JPH06287183A - 新規な光学活性エポキシプロピオン酸エステル誘導体 - Google Patents
新規な光学活性エポキシプロピオン酸エステル誘導体Info
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- JPH06287183A JPH06287183A JP10199793A JP10199793A JPH06287183A JP H06287183 A JPH06287183 A JP H06287183A JP 10199793 A JP10199793 A JP 10199793A JP 10199793 A JP10199793 A JP 10199793A JP H06287183 A JPH06287183 A JP H06287183A
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- methoxyphenyl
- propionic acid
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- Nitrogen- Or Sulfur-Containing Heterocyclic Ring Compounds With Rings Of Six Or More Members (AREA)
- Epoxy Compounds (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 公知のジルチアゼムの各種の製法に比べて更
に有利な製法の実施に有用な光学活性の中間体を提供す
る。 【構成】 一般式 【化1】 (上記一般式において、Rは炭素数1〜4個のアルキル
基を示す。)で表わされる(−)−(2R*,3S*)
−2,3−エポキシ−3−(4−メトキシフェニル)プ
ロピオン酸エステル。
に有利な製法の実施に有用な光学活性の中間体を提供す
る。 【構成】 一般式 【化1】 (上記一般式において、Rは炭素数1〜4個のアルキル
基を示す。)で表わされる(−)−(2R*,3S*)
−2,3−エポキシ−3−(4−メトキシフェニル)プ
ロピオン酸エステル。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規な光学活性なエポ
キシプロピオン酸エステル誘導体に関するものである。
キシプロピオン酸エステル誘導体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】次の化学式(1)
【0003】
【化2】 で表わされるベンゾチアゼピン誘導体は、分子内に二つ
の不斉炭素を有することから、理論的には四種類の光学
異性体が存在する。そして、これらの四種類の光学異性
体うちで、(+)−(2S,3S)体のみが、強力な冠
血管拡張剤としての薬効を有することが既に見出されて
いる。この(+)−(2S,3S)体は、塩酸ジルチア
ゼムの名前で知られている。
の不斉炭素を有することから、理論的には四種類の光学
異性体が存在する。そして、これらの四種類の光学異性
体うちで、(+)−(2S,3S)体のみが、強力な冠
血管拡張剤としての薬効を有することが既に見出されて
いる。この(+)−(2S,3S)体は、塩酸ジルチア
ゼムの名前で知られている。
【0004】上記の化学式(1)のベンゾチアゼピン誘
導体の代表的製法としては、たとえば、特公昭46−4
3785号公報に記載されている次に示すような方法が
知られている。まず、下記一般式(2)で示されるβ−
フェニルグリシッド酸エステル:
導体の代表的製法としては、たとえば、特公昭46−4
3785号公報に記載されている次に示すような方法が
知られている。まず、下記一般式(2)で示されるβ−
フェニルグリシッド酸エステル:
【0005】
【化3】 (ただし、上記一般式(2)においてR1 はエステル残
基を表わす)と下記化学式(3)で表わされる2−アミ
ノチオフェノール:
基を表わす)と下記化学式(3)で表わされる2−アミ
ノチオフェノール:
【0006】
【化4】 とを加熱反応させて、下記化学式(3)の1,5−ベン
ゾチアゼピン誘導体:
ゾチアゼピン誘導体:
【0007】
【化5】 を製造し、次いでこの1,5−ベンゾチアゼピン誘導体
を、下記一般式(4)で表わされる酢酸、プロピオン酸
などの脂肪酸:
を、下記一般式(4)で表わされる酢酸、プロピオン酸
などの脂肪酸:
【0008】
【化6】 (ただし、上記一般式(4)においてR2 はアルキル基
を表わす)と縮合反応させて、下記化学式(5)の1,
5−ベンゾチアゼピン誘導体:
を表わす)と縮合反応させて、下記化学式(5)の1,
5−ベンゾチアゼピン誘導体:
【0009】
【化7】 を製造し、次にこの1,5−ベンゾチアゼピン誘導体を
その5位窒素部位におけるアルカリ金属塩としたのち、
下記一般式(6)のアミン誘導体:
その5位窒素部位におけるアルカリ金属塩としたのち、
下記一般式(6)のアミン誘導体:
【0010】
【化8】 (ただし、上記一般式(6)においてR3 とR4 とはい
ずれもアルキル基を表わし、Xはハロゲン原子を表わ
す)と縮合反応させることによって、目的の化学式
(1)のベンゾチアゼピン誘導体を得る。
ずれもアルキル基を表わし、Xはハロゲン原子を表わ
す)と縮合反応させることによって、目的の化学式
(1)のベンゾチアゼピン誘導体を得る。
【0011】ただし、上記の化学式(1)のベンゾチア
ゼピン誘導体は、前述のように四種の光学異性体の混合
物であるため、強力な冠血管拡張剤としての薬効を有し
ている塩酸ジルチアゼム、即ち(+)−(2S,3S)
体を得るためには、生成した化学式(1)のベンゾチア
ゼピン誘導体を光学分割する必要がある。しかしなが
ら、この生成物を光学分割する方法を利用する場合に
は、複雑な製造工程を経て製造した生成物中のうち、目
的の光学異性体以外の大部分の生成物を無駄にする結果
となるため、工業的製法としては有利でないこと、また
化学式(1)のベンゾチアゼピン誘導体を光学分割して
目的の光学異性体のみを高純度で得るための適当な光学
分割剤が見い出されていないなどの理由で、この生成物
の光学分割以外の方法が検討されてきた。特公昭53−
18038号公報では、前記一般式(2)で示されるβ
−フェニルグリシッド酸エステルを2−ニトロチオフェ
ノールと反応させて得られるラセミ型α−2−ヒドロキ
シ−3−(p−アルコキシフェニル)−3−(O−ニト
ロフェニルチオ)−プロピオン酸を光学分割して光学活
性α−2−ヒドロキシ−3−(p−アルコキシフェニ
ル)−3−(O−ニトロフェニルチオ)−プロピオン酸
とし、これを還元して光学活性α−2−ヒドロキシ−3
−(p−アルコキシフェニル)−3−(O−アミノフェ
ニルチオ)−プロピオン酸とし、これを分子内閉環反応
させて光学活性α−2−(p−アルコキシフェニル)−
3−ヒドロキシチ−2・3−ジヒドロ−1・5−ベンゾ
チアゼピン−4(5H)−オンとし、これを縮合剤の存
在下にω−ジアルキルアミノアルキルハライドと縮合反
応させて光学活性α−2−(p−アルコキシフェニル)
−3−ヒドロキシ−5−(ω−ジアルキルアミノアルキ
ル)−2・3−ジヒドロ−1・5−ベンゾチアゼピン−
4(5H)−オンとし、次いでこれを脂肪酸アシル化剤
と反応させて光学活性のα−2−(p−アルコキシフェ
ニル)−3−アシルオキシ−5−(ω−ジアルキルアミ
ノアルキル)−2・3−ジヒドロ−1・5−ベンゾチア
ゼピン−4(5H)−オン(ジルチアゼム)を得る方法
を開示している。この方法は、β−フェニルグリシッド
酸エステルを2−ニトロチオフェノールと反応させて、
ラセミ型α−2−ヒドロキシ−3−(p−アルコキシフ
ェニル)−3−(O−ニトロフェニルチオ)−プロピオ
ン酸を一旦製造し、これを光学分割して光学活性体と
し、その後、還元して光学活性のアミノ体とし、これか
ら光学活性を維持したまま、閉環反応、縮合反応、そし
てアシル化反応にかけ、目的の光学活性体であるジルチ
アゼムを得るとの製造法である。
ゼピン誘導体は、前述のように四種の光学異性体の混合
物であるため、強力な冠血管拡張剤としての薬効を有し
ている塩酸ジルチアゼム、即ち(+)−(2S,3S)
体を得るためには、生成した化学式(1)のベンゾチア
ゼピン誘導体を光学分割する必要がある。しかしなが
ら、この生成物を光学分割する方法を利用する場合に
は、複雑な製造工程を経て製造した生成物中のうち、目
的の光学異性体以外の大部分の生成物を無駄にする結果
となるため、工業的製法としては有利でないこと、また
化学式(1)のベンゾチアゼピン誘導体を光学分割して
目的の光学異性体のみを高純度で得るための適当な光学
分割剤が見い出されていないなどの理由で、この生成物
の光学分割以外の方法が検討されてきた。特公昭53−
18038号公報では、前記一般式(2)で示されるβ
−フェニルグリシッド酸エステルを2−ニトロチオフェ
ノールと反応させて得られるラセミ型α−2−ヒドロキ
シ−3−(p−アルコキシフェニル)−3−(O−ニト
ロフェニルチオ)−プロピオン酸を光学分割して光学活
性α−2−ヒドロキシ−3−(p−アルコキシフェニ
ル)−3−(O−ニトロフェニルチオ)−プロピオン酸
とし、これを還元して光学活性α−2−ヒドロキシ−3
−(p−アルコキシフェニル)−3−(O−アミノフェ
ニルチオ)−プロピオン酸とし、これを分子内閉環反応
させて光学活性α−2−(p−アルコキシフェニル)−
3−ヒドロキシチ−2・3−ジヒドロ−1・5−ベンゾ
チアゼピン−4(5H)−オンとし、これを縮合剤の存
在下にω−ジアルキルアミノアルキルハライドと縮合反
応させて光学活性α−2−(p−アルコキシフェニル)
−3−ヒドロキシ−5−(ω−ジアルキルアミノアルキ
ル)−2・3−ジヒドロ−1・5−ベンゾチアゼピン−
4(5H)−オンとし、次いでこれを脂肪酸アシル化剤
と反応させて光学活性のα−2−(p−アルコキシフェ
ニル)−3−アシルオキシ−5−(ω−ジアルキルアミ
ノアルキル)−2・3−ジヒドロ−1・5−ベンゾチア
ゼピン−4(5H)−オン(ジルチアゼム)を得る方法
を開示している。この方法は、β−フェニルグリシッド
酸エステルを2−ニトロチオフェノールと反応させて、
ラセミ型α−2−ヒドロキシ−3−(p−アルコキシフ
ェニル)−3−(O−ニトロフェニルチオ)−プロピオ
ン酸を一旦製造し、これを光学分割して光学活性体と
し、その後、還元して光学活性のアミノ体とし、これか
ら光学活性を維持したまま、閉環反応、縮合反応、そし
てアシル化反応にかけ、目的の光学活性体であるジルチ
アゼムを得るとの製造法である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、公知のジル
チアゼムの各種の製法に比べて更に有利な製法の実施に
有用な光学活性の中間体にある。
チアゼムの各種の製法に比べて更に有利な製法の実施に
有用な光学活性の中間体にある。
【0013】すなわち本発明者は、上記の特公昭53−
18038号公報に記載のジルチアゼムの製造法に比べ
て更に前の段階でジルチアゼムに対応する光学活性を有
する中間体を得て、これを出発原料として、途中、面倒
な光学分割操作を経ることなく、目的のジルチアゼムを
得ることができれば、ジルチアゼムの製造法として更に
有利な製造法が開発できるとの発想のもとに、まず、光
学活性な遊離の(−)−(2R*,3S*)−2,3−
エポキシ−3−(4−メトキシフェニル)プロピオン酸
を得ることを考えたが、この化合物はそのラセミ体と同
様不安定な化合物と考えられるため、これを単離して取
り扱うことは非常に困難であるとの結論に達した。
18038号公報に記載のジルチアゼムの製造法に比べ
て更に前の段階でジルチアゼムに対応する光学活性を有
する中間体を得て、これを出発原料として、途中、面倒
な光学分割操作を経ることなく、目的のジルチアゼムを
得ることができれば、ジルチアゼムの製造法として更に
有利な製造法が開発できるとの発想のもとに、まず、光
学活性な遊離の(−)−(2R*,3S*)−2,3−
エポキシ−3−(4−メトキシフェニル)プロピオン酸
を得ることを考えたが、この化合物はそのラセミ体と同
様不安定な化合物と考えられるため、これを単離して取
り扱うことは非常に困難であるとの結論に達した。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記の理由により、本発
明者は2,3−エポキシ−3−(4−メトキシフェニ
ル)プロピオン酸塩の段階で光学分割を行なったとこ
ろ、安定な光学活性体が得られ、これをジアルキル硫酸
などの存在下でエステル化すると、新規な光学活性の
(−)−(2R*,3S*)−2,3−エポキシ−3−
(4−メトキシフェニル)プロピオン酸エステルが安定
に得られることを見い出した。
明者は2,3−エポキシ−3−(4−メトキシフェニ
ル)プロピオン酸塩の段階で光学分割を行なったとこ
ろ、安定な光学活性体が得られ、これをジアルキル硫酸
などの存在下でエステル化すると、新規な光学活性の
(−)−(2R*,3S*)−2,3−エポキシ−3−
(4−メトキシフェニル)プロピオン酸エステルが安定
に得られることを見い出した。
【0015】従って、本発明は、一般式(7):
【0016】
【化9】 (上記一般式(7)において、Rは炭素数1〜4個のア
ルキル基を示す。)で表わされる(−)−(2R*,3
S*)−2,3−エポキシ−3−(4−メトキシフェニ
ル)プロピオン酸エステルにある。
ルキル基を示す。)で表わされる(−)−(2R*,3
S*)−2,3−エポキシ−3−(4−メトキシフェニ
ル)プロピオン酸エステルにある。
【0017】上記の(−)−(2R*,3S*)−2,
3−エポキシ−3−(4−メトキシフェニル)プロピオ
ン酸エステルは、下記式(8)
3−エポキシ−3−(4−メトキシフェニル)プロピオ
ン酸エステルは、下記式(8)
【0018】
【化10】 (上記式中、A+ は有機塩基の共役酸またはアルカリ金
属イオンを示す。)で表わされる(−)−(2R*,3
S*)−2,3−エポキシ−3−(4−メトキシフェニ
ル)プロピオン酸塩を、ジアルキル硫酸あるいは1−メ
チル−2−ハロピリジニウム塩の存在下に低級アルコー
ル(炭素数1〜4のアルコール)を作用することにより
エステル化して得ることができる。
属イオンを示す。)で表わされる(−)−(2R*,3
S*)−2,3−エポキシ−3−(4−メトキシフェニ
ル)プロピオン酸塩を、ジアルキル硫酸あるいは1−メ
チル−2−ハロピリジニウム塩の存在下に低級アルコー
ル(炭素数1〜4のアルコール)を作用することにより
エステル化して得ることができる。
【0019】本発明の一般式(7)の(−)−(2R
*,3S*)−2,3−エポキシ−3−(4−メトキシ
フェニル)プロピオン酸エステルの製造のための出発物
質となる(−)−(2R*,3S*)−2,3−エポキ
シ−3−(4−メトキシフェニル)プロピオン酸塩は、
本件と同一出願人の特許出願(特願昭59−26743
3号)に係る発明の名称「新規な光学活性エポキシプロ
ピオン酸誘導体およびその製造法」に記載の方法(具体
例は、本明細書に参考例として記載した)に従って製造
することができる。次いで得られた光学活性のプロピオ
ン酸塩をエステル化に付して、本発明の光学活性(−)
−(2R*,3S*)−2,3−エポキシ−3−(4−
メトキシフェニル)プロピオン酸エステルとする。例え
ば、メチルエステルを得る反応では、ジメチルホルムア
ミド溶媒中、炭酸水素ナトリウムを加えて、硫酸ジメチ
ルとプロピオン酸塩を数時間反応させれば良い。あるい
は、プロピオン酸塩に対して1−メチル−2−クロロピ
リジニウム・メチル硫酸塩、トリエチルアミン、メタノ
ールを等モル量用い、ジクロロメタン中で反応させても
良い。
*,3S*)−2,3−エポキシ−3−(4−メトキシ
フェニル)プロピオン酸エステルの製造のための出発物
質となる(−)−(2R*,3S*)−2,3−エポキ
シ−3−(4−メトキシフェニル)プロピオン酸塩は、
本件と同一出願人の特許出願(特願昭59−26743
3号)に係る発明の名称「新規な光学活性エポキシプロ
ピオン酸誘導体およびその製造法」に記載の方法(具体
例は、本明細書に参考例として記載した)に従って製造
することができる。次いで得られた光学活性のプロピオ
ン酸塩をエステル化に付して、本発明の光学活性(−)
−(2R*,3S*)−2,3−エポキシ−3−(4−
メトキシフェニル)プロピオン酸エステルとする。例え
ば、メチルエステルを得る反応では、ジメチルホルムア
ミド溶媒中、炭酸水素ナトリウムを加えて、硫酸ジメチ
ルとプロピオン酸塩を数時間反応させれば良い。あるい
は、プロピオン酸塩に対して1−メチル−2−クロロピ
リジニウム・メチル硫酸塩、トリエチルアミン、メタノ
ールを等モル量用い、ジクロロメタン中で反応させても
良い。
【0020】なお、本発明の光学活性(−)−(2R
*,3S*)−2,3−エポキシ−3−(4−メトキシ
フェニル)プロピオン酸エステルは、下記の化学反応を
利用することにより光学活性を維持したまま、塩酸ジル
チアゼム合成における公知の重要中間体(+)−(2
S,3S)−3−(2−アミノフェニルチオ)−2−ヒ
ドロキシ−3−(4−メトキシフェニル)プロピオン酸
へと誘導できた。
*,3S*)−2,3−エポキシ−3−(4−メトキシ
フェニル)プロピオン酸エステルは、下記の化学反応を
利用することにより光学活性を維持したまま、塩酸ジル
チアゼム合成における公知の重要中間体(+)−(2
S,3S)−3−(2−アミノフェニルチオ)−2−ヒ
ドロキシ−3−(4−メトキシフェニル)プロピオン酸
へと誘導できた。
【0021】
【化11】
【0022】
[参考例1]アセトニトリル108mlおよび水12m
lの混合溶媒によく粉砕した(±)−(2RS,3S
R)−2,3−エポキシ−3−(4−メトキシフェニ
ル)プロピオン酸カリウム塩11.61g(50.0ミ
リモル)および(−)−(S)−α−メチルベンジルア
ミン・1/2硫酸塩8.51g(50.0ミリモル)を
加え室温にて30分間はげしく撹拌する。不溶物を濾別
し、濾液を−20℃にて2時間冷却すると無色針状晶が
析出するのでこれを濾過して、(−)−(2R*,3S
*)−2,3−エポキシ−3−(4−メトキシフェニ
ル)プロピオン酸・(−)−(S)−α−メチルベンジ
ルアミン塩[以後(−)−1・(−)−2塩と略記す
る]5.60gを得た。収率[全塩の半量を100%と
して計算、以下同じ]71.0%。mp:127.5−
128.5℃(分解)。[α]D 23 :−120°(c=
1.02,メタノール) また、先に濾別した不溶物をメタノールで洗浄し、洗浄
液を減圧下にて濃縮乾固して得られる固体をアセトニト
リルより洗浄して、(−)−1・(−)−2塩0.60
g(7.6%)を得た。この塩は、上記の塩とIRスペ
クトルが一致した。mp:126.5−127℃(分
解)。[α]D 23 :−117°(c1.07,メタノー
ル)
lの混合溶媒によく粉砕した(±)−(2RS,3S
R)−2,3−エポキシ−3−(4−メトキシフェニ
ル)プロピオン酸カリウム塩11.61g(50.0ミ
リモル)および(−)−(S)−α−メチルベンジルア
ミン・1/2硫酸塩8.51g(50.0ミリモル)を
加え室温にて30分間はげしく撹拌する。不溶物を濾別
し、濾液を−20℃にて2時間冷却すると無色針状晶が
析出するのでこれを濾過して、(−)−(2R*,3S
*)−2,3−エポキシ−3−(4−メトキシフェニ
ル)プロピオン酸・(−)−(S)−α−メチルベンジ
ルアミン塩[以後(−)−1・(−)−2塩と略記す
る]5.60gを得た。収率[全塩の半量を100%と
して計算、以下同じ]71.0%。mp:127.5−
128.5℃(分解)。[α]D 23 :−120°(c=
1.02,メタノール) また、先に濾別した不溶物をメタノールで洗浄し、洗浄
液を減圧下にて濃縮乾固して得られる固体をアセトニト
リルより洗浄して、(−)−1・(−)−2塩0.60
g(7.6%)を得た。この塩は、上記の塩とIRスペ
クトルが一致した。mp:126.5−127℃(分
解)。[α]D 23 :−117°(c1.07,メタノー
ル)
【0023】IR(KBr)cm-1:3440,300
0〜2950,2700,2520,2200,163
0,1610,1565,1535,1510,141
0,1290,1250,880,765,7001 H−NMR(CDCl3 /CD3 OD=6/1)δ: 1.62(d,3H,J=7Hz,−CHCH 3 ) 3.35(d,1H,J=2Hz,エポキシ環プロト
ン) 3.73(d,1H,J=2Hz,エポキシ環プロト
ン) 3.80(s,3H,−OCH 3 ) 4.36(q,1H,J=7Hz,−CHCH3 ) 6.8−7.2(m,4H,芳香族プロトン) 7.2−7.5(m,5H,芳香族プロトン)
0〜2950,2700,2520,2200,163
0,1610,1565,1535,1510,141
0,1290,1250,880,765,7001 H−NMR(CDCl3 /CD3 OD=6/1)δ: 1.62(d,3H,J=7Hz,−CHCH 3 ) 3.35(d,1H,J=2Hz,エポキシ環プロト
ン) 3.73(d,1H,J=2Hz,エポキシ環プロト
ン) 3.80(s,3H,−OCH 3 ) 4.36(q,1H,J=7Hz,−CHCH3 ) 6.8−7.2(m,4H,芳香族プロトン) 7.2−7.5(m,5H,芳香族プロトン)
【0024】[参考例2] (−)−1・(−)−2塩4.41g(14.0ミリモ
ル)を、乾燥ベンゼン14mlに懸濁させ、これに室温
で、95%ナトリウムメトキシド0.80gの乾燥メタ
ノール溶液(14ml)を徐々に加える。室温で1時間
撹拌後、反応液を濾過しベンゼンで洗浄して、(−)−
(2R*・3S*)−2,3−エポキシ−3−(4−メ
トキシフェニル)プロピオン酸ナトリウム塩2.68g
を得た。収率:88.4%。mp:約220℃(分
解)。[α]D 23 :−158°(c=0.697,アセ
トン:水=1.0:1.0)
ル)を、乾燥ベンゼン14mlに懸濁させ、これに室温
で、95%ナトリウムメトキシド0.80gの乾燥メタ
ノール溶液(14ml)を徐々に加える。室温で1時間
撹拌後、反応液を濾過しベンゼンで洗浄して、(−)−
(2R*・3S*)−2,3−エポキシ−3−(4−メ
トキシフェニル)プロピオン酸ナトリウム塩2.68g
を得た。収率:88.4%。mp:約220℃(分
解)。[α]D 23 :−158°(c=0.697,アセ
トン:水=1.0:1.0)
【0025】IR(KBr)cm-1:3040,300
5,2950,2900,2835,1605,151
0,1435,1415,1245,1020,89
0,8301 H−NMR((CD3 )2 CO:D2 O=1:1;内
部標準DSS)δ; 3.47(d,1H,J=2Hz,エポキシ環プロト
ン) 3.83(s,3H,−OCH 3 ) 3.95(d,1H,J=2Hz,エポキシ環プロト
ン) 6.96(d,2H,J=8.6Hz,芳香族プロト
ン) 7.31(d,2H,J=8.6Hz,芳香族プロト
ン)
5,2950,2900,2835,1605,151
0,1435,1415,1245,1020,89
0,8301 H−NMR((CD3 )2 CO:D2 O=1:1;内
部標準DSS)δ; 3.47(d,1H,J=2Hz,エポキシ環プロト
ン) 3.83(s,3H,−OCH 3 ) 3.95(d,1H,J=2Hz,エポキシ環プロト
ン) 6.96(d,2H,J=8.6Hz,芳香族プロト
ン) 7.31(d,2H,J=8.6Hz,芳香族プロト
ン)
【0026】[参考例3]2−クロロピリジン11.3
6g(100.0ミリモル)に乾燥ジクロロエタン15
mlを加え、加熱還流下、ジメチル硫酸12.61g
(100.0ミリモル)のジクロロエタン15ml溶液
を滴下する。1時間加熱還流後、室温まで冷却して1−
メチル−2−クロロピリジニウムメチル硫酸塩溶液を得
た。これをメスフラスコに移しジクロロメタンを用いて
正確に100mlとした。さらに精製することなく、こ
れを以下の実施例に用いた。
6g(100.0ミリモル)に乾燥ジクロロエタン15
mlを加え、加熱還流下、ジメチル硫酸12.61g
(100.0ミリモル)のジクロロエタン15ml溶液
を滴下する。1時間加熱還流後、室温まで冷却して1−
メチル−2−クロロピリジニウムメチル硫酸塩溶液を得
た。これをメスフラスコに移しジクロロメタンを用いて
正確に100mlとした。さらに精製することなく、こ
れを以下の実施例に用いた。
【0027】[実施例1] (−)−(2R*・3S*)−2,3−エポキシ−3−
(4−メトキシフェニル)プロピオン酸ナトリウム塩
[以後(−)−3と略記する]2.59g(12.0ミ
リモル)を塩化メチレン12mlに懸濁させ、トリエチ
ルアミン1.34g(13.2ミリモル)及びメタノー
ル・塩化メチレン溶液(メタノール1ミリモル/ml含
有)13.2mlを加え、よく撹拌する。これに室温
で、参考例3で得た1−メチル−2−クロロピリジニウ
ムメチル硫酸塩溶液13.2ml(13.2ミリモル)
を徐々に加える。反応液を室温で一夜撹拌後、溶媒を減
圧下留去し、新たに酢酸エチルを加え、水および飽和食
塩水で洗浄する。芒硝で乾燥した後、溶媒を留去し、残
渣を蒸留して、(−)−(2R*・3S*)−2,3−
エポキシ−3−(4−メトキシフェニル)プロピオン酸
メチルエステル2.08gを得た。収率:83.2%。
bp:99−101℃/2.5×10-1トール。[α]
D 23 :−160°(c=0.892,クロロホルム)
(4−メトキシフェニル)プロピオン酸ナトリウム塩
[以後(−)−3と略記する]2.59g(12.0ミ
リモル)を塩化メチレン12mlに懸濁させ、トリエチ
ルアミン1.34g(13.2ミリモル)及びメタノー
ル・塩化メチレン溶液(メタノール1ミリモル/ml含
有)13.2mlを加え、よく撹拌する。これに室温
で、参考例3で得た1−メチル−2−クロロピリジニウ
ムメチル硫酸塩溶液13.2ml(13.2ミリモル)
を徐々に加える。反応液を室温で一夜撹拌後、溶媒を減
圧下留去し、新たに酢酸エチルを加え、水および飽和食
塩水で洗浄する。芒硝で乾燥した後、溶媒を留去し、残
渣を蒸留して、(−)−(2R*・3S*)−2,3−
エポキシ−3−(4−メトキシフェニル)プロピオン酸
メチルエステル2.08gを得た。収率:83.2%。
bp:99−101℃/2.5×10-1トール。[α]
D 23 :−160°(c=0.892,クロロホルム)
【0028】IR(neat)cm-1:3020,29
60,2920,2840,1760,1615,15
15,1440,1250,1030,8351 H−NMR(CDCl3 )δ: 3.50(d,1H,J=2Hz,エポキシ環プロト
ン) 3.80及び3.81(s×2.6H,−OCH 3 及び
−CO2 CH 3 ) 4.04(d,1H,J=2Hz,エポキシ環プロト
ン) 6.86(d,2H,J=8.8Hz,芳香族プロト
ン) 7.19(d,2H,J=8.8Hz,芳香族プロト
ン)
60,2920,2840,1760,1615,15
15,1440,1250,1030,8351 H−NMR(CDCl3 )δ: 3.50(d,1H,J=2Hz,エポキシ環プロト
ン) 3.80及び3.81(s×2.6H,−OCH 3 及び
−CO2 CH 3 ) 4.04(d,1H,J=2Hz,エポキシ環プロト
ン) 6.86(d,2H,J=8.8Hz,芳香族プロト
ン) 7.19(d,2H,J=8.8Hz,芳香族プロト
ン)
【0029】[実施例2] (−)−3を4.32g(20.0ミリモル)にジメチ
ルホルムアミド20mlおよび粉末状の炭酸水素ナトリ
ウム6.72g(80.0ミリモル)を加え、撹拌す
る。これにジメチル硫酸5.04g(40.0ミリモ
ル)を加える。16時間後、反応混合物を氷水200m
lに注入しエーテルで抽出後水で洗浄する。エーテル層
を芒硝で乾燥し、溶媒を留去後(−)−(2R*,3S
*)−2,3−エポキシ−3−(4−メトキシフェニ
ル)プロピオン酸メチルエステル2.45gを得た。収
率:58.9%。IRと 1H−NMRの機器データは実
施例1のデータと完全に一致した。[α]D 23 :−15
5°(c=0.897,クロロホルム)。bp:107
〜113℃/0.12トール
ルホルムアミド20mlおよび粉末状の炭酸水素ナトリ
ウム6.72g(80.0ミリモル)を加え、撹拌す
る。これにジメチル硫酸5.04g(40.0ミリモ
ル)を加える。16時間後、反応混合物を氷水200m
lに注入しエーテルで抽出後水で洗浄する。エーテル層
を芒硝で乾燥し、溶媒を留去後(−)−(2R*,3S
*)−2,3−エポキシ−3−(4−メトキシフェニ
ル)プロピオン酸メチルエステル2.45gを得た。収
率:58.9%。IRと 1H−NMRの機器データは実
施例1のデータと完全に一致した。[α]D 23 :−15
5°(c=0.897,クロロホルム)。bp:107
〜113℃/0.12トール
【0030】[実施例3] (−)−3を3.89g(18.0ミリモル)を塩化メ
チレン30mlに懸濁させ、トリエチルアミン2.00
g(19.8ミリモル)およびエタノール0.91g
(19.8ミリモル)をすばやく加え、よく撹拌する。
これに室温で、参考例3で得た1−メチル−2−クロロ
ピリジニウムメチル硫酸塩溶液19.8ml(19.8
ミリモル)を徐々に加える。反応液を室温で一夜撹拌
後、溶媒を減圧下留去し、新たに酢酸エチルを加え、酢
酸エチル層を水、続いて飽和食塩水で洗浄する。芒硝に
て乾燥した後、溶媒を留去し、そして残渣を蒸留して、
(−)−(2R*,3S*)−2,3−エポキシ−3−
(4−メトキシフェニル)プロピオン酸エチルエステル
3.33gを得た。収率:83.3%。bp:110−
111℃/2.5×10-2トール。[α]D 23 :−15
2°(c=1.10,クロロホルム)
チレン30mlに懸濁させ、トリエチルアミン2.00
g(19.8ミリモル)およびエタノール0.91g
(19.8ミリモル)をすばやく加え、よく撹拌する。
これに室温で、参考例3で得た1−メチル−2−クロロ
ピリジニウムメチル硫酸塩溶液19.8ml(19.8
ミリモル)を徐々に加える。反応液を室温で一夜撹拌
後、溶媒を減圧下留去し、新たに酢酸エチルを加え、酢
酸エチル層を水、続いて飽和食塩水で洗浄する。芒硝に
て乾燥した後、溶媒を留去し、そして残渣を蒸留して、
(−)−(2R*,3S*)−2,3−エポキシ−3−
(4−メトキシフェニル)プロピオン酸エチルエステル
3.33gを得た。収率:83.3%。bp:110−
111℃/2.5×10-2トール。[α]D 23 :−15
2°(c=1.10,クロロホルム)
【0031】IR(neat)cm-1:2990,29
50,2910,2840,1760,1615,15
15,1440,1300,1250,1200,11
75,1030,835,7801 H−NMR(CDCl3 )δ; 1.32(t,3H,J=7Hz,−OCH2 CH 3 ) 3.48(d,1H,J=2Hz,エポキシ環プロト
ン) 3.80(s,3H,−OCH 3 ) 4.03(d,1H,J=2Hz,エポキシ環プロト
ン) 4.27(q,2H,J=7Hz,−OCH 2 CH3 ) 6.87(d,2H,J=8.8Hz,芳香族プロト
ン) 7.21(d,2H,J=8.8Hz,芳香族プロト
ン)
50,2910,2840,1760,1615,15
15,1440,1300,1250,1200,11
75,1030,835,7801 H−NMR(CDCl3 )δ; 1.32(t,3H,J=7Hz,−OCH2 CH 3 ) 3.48(d,1H,J=2Hz,エポキシ環プロト
ン) 3.80(s,3H,−OCH 3 ) 4.03(d,1H,J=2Hz,エポキシ環プロト
ン) 4.27(q,2H,J=7Hz,−OCH 2 CH3 ) 6.87(d,2H,J=8.8Hz,芳香族プロト
ン) 7.21(d,2H,J=8.8Hz,芳香族プロト
ン)
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年5月6日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 新規な光学活性エポキシプロピオン酸
エステル誘導体
エステル誘導体
【特許請求の範囲】
【化1】 (上記の一般式において、Rはメチル基を示す。)で表
わされ、その比旋光度が[α]D 23:−160°(c
=0.892,クロロホルム)以上である高純度の
(−)−(2R*,3S*)−2,3−エポキシ−3−
(4−メトキシフェニル)プロピオン酸エステル。
わされ、その比旋光度が[α]D 23:−160°(c
=0.892,クロロホルム)以上である高純度の
(−)−(2R*,3S*)−2,3−エポキシ−3−
(4−メトキシフェニル)プロピオン酸エステル。
【化2】 (上記の一般式において、Rはエチル基を示す。)で表
わされ、その比旋光度が[α]D 23:−152°(c
−1.10,クロロホルム)以上である高純度の(−)
−(2R*,3S*)−2,3−エポキシ−3−(4−
メトキシフェニル)プロピオン酸エステル。
わされ、その比旋光度が[α]D 23:−152°(c
−1.10,クロロホルム)以上である高純度の(−)
−(2R*,3S*)−2,3−エポキシ−3−(4−
メトキシフェニル)プロピオン酸エステル。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規な光学活性なエポ
キシプロピオン酸エステル誘導体に関するものである。
キシプロピオン酸エステル誘導体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】次の化学式(1)
【0003】
【化3】 で表わされるベンゾチアゼビン誘導体は、分子内に二つ
の不斉炭素を有することから、理論的には四種類の光学
異性体が存在する。そして、これらの四種類の光学異性
体うちで、(+)−(2S,3S)体のみが、強力な冠
血管拡張剤としての薬効を有することが既に見出されて
いる。この(+)−(2S,3S)体は、塩酸ジルチア
ゼムの名前で知られている。
の不斉炭素を有することから、理論的には四種類の光学
異性体が存在する。そして、これらの四種類の光学異性
体うちで、(+)−(2S,3S)体のみが、強力な冠
血管拡張剤としての薬効を有することが既に見出されて
いる。この(+)−(2S,3S)体は、塩酸ジルチア
ゼムの名前で知られている。
【0004】上記の化学式(1)のベンゾチアゼピン誘
導体の代表的製法としては、たとえば、特公昭46−4
3785号公報に記截されている次に示すような方法が
知られている。まず、下記一般式(2)で示されるβ−
フェニルグリシッド酸エステル:
導体の代表的製法としては、たとえば、特公昭46−4
3785号公報に記截されている次に示すような方法が
知られている。まず、下記一般式(2)で示されるβ−
フェニルグリシッド酸エステル:
【0005】
【化4】 (ただし、上記一般式(2)においてR1はエステル残
基を表わす)と下記化学式(3)で表わされる2−アミ
ノチオフェノール:
基を表わす)と下記化学式(3)で表わされる2−アミ
ノチオフェノール:
【0006】
【化5】 とを加熱反応させて、下記化学式(3)の1,5−ベン
ゾチアゼビン誘導体:
ゾチアゼビン誘導体:
【0007】
【化6】 を製造し、次いでこの1,5−ベンゾチアゼピン誘導体
を、下記一般式(4)で表わされる酢酸、プロピオン酸
などの脂肪酸:
を、下記一般式(4)で表わされる酢酸、プロピオン酸
などの脂肪酸:
【0008】
【化7】RCOOH (ただし、上記一般式(4)においてR2はアルキル基
を表わす)と縮合反応させて、下記化学式(5)の1,
5−ベンゾチアゼビン誘導体:
を表わす)と縮合反応させて、下記化学式(5)の1,
5−ベンゾチアゼビン誘導体:
【0009】
【化8】 を製造し、次にこの1,5−ベンゾチアゼピン誘導体を
その5位窒素部位におけるアルカリ金属塩としたのち、
下記一般式(6)のアミン誘導体:
その5位窒素部位におけるアルカリ金属塩としたのち、
下記一般式(6)のアミン誘導体:
【0010】
【化9】 (ただし、上記一般式(6)においてR3とR4とはい
ずれもアルキル基を表わし、Xはハロゲン原子を表わ
す)と縮合反応させることによって、目的の化学式
(1)のベンゾチアゼビン誘導体を得る。
ずれもアルキル基を表わし、Xはハロゲン原子を表わ
す)と縮合反応させることによって、目的の化学式
(1)のベンゾチアゼビン誘導体を得る。
【0011】ただし、上記の化学式(1)のベンゾチア
ゼピン誘導体は、前述のように四種の光学異性体の混合
物であるため、強力な冠血管拡張剤としての薬効を有し
ている塩酸ジルチアゼム、即ち(+)−(2S,3S)
体を得るためには、生成した化学式(1)のベンゾチア
ゼピン誘導体を光学分割する必要がある。しかしなが
ら、この生成物を光学分割する方法を利用する場合に
は、複雑な製造工程を経て製造した生成物中のうち、目
的の光学異性体以外の大部分の生成物を無駄にする結果
となるため、工業的製法としては有利でないこと、また
化学式(1)のベンゾチアゼビン誘導体を光学分割して
目的の光学異性体のみを高純度で得るための適当な光学
分割剤が見い出されていないなどの理由で、この生成物
の光学分割以外の方法が検討されてきた。
ゼピン誘導体は、前述のように四種の光学異性体の混合
物であるため、強力な冠血管拡張剤としての薬効を有し
ている塩酸ジルチアゼム、即ち(+)−(2S,3S)
体を得るためには、生成した化学式(1)のベンゾチア
ゼピン誘導体を光学分割する必要がある。しかしなが
ら、この生成物を光学分割する方法を利用する場合に
は、複雑な製造工程を経て製造した生成物中のうち、目
的の光学異性体以外の大部分の生成物を無駄にする結果
となるため、工業的製法としては有利でないこと、また
化学式(1)のベンゾチアゼビン誘導体を光学分割して
目的の光学異性体のみを高純度で得るための適当な光学
分割剤が見い出されていないなどの理由で、この生成物
の光学分割以外の方法が検討されてきた。
【0012】特公昭53−18038号公報では、前記
一般式(2)で示されるβ−フェニルグリシッド酸エス
テルを2−ニトロチオフェノールと反応させて得られる
ラセミ型α−2−ヒドロキシ−3−(p−アルコキシフ
ェニル)−3−(O−ニトロフェニルチオ)−プロピオ
ン酸を光学分割して光学活性α−2−ヒドロキシ−3−
(p−アルコキシフェニル)−3−(O−ニトロフェニ
ルチオ)−プロピオン酸とし、これを還元して光学活性
α−2−ヒドロキシ−3−(p−アルコキシフェニル)
−3−(O−アミノフェニルチオ)−プロピオン酸と
し、これを分子内閉環反応させて光学活性α−2−(p
−アルコキシフェニル)−3−ヒドロキシチ−2・3−
ジヒドロ−1・5−ベンゾチアゼビン−4(5H)−オ
ンとし、これを縮合剤の存在下にω−ジアルキルアミノ
アルキルハライドと縮合反応させて光学活性α−2−
(p−アルコキシフェニル)−3−ヒドロキシ−5−
(ω−ジアルキルアミノアルキル)−2・3−ジヒドロ
−1・5−ベンゾチアゼピン−4(5H)−オンとし、
次いでこれを脂肪酸アシル化剤と反応させて光学活性の
α−2−(p−アルコキシフェニル)−3−アシルオキ
シ−5−(ω−ジアルキルアミノアルキル)−2・3−
ジヒドロ−1・5−ベンゾチアゼピン−4(5H)−オ
ン(ジルチアゼム)を得る方法を開示している。この方
法は、β−フェニルグリシッド酸エステルを2−ニトロ
チオフェノールと反応させて、ラセミ型α−2−ヒドロ
キシ−3−(p−アルコキシフェニル)−3−(O−ニ
トロフェニルチオ)−プロピオン酸を一旦製造し、これ
を光学分割して光学活性体とし、その後、還元して光学
活性のアミノ体とし、これから光学活性を維持したま
ま、閉環反応、縮合反応、そしてアシル化反応にかけ、
目的の光学活性体であるジルチアゼムを得るとの製造法
である。
一般式(2)で示されるβ−フェニルグリシッド酸エス
テルを2−ニトロチオフェノールと反応させて得られる
ラセミ型α−2−ヒドロキシ−3−(p−アルコキシフ
ェニル)−3−(O−ニトロフェニルチオ)−プロピオ
ン酸を光学分割して光学活性α−2−ヒドロキシ−3−
(p−アルコキシフェニル)−3−(O−ニトロフェニ
ルチオ)−プロピオン酸とし、これを還元して光学活性
α−2−ヒドロキシ−3−(p−アルコキシフェニル)
−3−(O−アミノフェニルチオ)−プロピオン酸と
し、これを分子内閉環反応させて光学活性α−2−(p
−アルコキシフェニル)−3−ヒドロキシチ−2・3−
ジヒドロ−1・5−ベンゾチアゼビン−4(5H)−オ
ンとし、これを縮合剤の存在下にω−ジアルキルアミノ
アルキルハライドと縮合反応させて光学活性α−2−
(p−アルコキシフェニル)−3−ヒドロキシ−5−
(ω−ジアルキルアミノアルキル)−2・3−ジヒドロ
−1・5−ベンゾチアゼピン−4(5H)−オンとし、
次いでこれを脂肪酸アシル化剤と反応させて光学活性の
α−2−(p−アルコキシフェニル)−3−アシルオキ
シ−5−(ω−ジアルキルアミノアルキル)−2・3−
ジヒドロ−1・5−ベンゾチアゼピン−4(5H)−オ
ン(ジルチアゼム)を得る方法を開示している。この方
法は、β−フェニルグリシッド酸エステルを2−ニトロ
チオフェノールと反応させて、ラセミ型α−2−ヒドロ
キシ−3−(p−アルコキシフェニル)−3−(O−ニ
トロフェニルチオ)−プロピオン酸を一旦製造し、これ
を光学分割して光学活性体とし、その後、還元して光学
活性のアミノ体とし、これから光学活性を維持したま
ま、閉環反応、縮合反応、そしてアシル化反応にかけ、
目的の光学活性体であるジルチアゼムを得るとの製造法
である。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、公知のジル
チアゼムの各種の製法に比べて更に有利な製法の実施に
有用な光学活性の中間体にある。
チアゼムの各種の製法に比べて更に有利な製法の実施に
有用な光学活性の中間体にある。
【0014】すなわち本発明者は、上記の特公昭53−
18038号公報に記載のジルチアゼムの製造法に比べ
て更に前の段階でジルチアゼムに対応する光学活性を有
する中間体を得て、これを出発原料として、途中、面倒
な光学分割操作を経ることなく、目的のジルチアゼムを
得ることができれば、ジルチアゼムの製造法として更に
有利な製造法が開発できるどの発想のもとに、まず、光
学活性な遊離の(−)−(2R*,3S*)−2,3−
エポキシ−3−(4−メトキシフェニル)プロピオン酸
を得ることを考えたが、この化合物はそのラセミ体と同
様不安定な化合物と考えられるため、これを単離して取
り扱うことは非常に困難であるとの結論に達した。
18038号公報に記載のジルチアゼムの製造法に比べ
て更に前の段階でジルチアゼムに対応する光学活性を有
する中間体を得て、これを出発原料として、途中、面倒
な光学分割操作を経ることなく、目的のジルチアゼムを
得ることができれば、ジルチアゼムの製造法として更に
有利な製造法が開発できるどの発想のもとに、まず、光
学活性な遊離の(−)−(2R*,3S*)−2,3−
エポキシ−3−(4−メトキシフェニル)プロピオン酸
を得ることを考えたが、この化合物はそのラセミ体と同
様不安定な化合物と考えられるため、これを単離して取
り扱うことは非常に困難であるとの結論に達した。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記の理由により、本発
明者は2,3−エポキシ−3−(4−メトキシフェニ
ル)プロピオン酸塩の段階で光学分割を行なったとこ
ろ、安定な光学活性体が得られ、これをジアルキル硫酸
などの存在下でエステル化すると、新規な光学活性の
(−)−(2R*,3S*)−2,3−エポキシ−3−
(4−メトキシフェニル)プロピオン酸エステルが安定
に得られることを見い出した。
明者は2,3−エポキシ−3−(4−メトキシフェニ
ル)プロピオン酸塩の段階で光学分割を行なったとこ
ろ、安定な光学活性体が得られ、これをジアルキル硫酸
などの存在下でエステル化すると、新規な光学活性の
(−)−(2R*,3S*)−2,3−エポキシ−3−
(4−メトキシフェニル)プロピオン酸エステルが安定
に得られることを見い出した。
【0016】本発明は、一般式(7):
【化10】
【0017】(上記の一般式(7)において、Rはメチ
ル基を示す。)で表わされ、その比旋光度が[α]D
23:−160°(c=0.892,クロロホルム)以
上である高純度の(−)−(2R*,3S*)−2,3
−エポキシ−3−(4−メトキシフェニル)プロピオン
酸エステルにある。
ル基を示す。)で表わされ、その比旋光度が[α]D
23:−160°(c=0.892,クロロホルム)以
上である高純度の(−)−(2R*,3S*)−2,3
−エポキシ−3−(4−メトキシフェニル)プロピオン
酸エステルにある。
【0018】また本発明は、上記一般式(7)(ただ
し、Rはエチル基を示す。)で表わされ、その比旋光度
が[α]D 23:−152°(c=1.10,クロロホ
ルム)以上である高純度の(−)−(2R*,3S*)
−2,3−エポキシ−3−(4−メトキシフェニル)プ
ロピオン酸エステルにもある。なお、上記の比旋光度の
表現において、「以上」とは、絶対値が大きいことを意
味する。
し、Rはエチル基を示す。)で表わされ、その比旋光度
が[α]D 23:−152°(c=1.10,クロロホ
ルム)以上である高純度の(−)−(2R*,3S*)
−2,3−エポキシ−3−(4−メトキシフェニル)プ
ロピオン酸エステルにもある。なお、上記の比旋光度の
表現において、「以上」とは、絶対値が大きいことを意
味する。
【0019】上記の(−)−(2R*,3S*)−2,
3−エポキシ−3−(4−メトキシフェニル)プロピオ
ン酸エステルは、下記式(8)
3−エポキシ−3−(4−メトキシフェニル)プロピオ
ン酸エステルは、下記式(8)
【0020】
【化11】 (上記式中、A+は有機塩基の共役酸またはアルカリ金
属イオンを示す。)で表わされる(−)−(2R*,3
S*)−2,3−エポキシ−3−(4−メトキシフェニ
ル)プロピオン酸塩を、ジアルキル硫酸あるいは1−メ
チル−2−ハロピリジニウム塩の存在下にメチルアルコ
ールあるいはエチルアルコールを作用することによりエ
ステル化して得ることができる。
属イオンを示す。)で表わされる(−)−(2R*,3
S*)−2,3−エポキシ−3−(4−メトキシフェニ
ル)プロピオン酸塩を、ジアルキル硫酸あるいは1−メ
チル−2−ハロピリジニウム塩の存在下にメチルアルコ
ールあるいはエチルアルコールを作用することによりエ
ステル化して得ることができる。
【0021】本発明の一般式(7)の(−)−(2R
*,3S*)−2,3−エポキシ−3−(4−メトキシ
フェニル)プロピオン酸エステルの製造のための出発物
質となる(−)−(2R*,3S*)−2,3−エポキ
シ−3−(4−メトキシフェニル)プロピオン酸塩は、
本件と同一出願人の特許出願(特願昭59−26743
3号)に係る発明の名称「新規な光学活性エポキシプロ
ピオン酸誘導体およびその製造法」に記載の方法(具体
例は、本明細書に参考例として記載した)に従って製造
することができる。次いで得られた光学活性のプロピオ
ン酸塩をエステル化に付して、本発明の光学活性(−)
−(2R*,3S*)−2,3−エポキシ−3−(4−
メトキシフェニル)プロピオン酸エステルとする。例え
ば、メチルエステルを得る反応では、ジメチルホルムア
ミド溶媒中、炭酸水素ナトリウムを加えて、硫酸ジメチ
ルとプロピオン酸塩を数時間反応させれば良い。あるい
は、プロピオン酸塩に対して1−メチル−2−クロロピ
リジニウム・メチル硫酸塩、トリエチルアミン、メタノ
ールを等モル量用い、ジクロロメタン中で反応させても
良い。
*,3S*)−2,3−エポキシ−3−(4−メトキシ
フェニル)プロピオン酸エステルの製造のための出発物
質となる(−)−(2R*,3S*)−2,3−エポキ
シ−3−(4−メトキシフェニル)プロピオン酸塩は、
本件と同一出願人の特許出願(特願昭59−26743
3号)に係る発明の名称「新規な光学活性エポキシプロ
ピオン酸誘導体およびその製造法」に記載の方法(具体
例は、本明細書に参考例として記載した)に従って製造
することができる。次いで得られた光学活性のプロピオ
ン酸塩をエステル化に付して、本発明の光学活性(−)
−(2R*,3S*)−2,3−エポキシ−3−(4−
メトキシフェニル)プロピオン酸エステルとする。例え
ば、メチルエステルを得る反応では、ジメチルホルムア
ミド溶媒中、炭酸水素ナトリウムを加えて、硫酸ジメチ
ルとプロピオン酸塩を数時間反応させれば良い。あるい
は、プロピオン酸塩に対して1−メチル−2−クロロピ
リジニウム・メチル硫酸塩、トリエチルアミン、メタノ
ールを等モル量用い、ジクロロメタン中で反応させても
良い。
【0022】なお、本発明の光学活性(−)−(2R
*,3S*)−2,3−エポキシ−3−(4−メトキシ
フェニル)プロピオン酸エステルは、下記の化学反応を
利用することにより光学活性を維持したまま、塩酸ジル
チアゼム合成における公知の重要中間体(+)−(2
S,3S)−3−(2−アミノフェニルチオ)−2−ヒ
ドロキシ−3−(4−メトキシフェニル)プロピオン酸
へと誘導できた。
*,3S*)−2,3−エポキシ−3−(4−メトキシ
フェニル)プロピオン酸エステルは、下記の化学反応を
利用することにより光学活性を維持したまま、塩酸ジル
チアゼム合成における公知の重要中間体(+)−(2
S,3S)−3−(2−アミノフェニルチオ)−2−ヒ
ドロキシ−3−(4−メトキシフェニル)プロピオン酸
へと誘導できた。
【0023】
【化12】
【0024】
【実施例】 [参考例1]アセトニトリル108mlおよび水12m
lの混合溶媒によく粉砕した(±)−(2RS,3S
R)−2,3−エポキシ−3−(4−メトキシフェニ
ル)プロピオン酸カリウム塩11.61g(50.0ミ
リモル)および(−)−(S)−α−メチルベンジルア
ミン・1/2硫酸塩8.51g(50.0ミリモル)を
加え室温にて30分間はげしく撹拌する。不溶物を濾別
し、濾液を−20℃にて2時間冷却すると無色針状晶が
析出するのでこれを濾過して、(−)−(2R*,3S
*)−2,3−エポキシ−3−(4−メトキシフェニ
ル)プロピオン酸・(−)−(S)−α−メチルベンジ
ルアミン塩[以後(−)−1・(−)−2塩と略記す
る]5.60gを得た。収率[全塩の半量を100%と
して計算、以下同じ]71.0%。mp:127.5−
128.5℃(分解)。[α]D 23:−120°(c
=1.02,メタノール) また、先に濾別した不溶物をメタノールで洗浄し、洗浄
液を滅圧下にて濃縮乾固して得られる固体をアセトニト
リルより洗浄して、(−)−1・(−)−2塩0.60
g(7.6%)を得た。この塩は、上記の塩とIRスペ
クトルが一致した。mp:126.5−127℃(分
解)。[α]D 23:−117°(c1.07,メタノ
ール)
lの混合溶媒によく粉砕した(±)−(2RS,3S
R)−2,3−エポキシ−3−(4−メトキシフェニ
ル)プロピオン酸カリウム塩11.61g(50.0ミ
リモル)および(−)−(S)−α−メチルベンジルア
ミン・1/2硫酸塩8.51g(50.0ミリモル)を
加え室温にて30分間はげしく撹拌する。不溶物を濾別
し、濾液を−20℃にて2時間冷却すると無色針状晶が
析出するのでこれを濾過して、(−)−(2R*,3S
*)−2,3−エポキシ−3−(4−メトキシフェニ
ル)プロピオン酸・(−)−(S)−α−メチルベンジ
ルアミン塩[以後(−)−1・(−)−2塩と略記す
る]5.60gを得た。収率[全塩の半量を100%と
して計算、以下同じ]71.0%。mp:127.5−
128.5℃(分解)。[α]D 23:−120°(c
=1.02,メタノール) また、先に濾別した不溶物をメタノールで洗浄し、洗浄
液を滅圧下にて濃縮乾固して得られる固体をアセトニト
リルより洗浄して、(−)−1・(−)−2塩0.60
g(7.6%)を得た。この塩は、上記の塩とIRスペ
クトルが一致した。mp:126.5−127℃(分
解)。[α]D 23:−117°(c1.07,メタノ
ール)
【0025】IR(KBr)cm−1:3440,30
00〜2950,2700,2520,2200,16
30,1610,1565,1535,1510,14
10,1290,1250,880,765,7001 H−NMR(CDCl3/CD3OD=6/1)δ: 1.62(d,3H,J=7Hz,−CHCH 3) 3.35(d,1H,J=2Hz,エポキシ環プロト
ン) 3.73(d,1H,J=2Hz,エポキシ環プロト
ン) 3.80(S,3H,−OCH 3) 4.36(q,1H,J=7Hz,−CHCH3) 6.8−7.2(m,4H,芳香族プロトン) 7.2−7.5(m,5H,芳香族プロトン)
00〜2950,2700,2520,2200,16
30,1610,1565,1535,1510,14
10,1290,1250,880,765,7001 H−NMR(CDCl3/CD3OD=6/1)δ: 1.62(d,3H,J=7Hz,−CHCH 3) 3.35(d,1H,J=2Hz,エポキシ環プロト
ン) 3.73(d,1H,J=2Hz,エポキシ環プロト
ン) 3.80(S,3H,−OCH 3) 4.36(q,1H,J=7Hz,−CHCH3) 6.8−7.2(m,4H,芳香族プロトン) 7.2−7.5(m,5H,芳香族プロトン)
【0026】[参考例2] (−)−1・(−)−2塩4.41g(14.0ミリモ
ル)を、乾燥ベンゼン14mlに懸濁させ、これに室温
で、95%ナトリウムメトキシド0.80gの乾燥メタ
ノール溶液(14ml)を徐々に加える。室温で1時間
撹拌後、反応液を濾過しベンゼンで洗浄して、(−)−
(2R*・3S*)−2,3−エポキシ−3−(4−メ
トキシフェニル)プロピオン酸ナトリウム塩2.68g
を得た。収率:88.4%。mp:約220℃(分
解)。[α]D 23:−158°(c=0.697,ア
セトン:水=1.0:1.0)
ル)を、乾燥ベンゼン14mlに懸濁させ、これに室温
で、95%ナトリウムメトキシド0.80gの乾燥メタ
ノール溶液(14ml)を徐々に加える。室温で1時間
撹拌後、反応液を濾過しベンゼンで洗浄して、(−)−
(2R*・3S*)−2,3−エポキシ−3−(4−メ
トキシフェニル)プロピオン酸ナトリウム塩2.68g
を得た。収率:88.4%。mp:約220℃(分
解)。[α]D 23:−158°(c=0.697,ア
セトン:水=1.0:1.0)
【0027】IR(KBr)cm−1:3040,30
05,2950,2900,2835,1605,15
10,1435,1415,1245,1020,89
0,8301 H−NMR((CD3)2CO:D2O=1:1;内
部標準DSS)δ; 3.47(d,1H,J=2Hz,エポキシ環プロト
ン) 3.83(S,3H,−OCH 3) 3.95(d,1H,J=2Hz,エポキシ環プロト
ン) 6.96(d,2H,J=8.6Hz,芳香族プロト
ン) 7.31(d,2H,J=8.6Hz,芳香族プロト
ン)
05,2950,2900,2835,1605,15
10,1435,1415,1245,1020,89
0,8301 H−NMR((CD3)2CO:D2O=1:1;内
部標準DSS)δ; 3.47(d,1H,J=2Hz,エポキシ環プロト
ン) 3.83(S,3H,−OCH 3) 3.95(d,1H,J=2Hz,エポキシ環プロト
ン) 6.96(d,2H,J=8.6Hz,芳香族プロト
ン) 7.31(d,2H,J=8.6Hz,芳香族プロト
ン)
【0028】[参考例3]2−クロロビリジン11.3
6g(100.0ミリモル)に乾燥ジクロロエタン15
mlを加え、加熱還流下、ジメチル硫酸12.61g
(100.0ミリモル)のジクロロエタン15ml溶液
を滴下する。1時間加熱還流後、室温まで冷却して1−
メチル−2−クロロピリジニウムメチル硫酸塩溶液を得
た。これをメスフラスコに移しジクロロメタンを用いて
正確に100mlとした。さらに精製することなく、こ
れを以下の実施例に用いた。
6g(100.0ミリモル)に乾燥ジクロロエタン15
mlを加え、加熱還流下、ジメチル硫酸12.61g
(100.0ミリモル)のジクロロエタン15ml溶液
を滴下する。1時間加熱還流後、室温まで冷却して1−
メチル−2−クロロピリジニウムメチル硫酸塩溶液を得
た。これをメスフラスコに移しジクロロメタンを用いて
正確に100mlとした。さらに精製することなく、こ
れを以下の実施例に用いた。
【0029】[実施例1] (−)−(2R*・3S*)−2,3−エポキシ−3−
(4−メトキシフェニル)プロピオン酸ナトリウム塩
[以後(−)−3と略記する]2.59g(12.0ミ
リモル)を塩化メチレン12mlに懸濁させ、トリエチ
ルアミン1.34g(13.2ミリモル)及びメタノー
ル・塩化メチレン溶液(メタノール1ミリモル/ml含
有)13.2mlを加え、よく撹拌する。これに室温
で、参考例3で得た1−メチル−2−クロロピリジニウ
ムメチル硫酸塩溶液13.2ml(13.2ミリモル)
を徐々に加える。反応液を室湿で一夜撹拌後、溶媒を減
圧下留去し、新たに酢酸エチルを加え、水および飽和食
塩水で洗浄する。芒硝で乾燥した後、溶媒を留去し、残
渣を蒸留して、(−)−(2R*・3S*)−2,3−
エポキシ−3−(4−メトキシフェニル)プロピオン酸
メチルエステル2.08gを得た。収率:83.2%。
bp:99−101℃/2.5×10−1トール。
[α]D 23:−160°(c=0.892,クロロホ
ルム)
(4−メトキシフェニル)プロピオン酸ナトリウム塩
[以後(−)−3と略記する]2.59g(12.0ミ
リモル)を塩化メチレン12mlに懸濁させ、トリエチ
ルアミン1.34g(13.2ミリモル)及びメタノー
ル・塩化メチレン溶液(メタノール1ミリモル/ml含
有)13.2mlを加え、よく撹拌する。これに室温
で、参考例3で得た1−メチル−2−クロロピリジニウ
ムメチル硫酸塩溶液13.2ml(13.2ミリモル)
を徐々に加える。反応液を室湿で一夜撹拌後、溶媒を減
圧下留去し、新たに酢酸エチルを加え、水および飽和食
塩水で洗浄する。芒硝で乾燥した後、溶媒を留去し、残
渣を蒸留して、(−)−(2R*・3S*)−2,3−
エポキシ−3−(4−メトキシフェニル)プロピオン酸
メチルエステル2.08gを得た。収率:83.2%。
bp:99−101℃/2.5×10−1トール。
[α]D 23:−160°(c=0.892,クロロホ
ルム)
【0030】IR(neat)cm−1:3020,2
960,2920,2840,1760,1615,1
515,1440,1250,1030,8351 H−NMR(CDCl3)δ: 3.50(d,1H,J=2Hz,エポキシ環プロト
ン) 3.80及び3.81(s×2.6H,−OCH 3及び
−CO2CH 3) 4.04(d,1H,J=2Hz,エポキシ環プロト
ン) 6.86(d,2H,J=8.8Hz,芳香族プロト
ン) 7.19(d,2H,J=8.8Hz,芳香族プロト
ン)
960,2920,2840,1760,1615,1
515,1440,1250,1030,8351 H−NMR(CDCl3)δ: 3.50(d,1H,J=2Hz,エポキシ環プロト
ン) 3.80及び3.81(s×2.6H,−OCH 3及び
−CO2CH 3) 4.04(d,1H,J=2Hz,エポキシ環プロト
ン) 6.86(d,2H,J=8.8Hz,芳香族プロト
ン) 7.19(d,2H,J=8.8Hz,芳香族プロト
ン)
【0031】[実施例2] (−)−3を3.89g(18.0ミリモル)を塩化メ
チレン30mlに懸濁させ、トリエチルアミン2.00
g(19.8ミリモル)およびエタノール0.91g
(19.8ミリモル)をすばやく加え、よく撹拌する。
これに室温で、参考例3で得た1−メチル−2−クロロ
ピリジニウムメチル硫酸塩溶液19.8ml(19.8
ミリモル)を徐々に加える。反応液を室温で一夜撹拌
後、溶媒を減圧下留去し、新たに酢酸エチルを加え、酢
酸エチル層を水、続いて飽和食塩水で洗浄する。芒硝に
て乾燥した後、溶媒を留去し、そして残渣を蒸留して、
(−)−(2R*,3S*)−2,3−エポキシ−3−
(4−メトキシフェニル)プロピオン酸エチルエステル
3.33gを得た。収率:83.3%。bp:110−
111℃/2.5×10−2トール。[α]D 23:−
152°(c=1.10,クロロホルム)
チレン30mlに懸濁させ、トリエチルアミン2.00
g(19.8ミリモル)およびエタノール0.91g
(19.8ミリモル)をすばやく加え、よく撹拌する。
これに室温で、参考例3で得た1−メチル−2−クロロ
ピリジニウムメチル硫酸塩溶液19.8ml(19.8
ミリモル)を徐々に加える。反応液を室温で一夜撹拌
後、溶媒を減圧下留去し、新たに酢酸エチルを加え、酢
酸エチル層を水、続いて飽和食塩水で洗浄する。芒硝に
て乾燥した後、溶媒を留去し、そして残渣を蒸留して、
(−)−(2R*,3S*)−2,3−エポキシ−3−
(4−メトキシフェニル)プロピオン酸エチルエステル
3.33gを得た。収率:83.3%。bp:110−
111℃/2.5×10−2トール。[α]D 23:−
152°(c=1.10,クロロホルム)
【0032】IR(neat)cm−1:2990,2
950,2910,2840,1760,1615,1
515,1440,1300,1250,1200,1
175,1030,835,7801 H−NMR(CDCl3)δ; 1.32(t,3H,J=7Hz,−OCH2CH 3) 3.48(d,1H,J=2Hz,エポキシ環プロト
ン) 3.80(s,3H,−OCH 3) 4.03(d,1H,J=2Hz,エポキシ環プロト
ン) 4.27(q,2H,J=7Hz,−OCH 2CH3) 6.87(d,2H,J=8.8Hz,芳香族プロト
ン) 7.21(d,2H,J=8.8Hz,芳香族プロト
ン)
950,2910,2840,1760,1615,1
515,1440,1300,1250,1200,1
175,1030,835,7801 H−NMR(CDCl3)δ; 1.32(t,3H,J=7Hz,−OCH2CH 3) 3.48(d,1H,J=2Hz,エポキシ環プロト
ン) 3.80(s,3H,−OCH 3) 4.03(d,1H,J=2Hz,エポキシ環プロト
ン) 4.27(q,2H,J=7Hz,−OCH 2CH3) 6.87(d,2H,J=8.8Hz,芳香族プロト
ン) 7.21(d,2H,J=8.8Hz,芳香族プロト
ン)
Claims (1)
- 【請求項1】 一般式 【化1】 (上記一般式において、Rは炭素数1〜4個のアルキル
基を示す。)で表わされる(−)−(2R*,3S*)
−2,3−エポキシ−3−(4−メトキシフェニル)プ
ロピオン酸エステル。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10199793A JPH06287183A (ja) | 1993-04-05 | 1993-04-05 | 新規な光学活性エポキシプロピオン酸エステル誘導体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10199793A JPH06287183A (ja) | 1993-04-05 | 1993-04-05 | 新規な光学活性エポキシプロピオン酸エステル誘導体 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP26743484A Division JPS61145174A (ja) | 1984-12-20 | 1984-12-20 | 新規な光学活性エポキシプロピオン酸エステル誘導体の製造法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06287183A true JPH06287183A (ja) | 1994-10-11 |
Family
ID=14315469
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10199793A Pending JPH06287183A (ja) | 1993-04-05 | 1993-04-05 | 新規な光学活性エポキシプロピオン酸エステル誘導体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06287183A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1127885A2 (en) * | 2000-02-24 | 2001-08-29 | Tosoh Corporation | Optically active epoxypropionate derivatives, intermediates, and processes for their production |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS6013776A (ja) * | 1983-07-05 | 1985-01-24 | Sawai Seiyaku Kk | 光学活性3−(p−アルコキシフエニル)グリシツド酸誘導体の製造法 |
-
1993
- 1993-04-05 JP JP10199793A patent/JPH06287183A/ja active Pending
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS6013776A (ja) * | 1983-07-05 | 1985-01-24 | Sawai Seiyaku Kk | 光学活性3−(p−アルコキシフエニル)グリシツド酸誘導体の製造法 |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1127885A2 (en) * | 2000-02-24 | 2001-08-29 | Tosoh Corporation | Optically active epoxypropionate derivatives, intermediates, and processes for their production |
EP1127885A3 (en) * | 2000-02-24 | 2003-01-29 | Tosoh Corporation | Optically active epoxypropionate derivatives, intermediates, and processes for their production |
US6787657B2 (en) | 2000-02-24 | 2004-09-07 | Tosoh Corporation | Optically active epoxypropionate derivative, intermediate thereof and processes for their production |
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Legal Events
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---|---|---|---|
A02 | Decision of refusal |
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