転運動
を行わず、旋回スクロール部材2あるいは第1プレート
部材3との連結部において直接摺動運動を行う球面支持
部材27,28に対しては搖動運動を行い、ロータ部1
8との連結部において直接摺動運動を行う球面ブッシュ
16に対してのみ相対的な回転運動を行うと考えられ
る。すなわち、てこ部材26は比較的大きな荷重の作用
する摺動部では非常に摺動速度の小さい搖動運動を行
い、比較的大きな速度で摺動する回転摺動部において作
用する荷重はてこの原理により大幅に小さい。また、比
較的大きな速度で摺動する回転摺動部は、他に、ロータ
部18の二つのシャフト部11a,14aとそれらをそ
れぞれ軸受支持する第1プレート部材の穴部3bおよび
第2プレート部材の穴部8bに球面支持部材9を介して
支持された球面ブッシュ10との間の摺動部があるが、
それらの摺動部はてこ部材の円筒面部26bの球面ブッ
シュ16による回転支持部の両側にあり、てこ部材の円
筒面部26bと球面ブッシュ16との間に作用する小さ
な荷重のロータ部回転軸に直角な面内成分を分担して支
持することになるので、それらの回転摺動部に作用する
荷重はてこ部材の円筒面部26bと球面ブッシュ16と
の間に作用する小さな荷重に比べ更に小さい。すなわ
ち、本実施例の構造によれば旋回スクロール部材2に公
転運動を与えるための機構の各摺動部で摺動速度と半径
方向の摺動荷重のいずれか一方を低減することができ
る。これにより、旋回スクロール部材2に公転運動を与
えるための機構におけるラジアル荷重による機械摩擦損
失の低減と摺動条件の緩和により圧縮機の効率と耐久性
が向上する。また、球面ブッシュ10,16,てこ部材
の球面部26a,26cはそれぞれ球面支持部材9,1
5,27,28を介して他の部材と球面対偶結合されて
いるが、それらの球面支持部材はその外周面が円筒形状
であるので他の部材に軸方向から容易に装着できる。ま
た、球面支持部材9,15,27,28は半径方向に分
割できる構造であるので、それらの内周球面部にブッシ
ュ10,13の外周球面部およびてこ部材の外周球面部
26c,26aを容易に組み込むことができる。更に
は、主ロータ部材11に固定されたバランスウェイト3
6と副ロータ部材14の一部のバランスウェイト36と
180°の角度を成す方向に形成されたバランスウェイ
ト部14cとにより、旋回スクロール部材2とてこ部材2
6等の運動で生じる不釣合遠心力と不釣合モーメントと
を完全に打消すことが可能である。
【0022】一方、従来の密閉式スクロール形圧縮機で
は、固定スクロール部材1の外側に高温高圧の吐出圧力
が作用し、吸入管32周辺の圧縮行程始めの低圧の吸入
圧力との間に圧力差が生じる。そのため、両スクロール
部材1,2はともに、ラップ中央部と外径部でほぼ全体
的に不均一な熱変形が起こり、両スクロール鏡板部1
a,2a及び両スクロールラップ部1b,2bの先端と
も中央部が外周部より高くなる現象が起こる。これによ
り、両スクロールラップ部1b,2bの中央部同士が変
形して高くなりお互いに近寄るため、固定スクロール部
材1のスクロールラップ部1bの歯底面と旋回スクロー
ル部材2のスクロールラップ部2bの先端面及び同士が
強く接触してしまう。しかし、本実施例では、スクロー
ル部材の熱変形を温度センサ39により検知し、温度セ
ンサ39の入力信号により駆動回路が最適な状態に圧電
素子38を駆動し、圧電素子38に隣接する板状体37
と旋回スクロール部材2のスクロールラップ部2bの先
端との隙間は常に軽く接した状態であり、圧縮機の運転
状態に応じた適正な隙間を確保することが可能となり、
しかも板状体37と旋回スクロール部材2のスクロール
ラップ部2bの歯先面とが局部的に強く接触することが
なくなり、摺動摩擦損失を大幅に低減することができ
る。また、スクロール部材内部に圧電素子38を配設す
ることにより、微小なラップ間隙間の管理が可能とな
り、作動流体の漏れを最小限にすることができ、シール
性の向上が図れる。
【0023】また、圧縮機起動直後はスクロール部材の
温度が急には上昇していないため、センサ信号に頼ると
アクチュエータが動作しないので、旋回スクロール部材
2のスクロールラップ部2bの先端面と板状体37は離
れてしまう可能性がある。そこで、圧縮機起動後の一定
時間内は、駆動回路40がセンサ信号を無視して強制的
に圧電素子38を駆動させる回路を組むことにより、初
期駆動状態でも適正なスクロールラップ隙間を補償する
ことが可能となる。また、圧縮機停止直後は、旋回スク
ロール部材2がまだ熱膨張しているため、圧電素子38
が初期状態に戻ることにより、板状体37と旋回スクロ
ール部材2のスクロールラップ部2bの先端面とが強く
接触する可能性があるので、圧縮機停止後の一定時間内
においては、駆動回路40を起動させる回路を組むこと
により、スクロールラップ部の隙間を補償することが可
能となる。
【0024】図2は本発明の一実施例で、スクロールラ
ップ部の断面図を示したものである。固定スクロール部
材1の部材内部には、圧電素子38a,38b,38c
が備えてあり、そのスクロールラップ部1bの歯底面側
の端部には板状体37と当接している。板状体37は、
固定スクロール部材1のスクロールラップ部1bの歯底
面とはわずかな隙間を有し、反対側は旋回スクロール部
材2のスクロールラップ部2bの歯先面と接しており、
両者の隙間は組立時点において適正に調整されている。
なお、板状体37は両スクロール部材1,2より熱変形
量の少ない部材や耐摩耗性材料で形成することもでき
る。温度センサ39a,39b,39cは、固定スクロ
ール部材1の部材内部に複数個配設され、圧縮作動室4
4内の温度を検出する。温度センサ39a,39b,3
9cは、信号線42a,42b,42cを介して駆動回
路40に接続されており、一方、圧電素子38a,38
b,38cは、信号線41a,41b,41cを介して
駆動回路40に接続されている。圧縮機の運転状態下で
は、作動流体が圧縮され、圧縮作動室44内の温度が上
昇する。この温度変化を複数個の温度センサ39により
検出し、この入力信号に応じて駆動回路40は、圧電素
子38a,38b,38cを適正な値だけ変位させる。
これにより、圧電素子38a,38b,38cに隣接し
た板状体37は、圧縮作動室44内の圧力に打ち勝って
圧電素子38a,38b,38cによって旋回スクロー
ル部材2の歯先面に押しつけられ、板状体37と旋回ス
クロール部材2のスクロールラップ2bの歯先面との隙
間は、少なくとも圧縮機運転中は常に適正な値に保たれ
ている。また、温度センサ39を固定スクロール部材1
の内部に複数個配置することにより、複数の圧縮作動室
44の温度分布に応じたスクロールラップ間の隙間管理
が可能となる。なお、温度センサ39を旋回スクロール
部材2の内部に複数個配置しても同様の効果が得られ
る。また、温度センサ39の代わりに圧力を検出する手
段を用いても同様の効果が得られる。
【0025】図3は本発明の一実施例で、板状体の平面
図を示したものである。図示のように板状体37は、イ
ンボリュート曲線あるいはそれに類似した曲線で形成さ
れる固定スクロール部材1のスクロールラップ1bの形
状に対応した貫通溝45を有している。板状体37に
は、それぞれ圧電素子38が当接する部分の位置を模式
的に示したものである。また、場合によっては、板状体
37の38a,38b,38c,38d,38e,38
fに圧電素子を一体化した状態で配設しても良い。圧電
素子38の取付箇所は、スクロール部材の変形量を考慮
して設定されるものである。また、板状体37は両スク
ロール部材1,2部材より、耐摩耗性を有する部材で形
成されている。
【0026】図4は本発明の一実施例で、板状体の断面
図である。図示のように板状体37は、中央部の板厚を
薄く構成することも可能である。これは、板状体37の
旋回スクロール部材2側の接触面46の中央部の板厚を
外周部の板厚より薄くしたものである。これにより、板
状体37を移動させるアクチュエータを移動させても、
圧縮機の運転時の旋回スクロール部材2のスクロールラ
ップ部2bの不均一な熱変形量に対応できので、簡単な
駆動回路でも板状体37とスクロールラップ2bとの隙
間は、常に適正に保たれる。なお、中央部と外周部の最
大高さの差は、数百μm以下に形成される。
【0027】また、他の実施例として、圧縮作動室44
内に潤滑油を供給しないタイプのスクロール形圧縮機に
ついても、従来タイプはスクロール部材の熱膨張量が大
きくなるが、上記各種実施例を適用することにより、ス
クロールラップ間の軸方向の隙間管理が可能となり、高
効率な無給油式スクロール形圧縮機を提供できる。
【0028】図5は本発明の一実施例で、スクロール形
圧縮機の断面図を示したものである。以下の本実施例の
説明では、上記図1の実施例と異なる部分についてのみ
解説するので、その他の部分については図1の実施例と
同様である。
【0029】同図において、旋回スクロール部材2のボ
ス部2d及び第1プレート部材3のボス部3aには、温
度センサ47a,47bが配設されている。また、副ロ
ータ部材14のシャフト部14aの先端部に組み込まれ
ているスラストプレート19には、それに隣接する圧電
素子48a,48bが固定部材51を介して配設されて
いる。また、てこ部材26の球面部26a,26c内部
には潤滑油流路52が設けてあり、チャンバ6内の潤滑
油(図示せず)が圧力差などにより潤滑油流路入口53
から潤滑油流路52を通って、てこ部材26に当設する
各球面支持部材27,28に供給され潤滑される。
【0030】温度センサ47は、旋回スクロール部材2
のボス部2d及び第1プレート部材3のボス部3aの部
材内部にそれぞれ複数個配設されており、圧縮機の運転
中における各球面支持部27,28周辺部の温度変化を
検出するものであり、信号線50a,50bを介して駆
動回路40に接続されている。また、圧電素子48a,
48bは信号線、49a,49bを介して駆動回路40
に接続されており、スラストプレート19に隣接して複
数個設けられている。
【0031】圧縮機の運転状況下では、モータによりて
こ部材が駆動される。これにより、てこ部材26の球面
部26a,26bとこれらに当接する球面支持部材2
7,28との接触面において、面圧が上昇すると共にこ
れらの雰囲気温度も上昇することにより、てこ部材26
が熱変形を起こし、てこ部材26の球面部26a,26
bとこれらに当接する球面支持部材27,28との接触
面において、摩耗,焼き付きが発生する可能性がある。
また、てこ部材26が熱変形により各球面支持部材の軸
受支持間距離が変化するため、てこ部材26の球面部2
6a,26bとこれらに当接する球面支持部材27,2
8との接触面において摺動摩擦損失が増大すると共に、
スクロールラップ部の径方向にラジアル荷重が作用し、
シール特性の悪化、更には摺動摩擦損失の増大を招く可
能性がある。しかし、本実施例では、複数個の温度セン
サ47により、球面支持部材27,28周辺部の温度変
化を検出し、この入力信号に応じて駆動回路40は、圧
電素子48a,48bを適正な値だけ変位させる。これ
により、圧電素子38a,38bに隣接したスラストプ
レート19も変位を行い、各球面支持部材の軸受支持間
距離が少なくとも圧縮機運転中は常に適正な値に補償さ
れることにより、スクロールラップ部の径方向の隙間管
理が可能となり効率向上と機械摩擦損失の低減効果が得
られる。また、駆動回路40は、温度センサ47からの
入力信号により、圧縮機の任意の運転状態における最適
なてこ部材26の球面部26a,26bとこれらに当接
する球面支持部材27,28との接触面における摺動条
件を判断し、圧電素子48a,48bの駆動を行う。こ
れにより、圧縮機運転中の機械摩擦損失の低減と摺動条
件の緩和が可能となり、圧縮機の効率と耐久性が向上す
る。また、図1に示した固定スクロール部材1に板状体
37,圧電素子38並びに温度センサ39を配設する本
発明の一実施例と組み合わせることにより、更なる圧縮
機の効率と耐久性が向上する。また、温度センサ39の
代わりに圧力センサを設けることにより、圧縮機の運転
状態に応じた最適な吐出圧力の管理が可能となり、圧縮
機の高効率化が図れる。また、圧縮機起動直後はスクロ
ール部材の温度が急には上昇していないため、センサ信
号に頼るとアクチュエータが動作しないので、圧縮機起
動後の一定時間内は、駆動回路40がセンサ信号を無視
して強制的に圧電素子48を駆動させる回路を組むこと
により、初期駆動状態でも適正な球面支持部材間の位置
関係を補償することが可能となる。また、圧縮機停止直
後は、球面支持部材27,28周辺部の温度が高温のた
め、圧電素子48が初期状態に戻ることにより、てこ部
材26の球面部26a,26bとこれらに当接する球面
支持部材27,28との接触面において、焼き付き等の
可能性があるので、圧縮機停止後の一定時間内では、駆
動回路40を起動させる回路を組むことで摺動面の補償
が可能となる。また、どちらか一方あるいは両方のスク
ロール部材をアルミニウム材料等で形成することによ
り、軽量化が図れ、塑性加工時に板状体37を圧入もし
くは押圧することにより、スクロール部材と板状体37
の一体化が図れる。
【0032】図6は本発明の一実施例で、スクロールラ
ップ部の断面図を示したものである。
【0033】同図において、てこ部材26の球面支持部
材28を潤滑した後の潤滑油は旋回スクロール部材2の
背面部の空間54aに充満する。
【0034】一方、旋回スクロール部材2にはスクロー
ルラップ部2bの先端部にチップシール溝55が設けら
れており、これに嵌め合わされて耐熱性に優れ摺動特性
の良好な樹脂系の材料で形成されたチップシール56が
装着されている。また、固定スクロール部材1のスクロ
ールラップ部1bの先端部にも同様な材料で形成された
チップシール57が装着されている。また、旋回スクロ
ール部材2には、チップシール溝55と背面部の空間5
4aとを連通させる連通孔58が形成されている。な
お、潤滑油の流量は、この連通孔58の両端の圧力差と
連通孔58の大きさによりほぼ支配されるが、旋回スク
ロール部材2にはこれとは別に圧縮作動室44と背面部
の空間54bとを連通させる複数個の連通孔59があっ
て背面部の空間54bの圧力は概ね一定に保たれている
ので、潤滑油の流量も常に好ましい状態を維持すること
ができる。しかし、他の実施例ではこの連通孔59を設
けなくても、他の連通孔58だけで本発明の目的を達成
できる圧縮機を提供することができる。
【0035】以上の結果、図7に本発明の一実施例のチ
ップシールの作動状況を示すが、旋回スクロール部材2
の背面部の空間54に充満した潤滑油は連通孔58から
チップシール溝55に供給され、チップシール56の背
面部はもちろんのことスクロールラップ部2bの先端部
の隙間までの全面が潤滑油60で覆われる。チップシー
ル56の周囲から溢れた潤滑油60はさらに、固定スク
ロール部材1に配設されたチップシール57の周囲を覆
うようになる。この結果、チップシール56や57の全
面が潤滑油60によって覆われるためシール性能が向上
し更にはチップシール先端面の摺動特性も向上する。ま
た、潤滑油60は常に供給されるのでチップシール先端
部には摩擦熱が篭らず常に比較的低い温度が保たれ、さ
らなる摺動特性を向上させることが可能となる。また、
チップシール56は同図に示すように潤滑油60の圧力
によって固定スクロール部材1のスクロールラップ部1
bの底面部に適当な力で押しつけられるため、スクロー
ルラップ部先端部での径方向の漏れ量を大幅に低減でき
る。
【0036】なお、チップシール56から溢れでた潤滑
油60は最終的には圧縮作動室内44で作動流体と共に
高圧になって吐出ポート1cからチャンバ6内へと排出
される。チャンバ6内の空間では作動流体と潤滑油60
とが好適に分離され、潤滑油60は再びチャンバ6の下
部に溜められる。チャンバ6下部の潤滑油60の一部は
常にこのような循環を繰り返し、各チップシール21,
22の周囲を常に潤滑油60で満たすことができる。
【0037】図8は本発明の一実施例で、冷暖房空調機
のシステム構成図の概略を示したものである。制御回路
40は圧縮機61を駆動するためのもので、四路切換弁
62は、作動流体の流れ方向の切り換えを行うものであ
る。冷房運転時の場合、室外側熱交換器63が凝縮器、
室内側熱交換器64が蒸発器として作用する。作動流体
は、圧縮機61で圧縮され室外側熱交換器63により凝
縮する。凝縮した作動流体は、膨張弁65a,65bに
より絞り膨張され、室内側熱交換器64により蒸発,冷
却作用され圧縮機61へと各々冷媒配管66を介して戻
される冷凍サイクルを繰り返す。また、暖房運転時の場
合には、冷房時と概略、逆の経路となる。このような冷
暖房空調機では、冷房時と暖房時で圧縮機の圧力や温度
が異なるため、従来の圧縮機では常に適正なラップ間の
隙間を与えることができなかった。本実施例では、例え
ば、図1の実施例を適用することにより、スクロール部
材の熱膨張量を温度センサ39で検知し、この入力信号
に応じて駆動回路40が圧電素子38と板状体37を駆
動することにより、板状体37と旋回スクロール部材2
のスクロールラップ部2bの歯先面との隙間を最適化で
きるので、常に高効率な冷暖房空調機を提供することが
できる。
【0038】以上、密閉式のスクロール形圧縮機につい
て、本発明の実施例を示してきたが、開放形のスクロー
ル形圧縮機についても本発明は適用可能であり、同様の
効果がえられる。
【0039】なお、以上の図1から図8までの実施例
は、単独で実施できることはもちろんであるが、種々組
み合わせて実施することも可能である。
【0040】
【発明の効果】本発明によれば、スクロール形圧縮機に
おいて機械摩擦損失の低減と摺動条件の緩和が可能であ
り、高効率で耐久性の高いスクロール形圧縮機を提供す
ることができる。また、圧縮機の運転状態に対応したス
クロールラップ部の軸方向及び径方向の最適な隙間管理
が可能となり、高効率なスクロール形圧縮機を提供する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すスクロール形圧縮機の
断面図。
【図2】本発明の一実施例を示すスクロールラップ部の
断面図。
【図3】本発明の一実施例を示す板状体の平面図。
【図4】本発明の一実施例を示す板状体の断面図。
【図5】本発明の一実施例を示すスクロール形圧縮機の
断面図。
【図6】本発明の一実施例を示すスクロールラップ部の
断面図。
【図7】本発明の一実施例を示すチップシールの作動状
況を説明する断面図。
【図8】本発明の一実施例を示す冷暖房空調機のシステ
ムの系統図。
【符号の説明】
1…固定スクロール部材、1a…鏡板部、1b…スクロ
ールラップ部、1c…吐出ポート、2…旋回スクロール
部材、2a…鏡板部、2d…ボス部、3…第1プレート
部材、3a…ボス部、6…チャンバ、14…副ロータ部
材、14a…シャフト部、19…スラストプレート、2
6…てこ部材、26a,26c…球面部、27,28…
球面支持部材、37…板状体、38a,38b,38c
…圧電素子、39a,39b,39c…温度センサ、4
0…駆動回路、49a,49b,50a,50b…信号
線、51…固定部材、52…潤滑油流路。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】端版と前記端版に直立するインボリュート
    曲線あるいはそれに類似した曲線からなるラップを備え
    る固定スクロール部材と旋回スクロール部材をお互いに
    組合せ、前記旋回スクロール部材を自転しないように自
    転防止機構を設け旋回運動させることにより作動流体の
    圧縮を行うスクロール形圧縮機において、前記旋回スク
    ロール部材は、球面対偶で回転可能に軸受支持されその
    一部が圧縮機駆動用モータ内部に挿入されている構造の
    てこ部材により駆動され、更にスクロール部材内部に板
    状体と前記板状体に複数個のアクチュエータを配設し、
    かつ、圧縮機の内部状態を検出するための温度センサと
    前記温度センサからの入力信号により前記アクチュエー
    タを駆動するための駆動手段を備えたことを特徴とする
    スクロール形圧縮機。
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