JPH06287581A - アルミニウムおよびアルミニウム合金用切削加工油剤 - Google Patents

アルミニウムおよびアルミニウム合金用切削加工油剤

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JPH06287581A
JPH06287581A JP9395693A JP9395693A JPH06287581A JP H06287581 A JPH06287581 A JP H06287581A JP 9395693 A JP9395693 A JP 9395693A JP 9395693 A JP9395693 A JP 9395693A JP H06287581 A JPH06287581 A JP H06287581A
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JP
Japan
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group
isomers
cutting
oil
aluminum
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JP9395693A
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Toshiaki Wakabayashi
利明 若林
Hideo Yokota
秀雄 横田
Minoru Okajima
稔 岡嶋
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Eneos Corp
Original Assignee
Nippon Oil Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 環境問題や人体に対する安全性の問題のある
塩素系または硫黄系の極圧剤を用いず、低速切削時のみ
ならず、高速切削時においても良好な性能を示すアルミ
ニウムおよびアルミニウム合金用の切削加工油剤を開発
する。 【構成】 潤滑油基油に対し、組成物全量基準で、下記
の一般式(化1)で表されるジアルキルジチオリン酸亜
鉛、0.1〜40重量%(式中、R1 、R2 、R3 およ
びR4 は同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数
10〜24のアルキル基を示す。)を含有してなるアル
ミニウムおよびアルミニウム合金用切削加工油剤により
目的を達成できる。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はアルミニウムおよびアル
ミニウム合金用切削加工油剤に関し、詳しくは塩素系添
加剤を含有せず、かつ、アルミニウムおよびアルミニウ
ム合金の切削加工において良好な効果を有する油剤に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来よりアルミニウムおよびアルミニウ
ム合金の切削加工の分野においては、塩素化パラフィン
などの塩素系極圧剤や硫化油脂、サルファイド、チオカ
ーボネートなどの硫黄系極圧剤を添加した切削加工油剤
が用いられてきた。
【0003】一方、摩耗防止に効果があるとしてエンジ
ン油など、一般の潤滑油に広く使用されているジアルキ
ルジチオリン酸亜鉛は、切削加工油剤の極圧剤として用
いた場合、非鉄金属に使用しても変色の発生が少ないと
いう利点はあるものの、塩素系や硫黄系の極圧剤と比較
すると極圧効果がかなり劣ることが広く知られており、
これまで切削加工油剤の分野においては重視されていな
かった(例えば、幸書房、昭和57年6月10日発行、
「切削油剤と研削油剤」127頁参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、近年、
環境保護の問題から塩素系添加剤の使用に対する懸念が
増大しており、実際に、現在ドイツにおいては廃油中の
塩素含有量の規制が行われている。また人体に対する安
全性の問題として、塩素化パラフィンの発ガン性に関す
る疑惑が米国で報告されたりもしている。また、アルミ
ニウムおよびアルミニウム合金の切削加工の現場におい
ては、切削速度を高めることによって、生産性を向上さ
せたいとする要望も強く、そのため高速切削時において
も潤滑性能の良好な切削加工油剤の開発が強く望まれて
いた。しかし、塩素系極圧剤や硫黄系極圧剤を含む切削
加工油剤は、アルミニウムおよびアルミニウム合金の低
速切削においてはある程度の性能を示すものの、高速切
削時においては切削性能が大きく劣るという問題があっ
た。したがって、環境や安全性の面から、また生産性向
上の面から、塩素系の極圧剤を含有せず、かつ高速切削
時においても良好な性能を示す、新規な、アルミニウム
およびアルミニウム合金用の切削加工油剤の開発が求め
られていた。本発明は、塩素系の極圧剤を含有せず、か
つ低速切削時のみならず、高速切削時においても良好な
性能を示す、アルミニウムおよびアルミニウム合金用の
切削加工油剤を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の課題
を解決すべく研究を重ねた結果、特定の構造を有するジ
アルキルジチオリン酸亜鉛を含有する切削加工油剤が、
アルミニウムおよびアルミニウム合金の切削加工油剤と
して使用した場合に、塩素系または硫黄系の極圧剤を用
いたものより高い切削性能を示し、特に高速切削時に良
好な潤滑効果を示すこと、さらに、このジアルキルジチ
オリン酸亜鉛にさらに硫黄系極圧剤および/またはアル
カリ土類金属スルフォネートを併用することにより、そ
の潤滑性能を低速時〜高速切削時全般にわたってさらに
高めることが可能であることを見いだして本発明を成す
に到った。
【0006】本発明の請求項1の発明は、潤滑油基油に
対し、組成物全量基準で、下記の一般式(化3)で表さ
れるジアルキルジチオリン酸亜鉛、0.1〜40重量%
【0007】
【化3】
【0008】(式中、R1 、R2 、R3 およびR4 は同
一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数10〜24
のアルキル基を示す。)を含有してなるアルミニウムお
よびアルミニウム合金用切削加工油剤を提供するもので
ある。
【0009】本発明の請求項2の発明は、潤滑油基油に
対し、組成物全量基準で(A)下記の一般式(化4)で
表されるジアルキルジチオリン酸亜鉛、0.1〜40重
量%、
【0010】
【化4】
【0011】(式中、R1 、R2 、R3 およびR4 は同
一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数10〜24
のアルキル基を示す。)ならびに、(B)硫黄系極圧剤
および/またはアルカリ土類金属スルフォネート、0.
1〜50重量%を含有してなるアルミニウムおよびアル
ミニウム合金用切削加工油剤を提供するものである。以
下、本発明の内容をより詳細に説明する。
【0012】本発明における潤滑油基油としては、特に
限定されるものではなく、通常潤滑油の基油として使用
されているものであれば鉱油系、合成系を問わず使用す
ることができる。
【0013】鉱油系潤滑油基油としては、例えば、原油
を常圧蒸留および減圧蒸留して得られた潤滑油留分を、
溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、接触
脱ろう、水素化精製、硫酸洗浄、白土処理等の精製処理
を適宜組み合わせて精製したパラフィン系、ナフテン系
などの油が使用できる。
【0014】また、合成系潤滑油基油としては、例え
ば、ポリαーオレフィン(ポリブテン、1ーオクテンオ
リゴマー、1ーデセンオリゴマーなど)、アルキルベン
ゼン、アルキルナフタレン、ジエステル(ジトリデシル
グルタレート、ジ2−エチルヘキシルアジペート、ジイ
ソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジ2−
エチルヘキシルセバケートなど)、ポリオールエステル
(トリメチロールプロパンカプリレート、トリメチロー
ルプロパンペラルゴネート、ペンタエリスリトール2−
エチルヘキサノエート、ペンタエリスリトールペラルゴ
ネートなど)、ポリオキシアルキレングリコール、ポリ
フェニルエーテル、シリコーン油、パーフルオロアルキ
ルエーテルなどが使用できる。これらの基油は単独で
も、2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0015】また、本発明において使用する潤滑油基油
の粘度は任意であるが、加工点近傍への油剤の浸透性の
点から、通常、40℃における粘度が5〜100cSt
のものが好ましく用いられ、5〜40cStのものがよ
り好ましく用いられる。一方、本発明の切削加工油剤に
おいて必須の添加剤であるジアルキルジチオリン酸亜鉛
は上記の一般式(化3、化4)(以下、化3と略す)で
表される化合物である。
【0016】式(化3)中、R1 、R2 、R3 およびR
4 は同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数10
〜24のアルキル基を示している。R1 、R2 、R3
よびR4 が炭素数が10未満のアルキル基やアルキルア
リール基または炭素数が10以上であってもアルキルア
リール基である場合には、高速切削時の切削性能が劣
り、一方、炭素数が24を越えるアルキル基である場合
にも高速切削時の切削性能が劣るため、それぞれ好まし
くない。
【0017】R1 、R2 、R3 およびR4 は直鎖状アル
キル基であっても分枝状アルキル基であっってもよく、
具体的には例えば、デシル基(すべての異性体を含
む)、ウンデシル基(すべての異性体を含む)、ドデシ
ル基(すべての異性体を含む)、トリデシル基(すべて
の異性体を含む)、テトラデシル基(すべての異性体を
含む)、ペンタデシル基(すべての異性体を含む)、ヘ
キサデシル基(すべての異性体を含む)、ヘプタデシル
基(すべての異性体を含む)、オクタデシル基(すべて
の異性体を含む)、ノナデシル基(すべての異性体を含
む)、エイコシル基(すべての異性体を含む)、ヘンエ
イコシル基(すべての異性体を含む)、ドコシル基(す
べての異性体を含む)、トリコシル基(すべての異性体
を含む)、テトラコシル基(すべての異性体を含む)な
どが挙げられる。
【0018】本発明の式(化3)のジアルキルジチオリ
ン酸亜鉛としては、R1 、R2 、R3 およびR4 は同一
でも異なっていてもよいが、切削性能に優れる点から、
それぞれ炭素数12〜18のアルキル基であるものが好
ましい。また同じく切削性能に優れる点からセカンダリ
型ジアルキルジチオリン酸亜鉛[R1 、R2 、R3 およ
びR4 がセカンダリ型のアルキル基(第2級アルキル
基)であるもの]よりプライマリ型ジアルキルジチオリ
ン酸亜鉛[R1 、R2 、R3 およびR4がプライマリ型
のアルキル基(第1級アルキル基)であるもの]のほう
が好ましい。
【0019】本発明のジアルキルジチオリン酸亜鉛とし
ては、式(化3)で表される化合物である限りは、単一
構造のジアルキルジチオリン酸亜鉛のみを用いてもよ
く、また異なる構造の2種類以上のジアルキルジチオリ
ン酸亜鉛の混合物を用いてもよい。また上記式(化3)
で表されるジアルキルジチオリン酸亜鉛は中性塩である
が、その切削性能を損ねない範囲においては、ジアルキ
ルジチオリン酸亜鉛製造時に副生する塩基性ジアルキル
ジチオリン酸亜鉛が混在していても問題はない。
【0020】本発明に係る切削加工油剤における式(化
3)で表されるジアルキルジチオリン酸亜鉛の含有量
は、組成物全量基準で0.1〜40重量%、好ましくは
1〜20重量%である。ジアルキルジチオリン酸亜鉛の
含有量が0.1%未満の場合には、ジアルキルジチオリ
ン酸亜鉛含有による切削性能向上の効果が乏しく、一
方、含有量が40重量%を越える場合には、切削工具の
摩耗度合いが大きくなるため、それぞれ好ましくない。
【0021】本発明においては、潤滑油基油にこの特定
の構造を有するジアルキルジチオリン酸亜鉛を特定量含
有させるだけで、特に高速切削時に優れた性能を示すア
ルミニウムおよびアルミニウム合金用切削加工油剤を得
ることができるが、その切削性能をさらに高める目的
で、さらに硫黄系極圧剤および/またはアルカリ土類金
属スルフォネートを含有させることが好ましい。
【0022】ここでいう硫黄系極圧剤としては、具体的
には例えば、硫化鯨油、硫化エステルなどの硫化油脂、
1−ブテンなどのオレフィンと硫黄を反応させることに
より得られるオレフィンポリサルファイド、およびジハ
イドロカルビルサルファイドなどが挙げられる。これら
硫黄系極圧剤の中でも本発明においては、特に極圧効果
の高いものの入手が可能である点からジハイドロカルビ
ルサルファイドが好ましく用いられる。
【0023】このジハイドロカルビルサルファイドと
は、具体的には以下の一般式(1)で表される化合物を
意味する。 R5 −Sx −R6 ・・・・(1) 上式中、R5 およびR6 は同一でも異なっていてもよ
く、それぞれ炭素数3〜20の直鎖状または分枝状のア
ルキル基、または炭素数6〜20のアリール基、アルキ
ルアリール基あるいはアリールアルキル基を示し、一
方、Xは2〜6、好ましくは2〜5の数を示している。
【0024】R5 およびR6 としては、例えばプロピル
基(全ての異性体を含む)、ブチル基(全ての異性体を
含む)、ペンチル基(全ての異性体を含む)、ヘキシル
基(全ての異性体を含む)、ヘプチル基(全ての異性体
を含む)、オクチル基(全ての異性体を含む)、ノニル
基(全ての異性体を含む)、デシル基(全ての異性体を
含む)、ウンデシル基(全ての異性体を含む)、ドデシ
ル基(全ての異性体を含む)、トリデシル基(全ての異
性体を含む)、テトラデシル基(全ての異性体を含
む)、ペンタデシル基(全ての異性体を含む)、ヘキサ
デシル基(全ての異性体を含む)、ヘプタデシル基(全
ての異性体を含む)、オクタデシル基(全ての異性体を
含む)、ノナデシル基(全ての異性体を含む)、エイコ
シル基(全ての異性体を含む)などのアルキル基;フェ
ニル基、ナフチル基(全ての異性体を含む)などのアリ
ール基;トリル基(全ての異性体を含む)、エチルフェ
ニル基(全ての異性体を含む)、プロピルフェニル基
(全ての異性体を含む)、ブチルフェニル基(全ての異
性体を含む)、ペンチルフェニル基(全ての異性体を含
む)、ヘキシルフェニル基(全ての異性体を含む)、ヘ
プチルフェニル基(全ての異性体を含む)、オクチルフ
ェニル基(全ての異性体を含む)、ノニルフェニル基
(全ての異性体を含む)、デシルフェニル基(全ての異
性体を含む)、ウンデシルフェニル基(全ての異性体を
含む)、ドデシルフェニル基(全ての異性体を含む)、
キシリル基(全ての異性体を含む)、エチルメチルフェ
ニル基(全ての異性体を含む)、ジエチルフェニル基
(全ての異性体を含む)、ジプロピルフェニル基(全て
の異性体を含む)、ジブチルフェニル基(全ての異性体
を含む)、メチルナフチル基(全ての異性体を含む)、
エチルナフチル基(全ての異性体を含む)、プロピルナ
フチル基(全ての異性体を含む)、ブチルナフチル基
(全ての異性体を含む)、ジメチルナフチル基(全ての
異性体を含む)、エチルメチルナフチル基(全ての異性
体を含む)、ジエチルナフチル基(全ての異性体を含
む)、ジプロピルナフチル基(全ての異性体を含む)、
ジブチルナフチル基(全ての異性体を含む)などのアル
キルアリール基;およびベンジル基、フェニルエチル基
(全ての異性体を含む)、フェニルプロピル基(全ての
異性体を含む)などのアリールアルキル基を挙げること
ができる。
【0025】(1)式中のR5 およびR6 としては、プ
ロピレンまたはイソブチレンから誘導された炭素数3〜
18のアルキル基、または炭素数6〜8のアリール基、
アルキルアリール基あるいはアリールアルキル基である
ことが好ましく、これらの基としては例えば、イソプロ
ピル基、プロピレン2量体から誘導される分枝状ヘキシ
ル基(全ての分枝状異性体を含む)、プロピレン3量体
から誘導される分枝状ノニル基(全ての分枝状異性体を
含む)、プロピレン4量体から誘導される分枝状ドデシ
ル基(全ての分枝状異性体を含む)、プロピレン5量体
から誘導される分枝状ペンタデシル基(全ての分枝状異
性体を含む)、プロピレン6量体から誘導される分枝状
オクタデシル基(全ての分枝状異性体を含む)、ter
t−ブチル基、イソブチレン2量体から誘導される分枝
状オクチル基(全ての分枝状異性体を含む)、イソブチ
レン3量体から誘導される分枝状ドデシル基(全ての分
枝状異性体を含む)、イソブチレン4量体から誘導され
る分枝状ヘキサデシル基(全ての分枝状異性体を含む)
などのアルキル基;フェニル基、トリル基(全ての異性
体を含む)、エチルフェニル基(全ての異性体を含
む)、キシリル基(全ての異性体を含む)などのアルキ
ルアリール基;およびベンジル基、フェニルエチル基
(全ての異性体を含む)などのアリールアルキル基が挙
げられる。
【0026】さらに(1)式中のR5 およびR6 として
は、その極圧効果の点から、プロピレンまたはイソブチ
レンから誘導された炭素数3〜18のアルキル基である
ことがより好ましく、プロピレンまたはイソブチレンか
ら誘導された炭素数6〜15のアルキル基であることが
特に好ましい。
【0027】本発明における硫黄系極圧剤としてジハイ
ドロカルビルサルファイドを用いる場合は、極圧効果の
点から活性の高いものが好ましいため、その硫黄含有量
が好ましくは20重量%以上、より好ましくは30重量
%以上のものを使用するのが望ましい。
【0028】また、本発明でいうアルカリ土類金属スル
フォネートとは、分子量約100〜1500、好ましく
は200〜700のアルキル芳香族化合物をスルフォン
化することによって得られるアルキル芳香族スルフォン
酸のアルカリ土類金属塩のことであり、アルキル芳香族
スルフォン酸としては、具体的にはいわゆる石油スルフ
ォン酸や合成スルフォン酸などが挙げられる。
【0029】ここでいう石油スルフォン酸としては、一
般に鉱油の潤滑油留分のアルキル芳香族化合物をスルフ
ォン化したものやホワイトオイル製造時に副生する、い
わゆるマホガニー酸などが用いられる。また合成スルフ
ォン酸としては、例えば洗剤の原料となるアルキルベン
ゼン製造プラントから副生したり、ポリオレフィンをベ
ンゼンにアルキル化することにより得られる、直鎖状や
分枝状のアルキル基を有するアルキルベンゼンをスルフ
ォン化したもの、あるいはジノニルナフタレンなどのア
ルキルナフタレンをスルフォン化したものなどが用いら
れる。またこれらアルキル芳香族化合物をスルフォン化
する際のスルフォン化剤としては特に制限はないが、通
常、発煙硫酸や無水硫酸が用いられる。
【0030】またアルカリ土類金属スルフォネートとし
ては、上記のアルキル芳香族スルフォン酸を直接アルカ
リ土類金属塩基(アルカリ土類金属の酸化物や水酸化物
など)と反応させたり、または一度ナトリウム塩として
からアルカリ土類金属塩と置換させることにより得られ
る中性(正塩)スルフォネートだけでなく、中性スルフ
ォネートと過剰のアルカリ土類金属塩やアルカリ土類金
属塩基を水の存在下で加熱することにより得られる塩基
性スルフォネートや、炭酸ガスの存在下で中性スルフォ
ネートをアルカリ土類金属塩基と反応させることにより
得られる過塩基性(超塩基性)スルフォネートも含まれ
る。
【0031】本発明においては、切削性能、特に硫黄系
極圧剤と併用した場合の切削性能に対する相乗効果に優
れる点から、過塩基性(超塩基性)スルフォネート、特
に全塩基価(TBN)が好ましくは200〜500mgKO
H/g 、より好ましくは250〜450mgKOH/g の過塩基
性(超塩基性)スルフォネートを使用するのが望まし
い。
【0032】本発明に係る切削加工油剤においてジアル
キルジチオリン酸亜鉛に対して硫黄系極圧剤および/ま
たはアルカリ土類金属スルフォネートを併用する場合、
硫黄系極圧剤またはアルカリ土類金属スルフォネートを
それぞれ単独でジアルキルジチオリン酸亜鉛と併用して
もよいが、その切削性能向上効果の点からジアルキルジ
チオリン酸亜鉛と硫黄系極圧剤を併用するのがより好ま
しく、ジアルキルジチオリン酸亜鉛、硫黄系極圧剤およ
びアルカリ土類金属スルフォネートの3種を用いるのが
より好ましい。
【0033】本発明の切削加工油剤において、硫黄系極
圧剤またはアルカリ土類金属スルフォネートをそれぞれ
単独でジアルキルジチオリン酸亜鉛と併用する場合は、
これら硫黄系極圧剤またはアルカリ土類金属スルフォネ
ートの含有量は、組成物全量基準で0.1〜50重量
%、好ましくは1〜30重量%である。
【0034】またジアルキルジチオリン酸亜鉛、硫黄系
極圧剤およびアルカリ土類金属スルフォネートの3種を
用いる場合は、これら硫黄系極圧剤およびアルカリ土類
金属スルフォネートの合計含有量は、組成物全量基準で
0.1〜50重量%、好ましくは1〜40重量%であ
る。なお、この場合硫黄系極圧剤とアルカリ土類金属ス
ルフォネートの含有量比は任意であるが、硫黄系極圧剤
100重量部に対してアルカリ土類金属スルフォネート
10〜100重量部であるのが好ましく、アルカリ土類
金属スルフォネート20〜50重量部であるのがより好
ましい。
【0035】本発明においては上述のように、潤滑油基
油に対してジアルキルジチオリン酸亜鉛を、またその性
能をより高めるため、さらに硫黄系極圧剤および/また
はアルカリ土類金属スルフォネートを併用するだけで切
削性能に優れた切削加工油剤を得ることができるが、そ
の各種性能をさらに高める目的で公知の潤滑油添加剤を
単独で、または数種類組み合わせた形で使用することが
できる。これらの添加剤としては例えば、トリクレジル
フォスフェートなどのリン酸エステル、ラードオイルな
どの油脂、脂肪酸などに代表される潤滑性向上剤;ベン
ゾトリアゾール、チアジアゾールなどの金属不活性化
剤;メチルシリコーン、フルオロシリコーン、ポリアク
リレートなどの消泡剤などが挙げられる。これら公知の
添加剤の添加量は任意であるが、切削加工油剤全量基準
で潤滑性向上剤の含有量は、通常、1〜30重量%、金
属不活性化剤の含有量は通常0.005〜1重量%、お
よび消泡剤の含有量は通常0.0001〜0.5重量%
である。
【0036】本発明に係る切削加工油剤は、アルミニウ
ムおよびアルミニウム合金の切削加工、具体的には例え
ば、単一刃工具による切削加工である旋削加工、中ぐり
加工、平削り加工、形削り加工など、および多刃工具に
よる切削加工である穴あけ加工、ねじ立て加工(タッピ
ング加工)、フライス加工(ミーリング加工)、ホブ切
り加工、ブローチ加工、リーマ仕上げ加工などにおいて
使用できる。
【0037】
【実施例】以下、本発明の内容を実施例および比較例に
よりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの内容
に何ら限定されるものではない。 (実施例1〜5)表1に示す組成により、本発明に係る
切削加工油剤を調製した。この油剤に対して以下の切削
性試験(旋削試験)を行い、その結果を表1に示した。
【0038】(比較例1〜4)また比較のため、炭素数
の小さいジアルキルジチオリン酸亜鉛を用いた場合(比
較例1および2)、塩素化パラフィンを用いた場合(比
較例3)、および硫黄系極圧剤を単独で用いた場合(比
較例4)についても同様の切削性試験を行い、その結果
も表1に併記した。
【0039】[切削性試験(旋削試験)]以下の切削条
件で被削材の切削を行い、切削速度200m/min という
高速切削の場合の切削中の工具すくい面摩擦係数を求め
た。なお、工具すくい面摩擦係数とは工具刃先形状から
垂直すくい角=6゜ 、傾斜角=6゜ の傾斜切削とした場
合の工具すくい面上の摩擦係数を、主分力、送り分力お
よび背分力の測定値から算出した値であり、この値が小
さい程切削性能に優れることを示す(現代工学社「理論
切削工学」第2版、昭和59年3月15日発行、第75
〜79頁を参照)。 [切削条件] 切削速度:200m/min 切り込み:0.5mm 送 り:0.1mm/rev 被 削 材:アルミニウム合金 JIS A6061−
T6 切削工具:形式…TNGA160408 材種…超硬合金(東芝タンガロイ TU10) 刃先形状…横切れ刃角=0゜ 横すくい角=6゜ 切れ刃傾き角=6゜
【0040】表1の結果から明らかなとおり、本発明に
係る切削加工油剤(実施例1〜5)は高速切削において
優れた切削性能を示している。また実施例4および実施
例5は本発明に係るジアルキルジチオリン酸亜鉛にさら
に硫黄系極圧剤および/またはアルカリ土類金属スルフ
ォネートを併用した場合であるが、工具すくい面の摩擦
係数が実施例1〜3よりさらに低くなっており、硫黄系
極圧剤および/またはアルカリ土類金属スルフォネート
併用の効果が表れている。それに対して炭素数の小さい
ジアルキルジチオリン酸亜鉛を用いた場合(比較例1お
よび比較例2)は、高速切削時における切削性能が実施
例の組成物より大きく劣っており、本発明におけるジア
ルキルジチオリン酸亜鉛のアルキル基の炭素数の限定が
重要な意味をもっていることが明白である。また塩素化
パラフィンを用いた場合(比較例3)、および硫黄系極
圧剤を単独で用いた場合(比較例4)についても、いず
れも本発明に係る実施例の切削加工油剤より切削性能が
劣っている。
【0041】
【表1】
【0042】
【発明の効果】本発明はアルミニウムおよびアルミニウ
ム合金用切削加工油剤に関するものであり、環境問題や
人体に対する安全性の問題のある塩素系または硫黄系の
極圧剤を用いた従来のアルミニウムおよびアルミニウム
合金用切削加工油剤に比べて、塩素系または硫黄系の極
圧剤を用いず、特定の構造を有するジアルキルジチオリ
ン酸亜鉛を含有する本発明のアルミニウムおよびアルミ
ニウム合金用切削加工油剤は高い切削性能を示し、特に
高速切削時に良好な潤滑効果を示す。このジアルキルジ
チオリン酸亜鉛にさらに硫黄系極圧剤やアルカリ土類金
属スルフォネートを併用した本発明のアルミニウムおよ
びアルミニウム合金用切削加工油剤は、その潤滑性能を
低速時〜高速切削時全般にわたってさらに高めることが
できるので産業上の利用価値が高い。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10M 135:20) C10N 10:04 30:06 40:22

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 潤滑油基油に対し、組成物全量基準で、
    下記の一般式(化1)で表されるジアルキルジチオリン
    酸亜鉛、0.1〜40重量% 【化1】 (式中、R1 、R2 、R3 およびR4 は同一でも異なっ
    ていてもよく、それぞれ炭素数10〜24のアルキル基
    を示す。)を含有してなるアルミニウムおよびアルミニ
    ウム合金用切削加工油剤。
  2. 【請求項2】 潤滑油基油に対し、組成物全量基準で
    (A)下記の一般式(化2)で表されるジアルキルジチ
    オリン酸亜鉛、0.1〜40重量%、 【化2】 (式中、R 、R2 、R3 およびR4 は同一でも異なっ
    ていてもよく、それぞれ炭素数10〜24のアルキル基
    を示す。)ならびに、(B)硫黄系極圧剤および/また
    はアルカリ土類金属スルフォネート、0.1〜50重量
    %を含有してなるアルミニウムおよびアルミニウム合金
    用切削加工油剤。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010174252A (ja) * 2010-03-29 2010-08-12 Idemitsu Kosan Co Ltd 塑性加工用潤滑油組成物
WO2023071898A1 (zh) * 2021-10-29 2023-05-04 南京科润工业介质股份有限公司 一种长效缓蚀的铝合金切削液

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